JP4076580B2 - 外膜多糖免疫調節剤 - Google Patents

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Description

本発明は、細菌感染または雑菌混入に伴う膿瘍形成に対して被験者を予防する免疫調節剤および方法に関する。
結腸の細菌の腹膜内への漏出に伴って起こる一般的な合併症の一つは、腹内敗血症および膿瘍形成である。膿瘍とは、外科処置、外傷、または虫垂炎または癌などの疾病の間に起きる腹膜腔内への細菌感染または雑菌混入に応答して形成される、細菌、リンパ球、貧食細胞、多形核白血球、およびフィブリンの嚢胞状の集合体である。露出した体内領域への細菌の侵入は、腹膜腔、腹膜後空間、骨盤、または体内の他の空間または器官の一部の領域に起こり得る。感染組織領域は、組織構造を通過できずおよび膜で隔離された細菌を十分に排除できない抗生物質の効果があまり及ばない。膿瘍が治療されず放置された場合、それによって発熱、加療期間の延長が起き、さらにある場合には死に至る。膿瘍が破裂した場合、それによって内部の細菌が腹膜腔内へ放出され、さらにそれによって罹患者に敗血症を生じる。現在、腹部手術が行われる場合には、抗生物質の投与が予防的および術後に行われる。しかし、一度膿瘍が形成されると、主な対処法は膿瘍を除去するためのさらなる困難な手術の実施であり、これは時間と費用のかかる方法である。
例えば内腹手術などのために、膿瘍に対して罹患者を免疫化することは非実用的であった。その理由は、膿瘍形成を引き起こし得る細菌の株が余りに多く、一種類の株に対する予防は他の株に対する予防とはならないことであった。また、予防接種およびそれによる免疫応答の誘導が、何らかの特定の細菌による膿瘍形成に対して適切な予防となるかどうかも不明であった。さらに、完全な株または弱毒化した細菌をヒトに投与することに関しては困難と危険があるため、多種の多量の細菌を含む種痘を生産する努力はなされなかった。
細菌の外膜多糖は、ヒトにとって有毒ないくつかの細菌の表面を覆っていることが知られている。多糖は体液性抗体応答を引き起こすT細胞依存性抗原として同定されている。多数の多糖が免疫原性であることが知られているが、いくつかのものは最大でも極めて低い免疫原性しか持たない。
Bacteroides fragilisは腹内膿瘍から単離された、広く存在する偏性嫌気細菌である。その外膜多糖複合体(CPC)は、B.fragilisの膿瘍形成を引き起こす部位として同定された。この炭水化物複合体はB.fragilisの表面を覆っている。
単離された複合体はアジュバント(無菌盲腸内容物および硫酸バリウム)存在下で単独で宿主の免疫系と相互作用して、病原生物応答を引き起こし得る。この応答の結果、複合体を腹膜内に注入された被験者の体内に腹膜内膿瘍の完全な形成が起こる。実験はネズミのモデル系で行い、B.fragilisまたはそのCPCを腹膜内に注入した。完全なB.fragilisとCPCのいずれも、単独で腹腔内敗血症と結び付いた膿瘍形成を引き起こした。
B.fragilisのCPCをフロイントの不完全なアジュバントの存在下で用いて、続くB.fragilisによる感染および膿瘍形成に対して罹患者を免疫化することが可能かどうかが検討された。これが可能かどうかを、CPCの膿瘍形成を引き起こすという性質のみに基づいて予測することは全く不可能であった。これは、「免疫性」と膿瘍形成が関連性の低い複数の免疫応答から生じるということが知られていなかったためである。ネズミのモデル系では、CPCを皮下投与した場合、CPCを介した腹膜内膿瘍誘導に対する免疫防御能が付与されることが発見された。この多糖複合体による膿瘍形成に対する防御は、T細胞依存性宿主応答を介していることが発見された。
B.fragilisまたはCPCのいずれの皮下投与も、B.fragilisまたはCPCの攻撃に続く膿瘍形成に対して被験動物を予防するに十分であるが、そのいずれによっても、予想された通り他の細菌株に対する免疫性を付与されない。即ち、これらは通常大腸内に見られる多種の生物によって引き起こされる膿瘍形成に対する「種痘」としては利用できない。
CPCはAおよびBという名称の2つの異なった高分子量多糖からなる。各多糖は、遊離のアミノ基、カルボキシル基、およびホスホン酸基を持つ稀少構成単糖を有する異なった多糖繰返し単位からなる。多糖A(PSA)は、安定な一対の正に荷電したアミノ基および負に荷電したカルボキシル基を持つ4糖の繰返し単位を有する。多糖B(PSB)は、一対の遊離のアミノ基および負に荷電したリン酸基を持つ稀少な2-アミノエチルホスホン酸置換基を含む6糖の繰返し単位を有する。ガラクチュロン酸残基は、さらに1つの負に荷電したカルボキシル基を含む。これらの2つの糖鎖の間のイオン性相互作用によって、PSAおよびPSBは堅く結合して高分子量CPC複合体を形成する。この複雑な外膜のモチーフは、現在までに調査された全てのB.fragilis株で保存された特徴である。
多種の細菌株による感染から派生する膿瘍形成に対して宿主生物を防御し得る薬剤組成物を入手することは、極めて望ましいと考えられる。
発明の概要
宿主において膿瘍形成の素因となる外科処置、外傷、または疾病から派生する膿瘍形成に対する防御のための方法および生産物が提供される。また、免疫調節剤およびそれに関する製剤の生産法が提供される。
特殊な構造モチーフを有するポリマーが、膿瘍誘導能を持つ細菌の攻撃に対して防御能を持つことが発見された。このモチーフは、1つの繰返し単位当たり正に荷電した1つの遊離のアミノ基および1つの負に荷電した基を含む。このようなポリマーは、「異種間防御」を誘導することができる。即ち、一種類のポリマーによって、多種の細菌による膿瘍形成に対する防御能が付与され得る。
宿主における膿瘍形成の素因となる外科処置、外傷、または疾病から派生する膿瘍形成に対する防御能を付与する方法が提供される。腹内手術に際して、または素因条件の提示に際して、被験者に薬剤組成物が投与される。この製剤は、膿瘍形成に対する防御能を誘導するために有効量の、B.fragilisのPSAに特徴的な荷電モチーフの繰返し単位を有するポリマーを含む。このモチーフは、1つの正に荷電した遊離のアミノ基および、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基からなるグループから選択される1つの負に荷電した基である。ポリマーは、最大10糖の繰返し単位から形成される多糖であり得る。好ましくは、負に荷電した基はカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基である。このポリマーは、B.fragilisのCPCの一部としての複合構造からは独立している。
好ましくは、多糖は最大5糖の繰返し単位から形成される。このような多糖は自然に存在し、単離し得る。最も好ましくは、このような多糖の1つは、B.fragilis CPCの外膜PSAである。自然界においては、PSAはB.fragilisの外膜PSBに堅く結合した複合体の構造としてのみ存在する。このA:B CPCは、他の細菌による感染に対する異種間防御の誘導能を持たない。そのため、本発明はB.fragilisのCPCの一部としての複合構造から独立した、単離したPSAの投与を企図する。
本発明の有用な多糖はまた、必要なモチーフを有さない自然に存在する多糖から合成され得る。例えば、自然に存在する多糖のいくつかは、1つの繰返し構造につき1つの負に荷電した基および少なくとも1つのN-アセチル基を有する。このような多糖は、N-アセチル基を遊離のアミノ基に変換して必要な構造モチーフを形成するために脱N-アセチル化され得る。他の自然に存在する多糖は、遊離のアミノ基を形成するために還元され得るイミン基を含み、これは負に荷電した基とともに必要な構造モチーフを形成する。
