JP4082012B2 - 半導体発光素子とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、選択成長により形成される第1導電型クラッド層、活性層及び第2導電型クラッド層を積層させたダブルへテロ構造を有する半導体発光素子に関し、特に、基体の主面に対して傾斜した傾斜結晶層を有する半導体発光素子に回折格子を設けることにより外部に光を取り出すことができる半導体発光素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
n型とp型の半導体層間に発光層を挟みこんだ構造を有する半導体発光素子のうち、特に、半導体レーザー素子における光共振器の構造として光導波路に対して垂直に形成された2つの平面を共振面とするファブリー・ペロー型共振器構造が知られている。ファブリー・ペロー型共振器の共振面はレーザー構造を形成した半導体層に対して垂直にへき開面がでるようにへき開することにより作製することができる。光導波路に対して垂直な2つの共振面で光を反射し発光領域に光を帰還することによりレーザー共振が起こり、増幅された光の一部を共振面から出射することにより素子外部にレーザー光を取り出している。
【0003】
一方、ファブリー・ペロー型共振器構造以外の光共振器構造を利用した半導体レーザー素子もあり、DFB半導体レーザーやDBRレーザーが知られている。DFBレーザーは、発光領域である活性層の全体に渡って2つの屈折率が異なる半導体層の境界に回折格子を形成し、その周期によって特定の波長の光に対してブラッグ反射を起こさせる構造を有する。また、DBRレーザーは活性領域の外側に周期構造を有する回折格子を形成し、その回折格子でブラッグ反射を起こさせてレーザー発振を可能とする共振器構造を有している。また、活性層に平行に半導体多層膜又は誘電体多層膜を形成し、ほぼ100%に近い光の反射率を有する共振面が形成された面発光レーザーも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、GaN系化合物半導体を積層して形成される半導体発光素子では、基板に形成され開口部を有する選択マスクを用いて選択成長を行い、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層を有する構造を備える半導体発光素子が作製されている。選択成長により結晶成長することによって欠陥の少ない結晶層を形成することが可能であり、発光効率の高い発光ダイオードや半導体レーザー素子等が作製されている。これらの半導体発光素子のうち、選択マスクを形成し結晶成長を行う基板の主面に対して傾斜した結晶面上に活性層が形成される構造をとる素子では、平行平板構造に比べて活性層の面積を大きくとることができ、電流密度を低減することができる。このとき、活性層で発生した光のうち、上記傾斜結晶層の結晶面若しくは該素子の底面で全反射を免れた光が外部に取り出されることになる。
【0005】
ここで、固体レーザーである半導体レーザー素子の端面を共振面として利用し、増幅された増幅光の一部を素子外部に取り出すためには、平坦で欠陥の少ない素子端面を作製する技術が重要になる。特に、GaN系化合物半導体で構成され、結晶成長させる基板に対して傾斜した傾斜結晶層を有する半導体レーザー素子では、結晶性が良く、更に実質的な結晶層の面積を大きくとることが可能であり、この結晶性が良好な利点を利用することにより光取り出し効率を高めた半導体レーザー素子が望まれている。
【0006】
傾斜結晶層を有する半導体発光素子では、発光層で発生した光のうち傾斜結晶面又は素子の底面に対して臨界角以下の入射角で入射する光はそのまま素子外部に出射される。半導体ダイオード素子では発光層で発生した光を再び発光層に帰還し光増幅させる必要はないが、半導体レーザー素子では光を帰還して光増幅を起こさせることが重要になる。傾斜結晶面で多重反射された光が素子内の一定の経路を周回して定在波となることにより共振モードのレーザー光が発生し、レーザー発振が可能になる素子の構造が望まれている。このとき、傾斜結晶面及び素子底面による全反射を抑えてレーザー光を素子外部に取り出す技術も同時に望まれている。
【0007】
また、選択成長により形成され基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層から構成される半導体発光素子であって、特に、六角錐状の半導体発光素子又は六角錐の上側が基板と平行な面からなる六角錐台形状の半導体発光素子では、へき開やエッチングなどにより素子を分離し、その分離面により形成される端面を共振面として利用した半導体レーザー素子を形成することは困難である。
【0008】
よって、本発明は、選択成長により形成される結晶層と、該結晶層の結晶面と平行な面内に延在して形成される第1導電型クラッド層、発光層及び第2導電型クラッド層とを有する半導体発光素子に関し、発光層から発生した光を回折させることにより光を外部に取り出すことができる回折格子が形成された半導体発光素子を提供することを目的とする。本発明は、特に、半導体発光素子が半導体レーザー素子である場合、外部に光を取り出すとともに誘導放出を起こすための光を発光層に帰還させ、レーザー発振と外部への光取り出しが可能になる回折格子を有する半導体レーザー素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体発光素子は、基板と、基板上に形成された下地成長層と、下地成長層上に設けられた第1導電型クラッド層と、第1導電型クラッド層上に設けられた発光層と、発光層上に設けられた第2導電型クラッド層と、を有する。