JP4080951B2 - フレーム補間方法及び装置並びに画像表示システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像の再生に当たって表示フレーム間隔を短くするために隣接フレーム間に少なくとも一つの補間フレームを内挿補間するフレーム補間方法及びこれを用いた画像表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイのように、新たに画像の書き込みが行われるまで前フレームの表示を保持し続けるホールド型画像表示装置では、動画表示に際して動体の動きに観察者の眼が追随することによるボケ現象の発生と、コマ数の少ない動画を表示する場合に不自然な動きが生じるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するためには、表示のフレーム間隔を短くすればよい。その具体的な手法として、MPEG(Motion Picture Experts Group)で用いられている動き補償を利用して補間フレームを作成し、その補間フレームを隣接するフレーム間に内挿補間する方法がある。MPEGにおける動き補償では、画像ブロックマッチング法によって検出される動きベクトルが用いられる。画像ブロックマッチング法とは、第1参照フレームを複数の第1画像ブロックに分割し、各第1画像ブロックに対して第1参照フレームに隣接する第2参照フレームから最も相関の高い第2画像ブロックを探索して、第2画像ブロックから第1画像ブロックへの動きベクトルを求める手法である。
【0004】
このような動き補償を用いる画像ブロックベースのフレーム補間手法では、動き補償によって補間フレームを生成する際に、まず第1参照フレームと第2参照フレーム間で求められた第1動きベクトルを補間フレーム面と第1参照フレーム間の第2動きベクトルに変換するスケール変換と呼ばれる操作を行う。スケール変換により得られた第2動きベクトルを用いて動き補償を行うことにより、補間フレームを生成する。すなわち、第2動きベクトルの終点を第1参照フレーム上に固定し、第1参照フレーム上の該第2動きベクトルの終点が指し示す画像ブロックの画像データを補間フレーム面上の第2動きベクトルの始点が指し示す補間対象ブロックの位置にコピーする。
【0005】
この手法では、スケール変換によって得られる第2動きベクトルの始点位置は必ずしも補間フレーム面上の本来の補間対象ブロックの位置と一致しないことから、補間フレームに画像データの存在しない隙間ができてしまったり、逆に画像データが重なる領域ができてしまう。
【0006】
特許2528103号(特許文献1)には、このような画像の隙間や重なりの生じないフレーム補間の手法が開示されている。この手法では、補間フレーム面上の補間対象ブロックを中心として、幾何対称的に前後の参照フレーム間の相関を求めてフレーム補間を行う。これにより、動きベクトルのスケール変換を行うことなく、最初に求められた動きベクトルを用いてダイレクトに補間フレームを生成することができる。さらに、補間フレーム面上に一様格子の補間対象ブロックを考えるため、補間フレームに画像の隙間や重なりが生じることはない。
【0007】
【特許文献1】
特許2528103号
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の手法は、MPEGと同様に画像ブロック単位で処理を行う画像ブロックベースの技術であるために、画像ブロック内に複数の動きが存在する場合などに、補間フレーム上に画像ブロック境界においてブロック歪が発生してしまうという問題がある。
【0008】
例えば、静止している背景上をオブジェクトが左から右に動いている場合、補間フレーム上ではオブジェクトを中心に補間がなされるため、全く別々の背景同士が平均されることによって別の背景がオブジェクトの周りに生じる。この結果、オブジェクトの周りの背景と、さらにその外側の本来の背景の間でギャップが生じ、そのギャップがブロック歪として視認される。
【0009】
本発明の目的は、補間フレームに画像の隙間や重なりが生じることがなく、さらにブロック歪の発生が少ないフレーム補間方法及び装置並びに画像表示システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の一つの観点によるフレーム補間方法は、(a)画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間の補間フレーム面を複数の補間対象ブロックに分割するステップと、(b)前記補間フレーム面を複数の補間対象ブロックに分割するステップと、(c)前記補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを求めるステップと、(d)前記第1参照及び第2参照フレームから、前記動きベクトルによって規定される第1及び第2画像ブロックをそれぞれ抽出するステップと、(e)前記第1及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を用いて領域判定閾値を決定するステップと、(f)前記第1及び第2画像ブロックから、前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域を抽出するステップと、(g)前記第1及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第1領域の画素値から、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームを生成するステップとを備える。
【0011】
本発明の他の観点によるフレーム補間方法は、(h)前記領域判定閾値を用いて前記第1及び第2画像ブロックから、前記絶対値差分が前記領域判定閾値以上の第2領域を抽出するステップをさらに備え、前記(c)の動きベクトルを求めるステップは、前記第1及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第2領域の画素値を用いて再帰的に前記動きベクトルを求める。
【0012】
本発明の好ましい態様によると、前記領域判定閾値を決定するステップでは、例えば前記絶対値差分を画素値として持つ複数の画素を含む第3画像ブロックを生成し、複数の候補閾値毎に該第3画像ブロック中の該候補閾値より小さい画素値を有する不一致画素について(不一致画素の平均絶対値差分和)/(不一致画素数)を評価関数としてそれぞれ求め、最小の評価関数を与える一つの候補閾値を前記領域判定閾値として決定する。
【0013】
前記補間画素値を生成するステップでは、例えば前記第1及び第2画像ブロックの前記第1領域内の相対応する画素対の平均画素値を前記補間画素値として生成する。
【0014】