したがって、本発明は最大10糖の繰返し単位(各単位は少なくとも1つの負に荷電した基、好ましくはカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基を含む)を有する多糖のようなポリマーを選択することによって製剤を生産する方法を企図する。各繰返し単位はまた、遊離のアミノ基を形成するために修飾され得る基を1つ含む。このような修飾されたポリマーは、薬理的に適当な担体と、好ましくは宿主における膿瘍形成の素因となる外科処置、外傷、または疾病から派生する膿瘍形成に対する防御にとって有効量となる量において混合される。
また、薬剤組成物が提供される。薬剤組成物は、最大10糖の繰返し単位を有する披修飾多糖のようなポリマーと薬理的に適当な担体を含む。各繰返し単位は、1つの遊離のアミノ基および1つの負に荷電した基、好ましくはカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、スルホン酸基を含む。このポリマーはB.fragilisのCPCの一部としての複合構造から独立したものである。好ましくは、ポリマーは細菌の多糖であり、最も好ましくは、この多糖はB.fragilis CPCの構成要素である。またPSAは、例えばヒドロキシメチル基を含むように修飾され得る。
製剤の例には、遊離のアミノ基と負に荷電した基を両方有する1量体繰返し単位、1番目の糖に負に荷電した基を有する1-4結合した2量体繰返し単位、1番目の糖に負に荷電した基を有し、遊離のアミノ基をまた1番目の糖に有し、および/または3番目の糖がアミノ基も負に荷電した基も有さない3量体繰返し単位、および好ましくはB.fragilis PSAに特徴的な3量体骨格を有する4量体繰返し単位が含まれる。
本発明の生産品の投与および方法の使用は、独立に、または本発明の製剤の一部としての免疫調節剤および/または抗菌薬と共になされ得る。好ましい免疫調節剤は、膿瘍形成に対する防御を促進するものである。有用な免疫調節剤は、アジュバント、ある種のサイトカイン阻害剤、およびある種のサイトカインを含む。このため、本発明はそのような免疫調節剤および/または抗菌薬と、本発明の有用なポリマーとを含む製剤を含む。これには、体液性B細胞応答を引き起こす免疫原として利用されていたことはあったが、膿瘍形成に対する防御のためには利用されたことがなく、免疫調節剤および/または抗菌薬と組み合せては利用されていない、自然に存在する細菌の多糖が含まれる(例えば、Streptococcus pneumoniae多糖、Trypanosoma cruziリポペプチドホスホグリカン、およびPseudomonas aeruginosaフィッシャー免疫型7 O-抗原)。
本発明の生産品および方法は、BacteroidesClostridiaFusobacteriaEnterococcusPrevotellaPorphyromonasStaphylococcusProprionobacteriaPeptostreptococcusStreptococcusVeillonellaActinomycetes、およびEscherichia coliからなるグループから選択された微生物を含む、多種の微生物による感染から派生する膿瘍形成に対する防御に有用である。この製剤は、膿瘍形成条件に暴露される前および/または後に投与され得る。非経口投与が好ましい。
本発明の細菌多糖は、おそらくT細胞の増殖を促進するものと考えられる。今までには、細菌多糖とT細胞の増殖の促進との関連が記載されたことはない。本発明は、免疫応答を促進するための生きた細菌の利用から派生する危険を回避し、さらに多種の細菌株に対する異種間防御法を提供する。さらに本発明は、通常の手術および緊急手術の両者、宿主の膿瘍形成の素因となる外傷または疾病に関連して利用され得る。本発明を、以下にさらに詳しく記載する。
発明の詳細な説明
本発明は、被験者における細菌性膿瘍形成を防御することが望ましい全ての場合に有用である。これには、通常の外科手術および緊急手術のような状況を予防するための予防処置が含まれる。選択的な手術は、次の腹内手術を含む:右部結腸切除;左部結腸切除;S字結腸切除;半完全結腸切除;完全結腸切除;腹腔鏡または開腹胆嚢フィスティル形成;胃切除;その他である。緊急手術は、次の状態を治療するためのものを含む:穿孔潰瘍(十二指腸または胃潰瘍);穿孔憩室炎;閉塞性憩室炎;穿孔虫垂炎;非貫通性腹部外傷;貫通性腹部外傷;膿瘍除去のための二次手術;その他である。また本発明は、心臓手術、傷口感染の治療手術などのような非腹内手術に際しても有用である。また本発明は、被験者において膿瘍形成の素因となる、骨盤炎、結腸炎、尿道感染、および大腸癌などの疾病に際しても有用である。即ち本発明は、事実上全ての組織または器官の膿瘍に対して有用である。例えば、一例としてニキビのような皮膚の膿瘍がある。本発明に関与する通常の当業者には、本発明が有用である状況および方法の範囲は認識されると考えられる。本明細書で用いられる被験者とは、ヒト、霊長類、馬、牛、羊、豚、山羊、犬、猫、およびネズミを意味する。
特定のポリマーが、宿主T細胞を刺激して多種の細菌にたいする防御を誘導し得ることが発見された。この防御効果はT細胞依存性であり、体液性抗体応答を介さない。そのため、本発明の製剤の投与は「予防接種」ではなく、この製剤は免疫抗原を発現する細菌に特異的な防御を介する「ワクチン」ではない。
B.fragilisの外膜PSAは、多糖A:B複合体から分離された場合、B.fragilisおよび他の細菌種の攻撃に起因する膿瘍形成に対する広範な防御能を付与し得ることが発見された。自然にはPSAはPSBとの複合体としてのみ存在するため、これは予想外のことであり、PSAがPSBから分離された状態で何らかの活性を有することは予測不可能であった。PSAはB.fragilis以外の細菌の表面には存在しないため、この防御能がB.fragilis以外の生物による感染に起因する膿瘍形成にも有効であることは、さらに驚くべきことである。即ち本発明の製剤は、多種の細菌による感染/混入に起因する膿瘍形成に対する初の「普遍的な」免疫調節剤である。即ち本発明は、腹部手術被験者、外傷患者、または宿主において膿瘍形成の素因となる疾病の罹患者に、膿瘍形成に対する防御をなすための普遍的な免疫応答を引き起こすために、安全な免疫調節剤を用いて防御処置を施す道を開くものである。
上に記載した防御能は、PSAから分離し、単離精製したB.fragilis PSBを利用することでも得られた。PSAは次の構造を有する:
Figure 0004076580
PSAおよびPSBには、これらの腹内膿瘍誘導能を媒介する特殊な構造上の特徴が存在することが決定された。荷電したアミノ基またはカルボキシル基の化学的中性化または除去によって、これらの多糖による膿瘍誘導は起こらなくなった。S.pneumoniae 1型株由来のグループ抗原または外膜多糖のような、繰返し単位は異なるが同様の荷電基の構造(即ち、少なくとも1つの遊離のアミノ基および1つの負に荷電した基)を有する他の生物由来の多糖もまた、膿瘍形成を誘導した。これらの多糖の正に荷電した基と負に荷電した基のどちらも、これらの多糖の膿瘍形成誘導能および動物における膿瘍形成の防御能を調節する。PSAまたはPSBでの処理は、PSA、PSBまたはS.pneumoniae 1型外膜多糖の攻撃に続く膿瘍形成から動物を防御した。PSA上の正の電荷と負の電荷のどちらも、このポリマーの膿瘍形成に対する防御能付与に必須であり、いずれか一方の電荷を中和すると防御は起こらなかった。膿瘍形成に対するPSAおよびPSBの防御能付与は、T細胞を介する。
