JP4073391B2 - サニタリーショーツ - Google Patents

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Description

本発明は、身体からの排出液の吸収性能を有し、ウエスト回り及びレッグ回りのフィット性に優れており、安価に製造可能なサニタリーショーツに関する。
従来、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品を固定し、該吸収性物品を着用者の身体にフィットさせるために用いられるサニタリーショーツが知られている。
例えば、特許文献1には、特定構造の伸縮性不織布により構成され、その目付が特定の範囲内にあるサニタリーショーツが記載されている。
特開2000−60900号公報
しかし、このサニタリーショーツは、生理用ナプキンや失禁パッド等を固定して用いるもので、それ自体が吸収性能を有するものではない。そのため、生理用ナプキンや失禁パッドのズレ等により経血や尿がこれらから漏れ出すと、その液が、ショーツからも容易に漏れだして着衣を汚すという問題がある。
また、特許文献1記載のサニタリーショーツにおけるウエスト開口部及びレッグ開口部の開口周縁部には、前記伸縮性不織布とは別の部材が取り付けられており、その部材自体及びその取り付け工程等が必要であるため、ショーツを安価に製造することが難しい。他方、各開口部に伸縮性を高めるための別の部材が取り付けない場合には、各開口部に充分なフィット性が得られない。
特開2000−60900号公報
従って、本発明の目的は、身体からの排出液の吸収性能を有し、ウエスト回り及びレッグ回りのフィット性に優れており、安価に製造可能なサニタリーショーツを提供することにある。
本発明は、前身頃、後身頃及びこれら両者間に位置する股下部を有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているサニタリーショーツであって、前記股下部に吸収層が設けられており、少なくともウエスト開口部及びレッグ開口部それぞれの周辺領域が弾性シートから形成されており、該各開口部における該弾性シートの端縁から所定幅の領域が、該各開口部の周方向の伸縮性が高まるように折り返されて接合されているサニタリーショーツを提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明によれば、身体からの排出液の吸収性能を有し、ウエスト回り及びレッグ回りのフィット性に優れており、安価に製造可能なサニタリーショーツを提供することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態としての失禁用ショーツ1は、図1及び図2に示すように、着用者の腹側に配される前身頃2、着用者の背側に配される後身頃3、及び前身頃2と後見頃3との間に位置する股下部4を有しており、前身頃2の両側縁部と後見頃3の両側縁部とが互いに縫合により接合されてウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。
失禁用ショーツ1は、弾性シート21,31,41からなるショーツ本体10に、後述する吸収層7及び防漏層8等を設けてなる。ショーツ本体10は、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6を有する、ショーツ型の形態をなしている。
ショーツ本体10は、前身頃2、後身頃3及び股下部4を形成する各部分が、それぞれ弾性シート21,31,41から構成されており、股下部4を形成する部分の肌対向面側には、図3に示すように、吸収層7が設けられ、該吸収層7の非肌対向面側、具体的には、吸収層7と弾性シート41との間には、液不透過性で且つ透湿性の防漏層8が設けられている。肌対向面及び非肌対向面とは、各部材において、着用者の肌側に向けられる面及びそれとは反対側に向けられる面であり、肌対向面側(又は非肌対向面側)に設けられているという表現には、肌対向面(又は非肌対向面)との間に他の部材が介在している場合も含まれる。
