JP4076001B2 - 動画作成装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、動画を作成するための装置に係り、特に、一つの原画像を次々と変形していく過程で生成される画像をコマ撮りの手法によって記録あるいは記憶(以下ではこれらを総称して記憶と称することにする。)していくことによって動画を作成する装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、画像処理の技術は著しく進歩しており、通常動画エフェクタ等と称される動画を作成するためのソフトウェアも種々市販されている。
しかし、市販されている動画エフェクタでは、予め用意されている効果にある範囲で変化を付けることができるだけであるのが現状であり、不定形な動きのある動画を作成することは難しいものであった。例えば、原画像の絵柄が墨流しのような形態で変形していくような画像、あるいは原画像の絵柄が飛び散っていったり、崩壊していくような形態で変形していくような画像を従来の動画エフェクタで作成することは非常に難しいものであった。
【0003】
そこで、本発明は、原画像が不定形な動きで、種々の態様で変形していく動画を容易に作成することができる動画作成装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の動画作成装置は、
画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kA ,kB を係数として、次の二つの式
x′=x+kAFA(x,y)
y′=y+kBFB(x,y)
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの係数kA ,kB の値を異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする。
請求項2記載の動画作成装置は、
画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kA ,kB を係数として、次の二つの式
x′=x+kAFA(x,y)
y′=y+kBFB(x,y)
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの2次元スカラ場A,Bを異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする。
請求項3記載の動画作成装置は、請求項2記載の動画作成装置において、前記制御装置は、前記第2の処理で用いる二つの2次元スカラ場A,Bとしては、それぞれ、3次元連続スカラ場を所定のZ座標値で切断したときの切断面の2次元スカラ場を用いることを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の動画作成装置は、
画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kr ,kq を係数として、次の四つの式
r=krFA(x,y)
θ=kqFB(x,y)
x′=x+rcosθ
y′=y+rsinθ
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの係数kr ,kq の値を異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする。
請求項5記載の動画作成装置は、
画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kr ,kq を係数として、次の四つの式
r=krFA(x,y)
θ=kqFB(x,y)
x′=x+rcosθ
y′=y+rsinθ
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの2次元スカラ場A,Bを異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする。
請求項6記載の動画作成装置は、請求項5記載の動画作成方法において、前記制御装置は、前記第2の処理で用いる二つの2次元スカラ場A,Bとしては、それぞれ、3次元連続スカラ場を所定のZ座標値で切断したときの切断面の2次元スカラ場を用いることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
まず、動画作成方法の第1の実施形態について説明する。
図1はこの実施形態における処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図2はこの実施形態の概念を説明するための図である。
【0009】
まず、種々の所定の事項について初期設定を行う(ステップS1)。例えば、原画像I0 を変形して得られる変形画像のサイズの設定、原画像I0 を何回変形するか、その変形回数等の設定、原画像の変形に用いる二つの2次元スカラ場のサイズの設定等を行う。
【0010】
次に、動画の最初の画像となる原画像I0 と、ステップS1で設定したサイズの二つの2次元スカラ場A,Bを用意する(ステップS2)。この2次元スカラ場A,Bとしては、2次元スカラ場であればどのようなものを用いてもよいが、ここでは2次元フラクタル場を用いるものとする。フラクタル場は、スカラ値を自己相似的に空間内に配置した場であり、自然なゆらぎをもった連続場になるので、2次元スカラ場としてフラクタル場を用いれば、原画像に対して自然のゆらぎをもった不定形な変形を施すことができるからである。2次元フラクタル場を生成するためには、例えば、中点変位法として広く知られている手法を用いればよい。
【0011】
次に、原画像I0 、2次元フラクタル場A,B、及び変形画像に対して座標系を設定する(ステップS3)。座標系としては直交座標系を用いることもでき、極座標系を用いることもできるが、ここでは、まず直交座標系を用いた場合について説明する。このとき、原画像、2次元フラクタル場A,B、及び変形画像のサイズは同一であってよいことは当然であるが、異なっていてもよい。後者のように原画像、2次元フラクタル場A,B、及び変形画像のサイズが異なっている場合には、座標系を正規化して、各画像の画素の位置が一対一の対応をとるようにすればよい。ここでは座標系は正規化されているものとする。即ち、各画像のサイズはx方向もy方向も[0 ,1 ]の範囲となっているものとする。
