JP4075365B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ビームを出射する複数の光源と、前記光ビームによって潜像を形成するための複数の像担持体と、を備えた多重画像形成装置に用いられる光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10には、画像形成装置100の正面図が示されている。
【0003】
複数のレーザビームは、回転多面鏡(ポリゴンミラー)102で偏向及び走査され、イエロー(Y)色、マジェンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(K)色に対応するそれぞれの感光体104に照射されるようになっている。
【0004】
レンズ106を通して走査速度補正の施されたレーザビームは、複数の反射鏡108により折り返されて(偏向されて)、板ガラス110を通過後、感光体104の表面に走査され、画像信号に応じた潜像を形成するようになっている。
【0005】
ところで、この画像形成装置100に設けられた前記レーザビームを走査するための光走査装置112では、電源投入後、前記画像形成装置100内部に発生する熱と前記回転多面鏡102を駆動させるモータ等の光走査装置112の内部の熱により徐々に前記光走査装置112の内部の温度が上昇する。前記光走査装置112の内部の温度の上昇に伴って前記光走査装置112を構成している筐体114が熱膨張する。前記熱膨張によって前記筐体114の底面が凸状に変形し、レーザービームの走査位置が変動してしまう。特に、カラー画像を形成するカラー画像形成装置においては、前記レーザビームの走査位置の変動により色ずれが発生するため、前記カラー画像形成装置によって形成された画像の画質が劣化することがあった。
【0006】
このような問題点を解決するための従来技術として、特許公報第2606861号に記載の技術(以下、先行技術1という。)では、図11及び図12に示される如く、上述の筐体114と光走査装置112本体の取付け部116が、走査平面に平行な面方向(平行方向)には移動でき、かつ前記走査平面に垂直な方向(垂直方向)には移動しないように固定されていた。これにより、上述した光走査装置112の内部の温度上昇が生じた場合でも、前記筐体114の熱膨張による伸びの拘束が行われないようになっている。このため、前記筐体114の底面(ハウジング底面)の凹凸変形を少なくすることができ、Beam(アライメント)が変動を抑えるようになっている。
【0007】
また、画像形成装置100本体の設置の仕方次第では、前記画像形成装置100を設置している床の凹凸によって、前記画像形成装置100の本体フレームが変形してしまう。このような問題点を解消するために、特開平4−127116号公報に記載の技術(以下、先行技術2という。)では、図13及び図14に示される如く、画像形成装置118の光走査装置120の筐体122に対して、前記光走査装置120の取付け箇所を3点(3点固定)にし、このような変形を軽減している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術1では、上述した筐体114の垂直方向の保持は弾性部材であるスプリング114Aやビス114B等を用いて前記筐体114を押さえ付けることに依存しているため、光走査装置114の内部のMPA振動又は外部からの振動に対して前記筐体114の保持が比較的弱いという問題点があった。特に、前記筐体114を保持するスプリング114Aの設置されている側の光学部品であるレンズ106や反射鏡108等からのビーム(レーザビーム)に対しては、前記ビームの走査される位置の変動が生じてしまう。このため、前記ビームによって形成された画像には、副走査方向の筋(バンデイング)が発生しやすく、画質の劣化が生じてしまう。特に、カラー画像を形成するカラー画像形成装置に設けられた走査装置においては、特定の色において突出したバンデイングが発生し、形成された画像の画質を著しく低下させてしまう。
【0009】
また、先行技術2では、画像形成装置118本体に光走査装置120を3点で締結しているため、4点締結の場合に比べて、前記光走査装置120の内部のMPA振動又は外部からの振動に対して上述した筐体122の保持が弱くなってしまう。特に、前記筐体122を1点で固定している1点保持側の光学部品であるレンズ124や反射鏡126、128からのビーム(レーザビーム)に対しては、前記ビームの走査される位置の変動が生じてしまう。このため、形成されたカラー画像では、前記ビームに対応する色の副走査方向の筋(バンデイング)が発生しやすく、前記カラー画像の画質の劣化が生じてしまう。