第1導電型クラッド層、発光層及び第2導電型クラッド層を含む結晶層は、基板の主面に対して傾斜した傾斜面を有し、下地成長層の表面には、前記発光層から発生した光を外部に取り出す回折格子が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の半導体発光素子は、結晶成長させる基板に対して傾斜した傾斜結晶層を有し、傾斜結晶層の結晶面の一部に形成された回折格子により光を回折させてその光の一部を素子外部に取り出すことができる構造を有する。さらに、半導体レーザー素子については、共振モードのレーザー光を回折格子で回折することにより、全反射されない入射角で光取り出し面に入射する高次の回折光を素子外部に取り出すことができる。基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層であって、回折格子が形成されない傾斜結晶面で反射された光は多重反射された後、回折格子により回折され、高次の回折光が光取り出し面である底面から外部に取り出される。
【0011】
回折された光のうち該素子の底面に対して臨界角以下で入射する回折光はそのまま素子外部に出射される。臨界角以上で入射する回折光は全反射されて他の傾斜結晶面に向かう。このとき、該回折光は発光層を通るので発光層内における光増幅に寄与する。再度傾斜結晶面で全反射された回折光は、回折格子が形成された傾斜結晶面で再度回折され、底面に向かうことになる。この循環を繰り返すことによって、レーザー発振させるとともに回折された高次の回折光を素子外部に取り出すことが可能になる。特に、半導体レーザー素子のように発光層で発生した光を再度発光層へ帰還する場合には、外部に取り出されなかった回折光が光増幅作用を奏し、共振モードを形成する。
【0012】
さらに、傾斜結晶面上に回折格子を形成するだけでなく、傾斜結晶層を選択成長する前に、選択マスクの開口部に臨む下地成長層若しくは基板の表面に回折格子を形成しておくこともできる。下地成長層上に形成された回折格子により回折された回折光のうち、全反射されず回折格子を透過した回折光が該素子の外部に取り出される。該素子を構成する結晶層を選択成長する前に、下地成長層上に回折格子を形成しておくことにより製造工程においても簡便に回折格子を作製できることになる。
【0013】
【本発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本実施形態の半導体発光素子は、選択成長により形成される結晶層と、該結晶層の結晶面と平行な面内に延在して形成される第1導電型クラッド層、発光層及び第2導電型クラッド層と、前記発光層から発生した光を回折させることにより前記光を該半導体発光素子の外部に取り出すことができる回折格子とを有することを特徴とする。
【0014】
本実施形態の半導体発光素子は、基体に対して傾斜した傾斜結晶層の結晶面と平行な面内に延在して形成された発光層から出射される光を、該結晶面と平行な面内に形成された回折格子で回折することにより、高次の回折光を外部に取り出すことができることを特徴とする。特に、半導体レーザー素子においては、外部に取り出されない回折光が発光層に帰還されることによってレーザー発振が起こるとともに、該レーザー光が回折格子で回折されることにより光取り出し面で全反射されない高次の回折光を外部に取り出すことが可能になる。
【0015】
本実施形態の半導体発光素子は、選択成長に用いる選択マスクの開口部の形状を変えることにより様々な形状の素子を形成することができる。例えば、開口部をストライプ状に形成した場合には、開口部の長手方向に平行な稜線を有し該稜線から下側に延在される傾斜結晶面から成る断面三角形状で、該稜線に沿って延在された結晶層を有する半導体発光素子を形成することができる。一方の傾斜結晶面上に回折格子を形成することにより、発光層から出射された光のうち光取り出し面で全反射されるように回折された回折光を除き、全反射を免れるように光取り出し面に入射する高次の回折光を外部に取り出すことができる。また、稜線を有し断面三角形状の結晶層からなる半導体発光素子に限らず、結晶層の上面が平坦で基体の主面と平行な断面台形状の半導体発光素子についても傾斜結晶面に回折格子を形成しておくことにより高次の回折光を外部に取り出すことができる。
【0016】
さらに、開口部の形状を六角形状にしておくことにより六角錐状の半導体発光素子を形成することができる。六角錐を構成する複数の傾斜結晶面のうちの何れかの結晶面上に回折格子を形成しておけば、該回折格子で回折された高次の回折光を外部に取り出すことができる。また、六角錐形状に限らず、六角錐台形の素子についても傾斜結晶面に回折格子を形成することにより外部に高次の回折光を取り出すことができる。特に、素子の外形が六角錐形状又は六角錐台形状の場合、へき開により素子分離し、分離面により形成される素子端面を共振面として利用することが困難であることから、回折格子により該素子の内部で光を多重反射してレーザー共振させ、回折された高次の回折光を外部に取り出すことにより高性能の半導体レーザー素子とすることが可能になる。
【0017】