吸収層7の形成材料としては、繊維ウエブ若しくは不織布又はこれらに高吸水性ポリマーを保持させたもの等、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収体として従来用いられている各種公知のものを用いることができるが、洗濯して数回繰り返して使用可能なショーツとする場合の耐洗濯性、乾燥性、装着感等の観点から、吸収層7は、親水性繊維を含有するシート71からなることが好ましい。
前記吸収層7を構成するシート71は、親水性繊維を含むシートである。親水性繊維を含むシートには、各種公知の製法による編布、織布、不織布が含まれるが、紙は含まれない。
好ましいシート71は編布又は織布であり、特に好ましいシート71は、編布である。不織布として好ましいシート71は、構成繊維の交絡のみで不織布の形態を維持しているもので、例えばスパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布等である。吸収層7にこのような不織布を用いることにより、吸収容量を維持しつつショーツ1の股下部分の剛性を低下させることができ、装着時の装着感を向上させることができる。但し、吸収層を構成するシート71として、ケミカルボンド、サーマルボンドなどの不織布を使うこともできる。
シート71に含まれる親水性繊維は、吸収層7に吸液性能を付与するものであり、親水性繊維としては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の疎水性の合成繊維に活性剤等により親水化処理を施したもの等、各種公知の親水性繊維が用いられるが、使用後に洗濯して再度利用可能なショーツを得る場合における、洗濯による吸収性能の低下を防止する観点から、シート71は、親水性繊維として、レーヨン繊維、コットン繊維、麻等のセルロース系繊維を含有することが好ましい。また、シート71が不織布の場合、織布や編布に比較して布を構成する繊維間の強度が弱くなるので、親水性繊維は、連続フィラメント又は繊維長30mm以上の繊維であることが耐洗濯性の点から好ましい。
シート71中の親水性繊維の含有率は50〜100%、特に80〜100%であることが好ましい。
シート71は、親水性繊維以外の繊維を含んでいても良く、親水性繊維以外の繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の疎水性合成繊維を挙げることができる。疎水性合成繊維を混在させることは、特に耐洗濯性を向上させることができるので好ましい。疎水性合成繊維を含有させる場合、親水性繊維を含有するシート71中の該合成繊維の含有率は0〜50%、特に0〜20%であることが好ましい。
本実施形態の失禁用ショーツ1は、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6それぞれの周辺領域が、上述した弾性シート21,31,41から形成されている。
そして、図2及び図4に示すように、ウエスト開口部5における弾性シート21,31は、その端縁22,32から所定幅の領域23,33が折り返されてその対向部位に接合されており、それにより、ウエスト開口部5の周方向Pの伸縮性が高められている。
また、図2及び図5に示すように、各レッグ開口部6,6それぞれにおける、弾性シート31も、それぞれの端縁36から所定幅の領域37が折り返されて対向部位に接合されており、それにより、各レッグ開口部6の周方向Qの伸縮性が高められている。
本明細書において「伸縮性が高まる(又は高められている)」とは、各開口部における弾性シート31の端縁から所定幅の領域33,37を折り返して接合した状態〔図4(b)及び図5(b)参照〕における、該開口部の周方向P,Qの伸縮性が、弾性シート31を折り返さない状態〔折り返す前の状態と同じ,図4(a)及び図5(a)参照〕における、同方向P,Qの伸縮性よりも高くなる(高くなっている)という意味である。
伸縮性が高まっているか否かは、例えば、折り返す前のシート端縁から所定幅の領域を切り出し、それをその長手方向に伸張させたときの伸張応力と、折り返した後の折り返し線から所定幅(折り返す前の切り出し幅と同じ幅とする)の領域を切り出し、それを同条件で伸張させたときの伸張応力とを比較して、折り返した後の折り返し線から所定幅の領域の方が大きい場合に、「伸縮性が高まる(又は高められている)」と判断する。