【0010】
このため、上述した先行技術1と同様に、カラー画像を形成する画像走査装置においては、特定の色の突出したバンデイングが発生し、形成されたカラー画像の画質を著しく低下させてしまう。特に、上述した光学部品の中でも、出射されたビーム(レーザビーム)を感光体ドラム等の像担持体へ反射する最終反射鏡は、他の光学部品に対して幅方向に長いために上述した振動の影響を受けやすく、また前記最終反射鏡のレイアウトの制約やコストの面から十分な剛性を確保できない為にバンデイングの発生の主な原因となっていた。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、バンデイングの影響を抑えることのできる光走査装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ビームを出射する複数の光源と、前記光ビームによって潜像を形成するための複数の像担持体と、を備えた画像形成装置に用いられ、出射された光ビームを主走査方向に偏向させる偏向手段と、前記偏向手段が中央に配置された状態で振り分け配置され、前記偏向手段によって偏向された光ビームを前記複数の像担持体上にそれぞれ結像させる複数の光学系と、前記像担持体の各々に対して少なくとも1個の平面鏡である反射鏡を前記偏向手段と前記像担持体との間に設け、前記光源と前記偏向手段と前記光学系とを保持し、複数の保持部材によって画像形成装置の内部に固定されている筐体と、を備え、前記筐体の前記光学系の振り分け方向の一方向であり、前記偏向手段を中心とした一方と他方において、保持部材の数を比較して相対的に多い側を機械的安定保持側とし、少ない側を機械的不安定保持側とした光走査装置であって、前記偏向手段の配置された箇所よりも前記筐体の機械的安定保持側に配置され、かつ前記反射鏡のうちの一部を構成し、前記光ビームを前記像担持体へ向けて反射する最下流側の反射鏡の反射角度である前記反射鏡の反射面と前記反射鏡によって反射されたレーザービームとのなす角度が、他の光学系の最下流側の反射鏡の反射角度よりも小さいことを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、画像形成装置を凹凸を有する床に配置した場合、あるいは前記画像形成装置を使用することで筐体の内部に熱が発生する場合等では、筐体に歪が生じてしまう場合がある。
【0014】
そこで、本願請求項1に記載の発明では、複数の保持部材によって画像形成装置の内部に固定されている前記筐体の前記光学系の振り分け方向の一方向であり、前記偏向手段を中心とした一方と他方において、保持部材の数を比較して相対的に多い側を機械的安定保持側とし、少ない側を機械的不安定保持側とした光走査装置であって、前記偏向手段が配置された箇所よりも、前記筐体の機械的安定保持側に配置され、かつ平面鏡である前記反射鏡のうちの一部を構成し、前記光ビームを前記像担持体へ向けて反射する最下流側の反射鏡の反射角度である前記反射鏡の反射面と前記反射鏡によって反射されたレーザービームとのなす角度が、他の光学系の最下流側の反射鏡の反射角度よりも小さくなるようにしている。
【0015】
ここで、「反射角度」とは、反射鏡の反射面と前記反射鏡によって反射されたレーザビームとのなす角をいう。
【0016】
前記筐体に歪が生じている場合においては、前記反射鏡によって反射された光ビーム(レーザビーム)の像担持体上での結像位置にずれ(ビーム位置ずれ)が生じてしまう。ここでいう「機械的安定保持側」とは、偏向手段の中央に配置された状態で振り分けられる振り分け方向のうちの一方であって、ビーム位置ずれの量が小さい側をいう。
【0017】
しかしながら、他の光学系の最下流側の反射鏡の反射角度よりも小さい反射角度を有する反射鏡の配置されている箇所が、前記筐体の機械的安定保持側になっているため、前記歪が生じても前記ビーム位置ずれの量が比較的小さくて済む。これにより、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑えることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記最下流の反射鏡の反射角度のうち最小の反射角度を有する反射鏡が、前記偏向手段の配置された箇所よりも前記筐体の機械的安定保持側方向の端部側に配置されていることを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、前記最下流の反射鏡の反射角度のうち最小の反射角度を有する反射鏡の配置箇所が、偏向手段の設置箇所よりも前記筐体の機械的安定保持側方向の端部側になっているため、上述の歪が生じても前記ビーム位置ずれの量を請求項1に記載の発明よりも小さく抑えることができる。