以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図2、図3を参照して、IEEE802.11aで規定されている無線フレーム信号のフォーマットと、通信シーケンスについて説明する。
IEEE802.11aで規定されている無線フレーム信号(パケット信号)は、図2(a)に示すように、プリアンブル列(Preamble)、シグナルフィールド(Signal)、データフィールド(Data)を含む。プリアンブル列は図2(b)に示すように、ショートプリアンブル列(Short Preamble)及びロングプリアンブル列(Long Preamble)と称されるシステム固有のシンボル列を含み、これらは、受信装置において、同期処理及び伝送路推定処理等に利用される。
シグナルフィールドは図2(c)に示すように、Rate及びLengthフィールド等を含み、受信装置に対して当該無線フレーム(に含まれるデータフィールド内のデータ)の伝送レートや長さを通知する目的で利用される。
データフィールドは図2(d)に示すように、サービスフィールド(Service)、PSDU(PLCP Service data unit)、畳み込み符号化を終端するための6ビットのTailビット列、当該フレーム信号に隙間無く信号を配置するために余ったビットを補填するための可変長のパディング(Padding)ビット列が含まれている。
PSDUフィールドはヘッダ(Header)、データ本体(Data・Body)及びFCSフィールドにより構成されている。ヘッダフィールドは当該無線フレームに含まれる情報データ(データ本体)に関わる制御データを含み、Data・Bodyフィールドは当該無線フレームで伝送されるデータ本体を含み、FCSフィールドはヘッダフィールド及びData・Bodyフィールド(ここでは、ヘッダフィールド及びData・Bodyフィールドからなるデータ系列を送信フレームと呼ぶ)に対する誤り検出符号を含む。また、ヘッダフィールドはFrame・Control及びAddressフィールド等を含み、Frame・Controlフィールドには当該無線フレームの種別に関わる制御データ等が含まれ、Addressフィールドには、当該無線フレーム(PSDUフィールド内の送信フレーム)を送信する送信装置を識別するアドレス情報や、当該無線フレーム(PSDUフィールド内の送信フレーム)を受信する受信装置を識別するアドレス情報等が含まれる、Address1〜Address4フィールドを含む。
一般に、Address1フィールドには、当該無線フレーム(PSDUフィールド内の送信フレーム)を受信する受信装置のアドレスが格納され、Address2フィールドには、当該無線フレーム(PSDUフィールド内の送信フレーム)を送信する送信装置のアドレスが格納されるようになっている。
図3はIEEE802.11aに規定されている基本的な通信シーケンスを示している。ここでは、送信フレームを送信する無線通信装置を送信装置、送信フレームを受信する無線通信装置を受信装置と称している。送信装置が図2(a)の無線フレームにより送信フレームを送信すると、これを受信した受信装置は図2(d)に示したPSDUフィールド内のFCSフィールドを用いて当該送信フレームの誤り検出処理を行う。
上述のように誤り検出符号はヘッダ及びData・Bodyフィールドを含む送信フレームに対して付加されており、これによって受信装置が当該無線フレームを誤りなく受信した場合には、当該無線フレームが当該受信装置に対して送信された無線フレームであること、当該無線フレームに含まれる送信フレームを誤りなく受信したこと、及び当該無線フレームを送信した送信装置を確実に識別することを保証することが可能である。この場合、受信装置は送信装置に対して当該無線フレームの受信に成功したことを確認応答(ACK)により通知する。ACKを通知された送信装置は当該無線フレームの送信が成功したことを把握して、例えば無線フレームの伝送速度制御等を行った後、新たな送信フレームの送信を継続する。
受信装置が当該無線フレームの受信に失敗、すなわち誤りが検出された場合には、送信装置に対するACKの通知は行われない。これは、当該無線フレームを送信した送信装置を確実に識別することができないことに起因する。送信装置は所定の期間内にACKの通知を受けないことにより、当該無線フレームの送信が失敗したことを把握して、例えば当該無線フレームの再送制御や伝送速度制御等を行った後に新たな送信フレームの送信を継続する。
ところで、送信フレームを分割して複数の無線チャネルに割当てて送信することで高速通信を実現する場合には、上述の再送制御や伝送速度制御は各無線チャネルを単位として行われることが望ましい。これは、送信装置402が利用する複数の無線チャネルにおいてそれぞれの伝送路状態が異なる場合があり得るからである。
例えば、図4に示すように、送信装置401が受信装置403に対して周波数「f1」の無線チャネル404及び周波数「f2」の無線チャネル405を用いて無線通信を行っている場合、近接する送信装置402が周波数「f1」の無線チャネル406を用いて無線通信を行っている場合には、無線チャネル404には大きな干渉が存在するが、無線チャネル405には干渉が存在しないという状態が考えられる。そして、例えば、複数の無線チャネルに同一の伝送速度が適用されると、それぞれの無線フレームの受信に失敗する確率が異なるために、その通信効率を低下させてしまうという問題が生じる。
しかしながら、図2に示す無線フレームの構成によると、誤り検出を可能にするFCSフィールドは1つであり、これは、PSDUフィールドの送信フレームを複数のデータ系列に分割して、それぞれを複数の無線チャネルで送信した場合においても、誤り検出の対象は原送信フレーム全体であり、各無線チャネルで送信されデータ系列を単位として誤り検出を行うことはできない。つまり、ある無線チャネルで送信されたデータ系列に誤りが存在する場合には、他の無線チャネルで送信されたデータ系列に誤りが存在しない場合においても、受信装置はこれを送信装置に対して通知することはできない。これは、無線チャネルを単位として再送制御や伝送速度制御を行うことができないことを意味している。
そこで、本実施形態にかかる無線通信システムでは、送信フレームを複数のデータ系列に分割して複数の無線チャネルを用いてそれぞれ送信する場合に、少なくとも1つの無線チャネルに関しては、当該無線チャネルで誤りが生じていない場合には、他の無線チャネルで誤りが生じているときにも、この無線チャネルを用いて送信装置に対し、無線フレームの受信状態(誤りの検出された無線チャネルの有無)を通知して、無線チャネルを単位として再送制御や伝送速度制御を行うようになっている。
ここでは、図1に示すように、周波数「f1」及び「f2」の2つの無線チャネルを同時に利用する場合を例にとり説明する。
(第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態にかかる無線通信装置の要部の構成例を示したものである。なお、図5に示す無線通信装置は、ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドを含む送信フレームを2つのデータ系列に分割して、2つの無線チャネル(ここでは、一方を無線チャネルa、他方を無線チャネルbと呼ぶ)を用いてそれぞれ送信し、当該2つのデータ系列をそれぞれ含む2つの無線フレーム信号(パケット信号)を受信する場合の構成例を示している。
図5において、無線通信装置は、大きく分けて、複数の無線チャネル(ここでは例えば2つの無線チャネルa、無線チャネルb)のそれぞれに対応するアンテナ1a、1b、送信系201、受信系202、送信系201及び受信系202を制御するための制御部101,MAC処理部100からなる。
送信系201は、複数の無線チャネル(無線チャネルa、無線チャネルb)のそれぞれに対応する、無線処理部2a、2b(以下、これらを区別する必要がない場合には無線処理部2と呼ぶ)、変調処理部3a、3b(以下、これらを区別する必要がない場合には変調処理部3と呼ぶ)、符号化処理部4a、4b(以下、これらを区別する必要がない場合には符号化処理部4と呼ぶ)、誤り検出符号付加部5a、5b(以下、これらを区別する必要がない場合には誤り検出符号付加部5と呼ぶ)、さらに、送信データ分割部6、送信バッファ7を含む。なお、ここでは、無線チャネルaに対応する送信系(無線処理部2a、変調処理部3a、符号化処理部4a、誤り検出符号付加部5a)を第1の送信系と呼び、無線チャネルbに対応する送信系(無線処理部2b、変調処理部3b、符号化処理部4b、誤り検出符号付加部5b)を第2の送信系と呼ぶ。