本発明の半導体発光素子は、半導体レーザー素子に限らず、発光ダイオードに対しても適用可能であるが、本実施形態では、特に、半導体レーザー素子について、図1から図4を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態の半導体レーザー素子は、基板上に形成された下地成長層上に、開口部を有する選択マスクを形成し、該開口部に臨む下地成長層から結晶層を選択成長させて形成される。先ず、図1に示すように、基板12上に下地成長層13を形成する。基板12はその主面がC面であればよいが、GaN系化合物半導体を選択成長する場合、好ましくは六方晶系基板であり、GaN系化合物半導体を結晶成長させるために用いられることが多いサファイア基板を用いることができる。基板12としては、ウルツ鉱型の化合物半導体層を形成し得るものであれば特に限定されず、種々のものを使用できる。例示すると、基板として用いることができるのは、サファイア(Al、A面、R面、C面を含む。)、SiC(6H、4H、3Cを含む。)、GaN、Si、ZnS、ZnO、AlN、LiMgO、LiGaO、GaAs、MgAl、InAlGaNなどからなる基板などであり、好ましくはこれらの材料からなる六方晶系基板であり、より好ましくは六方晶系基板である。例えば、サファイア基板を用いる場合では、窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体の材料を成長させる場合に多く利用されているC面を主面としたサファイア基板を用いることが出来る。この場合の基板主面としてのC面は、5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。半導体装置の製造に広く使用されているシリコン基板などを利用することも可能である。
【0019】
また、基板12と、基板12上に形成される下地成長層としてのGaN層13により基体11が構成される。GaN層13は窒素空孔により生じる欠陥によりそれだけでもn型の半導体となり得るが、シリコンドープすることによって制御よくn型のGaN層を形成することもできる。この下地成長層13は例えば窒化ガリウム層や窒化アルミニウム層からなり、低温バッファ層と高温バッファ層との組み合わせ或いはバッファ層と結晶種として機能する結晶種層との組み合わせからなる構造であっても良い。
【0020】
下地成長層13の上には選択マスク14が形成される。選択マスク14は、酸化シリコン層で形成され、酸化シリコン膜をフッ酸エッチングなどによって除去し、矩形状の開口部15を形成する。開口部15の形状は、矩形状に限定されず、円形状、正方形状、六角形状、三角形状、菱形及びこれらの変形形状などの形状にすることができる。それぞれの部分からの結晶成長によってS面等を有する結晶層を形成することが可能である。略六角錐台形状や略六角錐形状が直線状に延在された形状である場合、一方向を長手方向とするような角錐台や角錐形状はマスク層の開口部を帯状にすることでも可能である。
【0021】
選択成長させる選択マスク14の下層としての基体11は基板12自身であっても良いが、選択時に良好な結晶性を得るためにはバッファ層などの下地成長層を含めることができる。この下地成長層としては、化合物半導体層を選択することができ、後の工程でファセット構造を形成する場合にはウルツ鉱型の化合物半導体を選ぶことが好ましい。窒化物半導体からなる結晶層としては、例えばIII族系化合物半導体やBeMgZnCdS系化合物半導体、BeMgZnCdO系化合物半導体を用いることができ、更には窒化インジウム(InN)系化合物半導体、窒化インジウムガリウム(InGaN)系化合物半導体、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系化合物半導体を好ましくは形成でき、特に窒化ガリウム系化合物半導体などの窒化物半導体などが好ましい。また、結晶成長させる基体としてバルクの窒化物半導体を用いることもできる。
【0022】
開口部15を形成した後、開口部15に臨む下地成長層13から選択成長により第一導電型クラッド層として、シリコンドープのGaN層16を形成する。GaN層16はシリコンドープのGaN層であり、開口部15から選択マスク14の表面に沿って横方向成長する。選択成長することにより、下地成長層13から伝播する貫通転位を選択マスク14で遮ることができ、選択成長させる結晶中の転移密度を低減することができる。更に選択成長が進むと、矩形状に開口した開口部15の長手方向と平行な稜線を有し断面三角形状で稜線と平行に延在された傾斜結晶面を有するn型GaN層16が形成される。この傾斜結晶面は、実質的にS面と同等な面であり、GaN系化合物半導体層の選択成長では安定して形成される面である。さらに、GaN層16の上には発光層としてInGaN層17が形成され、発光層17の上に第二導電型クラッド層としてマグネシウムドープのp型GaN層18を形成し、n型GaN層16、発光層17及びp型GaN層18が積層されたダブルへテロ構造が形成され、図2に示すような断面三角形状の積層構造体が形成される。ここで、断面三角形状の積層構造体に限定されず、結晶成長時の成長時間、原料の供給量を制御することにより断面台形状の積層構造体を形成することもできる。
【0023】
選択成長により結晶成長する半導体層のうち、基体11上に形成される第一導電型クラッド層はp型又はn型のクラッド層であり、第2導電型層はその反対の導電型である。例えば、基体11の主面に対して傾斜した傾斜結晶層でS面を有する結晶層をシリコンドープのGaN系化合物半導体層によって構成した場合では、n型クラッド層をシリコンドープのGaN系化合物半導体層によって構成し、その上にInGaN層を発光層として形成し、さらにその上にp型クラッド層としてマグネシウムドープの窒化ガリウム系化合物半導体層を形成してダブルへテロ構造をとることができる。発光層であるInGaN層をAlGaN層で挟む構造とすることもでき、発光層の片側にAlGaN層を設けることも可能である。また、発光層は単一のバルク活性層で構成することも可能であるが、単一量子井戸(SQW)構造、二重量子井戸(DQW)、多重量子井戸(MQW)構造などの量子井戸構造を形成するものであっても良い。量子井戸構造には必要に応じて量子井戸を分離するための障壁層が併用される。発光層をInGaN層とした場合には、特に製造工程上も製造し易い構造となり、素子の発光特性を良くすることが出来る。
【0024】
