JP4074978B2 - 中継フレキシブルプリント回路基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置のヘッドサスペンションアッセンブリに使用される中継フレキシブルプリント回路基板に関する。詳しくは、高性能な磁気ヘッドを用いたヘッドサスペンションアッセンブリにおいても十分に静電破壊を防止することが可能な中継フレキシブルプリント回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、記憶装置として広く使用されている磁気ディスク装置は、一般に、記録媒体である磁気ディスクと、該磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、磁気ヘッドを支持するヘッドサスペンションアッセンブリと、該ヘッドサスペンションアッセンブリを戴置するキャリッジアームと、該キャリッジアームを移動させるサーボ装置と、電気信号を処理する基板ユニットとを主要な構成品として成る。
【0003】
そして前記ヘッドサスペンションアッセンブリは、情報を再生記録するための磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを戴置する板状のサスペンションと、一方の端部でサスペンションに連結する中継フレキシブルプリント回路基板から構成される。そして該ヘッドサスペンションアッセンブリ自身は、磁気ディスク装置中では、キャリッジアームにより支持されることとなる。
【0004】
このような構成のヘッドサスペンションアッセンブリにおいて問題となるのは、磁気ヘッドの静電破壊である。金属板から構成されるキャリッジアームは取扱い時の摩擦により帯電し易いため、帯電したキャリッジアームに支持されたヘッドサスペンションアッセンブリが導体に接触すると、急激な放電が生じて磁気ヘッドの静電破壊(ESD:electrostatic discharge)が生じる恐れがある。静電破壊には、磁気ヘッドが有する絶縁膜の破壊(ハードESD)や磁気ヘッドの性能の劣化(ソフトESD)が挙げられるが、どちらも好ましくなく、ヘッドサスペンションアッセンブリ製造の歩留まりを低下させる大きな原因である。この問題は特に、薄い絶縁膜を有するMR(magnetoresistive)ヘッドおよびGMR(giant magnetoresistive)ヘッドにおいて大きな問題となっている。
【0005】
磁気ヘッドの静電破壊を防止する技術としては、特開平11−250434号公報に開示のものが挙げられる。該公報に開示される磁気ディスク装置用ヘッドサスペンションアッセンブリは、磁気ヘッドと接続端部とを中継するフレキシブルプリント回路基板が、ベース層と、ベース層上に形成された導体パターンと、導体パターンを被覆したカバー層と、カバー層上に形成された導電層とからなることを特徴とする。このような構成のフレキシブルプリント回路基板を採用することにより、摩擦帯電した静電気を導電層を通して放電し、それにより静電破壊を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、磁気ディスク装置の記録密度の増大に伴い、磁気ヘッドの高性能化、特に再生出力の増大が必要となってきている。そして既存のMRヘッドおよびGMRヘッドより大きな再生出力を発生することができる磁気ヘッドとして、スペキュラ型のスピンバルブ膜を利用するGMRヘッド等が提案されている。しかしながら、このような高性能磁気ヘッドは極めて薄い絶縁膜を用いており、そのため従来の磁気ヘッドと比較して格段に静電破壊し易い。
従って、高性能磁気ヘッドを用いたヘッドサスペンションアッセンブリにおいても、磁気ヘッドの静電破壊を十分に防止することが望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ベース層とカバー層との間に導体回路を設け、さらに少なくともカバー層の上側およびベース層の下側に導電性ポリマーからなる導電ポリマー層を形成した中継フレキシブルプリント回路基板を用いてヘッドサスペンションアッセンブリを構成すると、摩擦等により発生した静電気を該導電ポリマー層を通して放電させることができ、従来の磁気ヘッドよりも静電破壊に弱い高性能磁気ヘッドを用いた場合においても、静電気による破壊および性能低下を十分に抑制したヘッドサスペンションアッセンブリとし得ることを見出して本発明を完成した。