受信系202は、複数の無線チャネル(無線チャネルa、無線チャネルb)のそれぞれに対応する、無線処理部8a、8b(以下、これらを区別する必要がない場合には無線処理部8と呼ぶ)、復調処理部9a、9b(以下、これらを区別する必要がない場合には復調処理部9と呼ぶ)、復号処理部10a、10b(以下、これらを区別する必要がない場合には復号処理10と呼ぶ)、誤り検出処理部11a、11b(以下、これらを区別する必要がない場合には誤り検出処理部11と呼ぶ)、さらに、受信データ結合部12、受信バッファ13を含む。なお、ここでは、無線チャネルaに対応する受信系(無線処理部8a、復調処理部9a、復号処理部10a、誤り検出処理部11a)を第1の受信系と呼び、無線チャネルbに対応する受信系(無線処理部8b、復調処理部9b、復号処理部10b、誤り検出処理部11b)を第2の受信系と呼ぶ。
MAC処理部100は、MACフレームのうち、図6(a)に示すようにHeader及びData・Bodyからなるデータ系列(送信フレーム)を送受信する。
制御部101は、無線処理部2、8、変調処理部3、復調処理部9、符号化処理部4、復号処理部10、誤り検出符号付加部5、誤り検出処理部11、送信データ分割部6、受信データ結合部12を制御する。具体的には、無線処理部2に対しては、適用する無線チャネルの周波数を通知し、変調処理部3に対しては適用する変調方式を通知する。また、復調処理部9に対しては変調方式及び復調方法を通知し、符号化処理部4に対しては符号化方式及び符号化率を通知し、復号処理部10に対しては符号化方式及び符号化率を通知する。送信データ分割部6に対しては送信データの分割方法及び分割位置を通知し、受信データ結合部12に対しては受信データの結合方法及びその位置を通知する。
さらに、受信装置へ送信した無線フレーム信号に対し、当該受信装置からのACKフレーム信号を受信したか否か、ACKフレーム信号を受信した場合には、当該ACKフレーム信号から、受信装置で全無線チャネルで誤りなく受信が行えたのか、一部の無線チャネルで誤りが検出されたのかを判定する。また、予め定められた時間内にACKフレーム信号を受信しなければ、対応の無線フレーム信号の送信に失敗したと判定し、当該判定結果を適用して対応する無線フレーム信号の再送制御や伝送速度制御を行う。
(無線フレーム信号の送信)
次に、図6を参照しながら、図5の送信系201の各構成部とその動作について説明する。
送信系201では、MAC処理部100から出力される図6(a)に示すようなヘッダフィールドを含む送信フレームが送信バッファ7に入力され、ここで一時記憶される。
送信データ分割部6は送信バッファ7に記憶された送信フレームを無線チャネル数(例えば、ここでは2つ)に対応して2つのデータ系列に分割して、当該2つのデータ系列を誤り検出符号付加部5a、5bへそれぞれ出力する。以下、2つのデータ系列のそれぞれに対し、誤り検出符号の付加処理、符号化処理、変調処理、無線処理が行われて、アンテナ1a、1bから送出される。
誤り検出符号付加部5a、5bは、それぞれに入力されたデータ系列に対して例えばCRC符号等の誤り検出符号を付加する。そして、その結果得られる、図6(b)、(c)に示すような、誤り検出符号を格納するFCSフィールドが付加された2つのデータ系列を符号化処理部4a、4bへそれぞれ出力する。
ここで、図6を参照して送信データ分割部6の動作例を説明する。ここでは、送信バッファ7に一時記憶された送信フレームは2つに分割され、それぞれ異なる無線チャネルa、bに割当てられる。図6では、送信データ分割部6は、当該送信フレームのData・Bodyフィールド内で2つのデータ系列に分割し、ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの前半部分は第1の送信系から無線チャネルaを用いて送信するために誤り検出符号付加部5aへ出力される。また、Data・Bodyフィールドの後半部分は第2の送信系から無線チャネルbを用いて送信するために、誤り検出符号付加部5bへ出力される。
誤り検出符号付加部5aは、第1の送信系で送信される第1のデータ系列(ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの前半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図6(b)に示すようなデータ系列を符号化処理部4aへ出力する。誤り検出符号付加部5bは、第2の送信系で送信される第2のデータ系列(Data・Bodyフィールドの後半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図6(c)に示すようなデータ系列を符号化処理部4bへ出力する。
図6(a)乃至(c)に示す分割方法では、ヘッダフィールドに含まれるAddress1フィールド及びAddress2フィールドは、ともに同じ無線チャネル(ここでは、無線チャネルa)に割当てるよう分割している。また、誤り検出符号付加部5a、5bは、それぞれに入力されるデータ系列に対して誤り検出符号を付加している。なお、各無線チャネルにて送信される無線フレームに含まれるFCSフィールドのうち1つは、ヘッダフィールド及びData・Bodyフィールドからなる送信フレーム全体に対して付加されるFCSとしてもよい。
図6に示すような分割方法によれば、Address1フィールド及びAddress2フィールドを有するヘッダフィールドを含む第1のデータ系列を送信する無線チャネルaを受信装置で受信した場合に、当該第1のデータ系列に誤りが存在しないときには、Address1フィールドに格納されている当該送信フレームの宛先アドレスとともに、Address2フィールドに格納されている当該送信フレームの送信元のアドレスを取得することができる。従って、他の無線チャネルbで送信される第2のデータ系列に誤りが発生している場合にも、無線チャネルaで送信された第1のデータ系列の受信結果を用いて、受信装置から送信装置に対してACKフレーム信号を返信することが可能となる。よって、各無線チャネルで独立に再送制御や伝送速度制御を行うことが可能になる。これは先に述べたように、各無線チャネルにおいて伝搬路特性が異なる場合などに好適である。
図7は、送信データ分割部6の他の動作例を説明するための図で、ここでは、送信データ分割部6は、送信フレームのヘッダフィールドからAddress1フィールド及びAddress2フィールドを取り出すとともに、Data・Bodyフィールドを2つに分割して、Address1フィールド、Address2フィールド及びData・Bodyフィールドの前半部分を含む(第1の送信系から無線チャネルaを用いて送信される)第1のデータ系列と、Address1フィールド、Address2フィールドが除かれたヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの後半部分を含む(第2の送信系から無線チャネルbを用いて送信される)第2のデータ系列を生成する。
図7に示すような分割方法も、図6の場合と同様、Address1フィールド及びAddress2フィールドは、ともに同じ無線チャネル(ここでは、無線チャネルa)に割当てるよう分割されている。また、誤り検出符号付加部5a、5bは、それぞれに入力されるデータ系列に対して誤り検出符号を付加している。
そして、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列を送信する無線チャネルaを受信装置で受信した場合に、当該第1のデータ系列に誤りが存在しないときには、Address1フィールドに格納されている送信フレームの宛先アドレスとともに、Address2フィールドに格納されている送信フレームの送信元のアドレスを取得することができ、他の無線チャネルbで送信される第2のデータ系列に誤りが発生している場合にも、無線チャネルaで送信された第1のデータ系列の受信結果を用いて、受信装置から送信装置に対してACKフレーム信号を返信することが可能となる。よって、各無線チャネルで独立に再送制御や伝送速度制御を行うことが可能になる。
