JP4072206B2 - 導電性オリゴマーを介して核酸に連結させた電極 - Google Patents

導電性オリゴマーを介して核酸に連結させた電極 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、導電性オリゴマーを介して電極に共有結合させた核酸に関する。より具体的には、本発明は、新規の生体適合物質を生産するために核酸を電子伝達部と電極で部位選択的修飾すること、およびその製法および使用法に関する。
発明の背景
特定の核酸の検出は、診断医学および分子生物学の研究にとって重要なツールである。遺伝子プローブアッセイは、目下、細菌やウイルスなどの感染性の生物体の同定、正常遺伝子の発現の調査、腫瘍遺伝子などの変異遺伝子の同定、組織移植前の適合性についての組織分類、法医学のための組織または血液サンプルのマッチング、そして異種由来遺伝子間の相同性診査という役割を果たしている。
理想的には、遺伝子プローブアッセイは、高感度で特異的であり、かつ容易に自動化できる(確認のため、Nickerson,Current Opinion in Biotechnology 4:48-51(1993)参照)。感度(即ち、低検出限界)要件は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やその他の増幅技術の開発により大きく緩和され、これにより研究者らは分析前に特定の核酸配列を指数的に増幅することが可能になった(確認のため、Abramson et al.,Current Opinion in Biotechnology,4:41-47(1993)参照)。
反対に、特異性については、現在利用できる多くの遺伝子プローブアッセイにおいて問題が残ったままである。プローブと標的との間の分子相補性の度合いが相互作用の特異性を決める。ハイブリダイゼーション媒質中のプローブ、標的および塩の濃度、反応温度、およびプローブの長さを変えると、プローブ/標的相互作用の特異性に変化または影響を与えることができる。
ある程度限られた環境下では、完全な相補性を持つ標的とミスマッチを持つ標的とを区別することが可能な場合もあるが、これは、古典的な技術を使用する場合、反応条件の些細な変化がハイブリダイゼーションに変化を与えるため、一般に非常に困難である。標準的なプローブを用いてミスマッチを検出するための新らしい実験技術には、1つの点ミスマッチがライゲーションを妨げるDNAライゲーションアッセイやミスマッチがプローブ切断部位を与えるプローブ消化アッセイがある。
最終的に、遺伝子プローブアッセイの自動化は、現今の技術が欠いている領域を残したままである。このようなアッセイは、一般に、標識化プローブの標的配列へのハイブリダイゼーション、続く、ハイブリダイズしなかった遊離のプローブの分離に頼るものである。この分離は、一般に、ゲル電気泳動または固相捕獲と標的DNAの洗浄によって為され、一般に、手軽に自動化するのはかなり困難である。
これらの分離工程には時間がかかるという性質から、2つの別個の開発手段が導かれた。1つは、高速高処理量自動化電気泳動や他の分離技術の開発である。もう1つは、非分離の均一系遺伝子プローブアッセイである。
PCT出願WO/95/15971、PCT/US96/09769およびPCT/US97/09739には、電極を含む電子伝達部を含有する核酸からなる新規組成物が記載されている。核酸ハイブリダイゼーションの新規検出法を与えている。
発明の概要
従って、本発明の目的は、核酸検出のための改良組成物および方法を提供することである。
一態様では、本発明は、(a)電極を含む第1の電子伝達部;(b)第1の一本鎖核酸;(c)第1の核酸に共有結合させた第2の電子伝達部;および(d)電極と第1の核酸の両方に共有結合させた導電性オリゴマーを含む組成物を提供する。
更なる態様では、本発明は、(a)電極を含む第1の電子伝達部;(b)第1の一本鎖核酸;(c)電極と第1の核酸の両方に共有結合させた導電性オリゴマー;および(d)第2の一本鎖核酸に共有結合させた第2の電子伝達部を含む組成物を提供する。
一態様では、導電性オリゴマーは、式:
Figure 0004072206
式中、
Yは芳香族基であり;
nは1から50の整数であり;
gは1または0のいずれかであり;
eは0から10の整数であり;そして
mは0または1であって;
式中、gが1のとき、B−Dは共役結合であり;
式中、gが0のとき、eは1であり、Dは好ましくはカルボニルまたはヘテロ原子部分であり、そのヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素、ケイ素またはリンから選択される、を持つ。
別の態様では、導電性オリゴマーは、式:
Figure 0004072206
式中、
nは1から50の整数であり;
mは0または1であって;
Cは炭素であり;
Jはカルボニルまたはヘテロ原子部分であり、そのヘテロ原子は、酸素、窒素、ケイ素、リン、硫黄から選択され;
Gはアルカン、アルケンまたはアセチレンから選択される結合である、を持つ。
更なる態様では、本発明は、核酸サンプル中の標的配列を検出する方法を提供する。この方法は、第1の入力シグナルをハイブリダイゼーション複合体に適用し、電子伝達を検出することからなる。ハイブリダイゼーション複合体は、あるとすれば標的配列と、少なくとも第1プローブ核酸を含む。プローブ核酸は、共有結合した導電性オリゴマーを含む。導電性オリゴマーは、また電極を含む第1の電子伝達部にも共有結合している。更に、ハイブリダイゼーション複合体は、共有結合した第2の電子伝達部を持つ。
一態様では、導電性オリゴマーは、式:
Figure 0004072206
を持つ。
一態様では、第1入力シグナルは、交流素子および非ゼロ直流素子を含む。
別の態様では、第1入力シグナルは、第1周波数の交流素子および非ゼロ直流素子を含み、その方法は、更に少なくとも第2周波数の交流素子と非ゼロ直流素子を含む第2入力シグナルを適用することからなる。
更なる態様では、第1入力シグナルは、交流素子と第1非ゼロ直流素子からなり、その方法は、更に交流素子と第2非ゼロ直流素子を含む第2入力シグナルを適用することからなる。
別の態様では、第1入力シグナルは、第1電圧振幅の交流素子からなり、その方法は、更に第2電圧振幅の交流素子を含む第2入力シグナルを適用することからなる。
別の態様では、本発明は、本発明の組成物の製法を提供する。この方法は、導電性オリゴマーを核酸に結合させ、そしてその導電性オリゴマーを該電極に結合させることからなる。これらの工程は、任意の順序で為される。
更なる態様では、本発明は、ヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマー組成物を提供するものであり、該導電性オリゴマーは、式:を持ち、
Figure 0004072206
式中、
nは1から50の整数であり;
mは0または1であり;
Cは炭素であり;
Jはカルボニルまたはヘテロ原子部分であって、そのヘテロ原子は、酸素、窒素、ケイ素、リン、硫黄からなる群から選択され、そして、
Gはアルカン、アルケンまたはアセチレンから選択される結合であり、m=0ならば少なくとも1つのGはアルカンではない、
からなる群から選択される。
別の態様では、本発明は、(a)不動態化剤の単層からなる固体支持体;(b)少なくとも1つのヌクレオシドを含む核酸からなる組成物を提供し、該核酸は:
Figure 0004072206
式中、
nは1から50の整数であり;
mは0または1であり;
Cは炭素であり;
Jはカルボニルまたはヘテロ原子部分であって、そのヘテロ原子は酸素、窒素、ケイ素、リンまたは硫黄からなる群から選択され;
Gはアルカン、アルケンまたはアセチレンから選択される結合であり、m=0ならば、少なくともGはアルカンではない
から選択される群から選択されるリンカーで該固体支持体に共有結合している。
別の態様では、本発明は、(a)電極;(b)少なくとも1つのメタロセン;そして(c)該電極および該メタロセンの両方に共有結合した導電性オリゴマーからなる組成物を提供し、該導電性オリゴマーは:
Figure 0004072206
からなる群から選択される。
更なる態様では、本発明は、ペプチド核酸のサブユニットのα炭素に共有結合させた少なくとも1つの化学置換基を持つペプチド核酸を提供する。
別の態様では、本発明は、ペプチド核酸の内部サブユニットに共有結合させた少なくとも1つの化学置換基を持つペプチド核酸を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、アミド結合を介してウリジンヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図2は、アミン結合を介してウリジンヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーを共有結合するための合成スキームを示す。
図3は、塩基を介してウリジンヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図4は、リボース−ホスフェート主鎖のホスフェートを介してヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーの合成スキームを示す。導電性オリゴマーは、フェニル−アセチレン構造5オリゴマーであるが、他のオリゴマーを使用してもよく、本明細書に記載のとおり、金電極を結合させるために末端はエチルピリジン保護基で終わる。
図5は、アミド結合とエチレンリンカーを用い、リボース−ホスフェート主鎖のホスフェートを介してヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーの合成スキームを示すが、別のリンカーを使用してもよい。導電性オリゴマーは、フェニル−アセチレン構造5オリゴマーであるが、他のオリゴマーを使用してもよく、本明細書に記載のとおり、金電極を結合させるために末端はエチルピリジン保護基で終わる。
図6は、置換基を持つ芳香族基含有導電性ポリマーの合成スキームを示す。導電性オリゴマーは、各フェニル環上に単一メチルR基を持つフェニル−アセチレン構造5オリゴマーであるが、他のオリゴマーを使用してもよく、本明細書に記載のとおり、金電極を結合させるために末端はエチルピリジン保護基で終わる。
図7は、電極に導電性ポリマーを介して結合させたメタロセン、この場合はフェロセンの合成スキームを示す。導電性オリゴマーは、フェニル−アセチレン構造5オリゴマーであるが、他のオリゴマーを使用してもよく、本明細書に記載のとおり、金電極を結合させるために末端はエチルピリジン保護基で終わる。
図8は、交流振幅200mVおよび周波数1、5および100Hzで、C16アルカン分子(絶縁体1)に結合させたモデル化合物のフェロセンを示す。サンプルは、3種の周波数全てで、周波数を高めるとより高い電流で応答する。
図9Aおよび9Bは、様々な周波数での応答を示す。図9Aは、フェロン導電性オリゴマーモデル複合体(ワイヤ−2)で被覆した電極のオーバーレイボルタモグラム(overlaid voltammograms)を示す。4種の励起周波数、10Hz、100Hz、1kHzおよび10kHzを全て25mV過電圧で適用した。ここでも、周波数に応じて電流を上げる。図9Bは、ssDNAまたはdsDNAのいずれかで被覆した電極のオーバーレイボルタモグラムを示す。ssDNAは、100mV過電圧で1Hzおよび10Hzにかけた(低部の2つのライン)。dsDNAは、10mV過電圧で1、10、50および100Hzにかけた(上部の4つのライン)。図8と図9Aおよび9Bとは、そのスケールが異なることに留意されたい。
図10は、これらのシステムの周波数応答を示す。多くの周波数でのピーク電流を測定し、プロットした。サンプル3(黒塗り三角)は、10kHz(システム限界)まで高めた周波数に応答したが、サンプル1(白丸)は、および2(黒丸)は、20から200Hzで応答がなくなった。このデータは、周波数の上昇に付随する電流の上昇という形には正規化しなかった。
図11は、25mV過電圧でのssDNA(白丸;サンプル5)およびdsDNA(黒丸;サンプル6)の周波数応答を示す。電流の正規化は行わなかった。曲線はデータに適合しておらず、むしろ、これらはRCサーキットのモデルであって、つまり、データをかかる曲線に適合させ得ること、かつこのシステムが実際は擬似標準RCサーキットであることを例示している。上側の曲線は、500ohm抵抗器および0.001ファラドコンデンサーを用いてモデル化した。下側の曲線は、20ohm抵抗器および0.002ファラドコンデンサーを用いてモデル化した。
図12は、過電圧の上昇が出力電流を高めることを示す。
図13Aおよび13Bは、サンプル1を用いて、選択性および感度を高めるために過電圧および周波数を同調させ得ることを例示している。
図14は、溶液に加えたフェロセン(サンプル7;白丸)が、拡散に関連する周波数応答を持ち、結合させたフェロセン(サンプル3;黒丸)と容易に識別できることを示す。
図15Aおよび15Bは、異なるサンプルで生じる位相シフトを示す。図15Aは、サンプル1、サンプル3およびサンプル4の2つの実験を用いる。図15Bは、サンプル5およびサンプル6を用いる。
図16は、ZリンカーとしてCH2基を用い、アミン結合を介してウリジンヌクレオシドに共有結合させた導電性オリゴマーの合成スキームを示す。化合物C4は、本明細書および図1で概略説明したようにして伸長させることができる。図17A、17B、17C、17D、17E、17Fおよび17Gは、本明細書に概略説明した技術を用いて合成した、塩基(A−D)または主鎖のリボース(E−G)のいずれかにより結合させた他の導電性オリゴマーを示す。図17Hは、フェロセンに結合させた導電性オリゴマーを示す。当業者には理解されるとおり、これらの化合物は、CPG基、ホスホルアミダイト基を含有するもの、またはいずれも含有しないものとして示されているが、これらは全て任意のものであってよい。
図18は、塩基に結合させた4つの単位導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図19は、塩基に結合させた4つの単位導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図20は、塩基を介して結合させた5つの単位ワイヤを合成する際のトリメチルシリルエチル保護基の使用を示す。
図21は、リボースを介して結合させた5つの単位ワイヤを合成する際のトリメチルシリルエチル保護基の使用を示す。
図22Aおよび22Bは、典型的な電子化学論に基づく刺激(図22B)およびここで開発した刺激モデル(図22A)を示す。
図23Aおよび23Bは、理論モデルでプロットした実験データを示す、良好な相関関係を示している。実施例7のFc−ワイヤは、10Hz(図23A)および100Hz(図23B)として使用した。
