JP4074376B2 - クライオジェンを噴霧するための装置および方法 - Google Patents

クライオジェンを噴霧するための装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つ以上の噴霧ノズルから物品にクライオジェンを噴霧するための装置および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、熱伝導性エレメント(物品の下に配置されている)が液体オーバースプレーと接触し、熱伝導性エレメントとの直接的な熱伝達によりこうしたオーバースプレーを気化させる、という装置および方法に関する。他の態様においては、本発明は、クライオジェンの液体流れを噴霧の前に二相流れに転化させる、という装置および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、液体流れの補助流れを気化させることによって、そして得られた蒸気ともう一つの補助流れとを混合して二相流れを生成させることによって二相流れへの転化を果たす、という装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
物品に噴霧しようとする液体内容物を含んだクライオジェンを必要とするような多くの工業的アプリケーションがある。例えば、食品加工業においては、冷凍目的のために物品にクライオジェン冷媒(例えば、液体窒素や液体空気)を噴霧する。特定の食品加工用途においては、脱水を防止するための保護層として作用するクラスト冷凍効果(crust freezing effect)を生成させるために、物品にクライオジェン冷媒を噴霧する。こうしたクラスト冷凍はトンネルフリーザー(tunnel freezer)中においても、あるいはスパイラルフリーザー(spiral freezer)の出入り場(vestibule)においても行うことができる。スパイラルフリーザーは、機械的な冷凍サイクルによって、あるいはクライオジェン冷凍手段によって物品の冷凍が行われる、というタイプのフリーザーである。非食品技術おいては、コンクリートスラブにクライオジェンを噴霧することによって、コンクリートスラブを硬化させている。洗い落とすべきペイントやグリースが付着している物品に対しても、除去すべき表面物質をばらばらにして落とすためにクライオジェンが噴霧されている。
【0003】
液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧する、というクライオジェンを利用した種々のアプリケーションの全てに共通している問題は、オーバースプレー(すなわち、物品と接触しても実際には気化しないクライオジェン)が物品の下にたまりやすいという点である。クライオジェンが幾らか存在すると、下側に存在する構造物(例えば、食品フリーザーの底部)が損傷を受け、窒素のような物質の場合には、密閉構造物から液体がしみ出てきて呼吸困難を引き起こす、という問題を起こすことがある。液体空気や酸素と窒素との合成混合物(呼吸可能であってまだ安全である)等のクライオジェン冷媒の場合、窒素の揮発性がより低いので、液体は継続的に酸素が多くなる。噴霧しようとする炭化水素含有物品(例えば食品)と酸素富化とが相俟って、あらゆる作業が危険になることがある。
【0004】
低温ガス冷媒による冷凍が必要とされる従来技術の冷凍装置においては、プーリング(pooling)という問題に対する取り組みがなされている。例えば米国特許第 2,479,821号においては、鉄道車両の上部内側に設置されているプレート集成体上に液体クライオジェンが噴霧される。鉄道貨物に液体クライオジェンが直接噴霧されないよう、これらのプレートによって全ての液体を確実に気化させる。さらに、米国特許第 4,726,195号は、液体クライオジェンが容器内で循環を起こすための駆動力を与えるよう、ベンチュリ様の装置を介して液体クライオジェンを噴霧する、という低温冷凍システムを提供している。このような目的を達成する上で、液体流れ中に加温蒸気を送り込み、これによって液体を気化させる。ベンチュリ様装置の出口の温度を感知し、この温度が設定温度(クライオジェン冷媒の液相温度以上)にまで低下したときに、制御システムが制御弁を作動させてクライオジェン冷媒の流れを切り離す。容器が充分に加温された後、制御弁を開いてクライオジェンの流れを再開させる。
【0005】