図6及び図7に示したいずれの分割方法であっても、Address1フィールド及びAddress2フィールドは、第1のデータ系列に含まれており、この第1のデータ系列は、例えば無線チャネルaから送信される。
なお、ここでは、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列が無線チャネルaから送信される場合を説明するが、無線チャネルbから送信される場合も同様である。
以下、図6に示したような分割方法を適用した場合を例にとり説明するが、図7に示したような分割方法を適用した場合も同様である。
図5の説明に戻り、符号化処理部4a、4bは、それそれに入力された、誤り検出符号の付加された第1、第2のデータ系列に対して畳み込み符号化等の所定の符号化処理を行い、所定の符号化率により符号化する。そして、Tailビット列、Paddingビット列の付加された、図6(d)、(e)に示すような2つのデータ系列を、変調処理部3a、3bへそれぞれ出力する。
変調処理部3a、3bは、それぞれに入力された各データ系列に対して、図6(f)、(g)に示すように、プリアンブル列、シグナルフィールドを付加するとともに、所定の変調方式により変調処理を行い、変調された結果得られる2つの送信信号を無線処理部2a、2bへそれぞれ出力する。
無線処理部2a、2bは、入力された各送信信号に対してD/A変換、直交変調、アップコンバード、帯域制限、電力増幅等の所定の無線処理を行って無線信号を生成し、各無線信号をアンテナ1a、1bからそれぞれ送信する。
(無線フレーム信号の受信)
次に、図5の受信系202の各構成部とその動作について説明する。ここでは、無線チャネルa、bを用いて、図6(f)(g)に示したフォーマットの信号を受信する場合について説明する。
送信側無線通信装置(送信装置)から送信された図6(f)(g)に示すフォーマットの信号は、受信系202のアンテナ1a、1bでそれぞれ受信され、各アンテナに対応する無線処理部8a、8bへ出力される。
無線処理部8a、8bは、入力された信号に対して帯域制限、ダウンコンバート、直交復調、A/D変換等の所定の無線処理を行い、その結果を復調処理部9a、9bへそれぞれ出力する。
復調処理部9a、9bは、入力された図6(f)(g)に示すフォーマットの信号に対して、同期処理、伝搬路推定処理及び所定の復調方式により復調処理を行い、その結果得られる、図6(d)(e)に示すフォーマットのデータ系列を復号処理部10a、10bへそれぞれ出力する。
復号処理部10a、10bは、入力されたデータ系列に対してビタビ復号等の所定の復号処理を行い、その結果得られる図6(b)(c)に示すフォーマットのデータ系列を誤り検出処理部11a、11bへそれぞれ出力する。
誤り検出処理部11a、11bは、入力されたデータ系列に含まれるFCSフィールドに格納されている誤り訂正符号を用いて、誤り検出処理を行う。当該データ系列に誤りが発生していない場合には、FCSフィールドを除く当該データ系列を受信データ結合部12へ出力する。
受信データ結合部12は、入力された2つのデータ系列を結合して復元された、図6(a)に示すフォーマットの送信フレーム(受信データ)を受信バッファ13へ出力する。受信データは受信バッファ13に一時的に記憶された後、MAC処理部100へ出力される。
誤り検出処理部11a、11bで、入力されたデータ系列に対し誤り検出処理を行った結果、当該データ系列に誤りが発生した場合には、その旨を制御部101へ通知する。
(ACKフレーム信号の送信)
制御部101は、誤り検出処理部11a、11bの誤り検出処理の結果を受けて、図8に示すフォーマットのACKフレーム信号を送信するための制御を行う。
図8に示すIEEE802.11aで規定されているACKフレーム信号には、プリアンブル列及びシグナルフィールドに続き、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、送信装置(すなわち、当該ACKフレーム信号を受信する無線通信装置)のアドレスが格納されるRAフィールド、FCSフィールドを含むMACフレームが含まれている。
制御部101は、誤り検出処理部11a、11bの誤り検出処理の結果を受けて、次の(A)、(B)に示すようなACKフレーム信号の送信制御を行う。
(A)少なくとも無線チャネルaで受信された(Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む)第1のデータ系列から誤りが検出された場合には、無線チャネルbからはもちろんのこと、無線チャネルaでもACKフレーム信号の送信は行わない。
(B)無線チャネルaで受信された第1のデータ系列から誤りが検出されなかった場合には、ACKフレーム信号を送信する。この場合、無線チャネルbで受信された第2のデータ系列からも誤りが検出されなかった場合(B−1)と、無線チャネルbで受信された第2のデータ系列から誤りが検出された場合(B−2)とがあり得る。この2つの場合のうちのいずれかであることをACKフレーム信号で通知する。
IEEE802.11aで規定されている無線フレーム信号のシグナルフィールドには未使用の1ビットが含まれている。そこで、本実施形態では、当該シグナルフィールド内の未使用の1ビットを受信状態通知用に用いる。ここでは、このシグナルフィールド内の未使用の1ビットを受信状態通知用ビットと呼ぶ。この受信状態通知用ビットにより、受信に失敗した無線フレーム信号の有無を示すようになっている。
第1及び第2のデータ系列からも誤りが検出されなかったときには、図9に示すように、受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信し、第1のデータ系列には誤りが検出されなかったが、第2のデータ系列から誤りが検出されたときには、図10に示すように、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を送信する。
制御部101は、誤り検出処理部11a、11bでの誤り検出処理結果を受けて、図9と図8のうちのいずれか一方のACKフレームを送信する場合には、まず、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールドを含むデータ系列を送信データ分割部6へ出力する。
送信データ分割部6は、入力された上記データ系列を(第1のデータ系列の受信された)無線チャネルaから送出すべく、第1の送信系の誤り検出符号付加部5aへ出力して、当該入力されたデータ系列に対し、誤り検出符号を付加して符号化処理部4aへ出力する。
制御部101は、第1及び第2のデータ系列からも誤りが検出されなかったときには、変調処理部3aに対して、シグナルフィールドの受信状態通知用ビットが「1」であることを通知し、第1のデータ系列には誤りが検出されなかったが、第2のデータ系列から誤りが検出されたときには、受信状態通知用ビットが「0」であることを通知する。変調処理部3aは、符号化処理部4aから入力されたデータ系列に対し、制御部101から通知された受信状態通知用ビットを含むシグナルフィールド、及びプリアンブル列を付加するとともに、所定の変調方式により変調処理を行い、結果を無線処理部2aへ出力する。
無線処理部2aでは前述同様の処理を行い、図9、図10に示すようなACKフレーム信号が送信される。
(ACKフレーム信号の受信)
次に、図5の受信系202において、無線チャネルaで送信される、図9,図10に示すフォーマットのACKフレーム信号を受信する場合の動作について説明する。
受信系202では、受信装置から返信された図9,図10に示すフォーマットのACKフレーム信号をアンテナ1にて受信し、当該アンテナに対応する無線処理部8aへ入力される。
無線処理部8aは、入力されたACKフレーム信号に対して帯域制限、ダウンコンバート、直交復調、A/D変換等の所定の無線処理を行い、その結果得られた信号を復調処理部9aへ出力する。
復調処理部9aは、入力された図9,図10に示すフォーマットの信号に対して、同期処理、伝搬路推定処理及び所定の復調方式により復調処理を行い、その結果得られる、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールド、FCSフィールドを含むACKフレームのデータ系列を復号処理部10aへ入力すると共に、シグナルフィールドに含まれる受信状態通知用ビットの復調結果を制御部101へ通知する。