図24は、PNAに組込むためのアデニンの保護および誘導体化の合成スキームを示す。
図25は、PNAに組込むためのシトシンの保護および誘導体化の合成スキームを示す。
図26は、PNAに組込むためのグアニンの保護および誘導体化の合成スキームを示す。
図27は、PNAに組込むためのチミンの保護および誘導体化の合成スキームを示す。
図28A、28B、28C、28Dおよび28E。図28Aは、PNA単量体サブユニットを作るための合成スキームを示す。図28B−28EはPNA単量体を示す。
図29は、増殖中のPNAに組込む場合の、ウラシル塩基に共有結合させたフェロセンを持つPNA単量体サブユニットの合成スキームを示す。
図30は、PNA単量体サブユニットの塩基に共有結合させた3つの単位導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図31は、PNA単量体サブユニットの主鎖に共有結合させた3つの単位導電性オリゴマーの合成スキームを示す。
図32は、PNA単量体サブユニットの主鎖に共有結合させたフェロセンの合成スキームを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、電子伝達が、明らかに二本鎖(ハイブリダイズした)核酸の複素環式塩基の積み重なったπ軌道(“π-ウェイ”)を通って進行するというこれまでの発見を利用するものである。この発見は、電子伝達部を含む核酸を核酸プローブとして使用することを可能にする。その全体を出典明示により本明細書の一部とするPCT公開WO95/15971、およびその引用文献を参照。この刊行物には、レドックス(酸化還元)活性部分、即ち、電子供与体および受容体部分での核酸の部位選択的修飾が記載されており、二本鎖核酸を通る長距離電子伝達が可能である。一般に、電子供与体と受容体間の電子伝達は、核酸が一本鎖であるときは評価できるような速度で起こらず、ヌクレオチド塩基対が二重らせん構造中の電子供与体と受容体の間の二本鎖配列に存在しない限りは、評価できる程度には起こらない。従って、PCT公開WO95/15971と本発明は、サンプル内の標的配列を検出するためのプローブとして、電極を含む電子伝達部を持つ核酸の使用に関する。
一実施態様では、本発明は、分子生物学および診断医学において有用な新規遺伝子プローブを提供する。この実施態様では、予め決定された配列を持つ一本鎖核酸と、電極を含む共有結合電子伝達部を合成する。この配列は、既知の標的配列に基づいて選択し、相補性標的配列に対するハイブリダイゼーションが電子供与体と電子受容体の間の領域で起こるならば、電子伝達が評価可能かつ検出可能な速度で進行するようにする。そのため、本発明は、標識化遺伝子プローブの新規形態として、広範囲の総括的な用途を持つ。加えて、本発明のプローブは、未ハイブリダイズプローブを除去することなく標的配列の検出を可能にする。このため、本発明は、自動化遺伝子プローブアッセイまたは実地試験に非常に適している。
本発明は、下記構造1に示した一般構造を持つ、導電性オリゴマーを介して電極に共有結合させた核酸を含む改良組成物を提供する:
Figure 0004072206
構造1では、左側の斜線部分が電極を表す。Xは、本明細書で定義する導電性オリゴマーである。F1は電極と導電性オリゴマーの共有結合を可能にする、上記のような結合、原子またはリンカーなど連結であり、例えば、“A”として下記定義している。F2は、導電性オリゴマーの核酸への共有結合を可能にする連結であり、本明細書に記載した結合、原子、または連結であり得る。F2は、導電性オリゴマーの部分または核酸の部分であり得る。また、両方とは異なるもの、例えば、“Z”のところで定義したようなものでもあり得る。
本明細書の“核酸”または“オリゴヌクレオチド”または文法的均等物は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有するが、ある場合では、下記概略説明するとおり、別の主鎖を持ち得る核酸類似体が含まれ、例えば、ホスホルアミド(Beaucage et al.,Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびその中の文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzl et al.,Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsinger et al.,Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawai et al.,Chem.Lett.805(1984),Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);およびPauwels et al.,Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Mag et al.,Nucleic Acids Res.19:1437(1991);and米国特許第5,644,048)、ホスホロジチオエート(Briu et al.,J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−-メチルホスホロアミダイト連結(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Press参照)、およびペプチド核酸主鎖および連結(Egholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992);Meier et al.,Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlsson et al.,Nature 380:207(1996)、出典明示により本明細書の一部とする)を含む。その他の類似核酸にはポジティブ主鎖(Denpcy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995));非イオン性主鎖(米国特許第5,386,023、5,637,684、5,602,240、5,216,141および4,469,863;Kiedrowshi et al.,Angew.Chem.Int.Ed.English 30:423(1991);Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsinger et al.,Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);Chapters 2 and 3,ASC Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisensse Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cook;Mesmaeker et al.,Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395(1994);Jeffs et al.,J.Biomolecular NR 34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))および非リボース主鎖を持つものを含み、米国特許第5,235,033および5,034,506やChapters 6 and 7,ASC Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cook.に記載のものがある。1以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の定義(Jenkins et al.,Chem.Soc.Rev.(1995)pp169-176)内に含まれる。幾つかの核酸類似体は、Rawls,C.& E News June 2,1997,35頁に記載されている。これらの文献は全て、はっきりと出典明示により本明細書の一部に組込まれている。リボースホスフェート主鎖をこのように修飾して、電子伝達部の付加を助長し、または生理学的環境におけるかかる分子の安定性および半減期を高めることができる。
当業者には理解されるように、これらの核酸類似対は全て、本発明において使用できる。更に、天然の核酸と類似体との混合物を、例えば、導電性オリゴマーまたは電子伝達部結合部位で作成することができ、類似構造を使用してもよい。あるいは、異なる核酸類似体の混合物および天然核酸および類似体の混合物を作成することもできる。
特に好ましくは、ペプチド核酸類似体を含むペプチド核酸(PNA)である。これらの主鎖は、天然の核酸のホスホジエステル主鎖が高度に荷電しているのに対し、中性条件下で実質的に非イオン性である。第1に、PNA主鎖は、ハイブリダイゼーション動態の向上を示す。PNAは、ミスマッチ 対 完全マッチ塩基対の場合、融解温度(Tm)で大きな変化を持つ。DNAおよびRNAは、典型的に、内部ミスマッチの場合、融解温度を2−4℃下げた。非イオン性PNA主鎖の場合は、7−9℃近く低下する。これによりミスマッチをうまく検出できる。同様に、その非イオン的性質のため、これらの主鎖に結合した塩基のハイブリダイゼーションは、相対的に塩濃度に対して鈍感である。このことは、還元塩ハイブリダイゼーション溶液が生理的塩溶液よりも低いファラデー電流を持つ(150mMの範囲)ため、本発明のシステムでは特に有利である。
核酸は、明記のとおり一本鎖または二本鎖であるか、または二本鎖または一本鎖配列両方の部分を含有できる。核酸は、DNA、ゲノムDNAおよびcDNAの両方、RNAまたはハイブリッドであることができ、このとき、核酸は、デオキシリボおよびリボヌクレオチドの組合わせや、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサニン、ヒポキサニン、イソシトシン、イソグアニン等を含む塩基の組合せを含有している。本明細書で使用する“ヌクレオシド”の用語には、ヌクレオチドおよびヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、アミノ修飾ヌクレオシドなどの修飾ヌクレオシドがある。更に“ヌクレオシド”は、非天然の類似体構造を含む。そのため、例えば、塩基をそれぞれ含有するペプチド核酸の個々の単位は、本明細書ではヌクレオシドとして表す。
ヌクレオシドおよび核酸は、導電性オリゴマーに共有結合させる。“導電性オリゴマー”とは、実質的に導電性のオリゴマー、好ましくは直鎖状を意味し、その実施態様の幾つかは、文献中に“分子ワイヤ”として表されている。“実質的に導電性”とは、導電性オリゴマー中の電子伝達速度が一本鎖核酸中の電子伝達速度よりも速いことを意味し、そのため、導電性オリゴマーはハイブリダイゼーション検出における律速段階ではないが、下記のとおり、律速段階であるスペーサーを使用するシステムもまた許容できる。別記のとおり、導電性オリゴマーの耐性は核酸よりも低い。好ましくは、導電性オリゴマー中の電子伝達速度は、二本鎖核酸中、即ち、二重らせんの積み重なったπ軌道中の電子伝達速度よりも速い。一般に、導電性オリゴマーは、導電性オリゴマーの単量体単位間として実質的に重複するπ軌道、即ち共役π軌道を持つが、導電性オリゴマーは1以上のシグマ(σ)結合を含有してもよい。更に、導電性オリゴマーは、それが電子を結合核酸へ注入するまたは結合核酸から受け取る能力で機能的に定義できる。更に、導電性オリゴマーは、本明細書に定義する絶縁体よりも導電性が高い。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、約10-6から約104Ω-1cm-1の導電率Sを持ち、約10-5から約103Ω-1cm-1が好ましく、これらのS値は、約20Åから約200Åの範囲の分子について算出する。下記のように、絶縁体は、約10-7Ω-1cm-1またはそれ以下の導電率Sを持ち、約10-8Ω-1cm-1が好ましい。総括的に、出典明示により本明細書の一部とするGardner et al.,Sensors and Actuators A 51(1995)57-66参照。
導電性オリゴマーの望ましい特性には、高い導電率、本発明の組成物を合成および使用する場合の有機溶媒および/または水における十分な溶解度および、好ましくは、i)核酸合成(導電性オリゴマーを含有するヌクレオシドを本発明の組成物の合成に際して核酸合成機に加えることができるように)中、ii)電極に導電性オリゴマーを結合させる間、またはiii)ハイブリダイゼーションアッセイ中に起こる反応に対する化学耐性がある。
本発明のオリゴマーは、本明細書に記載のように、少なくとも2つの単量体サブユニットを含む。下記により詳しく説明するが、オリゴマーには、ホモおよびヘテロオリゴマーがあり、ポリマーも含む。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、構造2に示した構造を持つ:
Figure 0004072206
当業者には理解されるとおり、ここに示した構造は全て、更なる原子または構造を持ち、即ち、構造2の導電性オリゴマーは、電子伝達部、例えば、電極、遷移金属錯体、有機電子伝達部およびメタロセンに、および核酸またはこれら数種に結合させることができる。特記しない限り、ここに示した導電性オリゴマーはその左側で電極に結合させる。つまり、構造2の場合は、左側の“Y”を本明細書に記載の電極につなげ、右側の“Y”は、存在するならば、直接的にまたは本発明に記載のリンカーを用いて核酸に結合させる。
本実施態様では、Yは芳香族基であり、nは1から50の整数であり、gは1または0のいずれかであり、eは0から10の整数であり、mは0または1である。gが1のとき、B−Dは、共役結合であり、好ましくは、アセチレン、アルケン、置換アルケン、アミド、アゾ、−C=N−(−N=C−、−CR=N−および−N=CR−を含む)、−Si=Si−および−Si=C−(−C=Si−、−Si=CR−および−CR=Si−)から選択される。gが0のとき、eは好ましくは1であり、Dは好ましくはカルボニルまたはヘテロ原子部分であり、このヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素、ケイ素またはリンから選択される。そのため、適切なヘテロ原子部分には、−NHおよび−NR、式中、Rは本明細書に定義のとおりである;置換硫黄;スルホニル(−SO2−)スルホキシド(−SO−);酸化ホスフィン(−PO−および−RPO−);およびチオホスフィン(−PS−および−RPS−)があるが、これらに限定されない。しかしながら、下記に概略説明するとおり、導電性オリゴマーを金電極に結合させるような場合、硫黄誘導体は好ましくない。