このため、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑える精度を請求項1に記載の発明より高くすることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記最下流の反射鏡が、前記筐体の機械的安定保持側方向の端部側から前記反射角度の小さい順に配置されていることを特徴としている。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、前記最下流の反射鏡が前記筐体の保持箇所の機械的安定保持側方向の端部側から前記反射角度の小さい順に配置されているため、上述の歪が生じても前記ビーム位置ずれの量を請求項2に記載の発明よりも小さく抑えることができる。このため、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑える精度を請求項2に記載の発明より高くすることができる。
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から前記請求項3のいずれか1項記載の発明において、前記機械的安定保持側では、保持部材の数を2個用いて機械的に安定的な状態である2点保持側とし、前記機械的不安定保持側では、保持部材の数を1個用いて機械的に不安定的な状態である1点保持側とすることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、前記機械的安定保持側では、保持部材の数を2個用いて機械的に安定的な状態である2点保持側とし、前記機械的不安定保持側では、保持部材の数を1個用いて機械的に不安定的な状態である1点保持側とする。このため、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑える精度を請求項3に記載の発明より高くすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態では、レーザビームを主走査方向に偏向する後述する回転多面鏡18を1つ用いてK(ブラック)色、C(シアン)色、M(マゼンタ)色、及びY(イエロー)色の4色の各色に対応したレーザビームを走査する形態である双方向スプレイペイント方式の画像形成装置を用いて説明する。
【0024】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置Pの断面図が示されている。
【0025】
図2に示される如く、前記画像形成装置Pには、レーザビームを走査し、後述する感光体ドラムに前記レーザビームを露光する走査ユニットである露光装置10が設けられている。
【0026】
前記露光装置10には、レーザビームを出射するレーザ光源としてのレーザダイオード12A、12B、12C、及び12Dが設置されている。前記レーザダイオード12A、12B、12C、及び12DはそれぞれK色、C色、M色、及びY色に対応する画像を形成するためのレーザビームを出射する。
【0027】
前記レーザダイオード12A、12B、12C、及び12Dのそれぞれから出射されたレーザビームの各々の光路上には、前記レーザビームを平行光にするためのコリメータレンズ14A、14B、14C、及び14Dがそれぞれ設けられている。これにより、前記コリメータレンズ14A、14B、14C、及び14Dを透過したレーザビームはゆるい発散光になる。
【0028】
また、前記レーザダイオード12A、12B、12C、及び12Dのそれぞれから出射され、前記コリメータレンズ14A、14B、14C、及び14Dを通過したレーザビームの各々の光路上には、前記レーザビームを走査する際のいわゆる面倒れ補正に用いるシリンドリカルレンズ16A、16B、16C、及び16Dが設けられている。
【0029】
さらに、前記露光装置10には、前記レーザダイオード12A〜Dのそれぞれから出射され、前記コリメータレンズ14A〜D及び前記シリンドリカルレンズ16A〜Dを通過した各レーザビームを偏向する回転多面鏡18が設けられている。これにより、前記回転多面鏡18によって反射された各レーザビームを主走査方向に走査することができる。