本発明の一つの態様によるフレーム補間装置は、(a)画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間の補間フレーム面を分割した複数の補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを求める動き探索部と、前記第1参照及び第2参照フレーム中の前記動きベクトルによって対応付けられる第1及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を用いて領域判定閾値を決定する閾値決定部と、前記第1及び第2画像ブロックの前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域の画素値について前記動きベクトルを用いて動き補償を行うことにより、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームを生成する動き補償部とを具備する。
【0015】
さらに、本発明によると上述のフレーム補間装置により生成された補間フレームと前記第1及び第2参照フレームを画像として表示する画像表示システムが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態1)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る画像表示システムの構成を示す。ここでは、入力画像信号(動画像信号)10が60Hzのノンインタレース信号(プログレッシブ信号)であり、これを120Hzのノンインタレース信号に変換する場合を例にとって説明する。
【0017】
本実施形態におけるフレーム補間は、入力画像信号である60Hzのノンインタレース信号に対して、図2に示すように入力画像信号の時間的に隣接する二つの参照フレームP1,P2間の補間フレーム面(参照フレームP1,P2間の時間的中央位置の面)上に補間フレームQを内挿補間することにより実現される。
【0018】
図1において、画像信号10はフレームメモリ11と動き推定部12に入力される。動き推定部12は、動き探索部13と一致判定部14及び最適閾値決定部15を有する。動き探索部13では、参照フレームP1,P2間の動きベクトルが探索される。探索された動きベクトルは動き補償部15に与えられ、動き補償部15で動きベクトルを用いて動き補償が行われることにより、補間フレームQが生成される。
【0019】
一致判定部14では、参照フレームP1の画像ブロックと参照フレームP2の画像ブロックとの間で、双方の相対応する画素対の画素値が実質的に一致しているか否かが判定される。画像ブロックは、例えば8画素×8画素のような複数の画素からなる格子状の一様なサイズの小領域である。相対応する画素対とは、二つの画像ブロックにおける、画像ブロック内相対位置が等しい画素位置の画素対をいう。一致判定部14の判定結果は、動き探索部13及び最適閾値決定部15に与えられる。
【0020】
最適閾値決定部15では、参照フレームP1,P2のそれぞれの画像ブロックを一致領域(第1領域)と不一致領域(第2領域)とに分割するための最適な閾値(領域判定閾値という)が決定される。領域判定値に従って一致判定部14により画像ブロック毎に一致領域と不一致領域の領域判定が行われ、この判定結果に従って一致領域と不一致領域との分割が行われる。動き探索部13、一致判定部14及び最適閾値決定部15の処理については、以下に詳しく説明する。
【0021】
前述した従来の画像ブロックベースのフレーム補間手法における欠点であるブロック歪の発生を防止するために、図3に示す方法が考えられる。参照フレームP1及びP2をそれぞれ画像ブロックB1及びB2に分割し、画像ブロックB1及びB2をさらに一致領域R1と不一致領域R2にそれぞれ分割する。画像ブロックB1及びB2のうち、一致領域R1の画素に対して動きベクトルを割り当て、不一致領域R2の画素に対しては再帰的に動きベクトルを探索することによって、別の動きベクトルを割り当てることができるようにする。
【0022】
ここで、一致領域R1は画像ブロックB1及びB2間で画素値が実質的に一致していると見なすことができる画素の領域であり、より詳しくは画像ブロックB1及びB2の相対応する画素対間の絶対値差分がある領域判定閾値T1より小さい一致画素の領域である。不一致領域R2は、画像ブロックB1及びB2間で双方の画素値が実質的に不一致と見なすことができる画素の領域であり、より詳しくは上記の絶対値差分が領域判定閾値T1以上である不一致画素の領域である。画像ブロックB1及びB2の一致領域R1の画素値を用いて補間画素値を生成し、これを補間フレーム面上の補間対象ブロックにコピーすることによって、補間フレームを生成する。
【0023】
このような手法によって、ブロック歪の問題を解決することができる。但し、この手法は領域判定閾値T1の設定の仕方によっては、画像ブロックB1及びB2の一致領域R1と不一致領域R2との分割を適切に行うことができず、全く意味のないものとなってしまう。例えば、図4に示すように画像ブロックB1,B2の相対応する画素対の画素値が比較的近く、絶対値差分の画素で構成される画像ブロックB3に対して、領域判定閾値T1を例えば“5”に設定している場合には、画像ブロックB1,B2を一致領域R1と不一致領域R2に正しく分割できる。ここで、相対応する画素対とは画像ブロックB1,B2でブロック内相対位置が等しい画素位置の画素対である。
【0024】
これに対し、図5に示すように画像ブロックB1及びB2の相対応する画素対の画素値が比較的かけ離れているときに、画像ブロックB3に対して閾値T1を同じ“5”に設定すると、全て不一致領域R2という分割結果になってしまい、人間が見た場合の分割状態とはかなり異なった動作となってしまう。
【0025】
ここで、図5に示すような画像ブロックB1,B2及びB3に対して領域判定閾値T1を“11”に設定すれば、画像ブロックB1,B2を図4と同じように一致領域R1と不一致領域R2に正しく分割できるはずである。このような最適な領域判定閾値を決定する手法は、知られていない。そこで、本実施形態では画像ブロック内の画素値(輝度)の分布(以下、輝度分布という)による閾値の最適化問題を解くことにより、最適な領域判定閾値を動的に画像ブロック毎に決定する手法を提案する。
【0026】
以下、図6を用いて本実施形態に基づく最適な領域判定閾値決定処理を含むフレーム補間処理の全体的な流れを説明する。まず、図7に示すように補間フレーム面(補間フレームQが内挿補間される面)を格子状の一様なサイズの小領域(補間対象ブロックという)B0に分割する(ステップS101)。次に、ステップS101で分割した補間対象ブロックB0を順次走査し(ステップS102)、補間対象ブロックB0毎に動き推定処理(ステップS103)及び動き補償処理(ステップS104)をステップS105で補間フレーム面上の全補間対象ブロックB0の走査が終了したと判断されるまで行う。