“芳香族基”または文法的均等物とは、一般に5から14の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式炭化水素部(しかし、大きい多環式環構造を作ることができる)およびそれらの炭素環式ケトンまたはチオケトン誘導体で、その遊離の原子価を持つ炭素原子が芳香族環の一員であるものを意味する。芳香族環には、アリーレン基および2つ以上の原子をはずした芳香族基がある。本適用の目的には、芳香族基は複素環を含む。“複素環”または“ヘテロアリール”とは、1から5個の指定炭素原子を、その遊離の原子価を持つ原子が芳香族環の一員である窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選択されるヘテロ原子で置換した芳香族基、およびそれらの複素環式ケトンおよびチオケトン誘導体を意味する。そこで、複素環には、チエニル、フリル、ピロリル、ピリミジニル、オキサリル、インドリル、ピリニル、キノリル、イソキノリル、チアゾリル、イミドジル等がある。
重要なのは、導電性オリゴマーのY芳香族基が異なっていてもよい、即ち、導電性オリゴマーがヘテロオリゴマーであり得る点である。つまり、導電性オリゴマーは、単一型のY基または多型のY基のオリゴマーを含むことができる。よって、好ましい実施態様では、下記のようにバリアー単層を使用する場合、1以上の型のY基を、単層レベル上に用いる第2型のY基と共に単層内の導電性オリゴマーにおいて使用する。そのため、本明細書に記載のとおり、導電性オリゴマーは、核酸ハイブリダイゼーションを助長するために、単層内には電極表面で良好なパッキング効率を持つY基と、単層レベル上にはより大きい柔軟性および親水性を持つ第2型のY基を含むことができる。例えば、非置換ベンジル環は、単層パッキング用にY基を含むことができ、置換ベンジル環は、単層上に使用できる。あるいは、複素環式環は、置換または非置換のいずれかで、単層上に使用できる。更に、一実施態様では、導電性オリゴマーが単層外に及ばない場合でも、ヘテロオリゴマーを使用できる。
芳香族基は、一般にRで表す置換基で置換できる。R基を必要に応じて加え、導電性オリゴマーのパッキングに影響を及ぼすことができる、即ち、導電性オリゴマーに結合させた核酸が電極上に単層を形成するとき、R基を用いて単層におけるオリゴマーの会合を変化させることができる。R基を加えて、1)オリゴマーまたはオリゴマーを含む組成物の溶解度を変える;2)システムの共役または電子化学電位を変える;および3)単層表面の電荷または特性を変えることもできる。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーが3つのサブユニットより大きいとき、R基は、溶液合成を行う場合の溶解度を高めるのに好ましい。しかしながら、R基およびその位置は、下記のように、表面上、特に単層内での導電性オリゴマーのパッキングへの影響を最小限にするよう選択される。一般に、単層内では小さいR基のみが使用され、大きいR基は一般に単層表面上にある。そのため、例えば、単層内の導電性オリゴマー部分にメチル基を付けて溶解度を高めるのが好ましく、例えば、C3からC10のより長いアルコキシ基を単層表面上に付けるのが好ましい。一般に、本明細書に記載のシステムでは、このことは、一般に、立体的に重要なR基をは、絶縁体分子の長さによるが、最初の2つまたは3つのオリゴマーサブユニットのいずれにも結合させないことを意味する。
適切なR基には、水素、アルキル、アルコール、芳香族、アミノ、アミド、ニトロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、ケイ素部分、ハロゲン、硫黄含有部分、リン含有部分、およびエチレングリコールがあるが、これらに限定されない。本明細書に示した構造では、Rは、その位置が置換されていない場合は水素である。ある位置では、2つの置換基、RおよびR’が可能であり、その場合、RおよびR’基は同一であるかまたは異なっているかのいずれかでよい。
“アルキル基”または文法的均等物とは、直鎖状または分枝状アルキル基を意味し、直鎖アルキル基が好ましい。分枝状なりば、1箇所以上の、特記しなければ任意の位置で枝分かれしている。このアルキル基は、約1から約30の炭素原子(C1−C30)の範囲であり、好ましい実施態様では、約1から約20の炭素原子(C1−C20)を利用し、約C1から約C12ないしC15も好ましく、C1ないしC5が特に好ましいが、ある実施態様では、アルキル基は、もっと大きくてもよい。アルキル基の定義の中に含まれるものには、C5およびC6環などのシクロアルキル基や、窒素、酸素、硫黄またはリンを持つ複素環式環もある。アルキルはまた、好ましくは硫黄、酸素、窒素およびケイ素のヘテロ原子を持つヘテロアルキルも含む。アルキルは、置換アルキル基も含む。“置換アルキル基”とは、更に上記定義の1以上の置換基部分“R”を含むアルキル基を意味する。
“アミノ基”または文法的均等物とは、−NH2、−NHRおよび−NR2基を意味し、Rは本明細書に定義のとおりである。
“ニトロ基”とは、−NO2基を意味する。
“硫黄含有部分”とは、硫黄原子を含有する化合物を意味し、チア−、チオ−およびスルホ−化合物、チオール(−SHおよび−SR)およびスルフィド(−RSR−)があるが、これらに限定されない。“リン含有部分”は、リンを含有する化合物を意味し、ホスフィンおよびホスフェートがあるが、これらに限定されない。“シリコン含有部分”とは、シリコン含有化合物を意味する。
“エーテル”とは、−O−R−基を意味する。好ましいエーテルには、アルコキシ基があり、−O−(CH22CH3および−O−(CH24CH3が好ましい。
“エステル”とは、−COOR基を意味する。
“ハロゲン”とは、臭素、ヨウ素、塩素またはフッ素を意味する。好ましい置換アルキルは、部分的にまたは全体的にハロゲン化したアルキル、例えばCF3等である。
“アルデヒド”とは、−RCOH基を意味する。
“アルコール”とは、−OH基およびアルキルアルコール−ROHを意味する。
“アミド”とは、−RCONH−またはRCONR−基を意味する。
“エチレングリコール”または“(ポリ)ニチレングリコール”とは、−(O−CH2−CH2n−基を意味するが、エチレン基の各炭素原子は、一重にまたは二重に置換されていてもよく、即ち、−(O−CR2−CR2n−、但しRは上記定義のとおりである、であってよい。酸素の位置に他のヘテロ原子を持つエチレングリコール誘導体(即ち、−(N−CH2−CH2n−または−(S−CH2−CH2n−または置換基を持つ)も好ましい。
好ましい置換基には、メチル、エチル、プロピル、−O−(CH22CH3および−O−(CH24CH3などのアルコキシ基およびエチレングリコールおよびそれらの誘導体があるが、これらに限定されない。
好ましい芳香族基には、フェニル、ナフチル、ナフタレン、アントラセン、フェナントロリン、ピロール、ピリジン、チオフェン、ポルフィリンおよび縮合環誘導体を含むこれらそれぞれの誘導体があるが、これらに限定されない。
本明細書に示した導電性オリゴマーでは、gが1のとき、B−Dは2つの原子または化学部分をつなげる結合基である。好ましい実施態様では、B−Dは、重複または共役π軌道を含有する共役結合を有する基である。
好ましいB−Dは、アセチレン(−C≡C−、アルキンまたはエチンとも呼ばれる)、アルケン(−CH=CH−、エチレンとも呼ばれる)、置換アルケン(−CR=CR−、−CH=CR−および−CR=CH−)、アミド(−NH−CO−および−NR−CO−または−CO−NH−および−CO−NR−)、アゾ(−N=N−)、エステルおよびチオエステル(−CO−O−、−O−CO−、CS−O−および−O−CS−)および他の共役結合を有する基(−CH=N−、−CR=N−、−N=CH−および−N=CR−)、(−SiH=SiH−、−SiR=SiH−、−SiH=SiR−、およびSiR=SiR−)、(−SiH=CH−、−SiR=CH−、−SiH=CR−、−SiR=CR−、−CH=SiH−、−CR=SiH−、−CH=SiR−および−CR=SiR−)などから選択される。特に好ましいB−Dは、アセチレン、アルケン、アミドおよびこれら3種の置換誘導体およびアゾである。とりわけ好ましいB−Dは、アセチレン、アルケンおよびアミドである。二重結合に結合させたオリゴマー成分は、トランスまたはシス配置、または混合型であってよい。そのため、BまたはDのいずれかは、炭素、窒素またはケイ素を含むことができる。置換基は、上記Rのところで定義したとおりである。
構造2導電性オリゴマーのg=0のとき、eは好ましくは1であり、D部分は上記定義のカルボニルまたはヘテロ原子部分であり得る。
上記Y環のように、どの単一導電性オリゴマー内でも、B−D結合(またはg=0のときD部分)は、全て同じでもよく、または少なくとも1つが異なっていてもよい。例えば、mが0のとき、末端B−D結合は、アミド結合であることができ、残りのB−D結合はアセチレン結合であることができる。一般に、アミド結合が存在するとき、アミド結合はできるだけ少ない方が好ましいが、ある実施態様では、全てのB−D結合がアミド結合である。よって、上記Y環のところで概略説明したとおり、上記単層内ではある型のB−D結合が導電性オリゴマー中に存在でき、単層レベル上では別の型のB−D結合があるので、核酸ハイブリダイゼーションにより大きな柔軟性を与えることができる。
本明細書に示した構造中、nは1から50の整数であるが、より長いオリゴマーもまた使用できる(例えば、Schumm et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1994 33(13):1360参照)。理論に縛られることなく、表面上で効率のよい核酸のハイブリダイゼーションのためには、ハイブリダイゼーションが表面から少し離れて起こるらしい、即ち、ハイブリダイゼーション速度は、特に200から300塩基対の長いオリゴヌクレオチドの場合、表面からの距離の関数として上昇すると思われる。従って、導電性オリゴマーの長さは、その核酸の最も近いヌクレオチドが電極表面から約6Åから約100Å(但し、500Åまでの距離が使用できる)に位置するような長さであり、約15Åから約60Åが好ましく、約25Åから約60Åも好ましい。従って、nは芳香族基のサイズ応じて変わるが、一般に、約1から約20であって、約2から約15が好ましく、約3から約10が特に好ましい。
本明細書に示した構造中、mは0または1のいずれかである。つまり、mが0のとき、導電性オリゴマーの末端には、B−D結合またはD部分があり、即ち、D原子が直接的かまたはリンカーを介するかのいずれかで核酸に結合している。ある実施態様では、例えば、導電性オリゴマーを核酸のリボース−ホスフェート主鎖のホスフェートに結合させるとき、導電性オリゴマーと核酸の間に結合させたリンカーなどの別の原子があってもよい。更に、下記に概略説明するとおり、D原子は、アミノ修飾リボースの窒素原子であり得る。あるいは、mが1のとき、導電性オリゴマーの末端にはY、芳香族基があり、即ち、その芳香族基は、核酸またはリンカーに結合している。
当業者には明らかなように、多数の導電性オリゴマーが利用できる。これらは、例えば、縮合芳香族環または、−(CF2n−、−(CHF)n−および−(CFR)n−などのテフロン▲R▼様オリゴマーを含む化合物などの当分野で知られている他の導電性オリゴマーと同じく、構造2や構造9式の範囲内にある導電性オリゴマーを含む。例えば、Schumm et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:1361(1994);Grosshenny et al.,Platinum Metals Rev.40(1):26-35(1996);Tour,Chem.Rev.96:537-553(1996);Hsung et al.,Organometallics 14:4808-4815(1995);およびここに引用されている文献参照、これらは全てはっきりと出典明示により本明細書に組込まれている。
本実施態様の特に好ましい導電性オリゴマーは、下記である:
Figure 0004072206
構造3は、gが1のときの構造2である。構造3の好ましい実施態様には、eが0であり、Yがピロールまたは置換ピロールであるもの;eが0であり、Yがチオフェンまたは置換チオフェンであるもの;eが0であり、Yがフランまたは置換フランであるもの;eが0であり、Yがフェニルまたは置換フェニルであるもの;eが0であり、Yがピリジンまたは置換ピリジンであるもの;eが1であり、B−Dがアセチレンであり、Yがフェニルまたは置換フェニルであるもの(例えば、下記構造5参照)がある。構造3の好ましい実施態様はまた、下記構造4に示した、eが1である場合のものである:
Figure 0004072206
構造4の好ましい実施態様は、Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアゾであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアセチレンであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアルケンであるもの;Yがピリジンまたは置換ピリジンであり、B−Dがアセチレンであるもの;Yがチオフェンまたは置換チオフェンであり、B−Dがアセチレンであるもの;Yがフランまたは置換フランであり、B−Dがアセチレンであるもの;Yがチオフェンまたはフラン(または置換チオフェンまたはフラン)であり、B−Dがアルケンおよびアセチレン交互の結合であるものである。
本明細書に示した構造の殆どが構造4の導電性オリゴマーを利用している。しかしながら、どの構造4オリゴマーも、構造2、3または9オリゴマー、または他の導電性オリゴマーで置換でき、かかる構造4の使用は、本発明の範囲を限定する意味を持たない。
構造4の特に好ましい実施態様は、下記の構造5、6、7および8を含む:
Figure 0004072206
構造5の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水素であるもの;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの、および溶解度を高めるためのR基の使用がある。
Figure 0004072206
構造6のようにB−D結合がアミド結合であるとき、導電性オリゴマーは、擬似ペプチドオリゴマーである。構造6中のアミド結合は、カルボニルを左側にして、即ち、CONH−で示すが、逆、即ち−NHCO−も使用できる。構造6の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水素であるもの;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの(この実施態様では、末端窒素(D原子)はアミノ修飾リボースの窒素であり得る)、および溶解度を高めるためのR基の使用がある。
Figure 0004072206