【0030】
ここで、前記回転多面鏡18に入射する各レーザビームは、前記主走査方向と略直交する副走査方向に別々の角度を有している。これにより、前記回転多面鏡18によって偏向された後の各レーザビームは、前記副走査方向に互いに異なる角度を有し、異なる光路を進むことになる。
【0031】
また、前記回転多面鏡18によって偏向された後の前記各レーザビームの光路上には、前記各レーザビームを後述する感光体ドラム上で主走査方向に等速運動させるfθレンズ20A、20Bとfθレンズ22A、22Bとが配置されている(図1参照)。すなわち、前記回転多面鏡18によって偏向された各レーザビームは、前記fθレンズ20A又は20B、22A又は22Bを順に通過するようになっている。
【0032】
前記fθレンズ20A、22Aを順に通過した後のK色、C色に対応するレーザビームの光路先には、それぞれ反射鏡26、28が設けられている。これにより、前記レーザビームを偏向させることができる。
【0033】
前記反射鏡26によって偏向されたK色に対応するレーザビームの光路先には、前記レーザビームを偏向させるシリンドリカルミラー30が設けられている。
【0034】
また、前記露光装置10には、前記シリンドリカルミラー30によって偏向された前記レーザビームを反射する反射鏡32が配置されている。これにより、前記シリンドリカルミラー30によって偏向された前記レーザビームが、後述する感光体ドラム34へ向けて反射される。
【0035】
さらに、前記シリンドリカルミラー30によって偏向されたレーザビームの光路先には、K色に対応する静電潜像を形成するための感光体ドラム34が設けられている。
【0036】
また、前記反射鏡28によって偏向されたC色に対応するレーザビームの光路先には、前記レーザビームを偏向させるシリンドリカルミラー36が設けられている。
【0037】
また、前記シリンドリカルミラー36によって偏向された前記レーザビームを反射する反射鏡38が配置されている。これにより、前記シリンドリカルミラー36によって偏向された前記レーザビームが、後述する感光体ドラム40へ向けて反射される。
【0038】
さらに、前記シリンドリカルミラー36によって偏向されたレーザビームの光路先には、C色に対応する静電潜像を形成するための感光体ドラム40が設けられている。
【0039】
一方、前記fθレンズ20B、22Bを順に通過した後のM色、Y色に対応するレーザビームの光路先には、それぞれ反射鏡42、44が設けられている。これにより、前記レーザビームを偏向させることができる。
【0040】
前記反射鏡42によって偏向されたM色に対応するレーザビームの光路先には、前記レーザビームを偏向させるシリンドリカルミラー46が設けられている。
【0041】
また、前記露光装置10には、前記シリンドリカルミラー46によって偏向された前記レーザビームを反射する反射鏡48が配置されている。これにより、前記シリンドリカルミラー46によって偏向された前記レーザビームが、後述する感光体ドラム50へ向けて反射される。
【0042】
さらに、前記シリンドリカルミラー46によって偏向されたレーザビームの光路先には、M色に対応する静電潜像を形成するための感光体ドラム50が設けられている。
【0043】
また、前記反射鏡44によって偏向されたY色に対応するレーザビームの光路先には、前記レーザビームを偏向させるシリンドリカルミラー52が設けられている。
【0044】
また、前記シリンドリカルミラー52によって偏向された前記レーザビームを反射する反射鏡54が配置されている。これにより、前記シリンドリカルミラー52によって偏向された前記レーザビームが、後述する感光体ドラム56へ向けて反射される。
【0045】
さらに、前記シリンドリカルミラー52によって偏向されたレーザビームの光路先には、Y色に対応する静電潜像を形成するための感光体ドラム56が設けられている。
【0046】
また、各感光体ドラムの端部付近には、各レーザビームが走査開始位置に位置することを検知するSOSセンサがそれぞれ設けられている。ここでは、感光体ドラム34の端部付近に設けられたSOSセンサ58、感光体ドラム40の端部付近に設けられたSOSセンサ59、感光体ドラム50の端部付近に設けられたSOSセンサ61、及び感光体ドラム56の端部付近に設けられたSOSセンサ60が明示されている。各SOSセンサは、各色に対応するレーザビームの出射タイミングの基準を求めるために用いられる。前記各SOSセンサが前記レーザビームを検知してから、画像形成装置Pの種々の制御を行う図示しない制御部によって所定のクロック数又は時間を制御することで、主走査方向の画像(潜像)の書き出しを調整するようになっている。
