JP4074919B2 - 縦ひだ絞り紙製容器とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保形性を強化した縦ひだ絞り紙製容器に係り、特に容器内に焼き菓子や蒸し菓子などの菓子生地を入れて加熱加工した後、そのまま流通経路に乗せて販売できる加熱加工食品用容器や調理用容器などに用いた際、妄りに変形しないように補強するとともに、容器内食品に触れる紙の切断端縁を容器内のすべての個所から無くした食品衛生上好ましい縦ひだ絞り紙製容器とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
縦ひだ絞り成形容器の上部にフランジ(鍔)を形成したものとしては従来、熱可塑性プラスチックを成形したものが有るが、このプラスチック成形容器に焼き菓子や蒸し菓子などの菓子生地を入れて加熱加工すると、容器の加熱に伴う変形が著しく、使用不可能であるし、ゴミ処理上の問題も有るため、この種の加熱加工食品用容器としては、元来、加熱に強くゴミ処理問題も無い紙やアルミホイールを深絞り加工した縦ひだ絞り成形容器を用いている。
この縦ひだ絞り紙製容器としては、従来例えば実公平7−6782号公報記載のもののように、保形フイルムをラミネート被着した複合用紙1をその中央における底部の周辺から多数の縦ひだと共に折り起こして容器胴部となしたパン焼き皿状の縦ひだ絞り紙製容器が周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例による容器は、保形フイルムをラミネート被着した複合用紙を用い、若干の剛性を付与した縦ひだ絞り紙製容器であるが、従来周知のアルミホイール絞り加工容器も含めてこれらの各容器は、その開口縁にも満遍なく多数の縦ひだが形成してあるので、若干の剛性を付与した容器であるからといっても、これらの容器の開口縁は多数の縦ひだの蛇腹作用のためアコーデオンや提灯のように横向きまたは斜め下向きにフワフワと大きく動いてしまい極めて不安定で、依然として容器上部の保形性が著しく悪く、容器の開口縁に上蓋を被せても係止できず、外れ易いため施蓋実用不可能で不衛生でもあるし、使い勝手が極めて不良であるという本質的、かつ、大きな問題点が有るほかに、これらの従来例は、多数の容器を重積したものからユーザが容器を一個ずつ単品分離して使用する際に、上記容器重積体の保管や搬送により多数の縦ひだ同士が互いにきつく食いつき密着した結果となっているので、この容器重積体から容器を単品分離することは極めて困難で、菓子製造現場における容器の単品分離使用に当たり極めて非能率で不便であるという大きな問題点も有る。
【0004】
また、特に前記実公平7−6782号公報記載の従来例は、容器上縁に容器内食品に触れる紙の切断端縁が有り、この切断端縁の紙質から栄養に富む容器内食品からの水分が滲み込んでしまうため雑菌や細菌の温床となり、食品衛生上有害な菌が増殖し易いので、不衛生であり好ましくないという問題点が有る。
この発明は、上記各従来例における多くの問題点を除去するために、縦ひだ絞り紙製容器の保形性を確保し、この容器の重積体から容器を一個ずつ単品分離し易くするとともに、縦ひだ絞り紙製容器の開口縁に簡単確実に施蓋できかつ、容器内食品に触れる紙の切断端縁を容器内のすべての個所から無くした食品衛生上好ましい縦ひだ絞り紙製容器を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の目的は、用紙を容器底部になる部分の周辺から多数の縦ひだと共に折り起こし、容器胴部を絞り形成した縦ひだ絞り紙製容器を作るに当たり、前記容器の開口周辺を満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部の上部周辺に横鍔と、この横鍔に連接した縦鍔とを複数ずつそれぞれ一体形成し、前記縦鍔と横鍔とをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰して前記横鍔の上面に接近させ、または接着することで三重または五重の横鍔を形成し、この三重または五重の横鍔の剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強したことで達成できた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態のうち、先ず、本発明の基本的な形態例を説明する。