構造7の好ましい実施態様には、第1のnが2であり、第2のnが1であり、mが0であり、全てのR基が水素であるもの、または溶解度を高めるためのR基の使用がある。
Figure 0004072206
構造8の好ましい実施態様には、第1のnが3であり、第2のnが1−3であり、mが0または1のいずれかであるもの、および溶解度を高めるためのR基の使用がある。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、構造9で示した構造を持つ:
Figure 0004072206
この実施態様では、Cは炭素原子であり、nは1から50の整数であり、mは0または1であり、Jは酸素、窒素、ケイ素、リン、硫黄、カルボニルまたはスルホキシドからなる群から選択されるヘテロ原子であり、Gはアルカン、アルケンまたはアセチレンから選択される結合であって、2つの炭素原子と一緒になってC−G−C基がアルケン(−CH=CH−)、置換アルケン(−CR=CR−)またはそれらの混合物(−CH=CRまたは−CR=CH−)、アセチレン(−C≡C−)またはアルカン(−CR2−CR2−、Rは水素または本明細書に記載の置換基のいずれかである)であるようにする。各サブユニットのG結合は、他のサブユニットのG結合と同一かまたは異なっていてもよく、つまり、アルケンとアセチレン結合が交互にあるオリゴマーが使用できる。しかしながら、Gがアルカン結合であるとき、オリゴマー中のアルカン結合数は最小に維持すべきであり、導電性オリゴマー当りシグマ結合約6以下が好ましい。アルケン結合が好ましく、本明細書に総括的に示しているが、アルカンおよびアセチレン結合は、当業者には明らかなように、本明細書に記載したどの構造または実施態様でも置換できる。
ある実施態様では、例えば、第2の電子伝達部が存在しないとき、m=0ならば少なくとも1つのG結合はアルカン結合である。
好ましい実施態様では、構造9のmは0である。特に好ましい実施態様では、構造10に示したように、mは0であり、Gはアルケン結合である:
Figure 0004072206
構造10のアルケンオリゴマーおよび本明細書に示した別のものは、一般に、好ましいトランス配置で示しているが、シスまたはトランスとシスの混合したオリゴマーも使用できる。上記のように、R基を加えて、電極上での組成物のパッキング、オリゴマーの親水性または疎水性、およびオリゴマーの柔軟性、即ち、回転、ねじれ、または縦の柔軟性を変えることができる。nは上記定義のとおりである。
好ましい実施態様では、Rは水素であるが、Rはアルキル基およびポリエチレングリコールまたは誘導体であってもよい。
別の実施態様では、導電性オリゴマーは、異なる型のオリゴマー、例えば、構造2や9の混合物であってもよい。
導電性オリゴマーは、核酸に共有結合している。“共有結合”とは、2つの部分が、シグマ結合、π結合および共役結合を含む少なくとも1つの結合により結びついていることを意味する。
核酸は、導電性オリゴマーに共有結合しており、導電性オリゴマーはまた電極に共有結合している。一般に、共有結合は、非共役シグマ結合量を最小にするような手段でなされ、電子が電子供与体から電子受容体へと移動しなければならない。そのため、リンカーは一般に短いか、またはほとんどシグマ結合を持たない共役結合を含有する。
核酸および導電性オリゴマーの共有結合は、幾つかの方法で達成できる。好ましい実施態様では、この結合は、下記のように、ヌクレオシドの塩基に付けるか、核酸の主鎖(リボース、ホスフェート、または核酸類似体主鎖の類似基のいずれか)に付けるか、または遷移金属配位子を介する。下記概略説明した技術は、一般に、天然の核酸について記載しているが、当業者には明らかなように、核酸類似体でも同様の技術が使用できる。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、核酸のヌクレオシドの延期に結合させる。これは、下記のように、オリゴマーに応じて幾つかの方法で実施できる。一実施態様では、オリゴマーを末端ヌクレオシド、即ち、核酸の3’または5’ヌクレオシドのいずれかに結合させる。あるいは、導電性オリゴマーを内部ヌクレオシドに結合させる。
塩基への結合点は、塩基によって変わる。どの位置にも結合可能であるが、相補性塩基との水素結合に関与しない位置に結合させるのが好ましい。そのため、例えば、一般に、ウリジン、シトシンおよびチミンなどのピリミジンの5または6位に結合させる。アデニンやグアニンなどのプリンの場合、好ましくは8位で連結させる。非標準塩基には、それに相当な位置で結合させるのが好ましい。
一実施態様では、直接結合であり、即ち、導電性オリゴマーと塩基との間になんの原子も挟まない。この実施態様では、例えば、末端アセチレン結合を持つ導電性オリゴマーを塩基に直接結合させる。構造11はこの結合の例であり、構造4の導電性オリゴマーと塩基としてウリジンを用いているが、当業者ならば明らかなように、他の塩基および導電性オリゴマーも使用できる:
Figure 0004072206
ここに示したペントース構造には、水素、ヒドロキシ、ホスフェートまたはアミノ基などの他の基が結合していることに留意すべきである。更に、ここに示したこのペントースおよびヌクレオシド構造は、通常表現の鏡像として非慣用的に示す。
更に、ペントースおよびヌクレオシド構造もまた、任意の位置に、例えば、合成中に必要に応じて、保護基などの新たな基を含有できる。
加えて、塩基は、必要に応じて、更なる修飾を含むこともあり、即ち、カルボニルまたはアミン基を、例えば、図3または18に示したように、変更したり、保護することもできる。
別の実施態様では、一般に、塩基としてウリジンおよび構造4オリゴマーを用いる構造12に示したように、必要に応じてリンカーを用い、アミド結合を介して結合させる:
Figure 0004072206
構造12の好ましい実施態様は、Zがメチレンまたはエチレンであるものを含む。アミド結合は、塩基のアミノ基、シチジンまたはアデニジンなどの中にある天然のアミノ基または当分野では知られているアミノ修飾塩基由来のものいずれかを用いて行うこともできる。
この実施態様では、Zはリンカーである。好ましくは、Zは約1から約5原子の短いリンカーであり、アルケン結合を含有してもよく、含有しなくてもよい。リンカーは当分野では知られており、例えば、よく知られているとおり、ホモまたはヘテロニ官能性リンカーである(1994 Piece Chemical Company catalog,technical section on cross-linker,pages 155-200参照、出典明示により本明細書の一部とする)。好ましいZリンカーには、アルキル基やヘテロ原子部分を含有するアルキル基があるが、これらに限定されず、好ましいのは、短いアルキル基、エステル、エポキシ基およびエチレングリコールおよび誘導体であり、特に好ましいのは、プロピル、アセチレンおよびC2アルケンである。Zはまた、スルホン基であってもよく、下記のようにスルホンアミド結合を形成する。
好ましい実施態様では、核酸と導電性オリゴマーの結合は、核酸主鎖への結合を介して行う。これは、リボース−ホスフェート主鎖のリボースへの結合または主鎖のホスフェートへの結合、または類似主鎖の他の基への結合を含む多くの方法で実施できる。
予備事項として、下記に十分説明するように、本実施態様における結合部位は、3’または5’末端ヌクレオチド、または内部ヌクレオチドであると理解されるべきである。
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーをリボース−ホスフェート主鎖のリボースへ結合させる。これは、幾つかの方法で実施できる。当分野では知られているように、リボースの2’または3’位のいずれかをアミノ基、硫黄基、ケイ素基、リン基またはオキソ基で修飾したヌクレオシドが作成できる(Imazawa et al.,J.Org.Chem.44:2039(1979);Hobbs et al.,J.Org.Chem.42(4):714(1977);Verheyden et al.,J.Org.Chem.36(2):250(1971);McGee et al.,J.Org.Chem.61:781-785(199);Mikhailopulo et al.,Liebigs.Ann.Chem.513-519(1993);McGee et al.,Nucleosides & Nucleotides 14(6):1329(1995)、全て出典明示により本明細書の一部とする)。次いで、導電性オリゴマーを加えるためにこれらの修飾ヌクレオシドを用いる。
好ましい実施態様は、アミノ修飾ヌクレオシドを利用する。このとき、これらのアミノ修飾リボースを用いて、導電性オリゴマーに対してアミドまたはアミン結合を形成できる。好ましい実施態様では、アミノ基を直接リボースに結合させるが、当業者には明らかであるように、“Z”のところで記載したような短いリンカーをアミノ基とリボースとの間に与えることができる。
好ましい実施態様では、リボースにつなげるためにアミド結合を使用する。好ましくは、構造2〜4の導電性オリゴマーを用いるならば、mが0であるので、導電性オリゴマーの末端はアミド結合である。この実施態様では、アミノ修飾リボースのアミノ基は、導電性オリゴマーの“D”原子である。よって、本実施態様の好ましい結合を、構造13に示す(構造4の導電性オリゴマーを用いる)。
Figure 0004072206
当業者には明らかなように、構造13は、アミド結合として固定された末端結合を持つ。
好ましい実施態様では、ヘテロ原子結合、即ち、オキソ、アミン、硫黄等を用いる。好ましい実施態様はアミン結合を利用している。アミド結合のところで概略説明したとおり、アミン結合の場合もまた、構造4の導電性オリゴマーを用いると、アミノ修飾リボースの窒素が導電性オリゴマーの“D”原子であり得る。よって、例えば、構造14および15は、それぞれ構造4および10の導電性オリゴマーを持つヌクレオシドを示し、ヘテロ原子として窒素を用いているが、他のヘテロ原子を使用することもできる:
Figure 0004072206
構造14で、好ましくは、mもtも0ではない。ここで好ましいZはメチレン基またはその他の脂肪族アルキルリンカーである。この位置にある1、2または3つの炭素は特に合成の際に有用である;図16参照。
Figure 0004072206
構造15では、Zは上記定義のとおりである。適切なリンカーには、メチレンおよびエチレンがある。
別の実施態様では、導電性オリゴマーは、核酸のリボース−ホスフェート主鎖(または類似体)のホスフェートを介して核酸に共有結合させる。この実施態様では、結合は直接的か、またはリンカーまたはアミド結合を利用する。構造16は、直接結合を示しており、構造17は、アミド結合を介した結合を示している(両方とも、構造4の導電性オリゴマーを利用しているが、構造9の導電性オリゴマーも可能である)。構造16および17は、3’位の導電性オリゴマーを示しているが、5’位も可能である。更に、構造16および17とも、天然のホスホジエスチル結合を示しているが、当業者には明らかなように、ホスホジエステル結合の非標準類似体も使用できる。
Figure 0004072206
構造16中、末端にYが存在する(即ちm=1)場合、Zは存在しない(即ち、t=0)のが好ましい。末端にYが存在しない場合、Zは存在するのが好ましい。
構造17は、末端B−D結合がアミド結合であり、末端にYが存在せず、Zが上記定義のリンカーである好ましい実施態様を示す
Figure 0004072206
好ましい実施態様では、導電性オリゴマーは、遷移金属リガンドを介して核酸に共有結合する。本実施態様では、導電性オリゴマーは遷移金属に対して1以上の配位原子を提供する配位子に共有結合させる。一実施態様では、下記構造18に総括的に示したように、導電性オリゴマーが結合する配位子には、核酸も結合している。あるいは、下記構造19に総括的に示したように、導電性オリゴマーは1つの配位子に結合しており、核酸は別の配位子に結合している。よって、遷移金属の存在下で導電性オリゴマーは核酸に共有結合する。これらの構造はいずれも構造4の導電性オリゴマーを示しているが、その他のオリゴマーを利用することもできる。構造18および19は、2つの代表的な構造を示す:
Figure 0004072206
ここに示した構造では、Mが金属原子であり、遷移金属が好まい。本発明で使用するのに適した遷移金属には、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、白金(Pt)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、タングステン(W)およびイリジウム(Ir)があるが、これらに限定されない。即ち、第1列の遷移金属、白金属(Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPt)が、Fe、Re、W、MoおよびTcと共に好ましい。特に好ましいのは、ルテニウム、レニウム、オスミウム、白金、コバルトおよび鉄である。
Lは金属イオンの結合用に配位原子を提供する共配位子(co-ligand)である。当業者には明らかであるように、共配位子の数や性質は金属イオンの配位数によって変わる。一座、二座または多座共配位子が任意の位置で使用できる。よって、例えば、金属が配位数6のとき、導電性オリゴマーの末端由来のL、核酸から与えられるLおよびrは6まで加える。そのため、金属が配位数6のとき、rは0(全ての配位原子がその他2つの配位子により提供されるとき)から4(全ての共配位子が一座配位子であるとき)の範囲であり得る。従って、一般に、rは0から8であり、金属イオンの配位数と他の配位子の選択によって変わる。
一実施態様では、金属イオンは配位数6であり、導電性オリゴマーに結合した配位子および核酸に結合した配位子は少なくとも二座配位子である。即ち、rは好ましくは0、1(即ち、残りの共配位子が二座配位子である)または2(2つの一座共配位子を用いる)である。