本発明の有用な多糖は、必要な荷電基を有する自然に存在するものを含む。これらは、細菌材料に由来し得る。外膜多糖を得るための出発材料として利用される細菌は、多所から商業的に入手し得る。例えば、B.fragilis NCTC 9343およびATCC 23745はNational Collection of Type Cultures(ロンドン、英国)およびAmerican Type Culture Collection(ベテスダ、MD)から入手し得る。PSAおよびPSBは、Pantosti et al.,Infection and Immunity 59:2075-2082(1991)の方法に従って前述の細菌から精製され得る。
自然に存在する多糖に加えて、少なくとも1つのN-アセチル糖および少なくとも1つのウロン酸(負に荷電したカルボキシル基を有する糖)を含む繰返し単位からなるものも、本発明の免疫応答を誘導するために修飾され得る。少なくとも1つのN-アセチル糖および少なくとも1つのウロン酸を含む多糖繰返し単位は、正しい荷電モチーフを有するポリマーを産生する遊離のアミノ基を形成するために、脱N-アセチル化され得る。脱N-アセチル化され得る分子は、S.typhi外膜多糖(Vi抗原)、E.coli K5外膜多糖、Staphylococcus aureus 5型外膜多糖、グループB Streptococcus 3型外膜多糖、およびRhizobium meliloti外部多糖IIを含む。
遊離のカルボキシル基に加えてイミン基(C=NH)を有する細菌多糖は、本発明に従って修飾および利用され得る。P.aeruginosa O-特異的側鎖の多くはイミン基を有する。イミン基は、遊離のアミノ基(NH3 +)を産生するために水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)で還元し得る。水素化ホウ素ナトリウムで還元され得る化合物の一例は、P.aeruginosa フィッシャー7である。
重要な多糖抗原の1つは、各繰返し単位のガラクトフラノース側鎖上にカルボニル基(C=O)を選択的に産生するために最初に0.01M過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)による酸化を受け(Paoletti et al., Journal of Clinical Investigation 89:203-209(1992))、このカルボニル基をヒドロキシメチル基(CH2OH)に転換するために次に水酸化ホウ素ナトリウムのような還元剤による反応を受けて一部修飾されたB.fragilis由来の外膜PSAである。
本発明に有用なポリマーの大きさは多岐に渡る。500から20,000,000ダルトンの多糖が典型的である。本発明に有用な多糖はまた、多種の多糖の混合物から入手し得る。
自然に存在する多糖は、本発明に有用な免疫調節剤を産生するために修飾され得る。S.typhiは、ガラクトサミンウロン酸の1量体の繰返しのみからなる外膜多糖(Vi抗原)を有する。この酸は、1つのカルボキシル基および1つのN-アセチル基を含む。このN-アセチル基は、各1量体の繰返し単位が正に荷電した基と負に荷電した基の両方を有するようになるための遊離のアミノ基を産生するために修飾され得る。
複合体である多糖が存在し、本発明に有用な免疫調節剤を産生するために修飾され得る。E.coli K5の外膜多糖は、1-4結合したグルクロン酸およびグルコサミンの複合体の繰返し単位からなる。グルクロン酸はカルボキシル酸基を、グルコサミンはN-アセチル基を有し、このN-アセチル基は遊離のアミノ基を形成するために修飾され得る。このように修飾された場合、(1番目の糖に)負に荷電した基と(2番目の糖に)遊離のアミノ基の両方を有する1つの複合体繰返し単位が形成される。
3量体の繰返し単位からなる多糖が存在し、本発明に有用な免疫調節剤を産生するために修飾され得る。S.aureus 5型外膜多糖はマンノサミンウロン酸-フコサミン-フコサミンの3量体の繰返し単位からなる。マンノサミンウロン酸は1つのカルボキシル酸基を有し、フコサミンは遊離アミノ基を形成するために修飾され得るN-アセチル基を有する。そのように修飾された場合、(1番目の糖に)負に荷電した基と(2および3番目の糖に)正に荷電した基を有する1つの3量体繰返し単位が形成される。同様に、P.aeruginosa O-抗原は、本発明に有用な免疫調節を産生するために修飾され得る。この例は、カルボキシル酸基および遊離のアミノ基を産生するために修飾され得るイミン基を有する3量体を含む。フィッシャー免疫型7、Lanyi-Bergan O2a、O2b、およびLanyi-Bergan O2dおよび2fは、1および2番目の糖にカルボキシル酸基を、1番目の糖にイミン基を持つ3量体繰返し単位からなる多糖を有する(3番目の糖には荷電基が存在しない;また全ての糖にはN-アセチル基が存在する)。例えば、1番目の糖は遊離のアミノ基とカルボキシル酸基の両方を有するように修飾され得る。同様に、N-アセチル基は本発明に有用な別の構造を産生するために修飾され得る。
4量体および5量体のようにより長い繰返し単位を有する多糖もまた、上に記載したように修飾され得る。10量体までの繰返し単位が本発明に有用であると考えられる。さらに、側鎖糖を含む繰返し単位が同様に有用であり、これには遊離のアミノ基および負に荷電した基の1つまたは両方がそのような側鎖上に存在するものも含まれる。さらに、一般的には繰返し単位の骨格は糖のみからなるが、荷電した基を有するこのような側鎖は糖でなくともよい。
繰返し単位は3つ以下の遊離のアミノ基、好ましくは2つ以下のそのような基しか含まないことが好ましい。また、遊離の各アミノ基に対して少なくとも1つの負に荷電した基が存在することが好ましい。
さらに出発材料は、細菌材料由来である必要はない。カルボキシル酸基およびN-アセチル基またはイミン基を有する自然のまたは合成のいかなる多糖も、上に記載した通りに修飾され得る。
一例の学術名および構造式は次の通りである。しかし、本発明は以下の例に限定されるものではない。化学式では、次の省略名を用いた:AAT=2-アセトアミド-4-アミノ-2,4,6-トリオキシ-D-ガラクトース;A=ウロン酸;NAc=N-アセチル基;p=ピラノース;AEP=2-アミノエチルホスホン酸;COO-=カルボキシレート;OAc=O-アセチル基。N-アセチル基を有する多糖:
Figure 0004076580
脱N-アセチル化は、当業者には既知の慣用的な化学技術で達成し得る。1つの適当な方法は、水素化ホウ素ナトリウム存在下または非存在下でのアルカリの利用を含む。20mgの多糖を2M NaOH(3ml)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウムを加える(50mg)。この溶液を100℃で5時間加熱する。つぎに酸で中和し、溶液を冷水に対して透析し、凍結乾燥させる。DiFabio,J.L.,Michon,F.,Brisson,J.R.,Jennings,H.J.,Wessels,M.R.,Benedi,V.J., Kasper,D.L.,Structure of the capsular polysaccharide antigen of type IV group B Streptococcus. 1989.Canadian Journal of Chemistry,67:877-882.