本発明の基本的な形態は、図1のように、容器5を作るための薄葉紙や中厚紙等の用紙1をその中央における平面輪郭が円形、または非円形の容器底部2になる部分の周辺から多数の縦ひだ3と共に折り起こして容器胴部4となした縦ひだ絞り紙製容器5を作るに当たり、先ず、縦横の各鍔成形過程として、前記容器5の開口周辺5Aを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ図10のように一体形成し、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け図1のように満遍なく折り畳み重ね潰して前記縦鍔4Bを前記第一の横鍔4Aの上面に密着または接着することで三重横鍔4Cを形成し、この三重横鍔4Cの剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強した同図1のような本発明による縦ひだ絞り紙製容器を構成できた。
ただし、前記の図10では、第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ便宜上、白く無地に表現してあるが、実際には、これら各鍔4A,4Bには前記容器胴部4の上部における多数の縦ひだ3による若干の潰しシワが生じる。
【0007】
前記容器胴部4の上部に、第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとを図10のように一体形成するに当たっては、周知の縦ひだ絞り紙製容器の上部に手作業で丁寧に上記各鍔を一体形成してもよいが、図1のような本発明品を多量製造するには、予備製造過程として、図2のように上部に拡径斜辺aを有する縦ひだ絞り成形用の雌型Aの上面に前記用紙1の一枚または数枚を載置し、その上部から雌型Aの縦ひだに厳重に対応した縦ひだ絞りの雄型Bを図3のように上記雌型A内に押し込むことで前記用紙1をその中央における深絞りして周辺に縦ひだ3を形成した紙製容器を作るとともに、雄型Bの拡径斜辺bにより雌型Aの拡径斜辺aに容器上部を強く挟み付けた後、この成形品を取り出して容器上部を斜めに広げて拡径斜辺5Bとなした図4のような拡径斜辺5B付きの縦ひだ絞り紙製容器の原形容器5Cを予め作っておく。
【0008】
次いで、図5のように上部に拡径周辺6A,7Aをそれぞれ有する縦ひだ絞りの雌型6と、同じく縦ひだ絞りの雄型7とを各縦ひだの山谷が合致するように平面的な位置合わせを厳重に行なって用意し、縦横鍔成形過程として、上記雌型6に前記原形容器5Cをその拡径斜辺5Bの上部が図6のように表出するように納置した後、前記雌型6に対応した雄型7を雌型6内に図7のように押し込むことで、前記拡径斜辺5Bを外向きに雄型7の拡径周辺7Aにより雌型6の拡径周辺6Aに強く挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を広げながら前記容器5Cの拡径斜辺5Bを同図7のように満遍なく広げ起こした後、前記各型を図8のように離し、容器5を図9のように取り出し、その上部に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ前記図10のように一体形成することができた。
【0009】
その後、本発明の主眼である三重横鍔成形過程として、前記図10のような縦横の各鍔4A、4B付きの容器5を前記第二の横鍔4Aの外径よりも小さい内径の図11のような別の雌型8の拡径周辺8A上に移し、前記各鍔をその固有剛性に抗して図12のように内側に満遍なく縮径させながら前記雌型8の拡径周辺8A内に図13のように入れ込んで前記縦鍔4Bを内向きに、第二の横鍔4Aを外向きにそれぞれ同図13のように傾斜保持する。
次いで、前記雌型8の拡径周辺8A内にその内径よりも僅かに小さい外径の雄型9を図14のように押し込むことで、上記傾斜保持状態にある各鍔4A、4Bをこれらの剛性に抗して雄型9の下面により雌型8の拡径周辺8Aの肩部8Bの上面に強く挟み付け、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく同図14のように折り畳み重ね潰すことで、この折り畳み重ね潰した縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着または接着して図1のような三重横鍔4Cを形成することができ、この三重横鍔4Cの剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強した図1のような本発明による縦ひだ絞り紙製容器5を構成することができた。
ただし、上記図11から図14までの各図では、容器5の縦ひだと、雌型8の縦ひだとの表記をそれぞれ便宜上省略してある。
なお、上記三重横鍔4Cの各対向面を加熱接着性プラスチックや熱硬化性接着剤(澱粉糊)等の糊料で接着すれば、より一層美しく、補強強度も格段に向上した図1のような本発明による縦ひだ絞り紙製容器5を構成することができた。
【0010】