【0008】
従って、本発明は、
磁気ディスク装置のヘッドサスペンションアッセンブリに使用される中継フレキシブルプリント回路基板であって、サスペンション上において磁気ヘッドと接続された固定配線との接続端部と、アームの基端部における接続端部とを中継する中継フレキシブルプリント回路基板において、
前記中継フレキシブルプリント回路基板は、ベース層と、該ベース層上に形成された導体回路と、該導体回路を被覆するカバー層と、少なくとも該カバー層の上側および該ベース層の下側に形成された導電ポリマー層とを備えてなることを特徴とする中継フレキシブルプリント回路基板
に関する。
【0009】
前記中継フレキシブルプリント回路基板において、前記ベース層および前記カバー層の双方をポリイミド系樹脂から製造し、そして前記導電ポリマー層をポリピロール系樹脂から形成すると、ポリイミド系樹脂とポリピロール系樹脂との高い混和性により、導電ポリマー層の形成時にポリピロール系樹脂がポリイミド系樹脂に浸透し、その結果、導電ポリマー層の密着性が向上する。
従って、本発明はまた、
前記ベース層および前記カバー層はポリイミド系樹脂からなり、そして前記導電ポリマー層はポリピロール系樹脂からなることを特徴とする、前記中継フレキシブルプリント回路基板
に関する。
【0010】
前記導電ポリマー層に必要な強度を与える観点から、導電ポリマー層の膜厚は0.01ないし0.1μm、特に0.03ないし0.05μmであることが好ましい。また前記中継フレキシブルプリント回路基板が静電気を逃がすのに十分な導電性を有する観点から、中継フレキシブルプリント回路基板の表面抵抗率は105ないし1011Ω、特に106ないし108Ωであることが好ましい。
それ故、本発明は、
前記導電ポリマー層の膜厚は、0.03ないし0.05μmであることを特徴とする、前記中継フレキシブルプリント回路基板、および
表面抵抗率は106ないし108Ωであることを特徴とする、前記中継フレキシブルプリント回路基板
にも関する。
【0011】
本発明の中継フレキシブルプリント回路基板では、カバー層の上側およびベース層の下側の二面に導電ポリマー層を形成する。従って、一面にしか導電ポリマー層を有しない場合と比較して生じた静電気が非常に容易に放電し、その結果、中継フレキシブルプリント回路基板の帯電電位を大幅に低減することが可能となる。そして、同じ導電性を達成しようとする場合、本発明の中継フレキシブルプリント回路基盤に設けられる導電ポリマー層の厚さは、一面にしか導電ポリマー層を有さないものの約半分とすることができる。
また、中継フレキシブルプリント回路基板に導電性を付与する導電ポリマー層は導電性ポリマーから形成されて低分子量のイオン性物質を含まないので、該イオン性物質がベース層および/またはカバー層に浸透して汚染することが無く、また低湿度でも十分な導電性を発揮することができる。
加えて、導電ポリマー層は少なくともカバー層の上側およびベース層の下側に形成すれば良く、従って中継フレキシブルプリント回路基板の周囲全体に形成することも可能であるので、例えば、モノマーと酸化重合剤とを含む処理液中に中継フレキシブルプリント回路基板を浸漬して重合し、導電ポリマー層を形成することからなる方法を用いることができ、モノマーの塗布工程、および塗布したモノマーの硬化工程を含む従来の煩雑な方法を用いる必要はない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図1は本発明の中継フレキシブルプリント回路基板を使用したヘッドサスペンションアッセンブリの一態様を図示する平面図であり、そして図2は図1のA−A’線断面図である。
【0013】
本発明の中継フレキシブルプリント回路基板を使用したヘッドサスペンションアッセンブリAは、中継フレキシブルプリント回路基板1と、磁気ヘッド2と、サスペンション3と、固定配線4からなる。磁気ディスク装置においては、ヘッドサスペンションアッセンブリA全体がキャリッジアームにより支持されることとなる。
【0014】
中継フレキシブルプリント回路基板1は細長い形状を有し、磁気ヘッド2が取り付けられた板状のサスペンション3に結合している。
磁気ヘッド2は、磁気ディスク装置において磁気ディスクに記録された情報を再生するためおよび/または磁気ディスクに情報を記録するための磁気ヘッドであり、通常四つの電極(図示しない。)が設けられている。また、磁気ヘッド2はあらゆる種類のものを採用可能であり、例えば、MRヘッドおよびGMRヘッド、さらにスペキュラ型のスピンバルブ膜を利用するGMRヘッド等であることができる。