【0027】
ステップS103では、後述するように動き推定を行い、動きベクトルのグループと不一致フィルタのグループを求める(サブルーチン1)。不一致フィルタは、図8に示すように補間対象ブロックB0と同形状かつ同サイズで、“0”か“1”を画素値として持つディジタルフィルタであり、一致画素は“0”、不一致画素は“1”で表現される。ステップS104では、ステップS103のサブルーチン1で求められた動きベクトルのグループと不一致フィルタのグループ及び参照フレームP1,P2から、補間フレーム生成のための動き補償を行う。
【0028】
<動き推定処理>
次に、図3中のサブルーチン1であるステップS103の動き推定処理について説明する。
動き推定処理では、まず参照フレームP1,P2上に設定した動きベクトル探索領域から、最も相関度の高い画像ブロックB1,B2の対を探索して動きベクトルを求める(動き探索処理)。
【0029】
次に、動き探索処理により探索された動きベクトルによって規定される、参照フレームP1,P2上の画像ブロックB1,B2から、最適な領域判定閾値T1を計算する(最適閾値決定処理)。
【0030】
次に、領域判定閾値T1に従って、画像ブロックB1,B2内の相対応する画素対の画素値の絶対値差分から画素毎に一致・不一致判定を行って、前述の不一致フィルタを生成する(一致判定処理)。
【0031】
最後に、不一致フィルタを用いて不一致とされた画素(不一致画素)のみから再帰的に動きベクトルを探索する処理を行う。
【0032】
図9及び図10を参照して、上述した動き推定処理の詳細な手順について説明する。
まず。イテレーションを開始する。イテレーション変数をiteとし、補間対象ブロックB0と同形状かつ同サイズのディジタルフィルタを不一致フィルタとして、図11に示すように初期イテレーションの不一致フィルタ[0]に全て不一致画素であることを示す“1”を代入する(ステップS201)。[α]は、イテレーションα(ite=α)であることを示す。反復的に何回もイテレーションを繰り返し処理を行うが、ここでは最初にイテレーション1(ite=1)を考える。
【0033】
図7に示したように、補間フレーム面上の補間対象ブロックB0を中心として、幾何対称的に参照フレームP1上の画像ブロックと参照フレームP2上の画像ブロックの探索を行うことにより、最も相関度の高い画像ブロックB1,B2の対を探索し、該画像ブロック対間の動きベクトル[1]を求める(ステップS202)。相関度演算の際には、図12に示すように不一致フィルタ内の値が“1”である不一致画素のみについて演算を行うが、イテレーション1では不一致フィルタ[0]は全画素値が“1”であるので、画像ブロックの全画素について相関度演算を行う。参照フレームP1,P2から、動きベクトル[1]で規定される画像ブロックB1,B2をそれぞれ抽出する(ステップS203)。
【0034】
次に、サブルーチン3として画像ブロックB1と画像ブロックB2の相対応する画素対間の画素値の絶対値差分から、輝度分布に応じた最適な領域判定閾値T1を決定する(ステップS204)。領域判定閾値の決定処理については、後に詳しく説明する。
【0035】
次に、画像ブロックB1,B2内の走査を開始し(ステップS205)、一致判定処理を行う。一致判定処理では、図13に示すように動きベクトル[1]によって規定される参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2について、相対応する画素位置(画像ブロック内相対位置が等しい画素位置)の画素対間の画素値の絶対値差分を求める(ステップS206)。
【0036】
次に、絶対値差分を閾値T1と比較し(ステップS207)。絶対値差分が閾値T1より小さい場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は一致画素対であるとして、不一致フィルタ[1]に“0”を代入する(ステップS208)。絶対値差分が閾値T1以上の場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は不一致画素対であるとして、不一致フィルタ[1]に“1”を代入する(ステップS209)。ステップS206〜S209の処理をステップS210で画像ブロック内の全画素が走査されたと判定されるまで繰り返すことにより、一致判定処理を終了する。
【0037】
一致判定処理の終了後、不一致フィルタ[1]と不一致フィルタ[0]の論理積をとり、その論理積を新たな不一致フィルタ[1]とする(ステップS211)。以上でイテレーション1が終了し、再帰的に動きベクトル推定処理に戻る。
【0038】
すなわち、iteを一つ増加させ(ステップS212)、iteがn(任意の整数)を越えたならば(ステップS213でYES)反復処理を終了し、それ以外の場合はステップS202に戻り、動きベクトル推定処理を繰り返す。
【0039】
ステップS212以降の動きベクトル推定処理では、図7に示したように補間フレーム面上の補間対象ブロックB0を中心として幾何対称的に参照フレームP1上の画像ブロックと参照フレームP2上の画像ブロックの探索を行うことにより、最も相関度の高い画像ブロックB1,B2の対を探索し、該画像ブロック対間の動きベクトル[ite]を求める(ステップS202)。相関度演算の際には、図14に示すように不一致フィルタ[ite-1]内の画素値が“1”の画素についてのみ相関度演算を行う。参照フレームP1,P2から、動きベクトル[ite]で規定される画像ブロックB1,B2をそれぞれ抽出する(ステップS203)。
【0040】
次に、サブルーチン3として画像ブロックB1と画像ブロックB2から、画素値(輝度)の分布に応じた最適な領域判定閾値T1を決定する(ステップS204)。
【0041】
次に、画像ブロックB1,B2内の走査を開始し(ステップS205)、一致判定処理を行う。一致判定処理では、図15に示すように動きベクトル[ite]によって規定される、参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2について、相対応する画素対間の絶対値差分を求める(ステップS206)。
【0042】
次に、絶対値差分を領域判定閾値T1と比較し(ステップS207)、絶対値差分が閾値T1より小さい場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は一致画素対であるとして、不一致フィルタ[ite]に0を代入する(ステップS208)。絶対値差分が閾値T1以上の場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は不一致画素対であるとして、不一致フィルタ[ite]に“1”を代入する(ステップS209)。ステップS206〜S209の処理をステップS210で画像ブロック内の全画素が走査されたと判定されるまで繰り返すことにより、一致判定処理を終了する。
