JP4082291B2 - 低圧探し弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧機器、荷役装置、福祉機器等に使用される制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に低圧探し弁は、両回転式液圧ポンプの回転方向を切り換えて液圧シリンダや液圧モータなどのアクチュエータの作動方向を変える場合に好適に使用される(たとえば特許文献1参照)。図4、図5は、この従来の低圧探し弁の一例を簡略に示す図である。
【0003】
図4において、ケース33には通路g、h、jを有し、両端に同じ受圧面積を持つシート部30g、30hと一体的に構成したポペット30を通路gとhの間に設けている。そしてシート部30g、30hとケース33との間にそれぞれ同じ力のバネ32g、32hを設けて、通路jをポペット30の中央部に配置したものである。このような低圧探し弁の作動は次のとおりである。すなわち通路g、hが同圧の時バネ32g、32hの部屋も同圧となってポペット30は中立に位置し、シート部30g、30hはケース33のシート面30g´、30h´から離れた状態になっており通路g、h及びjは全部連通している。次に通路g、hに圧力差がある場合、仮に通路gの圧力が通路hの圧力より高いとするとポペット30は圧力によってバネ32h側に移動し、シート部30gはシート面30g´と密着して通路gとjを遮断する。同時にシート部30hはシート面30h´から更に離れて大きな通路面積で通路hとjを連通する。通路hが通路gより圧力が高いときは前記と逆の動作で通路gとjは大きな通路面積で連通し、通路hとjは遮断される。
【0004】
図5は、通路d、e、fを有するケース44に、両端に同じ幅のランド部40d、40eと中央に左右を連通する穴48を設けた任意幅のランド部40fを有する円筒状のスプール40を通路dとeの間に設けたスプール穴46に嵌合し、スプール40の両端とケース44との間にそれぞれ同じ力のバネ45d、45eを設けて通路fをスプール穴46の中央に配置したものである。
この低圧探し弁の作動は次のとおりである。通路d、eが同圧の時バネ45d、45eの部屋も同圧となってスプール40は中立に位置し、通路d、eはそれぞれランド部40d、40eによって通路fとの間を遮蔽している。次に通路d、eに圧力差がある場合、仮に通路dが通路eより圧力が高いとするとスプール40は圧力によってバネ45e側に移動するが、通路dはランド部40dによって通路fを遮蔽した状態を維持する。他方ランド部40eはスプール穴46からバネ45eの部屋にランド全体が飛び出し、中央のランド部40fとで仕切られた溝41と通路eが連通して、ランド部40fに設けた穴48を通して通路fに連通する。中央のランド部40fは両端のランド部40d、40eがスプール穴46から飛び出した時もスプール40がスプール穴46と同心を維持するために設けたものである。
【特許文献1】
特願平10−169800号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図4の従来例では、例えば通路g側の圧力を通路h側より高くして、通路g、jを遮蔽しようとしてもシート部30gとシート面30g´との間が離れているので少ない流量ではポペット30を通路g、jを遮蔽する方向へ作動させることができない。そのため、シート部30gとシート面30g´との開度を小さくすると反対側のシート部30hとシート面30h´との開度も小さくなり、連通側の通路h、j間の圧力損失が大きくなる。また逆に圧力損失を小さくするためシート面間隔を広げると切換え動作が不安定になるという問題をもっている。
図5の従来例では、切換え要素にスプールを用いているため漏れが多く、コストも高いという欠点をもっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの問題点を解決するため本発明では、ケース内に、軸方向にスライド可能な平行ピンと、その両側同軸上にあって平行ピンの両端面に接して設けた2個のボールと、この両ボールをそれぞれ軸方向自在に内包し、該ケースに設けたスライド孔内で軸方向にスライド可能な2個のボール保持部材と、それら両ボール保持部材の一端をケースに設けたボール保持部材用シート面に押し付けるよう付勢するバネを設け、それぞれのボール保持部材内にはボールと前記付勢バネの間に壁を介設するとともに、ボールと前記壁とボール保持部材とに囲まれた部屋に付勢バネ側へ通じる孔とケースに設けた外部通路へ通じる孔を設け、ケースにはボール保持部材の前記それぞれのスライド孔へ連通する2つの外部通路と該スライド孔が共通して連通する1つの外部通路を設けた。
