JP4074433B2 - 無外傷性の血液回収システム - Google Patents
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Description
本願は、1998年10月22日出願の仮特許出願第60/105,252号の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、一般的に、液体を吸い込むシステムおよび方法に関し、特に、外科的処置の間における血液組織および心臓組織への外傷の可能性を低減する、血液を吸い込む
回収システムおよび方法に関する。
【0003】
[発明の背景]
手術中の血液回収は、通常行われる必要な処置である。血液回収は、通常、処置部位すなわち手術部位から血液を除去して、外科医が身体およびその器官を明瞭に見えるようにするために行われる。また、開心術などの処置の間にも、血液は左心室から除去されるように回収される。何れかの部位から除去された血液は、「手術血液」と呼ばれることが多い。
【0004】
標準的な血液回収装置は、血液を回収するために手術部位に適用される様々な「吸込み」ラインすなわち「吸い込み管」ライン内で吸込みを行うために、一定の速度または回転速度で操作されるローラ(roller)・ポンプである。これらのローラ・ポンプは、高レベルの圧力または高レベルの吸込みの何れかを検出する能力に欠けている。これらのポンプは、ライン内における空気と液体との相対的な量を検出する方法または装置を有してもいない。
【0005】
血液は、ローラ・ポンプを使用して、末端に吸込み先端部を有する、通常はプラスチック管である吸込みラインを駆動したり真空にしたりすることにより手術部位から除去される。血液の量や、手術部位から血液を除去できる速度を高めるために、灌流技師はローラ・ポンプの速度を高め、それによって吸込みラインの末端の吸込み先端部での吸込み量を増加させる。逆に、ローラ・ポンプ速度を低下させると、手術部位から特定量の血液を除去することができる吸込みおよび速度を低下させることになる。
【0006】
標準的なローラ・ポンプの使用には、それに関連したいくつかの問題があることが知られている。まず、血液回収に現在用いられているシステムは、通常、ライン内における気体の有無とは無関係に、高い負圧で動作する。そのため、ラインまたは管の中に血液がほとんどなく、大量の空気または気体があると思われる場合であっても、回収装置は高圧で吸込みを継続する。空気と混合された血液の吸込みは、血液のみの吸込みよりも遙かに大きい溶血を引き起こし得る。したがって、より大量の血液をより急速に吸い込むためにローラ・ポンプ速度を上昇させることは、吸込みライン内により多くの空気を運び込んで、ライン内の血液と反応させ、それによって血液により大きな損傷を与える可能性が高い。このように、血液除去に現在技術のローラ・ポンプを使用することは、手術部位からの血液の急速除去に関する好適な吸込みレベルと、血液に対する損傷の可能性との間の妥協になる。すなわち、灌流技師がローラ・ポンプ速度を低下させれば、外科医は手術部位における血液のあらゆる大きな貯留を除去するのに長時間を要し、それによって手術が長引き、手術の結果が好ましくなくなる可能性が高まる。しかし、手術に消費される時間を削減するために速度を上昇させることは、血液の損傷につながり得る。
【0007】
第2に、現在の装置は、血液が吸込みライン内に停滞することを許容することがあり、これも溶血につながり得る。これは、現在の装置が高圧で動作し続けるために生ずる。したがって、吸込み先端部内の継続的な負圧から生ずる組織への損傷を回避するために、吸込みを止めるか、手術部位から吸込み先端部を外して、吸込みライン内に空気を直接吸い込めるようにする。吸込みを止めると、ラインを通してライン内の血液を更に動かすために利用可能なあらゆる負圧がもはや掛からないので、血液が停滞することを許容する。
【0008】
第3に、前述のように装置のほとんどはローラ・ポンプを使用している。これらの装置は、血液を押し出すために血液で満たされた管を圧縮し、それによって血液細胞を破壊または損傷し得る。
【0009】
第4に、前述のように、これらの装置は回収管内の空気の存在にかかわらず高圧で使用される。吸込み先端部またはカニューレが組織または全血液溶液に接触すると、負圧が突然上昇する。負圧の上昇はずり変形を生じさせ、回収場所で血液を傷つける。すなわち溶血の危険を高める。
【0010】