復号処理部10aは、入力されたデータ系列に対してビタビ復号等の所定の復号処理を行い、結果を誤り検出処理部11aへ出力する。
誤り検出処理部11aは、入力されたデータ系列に含まれるFCSフィールドに格納されている誤り訂正符号を用いて、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールドに対し、誤り検出処理を行う。当該データ系列に誤りが発生していない場合には、FCSフィールドを除く当該データ系列を受信データ結合部12へ出力する。
受信データ結合部12は、入力されたデータ系列をそのまま受信バッファ13へ入力する。データ系列は受信バッファ513に一時記憶された後、制御部101へと出力される。
こここで、制御部101の処理動作について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
制御部101は、ACKフレーム信号が誤りなく受信された場合に(ステップS1)、当該ACKフレーム信号に含まれるシグナルフィールド内の受信状態通知用ビットが「1」である場合には(ステップS2)、先に送信した第1及び第2のデータ系列が受信装置にて正常に受信された(送信に成功した)と判定して、次の無線フレーム信号の送信を行う(ステップS3)。一方、シグナルフィールド内の受信状態通知用ビットが「0」である場合には(ステップS2)、先に送信した第2のデータ系列の受信が受信装置にて失敗した(送信が失敗した)と判定して、再送制御及び伝送速度制御を行う(ステップS4)。
受信状態通知用ビットが「0」であることから、制御部101は、無線チャネルaで送信された第1のデータ系列の受信が受信装置で成功したと判定され、無線チャネルbで送信された第2のデータ系列の受信が受信装置で失敗したと判定されるので、ステップS4では、無線チャネルbでの伝送速度を前回よりも所定値低くして前回と同じ第2のデータ系列を送信する。すなわち、送信データ分割部6に対して、第2のデータ系列を誤り検出符号付加部5bに出力させ、第2の送信系から、図6(g)に示したような当該第2のデータ系列を送信する無線フレーム信号を前回よりも低い伝送速度で送信する。
一方、制御部101は、フレーム信号を送信後、予め定められた時間経過した後も図9あるいは図10に示すようなACKフレーム信号を受信しないときには(ステップS5)、先に送信した無線フレーム信号の受信が受信装置にて失敗したを判定して、再送制御及び伝送速度制御を行う(ステップS5)。
ACKフレーム信号が送信されてこないことから、制御部101は、無線チャネルaで送信された第1のデータ系列の受信が受信装置で失敗したと判定できるので、ステップS6では、無線チャネルa、bでの伝送速度を前回よりも所定値低くして前回と同じ第1及び第2のデータ系列を送信する。すなわち、送信データ分割部6に対して、前回と同じ第1及び第2のデータ系列を誤り検出符号付加部5a、5bにそれぞれ出力させ、第1及び第2の送信系から、図6(f)、(g)に示したような当該第第1及び2のデータ系列をそれぞれ含む2つの無線フレーム信号を前回よりも低い伝送速度でそれぞれ送信する。なお、ここではACKフレーム信号を無線チャネルaで送信する場合について説明したが、本発明ではこれに限ることなく、任意の無線チャネル、または複数の無線チャネルを用いてACKフレームを送信しても構わない。
(送信装置における無線フレーム信号の送信方法)
送信装置は、送信フレームを第1のデータ系列と第2のデータ系列の2つに分割して、無線チャネルaで、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列を送信し、無線チャネルbで、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含まない第2のデータ系列を送信する場合に限らず、図12に示すように、新たな無線フレーム信号を送信する度に、第1及び第2のデータ系列を送信する無線チャネルが異なるように送信するようにしてもよい。
すなわち、送信装置は、図12(a)に示すように、最初の送信フレームを2つに分割して、無線チャネルaで第1のデータ系列を送信し、無線チャネルbで第2のデータ系列を送信した後、図12(b)に示すように、2番目の送信フレームは、無線チャネルaで第2のデータ系列を送信し、無線チャネルbで第1のデータ系列を送信する。さらに、図12(c)に示すように、3番目の送信フレームは、無線チャネルaで第1のデータ系列を送信し、無線チャネルbで第2のデータ系列を送信する。
図12に示したように、Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている第1のデータ系列を、異なる送信フレームの送信毎に異なる無線チャネルで送信することにより、少なくとも第1のデータ系列を誤りなく受信できたときに、当該第1のデータ系列に対する受信結果を送信装置に対し通知することで、全ての無線チャネルにおいて受信結果を送信装置に対して通知できる度合いが高くなる。
以上説明したように、上記第1の実施形態によれば、送信フレームを複数のデータ系列に分割し、複数の無線チャネルでそれぞれ送信する無線通信装置では、当該複数のデータ系列のうちの1つに送信フレームの宛先アドレス情報及び送信元のアドレス情報を含むように、当該送信フレームを分割し、各データ系列に対し、誤り検出符号を付加する。そして、誤り検出符号の付加された各データ系列を含む複数の無線フレーム信号を複数の無線チャネルで送信する。当該複数の無線フレーム信号を受信する無線通信装置では、宛先アドレス情報及び送信元のアドレス情報を含むデータ系列を有する無線フレーム信号の受信に成功したときに、当該無線無線フレーム信号の受信に成功した無線チャネルを用いるなどの方法により、ACKフレーム信号を返す。好ましくは、当該ACKフレーム信号には、複数無線フレーム信号のうち受信に失敗した無線フレーム信号の有無を示す情報(受信状態通知用ビット)が含まれている。
このような構成により、受信側で、複数の無線フレーム信号のうちの1つ(送信フレームの宛先アドレス情報及び送信元のアドレス情報を含むデータ系列を有する無線フレーム信号)の受信に成功すれば、他の無線フレーム信号の受信に失敗した場合でも、当該受信に成功した無線チャネルを用いて確認応答信号を送信するとともに、複数の無線フレーム信号のうち受信に失敗した無線フレーム信号の有無を送信側へ通知することができ、結果として、無線チャネル毎に再送制御や伝送速度制御を行うことが可能となる。
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態にかかる無線通信装置の要部の構成例を示したものである。なお、図13において、図5と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図13では、制御部101は、過去に送信した無線フレーム信号の送信履歴を記憶する記憶部102が新たに追加されている。
図14は、図13の記憶部102に記憶される送信履歴情報の一例を示したものである。図14に示した送信履歴情報には、過去に送信された各送信フレームP1〜P5について、各送信フレームを送信する際に用いた各無線チャネルa、bでの伝送速度と、各無線チャネルa、bでの送信結果が含まれている。図14では、過去5回の送信履歴情報を記憶しているが、記憶する回数は任意に設定しても構わない。
図14に示す送信結果は、無線チャネルaで、Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている第1のデータ系列を送信した場合を示している。すなわち、無線チャネルaで第1のデータ系列を送信した場合に、無線チャネルaでACKフレームを受信したときには、その受信状態通知用ビットが「1」である場合には(図11のステップS3の場合)、無線チャネルa、bに対する送信結果はともに「○」となり、受信状態通知用ビットが「0」である場合には(図11のステップS4の場合)、無線チャネルaに対する送信結果は「○」、無線チャネルbに対する送信結果は「×」となる。さらに、ACKフレーム信号が所定時間経過後も受信されずにタイムアウトした場合には(図11のステップS6)、無線チャネルaに対する送信結果は「×」、無線チャネルbに対する送信結果は「△」となる。