【0043】
一致判定処理の終了後、不一致フィルタ[ite]と不一致フィルタ[ite-1]の論理積をとり、その論理積を不一致フィルタ[ite]とする(ステップS211)。次に、iteを一つ増加させ(ステップS212)、ステップS213でiteがn(任意の整数)を越えたならば反復処理を終了し、それ以外の場合はステップS201に戻り、動きベクトル推定処理を行う。反復処理が終了した時点で、動きベクトルのグループ(動きベクトル[i](i=1,…,n))、不一致フィルタのグループ(不一致フィルタ[i](i=1,…,n))が得られる。
【0044】
<動き補償処理>
次に、図16を用いて図3中のサブルーチン2であるステップS104の動き補償処理について説明する。
まず、初期値としてイテレーション変数iteを1とする(ステップS301)。補間フレーム面上の補間対象ブロックB0を中心として、動きベクトル[ite]によって規定される、参照フレームP1,P2上の幾何点対称位置にある画像ブロックB1,B2をそれぞれ抽出する(ステップS302,S303)。
【0045】
画像ブロック内の画素の走査を開始し(ステップS305)、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対の画素値の平均値(平均画素値)を求める(ステップS306)。ここで不一致フィルタ[ite]の値を調べ(ステップS307)、不一致フィルタ[ite]の値が“0”であったなら、補間フレーム面上の不一致フィルタ[ite]の値“0”に対応する画素位置に当該平均画素値を補間画素値としてコピーする(ステップS308)。不一致フィルタ[ite]の値が1であるときは、コピーを行わない。
【0046】
ステップS309によって画像ブロック内の全画素が走査したと判定されるまで、ステップS307〜S308の処理を繰り返す。この後、イテレーション変数iteを1つ増加させ(ステップS310)、iteがnを越えた場合は(ステップS311でYES)反復処理を終了し、それ以外の場合はステップS302に戻る。
【0047】
反復処理が終了したら、図6中のステップS101により得られた補間対象ブロックB0の全てを走査するまで図9中のステップS201から図16中のステップS213までの処理を行い、補間対象ブロックB0を全て走査したら動き補償処理を終了することにより、補間フレームQが生成される。生成された補間フレームQは図1中に示した表示部17に送られ、フレームメモリ11からの参照フレームP1と参照フレームP2との間の補間フレーム面に内挿補間されることにより、参照フレームP1,P2と共に画像として表示される。
【0048】
<領域判定閾値決定処理>
次に、図9中のステップS204での領域判定閾値決定処理について詳しく説明する。
図4及び図5で説明したように、画像ブロックB1及びB2のそれぞれを一致領域R1と不一致領域R2とに分割するための領域判定閾値によって、一致領域内の画素数(一致画素数という)と一致領域内の一致画素の平均SAD(Sum of Absolute Difference:絶対値差分和)は変化する。言い換えれば、一致画素数と平均SAD(平均絶対値差分)は閾値による関数と見なすことができる。従って、一致画素数と平均SADを用いて評価関数を定めれば、その評価関数に従って最適な領域判定閾値Tを決定することができる。これは領域判定閾値の候補(候補閾値と呼ぶ)に対する最適化問題と考えられる。
【0049】
候補閾値をTとすると、Tが大きくなるほど一致画素数も大きくなり、T>“255”のとき一致画素数は最大、つまり画像ブロック全体が一致画素となる。平均SADも、候補閾値Tが大きくなるほど値が大きくなる。ここで、一致画素数は値が大きい方が評価が高いのに対して、平均SADは逆に値が小さいほど評価が高い。そのため、単純に一致画素数と平均SADの和をとって評価関数としても、それは候補閾値Tの評価には有効に働かない。そこで、次式のような評価関数を考えてみる。
【0050】
【数1】
数式(1)の評価関数は、値が小さいほど評価がよいとすると、分子が小さく分母が大きいときに評価が高くなる。そのため、一致画素の画素値の平均SADが小さく一致画素数が大きいほど評価が高くできるので、この例の場合には適切な評価関数といえる。また、別々の要素の線形結合(この場合、一致画素数と平均SAD)は、結合重み係数を決めるのが難しいという問題もあり、前述した一致画素数と平均SADの和による評価関数は実現が難しい。ここで考えている数式(1)のような評価関数であれば、結合重み係数のようなものは存在しないので、設計が簡単である。
【0051】
数式(1)に従って実際の評価関数は、例えば以下のように設計する。
【0052】
【数2】
ここで、画像ブロックB1,B2(サイズはBとする)内の相対座標をxとしたときの輝度値をf(x)とする。Tは前述の候補閾値である。difは差分値、σは一致・不一致判定の部分を表現しており、数式(2)中のE[T]の式の分母は一致画素数、分子は平均SADを表現している。
【0053】
従って、最適化問題は以下のように評価関数Eに対する候補閾値Tの最小化問題を解くことに帰着できる。
【0054】
【数3】
数式(3)は1次元の最小化問題であるから、様々な1次元の最小化手法を用いることができる。ただし、評価関数は数式(2)内の一致・不一致判定の部分で不連続関数となるため、このままでは勾配を用いる最小化手法を適用することは不可能である。そこで、一致・不一致判定σ(dif,T)を
【0055】
【数4】
のようにシグモイド関数を用いて定義することで連続関数にすることができ、数式(4)の定義を用いることで勾配法の適用も可能になる。
【0056】
ここでは、1次元の黄金分割法を用いる。黄金分割法は最もベーシックな手法であり、勾配を用いない。この手法の最小化の概要は、次の通りである。まず、各段階で囲い込みの3点が与えられたとき、次に試す点は中央の点から広い方の区間にその0.38197倍(黄金分割比)だけ進んだ点である。最初の3点が黄金分割比になっていなくとも、大きい方の区間に黄金分割比で点を選ぶことを繰り返せば、すぐにこの自己複製的な比に収束し、任意の精度まで反復を繰り返すことにより最小点が求められる。これが1次元の黄金分割法である。
【0057】
数式(2)から、評価関数は
【0058】
【数5】
と変形できる。ここで、数式(5)の分母は一致画素数を表現しており、1を足し合わせて2乗するだけの関数であるから、正の値を持つ候補閾値Tに関する単調増加関数である。数式(5)の分子も絶対値差分和であるから、正の値を持つ候補閾値Tに関する単調増加関数である。よって、評価関数の変化は分子と分母の傾きの差によって決定されることが分かる。