【0047】
さらに、感光体ドラム34、40、50、56の端部付近であって、かつ上述した各SOSセンサの配置されている側と反対側の端部付近には、前記各レーザビームが走査終了位置に位置することを検知する図示しないEOSセンサがそれぞれ配置されている。
【0048】
ここで、図1に示される如く、前記感光体ドラム34、40、50、及び56は一平面上に所定間隔で設置されている。
【0049】
前記感光体ドラム34、40、50、及び56の各々には、前記感光体ドラムを帯電させる図示しない帯電器がそれぞれ設けられている。
【0050】
予め帯電している各感光体ドラムにレーザビームが照射されると、前記レーザビームが照射された部位の電位が低下する。また、前記各感光体ドラムに形成された静電潜像に付着させるトナーが予め帯電されている。前記トナーが前記各感光体ドラムと接触すると、レーザビームが照射されていない前記各感光体ドラムの部位と前記トナーとは同極に帯電しているため、トナーが前記各感光体ドラムに付着しない。これに対して、前記レーザビームが照射されていない前記各感光体ドラムの部位の電位よりもレーザビームが照射された前記各感光体ドラムの部位の電位が低いため、前記レーザビームが照射された前記各感光体ドラムの部位では、トナーが前記感光体ドラムに付着する。
【0051】
このようにして、各感光体ドラムに形成された静電潜像に対応するトナー像が形成される。
【0052】
また、前記各感光体ドラムには、前記トナー像を現像する現像器がそれぞれ設けられている。
【0053】
さらに、画像形成装置Pには、前記各感光体ドラムに形成された画像を重ね合わせて単一の画像にする中間転写ベルト62が、上述した一平面上で前記各感光体ドラムに接するように配置されている。
【0054】
前記中間転写ベルト62は、画像形成装置Pに配置されたローラ62A、62B、62C、及び62Dを図示しない駆動モータによって回転することで、定速で駆動するようになっている。前記中間転写ベルト62が駆動することで、各感光体ドラムに形成された画像の前記中間転写ベルト62への転写が行われ、前記転写が完了すると、単一の画像が形成される。前記中間転写ベルト62が所定の搬送路を循環すると、前記単一の画像が記録媒体64に記録される。ここで、図1中の一点破線で示される矢印は、前記記録媒体64の搬送方向を示している。なお、前記記録媒体64としては、用紙、OHPフィルム等が用いられるようにすればよい。
【0055】
また、前記各感光体ドラムには、前記各感光体ドラム上に残されたトナー像をクリーニングするための図示しないクリーナが設けられている。これにより、トナー像が前記中間転写ベルト62に転写された後、前記各感光体ドラム上に残されたトナーが完全に除去されるようになっている。
【0056】
さらに、上述のシリンドリカルミラー30、36、46、及び48の反射面は副走査方向にR面を有しており、回転多面鏡18の面倒れが生じた場合であっても前記副走査方向への走査線のずれが生じないようになっている。
【0057】
また、上述の筐体10Aの開口部には、平板ガラス10Bが備えられており、各レーザビームが前記平板ガラス10Bを透過した後、各感光体ドラムを露光するようになっている。
【0058】
さらに、上述の筐体10Aは、前記筐体10Aを保持する保持部材11A、11B、及び11Cによって画像形成装置Pの内部に固定されている。
【0059】
ここで、仮に上述した光走査装置10を4点保持構成にすると、画像形成装置P本体の歪が直接に前記光走査装置10の筐体10Aに伝わってしまい、前記筐体10Aに取り付けられている反射鏡32等の光学部品の配置された箇所が変動してまう。これにより、前記光学部品によって反射されるレーザビームの反射方向が変動してしまい、感光体ドラム34等への結像位置の変動である、いわゆるレーザビームの結像位置ずれが生じてしまう。その結果、各色に対応する画像の位置ずれが生じるため、前記各色の間に色ずれが発生し、前記各色に対応する画像を重ね合わせたカラー画像の画質が劣化してしまう。
【0060】
そこで、本実施の形態では、図3に示される如く、前記光走査装置10が3点保持される構成としている。これにより、凹凸面を有する床に画像形成装置Pを設置した場合、前記光走査装置10に上述した歪による影響を極力少なくすることができる。