イミン基(C-NH)を含む多糖においては、遊離のアミノ基は当業者には既知の慣用的な化学技術で形成し得る。1つの適当な方法は、水素化ホウ素ナトリウムの利用を含む。遊離のアミノ基を産生するために、イミン基は水素化ホウ素ナトリウムで還元され得る。これは、滅菌水に溶解した多糖に過剰の5mgの水素化ホウ素ナトリウムを加え、室温で2時間撹拌することによってなされる。この混合液を水に対して透析し、凍結乾燥させる。ここでも上述の還元反応の参考文献が同様に適用される。
自然に存在する多糖はまた、修飾されずに本発明の方法および本発明の薬剤組成物において利用され得る。一部の例は次の通りである:
Figure 0004076580
糖骨格のみを有するのではないが、本発明に有用であると考えられる多糖はT.cruziの脂質ペプチドホスホグリカンである:
Galf-β-(1→3)−α-Manp(12)-α-
Manp(16)[Galf]-α-,Manp](14)GlcpNH2[2-AEP]-イノシトール−リン酸セラミド
修飾せずに利用され得る自然に存在する多糖はまた、遊離のアミノ基、負に荷電した基、または他の部分を含む種々の部分を選択的に付加、除去または修飾するために修飾してもよい。この例には、存在するN-アセチル基またはイミン基を修飾して遊離のアミノ基を形成すること、またはアルコール基からヒドロキシメチル基を形成することなどが含まれる。
本発明に有用な多糖は、商業的な材料から入手し得、または細菌、真菌、海草、およびその他の自然の材料から単離・入手し得る。以下は、細菌の多糖およびそのような多糖の単離および調製を詳述した参考文献の一覧である。
S.typhi capsule (Vi抗原),Szu, S.C., X. Li, A.L. Stone and J.B.Robbins, Vi外膜多糖の構造と免疫学的性質の関係(Relation between structure andimmunlogic properties of the Vi capsular polysaccharide), Infection and Immunity, 59:4555-4561(1991)
E. coli K5 capsule, Vann, W., M.A. schmidt, B. Jann and K. Jann,尿道感染性E.coli, 010:K5:H4の外膜多糖(K5抗原)の構造:デスルホ−ヘパリンと類似のポリマー(The structure of the capsular polysaccharide(K5 antigen)of urinay tranct infective E.coli, 010:K5:H4. A polymer similar to desulfo-heparin), Eur. J. of Biochem. 116:359-364(1981)
S. Aureus type 5 capsule, Fournier, J.-M., K.Hannon, M.Moreau, W.W.Karakawa and W.F.Vann, S.aureusからの5型外膜多糖の単離(Isolation of type 5 capsular polysaccharide from S.aureus), Ann. Inst. pasteur/Microbiol.(Paris), 138: 561-567(1987)
R.melilotiエクソポリ多糖II, Glazebrook, J. and G.C.Walker, R. melioltiによるアルファルファへの根瘤着生におけるカルコフルオル結合エクソポリ多糖の代わりに機能できる新規エクソポリ多糖(a novel expolysaccharide can function in place of the calcofluor-binding exopolysaccharide in nodulationof alfalfa by R. meliolti), Cell 65: 661-672(1989)
Group B streptococcus type III, Wessels, M.R., V. Pozsgay, D.L. Kasper and H.J. Jennings, III型グループBストレプトコッカスの外膜多糖のオリゴサッカライド繰り返し単位の構造および免疫化学(Structure and immunochemistry of an oligosaccharide repeating unit of the capsular polysaccharide of type III group B Streptococcus), J. of Biol. Chem. 262:8262-8267(1987)
P.aeruginosa Fisher 7 O-特異的側鎖, Knirel, Y.A., N.A. Paramonov, E.V. Vinogradov, A.S. Shashkow, B.A. N.K. Kochetkov, E.S. Stanislavsky and E.V. Kholodkova, P.aeruginosaの体抗原P.aeruginosa O3(Lanyi), 025(Wokatsch)およびFisherイムノタイプ3および7のリポ多糖のO-特異的多糖鎖の構造(Somatic antigens of P.aeruginosa The structure of O-specific polysaccharide chains of lipopolysaccharides of P. aeruginosa O3(Lanyi), 025(Wokatsch)and Fisher immunotypes 3 and 7), Eur. J. of Biochem., 167:549(1987)
S. sonnei O-特異的側鎖,Kenne,L.,B. Lindberg and K.Petersson, S.sonniフェーズIリポ多糖のO-特異的側鎖の構造研究(Structural studies of the O-specific side-chains of the S. sonnei phase I lipopolysaccharide), Carbohydrate Research, 78:119-126(1980)
S.pneumoniae type I capsule, Lindberg, B., Lindqvist, B., Lonngren, J., Powell, D.A., 1型S.pneumoniaeの外膜多糖の構造研究(Structural studies of the capsular polysaccharide from S. pneumoniae type 1), Carbohydrate Research, 78:111-117(1980)
S.pneumoniae group antigen, Jennings, H.J., C.Lugowski and N.M.Young,1型S.pneumoniaeの複合多糖C−サブスタンスの構造(Structure of the complex polysaccharide C-substance from S.peneumoniae type 1), Biochemistry, 19:4712-4719(1980)。
本発明の処方剤は、薬理的に適当な溶液として投与される。この溶液は薬理的に適当な塩、緩衝液、保存剤、相容性の担体、アジュバント、および所望により他の治療成分を含む。
外膜多糖抗原は、per se(それ自体)で、または薬剤として適当な塩の形で投与され得る。医療において使用される場合、この塩は薬剤として適当でなくてはならないが、薬理的に不適当な塩を利用して、それから薬剤として適当な塩を簡便に調製し得る。そのような塩は、以下の酸から調製されるものを一例として含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ぎ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン-2-スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、カルボン酸類のナトリウム、カリウム、カルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土金属として調製され得る。
適当な緩衝試薬は、以下を含む:酢酸および塩(1-2%W/V);クエン酸および塩(0.5-2.5%W/V);ホウ酸および塩(0.5-2.5%W/V);およびリン酸および塩(0.8-2%W/V)。適当な保存剤は塩化ベンザルコニウム(0.003-0.03%W/V);塩化ブタノール(0.3-0.9%W/V);パラベン(0.01-0.25%W/V);およびチメロサール(0.004-0.02%)を含む。