結晶層の具体的な選択成長法としては、選択的に下地成長層上にまたは下地成長層形成前に形成された選択マスク層の開口された部分を利用して行なわれる。下地成長層の上に選択マスク層を形成し、その選択マスク層を選択的に開口して開口部を形成することでも、選択成長が可能である。選択マスク層は例えば酸化シリコン層或いは窒化シリコン層によっても構成することができる。略六角錐台形状や略六角錐形状が直線状に延在された形状である場合、一方向を長手方向とするような角錐台や角錐形状は選択マスク層の開口部を帯状にすることでも可能である。選択成長法は開口部からの結晶成長に限定されず、基体表面に形成された結晶成長種から結晶成長を行うこともできる。
【0025】
本実施形態の半導体レーザー素子は、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層を有するが、特に、傾斜結晶層はS面または該S面に実質的に等価な面が略六角錐形状の斜面をそれぞれ構成する構造であっても良く、或いは、S面または該S面に実質的に等価な面が略六角錐台形状の斜面をそれぞれ構成すると共にC面または該C面に実質的に等価な面が前記略六角錐台形状の上平面部を構成する構造、所謂略六角錐台形状であっても良い。これら略六角錐形状や略六角錐台形状は、正確に六角錐であることを必要とせず、そのなかのいくつかの面が消失したようなものも含む。好適な一例において、傾斜結晶面は六面で略対称となるように配設される。略対称とは、完全に対称形状になっている場合のほか、多少対称形状よりずれている場合も含む。また、傾斜結晶層の結晶面間の稜線は必ずしも直線でなくても良い。また、略六角錐形状や略六角錐台形状は直線状に延在された形状であっても良い。
【0026】
選択成長により傾斜結晶層を結晶成長させる方法としては、有機金属化合物気相成長法(MOCVD(MOVPE)法)や分子線エピタキシー法(MBE法)などの気相成長法や、ハイドライト気相成長法(HVPE法)を用いることができる。その中でもMOVPE法によると、迅速に結晶性の良いものが得られる。MOVPE法では、GaソースとしてTMG(トリメチルガリウム)、TEG(トリエチルガリウム)、AlソースとしてはTMA(トリメチルアルミニウム)、TEA(トリエチルアルミニウム)、Inソースとしては、TMI(トリメチルインジウム)、TEI(トリエチルインジウム)などのアルキル金属化合物が多く使用され、窒素源としてはアンモニア、ヒドラジンなどのガスが使用される。また、不純物ソースとしてはSiであればシランガス、Geであればゲルマンガス、MgであればCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)、ZnであればDEZ(ジエチルジンク)などのガスが使用される。MOVPE法では、これらのガスを例えば600℃以上に加熱された基板の表面に供給して、ガスを分解することにより、InAlGaN系化合物半導体をエピタキシャル成長させることができる。
【0027】
また、選択マスクを用いて選択成長する場合であって、選択マスクの開口部の上だけに成長する際には横方向成長が存在しないため、マイクロチャネルエピタキシーを用いて横方向成長させ窓領域より拡大した形状にすることが可能である。このようなマイクロチャネルエピタキシーを用いて横方向成長したほうが貫通転位を避けやすくなり、転位が減ることがわかっている。また、このような横方向成長により発光領域も増大し、さらに電流の均一化、電流集中の回避、及び電流密度の低減を図ることができる。
【0028】
p型GaN層18の一方の傾斜結晶面上には、回折格子19が形成された後、図3に示すように、p側電極20が形成される。回折格子19は、p型GaN層18の表面に屈折率などの光学定数が周期的に変化しているような構造であれば良い。例えば、p型GaN層18の表面に周期的な断面矩形状の凹凸を形成することにより回折格子19を形成することができる。回折格子19の凹部22と凸部23は、回折格子19が形成されるp型GaN層18表面に形成され、断面に対して垂直な向きに平行な向きに交互に形成される。また、該素子の稜線24から下側に延在して形成される傾斜結晶面の一方の傾斜結晶面の表面に形成される。また、回折格子19は上記傾斜結晶面の全体に形成されるだけでなく、回折格子19が形成される該傾斜結晶面の一部に形成されても良い。また、本実施形態のように、基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有するp型GaN層18の表面に回折格子19を形成し、光取り出し面を該素子の底面とする場合には、回折格子19を反射型の回折格子にすれば良い。さらに、回折格子19の形状は、断面上で凹部22と凸部23が交互に形成され、断面に対して垂直な向きに凹部22と凸23が延在される形状に限定されず、周期的に屈折率が変化する構造であれば良く、断面形状がなだらかな波状である構造や鋸刃状の形状がp型GaN層18の表面に周期的に形成された構造であっても良い。
【0029】
回折格子19を構成する凹部22、凸部23を作製するには、例えば、ダイアモンドカッターなどによりGaN層18の表面に凹部22と凸部23の間隔に合わせて平行な刻みをつけることにより機械的に回折格子19を形成することができる。特に、波長オーダーの周期で微細な凹部22と凸部23を形成する場合には、電子ビームリソグラフィの手法や、2つの光のビームを干渉させて光の空間的強弱を作り、それによってフォトレジストを露光することにより縞状のレジストマスクを作成し、これをGaN層18の表面に転写し、エッチングによりGaN層18の表面に凹部22と凸部23を形成することができる。
【0030】
回折格子19が形成されたp型GaN層18上には、p型電極20が形成される。基板12の主面に対して傾斜した傾斜結晶面を有し、一方の傾斜結晶面に回折格子19が形成されたp型GaN層18の最表層にNi/Pt/Au又はNi(Pd)/Pt/Auが蒸着されてp型電極20が形成される。p型電極20を形成する前に、p側電極20とp型GaN層の接触抵抗を抑制するためのコンタクト層25を形成しても良い。また、凹凸形状を有する回折格子19を形成したことにより、p側電極20とp型GaN層18の接触面積を大きくとることができ、電流密度を低減することもできる。