【0061】
また、前記筐体10Aを3点保持することによって、従来の光走査装置の筐体を用いた場合に比べ、前記筐体10Aに歪を生じた場合であってもレーザビームの結像位置の維持性が向上する。しかしながら、前記筐体10Aを3点保持にする構成とすると、前記筐体10Aの前記3点保持を行っている箇所において、機械的安定保持側である2点保持側(図3の領域B)が機械的に安定な状態である一方、1点保持側(図3の領域A)が振動しやすいといった機械的に不安定な状態になりやすい。ここでいう「機械的安定保持側」とは、回転多面鏡18の略中央に配置された状態で振り分けられる振り分け方向のうちの一方であって、後述するビーム位置ずれの量が小さい側をいう。
【0062】
そこで、本実施の形態では、上述した2点保持側において、各色に対応する反射鏡のうち、最小の反射角度(以下、最小反射角度という。)の反射鏡を配置することで、各色において突出したバンデイングが発生することを抑えるようにしている。ここで、「反射角度」とは、各反射鏡の反射面と前記反射鏡によって反射されたレーザビームとのなす角をいう。本実施の形態では、反射鏡32におけるレーザビームの反射角度をθ1、反射鏡38におけるレーザビームの反射角度をθ2、反射鏡48におけるレーザビームの反射角度をθ3、並びに反射鏡54におけるレーザビームの反射角度をθ4、としている。
【0063】
具体的には、図3の領域Bに示される前記2点保持側において取り付けられている感光体ドラム34に反射されるレーザビーム又は感光体ドラム40に反射されるレーザビームが、反射鏡32又は反射鏡38において最小反射角度で反射されるようにすればよい。さらには、前記筐体10A内部において2点保持側端部に配置されている感光体ドラム34へ反射されるレーザビームが反射鏡32において最小反射角度で反射されるようにすると、上述したバンデイング対策としてより効果的である。
【0064】
以上述べたような光学レイアウト構成でも前記バンデイング対策として効果があるが、本実施の形態では、機械的不安定保持側である前記1点保持側から機械的安定保持側である前記2点保持側へ向けて、各反射角度が次第に小さくなるように光学レイアウトを構成している。すなわち、本実施の形態では、上述した反射角度θ1と、反射角度θ2と、反射角度θ3と、反射角度θ4と、の関係が、
θ1<θ2<θ3<θ4 …▲1▼
となるように予め設定されている。このような反射角度に設定することで、後述する式▲1▼の根拠により、上述したバンデイング対策において優れた効果を発揮することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、C色、K色、M色、及びY色の4色のうちC色を基準色としている。
【0066】
また、C色及びK色に対応するレーザビームの走査が同一走査となっている。さらに、M色及びY色に対応するレーザビームの走査が同一走査となっており、前記C色及びK色に対応するレーザビームの走査とは逆走査になっている。
【0067】
なお、本実施の形態では、EOSセンサは前記4色に対応するレーザビームの走査終了位置にそれぞれ設けてあるが、基準色、非基準色の走査方向に1個ずつ配置してもよい。
【0068】
以下に、本実施の形態で用いられる反射角度θ1、θ2、θ3、及びθ4の関係が、上述した式▲1▼とされた根拠について述べる。
【0069】
図4には、反射鏡70での反射角度θをそれぞれ30°、40°、50°、60°とした場合における、感光体ドラム72上でのレーザビームの結像位置ずれ(ビーム位置ずれ)と前記反射鏡70の振幅との関係が示されている。
【0070】
ここで、図5に示される如く、反射鏡70によって反射される反射角度θを固定した場合において、前記反射鏡70の振幅L(ミラー振幅Lともいう。)とビーム位置ずれとの関係を求め、この関係をプロットしたものが図4に示されるグラフとなっている。ここで、図5での一点破線部は、設置位置が変動した後の反射鏡70を示している。図4に示されるグラフでは、縦軸を「感光体ドラム72上でのビーム位置ずれ」、横軸を「反射鏡70の振幅」としている。
【0071】
図4に示される如く、バンデイングを目視できる感光体ドラム72上でのビーム位置ずれが2um付近であるため、本実施の形態ではバンデイングを目視できるしきい値が2umに設定されている。
【0072】
表1には、反射角度θに対する反射鏡70の許容振幅が示されており、前記許容振幅は図4に示されるデータから求められる。
【0073】
【表1】
Figure 0004075365