当業者には明らかなように、共配位子は、同じでも異なっていてもよい。適切な配位子は、2つのカテゴリー:(一般に文献ではシグマ(σ)供与体として表される)配位原子として(金属イオンに応じて)窒素、酸素、硫黄、炭素またはリン原子を用いる配位子と、(一般に文献ではパイ(π)供与体として表され、ここではLmと示す)メタロセン配位子などの有機金属配位子に分類される。適切な窒素供与配位子は、当分野でよく知られており、NH2;NHR;NRR’;ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジンおよびビピリジンの置換誘導体;テルピリジンおよび置換誘導体;フェナントロリン類、例えば、4,7−ジメチルフェナントロリンおよびジピリドル[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン(dppzと略す);ジビリドフェナジン;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(hatと略す);9,10−フェナントレンキノンジイミン(phiと略す);1,4,5,8−テトラアザフェナントレン(tapと略す);1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラドデカン(シクラム(cyclam)と略す)およびイソシアニドがあるが、これらに限定されない。縮合誘導体を含む置換誘導体も使用できる。ある実施態様では、ポルフィリンとポルフィリンファミリーの置換誘導体が使用され得る。例えば、Comprehensive Coordination Chemistry,Ed.Wilkinson et al.,Pergammon Press,1987,Chapters 13.2(pp73-98),21.1(pp.813-898)and 21.3(pp915-957)参照、全て出典明示により本明細書の一部とする。
炭素、酸素、硫黄およびリンを用いる適切なシグマ供与配位子は当分野で知られている。例えば、適切なシグマ炭素供与体は、Cotton and Wilkenson,Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,1988、出典明示により本明細書の一部とする、に記載されており、例えば38頁参照。同様に、適切な酸素配位子は、クラウンエーテル、水、およびその他当分野で知られているものを含む。ホスフィンおよび置換ホスフィンも適している。Cotton and Wilkensonの38頁参照。
酸素、硫黄、リンおよび窒素供与配位子は、ヘテロ原子が配位元素として作用できるような方法で結合する。
好ましい態様において、有機金属配位子を使用する。レドックス部として使用する完全な有機化合物および、複素環式または環外置換基として、供与体原子を有するδ−結合有機配位子との種々の遷移金属配位子に加えて、π−結合有機配位子との広範囲の遷移金属有機金属化合物が利用可能である(Advanced Inorganic Chemistry,5th Ed.,Cotton & Wilkinson,John Wiley & Sons,1988,chapter 26;Organometallics,A Concise Introduction,Elschenbrioch et al.,2nd Ed.,1992,VCH;およびComprehensive Organometallic Chemistry II,A Review of the Literature 1982-1994,Abel et al.Ed.,Vol.7,chapters 7,8,10 & 11,Pergamon Press参照、本明細書に明白に包含させる)。このような有機金属配位子は、シクロペンタジエニドイオン[C55(−1)]のような環状芳香族化合物および、インデニリド(−1)イオンのような種々の環置換基および環融合誘導体を含み、これらはビス(シクロペンタジエニル)金属化合物(すなわち、メタロセン)のクラスを形成する;例えば、本明細書に包含させるRobins et al.,J.Am.Chem.Soc.104:1882-1893(1982);およびGassman et al.,J.Am.Chem.Soc.108:4228-4229(1986)参照。これらの中で、フェロセン[(C552Fe]およびその誘導体は、化学(引用して包含させる、Connelly et al.,Chem.Rev.96:877-910(1996))および電気化学(引用して包含させるGeiger et al.,Advances in Organometallic Chemistry 23:1-93;およびGeiger et al.,Advances in Organometallic Chemistry 24:87)電子伝達または“レドックス”反応で広範囲に使用されている基本的例である。1列、2列および3列遷移金属は核酸のリボース環またはヌクレオシド塩基に共有結合する、レドックス部の候補の可能性がある。他の適当な可能性のある有機金属配位子は、ビス(アレン)金属化合物およびその環置換および環融合誘導体を製造するための、ベンゼンのような環状アレンを含み、この中でビス(ベンゼン)クロミウムが基本的な例である。他の、アリル(−1)イオンのような非環状π−結合配位子、またはブタジエンは、適当な可能性のある有機金属化合物を製造し、このような配位子すべて、他のπ−結合およびδ−結合配位子と共に、金属と炭素の結合が存在する有機金属化合物の一般的クラスを形成する。架橋有機配位子、および付加的非架橋配位子を有する、並びに金属−金属形成を有するまたは有しない、このような化合物の種々のダイマーおよびオリゴマーの電気化学的研究は、核酸分析でレドックス部の候補物の可能性がある。
一個またはそれ以上の共配位子が有機金属配位子である時、配位子は一般的に有機金属配位子の炭素原子の一つを介して結合するが、結合は複素環式配位子の他の原子を介し得る。好ましい有機金属配位子は、置換誘導体およびメタノセネオファン(CottonおよびWilkenson、前掲、1174頁参照)を含むメタロセン配位子を含む。例えば、好ましくは多くのメチル基を有する、ペンタメチルシクロペンタジエニルのような、メチルシクロペンタジエニルのようなメタロセン配位子の誘導体は、本メタロセンの安定性を増加させるために使用できる。好ましい態様において、メタロセンの二つのメタロセン配位子の一つだけが誘導体化する。
本明細書に記載のように、配位子の任意の組み合わせを使用し得る。好ましい組み合わせは:a)全配位子が窒素供与配位子である;b)全配位子が有機金属配位子である;そしてc)導電性オリゴマーの末端の配位子がメタロセン配位子であり、核酸により提供される配位子は窒素投与配位子であることを含み、必要により、他の配位子と一緒であり、それは窒素供与配位子またはメタロセン配位子またはその混合物である。これらの組み合わせは、構造4の導電性オリゴマーを使用した代表例に記載され、構造20(フェナンスロリンおよびアミノを代表的配位子として使用して)、21(フェロッセンを金属−配位子組み合わせとして使用して)および22(シクロペンタジエニルおよびアミノを代表的配位子として使用して)に記載する。
Figure 0004072206
好ましい態様において、本発明で使用する配位子は、キレート化金属イオンのレドックス状態に依存して、別の蛍光特性を示す。下記のように、これは、従って、核酸を介した電子伝達の検出の別のモードとして作用する。
下記により詳細に示すような、好ましい態様において、核酸に結合した配位子は、リボース−ホスフェート主鎖のリボースの2’または3’位置に結合したアミノ基である。本配位子は、金属イオンに結合する多座配位子を形成するように、多くのアミノ基を含み得る。他の好ましい配位子は、シクロペンタジエンおよびフェナンスロリンを含む。
本明細書に記載のように、導電性オリゴマーに共有結合したヌクレオシドの本明細書に記載の組成物は、より長い核酸に、核酸の5’または3’末端または内部の位置を含む多くの位置で包含され得る。下記に概説のように、これは、一般に、共有結合した導電性オリゴマーを有するヌクレオチドを、任意の位置でオリゴヌクレオチド合成反応に添加することにより行う。合成が完了した後、共有結合した導電性オリゴマーを有する核酸を、電極に結合させる。従って、多くのヌクレオチドが、修飾されていてもされていなくても、任意の位置で包含され得る。あるいは、組成物は後核酸合成修飾により製造する。
核酸の全長は、その使用に依存する。一般に、本発明の核酸組成物は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。当業者に認められるように、プローブの長さは、標的配列およびハイブリダイゼーションの長さおよび洗浄条に伴い変化する。一般に、オリゴヌクレオチドプローブは約8から約50ヌクレオチドの範囲であり、約10から約30が好ましく、約12から約25が特に好ましい。ある場合、非常に長いプローブ、例えば、50から200−300ヌクレオチド長を使用し得る。
電極を含むヌクレオシド、すなわち、最初の電子伝達部および、第2電子伝達部を含むヌクレオシドの間の距離もまた考慮する。電子伝達は、この二つの伝達部の間で起こる。電子伝達の速度が距離依存的であるため、二つの電子伝達部の間の距離は、約1から約30塩基対の範囲であり、約1から約20塩基対が好ましく、約2が約10塩基対がより好ましく、約2から6塩基対が特に好ましい。しかしながら、プローブ特性は、電子伝達部のいずれかの側にオリゴヌクレオチドを付加することにより増加でき、従って、電子が移動しなければならない距離を増加しないでプローブ特異性の増加ができる。
従って、本明細書に記載の構造において、ヌクレオシドは核酸で置き換え得る。
好ましい態様において、本明細書に記載のように、共有結合したヌクレオシドまたは核酸を有する導電性オリゴマーは、電極に共有結合する。従って、導電性オリゴマーの一端または終点は、ヌクレオシドまたは核酸に結合し、他方が電極に結合する。ある態様において、末端以外の位置に結合した導電性オリゴマーを有するか、または、電極に一端で、および二つまたはそれ以上のヌクレオシドに他端で結合した分枝導電性オリゴマーさえ有することを記載し得るが、これは好ましくない。同様に、導電性オリゴマーは、二つの部位で、電極に結合し得る。
本明細書で、“電極”は、電子装置に接続した場合、電流または電荷を感受し、それをシグナルに変換できる組成物を意味する。従って、電極は、本明細書で記載の電子伝達部である。好ましい電極は、当分野で既知であり、金;プラチナ;パラジウム;シリコン;アルミニウム;酸化白金、酸化チタン、酸化スズ、インディウム酸化スズ、酸化パラジウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化モリブデン(Mo26)、酸化タングステン(WO3)および酸化ルテニウムのような酸化金属電極;および炭素(ガラス状炭素電極、グラファイトおよび炭素ペースト)を含むが、これらに限定されない。好ましい電極は、金、シリコン、炭素および酸化金属電極を含む。
本明細書に記載の電極は、平らな表面として記載されているが、これは電極の可能な形態の一つであるだけであり、模式的目的のためだけである。電極の形態は使用する検出法に依存して変わる。例えば、平らな電極は、光学的検出法、または核酸の配列を成す場合、従って、合成および検出の両方で、アドレス可能な位置が必要な場合、好ましい。あるいは、単一プローブ分析のために、電極は管の形であり得、導電性電極および核酸は内部表面に結合する。これは、核酸を含む表面の最大領域が、少量のサンプルに曝されることを可能とする。
ヌクレオシドを含む導電性オリゴマーの共有結合的結合は、使用する電極および導電性オリゴマーに依存して、種々の方法で達成し得る。一般に、下記で、Xが導電性オリゴマーであり、綾目引きの表面は電極である構造23で“A”と記載するような、あるタイプのリンカーを使用する:
Figure 0004072206
本態様において、Aはリンカーまたは原子である。“A”の選択は、電極の特徴に一部依存する。従って、例えば、Aは、金電極を使用する場合、硫黄部分である。あるいは、酸化金属電極を使用する時、Aはオキサイドの酸素に結合したシリコン(シラン)部である(例えば、両方とも引用して本明細書に包含させるChen et al.,Langmuir 10:3332-3337(1994);Lenhard et al.,J.Electroanal.Chem.78:195-201(1977)参照)。炭素ベースの電極を使用する時、Aはアミノ部である(好ましくは、1級アミン;例えば、Deinhammer et al.,Langmuir 10:1306-1313(1994)参照)。従って、好ましいA部は、シラン部、硫黄部(アルキル硫黄部を含む)およびアミノ部を含むが、これらに限定されない。好ましい態様において、当分野で既知のようなレドックスポリマーとのエポキシドタイプ結合は使用しない。
本明細書には一つの部としてしか記載していないが、導電性オリゴマーは、一個以上の“A”部で電極と結合し得る;“A”部は同一または異なり得る。従って、例えば、構造27に下記のように、電極が金電極であり、“A”が硫黄原子または部である時、一般に下記構造24、25および26に記載のように、複数の硫黄原子が、電極に導電性オリゴマーを結合させるのに使用し得る。当業者に認められるように、他のこのような構造が製造できる。構造24、25および26において、A部は硫黄原子だけであるが、置換硫黄原子も使用し得る。
Figure 0004072206
構造26と同様に、電極に結合した3つの硫黄部を有する一つの炭素原子で終了した導電性オリゴマーを有することが可能であり得る。
好ましい態様において、電極は金電極であり、結合は当分野で既知のように硫黄結合を介しており、すなわち、A部は硫黄原子または部である。金−硫黄結合の正確な特徴は知られていないが、この結合は本発明の目的で、共有結合と見なす。代表的構造は構造27に記載する。構造27は、“A”リンカーが硫黄原子のみを含むように記載しているが、他の原子も存在し得る(すなわち、硫黄から導電性ポリマーへのまたは置換基へのリンカー)。
Figure 0004072206
好ましい態様において、電極は炭素電極、すなわち、ガラス状炭素電極であり、結合はアミン基の窒素原子を介している。代表的構造を構造28に示す。また別の原子が存在し得、すなわち、Zタイプリンカーであり得る。
Figure 0004072206
構造29において、酸素原子は酸化金属電極のオキサイド由来である。Si原子は他の原子を含み得、すなわち、置換基を含むシリコン部であり得る。
従って、好ましい態様において、電極は、より詳細に本明細書に記載のように、ハイブリダイゼーションアッセイの目的で、核酸に結合した導電性オリゴマーを含むように製造する。当業者に認められるように、電極は、核酸の一つの種、すなわち、一核酸配列または複数の核酸種を有するように製造できる。
加えて、本明細書に概説のように、電極のような固体支持体の使用は、これらの遺伝子プローブの配列形での使用を可能にする。オリゴヌクレオチド配列の使用は、当分野で既知である。加えて、電極内に位置を“アドレッシング”するため、および電極の表面修飾のための方法は既知である。従って、好ましい態様において、異なる核酸の配列は、電極の下に置かれ、その各々は導電性リンカーを介して電極に共有結合する。この態様において、オリゴヌクレオチドの多くの異なる種のプローブは、1から数千に広く変化し得、好ましくは約4から約100,000、および特に好ましくは約10から約10,000である。