上記特許のいずれも、そしてこれらに関する従来技術も、液体クライオジェンがスプレーとして直接施されるときの、そして液体クライオジェンから熱負荷によっては気化されないようなオーバースプレーが生成されるときのプーリングの防止を意図していない。例えば、米国特許第 2,479,821号においては、クライオジェンを噴霧前に気化させてから蒸気として使用している。米国特許第 4,726,195号においては、クライオジェンの内容物が液体になると、クライオジェンを液体として使用するのを避けるために、したがってこれによってプーリングを防ぐためにクライオジェンの供給を停止する。
【0006】
熱伝達という観点からクライオジェンを二相流れとして噴霧すること、また冷凍という観点からプロセスを制御するために、このような二相流れの品質(蒸気内容物の品質)を制御することが望ましい、ということが本発明者らによって見いだされた。さらに、二相流れの品質を制御することにより、プーリングを防ぐことができる。後述するように、本発明はさらに、それにもかかわらずオーバースプレーが生成されたとしても、プーリングを防止するために制御された仕方でオーバースプレーが気化される、という装置と方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧するための装置が提供される。本発明の装置は、噴霧ゾーン内に設置された熱負荷に噴霧するように配置された少なくとも1つの噴霧ノズルを含む。熱伝導性エレメントが噴霧ゾーンの下に配置されており、クライオジェンの液体内容物から形成されるオーバースプレーを捕捉すべく、そしてこれによって熱伝導性エレメントとの直接的な熱伝達によりオーバースプレーを気化させるべく造られた大きさの表面を有する。他の態様においては、本発明は、液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧する方法を提供する。本発明の方法によれば、噴霧ゾーン内にて熱負荷にクライオジェンを噴霧する。クライオジェンの液体内容物から形成されるオーバースプレーを、噴霧ゾーンの下に配置されていて、オーバースプレーを捕捉するような大きさに造られた表面を有する熱伝導性エレメントとの直接的な熱伝達により気化させる。オーバースプレーを気化させることにより、プーリングが防止される。
【0008】
前述したように、クライオジェンは、液体流れとしてよりむしろ二相流れとして噴霧するのが好ましい。したがって、本発明のさらに他の態様によれば、液体クライオジェンを二相流れとして噴霧するための装置が提供される。このような態様では、液体クライオジェンを第1と第2の補助流れに分けるための第1と第2のレッグを有するフローシステムが提供される。第2のレッグ内に、第2の補助流れを気化させるための気化器が設置されている。第2の補助流れを、気化させた後に第1の補助流れと混合し、これによって二相流れを形成させるための混合装置が第1と第2のレッグに連結されている。二相流れを噴霧するための少なくとも1つの噴霧ノズルが混合装置に連結されている。さらに他の態様によれば、本発明は、液体クライオジェンを第1と第2の補助流れに分ける、という液体クライオジェンを噴霧する方法を提供する。第2の補助流れを気化させ、第2の補助流れの気化後に、第1と第2の補助流れを混合して、二相流れを形成させる。次いで、こうして得られた二相流れを噴霧する。後述するように、本発明のこれらの態様は、プーリングを防止するための、そしてさらにクライオジェンによってなされる冷凍を調節するための熱伝導性エレメントを組み込む、という態様と組み合わせて使用することができる。
【0009】
本明細書は、発明者らが発明であるとみなす主題を明確に指摘している特許請求の範囲に結論を明記しているが、添付の図面を参照しつつ考察を加えれば、本発明の理解がより深まるであろう。
【0010】
図1を参照すると、本発明による装置1が示されている。このような装置は、トンネルフリーザー内に収容することもできるし、あるいは図示のように、低温貯蔵室中においてハウジングなしで使用することもできる。オープンであるか、あるいは作業員が室内から出ていけるようなアプリケーションにおいては、クライオジェン冷媒は、液体空気であっても、あるいは酸素と窒素の合成混合物であってもよい。完全に閉じられた環境においては、液体窒素などの他の液体クライオジェン冷媒も使用することができる。この点に関して、明細書本文および特許請求の範囲にて使用している“クライオジェン”という用語は、標準的な大気温度および大気圧において通常は蒸気として存在する物質を意味している。