尚、各開口部の周辺領域は、各開口部の周方向の全域にわたって弾性シートから形成され、その周方向の全域において伸縮性が高められていることが好ましいが、各開口部の周方向の全体又は一部のみが弾性シートから形成され、その周方向の一部においてのみ伸縮性が高められていても良い。
ウエスト開口部5における弾性シート21,31の折り返し幅L1(図4参照)は、ウエスト回りのフィット性を確実に向上させる観点から3〜30mm、特に5〜25mmであることが好ましく、各レッグ開口部6,6における弾性シート31の折り返し幅L2(図5参照)は、レッグ回りのフィット性を確実に向上させる観点から3〜10mm、特に5〜8mmであることが好ましい。
また、弾性シートを折り返す方向は、ショーツの非肌対向面側(外面側)よりもショーツの肌対向面側(内面側)であることが好ましい。折り返し部分が積層されて2層をなす部分と、折り返し部分が積層されないそれ以外の部分との間に厚みの段差ができることで、腹部回りの過度の収縮が抑制され、腹部回りに快適な装着感が得られる。
また、折り返した部分をその対向部位(折り返しにより対向するようになった弾性シートの他の部位)に接合する接合手段としては、弾性収縮力を制限しにくい手段が好ましく、収縮力維持、加工容易の観点から特に縫合が好ましい。接着剤による接合は、収縮力を制限し易いため好ましくない。尚、図1,4,5中の符号51及び61は縫合に用いた糸を示す。
本実施形態で用いた弾性シート21,31,41は、何れもその面内に伸縮性に富む高伸縮方向と、該高伸縮方向に直交する方向で且つ該高伸縮方向よりも伸縮性に劣る低伸縮方向とを有するシートであり、より具体的には、図4に示すように、シート基材34と、シート基材34に固定されている複数本の弾性部材35とからなる。弾性部材35は、互いに平行に配されており且つそれぞれの配向方向の伸縮力が等しくなっている。弾性シート31(21,41も同様)の高伸縮方向は、弾性部材35の配向方向であり、低伸縮方向は、弾性部材35の配向方向に直交する方向である。
弾性部材35は、弾性シートそれぞれに、一方向に延びる複数本の平行な線状伸縮部(伸縮性を有する線状或いは細幅の領域)を形成している。線状伸縮部は、互いに平行に所定の間隔(例えば3〜10mm,好ましくは等間隔)で形成されており、線状伸縮部間は、伸縮性を有しないか又は線状伸縮部よりも伸縮性に劣る低伸縮領域となっている。
弾性シートとして、不織繊維層が伸縮性繊維を含む編糸によってステッチ縫合されてなる伸縮性不織布を好ましく用いることができる。この場合、不織繊維層が基材シートであり、伸縮性繊維を含む網糸が弾性部材である。弾性部材は、3次元的に見てほぼ直線状に配されていなくても良く、ステッチ縫合により一方向に線状伸縮部を形成しているようなものも含む。この場合、線状伸縮部が延びる方向が弾性部材の配向方向である。
不織繊維層が伸縮性繊維を含む編糸によってステッチ縫合されてなる伸縮性不織布としては、例えば特開2000−60900に記載の「不織繊維層が伸縮性繊維を含む編糸によってステッチ縫合されてなる不織布」を用いることができる。
前記不織繊維層は、構成繊維が絡合したものであり、その構成繊維としては、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロン、キュプラ、アクリル、レーヨン、綿等を用いることができる。その構成繊維は全て同種のものであっても、異種の繊維であってもよく、また、その構成繊維はフィラメント糸及び短繊維の何れであってもよい。
前記伸縮性繊維とは、低粘度ポリマーと高粘度ポリマーとの組合せによる複合紡糸捲縮繊維、異種ポリマーの組合せによる複合紡糸捲縮繊維、バイメタル構造による複合紡糸捲縮繊維などや、捲縮加工によるカサ高加工糸、高伸縮性を有するゴム糸(ラテックス)、ポリウレタン弾性糸等をいう。
前記編糸は、このような伸縮性繊維を含むものであり、該編糸は、伸縮性繊維を裸糸として用いてもよいし、また、他の天然繊維、合成繊維等によって被覆されていてもよい。
伸縮性繊維を含む編糸と他の繊維とを交編することも好ましい。交編糸としては合成繊維フィラメント糸、被覆弾性糸等を好ましく用いることができる。交編糸の不織布全体における含有率は30%以上65%以下の範囲が好ましい。本明細書において「%」は特に明記しない限り重量%である。