第5に、高すぎる吸込みレベルで左心室から血液を除去することは、心臓を損傷し得る。現在、心臓の損傷は、吸込みレベルが約180mmHgに達したときなど、所定の作動レベルで、空気に対して開く三方弁を吸込みライン内で利用することを介して回避されるものと期待されている。作動圧レベルに達すると、弁が開いて空気をライン内に流れ込ませ、吸込みレベルが作動レベルをほぼ超えることを防止する。しかし、空気の導入は、心臓への損傷の可能性が低減するものの、潜在的に血液を損傷し得る直接的な空気・血液界面を作り出すので、前述の三方弁は吸込みが多すぎるという問題に対する完全な改善策ではない。
【0011】
手術部位から手術血液を除去するために吸込みを用いるシステムは、全て全体的に参照して本願に援用される、次の米国特許に開示されたものを含む。第3,834,388号(Sauer)、第4,062,360号(Bentley)、第4,205,677号(Engstrom)、第4,416,658号(Numazawa et al.)、第4,435,170号(Laszczower)、第4,540,399号(Litzie et al.)、第4,599,093号(Steg,Jr)、第4,692,097号(Siposs)、第4,706,687号(Rogers et al.)、第4,735,606号(Davison)、第4,828,543号(Weiss et al.)、第4,838,281号(Rogers et al.)、第4,976,682号(Lane et al.)、第5,055,198号(Shettigar)、第5,195,995号(Walker)、第5,354,268号(Peterson et al.)、第5,385,540号(Abbott et al.)、第5,401,255号(Sutherland et al.)、第5,411,472号(Steg,Jr. et al.)、第5,423,738号(Robinson et al.)、第5,441,482号(Clague et al.)、第5,520,652号(Peterson)、第5,531,712号(Malcolm et al.)、第5,645,531号(Thompson et al.)、第5,573,502号(LeCocq et al.)、第5,571,081号(Adhoute)、および第5,588,816号(Abbott et al.)。
【0012】
使用中に心臓および血液に対する損傷の可能性を低減するであろう手術血液の除去システムおよび方法を保有することが望ましいであろう。特に、時宜を得たかつ完璧な方法で血液除去の必要性を依然として満たしながら、灌流技師または他の使用者が低い負圧での継続的な吸込みを用いることを可能にする、手術血液の除去システムおよび方法を保有することが望ましいであろう。
【0013】
[発明の要約]
前述の不完全性の影響を受けない、新しく有用なシステムおよび方法を提供することが、本発明の目的である。
【0014】
使用中に、心臓にも血液にも損傷を与える可能性の低い、血液を吸い込むシステムを提供することが、本発明の別の目的である。
【0015】
使用中に、心臓にも血液にも損傷を与える可能性の低い、手術血液を吸い込む新しく有用な方法を提供することが、本発明の更に別の目的である。
【0016】
左心室および/または手術部位からの吸込みのために、血液/空気界面を低減する自動制御システムおよび自動制御方法が、本発明の前記目的の達成を可能にする。本発明に係るシステムは、低い負圧での継続的な吸込みを提供し、吸込みライン内で検知された圧力に応じてローラ・ポンプ速度を調節することにより、操作者が一定の所定圧力を維持することを可能にする。本発明に係るシステムは、吸込みライン内の空気対血液比率を検出するために、圧力センサまたはモニタ、ポンプ、および気泡または空気センサを有する。本発明のシステムは、検知された圧力および/または検知された空気対血液比率に応じて、ポンプ速度を自動的に調節する、圧力センサ、ポンプおよび空気センサに接続された処理手段も有し、ポンプ速度を手動で調節するために、やはり処理手段に接続されたディスプレイおよび適切な手動制御装置を有する場合もある。
【0017】
本発明に係る方法は、周囲の組織を損傷することなく、必要かつ所望の量の血液を除去するのに適した吸込みレベルを継続的に維持するために、圧力および空気対血液比率を検知して、それに応じてポンプ速度を調節することを提供する。特に、該システムは、現在の血液回収システムによって提供される単一速度、高圧ではなく、必要に応じてポンプ速度を変化させる、低圧レベルでの継続的吸込みを維持するために、検知された空気対血液比率を用いてポンプ速度を所望のレベルに調節する。
【0018】
本発明に係るシステムは、手動、自動、一定真空、「血液到着」検出、血液/空気比率検出、自動モードの変形などの1つまたは複数のモードで操作可能になり、フィルタリング特性を含み得る。