【0011】
装置1は、冷凍しようとする物品12を搬送するのに使用されるエンドレスベルトであるコンベヤー10を含む。したがって、噴霧するクライオジェンと相互作用する物品12は熱負荷である。噴霧を行うために、噴霧ゾーン20内で物品12に対しクライオジェンをスプレー18として噴霧するための噴霧ノズル16を有するマニホルド14が設けられている。ここで指摘しておかなければならないことは、明細書本文および特許請求の範囲において使用している“噴霧ノズルまたはノズル”とは、スプレーを発出するいかなる装置をも含む、という点である。したがって、本発明にて使用される噴霧ノズルは、パイプにおける孔であってもよい。噴霧ゾーン20は、スプレー18がとる空間区域によって画定される。図面からわかるように、物品12と接触しても、クライオジェンの液体内容物の全てが気化するわけではない。コンベヤー10はオープン構造物(例えば、孔やスロット等の開口を有するベルト)であり、したがってスプレー18は、ノズル16から噴霧ゾーン20を通って物品に達したり、またコンベヤー10を通過したりすることもある。言うまでもないが、コンベヤー10は、搬送という典型的な目的に対して示されており、フックやローラー等の他の搬送手段も使用することができる。噴霧ゾーン20内において、物品12またはコンベヤー10との接触前後に気化されないクライオジェンの液体内容物はオーバースプレーを構成し、これは熱伝導性エレメント22によって捕捉される。
【0012】
図2を参照すると、噴霧ゾーン20の下に熱伝導性エレメント22が配置され、オーバースプレーされた液体クライオジェン冷媒と接触するような大きさに造られた表面24が設けられている。したがって、熱伝導性エレメント22は、アルミニウム、銅、または他の熱伝導性材料から製造しなければならない。後述するように、熱伝導性エレメント22は周囲からの熱を伝導する。例えば、液体クライオジェンを冷媒として使用する多くのフリーザーでは、フリーザーの内部は、液体クライオジェンより温度が約50℃高い。したがって、熱伝導性エレメント22によって伝導すべき熱は、装置1が作動する環境において生じる。
【0013】
図面からわかるように、熱伝導性エレメント22と接触しても直ぐには気化しない液体クライオジェンが、熱伝導性エレメント22の表面24の傾斜を下向きに流れて最後には気化されやすいように、熱伝導性エレメント22は、プロセスのより温度の高い端部に対して下向きに傾斜しているのが好ましい。気化していない液滴を移動させるために、また液滴がより大きな液滴に凝集するのを防ぐために、公知のバイブレーター26を設けて、熱伝導性エレメント22内に継続的な振動を生成させることができる。液体を熱伝導性エレメント22の表面24に閉じ込めるために、周縁リップ部分28を設けて液体を表面24に閉じ込めることができる。したがって、熱伝導性エレメント22はトレー様の形状を有すると言うことができる。
【0014】
図面からわかるように、オーバースプレーを捕捉するためには、熱伝導性エレメントの表面24がオーバースプレーを捕捉するような大きさに造られていなければならない。この点に関して、このようなサイズ形成では実際、噴霧ゾーン20より大きく造られた幅と長さを有する熱伝導性エレメント22が必要となる。
【0015】
前述したように、最も効率的な熱伝達を得るためには、液体クライオジェン冷媒を二相流れとして噴霧すべきである、ということが本発明者らによって見いだされた。約60:40の液体:蒸気比が好ましい。二相流れを生成させるためには、液体クライオジェン冷媒の流れを第1のレッグ30内の第1の補助流れと第2のレッグ32内の第2の補助流れに分けるための第1と第2のレッグ30と32を有するフローネットワークに液体クライオジェン冷媒を通す。気化器34(必要とされる気化を引き起こすに足る寸法のチューブのコイルから造ることができる)を組み込むことによって、液体クライオジェン冷媒を第2のレッグ32内で気化させる。本発明の冷凍装置へのアプリケーションにおいては、このような気化器34を介しての熱取得を避けるために、したがって熱効率の低下を防ぐために、気化器34は、このような冷凍装置の区切られた領域内に配置される。新たに気化させた第2の補助流れを、単に配管用T字管(a piping Tee)であってもよい混合装置36によって、第1の流れと合流させる。このような配管用T字管にオリフィス(または好ましくは噴霧ノズル)を取り付けて、気化した第2の補助流れを第1の補助流れの液体との乱流混合物中に引き込むための液体ジェットを生成させ、これによってマニホルド14中に導入すべき二相流れを生成させることができる。さらに必要に応じて、第2の補助流れが液体を霧化するための噴霧流体として作用するような噴霧ノズルを使用することもできる。