好ましい態様において、電極は、更に、不動態化剤を、好ましくは電極表面上の単層の形で含む。上記に概略のように、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの効果は、オリゴヌクレオチドが電極からある距離をおいている場合、増加し得る。不動態化剤層は、電極表面から離れた位置に核酸を維持させるのを容易にする。加えて、不動態化剤は、電荷担体を電極表面から離れた位置に保つ役目を果たす。従って、この層は、電極と電子伝達部の間の、または電極と溶媒中の荷電種の間の電気的接触の防止を助ける。このような接触は、サンプル中に存在し得る、荷電種を介した直接“漏電”または間接漏電をもたらす可能性がある。従って、不動態化剤の単層は、好ましくは電極表面の均一単層中に、最少の“ホール”しか存在しないように、密接にパックされている。あるいは、不動態化剤は、単層の形ではないが、導電性オリゴマーのパッキングまたは他の性質を助けるように存在し得る。
従って、不動態化剤は、電極への溶媒接近性を阻害する、物理的バリアーとして働き得る。このように、不動態化剤それ自体は、実際、(1)導電性または(2)非導電性、すなわち、絶縁物質であり得る。従って、一つの態様において、不動態化剤は、電極への電荷の伝達を阻害または減少する末端基を有するまたは有しない、本明細書に記載のような導電性オリゴマーである。導電性であり得る他の不動態化剤は、−(CF2n−、−(CHF)n−および−(CFR)n−のオリゴマーを含む。好ましい態様において、不動態化剤は、絶縁部である、
“絶縁体”は、好ましくは直鎖である、実際的に非導電性オリゴマーである。本明細書中の“実質的に非導電性”は、絶縁体を介した電子移動の速度が、二本鎖核酸の重層(stacked)π−軌道を介した電子伝達の速度よりも遅いことを意味する。言いかえると、絶縁体の電気抵抗は、核酸の電気抵抗より高い。好ましい態様において、絶縁体を介した電子伝達速度は、一本鎖核酸を介した速度より遅いか、それと同等である。同様に、絶縁体を介した電子伝達速度は、好ましくは本明細書に記載の導電性オリゴマーを介した速度より遅い。しかしながら、実施例に概説のように、オリゴマーが、−(CH216分子のように、一般に絶縁体として見なされても、例え遅い速度でもまだ電子を伝達し得る。
好ましい態様において、絶縁体は、約10-7Ω-1cm-1またはそれより低い導電性Sを有し、約10-8Ω-1cm-1より低いのが好ましい。一般に、Gardner et al.,前掲、参照。
一般に、絶縁体は、シグマ結合を有する、アルキルまたはヘテロアルキルオリゴマーまたは部であるが、具体的な絶縁体は、芳香族基または一個またはそれ以上の共役結合を含み得る。本明細書の“ヘテロアルキル”なる用語は、鎖に包含された少なくとも1個のヘテロ原子、すなわち、窒素、酸素、硫黄、リン、シリコンまたはホウ素を有するアルキル基を意味する。あるいは、絶縁体は、一個またはそれ以上のヘテロ原子を添加された導電性オリゴマーと非常に類似であり、それが電子伝達を、好ましくは、実質的に阻害するか、または遅くさせる。
絶縁体を含む不動態化剤は、本明細書で定義のR基で置換され得、電極でのその部または導電性オリゴマーのパッキング、絶縁体の親水性または疎水性、および絶縁体の柔軟性、すなわち、回転の、捩れのまたは縦の柔軟性を変える。例えば、分枝アルキル基を使用し得る。加えて、絶縁体を含む不動態化剤の末端は、更なる基を含み得、単層の暴露された表面に作用する。例えば、それらは核酸がDNAまたはRNAである場合、ハイブリダイゼーションを促進するために、核酸を表面の下に引くのに反発するか、妨げるように、陰性荷電表面を形成するように、末端で陰性に荷電した基であり得る。好ましい不動態化剤末端基は、−NH2、−OH、−COOH、−CH3、および、(ポリ)エチレングリコールのような(ポリ)アルキルオキサイドを含み、−OCH2CH2OH、−(OCH2CH2O)2Hおよび−(OCH2CH2O)3Hが好ましく、後者が特に好ましい。
不動態化剤の長さは、必要に応じて変化する。上記に概説のように、ハイブリダイゼーションは表面からの距離に、より有効であるように見える。加えて、導電性オリゴマーは、基本的に不動態化剤と同じ長さかそれらより長く、核酸がハイブリダイゼーションの溶媒により近接可能とする。
この単層は、絶縁体を含む不動態化剤の一つのタイプ、または異なるタイプを含み得る。
適当な絶縁体は当分野で既知であり、−(CH2n−、−(CRH)n−および−(CR2n−、エチレングリコールまたは酸素の代わりに他のヘテロ原子、すなわち窒素または硫黄を使用した誘導体(硫黄誘導体は、電極が金である場合、好ましくない)を含むが、これらに限定されない。
不動態化剤は、一般に、導電性オリゴマーと同様の方法で電極に結合し、上記の“A”リンカーと同様に使用し得る。
本組成物は、表面に結合したプローブにハイブリダイズする標的配列の優れたハイブリダイゼーション動力学をもたらすことが判明した。従って、本発明の組成物および方法は、検出を電子伝達に依存していない核酸検出システムでも使用し得る。
従って、好ましい態様において、本発明の組成物は、一般的配列タイプ法のような、標準核酸アッセイにおいて使用する、すなわち、電極は固体支持体としてのみ働き得、検出は蛍光または放射異性体標識のような当分野で既知の技術を使用して行うことが判明した。本態様において、本組成物は、ヌクレオシドまたは核酸に共有結合した導電性オリゴマーを含み得る。当業者は、本態様の導電性オリゴマーが、導電性オリゴマーとしてではなく、むしろ核酸を表面から離すためのリンカーとして機能することを認める。導電性オリゴマー、またはリンカーは、この場合、構造2、3、4、9または10に記載の構造を有し得る。しかしながら、リンカーが構造9に記載の構造を有する時、好ましくはG結合の少なくとも1つは、特にm=0の時、アルカンではない。
好ましい態様において、本組成物は(a)不動態化剤の単層を含む固体支持体;(b)少なくとも一つのヌクレオシドを含む核酸であり、核酸はリンカーで固体支持体に共有結合している。固体支持体は電極であり、本態様では、これは電子伝達部として機能する必要はない。不動態化剤の単層は、本明細書で優れたハイブリダイゼーション動力学をもたらすように示され、従って、電子伝達ベースのおよび伝統的核酸検出スキームの両方でかなり有用であり得る。リンカーは好ましくは本発明の導電性オリゴマーであるが、概略のように、それらは導電性部として機能しない可能性がある。本態様において、この場合の導電性オリゴマーまたはリンカーは、構造2、3、4、9または10に記載の構造を有し得る。しかしながら、リンカーが構造9に記載の構造を有する時、好ましくはG結合の少なくとも1つは、特にm=0の時、アルカンではない。
本態様において、各核酸が、第2配列が、付加でき、これがプローブ配列およびアンカー配列に相補的な配列を含むように、“アンカー配列”として同じであることが可能である。この方法で、同じまたは異なるアンカー配列として使用する標準配列を製造でき、これは次いで相補的アンカー領域に結合した新規プローブ配列を使用して、慣習的配列を製造するのに使用し得る。
従って、本態様において、組成物は、電極に、および第1一本鎖アンカー配列に共有結合した導電性オリゴマーを含むように提供される。第2一本鎖核酸が提供され、それは、二つの相補的アンカー領域の間で第1ハイブリダイゼーション錯体が形成され、プローブ領域が一本鎖領域として残るように、プローブ領域およびアンカー配列に実質的に相補的な領域を含む。プローブ領域に実質的に相補的な標的配列を次いで添加し、第2ハイブリダイゼーション錯体を形成する。第2ハイブリダイゼーション錯体を、次いで、例えば、標的核酸配列を当分野で既知のように標識することにより、検出する。
上記に概説のように、第2電子伝達部なしのプローブに結合した導電性オリゴマー、および第2電子伝達部を有する可溶性第2プローブを有する電極を含む組成物を有することも可能である。好ましくは隣接している、第1プローブ配列のための第1標的ドメインおよび第2プローブ配列のための第2標的ドメインを含む標的配列への結合により、電子伝達を行い得る。
あるいは、第2電子伝達部を含む標的配列であり得る。標的配列の増幅および標識に依存した方法と同様に、標的核酸を第2電子伝達部で標識し得、それを次いでハイブリダイゼーション錯体の形成により、電子伝達を行うのに使用できる。
別の態様において、下に概説のように、ハイブリダイゼーションインディケーターは、唯一の第2電子伝達部として、または付加的な第2電子伝達部として働き得る。
好ましい態様において、本発明の組成物が第1電子伝達物として作用する電極、および少なくとも第2共有結合した電子伝達部を有する核酸の両方に共有結合した導電性オリゴマーを含む。本明細書に記載のように、導電性オリゴマーおよび第2電子伝達部は、核酸の任意の位置に結合し得る。
一つの態様において、核酸は二つ以上の電子伝達部で修飾する。例えば、プローブから得られるシグナルを増加させるために、または必要な検出器感度を変えるために、多くの電子伝達部を使用する。PCT公開WO95/15971参照。例えば、導電性オリゴマーは、構造29Aに一般的に記載のように、導電性オリゴマーを含むヌクレオシドの5’および3’の両方に結合した第2電子伝達部(ETM)を有する内部ヌクレオシドに結合し得る。一つの態様において、二つの付加的電子伝達部は同一であり、導電性オリゴマーから同じ距離離れて位置し、シグナルの均一性をもたらす。あるいは、付加的電子伝達部は異なりおよび/または導電性オリゴマーから異なる距離に位置し得る。
Figure 0004072206
本明細書中の“電子供与部”、“電子受容部”、および“電子伝達部”なる用語またはその文法的な相同語は、一定の条件下で電子伝達をできる分子を意味する。電子供与体および受容体能力は相関的なものであることが理解される;すなわち、電子をある実験条件下で失うことができる分子が、異なる実験条件下で電子を受け入れることができる。可能な電子供与部および電子受容部の数は非常に大きく、電子伝達化合物の技術者には、本発明において多くの化合物を使用できることは理解される。好ましい電子伝達部は、遷移金属錯体、有機電子伝達部および電極を含むが、これらに限定されない。
好ましい態様において、電子伝達部は遷移金属錯体である。遷移金属は、その原子が部分的なまたは完全な電子のd殻を有する。本発明での使用のために適当な遷移金属は上記である。
遷移金属は上記で定義の種々の配位子Lと錯体化し、当分野で既知のような、適当な遷移金属錯体を形成する。
遷移金属錯体に加えて、他の有機電子供与体および受容体が、本発明での使用のために核酸に共有結合し得る。これらの有機分子は、リボフラビン、キサンタン色素、アジン色素、アクリジンオレンジ、N,N’−ジメチル−2,7−ジアザピレニウムジクロライド(DAP2+)、メチルビオロゲン、臭化エチジウム、N,N’−ジメチルアントラ(2,1,9−def.6,5,10−d'e'f')ジイソキノリンジクロライド(ADIQ2+)のようなキノン;ポルフィリン([メソ−テトラキス(N−メチル−x−ピリジニウム)ポルフィリンテトラクロライド]、バルラミンブルーBヒドロクロライド、ビンドシェドラーズ・グリーン(Bindschedler's green);2,6−ジクロロインドフェノール、2,6−ジブロモフェノールインドフェノール;ブリリアント・クレスト・ブルー(3−アミノ−9−ジメチル−アミノ−10−メチルフェノキシアジンクロリド)、メチレンブルー;ナイル・ブルーA(アミノアフトジエチルアミノフェノキシアジンスルフェート)、インジゴ−5,5’,7,7’−テトラスルホン酸、インジゴ−5,5’,7−トリスルホン酸;フェノサフラニン、インジゴ−5−モノスルホンさん;サフラニンT;ビス(ジメチルグリオキサメート)−鉄(II)クロリド;インジュリン・スカーレット、ニュートラルレッド、アントラセン、コロネン、ピレン、9−フェニルアントラセン、ルブレン、ビナフチリル、DPA、フェノチアジゼン、フルオロアンテン、フェナンスレン、クリセン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテトラセン、ナフタレン、アセナフタレン、ペリレン、TMPDおよびこれらの化合物の類似体および置換誘導体を含むがこれらに限定されない。
一つの態様において、電子供与体および受容体は、当分野で既知のようにレドックスタンパク質である。しかしながら、多くの態様でのレドックスタンパク質は好ましくない。
特異的電子伝達部の選択は、下記に概説のように、使用する電子伝達検出のタイプに影響される。
好ましい態様において、これらの電子伝達部は、核酸に種々の位置で共有結合している。好ましい態様において、結合はヌクレオシドの塩基への結合を介してか、または、リボース−ホスフェート主鎖へのまたはホスフェート部へのいずれかを含む、核酸の主鎖への結合を介してである。好ましい態様において、本発明の組成物は、電子伝達部が、二重螺旋核酸の二次元および三次元構造、特にワトソン−クリック塩基対形成を明白に妨害することなしに、できるだけ“π−道”に近いように設計する。あるいは、結合は、上記に概説のように、ヌクレオシドと電極と共に使用する導電性オリゴマーを介してできる;すなわち、電子伝達部は一端で導電性オリゴマーに、他端でヌクレオシドに共有結合し得、従って、構造30に記載の一般的構造を形成する:
Figure 0004072206
構造30において、ETMは電子伝達部、Xは導電性オリゴマー、およびqは0から約25の整数であり、qが約2から10が好ましい。更に、例えば、一般に本明細書で“Z”として記載のリンカー部もまたヌクレオシドと導電性オリゴマーの間、および/または導電性オリゴマーと電子伝達部の間に存在し得る。記載のヌクレオシドは、末端または内部ヌクレオシドであり、通常多くのヌクレオシドにより離されている。
好ましい態様において、第2電子伝達部は、導電性オリゴマーの結合について上記に概説のように、ヌクレオシドの塩基に結合している。これは好ましくは内部ヌクレオシドの塩基に対して行う。驚くべきことに、そして予想外に、この結合は、電子伝達部が結合する塩基のワトソン−クリック塩基対形成を、部が大きすぎない限り、混乱させない。実際、この部での結合は、核酸融解曲線で測定すると、リボース−ホスフェート主鎖のリボースでの結合よりも、実際に妨害を少なくするようである。
従って、内部塩基への結合が起こっている場合、第2電子伝達部の大きさは、塩基結合電子伝達部を含む二本鎖核酸の構造が明白に妨害されず、一本鎖核酸のアニーリングを妨害しないようにすべきである。好ましくは、そのうえ、配位子および完全第2電子伝達部は、一般に二本鎖核酸の主溝の大きさより小さい。
あるいは、第2電子伝達部を末端ヌクレオシドの塩基に結合できる。従って、検出する標的配列がnヌクレオシド長である時、プローブを、n塩基に結合した第2電子伝達部を有するように製造できる。あるいは、プローブが核酸の余分の末端ヌクレオシドを含み得(n+1またはn+2)、これは電子伝達部の共有結合に使用するが、塩基対ハイブリダイゼーションには関与しない。加えて、プローブのハイブリダイゼーションにより、塩基対に共有結合した電子伝達部を含む末端ヌクレオシドが、ワトソン−クリック塩基対形成ヌクレオシドに直接隣接することが好ましい;すなわち、電子伝達部は、電子がσ結合から、“π−道”に到達するのに最少の移動をするか、そうでなければ、電子的にπ−道に接触できるように、塩基対の重層π軌道にできるだけ近いべきである。
