JP4078539B2 - 酸素検知剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素検知剤組成物に関する。より詳しくは酸素の有無あるいは濃度を色の変化により識別でき、しかも光および熱に対して安定な酸素検知剤組成物、該組成物からなる酸素検知剤及び酸素検知インキ顔料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、酸化還元により可逆的に色が変わる有機色素を利用した酸素検知剤が提案されている。チアジン染料あるいはアジン染料、オキサジン染料などの有機色素と還元剤および塩基性物質とからなる固形状の酸素検知剤が知られている。(特許文献1および特許文献2)また、チアジン染料等と還元性糖類とアルカリ性物質とを樹脂溶液中に溶解もしくは分散させた酸素インジケーターインキ組成物が知られている。(特許文献3)市販の酸素検知剤(例えば、商品名:エージレスアイ、三菱瓦斯化学(株)製)は、透明な包装容器内の酸素濃度が0.1容量%未満の脱酸素状態であることを簡便に色変化で示す機能製品であり、脱酸素剤(例えば、商品名:エージレス、三菱瓦斯化学(株)製)と共に食品の鮮度保持および医療医薬品の品質保持等に使用されている。
【特許文献1】
特開昭53−117495号公報
【特許文献2】
特開昭53−120493号公報
【特許文献3】
特開昭56−84772号公報
【0003】
しかしながら、従来の酸素検知剤は、耐光性および耐熱性が不十分で、例えば、光照射下では退色したり変色機能が低下することがあり、また、高温下では褐色化したり変色機能が低下することがあるため、鮮明な色彩を長期間維持するためには遮光下かつ低温下で保存しなければならない欠点を有していた。特にこの傾向は酸素検知機能を有するインキで印刷した酸素検知剤の場合に顕著である。
また、従来の酸素検知剤は不透明であるために、内容物である食品あるいは医療医薬品を覆い隠してしまい、内容物が見え難い場合があるという欠点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐光性および耐熱性を有する酸素検知剤組成物を提供することにある。また、錠剤状の酸素検知剤および酸素検知インキ顔料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決する方法を検討した結果、層状ケイ酸塩、カチオン界面活性剤、有機色素および還元剤を混合して得られた複合体、または、さらに塩基性物質を含む複合体からなる酸素検知剤組成物が、耐熱性および耐光性が優れることを見出した。さらに、層状ケイ酸塩の層間にカチオン界面活性剤、有機色素および還元剤を挿入した複合体、または、さらに塩基性物質を含む複合体からなる酸素検知剤および酸素検知インキ用顔料が耐光・耐熱性に優れるだけでなく、透明あるいは半透明であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の酸素検知剤組成物においては、カチオン界面活性剤、有機色素、還元剤および層状ケイ酸塩、または、カチオン界面活性剤、有機色素、還元剤、塩基性物質および層状ケイ酸塩が構成物質として含まれることが必須である。また、カチオン界面活性剤、有機色素および還元剤、または、カチオン界面活性剤、有機色素、還元剤および塩基性物質が層状ケイ酸塩の層間に挿入されていることが好ましい。
【0007】
本発明で用いられるカチオン界面活性剤とは、その分子がカチオン原子と親油基とで構成されおり、水中で電離して有機陽イオンとなる界面活性剤のことである。代表例として、四級アンモニウム塩が挙げられるが、この中でも少なくとも1個の親油基を含む4個の炭素基が窒素に結合した状態の四級アンモニウム塩が好ましい。
【0008】
この親油基は、油との親和性が強く、水との間の相互作用が非常に小さな無極性の原子団であって、例えば、鎖状および環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化アルキル基、オルガノシリコーン基、フッ化炭素基などが挙げられる。
【0009】