前記伸縮性不織布の編組織は、複数おさ、例えば、2枚おさ(2バー)又は3枚おさ(3バー)を使用して、伸縮性繊維と交編糸を編成してなるものが好ましい。具体的には、タテ方向に伸びが大きな鎖編、ヨコ方向の伸びが得られる1〜2針振り編、タテ・ヨコ両方向に伸びが得られるサテン編やアトラス編等を採用することができる。
前記ステッチ縫合とは、伸縮性繊維が表糸(フロントバー又はL1)として、一方、編糸が裏糸(バックバー又はL2)として、不織繊維層を狭持する状態のことをいう。ステッチ縫合には、例えば市販のラッセル経編機を用いることができる。ステッチ縫合前の不織繊維層としては、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布等を用いることができる。
前記伸縮性不織布は、例えば、構成繊維として単繊維デニールが0.1デニール以上3.5デニール以下の範囲にあるポリエステルフィラメント糸を用い、スパンボンド式で坪量(目付)が15g/m2以上50g/m2 以下の範囲にある原不織布を得、該原不織布を伸縮性繊維を含む編糸と交編糸でステッチ縫合することによって得ることができる。
本実施形態の失禁用ショーツ1においては、前身頃2、後身頃3及び股下部4を形成する各弾性シート21,31,41は、何れもその高伸縮方向(弾性部材の配向方向)がショーツの幅方向(図2の左右方向)に一致している。
即ち、ウエスト開口部5の周辺領域を形成する弾性シート21,31は、それぞれの高伸縮方向(弾性部材の配向方向)が前身頃2及び後身頃3それぞれの幅方向に一致するように配されており且つ該ウエスト開口部5において折り返された所定幅の領域23,33は該前身頃2及び該後身頃3の幅方向に直交する方向に折り返されている。これにより、ウエスト開口部5の開口周縁部の周方向の伸縮性を効率的に向上させることができる。
また、レッグ開口部6の周辺領域を形成する弾性シート21,31,41は、前身頃2及び後身頃3に位置する部分において、それぞれの高伸縮方向(弾性部材の配向方向)が前身頃2及び後身頃3それぞれの幅方向に一致するように配されており且つ該レッグ開口部6において折り返された前記所定幅の領域37は、その高伸縮方向が前身頃2及び後身頃3それぞれの幅方向及び該幅方向に直交する方向の何れにも一致しないように折り返されている。これにより、レッグ開口部6の開口周縁部の周方向の伸縮性を効率的に向上させることができる。
高伸縮方向と低伸縮方向とを有する前記弾性シートの前記低伸縮方向は、伸縮性を有しない場合と伸縮性を有するがその程度が高伸縮方向よりも小さい場合の両者を含む。また、高伸縮方向は、低伸縮方向よりも伸縮性が高ければ良い。
弾性シート21,31,41、特に後身頃3を形成する弾性シート31は、ショーツの長手方向(図2の上下方向)にも伸縮性を有することが好ましい。特に、弾性シートがショーツ長手方向に伸縮すると、座位時(立位から座位への姿勢変化の際)の臀部皮膚の上下方向の伸びに弾性シートが追随し、座位時における、後身頃3側のウエスト開口部端のズレ落ちを効果的に防止することができる。
また、ウエスト開口部5において折り返された弾性シート21,31の前記所定幅の領域23,33は、図4(b)に示すように、該領域23,33内の弾性部材35aと、該領域を重ねて接合する部位内の弾性部材35bとが、前身頃2及び後身頃3それぞれの幅方向Pに直交する方向(図4の上下方向)に交互に配されるように折り返されている。斯かる構成により、ウエスト開口部の周方向に直交する方向の各部位における該開口部の周方向の伸縮力が均等化されるので、着用者に対する局所的な過度の締め付けを防止することができる。
前身頃2及び後身頃3において各レッグ開口部6の周辺領域を形成する弾性シート21,31は、折り返した部分における該シートの高伸縮方向(弾性部材の配向方向)と折り返した部分以外における該シートの高伸縮方向(弾性部材の配向方向)とのなす角度α〔(図5(b)参照〕が、30°以上90°未満、特に45°以上80°未満であることが、動きに対して良好に追従可能な優れたフィット性が得られる観点から好ましい。
本実施形態の失禁用ショーツ1は、図2に示すように、サニタリーショーツを展開した状態において、吸収層7の長手方向の両端部72,73が、それぞれ、レッグ開口部の長手方向の両端部62,63の位置よりもショーツ長手方向の中央部側に位置している。吸収層7は、レッグ開口部の収縮を阻害する要因になるが、このような構成により、レッグ開口部に収縮可能な領域を確実に確保することができ、レッグ回りに優れたフィット性を得ることができる。