【0019】
[発明の開示]
図1は、本発明に係る血液回収システム10を、特に、かかるシステムが開心術の間にどのように用いられるかを、概略図で示している。患者の胸腔(房室)12は、左心房(L.A.)16、右心房(R.A.)18、および左心室(L.V.)20、右心室(R.V.)22を含む、患者の心臓14と共に示されている。端部に吸込み先端部26を有する吸込みライン24は、心臓14の左心房16から、その心室に入る血液を除去するための血液回収システム10に延伸している。同様に、端部に吸込み先端部30を有する第2の吸込みライン28は、胸腔12から、胸腔12内または手術部位の何れかにおける血液貯留を除去するための血液回収システム10に延伸している。ライン24、28の基端部は、血液回収システム10に取り付けられている。本発明はあらゆる血液回収システムに適用することができるが、かかるシステムの動作の特定かつ包括的な詳細ならびにその詳細な構成について、以前に参照して1998年3月4日出願のMichael P. Petersenの仮特許出願第60/076,765号に援用した、「CSS 990 Operator and Reference Manual」Rev.A00において説明されている、Medtronic CSS 990心臓麻痺安全システムを参照する。
【0020】
血液回収システム10は一般的にハウジング40を含む。各吸込みライン24、28は、圧力モニタ42、44にそれぞれ、ローラ・ポンプまたは蠕動ポンプ(peristaltic pump)であってもよいポンプ46、48にそれぞれ、および気泡検出器または空気検出器(センサ)50、52にそれぞれ入る。気泡検出器50、52を通過した後に、血液は個々の血液回収器54、56に送られる。
【0021】
圧力モニタ42、44、ポンプ46、48および気泡検出器50、52は、それぞれ、ライン60、62、64、66、68、70および72を介して、コンピュータ60、マイクロプロセッサまたは他のプロセッサに電気的に接続される。コンピュータ60は、それぞれライン78および80を介して、コンピュータ・モニタまたは他のあらゆる既知の表示装置であってもよい、ディスプレイ74および、ロータリ制御ノブなどの適切な手動ポンプ速度の制御装置76に、それぞれ接続される場合もあり、ポンプ46および48の個々のマニュアル制御を所望のように可能にする。すなわち、ディスプレイ74は、吸込みライン24、28の一方または両方、ならびにそれぞれのラインに関連づけられた個々のモニタ、ポンプおよびセンサに相対的な動作パラメータを表示するように構成できる。同様に、制御装置76は、ラインのそれぞれについて個別の制御装置を含む場合があり、ラインのそれぞれを個々に制御することを可能にする。ディスプレイ74は、当該技術分野においてよく知られているように、数値データおよび/またはグラフィック・データの両方を同時にかつ所望の計測単位で提供するように構成できる。そして、このように血液回収システム10の動作性能は、ポンプ速度、ライン圧、回収血液量、または血液回収システム10の動作および患者に関連した他のあらゆる所望のパラメータなどのパラメータを含め、所望のように視覚的および聴覚的に表示できる。聴覚的表示は、たとえば特定な所定の警告条件の聴覚的指示を提供するために行ってもよい。
【0022】
血液回収システム10は、モニタ42、44でライン圧を検知し、かつライン24、28内の空気の存在を検知するように動作する。この情報はコンピュータ60に提供され、現在のポンプ速度と共に、修正されたポンプ速度が計算されてポンプ46、48に提供される。
【0023】
血液回収システム10は、使用者が低い負圧での継続的吸込みを用いることを可能にする。センサ50、52は、ライン24、28内の空気の有無を検出する。システム空気センサは、ライン内の空気または液体を継続的に検出する。空気/血液比率は、経時的にセンサ出力を積分する適切なアルゴリズムによって求められる。積分パラメータとして正確な時間を用いる代わりに、ポンプ速度の関数としての時間を用いることができる。空気対血液比率が高いときには、負圧は低いままである。空気対血液比率が低下すると、必要に応じてコンピュータ60からポンプ46、48に適切な信号を適用することにより、負圧は自動的に増加される。負圧は、空気対血液の所定値に達するまで、すなわち、空気対血液比率がレベルオフするか再び上昇し始めるまで、あるいは負圧、すなわち吸込みレベルが何らかの所定のまたは使用者設定の負圧限界に達するまで増加されてもよい。
【0024】