本発明で用いられるカチオン界面活性剤としては、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどが好ましいものとして挙げられる。
【0010】
本発明で用いられる有機色素は、分子内に動きやすいπ電子を有する長い共役二重結合系を含んでいる芳香族化合物であって、酸化還元により可逆的に色彩が変わる化合物である。本発明の有機色素として、酸化還元指示薬、あるいはチアジン染料、アジン染料、オキサジン染料、インジゴイド染料、チオインジゴイド染料などが好適に用いられる。例えば、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、メチレングリーン、バリアミンブルーB、ジフェニルアミン、フェロイン、カプリブルー、サフラニンT、インジゴ、インジゴカルミン、インジゴ白、インジルビンなどが挙げられる。好ましくは、メチレンブルーに代表されるチアジン染料である。
【0011】
本発明で用いられる還元剤は、酸素濃度が大気中より低い条件下で上記の有機色素を還元する化合物であって、例えば、グルコース、フルクトース、キシロースなどの単糖類、マルトースなどの還元性二糖類、アスコルビン酸およびその塩、亜ジチオン酸およびその塩、システインおよびその塩などが挙げられる。
【0012】
還元剤の還元活性を高めるために、更に、塩基性物質を加えることが望ましい場合がある。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物や炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩などが選択できる。塩基性物質を加える場合は、層状ケイ酸塩1重量部に対して、0.001重量部〜10重量部が好ましく、0.01重量部〜1重量部がより好ましい。
【0013】
本発明で用いられる層状ケイ酸塩は、原子(イオンを含む。以下同じ)団が平面上に配列してシート構造をつくり、この平面に平行してシート構造の繰り返しが見られる層状構造を有するケイ酸塩である。そして、ケイ素原子、アルミニウム原子および酸素原子からなる四面体シートとアルミニウム原子、マグネシウム原子、酸素原子、および水素原子からなる八面体シートとが、1対1あるいは2対1に組み合った層からなる無機層状化合物である。
【0014】
更に、四面体シートには、上記原子以外に鉄原子を含む場合があり、八面体シートには、鉄原子、クロム原子、マンガン原子、ニッケル原子又はリチウム原子を含む場合がある。上記層状ケイ酸塩の層間には、水分子の他、カリウムイオン、ナトリウムイオン又はカルシウムイオンなどの陽イオンが交換性陽イオンとして存在し得る。
【0015】
本発明で用いられる層状ケイ酸塩の種類としては、スメクタイト族であることが好ましく、例えば、モンモリロナイトおよびバイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の天然のスメクタイト族に属する層状ケイ酸塩(天然スメクタイト)が挙げられる。この他、無機化合物を出発原料として水熱合成された、スメクタイト族に属する層状ケイ酸塩(合成スメクタイト)を使用することもできる。中でも好ましい層状ケイ酸塩は、合成スメクタイトである。
【0016】
本発明の酸素検知剤組成物において、カチオン界面活性剤、有機色素及び還元剤と層状ケイ酸塩との仕込み量的条件は、層状ケイ酸塩1重量部に対して、カチオン界面活性剤は、0.1重量部〜100重量部、好ましくは、0.5〜50重量部、より好ましくは、1重量部〜10重量部である。同様に、有機色素は、層状ケイ酸塩1重量部に対して、0.001重量部〜10重量部、好ましくは、0.01重量部〜1重量部である。同様に、還元剤は、層状ケイ酸塩1重量部に対して、0.01重量部〜200重量部、好ましくは、0.1重量部〜100重量部である。
【0017】
本発明の酸素検知剤組成物は、層状ケイ酸塩の水分散液と、カチオン界面活性剤、有機色素、還元剤及び任意成分である塩基性物質を溶解した水溶液を混合することにより得ることができる。