吸収層7の全長L3(図2参照)は、レッグ開口部の長手方向の両端部62,63間の距離L4(図2参照)に対する比(L3/L4)が0.5〜0.9、特に0.6〜0.8であることが、防漏性能とレッグ回りのフィット性を両立する観点から好ましい。また、吸収層7の全長L3は120〜300mmであり、吸収層7の股下部4における最小幅W(図3参照)が80〜110mmであることが、防漏性能と履き心地を両立させる観点から好ましい。また、吸収層7は、中央部が括れた形状、特に瓢箪形状であることが、フィット性及び履き心地の向上の観点から好ましい。
本実施形態における防漏層8は、股下部4を構成する弾性シート41の肌対向面側に、液不透過性で且つ透湿性の防漏シート81を配して形成されている。
防漏シート81としては、使い捨ておむつ等の裏面シート等として従来用いられている各種公知の透湿性シートを用いることができ、例えば、微多孔性フィルム、ポリウレタンやポリエステルフィルムのような拡散性を利用した無孔性透湿フィルム等が挙げられる。微多孔性フィルムは、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は前記熱可塑性樹脂と相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる。
尚、防漏シート81の透湿度は、JIS Z 0208に従い測定された透湿度の値が1.0g/(100cm2・hr)以上であることが好ましい。
本実施形態における弾性シート41、吸収層7(シート71)及び防漏シート81は、平面視して同形をしており、それぞれの前後端42,43及び両側縁44,44において縫合により厚み方向に一体化されており、それぞれの前後端42,43は、前身頃2及び後身頃3の弾性シート21,31にも縫合されている。即ち、吸収層7(シート71)は、その周縁部に形成された縫合部においてのみショーツ本体10に接合されている。
このような構成を有するため、股間部の違和感を低減し、優れた装着感を達成できる。特に、接着剤等で吸収層7の全域或いは一部をショーツ本体に接合する場合と比べると、違和感低減効果が極めて高い。
本実施形態の失禁用ショーツ1は、弾性シートを折り返して接合することで、ウエスト開口部及びレッグ開口部の周方向の伸縮性を高めてあるため、弾性シートに別の伸縮部材を取り付けて各開口部に伸縮性を付与する場合に比べて、製造工程の簡略化、使用部材の削減、製造コストの低減等を図ることができる。
また、弾性シートとして、シート基材34と、シート基材34に固定されている複数本の弾性部材35とからなる弾性シートを用いているため、弾性部材35の収縮によりシート基材34は細かな凹凸を形成し、着用時に着用者の肌に密着しない。これにより肌への過剰な接触によるムレ、かぶれ等のトラブルを防止できる。また、そのような弾性シートとして、特に複数本の弾性部材35が、互いに平行に配されており且つそれぞれの配向方向の伸縮力が等しいものを用いているため、一枚の原反の任意の位置から弾性シートを切り出してショーツ1の製造に用いることができる。そのため、単位面積当たりから切り出せる弾性シートの数を大幅の増加させることができ、加工簡易性、廃棄物削減、製造コストの低減等の観点から好ましい。
シート基材34としては、編物、織物、不織布又はこれらを組み合わせたもの等、使い捨ておむつやショーツ等の衣類に一般的に用いられている各種の素材を用いることができる。シート基材34に固定される弾性部材35としては、糸ゴム、平ゴム、弾性フィルム等、使い捨ておむつやショーツ等の衣類に用いられている各種の素材を用いることができる。シート基材34に対する弾性部材35の固定方法は、特に制限されるものではないが、接着剤、熱融着、超音波融着、縫合等を挙げることができ、風合い、収縮性の観点から縫合が好ましい。
尚、シート基材34と、シート基材34に固定されている複数本の弾性部材35とからなる弾性シートとしては、東レ・デュポン社性の「MEXLAR」を好ましく用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されない。