【0007】
このように構成することで、ケースに設けたボール保持部材室へ通ずる2つの外部通路が同圧のときは、付勢バネがボール保持部材をケースのボール保持部材用シート面に押し付けて外部通路と平行ピン支持部への通路が連通するのを遮蔽する。また、ボール保持部材室へ通ずる2つの外部通路の一方が他方より高圧のときは、高圧側のボールがケースのボール用シートに密着して高圧側外部通路と平行ピン支持部への通路が連通するのを遮蔽し、同時にボールに押されて平行ピンがバネの付勢力に打ち勝って低圧側のボールとボール保持部材を共にケースのシート面から引き離して低圧側通路を平行ピン支持部への通路に開放する。このようにして図4の従来例が持つ不安定な動作や大きな圧力損失及び図5の従来例が持つ多い漏れやコスト高の問題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について述べる。
図1(a)は、本実施形態の二つの外部通路が同圧状態の縦断面図を、図1(b)は、そのシール部を拡大した図を示し、図2は一方の外部通路圧が他方の外部通路圧より高い状態の縦断面図を、図3は、他方の外部通路圧が負圧の状態の縦断面図を示す。
【0009】
図1(a)において、1はケース2の中央部に設けた軸方向にスライド可能な平行ピン、3a及び3bは平行ピン1の両端に接して設けたボール、4a及び4bはボール3a及び3bを小さな隙間で内包する軸方向にスライド可能な同心円筒状のボール保持部材、5a及び5bはボール保持部材4a及び4bを平行ピン1の方向へ付勢するバネ、6a及び6bはバネ5a及び5bを保持するプラグである。
ケース2の平行ピン支持部7の両側には、外部通路cに通じる空間8a及び8bと空間8a及び8bとボール3a及び3b室を連通する穴20a及び20bを穿孔したランド部9a及び9bを設けている。ランド部9a及び9bのボール保持部材側には図1(b)に示すように、それぞれボール3a及び3bが着座するシート面10a及び10bとボール保持部材端面15a及び15bが着座するシート面11a及び11bを設けている。また、平行ピン1の軸方向長さはボール3a及び3bのシート面10a及び10bの軸方向端面間隔より長く設定している。
ボール保持部材4a及び4bの内径中間部には、ボール3a及び3bの部屋とバネ5a及び5bの部屋に連通する穴13a及び13bを有する隔壁16a及び16bを設けている。ボール3a及び3bとボール保持部材4a及び4bの内径と隔壁16a及び16bに囲まれた背面空間17a及び17bに保持部材4a及び4bの外部に通じる穴12a及び12bを穿孔し、ボール保持部材4a及び4bの外周に施した溝21a及び21bに連通させている。a及びbは平行ピン1の両側に設けた外部通路である。
【0010】
このように構成した本実施形態の動作は、外部通路a及びbが同圧であるとき、圧液はそれぞれ穴12a及び12bを通ってボール3a及び3bの背面空間17a及び17bとバネ5a及び5bの部屋に流入する。このときボール保持部材4a及び4bは同心円筒状をしており前後に同一の力が作用して液圧力に関係なく、バネ力のみでボール保持部材端面15a及び15bがシート面11a及び11bに押し付けられて外部通路a及びbと外部通路cとの連通を遮蔽する。他方ボール3a及び3bには平行ピン1側への液圧力が作用するが、同圧であるのでバランスして平行ピン1は中立位置に静止したままとなる。
【0011】
次に、外部通路aの圧力がbの圧力より高くなったときの動作を図2で説明する。