本発明の酸素検知剤組成物は、カチオン界面活性剤、有機色素、還元剤及び任意成分である塩基性物質が層状ケイ酸塩の層間に挿入された複合体であることが、必ずしもこれに限定されないが、好ましい態様である。色素等が層状ケイ酸塩の層間に挿入されているかどうかは、X線回折、または、層状ケイ酸塩の層間に挿入されたカチオン界面活性剤による色素と還元剤の近接化に基づく変色機能の発現により確認できる。
【0018】
本発明の酸素検知剤組成物を無機物と混合させることにより、形状が粉末状である酸素検知剤を得ることができる。無機物としては、ゼオライト等の公知の無機物が使用でき、特に炭酸マグネシウム等の塩基性無機物が好ましい。無機物の使用量は、層状ケイ酸塩1重量部に対して、50〜500重量部が好ましい。
【0019】
さらに、本発明の酸素検知剤組成物を無機物と混合した後、これを打錠することで、錠剤形状とすることができる。また、本発明の酸素検知剤組成物のアルカリ性水溶液を紙・布・糸などに含浸することにより、フィルム状、シート状、糸状形態にすることができる。
また、従来の酸素検知剤を製造する際に用いる水のかわりに、固体状の層状ケイ酸塩を分散または溶解させた水溶液を用い、カチオン界面活性剤を添加することで、従来の酸素検知剤と同様の製造工程にて製造することができる。
【0020】
カチオン界面活性剤の層状ケイ酸塩の層間への挿入は、層状ケイ酸塩の層と層の間に存在する交換性陽イオンをカチオン界面活性剤と交換することにより実施することができる。そのため、カチオン界面活性剤が使用される。有機色素または還元剤は、それがカチオンの場合には層状ケイ酸塩の交換性陽イオンと交換することにより層間に挿入できる。有機色素または還元剤が非イオン性の場合にはカチオン界面活性剤と同伴させることにより層間に挿入できる。塩基性物質はカチオン界面活性剤と同伴させることにより層間に挿入できる。
【0021】
カチオン界面活性剤、有機色素および還元剤が層状ケイ酸塩の層間に挿入されると、層状ケイ酸塩の層間距離が拡大する。層間挿入の確認は、例えば、X線回折分析法により層状ケイ酸塩の層間距離を測定することにより行われる。
【0022】
本発明の酸素検知剤は、層状ケイ酸塩の水分散液とカチオン界面活性剤、有機色素、還元剤及び任意成分である塩基性物質を溶解した水溶液を混合した後、ろ過あるいは遠心分離により水から分離し、乾燥することにより薄膜状、または塊状の固体として得られる。また、固体状の層状ケイ酸塩と固体状あるいは液体状のカチオン界面活性剤、有機色素および還元剤を乳鉢等を用いて混合しても同様に固体として得られる。この際、必要に応じて少量の水やアルコールなどの溶媒を加えても良い。このようにして得られた酸素検知組成物はケイ酸塩の層間が拡大していることがX線回折により確認されている。
【0023】
酸素検知剤組成物は、それ自体が固体の顔料となるので、そのまま又はフィルム等に成形して使用できる。あるいは、他の固体に分散又は他の固体と混合成形して錠剤、シート状、フィルム状、その他の形状を有する酸素検知剤とすることができる。また、酸素検知インキ用顔料として、溶剤・バインダー等と混合して酸素検知インキとすることができ、この酸素検知インキを紙またはプラスチックテープ等の上に、文字、図形または絵柄等として塗布または印刷すること等により、酸素の存在(又は不在)の表示を行なう酸素検知体とすることができる。さらに、前記酸素検知インキを、ガスバリア性容器の内側面または脱酸素剤表面等の上に、文字、図形または絵柄等として印刷することにより、容器内の酸素の存在(又は不在)を外部から視認することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0025】
実施例1
層状ケイ酸塩である合成スメクタイト(商品名:スメクトンSA、クニミネ工業(株)製、以下「スメクタイト」と略称する)の5.0g/L水分散液20mLに、メチレンブルー0.01g、D−(+)−グルコース1.0g及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド0.18gが溶解している水溶液10mLを混合し、炭酸マグネシウム25gに含浸させ、青色粉末状の酸素検知剤を得た。