【0031】
n電極21は選択マスク層14の開口部26に形成される。選択マスク層14の一部を下地成長層であるGaN層13が露出するまでエッチングすることに開口部26を形成し、n電極21が形成される。n電極21は、Ti/Al/Pt/Auを蒸着により開口部26に臨み露出したGaN層13の表面に形成される。n電極21は、選択成長によって形成される傾斜結晶層と同じ側に形成するだけでなく、レーザーアブレーションによって基板12から下地成長層13を剥離した後、光取り出し面である開口部15の下側の剥離面を避けて下地成長層13の裏面に形成することもできる。また、透明電極(ITO)によりn電極を形成する場合には、光取り出し面の下側を避けることなく下地成長層13の裏面に形成することもできる。
【0032】
図4に回折格子19を設けた本実施形態の半導体レーザー素子において、共振モードが形成されるとともに外部にレーザー光が取り出される状態を模式的に示した模式断面図を示す。発光層であるInGaN層17から出射される光のうち、全反射を免れて直接外部に出射される光を除いた光は傾斜結晶面で多重反射をされる。ここで、回折格子19に向かう光は回折格子19で回折され、多重干渉を起こす。回折格子19に入射する光のうち波長を変えずに全反射される0次の回折光に対して、特定の角度だけずれて高次の回折光が反射される。回折格子19で反射された0次及び反射された任意の高次の回折光は該素子の底面27に向かう。このとき、回折格子19が形成されていない該素子の光取出し面27で0次の回折光は全反射される。さらに、光取出し面27に対して臨界角より小さい角で入射する高次の回折光(m+1次回折光)は全反射を免れて素子外部に取り出されることになる。
【0033】
高次の回折光(m次回折光)は、臨界角以上の角で光取出し面27に入射することから0次回折光と同様に全反射され素子外部に取り出すことができない。素子外部に取り出すことができない0次回折光、及びm次以下の回折光は再び発光層17に帰還され、誘導放出を誘引する。光取出し面27とGaN層18の傾斜結晶面によりループ型のリング共振器が形成され、素子外部に取り出されない光による誘導放出によりレーザー発振が起こる。このとき、光が多重反射された経路であるループ距離に対応した共振波長を有する共振モードのレーザー光28が発生することになる。よって、回折格子19で回折され、共振モードのレーザー光から特定の波長だけずれ、位相や波長の揃ったコヒーレントなレーザー光が素子外部に取り出されることになる。また、共振モードのレーザー光28を素子内部に閉じ込めることによりレーザー発振を維持することもできる。
【0034】
さらに、発光層17から出射される光を回折格子19により回折し、素子底面である光取り出し面27への該出射光の入射角を変えることができる。さらに該光のうち特定波長の光を素子内部に閉じ込めることができる。レーザー共振に寄与させる光の波長を回折格子の構造を選択することにより自由に設定することができ、レーザー発振に有利な条件とすることができる。例えば、m次の回折光は、θ=Sin−1(mλ/d)[m:次数、λ:入射光の波長、d:回折格子の間隔]で決まる角度で0次の回折光と反射角がずれ、さらに波長がずれた光となる。よって、回折格子の間隔dを所要の間隔に作製し、回折格子の形状を変更することにより素子外部に取り出すことができる光の波長を変えることができる。
【0035】
また、特に、本実施形態のようなGaN系半導体レーザー素子は、バンドギャップエネルギーが約1.9eVから約6.2eVまであり、一つの材料で多色の半導体レーザー素子を作製できる。特に、450nmから530nmを含む青色、緑色LEDが量産されており、傾斜結晶面によるループ状の経路で共振させるとともに、回折格子19により素子外部に青色又は緑色のレーザー光を取り出すことが可能になる。
【0036】
回折格子19に形成されている凹部22と凸部23の周期は、回折させる光の波長より若干長い間隔で形成すれば良い。例えば、450nmから530nmの波長を有する青色や緑色の光の場合、数μm間隔で凹部22と凸部23を形成すれば良い。回折格子19の凹部22と凸部23の周期を数μm間隔にすることにより、製造工程上も容易に作製でき、全反射を抑制できる回折格子とすることができる。
【0037】
[第2の実施形態]
本実施形態の半導体発光素子は、基板上に形成された下地成長層と、該下地成長層上に開口部を有するように形成された選択マスクを用いて選択成長して形成される半導体発光素子に関し、開口部に臨む下地成長層上に予め回折格子を形成しておき、その上に基板に対して傾斜した傾斜結晶層である選択成長層が形成された構造を有する。
【0038】
本実施形態の半導体発光素子は、基板に対して傾斜した傾斜結晶層の結晶面と平行な面内に延在して形成された発光層から出射される光が、傾斜結晶面で反射され、回折格子が形成されている素子底面で回折されることにより、光の一部を素子外部に取り出すことができる構造を有する。素子の底面に形成された回折格子で回折することにより、高次の回折光を外部に取り出すことができることを特徴とする。特に、半導体レーザー素子においては、回折格子で全反射され、外部に取り出されない光が発光層に帰還されることによりレーザー発振が起こるとともに、該レーザー光が回折格子で回折されることにより高次の回折光が全反射を免れ外部に取り出される。本実施形態では、特に、半導体レーザー素子に関し、図5、図6を用いて詳細に説明する。
【0039】