サスペンション3はその先端で磁気ヘッド2を支持する変形可能な板状部材であり、一般に厚さ約60ないし70μmの金属板からなる。磁気ディスク装置の作動時には、磁気ヘッド2は磁気ディスクから一定の間隔で浮上して磁気ディスクと非接触の状態で記録再生を行うこととなるが、サスペンション3が変形可能であることにより、磁気ヘッド2が浮上する間隔を所定の量に維持することができる。また、中継フレキシブルプリント回路基板1とサスペンション3との結合は、例えばスポット溶接、接着等により行うことができる。
【0015】
そして中継フレキシブルプリント回路基板1は、一方で磁気ヘッド2と接続した固定配線4と接続されることとなるサスペンション側接続端部5と、磁気ヘッド2が再生記録する信号を処理する基板ユニットと接続されることとなる基端部側接続端部6との間を中継する。サスペンション側接続端部5および基端部側接続端部6は双方とも、磁気ヘッド2に設けられる電極の数に対応して通常4個の端子を有し、中継フレキシブルプリント回路基板1の両端に設けられている。
【0016】
図1および図2で図示される態様の本発明の中継フレキシブルプリント回路基板1は、ベース層11と、導体回路12と、カバー層13からなり、さらにベース層11の下側およびカバー層13の上側を含む周囲全体に導電ポリマー層14が形成されていることを特徴とする。
【0017】
ベース層11は通常のフレキシブルプリント基板においてベース層として用いられる非導電性の材料より製造される。該材料としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0018】
ベース層11の上に存在する導体回路12は例えば銅からなり、磁気ヘッド2に設けられる電極の数に対応して通常は4本形成される。
【0019】
カバー層13は、導体回路12が空気に曝されて酸化や腐食を生じることを防ぐために、また導体回路12間を確実に絶縁するために導体回路12の上に設けられる。また同時に導体回路12への配線の際、ソルダーレジストとしても働くこともできる。カバー層13もまた通常のフレキシブルプリント基板のベース層に用いられる非導電性の材料より製造され、その例はベース層について例示したものと同じである。
【0020】
導電ポリマー層14は、ベース層11、導体回路12およびカバー層13からなる積層体について、ベース層11の下側およびカバー層13の上側を含むその周囲全体を取り囲んでいる。導電ポリマー層14は導電性を有する電子共役系ポリマーからなり、例えば分子構造中に共役二重結合を有しかつ酸化によって重合を起こし得るモノマーを重合することによって形成される。該モノマーの代表例は5員複素環式化合物であり、ピロール、チオフェン、フラン、インドールまたはそれらの誘導体、例えばN−メチルインドール、3−メチルチオフェン、3−メチルフラン、3−メチルインドール等が好ましい。
導電ポリマー層14の膜厚は0.01ないし0.1μm、特に0.03ないし0.05μmであることが好ましく、また中継フレキシブルプリント回路基板1の表面抵抗率が105ないし1011Ω、特に106ないし108Ωとなるように、導電ポリマー層14を形成することが好ましい。
【0021】
ベース層11およびカバー層13の材料と導電ポリマー層14の材料とを双方が大きな混和性を示す組み合わせとなるように選択すると、導電ポリマー層14の形成時に導電ポリマー層14の材料の一部がベース層11およびカバー層13に浸透し、その結果、導電ポリマー層14の密着性が向上する。この効果を達成することができる材料の組み合わせとしては、ベース層11およびカバー層13の材料としてのポリイミドと、導電ポリマー層14の材料としてのポリピロールとの組み合わせが挙げられる。
【0022】
本発明の中継フレキシブルプリント回路基板1の製造は、最初に、通常の方法によりベース層11、導体回路12およびカバー層13からなるフレキシブルプリント回路基板を製造し、その後、該フレキシブルプリント回路基板の表面に導電ポリマー層を形成することにより簡単に行うことができる。
【0023】