【0012】
次に、写像を定義する(ステップS4)。即ち、原画像の絵柄を変形するためには、原画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像が必要である。そして、定義された写像を原画像の全画素に施せば、原画像を変形することができるのである。
【0013】
いま、原画像I0 の位置(x,y)にある画素を変形画像の位置(x′,y′)に移動させるものとすると、写像は例えば次のような式で定義することができる。
【0014】
x′=x+kAFA(x,y) …(1)
y′=y+kBFB(x,y) …(2)
ここで、kA ,kB はxおよびy方向への変位の大きさを表す係数であり、関数FA(x,y),FB(x,y)はそれぞれ2次元フラクタル場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値を表している。
【0015】
この(1),(2)式によれば、原画像I0 の位置(x,y)にある画素のx方向、y方向の変位の大きさは、それぞれ、2次元フラクタル場Aの位置(x,y)におけるスカラ値、2次元フラクタル場Bの位置(x,y)におけるスカラ値に比例することになる。なお、この場合のように各画像のサイズを正規化している場合には、FA(x,y)及びFB(x,y)の値域は[-1,+1]の範囲に正規化されていることが望ましい。
【0016】
そして、更に、上記の係数kA ,kB のそれぞれについて、ステップS1で設定した変形回数の個数の数値からなる数列を設定する。例えば変形回数をn回とすると、
kA1,kA2,…,kAn …(3)
kB1,kB2,…,kBn …(4)
の二つの数列を設定する。これらの数列の各値は任意に定めることができる。
【0017】
ここまでのステップによって、準備が整ったので、以下のステップにおいて動画の作成を行う。まず、原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶する(ステップS5)。なお、この記憶するコマ数は予め固定的に設定されていてもよく、ステップS1の初期設定で任意に設定可能としてもよい。
【0018】
この原画像I0 の記憶は、所望の媒体に行うことが可能である。例えば、ハードディスク、光ディスク等の通常コンピュータシステムで用いられている記憶媒体に記憶することもでき、あるいはVTRに記憶することもでき、フィルムに記憶することも可能である。VTRに記憶する場合、そのVTRがデジタル入力が可能であれば原画像I0 の画像データをそのまま入力させればよく、アナログ入力の場合には原画像I0 の画像データをD/A変換して入力すればよい。また、フィルムに記憶する場合には、例えば原画像I0 の画像データでレーザを変調してフィルムに書き込むようにすればよい。この点に関しては以下同様である。
【0019】
次に、原画像I0 を変形し、その結果得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶する処理を変形回数であるn回繰り返す(ステップS6,S7)。即ち、まず、1回目の変形においては、原画像I0 の(x,y)の位置にある画素に着目し、上記(1),(2) 式の係数kA ,kB にそれぞれkA1,kB1を代入して
x′=x+kA1FA(x,y) …(5)
y′=y+kB1FB(x,y) …(6)
を得、この写像を原画像I0 の当該画素に対して施す。そして、この写像の結果得られた変形画像I1 の(x′,y′)の位置に当該画素の画素値を書き込む。この処理を原画像I0 の全ての画素に対して施すことによって、1回目の変形画像I1 が得られるので、この変形画像I1 を所定のコマ数だけ記憶する。
【0020】
次に、2回目の変形においては、原画像I0 の(x,y)の位置にある画素に着目し、上記(1),(2) 式の係数kA ,kB にそれぞれkA2,kB2を代入して
x′=x+kA2FA(x,y) …(7)
y′=y+kB2FB(x,y) …(8)
を得、この写像を原画像I0 の当該画素に対して施す。そして、この写像の結果得られた変形画像I2 の(x′,y′)の位置に当該画素の画素値を書き込む。この処理を原画像I0 の全ての画素に対して施すことによって、2回目の変形画像I2 が得られ、その変形画像I2 を所定のコマ数だけ記憶する。以下、同様にしてn回目の変形まで行い、n回目の変形画像In を所定のコマ数だけ記憶すれば処理は終了となる。
【0021】
即ち、この実施形態では、i(i=1,2,…,n)回目の変形は
x′=x+kAiFA(x,y) …(9)
y′=y+kBiFB(x,y) …(10)
という写像により行われることになる。
【0022】
これは、変形回数毎に写像を変更していくことに他ならない。そして、この場合には変形回数毎の写像の変更は、二つの2次元スカラ場A,Bの各位置のスカラ値FA(x,y),FB(x,y)と共に原画像の画素位置の移動量を決定する係数kA ,kB を変更することによって行われることになる。
【0023】
以上のステップによって、図2の概念図に示すように、原画像I0 、1回目の変形画像I1 、…、n回目の変形画像In が、この順に、それぞれ所定のコマ数だけ記憶されるので、これらの画像を連続的に再生すれば原画像I0 が次々と不定形に変形していく様子を動画として観察することができる。
【0024】