送信結果が「△」とは、第1のデータ系列を送信した無線チャネルaからACKフレーム信号が返ってこないことから、第1のデータ系列には誤りが検出されたことは確かであるが、第2のデータ系列に誤りが検出されたか否かは不明であることを示している。
制御部101は、1送信フレームを送信し、、当該送信フレームに対するACKフレーム信号を受信する度に、図14に示すような送信履歴を記憶する。そして、記憶部102に記憶された図14に示したような送信履歴情報を基に、次に送信する送信フレームを分割した際に、複数の無線チャネルのなかから、Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている第1のデータ系列を送信するための最も安定した無線チャネルを選択するようになっている。
図15は、制御部101の動作を説明するためのもので、第1のデータ系列を有する無線フレーム信号を送信する際に用いる無線チャネルの選択動作を説明するためのフローチャートである。以下、図15を参照して説明する。
制御部101は、受信装置へ送信すべき新たな送信フレーム、すなわち、MAC処理部100から、図6(a)に示すようにヘッダ及びData・Bodyを含む送信フレームが送信バッファ7へ出力されると(ステップS11)、記憶部102に記憶された当該受信装置に対する図14に示し送信歴情報を参照して、各無線チャネルに対し重み計算を行う(ステップS12、ステップS13)。
ステップS13での重み計算は、誤りが検出される頻度が小さい(すなわち、送信に成功する度合いの高い)無線チャネルほど高い重み値が得られるような計算方法であれば何でも良い。例えば、送信履歴中「○」に対しては重み「+1」、「×」に対しては重み「−1」、「△」に対しては重み「0」として、各無線チャネルの重みを計算する。例えば、無線チャネルaには、「○」が4つ、「×」が1つであるから「+4」と「−1」を加算して重み「+3」を得る。無線チャネルbには、「○」が2つ「×」が2つ、「△」が1つであるから「+2」と「−2」と「0」を加算して重み「0」を得る。
このような計算により得られた重みの値から、値の大きい無線チャネルほど無線通信路の安定性が高いと判断する(ステップS14)。ここでは、無線チャネルaの方が無線チャネルbよりも重み値は大きいので、無線チャネルaが選択される。そして、制御部101は、当該選択された無線チャネルaで、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列を送信すべく、送信データ分割部6に指示信号を出力する。
なお、途中で伝送速度等が変更された場合には、変更前の送信結果を加味しない方が好ましい。これは伝送速度を変更すると無線通信路から受ける影響が異なるためである。
制御部101が図15に示した制御動作を行うことにより、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列は、複数の無線チャネルのうち誤り検出の頻度の最も少ない(送信に成功する度合いが高い)、最も安定した伝送路状態の無線チャネルで送信されるため、結果として、無線フレーム全体では誤りが生じている場合においても、個別の無線チャネルで送信された無線フレームに誤りが生じていない場合には、より高い確率でこれを送信装置が識別することが可能となる。
図15に示したフローチャートは、制御部101が、複数の無線チャネルのうち、最も安定した伝送路状態の無線チャネルを、上記第1のデータ系列を送信するための無線チャネルとして選択する場合の動作であるが、図16は、制御部101が伝送速度の最も低い無線チャネルを上記第1のデータ系列を送信するための無線チャネルとして選択する場合の動作を示したフローチャートである。
制御部101は、受信装置へ送信すべき新たな送信フレーム、すなわち、MAC処理部100から、図6(a)に示すようにヘッダフィールド及びData・Bodyを含む送信フレームが送信バッファ7へ出力されると(ステップS21)、記憶部102に記憶された当該受信装置に対する図14に示し送信歴情報を参照して、伝送速度の最も低い無線チャネルを選択する(ステップS22、ステップS23)。例えば、前回までの送信履歴から、伝送速度の低い方の無線チャネルを選択する。そして、制御部101は、当該選択された無線チャネルの方で、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列を送信すべく、送信データ分割部6に指示信号を出力する(ステップS24)。
第1のデータ系列をできるだけ低い伝送速度(の無線チャネル)で送信することで、瞬時的に無線通信路の特性が変化した場合においても、影響を受けにくい無線チャネルでAddress1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列を送信することにより、結果として、無線フレーム全体では誤りが生じている場合においても、個別の無線チャネルで送信された無線フレームに誤りが生じていない場合には、より高い確率でこれを送信装置が識別することが可能となる。
なお上記実施形態では、ヘッダフィールドを含む送信フレームを2つに分割して、2つの無線チャネルのうちの一方で、(ヘッダフィールドに含まれる)Address1フィールド及びAddress2フィールドを有する第1のデータ系列を送信し、他方で第2のデータ系列を送信する場合を例にとり説明したが、この場合に限らず、送信フレームを3つ以上のN個の無線チャネルで送信する場合も上記同様である。この場合、送信フレームをN(Nは、3以上の整数)個のデータ系列に分割し、そのうちの1つが、Address1フィールド及びAddress2フィールドを含む第1のデータ系列であればよい。そして、この第1のデータ系列を送信する無線チャネルとして、図15に示したように、N個の無線チャネルのうち最も伝送路状態のよい無線チャネルで送信するか、あるいは、図16に示したように、最も伝送速度の低い無線チャネルで送信すればよい。さらに、図15と図16を組合わせて、伝送路状態が最もよい(重みが同じ値である)無線チャネルが複数ある場合には、その中で最も伝送速度が低い無線チャネルを選択するようにしてもよい。
以上第1乃至第2の実施形態では、送信フレームを複数のデータ系列に分割し、当該複数のデータ系列のうちの1つにのみ、(送信フレームに含まれる)Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている場合について説明した。
次の第3の実施形態以降では、送信フレームを複数のデータ系列に分割し、各データ系列に、(送信フレームに含まれる)Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている場合について説明する。
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態にかかる無線通信装置の要部の構成例を示したもので、特に、無線フレーム信号を送信し、当該無線フレーム信号に対応するACKフレーム信号を受信する送信装置として機能する場合に必要な各構成部を示したものである。
図18は、第3の実施形態にかかる無線通信装置の要部の構成例を示したもので、特に、図17示した構成を有する送信装置から送信された複数の無線フレーム信号を受信し、当該複数の無線フレーム信号に対応するACKフレーム信号を送信する受信装置として機能する場合に必要な各構成部を示したものである。なお、図17、図18では、図5と同一部分には同一符号を付している。第1の実施形態と異なるのは、送信装置での無線フレーム信号を送信する際の送信データ分割部6の動作と、受信装置での当該無線フレーム信号を受信したときのACKフレーム信号の送信方法が異なる。
第3の実施形態の場合、各無線チャネルで送信されるフレーム信号に含まれるデータ系列には、どれも受信装置及び送信装置のアドレス情報が含まれているために、受信装置で全無線チャネルのうちの少なくとも1つで無線フレーム信号の受信に成功した場合には、送信装置に対し、各無線チャネルを用いてACKフレーム信号を送信することができるのである。