【0059】
ここで、本実施形態では上述の評価関数が最小となる候補閾値Tの値Toptを最適な領域判定閾値T1として決定する。
評価関数が下に凸の関数となるのは、T≦Toptのときに分母の増分が分子の増分を上回っており、T>Toptのときに分子の増分が分母の増分を上回っているときである。これは一致画素領域が一様に低い差分値で構成されているとき、つまり画像ブロック内に複数の動きが存在して画像ブロックが完全に分割可能なときに達成することができる。すなわち、T≦Toptのときに一致画素領域が一様に低い差分値ということは、評価関数の分子の増分が小さいということを意味するため、相対的に分母の増分が分子のそれを上回ることになり、結果的に評価関数は下に凸の関数となる。
【0060】
図17は、画像ブロック内に複数の動きが存在することにより、画像ブロックが一致領域と不一致領域に分割可能なパターンにおける、候補閾値Tに対する一致画素数(Num)、平均SAD(Ave)及び評価関数Eの変化を表すシミュレーション結果である。この場合、画像ブロック内には二つの動きが存在しているために、画像ブロックを一方の動きに一致した一致領域とそれ以外の不一致領域に容易に分割することができる。図17に示されるように、評価関数Eは下に凸の関数となっている。
【0061】
一方、画像ブロック内に複数の動きが存在せず、画像ブロックが一致領域と不一致領域に分割されない一様なパターンにおける、図17と同様のシミュレーション結果は図18に示される。評価関数Eの関数形を見ると微妙ではあるが、ほとんど下に凸とは言えない関数形となっていることが分かる。なお、図17及び18において候補閾値Tの値は横軸に、一致画素数(Num)及び評価関数Eの値は左側の縦軸に、平均SAD(Ave)の値は右側の縦軸にそれぞれ示されている。
【0062】
固定された領域判定閾値を用いると、図4に示したように領域分割を正しくできたり、図5に示したように正しく行うことができなかったりすることは、前述の通りである。これに対し、本実施形態に従って最適な領域判定閾値T1を決定して領域分割を行うと、図19及び図20に示すように常に正しく領域分割を行うことができる。
【0063】
図19は、図17のシミュレーション結果に対応して評価関数Eが最小となる候補閾値TOPT(T=6.18967)を領域判定閾値T1としたときの領域分割の様子を示している。同様に、図20は図18のシミュレーション結果に対応して評価関数Eが最小となる候補閾値TOPT(T=15.1303)を領域判定閾値T1としたときの領域分割の様子を示している。いずれの場合も、画像ブロックの輝度分布に応じて領域分割が適切に行われていることが分かる。
【0064】
一方、図21は画像ブロックB1,B2の相対応する画素対の画素値が図4の場合よりさらに近い場合で、絶対値差分の画素で構成される画像ブロックB3に対して、領域判定閾値T1を“5”に設定した場合の領域分割の様子を示している。この場合、不一致画素が点在して不一致領域が分離された状態でノイズ状になってしまう。
【0065】
これに対し、本実施形態に従って評価関数Eが最小となる候補閾値TOPTを求めると、例えばTopt=99.3978のように非常に大きな値となり、これを領域判定閾値T1とすると図21に示すように画像ブロックB3は一致領域と不一致領域に分割されない。しかし、このような画素値の変化の少ない一様パターンの画像ブロックB3であれば、画像ブロックB3内を一致領域と不一致領域に分割する必要はそもそもないため、Toptが大きな値となっていたとしても問題はない。
【0066】
次に、図23を用いて上述した領域判定閾値決定処理の具体的な手順について説明する。
まず、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対間の絶対値差分を求め、絶対値差分を画素値として持つ絶対値差分の画像ブロックB3を求める(ステップS401)。
【0067】
最小値探索の3点の初期値xa,xb,xcを求める(ステップS402)。xa=1、xb=画像ブロックB3の画素値の平均値(平均画素値)、xc=256である。
【0068】
xa,xb,xcを初期値とする1次元の最小化手法によって、数式(2)に示した評価関数Eを最小とする閾値T1minを求める(ステップS403)。
【0069】
次に、閾値T1minの範囲調整を行う。T1min<1であればT1min=1とし、T1min>256であればT1min=256とする(ステップS404,S405,S406,S407)。範囲調整後のT1minを最適な領域判定閾値T1として出力する(ステップS408)。
【0070】
上述したように、本実施形態によると画像ブロック内の輝度分布に応じた最適化問題(数式(3))を設定して、それを1次元の最小化問題に帰着させることにより、簡単な手順で最適な領域判定閾値を決定できる。このようにして決定された領域判定閾値を用いて、画像ブロックB1,B2を一致領域R1と不一致領域R2に分割した後、一致領域の画素値を補間画素値として動き補償処理により補間対象ブロックB0にコピーする。これにより画像の隙間や重なりが生じることがなく、しかもブロック歪の発生が少ない補間フレームQを生成してフレーム補間を行うことが可能となる。
【0071】
(第2の実施形態)
図24に示されるように、本発明の第2の実施形態に係る画像表示システムでは、図1に示した画像表示システムに対して動きベクトル候補探索部18が追加されている。動きベクトル候補探索部18は、最適閾値決定部15で最適な領域判定閾値を設定する際に用いられる動きベクトルの候補を探索する。
【0072】
動きベクトルの探索の際に、評価関数としてSAD以外に例えば以下のような一致画素数和(Sum of Agreement Pixels、以下SAP)を用いることができる。
【0073】
【数6】
ここで、fpi(x,y)は参照フレームP1の点(x,y)における画素値、fp2(x,y)は参照フレームP2の点(x,y)における画素値、Tは閾値(例えば3など)、(N,M)は画像のサイズを表す。SAPはオブジェクトなどの形にフォーカスしたものである。SAPには予め閾値Tが設定されている必要があるが、閾値Tは画像毎にその画像の場所毎に変わってくるはずである。そこで本実施形態では、数式(6)で表されるSAPにおける閾値Tを画像ブロック毎に最適化する手法を提案する。
【0074】