本実施形態の半導体レーザー素子は、基板51上に下地成長層52が形成され、その上に開口部54を有するように選択マスク53が形成される。開口部54に臨む下地成長層52の表面に回折格子55が形成され、光が回折されることにより素子外部に取り出される。
【0040】
先ず、図5に示すように、基板51は、その主面がC面を有するような材料を用いれば良く、例えば、GaN系化合物半導体の結晶成長によく用いられるサファイア基板を用いることができるが、ウルツ鉱型の化合物半導体層を形成し得るものであれば特に限定されず、種々のものを使用できる。この場合の基板主面としてのC面は、5乃至6度の範囲で傾いた面方位を含むものである。半導体装置の製造に広く使用されているシリコン基板などを利用することも可能である。また、より好ましくは六方晶系基板を用いることにより結晶性の高い選択成長層を形成することができる。
【0041】
下地成長層52としてGaN層が形成され、その後、下地成長層52の上に選択マスク53が形成され、選択マスク53を選択的に除去して開口部54を形成する。GaN層52は窒素空孔により生じる欠陥のためそれだけでもn型の半導体となり得るが、シリコンドープすることによって制御よくn型のGaN層を形成することもできる。この下地成長層52は、GaN層のみから構成されるだけでなく、例えば、GaN層とAlN層からなる多層構造であってもよい。下地成長層は低温バッファ層と高温バッファ層との組み合わせ或いはバッファ層と結晶種として機能する結晶種層との組み合わせからなる構造であっても良い。
【0042】
回折格子55は、エッチング等により下地成長層52の表面に周期的に溝部がストライプ状に形成された凹部56と凸部57を作製して形成される。凹部56と凸部57の周期は、回折格子55で回折させて素子外部に取り出す光の波長に応じて決めることができる。回折格子の周期構造を作製するには、例えば、回折格子55の凹部56と凸部57の周期は波長オーダーであるので、電子ビームリソグラフィの手法や、2つの光のビームを干渉させて光の空間的強弱を作り、それによってフォトレジストを露光することにより縞状のレジストマスクを得る。これを開口部54に臨む下地成長層52の表面に転写し、エッチングにより下地成長層52上に回折格子55を形成することができる。また、予め下地成長層52の上面に縞状のレジストマスクを転写し、エッチングにより回折格子55を作製しておくこともできる。
【0043】
また、回折格子55の形状は、凹凸だけに限定されず、周期的に波状に下地成長層52の表面が加工されていても良く、更に鋸刃状に形成されても良い。開口部54から選択成長におり形成される第一導電型クラッド層が回折格子55上に形成されることにより屈折率が周期的に変化する構造が形成される。
【0044】
また、選択マスク53を用いることなく、下地成長層52に結晶成長種として凹凸を形成しておき、その凸部から選択的に半導体発光素子を構成する結晶層を選択成長し、回折格子を有する半導体発光素子を形成することもできる。例えば、結晶成長種となる凹凸の間隔を回折格子の溝間隔に合わせて作成した後、その凸部から結晶層を選択成長し、該半導体発光素子の形成領域を下地成長層から剥離することにより、剥離された該素子形成領域の下面に結晶成長種の間隔と等しい凹凸が形成されことになり、この凹凸を回折格子とすることもできる。また、下地成長層52を介すことなく、基板51の表面に予め凹凸を形成しておき、その凹凸を結晶成長種として第一導電型クラッド層であるn型GaN層を選択成長してもよい。
【0045】
選択マスク53は、フッ酸エッチングなどによって選択的に除去され、矩形状の開口部15が形成される。選択マスク53は、酸化シリコン層又は窒化シリコン層で形成することができる。開口部54は選択マスク53を開口して矩形状に形成され、そこから選択成長することにより断面三角形状で開口部54の長手方向と平行に伸びる稜線から下側に延在する傾斜結晶面を有する傾斜結晶層を形成することができる。また、開口部54の形状は矩形状に限定されず、円形状、正方形状、六角形状、三角形状、菱形及びこれらの変形形状などの形状にすることができ、それぞれの部分からの結晶成長によって実質的にS面と同等な複数の結晶面からなる結晶層を形成することが可能である。
【0046】
開口部54から選択成長される第一導電型クラッド層は、シリコンドープされたGaN層57を選択成長して形成される。GaN層57は開口部54に臨む下地成長層52から結晶成長され、結晶成長が進むと、選択マスク53の表面に沿って横方向成長する。更に結晶成長が進むと、高さ方向にもGaN層57が成長し、基板51の主面に対して傾斜し、稜線から下側に延在する傾斜結晶面を有するGaN層57が形成される。GaN層57は一つの稜線を有するような傾斜結晶面を形成するに限らず、選択成長の結晶成長時間及び材料の供給量を調整することにより、断面上台形状の結晶層を形成することもできる。回折格子を形成する凹部56と凸部57上にシリコンドープのGaN層が形成されることにより、周期的に屈折率が変化する回折格子55が形成されることになる。
【0047】
なお、GaN半導体はノンドープでも結晶中にできる窒素空孔のためにn型となる性質があるが、通常Si、Ge、Se、などのドナー不純物を結晶成長中にドープすることで、キャリア濃度の好ましいn型とすることがきる。また、窒化物半導体をp型とするには、結晶中にMg、Zn、C、Be、Ca、Baなどのアクセプター不純物をドープすることによって得られるが、高キャリア濃度のp層を得るためには、アクセプター不純物のドープ後、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で400℃以上でアニールリングを行なうことが好ましく、電子線照射などより活性化する方法もあり、マイクロ波照射、光照射などで活性化する方法もある。
【0048】