ところで、ステップS6で原画像I0 の変形を行った場合、その変形の結果得られた変形画像には画素値が定義されない画素(以下、このような画素を空画素と称す)が生じることがある。つまり、実際には、画素の数は有限個であるため、画素の位置を示す座標値はとびとびの値になるのに対して、写像によって決定される画素の移動量kAiFA(x,y),kBiFB(x,y)は通常は連続量になるので、移動先の位置(x′,y′)を求める際には、量子化を行うことになり、このため、原画像I0 の複数の画素の移動先が変形画像上の同一の位置に重なってしまう場合がある。例えば、いまj回目の変形を行うものとし、原画像I0 及び変形画像Ij がそれぞれ10×10の画素配列から構成されているものとすると、原画像I0 の画素配列を構成する 100個の画素のそれぞれが当該j回目の変形に定義された写像に基づいて勝手に移動することになり、その写像の結果得られる移動先の位置を量子化すると原画像I0 の複数の画素が変形画像Ij において同一の位置に統合してしまうことが頻繁に起こり得る。
【0025】
このことは、逆にいえば、変形画像Ij 上には画素値が定義されない空画素が生じることを意味する。例えば、原画像I0 上に存在していた合計 100個の画素が、移動によって合計70個の画素に統合されてしまったら、変形画像Ij 上の30個の画素が空画素となる。
【0026】
そこで、ステップS6の原画像I0 の変形を行う際には、空画素の処理を行う必要がある。この空画素の処理としては、例えば、予め「空画素については、画素値= 0とする」というような定義を行っておけば、空画素の部分は黒で表現されることになる。また、空画素の領域には、何らかの背景画像を割り付けるというような処理を行ってもよい。
【0027】
更に、変形画像上に空画素を生じさせないように原画像I0 を変形することも可能である。その手法としては、写像を逆に用いることで行うことができる。例えば、いまi(i=1,2,…,n)回目の変形が上記の(9)式及び(10)式で定義されるものとすると、
x=x′−kAiFA(x′,y′) …(11)
y=y′−kBiFB(x′,y′) …(12)
という写像を用いて行えばよい。ここで、(x,y)は原画像I0 上の画素位置、(x′,y′)は変形画像Ii 上の画素位置である。即ち、まず、変形画像Ii 上の位置(x′,y′)に着目し、当該位置での2次元フラクタル場A,Bのスカラ値FA(x′,y′),FB(x′,y′)からx方向の移動量kAiFA(x′,y′)及びy方向の移動量kBiFB(x′,y′)を求め、(9)式及び(10)式の逆演算によって、当該変形画像Ii 上の位置(x′,y′)に対応する原画像I0 上の位置(x,y)を求め、原画像I0 上の当該位置(x,y)の画素値を変形画像Ii 上の位置(x′,y′)の画素値とするのである。
このような手法によって、変形画像Ii に空画素が生じることを回避することができる。
【0028】
なお、図3に示すように、ある画素pを移動した場合に、移動後の位置が変形画像の範囲外にはみ出してしまう場合には、変形画像の範囲外に同じサイズの領域(仮想変形画像)が隣接配置されているものとして、移動後の位置を変形画像の範囲内に補正するはみ出し補正処理を行ってもよい。図3に示す例の場合、変形画像の画素pが写像の結果、p′で示すように変形画像の範囲外にはみ出した場合には、p″の位置に補正される。ここで、p′の仮想変形画像上での位置と、p″の変形画像上での位置は同じである。図3は変形画像の横方向にはみ出した場合の例であるが、変形画像の縦方向にはみ出した場合も同様に補正することは当然である。
【0029】
以上、動画作成方法の第1の実施形態について説明したが、この実施形態については種々の変形が可能である。例えば、上記の説明では、(1),(2)式の写像を定義するための係数kA ,kB のそれぞれについて、(3),(4)のような数列を設定するものとしたが、例えば
kAi=f(i) (i=1,2,…,n) …(13)
kBi=g(i) (i=1,2,…,n) …(14)
のように変数回数の値を変数とした任意の関数としてもよいものである。
【0030】
以上のようであるので、原画像が不定形な動きで、種々の態様で変形していく動画を容易に作成することができる。また、その変形の態様は、(3),(4)で示す係数kA ,kB の数列、あるいは(13),(14)式で示す係数kA ,kB に関する関数によって制御することができる。
【0031】
以上、動画作成方法の第1の実施形態について説明したが、次に、動画作成装置の実施形態について説明する。
【0032】
この動画作成装置は上述した動画作成方法の処理を実行するものであり、パーソナルコンピュータやワークステーションを用いて構成することができるが、概略図4に示すようである。図4において、1はスキャナ、2は入力ポート、3は制御装置、4は表示装置、5はROM、6はRAM、7は入力装置、8は記憶装置を示す。
【0033】
スキャナ1は適宜な原稿から画像を読み取ってビットマップ形式のデジタル画像データを出力するものである。入力ポート2は外部の装置からデジタル画像データを取り込むためのものである。制御装置3は適宜なプロセッシングユニットで構成されている。表示装置4はカラーCRT等の適宜な表示手段で構成される。
【0034】
ROM5は制御装置3が実行する処理のプログラムが格納されているものであり、上述した動画作成方法による処理を実行するプログラム、及び2次元フラクタル場を作成するためのプログラムも格納されていることは勿論である。RAM6は制御装置3がワークエリアとして使用するメモリである。入力装置7はキーボード、マウス等で構成され、表示装置4と共にマンマシンインターフェースを構成している。記憶装置8は原画像I0 及び各変形画像I1 〜In 等を記憶するものであり、ハードディスク等の大容量の記憶装置で構成されている。
【0035】
次に、動作について説明する。
まず、オペレータは、所定の初期設定を入力装置7によって行う。次に、オペレータは、原画像I0 を用意する。これは、原画像が原稿で与えられている場合には、その原稿の画像をスキャナ1で読み取ればよく、また、原画像を外部の装置から取り込む必要があるのであれば、入力ポート2から取り込めばよく、更に、既に記憶装置8に格納されている画像を用いるのであれば、記憶装置8から読み出せばよい。また、オペレータは二つの2次元フラクタル場A,Bを用意する。これは、制御装置3に中点変位法を用いた2次元フラクタル場の生成の処理を行わせればよい。