図25に、本実施形態における最適な領域判定閾値決定処理を含むフレーム補間処理の全体的な流れを示す。第1の実施形態と同様に、補間フレーム面を格子状の一様なサイズの小領域(補間対象ブロック)B0に分割し(ステップS501)、各補間対象ブロックB0を順次走査し(ステップS502)、補間対象ブロックB0毎に動き推定処理(ステップS503)及び動き補償処理(ステップS504)をステップS505で補間フレーム面上の全補間対象ブロックB0の走査が終了したと判断されるまで行う。ステップS503の動き推定処理に含まれる最適閾値決定処理とステップS504の動き補償処理は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
<動き推定処理>
以下、図25中のサブルーチン4であるステップS503の動き推定処理について説明する。動き推定処理では、まず参照フレームP1,P2上に設定した動きベクトル探索領域から、相関度の高い画像ブロックの対を探索し、相関度の高い順に動きベクトル候補を求める(動きベクトル候補探索処理)。
【0076】
次に、最も相関度の高い動きベクトル候補によって規定される、参照フレームP1,P2上の画像ブロックから、最適な動きベクトル判定閾値T2を計算する(最適閾値決定処理)。
【0077】
次に、動きベクトル判定閾値T2を用いて数式(6)に示した一致画素数和SAPによって、動きベクトル候補の中から最も相関度の高い動きベクトルを探索する(動きベクトル探索処理)。
【0078】
次に、探索された動きベクトルによって規定される画像ブロックから、最適な領域判定閾値T1を計算する(最適閾値決定処理)。
【0079】
次に、領域判定閾値T1を用いて第1の実施形態と同様に画像ブロック内の相対応する画素対の画素値の絶対値差分から画素毎に一致・不一致判定を行って、前述の不一致フィルタを生成する(一致判定処理)。この不一致フィルタを用いて、不一致とされた画素(不一致画素)のみから再帰的に動きベクトルを探索する処理を行う。
【0080】
図26及び図27を参照して、上述した動き推定処理の詳細な手順について説明する。イテレーションを開始する。イテレーション変数をiteとし、補間対象ブロックB0と同形状かつ同サイズのディジタルフィルタを不一致フィルタとして、図11に示すように初期イテレーションの不一致フィルタ[0]に全て“1”を代入する(ステップS601)。[α]は、イテレーションα(ite=α)であることを示す。反復的に何回もイテレーションを繰り返し処理を行うが、ここでは最初にイテレーション1(ite=1)を考える。
【0081】
(動きベクトル候補推定処理)
次に、図7に示したように、補間フレーム面上の補間対象ブロックB0を中心として、幾何対称的に参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2の探索を行うことにより、最も相関度の高い画像ブロック対を探索し、相関度の高い順に動きベクトル候補[ite]を求める(ステップS602)。ここでの相関度演算の際には、SADなどを用いることができる。相関度演算の際には、図12に示したように不一致フィルタ[ite-1]の値が“1”の画素のみについて演算を行う。
【0082】
(最適閾値決定処理:サブルーチン3)
次に、最も相関度の高い動きベクトル候補によって規定される、参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2を抽出し(ステップS603)、これらの画像ブロックB1,B2から輝度分布に応じた最適な動きベクトル判定閾値T2を決定する(ステップS604)。
【0083】
(動きベクトル探索処理:サブルーチン5)
ステップS605により求められた動きベクトル候補の中から、動きベクトル判定閾値T2を設定した一致画素数探索を行い、最も相関度の高い動きベクトル[ite]を求める(ステップS605)。
【0084】
(最適閾値決定処理:サブルーチン3)
動きベクトル[ite]によって規定される、参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2を抽出し(ステップS606)、これらのブロックB1,B2から輝度分布に応じた最適な領域判定閾値T1を決定する(ステップS606)。
【0085】
(一致判定処理)
次に、画像ブロックB1,B2内の走査を開始し(ステップS608)、一致判定処理を行う。一致判定処理では、図15に示すように動きベクトル[ite]によって規定される、参照フレームP1上の画像ブロックB1と参照フレームP2上の画像ブロックB2について、相対応する画素対間の絶対値差分を求める(ステップS609)。
【0086】
次に、絶対値差分を領域判定閾値T1と比較し(ステップS610)、絶対値差分が閾値T1より小さい場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は一致画素対であるとして、不一致フィルタ[ite]に“0”を代入する(ステップS611)。絶対値差分が閾値T1以上の場合には、画像ブロックB1,B2の相対応する画素対は不一致画素対であるとして、不一致フィルタ[ite]に“1”を代入する(ステップS612)。ステップS609〜S612の処理をステップS613で画像ブロック内の全画素が走査されたと判定されるまで繰り返すことにより、一致判定処理を終了する。
【0087】
一致判定処理の終了後、不一致フィルタ[ite]と不一致フィルタ[ite-1]の論理積をとり、その論理積を不一致フィルタ[ite]とする(ステップS614)。次に、iteを一つ増加させ(ステップS615)、ステップS616でiteがn(任意の整数)を越えたならば反復処理を終了し、それ以外の場合はステップS601に戻り、動きベクトル推定処理を行う。反復処理が終了した時点で、動きベクトルのグループ(動きベクトル[i](i=1,…,n))、不一致フィルタのグループ(不一致フィルタ[i](i=1,…,n))が得られる。
【0088】
<動きベクトル探索処理>
次に、図28を用いて動きベクトル探索処理について説明する。まず、ステップS701で動きベクトル候補探索ループを設定し(ループ変数:i)、動きベクトル候補[i]によって規定される参照フレームP1,P2上の画像ブロック対を抽出する(ステップS702)。
【0089】
不一致フィルタ[ite-1]に従って不一致フィルタ[ite-1]が“1”の画素についてのみブロック間の差分値を計算する(ステップS703)。動きベクトル判定閾値T2を用いて一致画素数を求め(ステップS704)、動きベクトル候補のうち一致画素数の最も大きい候補を動きベクトル[ite]とする(ステップS706)。
【0090】
反復処理が終了した場合、図23中のステップS401において分割した補間対象ブロックB0の全てが走査されるまで(ステップS705でYES)処理を行う。画像ブロックを全て走査したら終了し、補間フレームが得られる。
【0091】