本発明の薬剤組成物は、所望により薬理的に適当な担体中に含ませた有効量のポリマーを含む。「薬理的に適当な担体」という用語は、ヒトまたは他の動物への投与に適当な、1つまたはそれ以上の相容性の固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル物質を意味する。「担体」という用語は、活性成分と組み合わされて適用に供する自然のまたは合成の有機または非有機成分を指す。また薬剤組成物の成分は、本発明のポリマーと、またはそれら自体と、望まれる薬効を実質的に損なう相互作用が起きない方法で混合することが可能なものである。
非経口投与に適当な組成物は、簡便には受容者の血液と等張の無菌水溶性試料からなる。受容し得る賦形剤および溶媒には、水、リンガー液、等張塩化ナトリウム溶液が存在する。さらに、無菌不揮発油は、溶媒または懸濁溶液として慣用的に利用される。この目的のために、合成したモノまたはジ-グリセリドを含むどのような緩和な不揮発油も利用し得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を注射可能薬の製造に利用できる。皮下、筋内、腹膜内、動脈内、その他の投与に適当な担体の処方は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company,Easton,PA.に見られる。
「アジュバント」という用語は、ポリマーと同時に投与または取り込まれ、被験者の免疫応答を強化する全ての物質を含む。アジュバントは、例えば、ゲル、水素化アルミニウム、リン酸アルミニウムのようなアルミニウム化合物、およびフロイントの完全なまたは不完全なアジュバント(アジュバント中において、ポリマーはパラフィン油乳濁液中の安定化した水の水相中に含まれる)を含む。このパラフィン油は、例えばスクアレンまたはピーナッツ油のような他の種類の油で代替し得る。他のアジュバントは、BCG(弱毒化したMycobacterium tuberculosis)、リン酸カルシウム、レバミソール、イソプリノシン、ポリアニオン(例えばポリA:U)、レンティナン、百日咳毒素、脂質A、サポニン、ペプチド(例えばムラミンジペプチド)、および土類金属塩(例えばランタンおよびセリウム)を含む。アジュバントの量は、被験者および利用する特定のポリマーに依存し、過度の実験をすることなく当業者によって容易に決定され得る。好ましいアジュバントは、T細胞を選択的に活性化するものである。T細胞応答を抑圧し得るアジュバントは回避することが望ましい。
サイトカインのようなその他の免疫調節剤は、本発明のポリマーと組み合わせて利用され得、ポリマーおよびサイトカインを含む「カクテル」が考えられる。考えられるサイトカインは、本発明のポリマーの投与によって得られる有益な効果を増強するものである。サイトカインはリンパ球を含む細胞の成長および成熟を助ける因子である。本発明の方法はT細胞を介すると考えられるため、本発明に重要であるのは、T細胞の発生の調節である。サイトカインは、直接にT細胞に作用するか、または他の細胞を介して間接的にT細胞に作用する。本発明の方法を実施することによって生体内で活性化されたサイトカイン活性は、サイトカインの付加によって増強されると考えられる。好ましいサイトカインは、膿瘍形成を阻害するインターロイキン-10である。
本発明のポリマーに関して有用な他の免疫調節剤は、膿瘍形成に関連するサイトカイン活性を阻害するものである。腫瘍壊死因子、インターフェロン、インターロイキン2のようなある種のサイトカインは、これらに特異的な抗体が膿瘍形成の阻害を促進するため、膿瘍形成に関与していると思われる。そのため、そのような抗体は、本発明のポリマーの防御活性を補強するために利用され得る。本発明のポリマーの防御活性を補強するいかなる免疫調節剤も利用され得る。
本発明で利用される前述の免疫調節剤の適量は、選択するポリマー、選択される投与量および投与の時期、投与の方法、企図されるなんらかの外科手術の性質、および被験者の性質を含む種々の因子に依存する。局部投与が実施される場合、サイトカインの場合は、生体内レベルが相応じて低いため、必要とされるのは微量である(ナノグラムまたはおそらくはピコグラム)ことは理解されよう。選択される正確な量は、過度の実験によらずに決定され得る。これは、特にいき値量は免疫応答を好ましく増強する量であるからである。そのため、投与の方法によってピコグラムからミリグラムの量が可能であると考えられるが、ナノグラムからマイクログラムがもっとも有用であると考えられる。
本発明の多糖は、それ自身がアジュバントの性質を有する。本明細書に記載する多糖がヒトの免疫応答を促進する限り、これらは他の物質と組み合わせてアジュバントとして利用され得る。
即ち、本発明は本発明のポリマーと薬理的に適当な1つまたはそれ以上の担体および必要に応じその他の付加的な治療成分からなる医療目的の薬剤組成物を提供する。
本発明に有用なポリマーは、他の抗菌剤とは別個に、または抗菌カクテルの形で投与され得る。抗菌カクテルは、本発明に有用なポリマーと抗菌剤および/または補助促進薬との混合物である。細菌感染の治療における抗菌剤の利用は、慣用的である。この態様においては、一般的な投与賦形剤(例えば錠剤、インプラント、注入可能な溶液など)は、このポリマーと抗菌剤および/または補助促進薬とを両方含む。抗菌剤は当然、別に投与されてもよい。
抗菌剤はよく知られており、非限定的な例として以下の種および試薬を含む:スルホンアミド、アミノグリコシド、キノロン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、ペニシリン、セファロスポリン、β-ラクタム、マクロライド、ニトロフラン、メトロニダゾール、クリンダマイシン、リンコマイシン、バンコマイシン、リファンピン、クロラムフェニコール、バシトラシン、イソニアジド、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ポリミキシン、およびスペクチノマイシン(Goodman and Gilman's,Pharmacological Basics of Therapeutics, 8th Ed.,1993,McGraw Hill Inc.参照)。
本発明の調製物は、膿瘍形成に対する防御効果が得られるために、感染に「際して」投与される。これは、宿主の膿瘍形成の素因となる外科手術、外傷または疾病に時間的に近接していることを意味する。この調製物は、予定された手術の場合には手術の非常に以前から(即ち、数週またはさらに数月前)、好ましくは手術前の(または手術後でも)追加投与とともに投与され得る。特に緊急の状況では、調製物は外傷または手術の直前(数分から数時間)および/または直後に投与され得る。この調製物は細菌感染/混入に対する被験者の免疫応答を増強し、宿主の応答が成功する可能性を増大させ、膿瘍形成の確率を減少させるように手術に時間的に十分近接して投与されることが重要である。
本発明の調製物は、有効量を投与される。有効量とは、単独投与またはさらなる投与とともに特定の細菌による感染に由来する膿瘍形成を阻害または予防する、ポリマーの量である。投与の方法によって、1ナノグラム/キログラムから100ミリグラム/キログラムまでの範囲の投与量が効果的であると考えられる。好ましい範囲は、500ナノグラムから500マイクログラム/キログラムであり、もっとも好ましくは1マイクログラムから100マイクログラム/キログラムである。絶対量は種々の因子に依存し(例えば、投与が選択的な手術かまたは緊急手術に際して行われるかどうか、併行治療、投与の回数、および年齢、身体条件、身長、および体重を含む個々の患者の要素など)、慣用的な実験によって決定され得る。好ましくは最大投与量、即ち健全な医療判断による最大安全量が用いられる。
本発明の製薬組成物は複数回の投与が企図される。本発明は、手術前3週間以上の期間、手術前2週間以上の期間、手術前1週間以上の期間、手術前24時間前に最初の投与が行われる場合、およびさらに細菌に対する露出の後に投与される場合でさえ、複数回の投与で有効であることが示された。さらなる投与を手術後にもまた与えてよい。最適の投与量および投薬は膿瘍の発達を阻害するのみならず、特定のまたは種々の細菌生物による膿瘍形成に対する完全な防御を引き起こすが、細菌の感染/汚染およびその後の膿瘍形成に対する免疫応答の増強を引き起こすあらゆる療法が利用され得る。特定の多糖を種々の投与量で投与するための望ましい時間間隔は、慣用的な実験を用いて通常の当業者によって決定され得る。
種々の投薬経路が利用され得る。選択される特定の方法は当然、選択される特定のポリマー、治療される特定の状態、および治療効率に必要な投薬量に依存する。本発明の方法は、一般的に、医療的に適当なあらゆる投与方法、即ち医学的に不適当な有害な影響を生じることなく効果的なレベルの免疫応答を引き起こすあらゆる方法を用いて実施され得る。好ましい投与方法は、非経口経路である。「非経口」という用語は、皮下注射、静脈内、筋内、腹膜内、胸骨内注射または注入方法および局所を含む。