本実施形態では、下地成長層52上に凹部56と凸部57を形成して回折格子55を形成したが、基板51上に回折格子となる凹凸を予め形成しておき、この凹凸を結晶成長種として第一導電型クラッド層を選択成長により形成することもできる。基板上に形成する凹凸を波長オーダーの間隔で形成するためには、例えば、電子ビームリソグラフィの手法や、2つの光のビームを干渉させて光の空間的強弱により、フォトレジストを露光することにより縞状のレジストマスクを作製する。これを結晶に転写し、エッチングにより半導体に回折格子を形成することができる。予め、下地成長層52上に凹凸を形成しておくことにより、製造工程上も簡便に回折格子を形成することができる。
【0049】
n型のGaN層57の上には発光層としてInGaN層58が形成される。その上に第二導電型クラッド層として、p型の導電型であるマグネシウムドープのGaN層59を形成する。稜線から下側に延在するように形成される傾斜結晶面はS面を有するように形成される。このS面は安定して形成される結晶面であり、その上に形成されるInGaN層58、マグネシウムドープのGaN層59もS面に平行に延在するように形成されることにより、ダブルへテロ構造を形成することができる。
【0050】
また、発光層であるInGaN層58をAlGaN層で挟む構造とすることも可能である。また、発光層は単一のバルク活性層で構成することも可能であるが、単一量子井戸(SQW)構造、二重量子井戸(DQW)、多重量子井戸(MQW)構造などの量子井戸構造を形成するものであっても良い。量子井戸構造には必要に応じて量子井戸を分離するための障壁層が併用される。発光層をInGaN層とした場合には、特に製造工程上も製造し易い構造となり、素子の発光特性を良くすることが出来る。さらに、このInGaN層は、窒素原子の脱離しにくい構造であるS面の上での成長では特に結晶化しやすくしかも結晶性はも良くなり、発光効率を上げることができる。
【0051】
本実施形態の半導体発光素子のように基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層を形成した場合、該傾斜結晶層の結晶面の結晶性は良好であり、発光効率を高めることができる。特に、結晶性が良いS面にのみ電流を注入すると、S面はInの取り込みもよく結晶性も良いので発光効率を高くすることができる。また、発光層58の実質的なS面に平行な面内に延在する面積は発光層58を基板51又は下地成長層52の主面に投影した場合の面積より大きいものとすることができる。このように発光層58の面積を大きなものとすることで、該素子の発光する面積が大きくなり、それだけで電流密度を低減することができる。また、発光層58の面積を大きくとることで、輝度飽和の低減に役立ち、これにより発光効率をあげることができる。
【0052】
GaN層59の上にはp側電極61が形成される。p側電極61は、GaN層59の最表層にNi/Pt/Au又はNi(Pd)/Pt/Auが蒸着されてp側電極61が形成される。p側電極61を形成する前に、p側電極61とp型GaN層59の接触抵抗を抑制するためのコンタクト層60を形成しても良い。また、p側電極61とp型GaN層59の接触面積を大きくとることができ、電流密度を低減することもできる。
【0053】
また、開口部54に臨む下地成長層52に凹凸を形成してなる回折格子に限らず、開口部54に臨む下地成長層52を屈折率の異なる結晶層を交互に多数積層して形成される多層膜から構成される回折格子により素子外部に光を取り出すこともできる。例えば、選択マスク層53を形成する前に、下地成長層として屈折率の異なる二種類の成長膜を交互に積層することにより形成される。二種類の成長膜は、例えば、GaNにドープするシリコンの添加量を変えることにより屈折率の異なる成長層を形成することができる。
【0054】
n電極64は選択マスク層53に形成された開口部63に形成される。選択マスク層63の一部を下地成長層であるGaN層52が露出するまでエッチングすることに開口部63を形成し、n電極64が形成される。n電極64は、Ti/Al/Pt/Auを蒸着により開口部26に臨み露出したGaN層13の表面に形成される。n電極64は、選択成長によって形成される傾斜結晶層と同じ側に形成するだけでなく、レーザーアブレーションによって基板51から下地成長層52を剥離した後、光取り出し面62の下側の剥離面を避けて下地成長層52の裏面に形成することもできる。また、透明電極(ITO)によりn電極64を形成する場合には、光取出し面62の下側を避けることなく下地成長層52の裏面に形成することもできる。
【0055】
図6に示すように、回折格子55が形成された該半導体発光素子の発光層から出射された光のうち、p型GaN層59の結晶面又は開口部54に臨む光取出し面62による全反射を免れた光はそのまま素子外部に出射される。傾斜結晶面により全反射された光のうち光取出し面62に向かう光は、光取出し面62に形成された回折格子55で反射されるととともに、回折されて回折格子55から素子外部に出射される。
【0056】
このとき、回折格子55で反射され素子外部に取り出されない光は、傾斜結晶面で多重反射され、発光層58で誘導放出を誘引する。よって、素子外部に取り出されない光により共振モードのレーザー光65が形成され、レーザー発振が可能となる。レーザー発振により発光層58から出射される光が、回折格子55から素子外部に取り出されることにより、レーザー発振が可能になるとともに、波長と位相が揃ったコヒーレントなレーザー光66を素子外部に取り出すことができる。
【0057】
【発明の効果】