このように本実施形態では、一致画素数探索の際の閾値の設定に関して、画像ブロック毎に自動的に最適化する手法を提示した。本実施形態によって画像の画像ブロック毎に最適な閾値によって一致画素数探索を行うことができ、画像中のオブジェクトの形にフォーカスした探索を行うことができる。
【0092】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば補間フレームに画像の隙間や重なりが生じることがなく、さらにブロック歪の発生が少ないフレーム補間方法及び装置並びに画像表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示システムの構成を示す画像ブロック図
【図2】第1の実施形態におけるフレーム補間の概要を示す図
【図3】第1の実施形態におけるブロック歪の発生を避けるための前提となる技術を説明する図
【図4】二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割が正しく行われる例を示す図
【図5】二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割が正しく行われない例を示す図
【図6】第1の実施形態におけるフレーム補間の概略的な処理手順を示すフローチャート
【図7】第1の実施形態における参照フレームの画像ブロック抽出と動き推定処理について説明する図
【図8】第1の実施形態における不一致フィルタについて説明する図
【図9】第1の実施形態における動き推定処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図10】第1の実施形態における動き推定処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図11】第1の実施形態における初期不一致フィルタについて説明する図
【図12】第1の実施形態における動き推定処理でのイテレーション1の動きベクトル検出処理を説明する図
【図13】第1の実施形態における動き推定処理でのイテレーション1の一致判定処理を説明する図
【図14】第1の実施形態における動き推定処理でのイテレーションiteの動きベクトル検出処理を説明する図
【図15】第1の実施形態における動き推定処理でのイテレーションiteの一致判定処理を説明する図
【図16】第1の実施形態における動き補償処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図17】第1の実施形態における第1及び第2画像ブロック内に複数の動きが存在して画像ブロックを正しく領域分割できるパターンの例を示す図
【図18】第1の実施形態における第1及び第2画像ブロック内に複数の動きが存在せず画像ブロックを正しく領域分割できないパターンの例を示す図
【図19】図17のパターンに対応する二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割の例を示す図
【図20】図18のパターンに対応する二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割の例を示す図
【図21】二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割の他の例を示す図
【図22】二つの参照フレーム上の画像ブロックの領域分割の別の例を示す図
【図23】第1の実施形態における領域分割閾値決定処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図24】本発明の第2の実施形態に係る画像表示システムの構成を示す画像ブロック図
【図25】第2の実施形態におけるフレーム補間の概要を示すフローチャート
【図26】第2の実施形態における動き推定処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図27】第2の実施形態における動き推定処理の詳細な手順を示すフローチャート
【図28】第2の実施形態における動きベクトル探索処理の詳細な手順を示すフローチャート
【符号の説明】
10…入力画像信号
11…フレームメモリ
12…動き推定部
13…動き探索部
14…一致判定部
15…最適閾値決定部
16…動き補償部
17…表示部
18…動きベクトル候補探索部
Claims (8)
- 画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間に補間フレームを内挿補間するフレーム補間方法において、
前記補間フレームを複数の補間対象ブロックに分割するステップと、
前記補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを順次探索するステップと、
前記第1参照フレーム及び第2参照フレームから、前記動きベクトルによって規定される第1画像ブロック及び第2画像ブロックをそれぞれ抽出するステップと、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を画素値として持つ複数の画素を含む第3画像ブロックを生成するステップと、
前記第3画像ブロック中の候補閾値より小さい画素値を有する一致画素について(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)を評価関数として求めるステップと、
前記(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)に対する前記候補閾値の最適化問題を解くことにより領域判定閾値を決定するステップと、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックから、前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域、及び前記絶対値差分が前記領域判定閾値以上の第2領域を抽出するステップと、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第1領域の画素値から、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームの画像を生成するステップとを備え、
前記動きベクトルを順次探索するステップは、さらに前記補間対象ブロック上の前記第2領域に対応する領域についての前記動きベクトルを探索することを特徴とするフレーム補間方法。 - 前記補間フレームの画像を生成するステップは、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第1領域の画素値を用いて補間画素値を生成するステップと、