【0036】
次に、オペレータは、入力装置7によって座標系を設定し、更に、入力装置7により写像を定義する。この写像の定義は、入力装置7で(1),(2)式、及び(3),(4)式の数列を設定すればよい。
【0037】
その後、変形処理の実行が指示されると、制御装置3は、まず原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する。そして、上述したステップS6の原画像を変形する処理、及びステップS6で得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する処理を初期設定で設定された変形回数だけ繰り返す。
【0038】
そして、入力装置7から動画表示が指示されると、制御装置3は記憶装置8から原画像I0 及び各変形画像I1 〜In を順に読み出して表示装置4に表示するので、原画像が変形していく様子を動画として観察することができる。なお、ここでは記憶装置8はハードディスク等の大容量の記憶装置で構成されているものとしたが、VTR等を用いることができることは当然である。
【0039】
以上の説明では、変形画像I1 ,I2 ,…,In は全て原画像I0 を変形して得るようにしているが、変形画像I1 は上述したとおりに原画像I0 を変形することによって得るが、変形画像I2 は変形画像I1 を変形することによって得るというようにすることも可能である。つまり、変形画像I2 以降の変形画像については、直前の変形で得られた変形画像に対して写像を適用して変形して得るようにするのである。従って、この場合には、変形画像Ii (i=2,3,…,n)は変形画像Ii-1 に対してi回目の変形として定義されている写像を適用し、変形して得ることになる。そして、原画像I0 及び各変形画像Ii (i=1,2,…,n)をそれぞれ所定コマ数だけ記憶し、それらを読み出して表示すれば原画像が次々と変形していく様子を動画として観察することができる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、動画作成方法の第2の実施形態について説明する。
以上の第1の実施形態では座標系として直交座標系を用いたが、この第2の実施形態では変形処理に用いる座標系を極座標表現した場合について説明する。なお、ここでも座標系は正規化されており、上記の二つの関数、FA(x,y)及びFB(x,y)の値域も[-1,+1]の範囲に正規化されているものとする。
【0041】
この場合にも、まず図1のステップS1のように初期設定し、ステップS2のように原画像I0 と二つの2次元フラクタル場A,Bを用意することは同じである。また、ステップS4で定義する写像は、例えば次の(15)〜(18)式のように定義することができる。
【0042】
r=krFA(x,y) …(15)
θ=kqFB(x,y) …(16)
x′=x+rcosθ …(17)
y′=y+rsinθ …(18)
ここで、x,yはそれぞれ現在変形処理の対象となっている原画像の画素の直交座標表現によるx座標、y座標であり、x′,y′はそれぞれ当該原画像の画素が変形処理によって移動された後の変形画像上のx座標、y座標であり、kr は極座標のr方向への変位の大きさを表す係数であり、kq は極座標のθ方向への変位の大きさを表す係数であり、関数FA(x,y),FB(x,y)はそれぞれ2次元フラクタル場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値を表している。
【0043】
そして、更に、上記の係数kr ,kq のそれぞれについて、ステップS1で設定した変形回数の個数の数値からなる数列、あるいは
kri=f(i) (i=1,2,…,n) …(19)
kqi=g(i) (i=1,2,…,n) …(20)
のように変数回数の値を変数とした任意の関数を設定する。なお、この場合、係数kq は常に一定値として、係数kr のみを変形毎に変更するようにしてもよく、その逆に係数kr は常に一定値として、係数kq のみを変形毎に変更するようにしてもよく、あるいは両方の係数を変形毎に変更するようにしてもよい。
【0044】
このように、この場合においても変形回数毎に写像を変更していくのである。そして、この場合には変形回数毎の写像の変更は、二つの2次元スカラ場A,Bの各位置のスカラ値FA(x,y),FB(x,y)と共に原画像の画素位置の移動量を決定する係数kr ,kq を変更することによって行われることになる。
【0045】
このような写像によれば、原画像I0 の変形の回数毎に係数kr あるいは係数kq の値を適宜に定めることによって、あるいは(19)式、(20)式の関数を適宜に定めることによって、変形の大きさ、局所的な変形の激しさを所望のように制御することが可能である。例えば、係数kr に関する数列あるいは関数を、変形回数が増す毎に大きくなるように設定すれば、変形回数が増す毎に原画像I0 の各画素の移動距離が大きくなるので、絵柄が飛び散っていく様子を表現できる。また、係数kq に関する数列あるいは関数を、値が小さな範囲で変化するように設定すれば、FB(x,y)の変化による影響が小さくなり、逆に値が大きくなるように係数kq に関する数列あるいは関数を設定すればFB(x,y)の僅かな変化で変位方向が敏感に変動することになるので、変形画像における局所的な変化の激しさを制御することができる。
【0046】
更に、上記の(16)式で決定されるθの値をそのまま角度方向の変位量として用いるのではなく、入力された角度θに対して特定の角度に偏った角度θ′を出力する関数fa を導入して
θ′=fa(θ)=fa(kqFB(x,y)) …(21)