基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層からなる半導体発光素子に回折格子を形成することにより、発光層から出射される光素子外部に取り出すことができる。特に、半導体レーザー素子では、回折格子で回折され素子外部に取り出されない光が共振モードを形成し、レーザー発振が可能になる。このとき、回折格子で回折された光のうち、光取り出し面に対して臨界角以下の角度で入射する光は素子外部に取り出されることになる。
【0058】
また、回折格子の形状及び周期を変えることにより、回折される光の強度や波長を制御することが可能になり、半導体レーザー素子の構造をレーザー発振に有利な構造にすることができる。
【0059】
さらに、選択成長により形成され基板の主面に対して傾斜した傾斜結晶層から構成される半導体発光素子であって、特に、六角錐状の半導体発光素子又は六角錐の上側が基板と平行な面からなる六角錐台形状の半導体発光素子では、へき開やエッチングなどにより形成される分離面を共振面として利用することなくレーザー発振が可能な構造を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の半導体レーザー素子の製造工程におけるマスク形成工程を示す工程断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の半導体レーザー素子の製造工程における結晶層の形成工程を示す工程断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の半導体レーザー素子の構造を示す構造断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の半導体レーザー素子の共振モードが形成されるとともに外部にレーザー光が取り出される状態を模式的に示した模式断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の半導体レーザー素子の構造を示す構造断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の半導体レーザー素子の共振モードが形成されるとともに外部にレーザー光が取り出される状態を模式的に示した模式断面図である。
【符号の説明】
11 基体
12、51 基板
13、52 下地成長層
14、53選択マスク層
15、54 開口部
16、57 n型GaN層
17、58 発光層
18、59 p型GaN層
19、55 回折格子
20、61 p側電極
21、64 n側電極
24 稜線
25、60 コンタクト層
26、63 開口部
27、62 光取出し面
65 共振モード
66 レーザー光

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された下地成長層と、
    前記下地成長層上に設けられた第1導電型クラッド層と、
    前記第1導電型クラッド層上に設けられた発光層と、
    前記発光層上に設けられた第2導電型クラッド層と、を有し、
    前記第1導電型クラッド層、発光層及び第2導電型クラッド層を含む結晶層は、前記基板の主面に対して傾斜した傾斜面を有し、
    前記下地成長層の表面には、前記発光層から発生した光を外部に取り出す回折格子が形成されていることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記結晶層は前記基板上に形成される選択マスクを用いることにより選択成長して形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記結晶層はGaN系化合物半導体であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  4. 前記結晶層はウルツ鉱型の結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  5. 前記傾斜面はS面であることを特徴とする請求項載の半導体発光素子。
  6. 前記発光層はInGaN層であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  7. 前記回折格子は前記選択成長を行う前に前記基板上に形成されることを特徴とする請求項記載の半導体発光素子。
  8. 前記回折格子の周期は前記光の波長より大きいことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  9. 前記半導体発光素子は半導体レーザー素子であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  10. 前記発光層から出射される光は、前記傾斜面と前記結晶層の下側の面で多重反射されることにより共振モードを形成することを特徴とする請求項記載の半導体発光素子。
  11. 前記基板の主面はC面を有することを特徴とする請求項記載の半導体発光素子。
  12. 前記光はレーザー光であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  13. 板上に下地成長層を形成し、
    前記下地成長層上に第1導電型クラッド層、発光層及び第2導電型クラッド層を含む結晶層を形成し、
    前記結晶層は、前記基板の主面に対して傾斜した傾斜面を有し、
    前記下地成長層の表面に、前記発光層から発生した光を外部に取り出す回折格子を形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  14. 前記下地成長層に結晶成長種として凹凸を形成し、
    前記凹凸の凸部から選択的に半導体発光素子を構成する前記結晶層を選択成長することを特徴とする請求項13記載の半導体発光素子の製造方法。
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