このようにして作った本発明による各縦ひだ絞り紙製容器5は、いずれもこの容器自体の保形性、特にその開口縁の保形性を上記三重横鍔4Cでシッカリ確保でき、その多数を図15のように重積して運搬、保管しても、この重積体から容器単品を上記三重横鍔4Cに手指を掛けて一個ずつ容易に分離でき、また前記三重横鍔4Cに図16のように上蓋4Dの下部における下向き突片4dを係合させて容器5に上蓋4Dを簡単確実に施蓋でき、しかも用紙1の切断端縁は、図1のように容器の上部で外向きになっているから、容器内食品に触れる紙の切断端縁が容器内の何処にも無く、この食品からの水分の滲み込み場所が容器5に無くなったので、有害な菌の増殖も無く、衛生的な縦ひだ絞り紙製容器となった。
【0011】
【実施例】
前述した本発明の実施の形態例では、雄型Bの拡径斜辺bにより雌型Aの拡径斜辺aに容器上部を強く挟み付けることで、容器上部を斜めに満遍なく広げ起こして拡径斜辺5Bとなした図4のような縦ひだ絞り紙製容器の原形容器5Cを予め作り、その拡径斜辺5Bを図7のように満遍なく広げ起こすことで、上部に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとを一体形成し、図10のような製造途中の縦ひだ絞り紙製容器5を作る例につき述べたが、開口傾斜角が底辺に対し約100〜150度程度の縦ひだ絞り紙製容器のように開口傾斜が緩い容器5の場合とか、縦鍔4Bの高さを若干高く設定する容器5の場合のように、雄型7の拡径周辺7Aの外径よりも前記容器5の上部周辺5Aの谷部内径の方が図17の鎖線のように大きい場合には、容器上部を特に拡径しない普通の縦ひだ絞り紙製原形容器5D自体の上部に、いきなり第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ外向きに同図17の実線のように一体形成することができた。
【0012】
本発明における前記第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとは、前例の図2に示す雌型6と雄型7との上下相対位置をそっくり反転し、前記原形容器5Cの拡径斜辺5Bまたは原形容器5Dの上部周辺5Aを雄型7の拡径周辺7Aに対面させて原形容器5Cまたは5Dを雄型7に被せた後、前記雄型7に対応した雌型6を雄型7に被せ押し込むことで、前記拡径斜辺5Bまたは上部周辺5Aを雌型6の拡径周辺6Aにより雄型7の拡径周辺7Aに強く挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を広げながら前記容器5の拡径斜辺5Bまたは上部周辺5Aを満遍なく折り広げ曲げて前記容器胴部4の上部に前記第一の横鍔4Aと、この鍔に連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとを一体形成してもよい。
また、上記第二の横鍔4Aに続けて連接した第二の縦鍔4Bと、この縦鍔4Bに連接した第三の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成し、前記各縦鍔4Bと横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰して前記第一の横鍔4Aの上面に密着させることで五重横鍔4Cを形成し、この五重横鍔4Cの一層強い剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強してもよい。
【0013】
なお、前記用紙1として、普通の薄葉紙や中厚紙または、普通紙にポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムのような加熱軟化性保形フイルムをドライラミネーションやポリエチレンなどの加熱接着性プラスチックを糊料媒体として紙面に周知のエキストリュージョンラミネート被着法で被着し強化した複合用紙1を用いてもよいが、この場合には、前記容器胴部4の上部周辺を150°C程度に加熱し軟化させながら第一の横鍔4Aと、この鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、同じく前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着または接着して三重横鍔4Cを形成した後、この三重横鍔4Cを冷却固化することで、縦ひだ絞り紙製容器全体としての保形性を前記熱軟化性保形フイルムの冷却固化後の強い剛性により、さらに一層確実に強化することができた。
また、上記保形フイルムの面または紙面にシリコン樹脂層を被着してもよく、さらに、上記加熱接着性プラスチックによる糊料媒体の代りに熱硬化性糊料を用いてもよい。
【0014】