したがって、多量の空気および少量の血液があるときには、圧力は低い。多量の血液および少量の空気があるときには、圧力は高い。計測された空気対血液比率に対する血液回収システム10の自動的反応は、吸込み中の溶血を最小にすることを支援する。血液回収システム10は、吸込みライン24、28内に空気がある状態で、安定した低レベルの負圧を安全に維持できるので、高圧で動作しているか停止されているかの何れかである現在のシステムとは異なり、血液回収システム10は常に運転したままにすることができる。血液回収システム10を用いると、血液は常時管内を移動し続け、そのため停滞を防止するのに役立つ。これを達成するために、血液回収システム10は、操作者が制御装置76を使用して手動で流速を調節することで、手動で操作できる。また、血液回収システム10は、所定の一定圧力を維持するために、必要に応じてポンプ速度または流速の何れかを調節することにより圧力が一定に維持されるように、自動的に動作するように設定できる。
【0025】
吸込み先端部26、30が組織に直接入り込むと、その組織を潜在的に損傷する負圧の突然の上昇があり得る。この形態の損傷は、やはり本発明により回避できる。まず、空気センサ50または52が空気対血液比率の低下、したがって血液の増加を検出すると、ポンプ速度が次第に上昇する。ポンプ速度が次第に上昇することは、吸込みが次第に上昇することにつながり、それによって血液のずり変形および潜在的な損傷を緩和する。これは、本発明を用いた自動的手動モードで達成できる。まず、血液回収システム10の操作者は、たとえば1分当たり0から400ミリリットルの範囲内に所望の流速を設定することができる。通常、使用者は、制御装置76を操作して流速を所望のレベルに調節して、最初の低吸込み速度を作り出すが、これは1分当たり約50ミリリットルになる場合がある。適切な吸込みライン用のポンプの動作は、吸込みラインを通過する空気量の減少が検出されるまで、この速度で継続する。所定時間にわたる空気流の所定の減少、たとえば少なくとも1秒間に10パーセントの減少が検出されると、付随する血液流の10パーセントの増加があったことになる。ポンプ46または48は、流速および血液除去速度を、たとえば1分当たり175ミリリットルに上昇させるために、その速度を上げるようコンピュータ60によって命令される。そして、この流速は、センサ50、52によって検出された空気の割合が所定の量、たとえば50%だけ減少するまで維持される。この時点で、流速は、コンピュータ60から適切なポンプ46、48への適切な信号によって自動的に下げられる。
【0026】
上記のモードに代えて、本発明は、操作者が最大負圧または吸込みレベルを自動的に設定できることを意図している。コンピュータ60は、操作者が圧力警戒レベルと圧力警報レベルの両方を設定することを可能にするようにプログラムできる。吸込みライン内の圧力が圧力警戒レベルに達すると、血液回収システム10は可聴警戒トーンまたは点滅警戒光の何れかあるいは両方を提供することができる。同様に、警報レベルに達すると、ポンプは、適切な圧力モニタから圧力信号を受信していた、コンピュータ60からの適切な命令によって自動的に遮断される。また、警報トーンを発生させることができ、かつ/または警報光を点滅させることができる。両方の場合に、信号は、異常な圧力状態、たとえば、吸込みラインが捻れたり詰まったりすることにより引き起こされる状態に達したとの通知を、操作者に提供する。
【0027】
血液および組織に対する損傷を更に回避するために、本発明は、固いプラスチック材料で通常は形成されている現在の先端部とは異なり、組織の損傷および突然の圧力上昇の両方を防止するのに役立つ、柔軟な先端部から形成される吸込み先端部またはカニューレ26および/または30を含む。
【0028】
更に一般的には、本発明は、手動モード、一定真空または圧力モード、あるいは自動モードを含む、多数の操作モードで操作することができる。手動モードの操作においては、吸込みレベルは、制御ノブを回すことによるポンプ速度の手動調節を介して、使用者によって制御される。本発明の血液回収システムは、ライン内の圧力(吸込み)を監視して、操作者に、高い真空レベルの警戒(たとえば、可聴警報は鳴るがポンピングは継続する)および/または警報(可聴警報が鳴りモータが停止する)を設定する選択を可能にする。負圧が真空警戒レベルまたは警報レベルを超えると、真空警戒または警報が発生する。
【0029】