【0016】
装置1は、定常状態の操作用に設計することができるが、制御システムによってその操作にフレキシビリティをもたせるのが好ましい。噴霧ゾーン20の噴霧ゾーン温度は、温度センサー38によって測定する。感知した温度を示す噴霧ゾーン温度シグナルが、温度制御器40(プログラム可能なPIDタイプの制御器であるのが好ましい)にインプットとして導入される。オリフィスプレート42により、第1のレッグ30内の最大液体流量が決定される。定比弁66(後述する)の位置とオリフィスプレート42とが相俟って、第1と第2のレッグ30と32を通過する流量のほとんど一定の比が、したがって定比弁66がオープンである程度に依存して、噴霧ゾーン20に噴霧されるクライオジェン中の液体対蒸気の、通常の設計運転比(designed normal operating ratio)が得られる。混合用T字管36それ自体がオリフィスまたは噴霧ノズルを組み込むことができるが、適切な実施態様においては、別個のオリフィスプレートを配置することもできる。通常の設計運転比は、前述のように60−40であってよい。さらに、後述するように、使用されるオリフィスプレートは、熱伝導性エレメント22に対する必要な設計基準である最大流量を設定するように作用する。言うまでもないが、第1と第2のレッグ30と32内に組み込まれている配管と弁は、実際の流れ分割に寄与する。
【0017】
温度制御器40は、噴霧ゾーン20内を所望の設定温度にするための機器である。温度制御器40はさらに、噴霧ゾーン20中に導入されるクライオジェンの流量を調節するための定比弁44を制御する。噴霧ゾーン20内の温度が増大すると(温度センサー38によって測定)、温度制御器40が定比弁44に対して開放するよう指示し、これによって噴霧ゾーン20に入るクライオジェンの流量を増大させる(この逆の場合もある)。このような態様においては、噴霧ゾーン20の温度は、予備設定された実質的に一定のゾーン温度に保持される。
【0018】
噴霧ゾーン20内の温度が低くなりすぎた場合は、物品12上で気化する液体の量が充分でない。熱負荷が実質的に減少した場合にこうしたことが起こりうる。この結果、物品12上に液体が保持され、したがって熱伝導性エレメント22上で気化されない。これを防ぐために、別の熱交換器50をマニホルド14に連結して、蒸気52のスプレー(液体を物品12から吹き払うよう作用する)を生成させる。
【0019】
液体が熱伝導性エレメント22上にたまるのを防止するために、熱伝導性エレメントの温度を噴霧ゾーン20の温度より高く保持するよう、スプレー18の品質を調節する。このため、熱伝導性エレメントの温度を、熱伝導性エレメント22の平均温度として感知する。これは、熱伝導性エレメント22の端部および中心部に配置された3つの温度センサー54、56、および58による別々の温度測定によって行われる。効果は劣るが、温度センサーを中央に設置して使用することもできる。これらの温度は、このような平均温度に、したがって熱伝導性エレメントの温度に帰することのできる出力シグナルを生じる多チャンネル温度モニター60にて平均化される。この出力シグナルは、温度制御器64(プログラム可能な別のPID制御器)に入力シグナルとして送られる。
【0020】
温度制御器64は、設定された基準割合の開放(定比弁66が開いている程度を制御するのに使用される)を記録するための手段を有するのが好ましい。したがって、定比弁66は、噴霧しようとするクライオジェン冷媒の所望の液体−蒸気比(例えば 60-40)を制御するための調節可能な流量係数(flow coefficient)を示すことができる。温度制御器64はさらに、噴霧ゾーン20内に保持されるべき温度より好ましくは約10℃高い設定基準温度を記録するための手段を有する。温度制御器64は、以下のような仕方でプログラムされるのが好ましい。すなわち、温度モニター60によって示される温度が設定基準温度より高い場合は、定比弁66がその設定された基準割合の開放のままである。温度モニター60によって示される温度が設定基準温度より低い場合は、定比弁66が温度制御器64から命令を受けて開き、これによって噴霧しようとするクライオジェン冷媒中の蒸気の量を増大させる。モニター60によって示される温度が再び設定基準温度より高くなったときは、定比弁66が、温度制御器64中に記録されている設定割合の開放に戻る。