【0074】
具体的には、ビーム位置ずれを2umとした場合、図4に示される如く、反射鏡70の設置位置の変動を示すミラー振幅Lの値が、θ=30°では1.15um、θ=40°では1.31um、θ=50°では1.56um、θ=60°では2.00umとなっていることに基づき、上述の許容振幅が求められる。これらのデータから、ミラー振幅Lの値の大きい箇所、すなわち前記反射鏡70の設置位置の変動が大きい箇所(筐体10Aの1点保持側)では反射角度を大きくし、前記反射鏡70の設置位置の変動が小さい箇所(筐体10Aの2点保持側)では反射角度を小さくしておけばよいことがわかる。すなわち、各反射角度θの値が小さいほどバンデイング感度が高くなる。
【0075】
次に、本実施の形態における作用を詳細に説明する。
【0076】
図6には、筐体に歪が発生した場合でのバンディングの発生を抑えるフローチャートが示されている。
【0077】
画像形成装置Pを凹凸を有する床等に設置する、あるいは前記画像形成装置Pを使用することで筐体10Aの内部に熱が発生すると(ステップ100)、ステップ102へ移行し、前記筐体10Aに歪が生じる。
【0078】
前記筐体10Aに歪が生じると、ステップ104へ移行し、反射鏡32、38、48、及び54のそれぞれによって反射されるレーザビームの反射角度θ1、θ2、θ3、及びθ4が変動し、ステップ106へ移行する。
【0079】
ステップ106では、反射角度θ1、θ2、θ3、及びθ4の変動した前記反射鏡32、38、48、及び54のそれぞれによって反射され、感光体ドラム34、40、50、及び56上において結像するレーザビームの位置が変動し、いわゆるビーム位置ずれが発生する。前記ビーム位置ずれが発生すると、ステップ108へ移行する。
【0080】
ステップ108では、初期設定時での反射角度θ1、θ2、θ3、及びθ4が、式▲1▼を満たすように設定されているため、前記ビーム位置ずれの発生後であってもバンデイングの発生が抑えられ、画像形成が終了する(ステップ110)。
【0081】
なお、本実施の形態では光走査装置10を3点保持し、前記光走査装置10の機械的安定保持側を前記光走査装置10の2点保持側として説明したが、図7乃至図9に示す如く、上述の保持部材11Cを用いずに、前記光走査装置10の一方を締結し、他方をスプリング等の弾性部材11D及び11Eによって前記筐体10Aを保持する場合であっても、前記光走査装置10の機械的安定保持側(締結部側)において、反射したレーザビームを感光体ドラムへ向けて反射する反射鏡(最終反射鏡)の反射角度が最小の反射角度θ(最小反射角度θ)となるように光学レイアウトをとってもよい。
【0082】
ここで、上述の保持部材11D及び11Eは、図9に示される如く、筐体10Aと連結された部材82に穿孔された穴84を介してネジ86の先端部86Aが画像形成装置Pへの光走査装置10の固定部80に固定されている。前記ネジ86の芯86Bの直径dは、前記穴84の直径Dよりも小さくなっており、前記部材82がX方向に移動可能となっている。また、前記部材82と前記ネジ86の後端部86Cとの間にはスプリング88が設けられている。前記スプリング88と前記部材82との間には、スプリング固定部材90が設けられており、前記スプリング88が所定の弾性力を保つことができるようになっている。これにより、筐体10Aの円外部に熱が発生し、前記筐体10Aに歪が生じた場合であっても、前記部材82を前記所定の弾性力(圧力)で押圧しつつ前記筐体10Aに生じた歪による凸変形を解消する向き(X方向)に可動することができるようになっている。
【0083】
このような構成で筐体10Aを保持する場合であっても、本実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0084】
本実施の形態に係る光走査装置10によれば、最小の反射角度θ1を有する反射鏡32の配置箇所が、回転多面鏡18の設置箇所よりも筐体10Aの機械的安定保持側(領域B側)になっているため、前記筐体10Aに歪が生じてもビーム位置ずれの量が比較的小さくて済む。これにより、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑えることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、筐体に歪が生じてもビーム位置ずれの量が比較的小さくて済む。これにより、前記ビーム位置ずれによって現像後の画像に目視できるほどの位置ずれが生じることがなくなり、複数の色に対応する画像を重ねあわせてカラー画像を形成するという場合に生じるバンデイングの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における画像形成装置の側面図である。