前記補間画素値を前記補間対象ブロックにコピーすることにより前記補間フレームの画像を生成するステップとを含む請求項1に記載のフレーム補間方法。 - 前記補間画素値を生成するステップは、前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックの前記第1領域内の相対応する画素対の平均画素値を前記補間画素値として生成する請求項2に記載のフレーム補間方法。
- 画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間に補間フレームを内挿補間するフレーム補間装置において、
前記補間フレームを分割した複数の補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを順次探索する動き探索部と、
前記第1参照フレーム及び第2参照フレーム中の前記動きベクトルによって対応付けられる第1画像ブロック及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を画素値として持つ複数の画素を含む第3画像ブロックを生成し、該第3画像ブロック中の候補閾値より小さい画素値を有する一致画素について(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)を評価関数として求め、前記(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)に対する前記候補閾値の最適化問題を解くことにより領域判定閾値を決定する閾値決定部と、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域の画素値について前記動きベクトルを用いて動き補償を行うことにより、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームの画像を生成する動き補償部とを具備し、
前記動き探索部は、さらに前記補間対象ブロック上の、前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記絶対値差分が前記領域判定閾値以上の第2領域に対応する領域についての前記動きベクトルを探索することを特徴とするフレーム補間装置。 - 前記動き補償部は、前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第1領域の画素値を用いて補間画素値を生成し、前記補間画素値を前記補間対象ブロックにコピーすることにより前記補間フレームの画像を生成することを特徴とする請求項4に記載のフレーム補間装置。
- 前記動き補償部は、前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックの前記第1領域内の相対応する画素対の平均画素値を前記補間画素値として生成する請求項5に記載のフレーム補間装置。
- 画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間に補間フレームを内挿補間するフレーム補間処理をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記補間フレームを複数の補間対象ブロックに分割する処理と、
前記補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを順次探索する処理と、
前記第1参照フレーム及び第2参照フレームから、前記動きベクトルによって規定される第1画像ブロック及び第2画像ブロックをそれぞれ抽出する処理と、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を画素値として持つ複数の画素を含む第3画像ブロックを生成する処理と、
前記第3画像ブロック中の候補閾値より小さい画素値を有する一致画素について(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)を評価関数として求める処理と、
前記(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)に対する前記候補閾値の最適化問題を解くことにより領域判定閾値を決定する処理と、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックから、前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域、及び前記絶対値差分が前記領域判定閾値以上の第2領域を抽出する処理と、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記第1領域の画素値から、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームの画像を生成する処理とを含み、
前記動きベクトルを探索する処理は、さらに前記補間対象ブロック上の前記第2領域に対応する領域についての前記動きベクトルを探索することを特徴とするフレーム補間処理をコンピュータに行わせるためのプログラム。 - 画像の時間的に隣接する第1参照フレームと第2参照フレームとの間の補間フレームを分割した複数の補間対象ブロック毎に、該補間対象ブロックを中心として幾何対称的に前記第1参照フレームと前記第2参照フレームとの間の動きベクトルを順次探索する動き探索部と、
前記第1参照フレーム及び第2参照フレーム中の前記動きベクトルによって対応付けられる第1画像ブロック及び第2画像ブロックの相対応する画素対間の絶対値差分を画素値として持つ複数の画素を含む第3画像ブロックを生成し、該第3画像ブロック中の候補閾値より小さい画素値を有する一致画素について(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)を評価関数として求め、前記(一致画素の絶対値差分の平均値)/(一致画素数)に対する前記候補閾値の最適化問題を解くことにより領域判定閾値を決定する閾値決定部と、
前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記絶対値差分が前記領域判定閾値より小さい第1領域の画素値について前記動きベクトルを用いて動き補償を行うことにより、前記補間対象ブロック上の前記第1領域に対応する領域の画素値を求めて前記補間フレームの画像を生成する動き補償部と、
前記補間フレームの画像と第1参照フレーム及び第2参照フレームの画像を表示する表示部とを具備し、
前記動き探索部は、さらに前記補間対象ブロック上の、前記第1画像ブロック及び第2画像ブロックのそれぞれの前記絶対値差分が前記領域判定閾値以上の第2領域に対応する領域についての前記動きベクトルを探索することを特徴とする画像表示システム。
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