【0021】
本発明の制御システムを使用した場合でも、液体クライオジェン冷媒が熱伝導性エレメント22上にプールを形成するという過渡的状態が生じることがある。このような場合には、制御弁68が閉じる。熱伝導性エレメント22の最下点における温度を温度センサー70によって感知するのが好ましい。温度センサー70は、温度制御器72(好ましくは、オン/オフ制御器またはサーモスタット制御器)に入力として送られる感知温度に帰することのできる出力シグナルを生成する。温度制御器72は、クライオジェンの沸点より通常約80℃のマージンだけ高い温度に設定される。感知した温度が設定温度より高い場合は、制御器72が弁68の閉止を起こさせるためのインターロックとして機能する。
【0022】
本発明のある実施態様においては、熱伝導性エレメント24に動きを加えることによって、その熱伝達係数を変えることができる。例えば、振動運動を熱伝導性エレメント24に加えることができる。これとは別に、図3に本発明の1つの実施態様が示されており、上に向かった縁を有するディスク様の熱伝導性エレメント74が供給されている。モーター76によって熱伝導性エレメント74を回転させる。図面には制御システムが示されていないが、同じものを組み込むことができる。
【0023】
図4には他の可能な実施態様が示されており、熱伝導性エレメント82中に加熱コイル80が埋め込まれている。この実施態様においては、熱伝導性エレメント82の温度を感知するための、またこのようなシグナルを制御器86(プログラム可能なPID制御器)に入力として供給するための温度センサー84が組み込まれている。制御器86が電源88を調節して加熱エレメント80への電力を調節し、これによって熱伝導性エレメント82の表面温度を、液体クライオジェンの沸点より高くなるよう制御する。本実施態様は、単に装置1を加えて使用することができる。このような場合は、熱伝導性エレメント22の代わりに、埋め込まれた加熱コイルを有する熱伝導性エレメント82が使用される。この点に関しては、温度センサー70の出力を使用して、加熱エレメント80と弁68を制御する。したがって、設定温度においては、弁68が閉じるだけでなく、加熱エレメント80に電力が供給される。
【0024】
ここで注意しておかねばならないことは、制御器40、64、および86は入手の容易なPID(Proportional, Integral, Differential)制御器であり、好ましい特定のメーカーがあるわけではないということである。各制御器に対する比例係数、積分係数、および微分係数は、実際には当業界に公知の仕方で実験的に求められる。当然のことながら、類似の制御器も使用可能であるが、あまり好ましいとは言えない。
【0025】
熱伝導性エレメント24、74、および82の種々の実施態様は、オーバースプレーと接触するためにフラットな表面を供給するものとして示されているけれども、不規則な表面を供給して熱伝達を増大させることもできる。しかしながら、このような不規則表面(例えば、メッシュやリッジ等によって得られる表面)は、冷凍しようとする物品の細片を捕捉しやすい。したがって、装置1を食品の冷凍用途に適用する場合は危険が生じることがある。本発明はさらに、制御システムをもたない単なる熱伝導性エレメントのみ、二相流れよりむしろ高純度液体のスプレー、または部分的な制御手段(例えば、熱伝導性エレメントの表面温度がクライオジェンの沸点に近づいたときに、液体の流れを停止するための制御弁68)を組み込んだ実施態様も含む。
【0026】
本発明にしたがって設計された熱伝導性エレメントは、温度センサー70によって感知した温度が制御器72の設定温度未満に低下したときに、感知可能の充分な熱エネルギーを保持して、液体の一時的なオーバースプレーを完全に気化させるのに充分な程度の質量を有していなければならない。熱伝導性エレメントの必要な質量を算出するためには、制御システムによって制御弁68が閉じられる前に、熱伝導性エレメント上にこぼれる可能性のある液体の量を先ず最初に評価しなければならない。当然のことながら、これは、センサー70の応答時間、制御弁68が閉じる速度、および残留する液体の量の関数である。残留液体の量は、以下のような単純な式で示される。
【0027】
Me=Ms+[({Tr+Tv}×Fc)+Ml]×Vc/Ce/△Temp.