中継フレキシブルプリント回路基板1の製造は、ベース層11の上に、例えばリソグラフィー法により所望のパターンを有する導体回路12を形成することから始める。そして導体回路12の形成後、その上にカバー層13を形成する。カバー層13の形成には塗布・乾燥からなる単純な方法を用いることができるが、カバー層13がソルダーレジストの役割を果たし、接続端部となる部分等を除いた特定の範囲にのみ形成する必要がある場合には、リソグラフィー法によって形成される。
【0024】
導電ポリマー層14の形成は、例えば特開昭62−140313号広報に記載の方法に従って行うことができる。この方法では、ベース層11、導体回路12およびカバー層13からなるフレキシブルプリント回路基板を、電子共役系ポリマーを形成し得るモノマーと酸化重合剤を含む処理液中に浸漬し、フレキシブルプリント回路基板上で該モノマーを重合させて導電ポリマー層14を形成する。この形成方法において、導電ポリマー層14の厚さを薄くするために、処理液中のモノマー濃度は低く維持すべきであり、5×10-3ないし1モル濃度程度が好ましい。またモノマーが急激に重合して微粒子状の重合体が生成し、該重合体が汚染パーティクルとなることを避けるために、前記重合は低い反応温度、例えば−20ないし30℃、特に10ないし20℃で行うことが好ましい。さらに均一な導電ポリマー層14を形成する観点および導電ポリマー層14の密着性向上の観点より、導電ポリマー層14の形成の前に、フレキシブルプリント基板表面をコロナ処理、プラズマ処理等により前処理することが好ましい。
【0025】
処理液中に浸漬して導電ポリマー層14を形成する上記の形成方法は、本発明の中継フレキシブルプリント回路基板1のように周囲全体にわたって導電ポリマー層14を備える物品の製造には非常に適している。また、モノマーの塗布工程と塗布したモノマーの硬化工程からなる形成方法と比較して簡便でもある。
また、処理液中で導電ポリマー層14を形成する方法以外に、気相雰囲気でモノマーと接触させ、活性エネルギーを照射して導電ポリマー層を形成する方法を採用することもできる。
【0026】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳しく説明する。但し、実施例は本発明を説明するためのものであり、いかなる方法においても本発明を限定することを意図しない。
【0027】
実施例1
ポリイミドからなるベース層上にリソグラフィー法により銅製の導体回路を4本形成した。その後、該ベース層および導体回路の上にポリイミドからなるカバー層を形成した。カバー層の形成にはリソグラフィー法を用い、ベース層の双方の端部で導体回路を露出させ、該露出部分を接続端部として、フレキシブルプリント回路基板を得た。
1Lのガラス製ビーカーに0.1Mペルオキソ二硫酸カリウム水溶液500mlを入れて2〜3℃に保持し、これに上記のフレキシブルプリント回路基板を浸漬した。続いて、0.2Mピロール水溶液100mLを加えて15℃に保持しながら10分間攪拌して導電ポリマー層を形成した。
これにより、全長約30mm、幅約1mmおよび厚さ約0.5mmの中継フレキシブルプリント回路基板を製造した。
【0028】
比較例1
実施例1と同様にして製造したフレキシブルプリント回路基板のカバー層上にのみポリピロールからなる導電ポリマー層を形成し、実施例1と同じ寸法を有する中継フレキシブルプリント回路基板を製造した。
【0029】
試験例1
実施例1および比較例1で得た中継フレキシブルプリント回路基板について摩擦帯電試験を行った。
中継フレキシブルプリント回路基板をセラミックピンセットを用い2cmの距離で3回摩擦して帯電させ、その後中継フレキシブルプリント回路基板表面の電荷量を測定した。測定は各々5個の異なる試料について行った。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004074978
表1は、実施例1の中継フレキシブルプリント回路基板が、比較例のものと比較して約1/3の電荷量しか有さず、摩擦によって生じた静電気がより速やかに放電されていることを示す。
【0030】
試験例2
実施例1および比較例1で得た中継フレキシブルプリント回路基板を用いて構成したヘッドサスペンションアッセンブリについて摩擦帯電試験を行った。