さらに、前記保形フイルムの面に予めコロナ照射を施したり、強酸や強アルカリ溶液内に浸漬するなどして保形フイルムの面を活性化し、この活性化面にシリコン樹脂層を被着すれば、フイルム面に対するシリコン樹脂層の食いつきがよくなり、少量のシリコン樹脂でもその被着強度を増すことができる。
さらにまた、前記保形フイルムを溶融ポリエチレン等の加熱接着性プラスチックを糊料媒体として用紙1にラミネート被着すれば、良質で長尺の用紙1をその中央における安価に得ることができ、結局、良質で安価な縦ひだ絞り紙製容器を多量製造することができた。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上のような形態を採用したので、以下に記載の効果を奏する。
この発明に係る紙製容器によれば、用紙1をその中央における容器底部2になる部分の周辺から多数の縦ひだ3と共に折り起こし、容器胴部4を横断面連続波形に絞り形成した縦ひだ絞り紙製容器5を作るに当たり、前記容器5の開口周辺5Aを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成し、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰して前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着させることで三重横鍔4Cを形成し、この三重横鍔4Cの剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強することができた。
【0016】
又、本発明に係る紙製容器によれば、縦ひだ絞り紙製容器自体の保形性、特にその開口縁の保形性を上記三重横鍔4Cのツッバリ作用でシッカリ補強して確保でき、また、多数の容器の重積体から容器単品を上記三重横鍔4Cに手指を掛けて一個ずつ容易に分離できるとともに、前記三重横鍔4Cに上蓋4Dの下部における下向き突片4dを係合させて容器5に上蓋4Dを簡単確実に施蓋できたし、用紙1の切断端縁は、容器の上部で外向きになっているから、容器内食品に触れる紙の切断端縁が容器の何処にも無く、食品からの水分の滲み込み場所が無くなったので、有害な菌の増殖も無く、衛生的な縦ひだ絞り紙製容器となったという優れた効果が有る。
【0017】
更に、本発明の紙製容器によれば、前記した諸効果のほかに、前記容器5の開口周辺5Aを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した第一の縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した第二の縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第三の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成して前記縦鍔4Bと横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰して前記第一の横鍔4Aの上面に密着させ、五重横鍔4Cを形成することで、この五重横鍔4Cの強い剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強したので、縦ひだ絞り紙製容器上部の保形性を上記五重横鍔4Cのより一層強固なツッバリ作用でさらにシッカリ確保できるという優れた効果を付加できた。
【0018】
本発明における請求項1の発明によれば、用紙1をその中央における容器底部2になる部分の周辺から絞り成形により多数の縦ひだ3と共に折り起こして容器胴部4となした縦ひだ絞り紙製容器5を作るに当たり、この容器5の上部周辺5Aを表出させて容器5を雌型6内に納置するとともに、この雌型6に対応した雄型7を雌型6内に押し込むことで、前記容器5の上部周辺5Aを雄型7の拡径周辺7Aにより雌型6の拡径周辺6Aに強く挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を広げながら前記容器5の上部周辺5Aを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、この容器を前記雌型6内から第二の横鍔4Aの外径よりも小さい内径の雌型8の拡径周辺8A上に移し、前記各鍔をその固有剛性に抗して内側に満遍なく縮径させながら前記雌型8の拡径周辺8A内に入れ込んで前記縦鍔4Bを内向きに、第二の横鍔4Aを外向きにそれぞれ傾斜保持し、次いで前記雌型8の拡径周辺8A内に雄型9を押し込むことで、上記傾斜保持状態にある各鍔をこれらの剛性に抗し雄型9の下面により雌型8の拡径周辺8Aの肩部8B上面に強く挟み付け、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着または接着して三重横鍔4Cを形成することができたので、肉厚が薄い紙製容器でも前記多くの絞り成形時に用紙1が破けることがなく、容器開口縁の保形性に優れ、かつ、多数の容器の重積体からの容器単品分離が容易で、しかも、容器開口縁に簡単確実に施蓋でき、かつ、容器の上部で用紙1の切断端縁が外向きの衛生的な縦ひだ絞り紙製容器を安価に多量製造できるという工業的な効果が有る。