塩基への共有結合的結合は、一部、選択した第2電子伝達部に依存するが、一般に、概説のように、導電性オリゴマーの塩基への結合と類似である。好ましい態様において、第2電子伝達部は、遷移金属錯体であり、従って、適当な金属配位子の塩基への結合は電子伝達部の共有結合をもたらす。あるいは、同様なタイプの結合を、当業者に認められるように、有機電子伝達部の結合に使用し得る。
一つの態様において、シトシンのC4結合アミノ基、アデニンのC6結合アミノ基、またはグアニンのC2結合アミノ基は、遷移金属配位子として使用し得るが、この態様において、末端塩基への結合が、これらの位置での結合がワトソン−クリック塩基対形成を混乱させるため、好ましい。
芳香族基を含む配位子は、当業者に既知のように、アセチレン結合を介して結合できる(本明細書に引用して包含させるComprehensive Organic Synthesis,Trost et al.,Ed.,Pergamon Press,Chapter 2.4:Coupling Reactions Between sp2 and sp Carbon Centers,Sonogashira,pp 521-549およびpp 950-953参照)。構造31は金属イオンおよび他の必要な配位子の存在下での代表的構造を記載する;構造31はウリジンを記載するが、本明細書に記載の全ての構造に関して、他の塩基も使用し得る。
Figure 0004072206
aは、窒素、酸素、硫黄またはリン供与配位子またはメタロセン配位子のような有機金属配位子を含み得る配位子である。適当なLa配位子は、フェナンスロリン、イミダゾール、ビピおよびテルピを含むが、これらに限定されない。LrおよびMは上記で定義の通りである。また、当業者は、導電性オリゴマーがヌクレオシドと電子伝達部の間に含まれ得ることを認識する。
同様に、導電性オリゴマーに関して、結合はリンカーを使用してなし得、これはアミド結合を利用し得る(両方、明白に本明細書に引用して包含させる、Telser et al.,J.Am.Chem.Soc.111:7221-7226(1989);Telser et al.,J.Am.Chem.Soc.111:7226-7232(1989)を一般に参照)。これらの構造は、一般に下記構造32に記載し、これはまた上記のように、ウリジンを塩基として使用しているが、他の塩基も使用し得る:
Figure 0004072206
この態様において、Lは上記で定義の配位子であり、同様にLrおよびMは上記で定義の通りである。好ましくは、Lはアミノ、フェン、ビピおよびテルピである。
好ましい態様において、ヌクレオシドに結合した第2電子伝達部は、メタロセンである;すなわち、構造32のLおよびLrは、両方メタロセン配位子、Lmは上記の通りである。構造33は好ましい態様を記載し、メタロセンがフェロセンであり、塩基がウリジンであるが、他の塩基も使用し得る:
Figure 0004072206
先のデータは、構造33が、フェニル酸素を攻撃する第2アセチレン炭素で環化し得、フラン−様構造を形成することを示す。
好ましいメタロセンは、フェロセン、コバルトセンおよびオスミウモセンを含む。
従って、好ましい態様において、本発明はヌクレオシドに共有結合したメタロセンを提供する。好ましい態様において、メタロセンはヌクレオシドの塩基に結合する。別の好ましい態様において、メタロセンはヌクレオシドのリボースに結合する。あるいは、メタロセンは主鎖のホスフェートに結合し得るが、これは一般に好ましくない。結合がホスフェートである場合、一般に、ホスフェート原子とメタロセンの環の炭素との間に約2−4原子以上は存在しない。好ましい態様において、メタロセンはフェロセンまたは置換フェロセンである。
好ましい態様において、第2電子伝達部は核酸のリボース−ホスフェート主鎖の任意の位置、すなわち、5’または3’末端または任意の内部ヌクレオシドでリボースに結合する。当分野で既知のように、リボースの2’または3’位置で修飾されたヌクレオシドを製造でき、窒素、酸素、硫黄およびホスフェート含有修飾が可能である。一般に、本明細書に引用して包含させるPCT公開WO95/15971参照。これらの修飾グループは、遷移金属配位子、または他の遷移金属配位子と有機金属配位子の結合のための化学的官能部、または当分野で認識される有機電子供与部として使用し得る。本態様において、本明細書で“Z”として記載するようなリンカー、またはリボースと電子伝達部の間の導電性オリゴマーを同様に使用し得る。好ましい態様は、リボースの2’または3’位での結合を使用し、2’位が好ましい。従って、例えば、構造13、14および15に記載の導電性オリゴマーを、電子伝達部に置き換え得る;あるいは、構造30に記載のように、電子伝達部を導電性オリゴマーの遊離末端に添加し得る。
好ましい態様において、メタロセンは第2電子伝達部として働き、下記構造34に記載のようにアミド結合を介して結合する。実施例は、メタロセンがフェロセンである時の好ましい化合物の合成を概説する。
Figure 0004072206
アミン結合、または他のヘテロ原子を介した結合も可能である。
好ましい態様において、第2電子伝達部は、核酸のリボース−ホスフェート主鎖の任意の位置でホスフェートに結合する。これは、種々の方法でなし得る。一つの態様において、ホスホロアミドまたはホスホロアミデイト結合のようなホスホジエステル結合類似体を、遷移金属配位子として核酸に包含し得る(本明細書に引用して包含させるPCT公開WO95/15971参照)。あるいは、構造16および17に記載の導電性オリゴマーを電子伝達部に置き換え得る;あるいは、電子伝達部を導電性オリゴマーの遊離末端に添加し得る。
一本鎖核酸への共有結合的結合のための好ましい電子伝達部は、メタロセンおよびメタロセノファンのような置換メタロセンを含む遷移金属錯体、およびRu、Os、ReおよびPtの錯体を含むが、これらに限定されない。特に好ましいのはフェロセンおよびその誘導体(特に、ペンタメチルフェロセンおよびフェロセノファン)および一個またはそれ以上のアミン、ポリアミン、イミダゾール、フェナンスロリン、ピリジン、ビピリジンおよびテルピリジンを含むRu、Os、ReおよびPtを含む遷移金属の錯体およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。Ptに関して、更なる好ましい配位子は、キノキサリン−2,3−ジチオレート錯体のようなジイミンジチオレート錯体を含む。
本明細書に記載のように、本発明は、少なくとも第2電子伝達部が共有結合した核酸に導電性オリゴマーを介して結合した第1電子伝達部としての電極を含む組成物を提供する。電子伝達部結合の位置の任意の組み合わせをなし得る;すなわち、5’末端での電極、内部位置での第2電子伝達部;5’末端での電極、3’末端での第2電子伝達部;5’末端での第2部、内部位置での電極;両方内部位置の電極および第2部;内部位置での電極、3’末端での第2部等。好ましい態様は、両方内部ヌクレオシドに結合した電極および第2電子伝達部を使用する。本発明の組成物は、更に、一個またはそれ以上の標識を任意の位置で含み得る。本明細書での“標識”は、化合物の検出を可能にするために結合した元素(例えば、アイソトープ)または化学化合物を意味する。好ましい標識は放射活性同位体標識、着色または蛍光色素である。標識は、任意の位置で化合物に包含し得る。加えて、本発明の組成物は、架橋剤のような他の部も含み得、標的−プローブ錯体の架橋を促進する。例えば、両方とも明白に本明細書に引用して包含させる、Lukhtanov et al.,Nucl.Acids.Res.24(4):683(1996)およびTabone et al.,Biochem.33:375(1994)参照。
本発明の組成物は、一般に、下記に概説のように、一般に当分野で既知の方法を使用して合成する。当業者に認められるように、下記に概説の多くの方法は、リボース−ホスフェート主鎖を含む核酸に関する。しかしながら、上記に概説のように、多くの別の核酸類似体を使用し得、そのいくつかは主鎖にリボースまたはホスフェートを含まない。これらの態様において、塩基以外の位置での結合に関して、結合は、主鎖に依存して、当業者に認められるように行う。従って、例えば、結合はPNA主鎖の炭素原子で、下記に記載のように、またはPNAのいずれかの末端で行うことができる。
本組成物はいくつかの方法で製造し得る。好ましい方法は最初にヌクレオシドに結合した導電性オリゴマーを、更なるヌクレオシドの添加、続く電極への添加をしながら合成する。第2電子伝達部は、存在する場合、電極への結合前にまたは後に添加し得る。あるいは、全核酸を製造し、次いで、完全な導電性オリゴマーを添加し、続いて電極に結合する。あるいは、導電性オリゴマーおよび単層(存在する場合)を最初に電極に結合し、続いて核酸を結合する。後者の二つの方法は、使用する導電性オリゴマーが、溶媒中でおよび慣用的核酸合成の条件下で安定でないとき、好ましいことがある。
好ましい態様において、本発明の組成物は、最初に、ヌクレオシドに共有結合した導電性オリゴマーを製造し、続いて、存在する場合、第2電子伝達部を含むヌクレオシドを含む付加的ヌクレオシドを添加して核酸を形成し、最後の段階は導電性オリゴマーの電極への結合を含む。
導電性オリゴマーのヌクレオシドへの結合はいくつかの方法で行い得る。好ましい態様において、全てまたは一部の導電性オリゴマーを、最初に合成し(一般に、電極への結合のために官能基を末端に有する)、これを付いてヌクレオシドに結合させる。付加的ヌクレオシドを対で必要に応じて添加し、最後の段階は一般に電極への結合である。あるいは、オリゴマー単位を一度にヌクレオシドに添加し、付加的ヌクレオシドの添加および電極への結合をする。
好ましい態様の一般的概略は図1に記載し、構造5に一般的に記載するフェニル−アセチレンオリゴマーを使用する。ヘテロオリゴマーのような、他の導電性オリゴマーは同様の方法を使用して、または当分野で既知のように製造する。従って、例えば、アルケンまたはアセチレン結合を使用した導電性オリゴマーは当分野で既知のように製造する。
次いで、導電性オリゴマーを、本明細書に記載のように結合した、1個(またはそれ以上の)オリゴマー単位を含み得るヌクレオシドに結合させる。
好ましい態様において、結合はリボース−ホスフェート主鎖のリボースにである。従って、図1はアミド結合を介した結合、そして図2はアミン結合を有する化合物の合成を記載する。好ましい態様において、リボースに結合した窒素と導電性オリゴマーの芳香族環の間に、少なくとも一つのメチレン基または他の短い脂肪族アルキル基(Z基として)が存在する。代表的合成を図16に示す。
あるいは、結合はリボース−ホスフェート主鎖のホスフェートを介している。二つの合成スキームの例を図4(構造16タイプの化合物の合成)および図5(構造16タイプ化合物の合成)に示す。両方の図はリボースの3’位での結合を示すが、結合はまた2’位を介してもなし得る。図5において、Zはエチレンリンカーであるが、同業者に認められるように、他のリンカーも同様に使用し得る。
好ましい態様において、結合は塩基を介している。一般的スキームを、ヌクレオシドとしてウリジンを、そしてフェニルアセチレン導電性オリゴマーを使用して図3に記載する。同業者に認められるように、アミド結合も、当分野で既知の方法を使用して、構造12に記載のように可能である。好ましい態様において、保護基を、、図18および19に一般的に概説のように、導電性オリゴマーの付加の前に塩基に添加し得る。加えて、パラジウム交差結合反応は、二量体化問題を防止するために変え得る;すなわち、二つの導電性オリゴマーが、塩基に結合するより、むしろ二量体化する。
あるいは、塩基への結合をヌクレオシドを、オリゴマーの一つの単位を有して製造し、続いて他を添加することによりなし得る。
電極への結合の前に、修飾ヌクレオシドを製造し、保護して活性化したら、それらを標準合成法により、いくつかの方法で成長しているオリゴヌクレオチドに包含させる(Gait,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxford,UK 1984;Eckstein)。一つの態様において、1個またはそれ以上の修飾ヌクレオシドを三ホスフェート形に変形し、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に、酵素DNAポリメラーゼI、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、逆転写酵素およびRNAポリメラーゼの使用によるような、標準分子生物学法を使用して包含させる。3’修飾ヌクレオシドの核酸への包含に関して、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用し得る。(Ratliff,Terminal deoxynucleotidyltransferase.The Enzymes,Vol.14A.P.D.Boyer ed.pp 105-118.Academic Press,San Diego,CA 1981中)。あるいは、そして好ましくは、アミノヌクレオシドをホスフォロアミデイトまたはH−ホスホネート形に変換し、これを次いでオリゴヌクレオチド合成の固相または溶液合成に使用する。この方法で、リボースへの(すなわち、アミノ−またはチオール−修飾ヌクレオシド)または塩基への結合用の、修飾ヌクレオチドはオリゴヌクレオチドに内部位置または5’末端で包含させる。これは、一般に、二つの方法の一つで行う。第1に、リボースの5’位を4’,4−ジメトキシトリチル(DMT)で保護し、続いて2−シアノエトキシ−ビス−ジイソプロピルアミノホスフィンとジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド存在下で反応させるか、または2’−シアノエトキシホスフィンクロロジイソプロピルアミノと反応させ、当分野で既知のようにホスホロアミデイトを得る;しかしながら、他の方法を当業者に認められるように使用し得る。両方とも本明細書に引用して包含させる、Gait前掲;Caruthers,Science 230:281(1985)参照。
電子伝達部の3’末端への結合のために、好ましい方法は修飾ヌクレオシドの制御孔ガラス(CPG)または他のオリゴマー支持体への結合を使用する。この態様において、修飾ヌクレオシドを5’末端でDMTで保護し、次いで、無水コハク酸と活性化しながら反応させる。得られるスクシニル化合物をCPGまたは当分野で既知の他のオリゴマー支持体に結合させる。更に、修飾しているか、またはしていないホスホロアミデイトヌクレオシドを、脱保護後に5’末端に結合させる。従って、本発明はCPGのような固体オリゴマー支持体に結合したヌクレオシドに共有結合した導電性オリゴマー、および本発明のヌクレオシドのホスホロアミデイト誘導体を提供する。