この青色粉末状の酸素検知剤を用いて以下の変色試験を行った。すなわち、市販の脱酸素剤(商品名:エージレスSA、三菱瓦斯化学(株)製)とともにガスバリア性容器内に密封保存し、ジルコニア式酸素濃度計を用いて容器内酸素濃度を追跡した。容器内酸素濃度が0.1容量%未満の脱酸素雰囲気になるのとともに、酸素検知剤は青色から白色になり、開封による空気曝露により速やかに再び青色になった。繰り返しこの操作を行ったところ、この色調変化は、酸素濃度により可逆的な変化であった。
【0026】
実施例2
スメクタイトの5.0g/L水分散液20mLに、メチレンブルーの0.01g、D−(+)−グルコース1.0g及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド0.36gが溶解している水溶液5mLを混合し、0.1NのNaOHを滴下してpH11.0に調整した後、濾紙に含浸させ青色シート状の酸素検知剤を得た。
この青色シート状の酸素検知剤の組成は、スメクタイトの交換性陽イオンの電荷当量1.0に対して、セチルトリメチルアンモニウムブロミドは1.2モル、メチレンブルーは0.056モル、D−(+)−グルコースは8.6モルであった。
【0027】
この青色シート状の酸素検知剤を用いて実施例1と同様の変色試験を行った。ガスバリア性容器内が酸素濃度0.1容量%未満の脱酸素雰囲気になるのとともに、酸素検知剤はほぼ白色になり、開封による空気曝露により速やかに再び青色になった。繰り返しこの操作を行ったところ、この色調変化は、酸素濃度により可逆的な変化であった。
【0028】
実施例3
スメクタイト5.0g/L水分散液15mLに、メチレンブルー0.03g、フロキシン0.02g、キシロース2.5g及びセチルトリメチルアンモニウムクロリド0.32gが溶解している水溶液15mLを混合し、炭酸マグネシウム50gに含浸させた後、錠剤型に成形し、青紫色錠剤型の酸素検知剤を得た。
得られた青紫色錠剤型の酸素検知剤の光照射劣化加速試験を行った。すなわち、得られた酸素検知剤に、蛍光灯を光源とする5000ルックスの可視光を25℃、60%RH、空気下にて照射し、可視分光光度計で有機色素成分の濃度変化を追跡することにより耐光性を評価した。蛍光灯照射96時間後も極大吸収波長約650nmのメチレンブルー濃度は、全く減少していなかった。
【0029】
比較例1
市販の錠剤型の酸素検知剤(商品名:エージレスアイC、三菱瓦斯化学(株)製エ)に、実施例3と同様に蛍光灯を光源とする5000ルックスの可視光を25℃、60%RH、空気下にて照射して光照射劣化加速試験を行った。エージレスアイCの極大吸収波長約650nmのメチレンブルー濃度は、蛍光灯照射開始96時間後、25%減少していた。
【0030】
実施例4
実施例3にて得られた青紫色錠剤型の酸素検知剤を用いて、60℃、60%RH、脱酸素雰囲気下における加熱劣化加速試験を行った。すなわち、得られた錠剤型酸素検知剤をガスバリア性容器内が酸素濃度0.1容量%未満の脱酸素雰囲気に密封し、60℃、60%RH下に保管し、耐熱性を評価した。評価は、保管試料を空気下に戻した後、可視分光光度計を用いて有機色素成分の濃度変化を追跡した。加熱劣化加速試験開始10日後も極大吸収波長650nmのメチレンブルー濃度は、全く減少していなかった。
【0031】
比較例2
市販の錠剤型の酸素検知剤(商品名:エージレスアイC、三菱瓦斯化学(株)製)を用いて、実施例4と同様に60℃、60%RH、脱酸素雰囲気下に保管し、加熱劣化加速試験を行った。評価は、保管試料を空気下に戻した後、可視分光光度計を用いて有機色素成分の濃度変化を追跡した。エージレスアイCの極大吸収波長650nmのメチレンブルー濃度は、3日後10%減少し、10日後には17%減少していた。
比較例3
セチルトリメチルアンモニウムクロリドを添加しないこと以外は、実施例3と同様にして錠剤を得た。この錠剤を実施例1と同様にして変色試験を行ったところ、ガスバリア性容器内が酸素濃度0.1容量%未満の脱酸素雰囲気になってから、24時間後でも脱酸素状態を示すピンク色にならず、酸素検知性を示さなかった。
実施例5