と拡張し、このθ′の値を上記の(17),(18)式に代入して移動先の位置(x′,y′)を定めるようにすれば、変形の方向を所望の角度方向に偏らせるように制御することができる。図5にその例を示す。図5において、横軸θは上記の(16)式で決定されるθの値であり、縦軸θ′は上記の(21)式で得られる値である。図5においては破線で示すように一様に分布するθに対して、実線で示すように、π方向及び2π(=0)方向に偏りのある角度θ′が得られている。従って、図5の実線で示す入出力特性を有する関数fa を用いてθ′を得、そのθ′の値を上記の(17),(18)式に代入して移動先の位置(x′,y′)を定めれば、変形画像では左右方向(θ′=0,π,2π)への揺らぎが強調されることになる。
【0047】
以上のようであるので、座標系を極座標表現する場合には、上述した事項を考慮して、写像を定義すればよい。
【0048】
このようにして写像が定義された後は、第1の実施形態と同様に、図1のステップS5以下の処理を行って、動画の作成を行う。なお、ここでは(15)〜(18)式に示す写像によって変形を行うものとし、係数kr ,kq について変形回数の個数だけの数列が設定されているものとする。
【0049】
まず、原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶する(ステップS5)。
次に、原画像I0 を変形し、その結果得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶する処理を変形回数であるn回繰り返す(ステップS6,S7)。即ち、まず、1回目の変形においては、原画像I0 の(x,y)の位置にある画素に着目し、1回目の変形に関する係数kr1,kq1、及び当該位置(x,y)における2次元フラクタル場A,Bのスカラ値FA(x,y),FB(x,y)を用い、(15)式からrを、(16)式からθを求め、その求めたr,θを(17),(18)式に代入して移動先の位置(x′,y′)を求める。そして、当該画素の画素値を変形画像I1 の(x′,y′)の位置に書き込む。この処理を原画像I0 の全ての画素に対して施すことによって、1回目の変形画像I1 が得られるので、この変形画像I1 を所定のコマ数だけ記憶する。
【0050】
以下、同様にしてn回目の変形まで行い、n回目の変形画像In を所定のコマ数だけ記憶すれば処理は終了となる。
【0051】
以上のステップによって、原画像I0 、1回目の変形画像I1 、…、n回目の変形画像In が、この順に、それぞれ所定のコマ数だけ記憶されるので、これらの画像を連続的に再生すれば原画像I0 が次々と不定形に変形していく様子を動画として観察することができる。
【0052】
なお、このステップS6の原画像I0 の変形の処理において、空画素の処理、及びはみ出し補正処理は第1の実施形態で述べたと同様に行えばよい。特に、変形の処理の際に変形画像上に空画素を生じさせないようにするためには、例えば、
r=krFA(x′,y′) …(22)
θ=kqFB(x′,y′) …(23)
x=x′−rcosθ …(24)
y=y′−rsinθ …(25)
という写像を用いて原画像I0 を変形すればよい。ここで、(x,y)は原画像I0 上の画素位置、(x′,y′)は変形画像Ii 上の画素位置である。これによって、上述したと同様に、変形画像上の位置(x′,y′)に対応する原画像上の位置(x,y)を求めることができるので、その求めた原画像上の位置の画素値を変形画像上の(x′,y′)の位置に書き込めばよい。
【0053】
以上のようであるので、この第2の実施形態においても、原画像が不定形な動きで、種々の態様で変形していく動画を容易に作成することができる。
【0054】
以上、動画作成方法の第2の実施形態について説明したが、この第2の実施形態の画像作成方法を実現するための装置は図4に示すものと同じ構成でよい。ただし、ROM5には上述した第2の実施形態の動画作成方法の処理を行うプログラムが格納されていることは当然である。
【0055】
この動画作成装置の動作は、上述した第1の実施形態の動画作成装置と同様であり、オペレータは、上述したと同様にして入力装置7によって初期設定を行い、原画像I0 を用意し、更に二つの2次元フラクタル場A,Bを用意する。
【0056】
次に、オペレータは、入力装置7によって座標系を設定し、写像を定義する。この写像の定義は、入力装置7によって、例えば(15)〜(18)式及び係数kr ,kq の数列あるいは関数を設定すればよい。
【0057】
その後、変形処理の実行が指示されると、制御装置3は、まず原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する。そして、上述したステップS6の原画像を変形する処理、及びステップS6で得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する処理を初期設定で設定された変形回数だけ繰り返す。
【0058】
そして、入力装置7から動画表示が指示されると、制御装置3は記憶装置8から原画像I0 及び各変形画像I1 〜In を順に読み出して表示装置4に表示するので、原画像が変形していく様子を動画として観察することができる。
【0059】
以上の説明では、変形画像I1 ,I2 ,…,In は全て原画像I0 を変形して得るようにしているが、変形画像I1 は上述したとおりに原画像I0 を変形することによって得るが、変形画像I2 は変形画像I1 を変形することによって得るというようにすることも可能である。つまり、変形画像I2 以降の変形画像については、直前の変形で得られた変形画像に対して写像を適用して変形して得るようにするのである。従って、この場合には、変形画像Ii (i=2,3,…,n)は変形画像Ii-1 に対してi回目の変形として定義されている写像を適用し、変形して得ることになる。そして、原画像I0 及び各変形画像Ii (i=1,2,…,n)をそれぞれ所定コマ数だけ記憶し、それらを読み出して表示すれば原画像が次々と変形していく様子を動画として観察することができる。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、動画作成方法の第3の実施形態について説明する。