この組成物は、簡便には単位投与形式で提供され、薬理の技術分野ではよく知られた方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、1つまたはそれ以上の付加的成分をなす担体とポリマーとを混合する段階を含む。一般的に、組成物はポリマーと、液体担体、微細に粉砕された固体担体、またはその両者とを一様に混合し、次に必要ならば形を整えるることによって調製される。ポリマーは、凍結乾燥した状態で保存し得る。
他の投薬方法は、定時放出、遅延放出、および継続放出法を含む。このような方法は、本発明のポリマーの投与の繰返しを回避し、被験者および医師の便宜を増大させ得る。このような方法は、通常の当業者には利用可能であり理解し得る。これらの方法は、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物およびポリカプロラクトンのようなポリマーによる方法;コレステロール、コレステロールエステルのようなステロイド、および脂肪酸、またはモノ-、ジ-、およびトリグリセリドのような中性脂肪を含む脂質からなる非ポリマーによる方法;ヒドロゲル放出法;シラスティック法;ペプチドに基づく方法;ワックス被膜、慣用的な結合剤および賦形剤を利用した圧縮錠剤、半融合インプラント剤、および類似の方法を含む。非限定的な例としては次のようなものが含まれる:(a)米国特許第4,452,775号(Kent);第4,667,014号(Nestor et al.);および第4,748,034号および第5,239,660号(Leonard)に見られる、多糖がマトリクス中に存在する形で含まれる腐食法(erosional system)および(b)米国特許第3,832,253号(Higuchi et al.)および第3,854,480号(Zaffaroni)に見られる、制御された速さでポリマーから活性成分が漏出する、拡散法。さらにポンプ装置による投与法(そのいくつかはインプラントに応用されている)が利用され得る。
実施例1
細菌の材料、多糖の単離および修飾、および接種材料の調製
B.fragilis NCTC 9343およびATCC 23745、B.distasonis ATCC 8503、およびFusobacterium varium ATCC 8501は元々、National Collection of Type Cultures(ロンドン、英国)またはAmerican Type Culture Collection(ベテスダ、MD)から入手した。B.thetaiotaomicron 5482およびEnterococcus faecalis 2603株は、Channing Laboratory,Brigham and Women's Hospital(ボストン、MA)のstock culture collectionsから入手した。微生物は使用前は-80℃でペプトン-酵母ブロスまたは脳・心臓インフュージョンブロス中に保存しておき、文献に記載されたように嫌気的に培養した。Pantosi et al.,Infection and Immunity 59:2075-2082(1991)。B.fragilis NCTC 9343またはATCC 23745由来のCPCは、温フェノール/水抽出によって単離され、続くPSAおよびPSBの精製は文献に記載されたように行われた。Tzianabos et al.,Journal of Biological Chemistry 267:18230-18235(1992)。
S.pneumoniae 1型外膜多糖(CP)および他の肺炎双球菌多糖は、ATCC(MD)から精製された形で入手した。
異なる荷電を有する分子を産生するための多糖の化学修飾は文献に記載されている。L.Taylor and H.Conrad,Biochem. 11:1383(1972)(還元)およびBaumann,A. et al.,Biochem. 31:4081(1992)(N-アセチル化および脱アミノ化)。
文献に記載されたように、接種原は(単数または複数の)攻撃微生物および、無菌ラット盲腸内容物および10%硫酸バリウム(W/V)を含むアジュバント溶液の1:1混合物を含む。Onderdonk,A. et al.,Infection and Immunity 13:22-26(1976)。いくつかの実験では、動物の攻撃に使った盲腸内容物は、肉食させたラットとの盲腸から得た糞を含んでいた。Onderdonk,A. et al.,Infection and Immunity 10:1256-1259(1974)。
盲腸内容物接種原は、硫酸バリウム(最終濃度10%、W/V)と混合し、所定のラットのグループに約50%の致死率を、生存者に100%の膿瘍形成率を達成するためにモデル系のラットで力価を測定した。
実施例2
膿瘍形成と免疫応答
膿瘍形成
本研究で用いた腹内敗血症のラットのモデルは、文献に記載されている。Onderdonk,A. et al.,J. Infect.Diseases 136:82-89(1977)およびTzianabos,A. etal.,Science 262:416-419(1993)。手術および攻撃の一週間後、動物を目隠し法により検死し、実験グループとは面識のない観察者によって調査した。
接種原は、Tzianabos,A. et al.,Science 262:416-419(1993)に記載されたように、試験多糖と無菌ラット盲腸内容物および10%硫酸バリウム(W/V)を含むアジュバント溶液の1:1混合物を含む。
修飾された多糖および非修飾多糖の生物活性を3つの投与量の範囲(200、20、および2μg)で比較し、50%の動物に膿瘍を誘導した各多糖の投与量(AD50)を計算するために、数学モデルが利用された。Reed,L.and H.Muench,Am.J.Hyg.27493(1938)。これらの多糖によって誘導された膿瘍は、一般的に大きさが一様であり、1つ以上の完全に形成された膿瘍を有するラットは、陽性として計算された。完全に形成された膿瘍を全く持たない動物は、陰性として計算された。全ての実験において2つの対照グループが含まれる:正の対照はアジュバント溶液と混合した自然のB.fragilisで攻撃され、負の対照はアジュバント溶液のみを加えられた。全ての場合に、正の対照の100%が膿瘍を形成し、負の対照は全て形成しなかった。データは2つの独立した試験をあわせたものである。
いくつかの実験では、膿瘍形成能について異なった多糖を比較した。自然のPSAは自然のPSBおよびCPCと比較された。PSA(AD50=0.67μg)はPSB(AD50=25μg)またはCPC(AD50=22μg)よりも活性の強さの桁が大きい。
自然のPSAおよびPSBの膿瘍形成能が、化学的に修飾された型のPSAおよびPSBと比較された(表1)。
Figure 0004076580
自然のB.fragilisのPSAのAD50は、2μg以下である。PSAのピルビン酸置換基に結合した負に荷電したカルボキシル基をカルボジイミド還元によって中性のヒドロキシメチル基に転換することによって、負の荷電を持たない多糖を生成した。このPSAの修飾によって、AD50は200μg以上に増大した。
PSAのトリデオキシフコサミン上の遊離のアミノ基のN-アセチル化(N-アセチル化された)および亜硝酸での脱アミノ化による同じ遊離のアミノ基の除去(脱アミノ化された)によって、繰返し単位当たり1つの負の荷電を有し、正の荷電を有さない多糖が生成する。これらの修飾はまた、これらのポリマーによる膿瘍誘導を自然のPSAに比べて顕著に減少させ、そのためこれらは200μg以上のAD50を示した。荷電基の修飾は、生物活性の強度を少なくとも2桁減少させ、PSAが動物モデルにおいて膿瘍誘導を促進するためにはアミノ基(正の電荷)とカルボキシル基(負の電荷)の両方が必要であることが示された。各修飾によって、自然のPSAと比べて膿瘍誘導能の顕著な減少が起こった(P<0.0005)。
PSBのガラクチュロン酸上にある負の荷電を持つカルボキシル基をカルボジイミド還元によってヒドロキシメチル基に変換する(還元)ことによっては、PSBの膿瘍誘導能は変化しなかった。これは3μgというAD50値によって証明されている。PSBの2-アミノエチルホスホン酸置換基と結合した遊離のアミノ基をN-アセチル化する(N-アセチル化)ことによって、2つの負に荷電した基(カルボキシル基およびホスホン酸基)を有し、正の電荷を有さない多糖が産生する。これによってこのポリマーによる膿瘍誘導は顕著に減少し、200μg以上のAD50を示す。
繰返し単位中に存在する、3つの遊離のアミノ基を有する3つのアミノ糖からアセチル基を除去すると、正に荷電した基と負に荷電した基の比が4:2になり、PSB上に正味の正電荷が現れる(脱N-アセチル化される)。このPSBの脱N-アセチル化は、膿瘍形成能を顕著に減少させた(200μg以上のAD50)。恐らくこの多糖上の正に荷電したアミノ基の数の増加によって、膿瘍形成に至る細胞現象の反応を開始する細胞の受容体との相互作用が阻害されると考えられる。
自然に存在し、化学的に修飾されるその他のいくつかの多糖はまた、膿瘍形成能を試験された。これらの実験の結果を表2に示す。
Figure 0004076580