図18の確認応答生成部22は、制御部101からの制御の基、無線チャネル毎のACKフレーム信号を生成する。また、図17の確認応答判定部21は、受信装置から各無線チャネルで送信されるACKフレーム信号に基づき、無線フレーム信号の受信に成功あるいは失敗した無線チャネルを判定し、その結果を制御部101へ出力する。
なお、以下の説明では、上記のように第1の実施形態と異なる送信装置と受信装置の動作及び構成についてのみ説明する。
(送信装置での無線フレーム信号の送信)
図17を参照して、第3の実施形態にかかる無線通信装置の無線フレーム信号の送信動作を、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。すなわち、送信データ分割部6の動作が第1の実施形態と異なる。ここで、図19を参照して第3の実施形態にかかる送信データ分割部6の動作例を説明する。
送信データ分割部6は、送信バッファ7に一時記憶された、ヘッダフィールドを含む図19(a)に示すような送信フレームを2つのデータ系列に分割するが、その際、当該2つのデータ系列には、当該送信フレームのヘッダフィールドがそれぞれ含まれている。
すなわち、送信フレームを分割して得られる一方のデータ系列、すなわち、第1のデータ系列には、送信フレームのヘッダフィールドと、送信フレームのData・Bodyフィールドの前半部分が含まれ、送信フレームを分割して得られる他方のデータ系列、すなわち、第2のデータ系列には、送信フレームのヘッダフィールドと、送信フレームのData・Bodyフィールドの後半部分が含まれている。
送信データ分割部6は、送信フレームのData・Bodyフィールド内で2つに分割し、送信フレームのヘッダフィールドと送信フレームのData・Bodyフィールドの前半部分とから、第1のデータ系列を生成し、当該ヘッダフィールドのコピーと送信フレームのData・Bodyフィールドの後半部分とから、第2のデータ系列を生成する。
第1のデータ系列は第1の送信系から無線チャネルaを用いて送信され、第2のデータ系列は第2の送信系から無線チャネルbを用いて送信される。
誤り検出符号付加部5aは、第1の送信系で送信される第1のデータ系列(ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの前半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図19(b)に示すようなデータ系列を符号化処理部4aへ出力する。誤り検出符号付加部5bは、第2の送信系で送信される第2のデータ系列(ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの後半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図19(c)に示すようなデータ系列を符号化処理部4bへ出力する。
図20は、送信データ分割部6の他の動作例を説明するための図で、ここでは、送信データ分割部6は、送信バッファ7に一時記憶された、ヘッダフィールドを含む図20(a)に示すような送信フレームを2つのデータ系列に分割するが、その際、当該2つのデータ系列のうちの一方には、当該送信フレームのヘッダフィールドが含まれ、他方には、当該ヘッダフィールドの中のAddress1フィールド及びAddress2フィールドのみが含まれている。
すなわち、送信フレームを分割して得られる一方のデータ系列、すなわち、第1のデータ系列には、送信フレームのヘッダフィールドと、送信フレームのData・Bodyフィールドの前半部分が含まれ、送信フレームを分割して得られる他方のデータ系列、すなわち、第2のデータ系列には、送信フレームのヘッダフィールド内のAddress1フィールド及びAddress2フィールドと、送信フレームのData・Bodyフィールドの後半部分が含まれている。
送信データ分割部6は、送信フレームのData・Bodyフィールド内で2つに分割し、送信フレームのヘッダフィールドと送信フレームのData・Bodyフィールドの前半部分とから、第1のデータ系列を生成し、当該ヘッダフィールド内のAddress1フィールド及びAddress2フィールドのコピーと送信フレームのData・Bodyフィールドの後半部分とから、第2のデータ系列を生成する。
誤り検出符号付加部5aは、第1の送信系で送信される第1のデータ系列(ヘッダフィールドとData・Bodyフィールドの前半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図20(b)に示すようなデータ系列を符号化処理部4aへ出力する。誤り検出符号付加部5bは、第2の送信系で送信される第2のデータ系列(Address1フィールド及びAddress2フィールドと、Data・Bodyフィールドの後半部分)に対して誤り検出符号を付加し、図20(c)に示すようなデータ系列を符号化処理部4bへ出力する。
図19、図20に示すような分割方法によれば、Address1フィールド及びAddress2フィールドは、第1のデータ系列及び第2のデータ系列の両方に含まれている。すなわち、受信装置では、全ての無線チャネルで、Address1フィールドに格納されている送信フレームの宛先アドレスとともに、Address2フィールドに格納されている送信フレームの送信元のアドレスを取得することができる。従って、受信装置では、送信装置に対して全ての無線チャネルに対する確認応答を返信することが可能となる。つまり、各無線チャネルで独立に再送制御や伝送速度制御を行うことが可能になる。
図19(b)あるいは図20(b)に示すような第1のデータ系列は、第1の実施形態で説明したように、第1の送信系により、Tailビット列やPaddingビット列、さらにプリアンブル列やシグナルフィールドが付加された、無線フレーム信号(第1の無線フレーム信号)としてアンテナaから送信される。また、図19(c)あるいは図20(c)に示すような第2のデータ系列は、第1の実施形態で説明したように、第2の送信系により、Tailビット列やPaddingビット列、さらにプリアンブル列やシグナルフィールドが付加された無線フレーム信号(第2の無線フレーム信号)としてアンテナbから送信される。
(受信装置での無線フレーム信号の受信)
図18に示す構成部を有する受信装置で、上記第1及び第2の無線フレーム信号を受信する動作は、第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態と異なるのは、図18に示す構成部を有する受信装置で、上記第1及び第2の無線フレーム信号を受信した際に、それぞれに含まれる第1及び第2のデータ系列に対し誤り検出処理の結果を受けて、ACKフレーム信号を送信するための制御動作である。以下、この動作について説明する。
第1の実施形態で説明したように、誤り検出処理部11a、11bは、入力されたデータ系列に含まれるFCSフィールドに格納されている誤り訂正符号を用いて、誤り検出処理を行う。当該データ系列に誤りが発生していない場合には、FCSフィールドを除く当該データ系列を受信データ結合部12へ出力する。
誤り検出処理部11a、11bで、入力されたデータ系列に対し誤り検出処理を行った結果は、制御部101の受信データ判定部103へ通知される。
受信データ判定部103は、通知された誤り検出結果から、複数の無線チャネルのうちの少なくとも1つの無線チャネルで受信が成功した(誤りが検出されなかった)場合、確認応答生成部22に対して、当該無線チャネルに対する確認応答(ACKフレーム信号)を生成するよう指示する。また、全ての無線チャネルにおいて受信が失敗した(誤りが検出された)場合には、受信した第1及び第2のデータ系列を破棄するよう制御する。この場合には、ACKフレーム信号は送信されない。
確認応答生成部22は、受信データ判定部103からの指示に従い、ACKフレーム信号として送信する(ACKフレーム信号に含まれる)データ系列を生成し、それをACKフレーム信号を送信する無線チャネルに対応する誤り検出符号付加部5へ出力する。
ここで、確認応答生成部22の動作例について説明する。ここでは、図17に示した構成を有する送信装置から2つの無線チャネルa、bで第1及び第2のデータ系列をそれぞれ含む第1及び第2の無線フレーム信号を図18に示した構成を有する受信装置で受信する場合を例にとり説明する。