上述した第1、第2の実施形態では、原画像を変形するに際しては常に同じ二つの2次元スカラ場を用い、それらの二つの2次元スカラ場のスカラ値FA(x,y),FB(x,y)に乗算する係数を変形回数毎に変更するようにしたが、その逆に、変形回数毎に異なる二つの2次元スカラ場を用いることも可能である。そしてその場合には、二つの2次元スカラ場のスカラ値に乗算する係数は一定値とすることができる。
【0061】
そこで、動画作成方法の第3の実施形態では、原画像を変形するに際して、変形回数の度毎に異なった二つの2次元スカラ場を用いる方法を提供するものである。
【0062】
まず、その概念を説明する。例えば、図6に示すように、第1の2次元連続スカラ場及び第2の2次元連続スカラ場として、それぞれn組のスカラ場を用意しておき、第1回目の変形の際には、第1のスカラ場F1(1)及び第2のスカラ場F2(1)を利用して原画像の変形を行い、第2回目の変形の際には、第1のスカラ場F1(2)及び第2のスカラ場F2(2)を利用して原画像の変形を行い、…、第n回目の変形に際しては、第1のスカラ場F1(n)および第2のスカラ場F2(n)を利用して原画像の変形を行うようにすればよい。
【0063】
ただ、このようにn組のスカラ場を用意する場合、i回目の変形の際に用いる第i番目のスカラ場と、(i+1)回目の変形の際に用いる第(i+1)番目のスカラ場とが連続的に変化するようにするのが好ましい。別言すれば、例えば、第i番目のスカラ場F1(i)上のある位置(x,y)に定義されているスカラ値Siと、第(i+1)番目のスカラ場F1(i+1)上の同じ位置(x,y)に定義されているスカラ値S(i+1)との間の変化が連続的になるようにするのが好ましい。
【0064】
このような条件を満たすn組の2次元連続スカラ場は、3次元連続スカラ場を定義することにより容易に提供できる。図7は、第1の3次元連続スカラ場と、第2の3次元連続スカラ場とを示す概念図である。これらのスカラ場は、いずれもXYZ三次元座標系上に連続的に変化するスカラ値を定義することにより構成されるスカラ場である。即ち、このスカラ場を構成するXYZ三次元座標空間内の各点には、それぞれ所定のスカラ値が定義されており、個々のスカラ値は、X軸方向に関しても、Y軸方向に関しても、更にZ軸方向に関しても、連続的に変化する。
【0065】
このような3次元連続スカラ場を用意しておけば、この3次元連続スカラ場を所定のZ座標値で切断すれば、その切断面に2次元連続スカラ場を得ることができる。図7に破線で示す2次元連続スカラ場F1(z)およびF2(z)は、Z=zなる平面を切断面として得られたスカラ場である。従って、Z=z1 なる平面、Z=z2 なる平面、…、Z=zn なる平面というように、等間隔にn枚の平面を定義し、これら各平面を切断面として、それぞれ2次元連続スカラ場F1(1)及びF2(1)(以下、これを第1層の2次元スカラ場と称す)、F1(2)及びF2(2)(以下、これを第2層の2次元スカラ場と称す)、…、F1(n)及びF2(n)(以下、これを第n層の2次元スカラ場と称す)を定義すれば、図6に示すようなn組の2次元連続スカラ場F1(i)及びF2(i)を得ることができ(i=1,…,n )、しかもこれらのスカラ場は、iの変化に伴って連続的に変化するスカラ場になる。いわば、Z軸が変形回数軸あるいは時間軸として機能することになる。なお、3次元連続スカラ場としては、例えば、3次元フラクタル場を利用することができる。なお、3次元フラクタル場の生成手法としては、例えば、岡田稔他「3次元ランダム・フラクタルを利用した不均質材料のテクスチャ表現」(情報処理学会論文誌 Nov.1987 Vol.29 No.11 p.p.1146 )に具体的な方法が開示されている。
【0066】
以下、この実施形態における処理の流れを図8に示すフローチャートを参照して説明する。図8に示すフローチャートは、図1に示すフローチャートとは殆ど同じであるが、二つの3次元スカラ場を用意する点、及び原画像の変形回数毎に3次元スカラ場の異なる層を用いる点で異なっている。
【0067】
まず、種々の所定の事項について初期設定を行う(ステップS11)。例えば、原画像I0 を変形して得られる変形画像のサイズの設定、原画像I0 を何回変形するか、その変形回数等の設定、原画像の変形に用いる二つの3次元スカラ場のサイズの設定等を行う。なお、ここでは変形回数はn回とする。
【0068】
次に、動画の最初の画像となる原画像I0 と、ステップS11で設定したサイズの二つの3次元スカラ場A,Bを用意する(ステップS12)。この3次元スカラ場A,Bとしては、3次元スカラ場であればどのようなものを用いてもよいが、ここでは3次元フラクタル場を用いるものとする。3次元フラクタル場は上記の文献に開示されている方法で作成すればよい。ここでは3次元フラクタル場A,Bの各層の値域FAi(x,y)及びFBi(x,y)(ただし、i=1,2,…,n)は[-1,+1]の範囲に正規化されているものとする。
【0069】
次に、原画像I0 、3次元フラクタル場A,B、及び変形画像に対して座標系を設定する(ステップS13)。座標系としては直交座標系を用いることもでき、極座標系を用いることもできる。このとき、原画像、3次元フラクタル場A,B、及び変形画像のサイズは同一であってよいことは当然であるが、異なっていてもよい。後者のように原画像、3次元フラクタル場A,B、及び変形画像のサイズが異なっている場合には、座標系を正規化して、各画像の画素の位置が一対一の対応をとるようにすればよい。ここでは座標系は正規化されているものとする。即ち、各画像のサイズはx方向もy方向も[0 ,1 ]の範囲となっているものとする。
【0070】
次に、写像を定義する(ステップS14)。いま、原画像I0 の位置(x,y)にある画素を変形画像の位置(x′,y′)に移動させるものとすると、座標系として直交座標系を設定した場合には、i(i=1,2,…,n)回目の変形は、例えば上記の(1),(2)式と同様に、次の式のように定義することができる。
【0071】
x′=x+kAFAi(x,y) …(26)
y′=y+kBFBi(x,y) …(27)