式中、
Me は、熱伝導性エレメントの質量であり、
l は、制御弁68より下流ラインにおける液体の質量であり、
Ms は、熱伝導性エレメントに対して許容される安全性マージンであり、
Tr は、温度センサーの応答時間であり、
Tv は、制御弁68の応答時間であり、
Fc は、クライオジェンの質量流量であり、
Vc は、単位質量当たりのクライオジェンの気化エネルギーであり、
Ce は、熱伝導性エレメント材料の比熱容量であり、そして
△Temp=設定基準温度−クライオジェンの沸点
である。
【0028】
前述したように、クライオジェンの液体内容物の最大流量は、オリフィスプレート42または混合用T字管36内のオリフィスもしくは噴霧ノズル、およびMl に対する値として使用されるような最大流量によって決定される。
【0029】
好ましい実施態様を挙げて本発明を説明してきたが、当業者にとっては、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、多くの変形、付加形、および簡略形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法を実施するための装置の概略図である。
【図2】図1のライン2−2に沿って切り取ったときの一部省略断面図である。
【図3】熱伝導性エレメントの他の実施態様の一部省略図である。
【図4】図1の装置に連結して使用する熱伝導性エレメントのさらに他の実施態様の一部省略図である。

Claims (16)

  1. (a)噴霧ゾーン内に設置された熱負荷に噴霧するように配置された少なくとも1つの噴霧ノズル;および
    (b)前記噴霧ゾーンの下に配置され、クライオジェンの液体内容物から形成されるオーバースプレーを捕捉すべく、そしてこれによって直接的な熱伝達により前記オーバースプレーを気化させるべく造られた大きさの表面を有する熱伝導性エレメント;
    を含む、液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧するための装置であって、
    前記熱伝導性エレメントがシート材料から造られていて、オーバースプレーした液体が凝集するのを防ぐためのバイブレーターを含む、前記装置
  2. (a)噴霧ゾーン内に設置された熱負荷に噴霧するように配置された少なくとも1つの噴霧ノズル;
    (b)前記噴霧ゾーンの下に配置され、クライオジェンの液体内容物から形成されるオーバースプレーを捕捉すべく、そしてこれによって直接的な熱伝達により前記オーバースプレーを気化させるべく造られた大きさの表面を有する熱伝導性エレメント;
    (c)前記クライオジェン冷媒の少なくとも一部を気化させるための、前記少なくとも1つの噴霧ノズルと連通関係にある気化器;
    (d)前記クライオジェン冷媒の流れを主要流れと補助流れに分けるための第1と第2のレッグを有するフローネットワーク、このとき前記補助流れを気化させるよう、前記気化器が前記第2のレッグ中に設置されている;および
    (e)前記補助流れと前記主要流れとを合わせ、これによって前記クライオジェン冷媒の二相流れを生成させるための、前記第1と第2のレッグに連結された混合装置、このとき前記少なくとも1つの噴霧ノズルが前記混合装置と連通している;
    (f)前記混合装置と前記少なくとも1つのノズルとの間に介在させた定比弁;
    (g)噴霧ゾーンの温度を感知するための温度センサー;および
    (h)前記噴霧ゾーンが、予め設定された実質的に一定の噴霧ゾーン温度のままであるよう、前記定比弁を制御するための、したがって前記噴霧ゾーンに流入する前記クライオジェン冷媒の流量を制御するための、前記温度センサーに応答する噴霧ゾーン温度制御器;
    を含む、液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧するための装置
  3. (a)前記熱伝導性エレメントの境界温度を感知し、前記境界層温度に応じた第2の温度シグナルを発生するための境界温度センサー;
    (b)前記第1と第2のレッグの両方に連結された制御弁;および
    (c)前記第3の温度シグナルに応答し、前記クライオジェンの沸点より高い温度において前記制御弁を閉じるように設計されているインターロック制御器;
    をさらに含む、請求項2記載の装置。
  4. 前記温度センサーと前記定比弁が、第1の温度センサーと第1の定比弁を含み;
    前記第2のレッグが、前記噴霧ゾーン内で噴霧される前記クライオジェン冷媒の蒸気内容物を制御するための第2の定比弁を有し;そして
    前記熱伝導性エレメント上の前記オーバースプレーのプーリングを抑制するための制御システム;
    をさらに含み、この制御システムは、
    (a)前記熱伝導性エレメントの熱伝導温度を感知するための、少なくとも1つの第2の温度センサー;および