一定真空モードは、手術部位に適用される吸込みレベルを操作者が直接的に制御することを可能にする。これは、当該技術分野においてよく知られているように、同等の設備の多くの形態を採ることができる、制御装置76上のロータ・ノブのような適切な制御装置を用いて、所望の圧力レベルを設定することにより達成される。そして、血液回収システム10は、圧力センサを用いてライン内の圧力を監視し、所望の圧力を維持するために必要とされるような、そのラインに関するポンプ速度を調節する。すなわち、ライン内の流速を調節することにより圧力を調節する。対照的に、手動モードでは、使用者はポンプ速度を設定することにより所望の流速を設定する。一定真空モードにおいては、圧力レベルが所定であり、流速および、したがってポンプ速度は、所定の吸込みレベルを得るために変えられる。圧力により制御することが望ましい、心臓または脳の中の小さい空間からの血液の除去など、特定の臨床的状況が存在する。
【0030】
自動モードにおいては、操作者は、前述のように、何らかの小さい初期の所定の低ポンプ速度値を設定し、それによって真空圧力を非常に低いレベルに維持する。このとき、吸込み先端部の配置にかかわらず、非常にわずかの溶血しかなく、低レベルの吸込みによる組織外傷も防止されるであろう。空気センサによって検出される空気量の減少によって、血液流の増加が検出されると、コンピュータは、適切なアルゴリズム(「血液到着」アルゴリズム)を介してそれを検出し、ポンピング速度の上昇を開始させる。「血液到着検出」方法は、吸込みライン内のライン圧力を監視することにより血液を検出する。吸込みライン内で血液のレベルが上昇すると、モニタは圧力レベルの上昇を検出する。このように、システムは、より多くの血液が存在するときには吸込み速度を上昇させながら、空気が存在するときには低速で吸い込むので、溶血の防止を補助する。
【0031】
更に特定的には、所定の時間の後に、空気検出器が少なくとも所定の血液レベル、たとえば50%を検出しなければ、システムは低速および低吸込みレベルに戻る。空気検出器が所定のレベルまたはそれよりも多い血液を検出すれば、システムは、全ての血液を送り出して、空気検出器が吸込み流内における所定レベル、たとえば少なくとも98%の空気を示すまで、高ポンピング速度を、したがって高流速を維持する。この後に、ポンプは、そのポンピング流速を低レベルに低下させるように命令される。すなわち、ローラ・ポンプが使用されている場合には、わずかな速度にまで速度を落とす。このモードにおいても、高真空レベル警戒および/または警報を用いることができるであろう。この自動モードにおいては、自動で溶血は低減されて組織は保護されるので、灌流技師は、血液の除去ではなく、最も重要な役割である心臓麻痺溶液の送出に集中することができる。
【0032】
自動モードの変形も存在する。たとえば、吸込みラインが2つの異なった速度、すなわち吸い込んでいないときには低速(またはゼロ速度)で、急速吸い込みには高速で操作されることを定めるように、コンピュータをプログラムすることができる。速度の変化は、正しい継続時間にわたって正しい時間に制御される。上記の操作方法に関する可能な変形は、自動モードが開始されたときに、操作者が低速またはポンピング流速ポイントを選択することを可能にすることを含む。このポイントは予め設定できるであろう。予め設定される値は、ソフトウエアによって設定できるか、使用者設定可能とするかの何れかの場合がある。また、流れを瞬間的に遮断するために、吸込み先端部に手動操作スイッチを設けることができるであろう。その流れの遮断は、今度は吸込みの増加として圧力センサによって検出されるであろう。そして、コンピュータ60は、流速を上げるようにポンプに指示するであろう。これは、外科医が吸込み器の速度を直接上げることを可能にするであろう。
【0033】
更に、高ポンピング速度は、流量値として予め設定されるか、吸込みレベルとして予め設定されるか、あるいはこれらの両方の組み合わせの何れかにすることができる(すなわち、1分間に1リットルまたは100mmHgの吸込みを超えない)。予め設定される値は、ソフトウエアによって設定できるか、使用者設定可能かの何れかの場合がある。
【0034】
上記の方法は、ポンピング速度が低下する前の、吸込みレベルおよび空気の割合の両方に依存する。この方法は、10秒間にわたって高速で運転するなどの単純な工程とすることができるか、または、ライン内に何もないことを示す吸込み降下まで、高速で運転するなどの吸込みを制御することにより制御できるかの何れかの場合がある。また、制御パラメータは、ラインが98%空気になるまで高速でポンプを運転するなど、ライン内で検出される空気または液体の量とすることができるであろう。最後に、圧力および流速を制御するために、上記のいくつかまたは全ての組み合わせを用いることができるであろう。
【0035】
最終的に、最後の変形として、低ポンプ速度から高ポンプ速度への移行、または高ポンプ速度から低ポンプ速度への移行は、機器上のまたは遠隔(カニューレ上のボタンなど)スイッチ(おそらく、プッシュ・ボタン)の操作によって、灌流技師または外科医が手動で開始できるであろう。