ここで、FAi(x,y)は3次元フラクタル場Aの第i層の2次元フラクタル場における座標位置(x,y)でのスカラ値を示し、FBi(x,y)は3次元フラクタル場Bの第i層の2次元フラクタル場における座標位置(x,y)でのスカラ値を示し、kA ,kB は係数である。この場合には係数kA ,kB は一定値とする。
【0072】
また、座標系を極座標表現した場合には、i(i=1,2,…,n)回目の変形は、例えば上記の(15)〜(18)式と同様に、次の式のように定義することができる。
【0073】
r=krFAi(x,y) …(28)
θ=kqFBi(x,y) …(29)
x′=x+rcosθ …(30)
y′=y+rsinθ …(31)
ここで、FAi(x,y),FBi(x,y)は上述したと同じであり、kr ,kq は係数である。この場合にも係数kr ,kq は一定値とする。
【0074】
これは、つまり、変形回数毎に写像を変更していくことを意味している。そして、この場合には変形回数毎の写像の変更は、二つの3次元スカラ場A,Bの中の使用する2次元スカラ場の層を変更することによって行われることになる。
【0075】
ここまでのステップによって、準備が整ったので、以下のステップにおいて動画の作成を行う。まず、原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶する(ステップS15)。この記憶するコマ数は予め固定的に設定されていてもよく、ステップS11の初期設定で任意に設定可能としてもよい。
【0076】
次に、原画像I0 を変形し、その結果得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶する処理を変形回数であるn回繰り返す(ステップS16,S17)。即ち、まず、1回目の変形においては、原画像I0 の(x,y)の位置にある画素に着目し、3次元フラクタル場A,Bの第1層の2次元フラクタル場の当該位置(x,y)におけるスカラ値FA1(x,y),FB1(x,y)を求め、ステップS14で定義された写像による移動先(x′,y′)を求め、変形画像I1 の(x′,y′)の位置に原画像I0 の当該画素の画素値を書き込む処理を原画像I0 の全ての画素位置について行う。
【0077】
例えば、いま直交座標が設定され、(26),(27)式によって写像が定義されたとすると、1回目の変形においては
x′=x+kAFA1(x,y) …(32)
y′=y+kBFB1(x,y) …(33)
によって原画像I0 の変形が行われることになり、また、同様に、極座標表現が設定され、(28)〜(31)式によって写像が定義されたとすると、1回目の変形では
r=krFA1(x,y) …(34)
θ=kqFB1(x,y) …(35)
x′=x+rcosθ …(36)
y′=y+rsinθ …(37)
によって原画像I0 の変形が行われることになる。
【0078】
このことによって1回目の変形画像I1 が得られるので、この変形画像I1 を所定のコマ数だけ記憶する。
【0079】
次に、同様に2回目の変形においては、3次元フラクタル場A,Bの第2層の2次元フラクタル場を用いて原画像の変形を行う。即ち、いま直交座標が設定され、(26),(27)式によって写像が定義されたとすると、2回目の変形においては
x′=x+kAFA2(x,y) …(38)
y′=y+kBFB2(x,y) …(39)
によって定義される写像を原画像I0 の全ての画素位置に対して施し、変形画像I2 の(x′,y′)の位置に原画像I0 の当該画素の画素値を書き込む処理を行えばよく、また、極座標表現が設定され、(28)〜(31)式によって写像が定義されたとすると、2回目の変形では
r=krFA2(x,y) …(40)
θ=kqFB2(x,y) …(41)
x′=x+rcosθ …(42)
y′=y+rsinθ …(43)
によって定義される写像を原画像I0 の全ての画素位置に対して施し、変形画像I2 の(x′,y′)の位置に原画像I0 の当該画素の画素値を書き込む処理を行えばよい。このことによって2回目の変形画像I2 が得られるので、この変形画像I2 を所定のコマ数だけ記憶する。
【0080】
以下、同様にしてn回目の変形まで行い、n回目の変形画像In を所定のコマ数だけ記憶すれば処理は終了となる。
【0081】
以上のステップによって、図2の概念図に示すと同様に、原画像I0 、1回目の変形画像I1 、…、n回目の変形画像In が、この順に、それぞれ所定のコマ数だけ記憶されるので、これらの画像を連続的に再生すれば原画像I0 が次々と不定形に変形していく様子を動画として観察することができる。
【0082】
なお、ステップS16の原画像の変形処理における空画素の処理、はみ出し補正処理については上述したと同じである。
【0083】
以上のようであるので、原画像の絵柄が、3次元スカラ場A,Bの各層の2次元スカラ場の値に応じて、不定形な動きで、種々の態様で変形していく動画を容易に作成することができる。そして、その変形の態様は、3次元スカラ場をどのようなものにするかによって制御することができる。
【0084】
以上、動画作成方法の第3の実施形態について説明したが、この第3の実施形態の画像作成方法を実現するための装置は図4に示すものと同じ構成でよい。ただし、ROM5には上述した第3の実施形態の動画作成方法の処理を行うプログラムが格納されていることは当然である。
【0085】
この動画作成装置の動作は、上述した第1、第2の実施形態の動画作成装置と同様であり、オペレータは、上述したと同様にして入力装置7によって初期設定を行い、原画像I0 を用意し、更に二つの3次元フラクタル場A,Bを用意する。
【0086】
次に、オペレータは、入力装置7によって座標系を設定し、写像を定義する。この写像の定義は、入力装置7によって、例えば(1),(2)式あるいは(15)〜(18)式を設定すればよい。
【0087】
その後、変形処理の実行が指示されると、制御装置3は、まず原画像I0 を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する。そして、上述したステップS6の原画像を変形する処理、及びステップS6で得られた変形画像を所定のコマ数だけ記憶装置8に記憶する処理を初期設定で設定された変形回数だけ繰り返す。