    (b)前記第2の定比弁の位置を制御するための第2の温度制御器、このとき前記第2の温度制御器は、前記第2の定比弁の設定した割合の開放と、前記熱伝導性エレメントに対する設定した基準温度を記録するための手段を有し、前記熱伝導性エレメントの前記熱伝導温度が前記設定基準温度より高い場合は、前記第2の温度制御器が、前記第2の定比弁を前記設定割合の開放に位置決めするように、そして前記熱伝導性エレメントの前記熱伝導温度が前記設定基準温度より低い場合は、前記熱伝導温度が再び前記設定基準温度より高くなるまで、前記設定割合の開放より大きな割合の開放に開くよう、前記第2の温度制御器が、前記第2の定比弁を再位置決めするように設計されている;
    を含む、請求項2記載の装置。
  5. 前記熱伝導性エレメントの前記表面が下向きに傾斜している、請求項2記載の装置。
  6. 前記熱伝導性エレメントが、前記オーバースプレーを保持するための周縁リップ部分を備えたトレー様の形状を有する、請求項2記載の装置。
  7. 前記熱伝導性エレメントがシート材料から造られていて、オーバースプレーした液体が凝集するのを防ぐためのバイブレーターをさらに含む、請求項2記載の装置。
  8. 前記熱伝導性エレメント中に埋め込まれたヒーターをさらに含む、請求項2記載の装置。
  9. 前記熱伝導性エレメントがスピニングディスクを含む、請求項2記載の装置。
  10. (a)前記クライオジェンの一部を気化させるためのもう一つの気化器;および
    (b)前記熱負荷に向けられる蒸気流れを形成して、前記熱負荷上に保持されているスプレーを吹き払うための、前記もう一つの気化器に連結されたノズル;
    をさらに含む、請求項2記載の装置。
  11. 液体クライオジェンを二相流れとして噴霧するために、
    (a)液体クライオジェンを第1と第2の補助流れに分けるための第1と第2のレッグを有するフローシステム;
    (b)前記第2の補助流れを気化させるために、前記第2のレッグ内に設置された気化器;
    (c)前記第2の補助流れを、気化させた後に、前記第1の補助流れと混合し、これによって二相流れを形成させるための前記第1と第2のレッグに連結された混合装置;および
    (d)前記二相流れを噴霧するために、前記混合装置と連通関係にある少なくとも1つの噴霧ノズル;
    さらに含む、請求項2記載の装置
  12. 前記二相流れの品質を調節するための制御弁が前記第2のレッグ内に設置されている、請求項11記載の装置。
  13. a)噴霧ゾーン内にて、液体内容物を含有するクライオジェンを熱負荷に噴霧する工程;
    (b)クライオジェンの液体内容物から形成されるオーバースプレーを、前記噴霧ゾーンの下に配置されていて、オーバースプレーを捕捉するようなサイズの表面を有する熱伝導性エレメントとの直接的な熱伝達により気化させる工程;
    (c)前記クライオジェン冷媒を、噴霧する前に一部気化させる工程;
    (d)前記クライオジェン冷媒の流れを第1と第2の補助流れに分ける工程;
    (e)前記第2の補助流れを気化させる工程;
    (f)前記第1と第2の補助流れを、第2の補助流れを気化させた後に混合し、これによって前記クライオジェン冷媒の二相流れを生成させる工程;
    (g)前記二相流れを噴霧する工程;
    (h)クライオジェン冷媒の流量を調節して噴霧ゾーンの温度を制御する工程;
    (i)熱伝導性エレメントの境界温度を感知する工程;および
    (j)境界温度がクライオジェンの沸点未満に低下しないよう、主要流れと補助流れを切り離す工程;
    を含む、液体内容物を含有するクライオジェンを噴霧する方法
  14. (a)前記熱伝導性エレメントの熱伝導温度を感知する工程;および
    (b)前記熱伝導温度と前記熱伝導性エレメントに対する基準温度とを比較することによって二相流れの蒸気内容物を制御する工程、このとき前記熱伝導温度が前記基準温度より高い場合は、前記蒸気内容物を実質的に一定に保持し、また前記熱伝導温度が前記基準温度より低い場合は、前記熱伝導温度が再び前記設定基準温度より高くなるまで、前記蒸気内容物を増大させる;
    をさらに含む、請求項13記載の方法。
  15. (a)蒸気流れを生成させるために、クライオジェンの一部を噴霧の前に気化させる工程;および
    (b)熱負荷からスプレーを吹き払うために、熱負荷に向けて蒸気流れを当てる工程;をさらに含む、請求項13記載の方法。
  16. 第2の補助流れの流量を制御し、これによって二相流れの品質を調節する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
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