まず、第1の動作例を図21及び図22を参照して説明する。
各無線チャネルa、bを介して受信された第1及び第2のデータ系列に対する誤り検出結果から、受信データ判定部103で全ての無線チャネルでの受信が成功したと判定した場合、確認応答生成部22は、IEEE802.11aで規定されているACKフレーム信号を各無線チャネルa、bから送信するために、第1の送信系及び第2の送信系に対し、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールドを含むデータ系列をそれぞれ出力する。
第1の実施形態で説明したように、第1及び第2の送信系では、誤り検出符号付加部5では上記データ系列にFCSフィールドを付加した後、符号化処理部4で符号化して、Tailビット列やPaddingビット列を付加し、さらに、変調処理部9でプリアンブル列やシグナルフィールドを付加して変調した結果得られるACKフレーム信号がアンテナ1から送信される。図21(a)は、第1の送信系から無線チャネルaで送信されACKフレーム信号であり、図21(b)は、第2の送信系から無線チャネルbで送信されるACKフレーム信号である。
一方、各無線チャネルa、bを介して受信された第1及び第2のデータ系列に対する誤り検出結果から、受信データ判定部103で無線チャネルaでの受信が成功し、無線チャネルbでの受信が失敗したと判定した場合、確認応答生成部22は、IEEE802.11aで規定されているACKフレーム信号を無線チャネルaのみから送信するために、第1の送信系に対し、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールドを含むデータ系列をそれぞれ出力する。この場合、図22に示すように、無線チャネルaでACKフレーム信号を送信し、無線チャネルbではACKフレーム信号を送信しない。
上記第1の動作例によれば、無線フレーム信号を送信した送信装置(の確認応答判定部21)では、無線フレーム信号送信後所定時間の間に上記ACKフレーム信号を受信することにより、当該ACKフレーム信号を送信してきた無線チャネルでの無線フレーム信号の送信に成功したと判定し、無線フレーム信号送信後所定時間の間に上記ACKフレーム信号を受信することができなかった無線チャネルでの無線フレーム信号の送信が失敗したと判定する。
送信装置(の制御部101)は、例えば、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定された無線チャネルに対して、伝送速度を前回よりも低くして、同一の無線フレーム信号の再送を行う。
このように、送信装置では、無線チャネル毎に、再送制御や伝送速度制御を行うことができる。
次に、第2の動作例について図23及び図24を参照して説明する。
ここでは、各無線チャネルa、bを介して受信された第1及び第2のデータ系列に対する誤り検出結果から、受信データ判定部103で全ての無線チャネルでの受信が成功したと判定した場合と、一部の無線チャネルでの受信が成功したと判定した場合とで区別されたACKフレーム信号を送信する場合について説明する。
IEEE802.11aで規定されている無線フレーム信号のシグナルフィールドには未使用の1ビットが含まれている。そこで、ここでは、当該シグナルフィールド内の未使用の1ビットを受信状態通知用に用いる。ここでは、このシグナルフィールド内の未使用の1ビットを受信状態通知用ビットと呼ぶ。この受信状態通知用ビットにより、受信に失敗した無線フレーム信号の有無が通知される。
第1及び第2のデータ系列からも誤りが検出されなかったとき(すなわち、無線チャネルa、bでの受信が成功した場合)には、図23に示すように、受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を無線チャネルa、bのそれぞれから送信し、第1のデータ系列には誤りが検出されなかったが、第2のデータ系列から誤りが検出されたとき(すなわち、無線チャネルaでの受信が成功し、無線チャネルbでの受信が失敗した場合)には、図24に示すように、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を無線チャネルaで送信し、無線チャネルbではACKフレーム信号を送信しない。
例えば、確認応答生成部22は、受信が成功した無線チャネルでACKフレーム信号を送信する場合には、まず、Frame・Controlフィールド、Durationフィールド、RAフィールドを含むデータ系列を誤り検出符号付加部5へ出力する。
誤り検出符号付加部5は、入力された上記データ系列に対し、誤り検出符号を付加して符号化処理部4へ出力する。
制御部101は、無線チャネルa、bでの受信が成功した場合には、変調処理部3に対して、シグナルフィールドの受信状態通知用ビットが「1」であることを通知し、無線チャネルaでの受信が成功し、無線チャネルbでの受信が失敗した場合には、受信状態通知用ビットが「0」であることを通知する。変調処理部3は、符号化処理部4から入力されたデータ系列に対し、制御部101から通知された受信状態通知用ビットを含むシグナルフィールド、及びプリアンブル列を付加するとともに、所定の変調方式により変調処理を行い、結果を無線処理部2へ出力する。無線処理部2では前述同様の処理を行い、図23、図24に示すようなACKフレーム信号が送信される。
上記第2の動作例によれば、無線フレーム信号を送信した送信装置(の確認応答判定部21)では、無線フレーム信号送信後所定時間の間に上記ACKフレーム信号を受信することにより、当該ACKフレーム信号を送信してきた無線チャネルでの無線フレーム信号の送信に成功したと判定し、しかもACKフレーム信号中の受信状態通知用ビットが「1」であるときには、全ての無線チャネルでの送信が成功したと判定し、受信状態通知用ビットが「0」であるときには、一部の無線チャネルでの送信が失敗したと判定する。この場合、確認応答判定部21では、無線フレーム信号送信後所定時間の間に上記ACKフレーム信号を受信することができなかった無線チャネルでの無線フレーム信号の送信が失敗したと判定する。一方、無線フレーム信号送信後所定時間の間に上記ACKフレーム信号をどの無線チャネルからも受信することができなかった場合には、全ての無線チャネルでの無線フレーム信号の送信が失敗したと判定する。
このように、上記第2の動作例によれば、受信装置で全ての無線チャネルにおいてデータの受信に成功した場合においては、送信装置において、少なくとも1つの無線チャネルでACKフレーム信号の受信に成功することで、当該ACKフレーム信号が送られてきた無線チャネルでの受信が成功したこと、及び全ての無線チャネルでの受信が成功したのか一部の無線チャネルでの受信が成功したのかを検出することが可能となり、結果として無線通信の信頼性を向上させることが可能となる。
送信装置(の確認応答判定部21)では、全無線チャネルのうちの少なくとも1つで、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を受信した場合には、ACKフレーム信号が送信されてこなかった無線チャネルについては、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定する。その結果、制御部101は、例えば、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定された無線チャネルに対して、伝送速度を前回よりも低くして、同一の無線フレーム信号の再送を行うよう送信系201に対する制御を開始する。
上記第2の動作例において、全無線チャネルでの受信が成功した場合には、図25に示すように、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信するとともに、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、各無線チャネルでの伝送路状態を示す情報(伝送路情報)を含む信号を送信するようにしてもよい。
図25では、無線チャネルaで受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信し、無線チャネルbで、各無線チャネルの伝送路情報を含む信号を送信する場合を示している。