【0036】
様々なモードを設定するために、既知の単一の制御装置を所望のパラメータを制御するために使用することを可能にする、様々のモードの間で使用者が切り換えることを可能にするであろう、単一のスイッチを提供できるであろう。たとえば、単一のスイッチを、手動モード、一定圧力モード、および自動モードの間で切り換えるために用いることができるであろう。あるいは、使用者が所望の操作モードを選択することを可能にするために、制御装置76上に個別のボタンを設けることができるであろう。
【0037】
システム・ノイズを削減するために、様々のフィルタリング技術を使用することが理解されるであろう。システム・ノイズは様々の雑音源から発生し得るが、最も大きな雑音源は、ローラと管内の液体との間の相互作用から生ずるものである。このノイズを削減するために、ローパス・フィルタを使用することができるが、櫛形フィルタが好ましい。
【0038】
以上のように本発明を説明してきたが、他の変形、修正、または代用が当業者には自明であろう。それらは全て本発明の主旨および範囲の中に入るものである。本発明に係るシステムは、本明細書において示したように二重吸込みシステムである必要はなく、1本または複数の吸込みラインを有するシステムも添付の特許請求の範囲内に入ることが理解されるであろう。更に、本発明は開心術に言及して説明してきたが、他の臨床的用途にも有用な場合があることが理解されるであろう。また、所定の応答レベルならびに所定の流速および圧力レベルは、患者の年齢や手術部位の組織などの様々な患者の要因に基づいて変わることが理解されるであろう。したがって、出願人は、本発明が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る血液回収システムの概略図である。
Claims (7)
- 手術中における血液回収システムにおいて、
端部に吸込み先端部(26,30)を有する少なくとも1本の吸込みライン(24,28)と、
前記吸込みラインに取り付けられ、その内部の圧力を計測する圧力モニタ(42)であって、前記吸込みライン内の前記圧力を示す圧力指示信号を生成する圧力モニタ(42)と、
前記吸込み先端部で血液を回収するために、前記吸込みラインに吸込みを供給するポンプ(46)と、
前記吸込みライン内の空気の存在および吸込み量を検出する空気センサ(50,52)であって、前記吸込みライン内の空気対血液比率を示す空気対血液比率信号を生成する空気センサ(50,52)と、
前記圧力モニタと前記空気センサとに取り付けられた処理手段(60)であって、前記圧力モニタから圧力指示信号を受信し、且つ前記空気センサから前記空気対血液信号からを受信する処理手段(60)と、
を含む手術中における血液回収システムにおいて、
前記処理手段が、前記圧力と前記空気対血液比率とに基づいてポンプ速度を計算する手段を含むことを特徴とする血液回収システム。 - 前記圧力指示信号および前記空気対血液比率信号を表示するディスプレイ(74)を更に含む請求項1に記載のシステム。
- 前記処理手段は、前記空気対血液比率が上昇したときに、前記吸込みライン内の前記吸込み量を低下させるために、前記ポンプに信号を供給する請求項1に記載のシステム。
- 前記ポンプはローラ・ポンプであり、前記吸込みライン内の前記吸込み量は、前記ローラ・ポンプの毎分回転数を上昇させることにより上昇させられる請求項3に記載のシステム。
- 前記ポンプによって生成された前記吸込み量を調節する制御装置(76)を含む請求項3または4に記載のシステム。
- 前記処理手段は、前記空気対血液比率が低下したときに、前記吸込みライン内の前記吸込み量を上昇させるために、前記ポンプに信号を供給する請求項1ないし5のいずれかにに記載のシステム。
- 前記ポンプはローラ・ポンプであり、前記吸込みライン内の前記吸込み量は、前記ローラ・ポンプの毎分回転数を低減することにより低下される請求項6に記載のシステム。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US10525298P | 1998-10-22 | 1998-10-22 | |
US60/105,252 | 1998-10-22 | ||
PCT/US1999/024788 WO2000023128A1 (en) | 1998-10-22 | 1999-10-21 | Atraumatic blood suction system |
Publications (2)
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