【図2】 本発明の実施の形態における光走査装置の上面図である。
【図3】 本発明の実施の形態における光走査装置の上面図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるバンデイング感度を示すグラフである。
【図5】 本発明の実施の形態における、感光体ドラムへレーザビームを反射する反射鏡の状態を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態における、筐体に歪が発生した場合でのバンディングの発生を抑えるフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態の変形例である画像形成装置の側面図である。
【図8】 本発明の実施の形態の変形例である光走査装置の上面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の変形例である光走査装置に用いられる保持部材の概略構成図である。
【図10】 従来の技術における画像形成装置の側面図である。
【図11】 従来の技術における光走査装置の上面図である。
【図12】 従来の技術における光走査装置の側面図である。
【図13】 従来の技術における画像形成装置の上面図である。
【図14】 従来の技術における光走査装置の側面図である。
【符号の説明】
10 光走査装置
10A 筐体
12A レーザダイオード(光源)
12B レーザダイオード(光源)
12C レーザダイオード(光源)
12D レーザダイオード(光源)
18 回転多面鏡(偏向手段)
20A fθレンズ(光学系)
20B fθレンズ(光学系)
22A fθレンズ(光学系)
22B fθレンズ(光学系)
32 反射鏡
34 感光体ドラム(像担持体)
38 反射鏡
40 感光体ドラム(像担持体)
48 反射鏡
50 感光体ドラム(像担持体)
54 反射鏡
56 感光体ドラム(像担持体)

Claims (4)

  1. 光ビームを出射する複数の光源と、前記光ビームによって潜像を形成するための複数の像担持体と、を備えた画像形成装置に用いられ、
    出射された光ビームを主走査方向に偏向させる偏向手段と、
    前記偏向手段が中央に配置された状態で振り分け配置され、前記偏向手段によって偏向された光ビームを前記複数の像担持体上にそれぞれ結像させる複数の光学系と、
    前記像担持体の各々に対して少なくとも1個の平面鏡である反射鏡を前記偏向手段と前記像担持体との間に設け、前記光源と前記偏向手段と前記光学系とを保持し、複数の保持部材によって画像形成装置の内部に固定されている筐体と、
    を備え、前記筐体の前記光学系の振り分け方向の一方向であり、前記偏向手段を中心とした一方と他方において、保持部材の数を比較して相対的に多い側を機械的安定保持側とし、少ない側を機械的不安定保持側とした光走査装置であって、
    前記偏向手段の配置された箇所よりも前記筐体の機械的安定保持側に配置され、かつ前記反射鏡のうちの一部を構成し、前記光ビームを前記像担持体へ向けて反射する最下流側の反射鏡の反射角度である前記反射鏡の反射面と前記反射鏡によって反射されたレーザービームとのなす角度が、他の光学系の最下流側の反射鏡の反射角度よりも小さいことを特徴とする光走査装置。
  2. 前記最下流の反射鏡の反射角度のうち最小の反射角度を有する反射鏡が、前記偏向手段の配置された箇所よりも前記筐体の機械的安定保持側方向の端部側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
  3. 前記最下流の反射鏡が、前記筐体の機械的安定保持側方向の端部側から前記反射角度の小さい順に配置されていることを特徴とする請求項2記載の光走査装置。
  4. 前記機械的安定保持側では、保持部材の数を2個用いて機械的に安定的な状態である2点保持側とし、前記機械的不安定保持側では、保持部材の数を1個用いて機械的に不安定的な状態である1点保持側とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載の光走査装置。
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