各無線チャネルの伝送路状態を示す情報としては、例えば各無線チャネルにおける平均SINR(Signal to Interference Noise Ratio)や平均EVM(Error Vector Magnitude)等がある。これらは受信装置で受信した無線フレーム信号中のプリアンブルアンブル列を用いて測定することのできる情報である。
また、上記第2の動作例において、全無線チャネルでの受信が成功した場合には、図26に示すように、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信するとともに、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、受信装置から送信装置へ要求する(各無線チャネルで送信される)各データ系列の伝送速度を示す情報を含む信号を送信するようにしてもよい。
図26では、無線チャネルaで受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信し、無線チャネルbで、受信装置から送信装置へ要求する各無線チャネルでの伝送速度を含む信号を送信する場合を示している。
さらに、上記第2の動作例において、全無線チャネルでの受信が成功した場合には、図25に示すように、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「1」であるACKフレーム信号を送信するとともに、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、各無線チャネルでの伝送路状態を示す情報(伝送路情報)を含む信号を送信し、さらに、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、受信装置から送信装置へ要求する各無線チャネルでの伝送速度を含む信号を送信するようにしてもよい。
図25、図26に示すような信号を送信する場合の受信装置の構成例を図28に示す。なお、図28において、図18と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。すなわち、図28では、制御部101には、伝送路状態判定部104が含まれている。
伝送路状態判定部104は、復調処理部9から出力されるプリアンブル列の復調結果を基にして、図29に示すような各無線チャネルにおけるSINRや、図30に示すような各無線チャネルにおけるEVMを測定するととともに、これらにより決定される各無線チャネルで送信される各データ系列の伝送速度を決定して、測定されたSINR、EVM、決定された伝送速度を確認応答生成部22に通知する。このとき、制御部101(伝送路状態判定部104)は、ACKフレーム信号を送信する無線チャネルや、各無線チャネルでの伝送路状態を示す情報(伝送路情報)を含む信号を送信する無線チャネル、あるいは受信装置から送信装置へ要求する各無線チャネルでの伝送速度を含む信号を送信する無線チャネルを確認応答生成部21に対し指示する。
確認応答生成部22は、伝送路状態判定部104から通知された情報を基に、図25、図26に示すような、各無線チャネルでの伝送路情報を含むデータ系列や、受信装置から送信装置へ要求する各無線チャネルでの伝送速度を含むデータ系列を誤り検出符号付加部5へ出力する。
なお、全ての無線チャネルにおいてデータの受信に成功したことを通知する受信状態通知用ビットが「1」のACKフレーム信号を送信する無線チャネルは、各無線チャネルの信頼度に応じて決定してもよい。この信頼度は、過去N回の無線通信において、受信装置から送信装置に対し、異なる無線チャネルから、全ての無線チャネルにおいて受信に成功したことが通知された場合に、これが送信装置において正常に受信されず、誤って再度同一のフレームが送信装置より送信された回数を履歴として受信装置(の制御部101)で記憶しておき、その回数が少ないほど信頼度が高いと判定する(当該回数が「0」であるような無線チャネルが最も信頼度が高い)。制御部101は、その時点で最も信頼度の高い無線チャネルを選択して、当該選択された無線チャネルで受信状態通知用ビットが「1」のACKフレーム信号を送信するよう確認応答生成部22に対し指示する。
このように、受信装置において、全ての無線チャネルで受信に成功した場合に、これを送信装置に通知すると共に、当該無線通信に関する伝搬路情報や要求する伝送速度等を送信装置に対し通知することにより、結果として送信装置にて行われる伝送速度制御等の信頼性を向上させることが可能となる。
上記第2の動作例において、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで受信が成功し、且つ少なくとも1つの無線チャネルで受信が失敗した場合には、図17に示すように、全無線チャネルのうち受信が成功した無線チャネルでのうちの少なくとも1つの無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を送信するとともに、全無線チャネルのうち少なくとも1つの無線チャネルで、各無線チャネルでの伝送路状態を示す情報(伝送路情報)を含む信号を送信するようにしてもよい。
例えば、全無線チャネルのうち受信が成功した無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を送信するとともに、全無線チャネルのうち受信が失敗した無線チャネルで、各無線チャネルでの伝送路状態を示す情報(伝送路情報)を含む信号を送信する。
図27では、無線チャネルaで受信が成功し、無線チャネルbで受信が失敗した場合に、無線チャネルaで受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を送信し、無線チャネルbで、各無線チャネルの伝送路情報を含む信号を送信する場合を示している。
このように、全無線チャネルのうちの一部の無線チャネルで受信が失敗した場合にも、受信が成功した無線チャネルで、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を送信しながら、他の無線チャネルで各無線チャネルの伝送路情報も送信装置へ通知することにより、送信装置では、全無線チャネルのうちの少なくとも1つで、受信状態通知用ビットが「0」であるACKフレーム信号を受信した場合に、別の無線チャネルで、各無線チャネルの伝送路情報を含む信号を受信した場合には、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定された無線チャネルに対して、伝送速度を前回よりも低くして、同一の無線フレーム信号の再送を行う。また、例えば、当該伝送路情報から予め定められた閾値以下の伝送路状態を示す無線チャネルに対して、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定し、無線フレーム信号の送信に失敗したと判定された無線チャネルに対して、伝送速度を前回よりも低くして、同一の無線フレーム信号の再送を行う。その結果、送信装置にて行われる伝送速度制御等の信頼性を向上させることが可能となる。
なお上記第3の実施形態では、ヘッダフィールドを含む送信フレームを2つに分割して、2つの無線チャネルのそれぞれで、(ヘッダフィールドに含まれる)Address1フィールド及びAddress2フィールドを有する第1のデータ系列及び第2のデータ系列を送信する場合を例にとり説明したが、この場合に限らず、送信フレームを3つ以上のN個の無線チャネルで送信する場合も上記同様である。この場合、送信フレームをN(Nは、3以上の整数)個のデータ系列に分割し、各データ系列に、Address1フィールド及びAddress2フィールドが含まれている。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…アンテナ、2…無線処理部、3…変調処理部、4…符号化処理部、5…誤り検出符号付加部、6…送信データ分割部、7…送信バッファ、8…無線処理部、9…復調処理部、10…復号処理部、11…誤り検出処理部、12…受信データ結合部、13…受信バッファ、21…確認応答判定部、22…確認応答生成部、100…MAC処理部、101…制御部、102…記憶部、103…受信データ判定部、104…伝送路状態判定部、201…送信系、202…受信系。