対立的に荷電した基を有する自然に存在する多糖はC物質、S.pneumoniae由来のグループB多糖、およびS.pneumoniae株の外膜多糖を含む。C物質は合計3つの正の電荷(1つのホスファチジルコリン置換基および2つの遊離のアミノ基による)および2つの負の電荷(カルボキシル基)を持つ4糖繰返し構造を有する。それぞれが膿瘍誘導能を持ち得、AD50値はそれぞれ5および31μgであった。しかし、遊離のアミノ基を中性化するため各分子がN-アセチル化された場合、膿瘍誘導活性の顕著な減少が起こった。この結果は、S.pneumoniae 1型の外膜については、表1で得られた結果から予想通りであった。しかし、C物質がこのような劇的な活性の減少を示すことは予想外であった。なぜなら、C物質は依然として1つの正電荷(ホスファチジルコリン置換基によって与えられる)および2つの負電荷を保持しているからである。これらの結果は、これらの多糖上の遊離のアミノ基が膿瘍誘導活性に必要であることを示唆する。これは別の種類の正電荷では代替されなかった。しかし、これらのポリマーの負に荷電した基については構造上の必要条件は存在しない。
自然に存在する細菌多糖で、S.pneumoniae 14型のように荷電基を持たない繰返し単位構造を有するもの、またはS.pneumoniae 3型の細菌多糖、グループB Neisseria meningitidisまたはグループB streptococci IaおよびIII型の外膜多糖のように各繰返し単位に1つの負に荷電した基を有するものが、膿瘍形成能について試験された。その結果を表2に示す。上述の多糖のいずれも、低い膿瘍誘導能しか持たない。
最後に、自然には1つの負電荷しか持たない不活性な多糖が活性化され得るかどうか決定するため、Vi抗原(S.typhi由来のガラクトアミノウロン酸のホモポリマー)に1つの正電荷が付加された。Vi抗原はピラノース環のC-2の位置にN-アセチル基を、C-6の位置に負に荷電したカルボキシル基を持つが、正に荷電した遊離のアミノ基および負に荷電したカルボキシル基を産生するため、アルカリ処理によって修飾された。この化学修飾によって、抗原は膿瘍誘導多糖に変換された。
表1および2に示したデータは、ネズミの腹膜腔での膿瘍誘導が細菌多糖上の対立する電荷を持つ基を介すること、正に荷電したアミノ基が必要なことを明らかにしている。
免疫応答
0.1mlのリン酸緩衝塩水中にある10μgの細菌多糖を週3回、3週間皮下注射することによって動物を処理した。5週目には動物は1回の処理を施され、6週目には攻撃に使用し得た。
前処理した動物に同種または異種混合のB.fragilis株による攻撃、また同種または異種混合の他の細菌の多糖による攻撃を与え、膿瘍誘導に対する防御を付与する免疫応答が測定された。その結果を表3に示す。以前の研究から、9343 CPCおよび23745 CPCは異なった多糖複合体であることが示されていた。Pantosti,A.et al.,Infect.&Immun. 59:2075-2082(1991)。
免疫化学的な研究から、以下の2つの株で見られるCPCの構成単糖は異なっているのにもかかわらず、9343 CPCと同様に、23745 CPCは正および負に荷電した基を有する、少なくとも2つの異なった多糖からなることが示されている。Pantosti,A. et al.,Infect.&Immun. 59:2075-2082(1991)及びKasper,D. et al.,J.Bacter. 153:991-997(1983)。同種のまたは異種混合のB.fragilis種が、精製した9343 CPCまたは23745 CPCで前処理したラットに攻撃を与えるために用いられた。いずれの材料からのCPCによる処理も、ラットを膿瘍形成から防御した。
Figure 0004076580
上に記載したように、多糖上の特定の特徴的な構造(遊離のアミノ基および負に荷電した基)が膿瘍形成を媒介することが決定された。これらの多糖が動物において膿瘍誘導に対する防御を付与するか調べるため、動物をPSAまたはPSB、またはS.pneumoniae 1型CPで処理し、同種または異種混合のポリマーで攻撃した。どのポリマーも、膿瘍形成を防御した(表3)。
これらの多糖上の荷電基が膿瘍形成に対する防御を媒介しているか決定するため、PSAの化学修飾を行った。正および負に荷電した基の両方を中性化するためにPSAを(上に記載したように)修飾し、修飾された多糖を防御実験の動物を処理するために用いた。動物を、正電荷を除去するためN-アセチル化したPSAまたは負電荷を除去するため還元したPSAで処理し、自然の、修飾をうけていないPSAで攻撃した。それぞれの場合において、修飾された多糖は多糖誘導型膿瘍形成に対する防御とならなかった。これによって、PSAの遊離のアミノ基およびカルボキシル基が、膿瘍形成に対する多糖媒介型防御に必須であることが示された(表4)。
Figure 0004076580
完全に荷電基を持たないか、または負電荷を持つ置換基のみを持つ細菌多糖が試験された。動物を3型グループB連鎖球菌(GBS)CPで処理し、PSAまたはPSB、またはS,pneumoniae 1型CPで攻撃した。3型GBS CPは各繰返し単位に1つの負に荷電した基を末端のシアル酸残基に有するが、各膿瘍誘導ポリマーの攻撃から動物を防御することはできなかった(表4)。3型S.pneumoniae CP(繰返し単位当たり1つの負に荷電した基を持つ)または14型S.pneumoniae CP(繰返し単位中に荷電置換基を持たない)で処理した動物もまた、PSAによって誘導された膿瘍形成から防御されなかった(表4)。
実施例3
免疫応答はT細胞依存性である
多糖類誘導型膿瘍に対するT細胞を媒介する防御
動物は上述したように取り扱い、第6週に養子移植実験可能とした。細胞移植実験は文献にしたがって行った。シャピロ,Mら,J.Immunol. 137:341-346(1986)およびシャピロ,Mら,J. Exp. Med. 154:1188-1197(1982)。すなわち、処理済み、あるいは未処理のラットから脾臓を取りだし、5%ウシ胎児血清を加えたRPMI緩衝液中で細かく裂いた。細胞をコウルターFNカウンター(Coulter Electronics Inc., Hialeah, FL)を用いて計測し、トリパンブルー排除法によって生存率を測定した。調製液を、ナイロンウールカラムにかけてT細胞を濃縮した。その後、精製T細胞の数を計り、動物に対する心臓内移植に先立ち適当な細胞数(1×107/動物)にそろえた(体積0.2ml)。動物を24時間後に攻撃した。
精製CPCによる処理が、生存可能なB.fragilisによる攻撃により引き起こされる膿瘍形成を、T細胞依存的な機構で防御することが以前に実証されている。オンデルドンク, J. Clin. Investigation 69:9-16(1982)。本実験で、我々は多糖類誘導型膿瘍に対する防御もTリンパ球依存的かどうか検討した。未処理のラットに、以前にPSA処理した動物から単離した精製T細胞を投与した(1×107細胞/動物)。そしてT細胞受容動物を膿瘍誘導型PSA、PSB、あるいは一型S.pneumoniae CPで攻撃した。いずれの場合も、PSA処理動物由来のT細胞は、同種の、および異種の多糖類の攻撃による膿瘍形成から未処理の動物を防御した(表5)。三型GBS CP(非正荷電基)で免疫された動物から単離したT細胞を投与されたラットは、PSAでの攻撃による膿瘍から防御されなかった(表5)。
Figure 0004076580
PSAの化学修飾によって膿瘍誘導に対するT細胞依存的な防御を誘導する多糖類の反対荷電基を除くような化学修飾は、その効果を失わせる。
膿瘍誘導に対するT細胞を媒介する防御においてPSAの反対荷電基の役割を評価するため、動物をNアセチル化PSA、またはカルボジイミド還元PSAで処理し、これらの動物のT細胞を未処理のラットに投与した。化学的に修飾されたPSAで処理した動物から単離されたT細胞は、修飾されていないPSAによる攻撃から防御することができなかった(表5)。
T細胞を媒介する防御は反対荷電基を持つように操作された多糖類によって誘導される
もう一つの養子T細胞移植実験が、多糖類中の正荷電基と負荷電基の両方の存在が多糖類による膿瘍形成の防御に必要であることを確認するため、行われた。S.typhiのVi外膜多糖、ガラクトアミンウロン酸のホモポリマー、の化学的な脱Nアセチル化を、繰り返し単位当たり一つの負荷電カルボキシル基を持つポリマーから、繰り返し単位当たり一つの正荷電アミノ基と一つの負荷電カルボキシル基を持つ糖類へこの多糖類を転換させるため行った。この実験でT細胞は、非修飾型、または脱Nアセチル化Vi多糖類で処理した動物の脾臓から採取し、個別のグループの未処理のラットに移植した。それぞれのグループのT細胞を受容したラットをB.fragilis PSAで攻撃した。非修飾型Vi多糖類で処理した動物由来のT細胞を受容したラットはPSAによる膿瘍誘導から防御されなかったが、脱Nアセチル化Vi多糖類で処理したラット由来のT細胞を受容した動物はPSAによる膿瘍誘導から防御された(表5)。