層状ケイ酸塩である合成スメクタイト(スメクトンSA)の5.0g/L水分散液20mL、メチレンブルーの0.51mmol/L水溶液10mL、L−(+)−アスコルビン酸0.18g及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド0.18gが溶解している水溶液5mLを混合し、超音波を30分間照射し、遠心分離操作により青色で半透明な塊状の酸素検知剤を得た。
この青色半透明な塊状の酸素検知剤を用いて以下の変色試験を行った。すなわち、市販の脱酸素剤(商品名:エージレスSA、三菱瓦斯化学(株)製)とともにガスバリア性容器内に密封保存し、ジルコニア式酸素濃度計を用いて容器内酸素濃度を追跡した。容器内酸素濃度が0.1容量%未満の脱酸素雰囲気になるのとほとんど同時に、酸素検知剤はほぼ無色半透明になり、開封による空気曝露により速やかに再び青色半透明になった。繰り返しこの操作を行ったところ、この色調変化は、酸素濃度により可逆的な変化であった。
【0032】
実施例6
スメクタイトの5.0g/L水分散液20mL、メチレンブルーの0.5mmol/L水溶液10mL、D−(+)−グルコース0.18g及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド0.36gが溶解している水溶液5mLを混合し、超音波を30分間照射し、0.1NのNaOHを滴下してpH11.0に調整した後、孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いて吸引ろ過して青色透明な薄膜状の酸素検知剤を得た。
この青色透明な薄膜状の酸素検知剤の組成は、スメクタイトの交換性陽イオンの電荷当量1.0に対して、セチルトリメチルアンモニウムブロミドは1.2モル、メチレンブルーは0.056モル、D−(+)−グルコースは4.3モルであった。
【0033】
この青色透明な薄膜状の酸素検知剤を用いて実施例1と同様の変色試験を行った。ガスバリア性容器内が酸素濃度0.1容量%未満の脱酸素雰囲気になるのとほとんど同時に、酸素検知剤はほぼ無色透明になり、開封による空気曝露により速やかに再び青色透明になった。繰り返しこの操作を行ったところ、この色調変化は、酸素濃度により可逆的な変化であった。
【0034】
この青色透明な薄膜状の酸素検知剤の層間距離は、X線回折分析法により、2.60nmと測定され、原料のスメクタイトの層間距離は1.31nmと測定された。メチレンブルーとD−(+)−グルコース、セチルトリメチルアンモニウムブロミドによる処理前後の層間距離が、1.31nmから2.60nmに増大したので、これらが層間に挿入されたことが示された。なお、層状ケイ酸塩の層間に有機物を挿入した層間化合物は、熱処理により層間に挿入した有機物を除くことができる。この青色透明な薄膜状の酸素検知剤の層間距離は、空気下400℃での2hの熱処理によって、原料のスメクタイトとほぼ等しい1.32nmになった。
【0035】
実施例7
層状ケイ酸塩である合成スメクタイトが0.2meq/L、メチレンブルーが0.01mmol/L、セチルトリメチルアンモニウムクロリドが1.0mmol/L、L−(+)−アスコルビン酸が2.0mmol/L含まれる水分散液100mLを、直径35mmで孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、青色透明な薄膜状の酸素検知剤を得た。
得られた青色透明な薄膜状の酸素検知剤の光照射劣化加速試験を行った。すなわち、得られた酸素検知剤をスライドガラス上に移し、これにキセノンランプを光源とする波長390nm以上の可視光を照射し、可視分光光度計で有機色素成分の濃度変化を追跡することにより耐光性を評価した。可視光照射時間に従い、極大吸収波長約650nmのメチレンブルー濃度が減少し、光照射30分後に光照射前の約50%に減少した。なお、照射した可視光の波長500nmにおける光量が4.14W、室内蛍光灯下の光量が0.2mWであったことから、本実施例におけるキセノンランプによる30分間の光照射は、通常の室内蛍光灯による430日間の光照射に相当する。
【0036】
比較例4