例えば、上記の実施形態においては、股下部4を形成する弾性シート41の肌対向面側に別体の防漏シート81を配して防漏層8が形成されていたが、これに代えて、弾性シート41の肌対向面又は非肌対向面に、溶融樹脂をラミネートして防漏層8を形成することもできる。また、弾性シート21,31,41は、連続する一枚のシートであっても良い。また、股下部4を形成する弾性シート41は、その高伸縮方向をおむつの幅方向に一致させるのに代えて、長手方向に一致させるようにしても良い。
本発明のサニタリーショーツは、失禁用のショーツの他に、生理用のショーツであっても良く、生理用ショーツは、公知の生理用ナプキン又はライナーを内表面に固定して使用しても良いし、単独で使用しても良い。
本発明の一実施形態としての失禁用ショーツを示す斜視図である。 図1に示す失禁用ショーツの展開状態を非肌対向面側からみた平面図である。 図2のX−X線断面図である。 図4は、図2における符号Aで示す円内を拡大して示す図で、(a)は弾性シートを折り返す前の状態を示し、(b)は弾性シートを折り返して接合した状態を示す図である。 図5は、図2における符号Bで示す円内を拡大して示す図で、(a)は弾性シートを折り返す前の状態を示し、(b)は弾性シートを折り返して接合した状態を示す図である。
符号の説明
1 失禁用ショーツ(サニタリーショーツ)
2 前身頃
21 前身頃を形成する弾性シート
3 後身頃
31 後身頃を形成する弾性シート
4 股下部
41 股下部を形成する弾性シート
7 吸収層
8 防漏層
51,61 縫合用の糸

Claims (2)

  1. 前身頃、後身頃及びこれら両者間に位置する股下部を有し、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているサニタリーショーツであって、
    前記股下部は吸収層を有し、サニタリーショーツの展開状態において、該吸収層の長手方向の両端部が、それぞれ、前記レッグ開口部の長手方向の両端部の位置よりもショーツ長手方向の中央部側に位置しており、該ショーツ長手方向における、該吸収層の長手方向の両端部それぞれより外方に位置する部分が前記前身頃及び前記後身頃であり、
    少なくともウエスト開口部及びレッグ開口部それぞれの周辺領域が弾性シートから形成されており、該各開口部における該弾性シートの端縁から所定幅の領域が、該各開口部の周方向の伸縮性が高まるように折り返されて接合されており、
    前記弾性シートは、シート基材と、シート基材に固定されている複数本の弾性部材とからなり、前記弾性部材は、互いに平行に配されており且つそれぞれの配向方向の収縮力が等しく、
    前記弾性シートは、前記弾性部材の配向方向と平行で伸縮性に富む高伸縮方向と、該高伸縮方向に直交する方向で且つ該高伸縮方向よりも伸縮性に劣る低伸縮方向とを有しており、
    前記ウエスト開口部の周辺領域を形成する前記弾性シートは、前記高伸縮方向が前記前身頃及び前記後身頃それぞれの幅方向に一致するように配されており且つ該ウエスト開口部において折り返された前記所定幅の領域は該前身頃及び該後身頃の幅方向に直交する方向に折り返されており、
    前記前身頃及び前記後身頃において前記レッグ開口部の周辺領域を形成する前記弾性シートは、前記弾性部材の配向方向が、前記前身頃及び前記後身頃それぞれの幅方向に一致するように配されており且つ該レッグ開口部において折り返された前記所定幅の領域における前記弾性部材が、該レッグ開口部の周縁端からショーツ幅方向内方に向かうに連れて前記ウエスト開口部に近づくように傾斜しており、
    前記前身頃及び前記後身頃において前記レッグ開口部の周辺領域を形成する前記弾性シートは、折り返された前記所定幅の領域における前記弾性部材の配向方向と、折り返した部分以外における前記弾性部材の配向方向とのなす角度αが45°以上80°未満である、サニタリーショーツ
  2. 前記ウエスト開口部において折り返された前記所定幅の領域は、該領域内の弾性部材と、該領域を重ねて接合する部位内の弾性部材とが、前記前身頃及び前記後身頃の幅方向に直交する方向に交互に配されるように折り返されている請求項記載のサニタリーショーツ。
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