実施例4
B.fragilis誘導型膿瘍に対するPSAを介する防御
療法の効果
膿瘍形成に対する防御に関してPSA投与の期間を変えるいくつかの療法が試された。動物に皮下経由で指定された濃度のB.fragilis PSAを0.1ml PBSに加え投与した。いくつかの実験では、動物を3週間、週に3度PSAで処理し、攻撃の24時間前にもう一度投与した(療法1)。この処理を短縮した場合の効果を決定するために、療法1を1週間(療法2)、および2週間(療法3)短縮して、さらに実験を行った。四つめの療法(療法4)は、攻撃の24時間前のPSA処理と、攻撃後4時間および24時間の処理からなる。どの療法においても、動物群には一回の注入当たり10μgのPSAを与え、B.fragilisで攻撃し、6日後に膿瘍形成を調べた。この研究は、PSAがB.fragilis感染を介する膿瘍を防御することを示す。動物を処理した時間に関係無く、生理食塩水処理したコントロール群と比較してそれぞれのグループの膿瘍を持つ動物は減少した(P<0.05)。加えて、防御活性はそれぞれのグループ内で同等であった。療法1から4において膿瘍率は、それぞれ26%、18%、32%、12%であり、一方生理食塩水処理のコントロール群は80%の膿瘍率であった。
投与量の効果
投与量反応実験を4つの療法の中でもっとも短いもの(療法4)を用い行った。動物群に一回の注入当たり10、1、あるいは0.1μgのPSAを与え、B.fragilisで攻撃した。この実験で、一回の注入当たり10あるいは1μg受容した動物は、生理食塩水処理のコントロール動物と比べ大幅に膿瘍を持つものが減少した(表6)。しかし、一回の注入当たり0.1μgのPSAを受容した動物は大幅には膿瘍形成を防御されなかった。
雑菌汚染後に処理を始める効果
PSAが腹膜内での雑菌の混入による膿瘍を阻害する能力を評価するため、動物を最初にB.fragilisで攻撃し、攻撃後1、24、および48時間に様々な量のPSAで処理した(療法5)。この実験の結果も表6に示してある。一回の注入当たり50μgのPSAでの感染動物の処理は、生理食塩水処理のコントロールと比較して、膿瘍形成の大幅な防御を引き起こした(P=0.001)。
Figure 0004076580
実施例5
膿瘍誘導性異種細菌種のPSAを介した防御
療法1に従い10μgのPSAを投与した後、ヒトで見つかった膿瘍と一般に関連がある細菌を含む様々な接種物で、腹膜経由で動物を攻撃した。動物群をB.fragilisの単一細菌培養物、あるいはB.distasonisとE.faecalis、B.thetaiotaomicronとE.faecalis、あるいはF.variumとE.faecalisの組み合わせからなる混合接種物で攻撃した。いずれの場合も、生理食塩水処理のコントロール群と比べ、細菌の攻撃の前にPSAで処理した動物では膿瘍を持つものが減少した(表7)。
Figure 0004076580
実施例6
盲腸内容物での攻撃に対する防御
ヒト腹膜腔での糞の雑菌の混入を模倣するため、盲腸内容物の接種物をラットの腹膜腔に外科的に移植した。この接種物はラットの盲腸から単離されたものであるが、ヒトの腸で見られるのと同様の細菌叢を含んでいた。この接種物は約50%の致死性を示し、生き残りも全て膿瘍を形成していた。初めに、盲腸接種物による膿瘍形成に対するPSA(療法4に従い50μg/注入)の効果を試験した。しかし、処理した動物の膿瘍形成の割合の僅かな減少のみが観察された。それゆえ、盲腸内容物の接種物の移植後にPSAでの処理の数を増加させるよう別の処理接種法を発案した。この実験では、動物を移植手術の24時間前、および4、24、48、96時間後に50μgのPSAで処理した。この処理の後、生理食塩水処理した動物と比較して、膿瘍を持つ動物の数が大幅に減少した(12/25に対して18/18、48%に対して100%、P<0.0001)。この結果より、PSAが盲腸内容物中で見られる多くの微生物に対して幅広い防御を示すことが確認された。
実施例7
膿瘍形成に対するT細胞を媒介した防御
腹内敗血症と一般に関連がある異種細菌による膿瘍形成をPSAが阻止する幅広い防御活性を、細胞を媒介した免疫機構が制御するかどうか調べた。動物を療法3に従いPSA(10μg/注入)で処理し、最後の処理の24時間後にT細胞を単離した。PSA処理、または生理食塩水処理動物由来のT細胞(1×107)を、B.fragilisで、またはF.variumとE.faecalisの混合接種物で攻撃する24時間前に未処理の受容動物に投与した。結果を表8に示す。生理食塩水処理したラット由来のT細胞を受容し、B.fragilis、またはF.variumとE.faecalisの混合物で攻撃された動物は膿瘍を形成した(それぞれ85%と87%)。しかし、PSA処理動物のT細胞を未処理の受容動物に移植した場合、B.fragilis(13%の膿瘍率)、またはF.variumとE.faecalis(21%膿瘍率)による攻撃の後の膿瘍形成に対する大幅な防御が起きた。
Figure 0004076580
当業者は、上述の特定の製品と方法に均等な多くのものを通常の実験のみ認識し、確認することが可能である。そのような均等物は本発明の範囲内であると考えられ、以下の請求項により包括されることを目的としている。

Claims (7)

  1. 各々の繰り返し構成単位が、B.fragilis外膜多糖類Aに特徴的な荷電モチーフを有し、該荷電モチーフが、正に荷電した遊離のアミノ基部分と、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基およびスルホン酸基からなる群から選択される負に荷電した部分とを有する、複数の繰り返し構成単位から形成された多糖類の使用であって、前記多糖類は、多糖A:B複合体とは異なるB.fragilisの外膜多糖類A、B.fragilis外膜多糖類B、S.pneumoniae 1型外膜多糖、S.typhi外膜多糖またはその修飾物であり、生きたままの異種微生物の感染により引き起こされる膿瘍形成に対する防御を誘導するための薬剤の製造における、前記使用。
  2. 糖類が、B.fragilisの外膜多糖類Aである、請求項に記載の使用。
  3. 生きたままの異種微生物による感染に関連した膿瘍形成に対して、被検体に対して投与し、そしてそれを防御するための薬剤調製物であって、
    各繰り返し構成単位が、最大で10個のサブユニットで形成され、そして遊離のアミノ基部分と、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基およびスルホン酸基からなる群から選択される負に荷電した部分とを含む、互いに結合された複数の繰り返し構成単位で形成される多糖類;および
    薬剤的に許容される担体;を含み、
    前記多糖類は、B.fragilisの外膜多糖類A、B.fragilis外膜多糖類B、S.pneumoniae 1型外膜多糖、S.typhi外膜多糖またはその修飾物であり、生きたままの微生物による膿瘍形成に対する防御の誘導に効果的な量で存在する、
    前記薬剤調製物。
  4. 糖類が、B.fragilisの外膜多糖類Aである、請求項に記載の薬剤。
  5. 互いに結合された複数の繰り返し単位で形成された多糖類であって、各繰り返し構成単位が、最大で10個のサブユニットで形成され、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸基およびスルホン酸基からなる群から選択される負に荷電した部分を少なくとも1つ有し、および正に荷電した遊離のアミノ基部分を生成するように修飾されることが可能な少なくとも1つの部分を有する、多糖類を、B.fragilisの外膜多糖類A、B.fragilis外膜多糖類B、S.pneumoniae 1型外膜多糖、S.typhi外膜多糖およびその修飾物からなる群から選択し;
    各々の繰り返し構成単位に正に荷電した遊離のアミノ基部分を少なくとも1つ作製するように前記外膜多糖類を修飾し、そして
    生きたままの異種微生物による感染に関連した膿瘍形成に対して被検体を防御するための薬剤組成物を形成するために、修飾した外膜多糖類を薬剤的に許容可能なキャリアーと組み合わせること;
    を含む、薬剤の製造方法。
  6. サブユニットが単糖類であり、正に荷電した遊離のアミノ基部分を生成するように修飾されることが可能な少なくとも1つの部分がN-アセチル基部分であり、そして多糖類が各繰り返し単位の少なくとも一つのN-アセチル基部分を遊離のアミノ基部分に変換する脱N-アセチル化により修飾される、請求項に記載の方法。
  7. サブユニットが単糖類であり、正に荷電した遊離のアミノ基部分を生成するように修飾されることが可能な少なくとも1つの部分がイミン基であり、そして多糖類が各繰り返し単位の少なくとも一つのイミン基を遊離のアミノ基部分に変換する還元により修飾される、請求項に記載の方法。
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