【0019】
本発明における請求項2の発明によれば、前記請求項1の発明における諸効果に加えて、前記容器5の上部周辺5Aに予め拡径斜辺5Bを斜めに形成し、この拡径斜辺5Bを雄型7の拡径周辺7Aにより雌型6の拡径周辺6Aに挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を満遍なく広げながら予め斜めに向いている上記拡径斜辺5Bを横向き、縦向きに無理なく広げ起こすことができるので、肉厚が平米当たり50グラム程度の極く薄い用紙1を用いた縦ひだ絞り紙製容器でも、前記各鍔4A〜4Cの絞り成形時や折り畳み重ね潰し時に用紙1には無理な応力が加わらず、この極く薄い用紙1を破くことなく、しかも、絞りシワ少なく前記各鍔4A〜4Cを一体形成することができたので、より一層美しく、保形性に富む縦ひだ絞り紙製容器を安価に多量製造できるという工業的な効果が有る。
【0020】
本発明における請求項3および請求項4の各発明によれば、前記請求項1及び請求項2の各発明における諸効果に加え、前記用紙1に熱軟化性保形フイルムをラミネート被着した複合用紙1を用い、前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、同じく前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着させて三重横鍔4Cを形成した後、この三重横鍔4Cを冷却固化することで、縦ひだ絞り紙製容器全体としての保形性を前記熱軟化性保形フイルムの冷却固化後の強い剛性により、さらに一層確実に強化することができた。
【0021】
この発明における請求項5の発明のように、前記用紙1の面にシリコン樹脂層を被着した複合用紙1を用い、この複合用紙1から多数の縦ひだ3と前記三重横鍔4Cとを一体形成した縦ひだ絞り紙製容器では、前記諸効果に加えて、シリコン樹脂の大きな表面滑性により容器を絞り成形し易くなったし、容器重積体から紙製容器単品をさらに一層分離し易くなったという効果を付加できた。
【0022】
又、請求項6に係る発明のように、これ等の製造方法により製造される紙製容器によって前記各効果を発揮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による縦ひだ絞り紙製容器の一例を示す縦断立面図
【図2】本発明による原形容器の予備製造過程の一例を示す縦断立面図
【図3】本発明における原形容器の予備製造過程の途中を示す縦断立面図
【図4】本発明における原形容器の一例を示す断面図
【図5】本発明による紙製容器の縦横鍔成形型の一例を示す縦断立面図
【図6】本発明による縦横鍔成形過程の一例を示す縦断立面図
【図7】本発明による縦横鍔成形過程の途中を示す縦断立面図
【図8】本発明による縦横鍔成形過程の途中を示す縦断立面図
【図9】本発明による縦横鍔成形過程の最終例を示す縦断立面図
【図10】本発明による縦ひだ絞り紙製容器の縦横鍔成形例を示す斜視図
【図11】本発明による紙製容器の三重横鍔成形過程の一例を示す縦断立面略図
【図12】本発明による三重横鍔成形過程の途中を示す縦断立面略図
【図13】本発明による三重横鍔成形過程の途中を示す縦断立面略図
【図14】本発明による三重横鍔成形過程の最終例を示す縦断立面略図
【図15】本発明による縦ひだ絞り紙製容器の重積体の一例を示す縦断立面図
【図16】本発明による縦ひだ絞り紙製容器の施蓋状態の例を示す縦断立面図
【図17】本発明による縦横鍔成形過程の他例を示す縦断立面図
【符号の説明】
1 容器を作るための用紙(複合用紙)
2 容器底部
3 容器縦ひだ
4 容器胴部
4A 横鍔
4B 縦鍔
4C 三重または五重の横鍔
4D 上蓋
4d 上蓋の下向き突片
5 縦ひだ絞り紙製容器
5A 容器の上部周辺
5B 容器上部の拡径周辺
5C 上部を拡径した原形容器
5D 上部を拡径しない原形容器
6,A 雌型
6A 雌型6の拡径周辺
a 雌型Aの拡径斜辺
7,B 雄型
7A,雄型7の拡径周辺
b 雄型Bの拡径斜辺
8 三重横鍔成形過程に用いる雌型
8A 雌型8の拡径周辺
8B 雌型8の拡径周辺肩部
9 雌型拡径周辺8Aに入れる雄型
Claims (6)