市販の錠剤型の酸素検知剤(商品名:エージレスアイC、三菱瓦斯化学(株)製)に、実施例3と同様にキセノンランプを光源とする可視光を照射して、光照射劣化加速試験を行った。エージレスアイCの有機色素成分の濃度は、光照射5分後に光照射前の約50%に減少した。キセノンランプによる5分間の光照射は、通常の室内蛍光灯による72日間の光照射に相当する。
【0037】
比較例5
酸素検知機能を有するインキで印刷した酸素検知剤(商品名:ペーパーアイUYR、三菱瓦斯化学(株)製)に、実施例3と同様にキセノンランプを光源とする可視光を照射して、光照射劣化加速試験を行った。ペーパーアイUYRの有機色素成分の濃度は、光照射0.08分後に光照射前の約50%に減少した。キセノンランプによる0.08分間の光照射は、通常の室内蛍光灯による1日間の光照射に相当する。
【0038】
実施例8
スメクタイトの5.0g/L水分散液200mL、メチレンブルーの0.16g/L水溶液100mL、セチルトリメチルアンモニウムクロリドの64g/L水溶液25mLを混合した後に、L−(+)−アスコルビン酸1.8gを加えて混合し、孔径0.45μmのメンブランフィルターを用いての吸引ろ過により青色透明な薄膜状の酸素検知インキ顔料を得た。
【0039】
この酸素検知インキ顔料と、ロジンのペンタエリスリトールエステル3.8g、プロピレングリコールモノエチルエーテル1.3g、ミネラルスピリット1.3g、粘土2.0gを混合して酸素検知インキとした。この酸素検知インキを用いて青色の絵文字を上質紙にスクリーン印刷し、印刷物を市販の脱酸素剤(商品名:エージレスSAPE、三菱瓦斯化学(株)製)および含水綿布と共に、透明な気体非透過性容器に密封した。青色絵文字は3日以内にほぼ無色になり、空気曝露により40分以内に元の青色に戻った。本発明の酸素検知インク顔料の印刷適性と酸素検知能を有することが示された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、光および熱に対して安定性が改善された酸素検知剤組成物が提供される。
本発明の酸素検知剤組成物は、形状が粉末状の酸素検知剤、これを打錠してなる酸素検知剤錠剤、紙、布もしくは糸に含浸させた酸素検知剤、または、これを含有する酸素検知インキを塗布または印刷した酸素検知体として、食品の保存および医療医薬品の品質保持の分野において極めて高い価値を有する。
また、本発明によれば、内容物を覆い隠すことなく、内容物の視認性が良い、透明あるいは半透明な固形状の酸素検知剤が提供される。

Claims (10)

  1. 層状ケイ酸塩、カチオン界面活性剤、有機色素および還元剤を必須成分として混合してなり、前記層状ケイ酸塩の層間にカチオン界面活性剤、有機色素および還元剤が挿入された複合体からなる酸素検知剤組成物。
  2. 前記層状ケイ酸塩が、スメクタイト族から選ばれた層状ケイ酸塩である請求項1記載の酸素検知剤組成物。
  3. 前記層状ケイ酸塩1部に対して前記カチオン界面活性剤が0.1〜100部である請求項1記載の酸素検知剤組成物。
  4. さらに塩基性物質を含有する請求項1または2記載の酸素検知剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素検知剤組成物を無機物と混合してなる酸素検知剤。
  6. 請求項5記載の酸素検知剤を打錠してなる錠剤状の酸素検知剤。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素検知剤組成物を紙、布または糸に含浸させてなる、酸素検知剤。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素検知剤組成物からなる酸素検知インキ用顔料。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸素検知剤組成物を含有する酸素検知インキ。
  10. 請求項9記載の酸素検知インキを塗布または印刷してなる酸素検知体。
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