【0088】
そして、入力装置7から動画表示が指示されると、制御装置3は記憶装置8から原画像I0 及び各変形画像I1 〜In を順に読み出して表示装置4に表示するので、原画像が変形していく様子を動画として観察することができる。
【0089】
以上の説明では、変形画像I1 ,I2 ,…,In は全て原画像I0 を変形して得るようにしているが、変形画像I1 は上述したとおりに原画像I0 を変形することによって得るが、変形画像I2 は変形画像I1 を変形することによって得るというようにすることも可能である。つまり、変形画像I2 以降の変形画像については、直前の変形で得られた変形画像に対して写像を適用して変形して得るようにするのである。従って、この場合には、変形画像Ii (i=2,3,…,n)は変形画像Ii-1 に対してi回目の変形として定義されている写像を適用し、変形して得ることになる。そして、原画像I0 及び各変形画像Ii (i=1,2,…,n)をそれぞれ所定コマ数だけ記憶し、それらを読み出して表示すれば原画像が次々と変形していく様子を動画として観察することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、それぞれの実施形態において種々の変形が可能であることは当業者に明らかである。なお、これまで用途については説明しなかったが、上述した動画作成方法は、映像効果として種々の用途に広く用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 動画作成方法の第1の実施形態の処理を説明するためのフローチャートである。
【図2】 動画作成方法の第1の実施形態において記憶される原画像及び変形画像の並びの概念を説明するための図である。
【図3】 はみ出し補正処理を説明するための図である。
【図4】 動画作成方法の第1の実施形態の処理を実行するための動画作成装置の一実施形態を示す図である。
【図5】 極座標表現により写像を定義した場合において、変形の方向を所望の角度方向に偏らせるためのθに対する関数のグラフの例を示す図である。
【図6】 動画作成方法の第3の実施形態の概念を説明するための図である。
【図7】 第3の実施形態において、二つの3次元連続スカラ場を定義した状態を示す概念図である。
【図8】 動画作成方法の第3の実施形態の処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1…スキャナ
2…入力ポート
3…制御装置
4…表示装置
5…ROM
6…RAM
7…入力装置
8…記憶装置
Claims (6)
- 画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kA ,kB を係数として、次の二つの式
x′=x+kAFA(x,y)
y′=y+kBFB(x,y)
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの係数kA ,kB の値を異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする動画作成装置。 - 画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kA ,kB を係数として、次の二つの式
x′=x+kAFA(x,y)
y′=y+kBFB(x,y)
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの2次元スカラ場A,Bを異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする動画作成装置。 - 前記制御装置は、前記第2の処理で用いる二つの2次元スカラ場A,Bとしては、それぞれ、3次元連続スカラ場を所定のZ座標値で切断したときの切断面の2次元スカラ場を用いることを特徴とする請求項2記載の動画作成装置。
- 画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kr ,kq を係数として、次の四つの式
r=krFA(x,y)
θ=kqFB(x,y)
x′=x+rcosθ
y′=y+rsinθ
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの係数kr ,kq の値を異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする動画作成装置。 - 画像取り込み手段と、
記憶装置と、
制御装置と
を少なくとも備え、
制御装置は、
画像取り込み手段により取り込んだ原画像または記憶装置から原画像を、記憶装置に所定コマ数記憶する第1の処理と、
二つの2次元スカラ場A,Bを用い、それらの2次元スカラ場A,Bの位置(x,y)におけるスカラ値をそれぞれFA(x,y),FB(x,y)とし、kr ,kq を係数として、次の四つの式
r=krFA(x,y)
θ=kqFB(x,y)
x′=x+rcosθ
y′=y+rsinθ
により原画像または直前に作成した変形画像の(x,y)の位置にある画素を(x′,y′)の位置に移動させる写像を原画像または直前に作成した変形画像の全ての画素について行って変形画像を作成する第2の処理と、
第2の処理で作成した変形画像を作成された順に記憶装置に所定コマ数記憶する第3の処理と、
第2の処理と第3の処理を、第2の処理により変形画像を作成する度毎に二つの2次元スカラ場A,Bを異ならせながら所定回数繰り返す第4の処理と
を行うことを特徴とする動画作成装置。 - 前記制御装置は、前記第2の処理で用いる二つの2次元スカラ場A,Bとしては、それぞれ、3次元連続スカラ場を所定のZ座標値で切断したときの切断面の2次元スカラ場を用いることを特徴とする請求項5記載の動画作成装置。
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