始めに、ヘッドサスペンションアッセンブリの磁気ヘッドの抵抗値およびピーク電流値を測定した。次いで、ヘッドサスペンションアッセンブリの中継フレキシブルプリント回路基板をセラミックピンセットを用い3cmの距離で2回摩擦して帯電させ、その後磁気ヘッドの抵抗値およびピーク電流値を測定し、帯電前に測定した値と比較した。測定は各々5個の異なる試料について行った。結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004074978
実施例1の中継フレキシブルプリント回路基板を用いたヘッドサスペンションアッセンブリでは、磁気ヘッドの抵抗値およびピーク電流値は双方とも帯電前後でほとんど変化しておらず、磁気ヘッドの破壊および性能劣化は生じなかった。それに対して、比較例1の中継フレキシブルプリント回路基板を用いたヘッドサスペンションアッセンブリのうち、試料2および3は、磁気ヘッドの抵抗値が著しく上昇し、そしてピーク電流値が激減した。これは磁気ヘッドが有する絶縁膜の破壊(ハードESD)が起こったことを表す。また試料5においては、磁気ヘッドの抵抗値は変化しないものの、ピーク電流値が有意に変化した。これは磁気ヘッドの性能の劣化(ソフトESD)が起こったことを表す。
【0031】
試験例3
実施例1で得た中継フレキシブルプリント回路基板について導電ポリマー層の密着性試験を行った。
先ず中継フレキシブルプリント回路基板の帯電電位を測定し初期電位とした。続いて中継フレキシブルプリント回路基板を摩擦用板を用いて所定回数摩擦し、その後再び帯電電位を測定した。また、初期電位測定と摩擦用板による摩擦の間にイソプロパノールを含浸させた綿棒で中継フレキシブルプリント回路基板を50回摩擦した場合においても同様に、所定回数摩擦後の帯電電位を測定した。結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004074978
表3は、イソプロパノール塗布の有無に関わらず、摩擦用板で500回摩擦した後の帯電電位がほとんど変化しなかったことを表し、これは実施例1の中継フレキシブルプリント回路基板が有する導電ポリマー層の優れた密着性および薬品耐性を裏付けるものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の中継フレキシブルプリント回路基板は、少なくともカバー層の上側およびベース層の下側の二面に導電ポリマー層を設けたことにより、摩擦により生じた静電気を速やかに放電して、帯電電位を低減することができる。その結果、静電破壊に敏感な高性能磁気ヘッドを用いたヘッドサスペンションアッセンブリにおいても、磁気ヘッドが有する絶縁膜の破壊や、磁気ヘッドの性能の劣化を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の中継フレキシブルプリント回路基板を使用したヘッドサスペンションアッセンブリの一態様を図示する平面図である。
【図2】 図2は図1のA−A’線断面図である。
【符号の説明】
A ヘッドサスペンションアッセンブリ
1 中継フレキシブルプリント回路基板
2 磁気ヘッド
3 サスペンション
4 配線
5 サスペンション側接続端部
6 基端部側接続端部
11 ベース層
12 導体回路
13 カバー層
14 導電ポリマー層

Claims (3)

  1. 磁気ディスク装置のヘッドサスペンションアッセンブリに使用される中継フレキシブルプリント回路基板であって、サスペンション上において磁気ヘッドと接続された固定配線との接続端部と、アームの基端部における接続端部とを中継する中継フレキシブルプリント回路基板において、前記中継フレキシブルプリント回路基板は、ベース層と、該ベース層上に形成された導体回路と、該導体回路を被覆するカバー層と、該カバー層の上側および該ベース層の下側を含むその周囲全体を取り囲んで形成された導電ポリマー層とを備えてなり、
    前記ベース層および前記カバー層はポリイミド系樹脂からなり、前記導電ポリマー層はポリピロール系樹脂からなり、該ポリピロール系樹脂が前記ベース層および前記カバー層のポリイミド系樹脂に浸透していることを特徴とする中継フレキシブルプリント回路基板。
  2. 前記導電ポリマー層の膜厚は、0.03ないし0.05μmであることを特徴とする、請求項1記載の中継フレキシブルプリント回路基板。
  3. 表面抵抗率は106ないし108Ωであることを特徴とする、請求項1記載の中継フレキシブルプリント回路基板。
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