- 用紙1をその中央における容器底部2になる部分の周辺から絞り成形により多数の縦ひだ3と共に折り起こして横断面連続波形の容器胴部4となした縦ひだ絞り紙製容器5を作るに当たり、この容器5の上部周辺5Aを表出させて容器5を雌型6内に納置するとともに、この雌型6に対応した雄型7を雌型6内に押し込むことで、前記容器5の上部周辺5Aを雄型7の拡径周辺7Aにより雌型6の拡径周辺6Aに強く挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を広げながら前記容器5の上部周辺5Aを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、この容器を前記雌型6内から第二の横鍔4Aの外径よりも小さい内径の雌型8の拡径周辺8A上に移し、前記各鍔をその固有剛性に抗して内側に満遍なく縮径させながら前記雌型8の拡径周辺8A内に入れ込んで前記縦鍔4Bを内向きに、第二の横鍔4Aを外向きにそれぞれ傾斜保持し、次いで、前記雌型8の拡径周辺8A内に雄型9を押し込むことで、上記傾斜保持状態にある各鍔をこれらの剛性に抗して雄型9の下面により雌型8の拡径周辺8Aの肩部8B上面に強く挟み付け、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着または接着して三重横鍔4Cを形成し、この三重横鍔4Cの剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強することを特徴とした縦ひだ絞り紙製容器の製造方法。
- 用紙1をその中央における容器底部2になる部分の周辺から絞り成形により多数の縦ひだ3と共に折り起こして横断面連続波形の容器胴部4となした縦ひだ絞り紙製容器5を作るに当たり、この容器5の上部周辺5Aに拡径斜辺5Bを形成し、この拡径斜辺5Bを表出させて容器5を雌型6内に納置するとともに、前記雌型6に対応した雄型7を雌型6内に押し込むことで、前記容器5の拡径斜辺5Bを雄型7の拡径周辺7Aにより雌型6の拡径周辺6Aに強く挟み付け、前記多数の縦ひだ3の上部を広げながら前記容器5の拡径斜辺5Bを満遍なく外向きに広げ起こして前記容器胴部4の上部周辺に第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、この容器を前記雌型6内から第二の横鍔4Aの外径よりも小さい内径の雌型8の拡径周辺8A上に移し、前記各鍔をその固有剛性に抗して内側に満遍なく縮径させながら前記雌型8の拡径周辺8A内に入れ込んで前記縦鍔4Bを内向きに、第二の横鍔4Aを外向きにそれぞれ傾斜保持し、次いで、前記雌型8の拡径周辺8A内に雄型9を押し込むことで、上記傾斜保持状態にある各鍔をこれらの剛性に抗して雄型9の下面により雌型8の拡径周辺8Aの肩部8B上面に強く挟み付け、前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着または接着して三重横鍔4Cを形成し、この三重横鍔4Cの剛性により前記容器上部を妄りに変形しない程度に補強することを特徴とした縦ひだ絞り紙製容器の製造方法。
- 前記用紙1に熱軟化性保形フイルムをラミネート被着した複合用紙1を用い、前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、同じく前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に密着させて三重横鍔4Cを形成した後、この三重横鍔4Cを冷却固化することで、縦ひだ絞り紙製容器全体としての保形性を前記熱軟化性保形フイルムの冷却固化後の剛性により強化することを特徴とした請求項2に記載の縦ひだ絞り紙製容器の製造方法。
- 前記用紙1に熱軟化性保形フイルムをラミネート被着した複合用紙1を用い、前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら第一の横鍔4Aと、この横鍔4Aに連接した縦鍔4Bと、さらにこの縦鍔4Bに連接した第二の横鍔4Aとをそれぞれ一体形成した容器5を作った後、同じく前記容器胴部4の上部周辺を加熱軟化しながら前記縦鍔4Bと第二の横鍔4Aとをそれぞれ内側および外側に向け満遍なく折り畳み重ね潰すことで、前記縦鍔4Bを第一の横鍔4Aの上面に接着して三重横鍔4Cを形成した後、この三重横鍔4Cを冷却固化することで、縦ひだ絞り紙製容器全体としての保形性を前記熱軟化性保形フイルムの冷却固化後の剛性により強化することを特徴とした請求項3に記載の縦ひだ絞り紙製容器の製造方法。
- 前記用紙1にシリコン樹脂層を被着した用紙1を用いた請求項1から請求項4までのいずれか一つの請求項に記載の縦ひだ絞り紙製容器の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかの縦ひだ絞り紙製容器の製造方法により製造された紙製容器。
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