外部通路aの圧液は、流路矢印a1で示すように穴12aを通ってボールの背面空間17aに入り、更に流路矢印a2で示すように穴13aを通ってバネ5aの部屋に流入する。ボール保持部材4aは前述のようにバネ力でボール保持部材端面15aがシート面11aに押し付けられて外部通路aとcを遮蔽している。ボール3aは、背面空間17aに流入した圧液の圧力により平行ピン1側へシート面10aに着座するまで移動して外部通路aとcを遮蔽する。他方、外部通路b側では、ボール3aに押された平行ピン1によってボール3bはボール保持部材4bの隔壁16bに接するまで矢印H方向に移動し、隔壁16bに接触後はボール保持部材4bと共に更に矢印H方向へボール3aにより平行ピン1がボール3b側に押し出された分だけ移動する。この一連の動作により通路b側のボール保持部材端面15bはシート面11bから大きく離れ、外部通路bの圧液は流路矢印b1に示すように穴20bを通って外部通路cに流れ、低圧の外部通路bは外部通路cとは大きな開口面積で連通する。
【0012】
次に、外部通路aの圧力が外部通路bより高く、更に外部通路bが負圧になったときの動作を図3で説明する。
ボール3a及びボール保持部材4aは、前述の通りそれぞれシート面10a及びボール保持部材端面15aに着座して外部通路aとcの連通を遮蔽する。他方負圧側のボール3b及びボール保持部材4bが平行ピン1に押され、それぞれシート面10b及びボール保持部材端面15bから離れるところまでは前述の通りであるが、外部通路b側の圧力Pbが負圧の場合、外部通路c側の圧力Pcとの圧力関係がPc>Pbとなって、流体は流路矢印c1に示すように外部通路cから外部通路bに流れる。この時ボール3bのシート面11b側の圧力をPc´とすると、圧力PcとPc´及びPbの関係は、穴20b及びボール保持部材端面15bとシート面11bとの通路圧損の影響を受けPc>Pc´>Pbとなる。一方、ボール保持部材4bのばね5b側圧力Pb´は、溝21b、穴13bを通じて外部通路bに連通しているが流れがないのでPb´=Pbである。したがって、Pc´>Pb´の関係からボール3b及びボール保持部材4bは矢印Sの方向にプラグ6bにあたるまで移動して外部通路bとcの開口面積を更に広げて連通する。
【0013】
このように本実施形態の低圧探し弁は、従来低圧探し弁の中立位置での漏れや不安定な作動、切り替え後の遮蔽部からの漏れを安価な市販のピンやボールを使って、漏れの少ない、切換え動作の確実な低圧探し弁を実現したものである。また、平行ピンの長さ調節により中立位置で通路を開放したり、全閉にしたりなど切り替え感度を調節することも可能である。
【0014】
【発明の効果】
本発明により、内部漏れが少なく、確実で迅速な切り替え動作を行う低圧探し弁を安価に提供できるので、好適に使用される両回転ポンプを使った液圧シリンダや液圧モータの切り替え動作の効率を高め、コスト低減効果を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本実施例の二つの外部通路が同圧状態の縦断面図、(b)はシート部を拡大した図である。
【図2】本実施例の一方の外部通路圧が他方の外部通路圧より高い状態の縦断面図である。
【図3】本実施例の他方の外部通路圧が負圧の状態の縦断面図である。
【図4】従来品の中立位置で全通路が連通するタイプの作動説明図である。
【図5】従来品のスプールを使ったタイプの作動説明図である。
【符号の説明】
1 平行ピン
a、b、c 外部通路
2 ケース
3a、3b ボール
4a、4b ボール保持部材
5a、5b バネ
6a、6b プラグ
7 平行ピン支持部
8a、8b 空間
9a、9b ランド部
10a、10b シート面
11a、11b シート面
12a、12b 穴
13a、13b 穴
15a、15b ボール保持部材端面
16a、16b 隔壁
17a、17b 背面空間
20a、20b 穴
21a、21b 溝
Claims (1)
- ケース内に、軸方向にスライド可能な平行ピンと、その両側同軸上にあって平行ピンの両端面に接して設けた2個のボールと、この両ボールをそれぞれ軸方向自在に内包し、該ケースに設けたスライド孔内で軸方向にスライド可能な2個のボール保持部材と、それら両ボール保持部材の一端をケースに設けたボール保持部材用シート面に押し付けるよう付勢するバネを設け、それぞれのボール保持部材内にはボールと前記付勢バネの間に壁を介設するとともに、ボールと前記壁とボール保持部材とに囲まれた部屋に付勢バネ側へ通じる孔とケースに設けた外部通路へ通じる孔を設け、ケースにはボール保持部材の前記それぞれのスライド孔へ連通する2つの外部通路と該スライド孔が共通して連通する1つの外部通路を設けたことを特徴とする低圧探し弁。
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