成長している核酸はまた第2電子伝達部に共有結合した少なくとも一つのヌクレオシドも含み得る。本明細書に記載のように、共有結合した第2電子伝達部を有する修飾ヌクレオシドを製造し得、導電性オリゴマー−ヌクレオシドに関して上記に概説のように、核酸に包含させる。遷移金属錯体を第2電子伝達部として使用する時、合成はいくつかの方法で行い得る。好ましい態様において、配位子をヌクレオシドに、続いて遷移金属イオンを添加し、次いで結合した遷移金属錯体を有するヌクレオシドをオリゴヌクレオチドに、すなわち、核酸シンセサイザーに添加することにより、電荷する。あるいは、配位子を結合し、続いて成長しているオリゴヌクレオチド鎖に包含させ、続いて金属イオンを添加し得る。
好ましい態様において、電子伝達部をリボース−ホスフェート主鎖のリボースに結合させる。これは、アミノ−修飾ヌクレオシドを使用して、リボースの2’または3’位に、PCT公開WO95/15971に概説のように行う。アミノ基を次いで配位子として、例えば、金属イオンの結合のための遷移金属配位子として、または他の配位子または有機電子伝達部の、例えば、アミド結合を介した結合に使用できる化学的官能基として、当分野で認められるように使用し得る。例えば、例は、アミド結合を介してリボースに結合したメタロセンを有するヌクレオシドの合成を記載する。
好ましい態様において、電子伝達部はリボース−ホスフェート主鎖のホスフェートに結合する。本明細書に概説のように、これは、ホスホロアミデイト結合のようなホスホジエステル類似体を使用して(一般に、PCT公開WO95/15971参照)、または図4および5に記載のものと同様の方法でなし得、ここで、導電性オリゴマーは遷移金属配位子または錯体もしくは有機電子伝達部に置き換わる。
別の主鎖、例えば、ペプチド核酸または別のホスフェート結合への結合は、当業者に認められるように行う。
好ましい態様において、電子伝達部はヌクレオシドの塩基に結合する。これは、種々の方法でなし得る。一つの態様において、天然に存在するか、または本明細書に記載ように添加した(例えば、図参照)、塩基のアミノ基を、遷移金属錯体の配位子、または他の配位子を、例えば、アミド結合を介して添加するのに使用できる化学的官能基、または有機電子伝達部として使用する。これは、当業者に認められるように行う。あるいは、ヘテロ環式環に結合したハロゲン原子を含むヌクレオシドは商品として入手可能である。アセチレン結合配位子は、一般的に既知のように、ハロゲン化塩基を使用して添加し得る;例えば、全て、引用して本明細書に包含させる、Tzalis et al.,Tetrahedron Lett.36(34):6017-6020(1995);Tzalis et al.,Tetrahedron Lett.36(2):3489-3490(1995);およびTzalis et al.,Chem.Communications(投稿中)1996参照。また、塩基へのアセチレン結合を介して結合したメタロセンの合成を記載した実施例も参照。
一つの態様において、ヌクレオシドは、核酸に包含させた遷移金属配位子を有して製造し、次いで、遷移金属イオンおよび残りの必要な配位子を当分野で既知のように添加する。別の態様において、遷移金属イオンおよび付加的配位子を、核酸への包含前に添加する。
ある態様において、本明細書に概説のように、導電性オリゴマーを第2電子伝達部とヌクレオシドの間に使用する。これらは、本明細書に記載の方法を使用して、末端第2電子伝達部を添加して、製造する。
本発明の核酸が、共有結合した導電性オリゴマーおよび所望により第2電子伝達部を有して製造されたら、導電性オリゴマーを電極に結合させる。本方法は、使用する電極のタイプに依存して変化する。本明細書に記載のように、導電性オリゴマーは一般に末端“A”を有して製造され、電極への結合を促進する。本適用の目的のために、硫黄−金結合は共有結合とみなす。
好ましい態様において、導電性オリゴマーは硫黄結合を介して電極に共有結合する。しかしながら、驚くべきことに、分子の金電極への結合に使用する慣用的保護基は、一般に、本明細書に記載の組成物の合成およびオリゴヌクレオチド合成反応への包含の両方への使用に理想的である。従って、本発明は、図に記載のようなエチルピリジンおよびトリメチルシリルエチルを含む、普通でない保護保護基を使用した、導電性オリゴマーの金電極への結合の新規方法を提供する。
これは、いくつかの方法でなし得る。好ましい態様において、電極への結合のために硫黄原子を含む導電性オリゴマーのサブユニットをエチル−ピリジンまたはトリメチルシリル基で保護する。前者に関して、これは一般に硫黄原子(好ましくはスルフヒドリルの形で)を含むサブユニットをビニルピリジン基またはビニルトリメチルシリルエチル基と、エチルピリジン基またはトリメチルシリルエチル基が硫黄原子に添加されるような条件下で接触させることにより行う。
このサブユニットは、一般に、付加的サブユニットへの結合のために官能部も含み、従って、付加的サブユニットが結合して導電性オリゴマーを形成する。導電性オリゴマーを次いでヌクレオシドに結合させ、付加的ヌクレオシドが結合する。保護基を次いで除去し、硫黄−金共有結合を行う。あるいは、導電性オリゴマーの全てまたは一部を製造し、次いで、保護硫黄原子を含むサブユニットを添加するか、硫黄原子を添加して、保護する。導電性オリゴマーを次いでヌクレオシドに結合させ、付加的ヌクレオチドを結合させる。あるいは、核酸に結合した導電性オリゴマーを製造し、次いで保護硫黄原子を含むサブユニットを添加するか、硫黄原子を添加して、保護する。あるいは、エチルピリジン保護基を上記のように使用し得るが、1またはそれ以上の段階の後に除去し、ジスルフィドのような標準的な保護基に置き換える。このように、エチルピリジンまたはトリメチルシリルエチル基は、合成反応のいくつかで保護基のように作用し得、次いで、除去して慣用的保護基に置き換える。
本明細書の導電性ポリマーの“サブユニット”は、硫黄原子が結合する導電性オリゴマーの少なくとも一部を意味するが、導電性オリゴマーの付加的成分の添加を可能にする官能基、または導電性オリゴマーの付加的成分を含む付加的原子も存在し得る。従って、例えば、構造2オリゴマーを使用する時、サブユニットは少なくとも第1Y基を含む。
好ましい方法は、1)一般に、ビニルピリジンまたはトリメチルシリルエチル基のスルフヒドリルへの添加により行う、導電性オリゴマーの第1サブユニットに結合した硫黄原子への、エチルピリジンまたはトリメチルシリルエチル保護基の添加;2)導電性オリゴマーの形成のための付加的サブユニットの添加;3)少なくとも第1ヌクレオシドの導電性オリゴマーへの添加;4)核酸を形成するための付加的ヌクレオシドの第1ヌクレオシドへの添加;4)導電性オリゴマーの金電極への結合を含む。これはまた実施例に記載のように、ヌクレオシドの非存在下でも行い得る。
上記の方法は、金電極への不動態化分子の結合にも使用し得る。
好ましい態様において、不導態化剤の単層を電極に添加する。一般に、添加の化学は、導電性オリゴマーの電極への添加と類似か同じであり、即ち、金電極への結合に硫黄原子を使用するなどである。核酸に共有結合した導電性オリゴマーに加えて、単層を含む組成物(第2電子伝達部有りまたは無し)を、少なくとも5つの方法の一つでなし得る:(1)単層の添加、続く導電性オリゴマー−核酸錯体の連続的添加;(2)導電性オリゴマー−核酸錯体の添加、続く単層の添加;(3)単層と導電性オリゴマー−核酸錯体の同時添加;(4)完全な核酸への結合に適した官能基で停止している導電性オリゴマーを含む単層の形成(1,2または3を使用した);または(5)核酸合成に適した官能基で停止した導電性オリゴマーを含む単層の形成、即ち、核酸を当分野で既知のように単層表面で合成する。このような適当な官能部は、ホスホロアミデイト添加のためのヌクレオシド、アミノ基、カルボキシル基、保護硫黄部、またはヒドロキシル基を含むが、これらに限定されない。例は、好ましい方法(1)を使用した金電極上の単層の形成を記載する。
好ましい態様において、核酸はペプチド核酸または類似体である。この態様において、本発明は少なくとも一つの共有結合化学置換基を有するペプチド核酸を提供する。本明細書の“化学置換基”は、任意の化学的または生物学的部を意味する。好ましい化学置換基は、アミノ基、チオール基、他の原子に結合して使用できる炭素原子など;標識;検出に使用できるシグナル発生部などのような化学官能部を含むが、これらに限定されない。従って、化学置換基は、電極を含む電子伝達部、遷移金属錯体および有機電子伝達部;他の遷移金属錯体;他の蛍光標識、放射性同位体標識および化学ルミネッセント標識を含む標識;ビオチン、アビジン、およびジゴキシゲニンのようなハプテン;抗原;抗体、配位子、レセプターおよび酵素のようなタンパク質;導電性オリゴマーおよび他のポリマー;および核酸のような結合形成対の他の成分を含むが、これらに限定されない。
好ましい態様において、化学置換基は、PNAの単量体サブユニットに共有結合している。本明細書の“PNAの単量体サブユニット”は、−NH−CH2CH2−N(COCH2−塩基)−CH2−CO−単量体またはPNAの誘導体(“ヌクレオシド”の定義内に含まれる)を意味する。例えば、PNA主鎖の炭素原子の数を変え得る;一般に、本明細書に引用して包含させる、PNA誘導体の数を記載したNielsen et al.,Chem.Soc.Rev.1997,73頁参照。同様に、塩基を主鎖に結合させるアミド結合を変え得る;ホスホロアミドおよびスルファーアミド結合を使用し得る。
好ましい態様において、化学置換基を内部単量体サブユニットに結合する。本明細書で“内部”は、単量体サブユニットがN−末端単量体サブユニットまたはC−末端単量体サブユニットでないことを意味する。
本態様において、化学置換基を単量体サブユニットの塩基または主鎖に結合できる。好ましい態様において、少なくとも一つの化学置換基を内部塩基に結合する。塩基の結合は、本明細書に概説のように、または文献から既知のように行う。一般に、化学置換基を塩基に添加し、これを次いで本明細書に概説のようにPNAに包含させる。塩基は、化学置換基の添加前またはその後に、PNA合成反応への包含に必要なように保護されているか、包含されるように誘導体化されている。塩基の保護および誘導体化は、図24−27に示す。塩基を次いで図28に示すように、単量体サブユニットに包含できる。図29および30は、二つの異なる化学置換基、電子伝達部および塩基で結合した導電性オリゴマーを示す。図29は、ウラシル塩基に結合したフェロセンで、PNA単量体サブユニットの代表的合成を示す。図30は、ウラシル塩基に結合した3ユニット導電性オリゴマーの合成を記載する。
好ましい態様において、化学置換基はPNAポリマーの主鎖に共有結合する。結合は、一般に、単量体サブユニットの非置換炭素原子の一つ、好ましくは図31および32に記載のように、主鎖のα−炭素へであるが、1または2位の炭素、または塩基を主鎖に結合させるアミド原子のα−炭素での結合もなし得る。PNA類似体の場合、他の炭素または原子を同様に置換し得る。好ましい態様において、化学置換基を、末端単量体サブユニットまたは内部のα−炭素原子に添加する。
この態様において、修飾単量体サブユニットを、化学置換基、またはその結合のための官能基を有して合成し、次いで塩基を添加して修飾単量体を成長しているPNA鎖に包含させ得る。図31は、PNA単量体サブユニットの主鎖に共有結合した導電性オリゴマーを記載し、図32は単量体サブユニットの主鎖に結合したフェロセンの合成を記載する。
製造した共有結合化学置換基を有する単量体サブユニットは、両方ともその全体を引用して本明細書の一部とした、Will et al.,Tetrahedron 51(44):12069-12082(1995)およびVanderlaan et al.,Tett.Let.38:2249-2252(1987)に概説のような方法を使用して、PNAに包含させる。これらの方法は、ペプチド核酸への化学置換基の添加を、化学置換基を破壊させることなく可能にする。
好ましい態様において、電子伝達部および遷移金属錯体以外の化学置換基を末端単量体サブユニットの塩基のいずれかまたは両方に結合させる。この態様において、好ましい化学置換基は、フルオロセント(fluoroscent)、放射性同位体および化学ルミネセンス標識を含む。
当業者に認められるように、電極は、核酸、導電性オリゴマーおよび不動態化剤の任意の組み合わせを有するように製造し得る。従って、種々の異なる導電性オリゴマーまたは不動態化剤を一つの電極で使用し得る。
製造した本発明の組成物には、本明細書に記載のように、多くの応用が見出される。
好ましい態様において、本発明の組成物を、サンプル中の標的配列を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイでのプローブとして使用する。本明細書中の“標的配列”なる用語またはその文法的文法的な相同語は、核酸の一本鎖上での核酸配列を意味する。標的配列は、遺伝子、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、mRNAおよびrRNAを含むRNAの一部、その他であり得る。より長い配列がより特異的であるという理解の下に、任意の長さであり得る。当業者に認められるように、相補的標的配列は、多くの形を取り得る。例えば、大きな核酸配列中に含まれ得、すなわち、遺伝子またはmRNA、とりわけ、プラスミドまたはゲノムDNAの制限フラグメントの全てまたは一部である。より詳細に下記のように、プローブは標的配列とハイブリダイズし、サンプル中の標的配列の存在または非存在を測定する。概して、本用語は、当業者に理解されてる。
必要であれば、標的配列は既知の方法を使用して製造する。例えば、サンプルを、既知の融解緩衝液、エレクトロポレーションなどを使用して、処理して細胞を融解し、必要に応じて、当業者に認められるように、精製および/または増幅を行う。
本発明のプローブは、標的配列と本発明のプローブのハイブリダイゼーションが起こるように、標的配列に相補的であるように設計する。下記概説のように、この相補性は完全である必要はない;標的配列と本発明の一本鎖核酸の間のハイブリダイゼーションを妨害する任意の数の塩基対ミスマッチが存在し得る。しかしながら、変異の数が、ハイブリダイゼーションがハイブリダイゼーション条件の最低のストリンジェント下でさえ起こることができない程多い場合、配列は標的配列に相補的ではない。
高、中度および低いストリンジェンシー条件を含む、種々のハイブリダイゼーション条件を本発明で使用し得る;例えば、本明細書に引用して包含させる、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,1989およびShort Protocols in Molecular Biology,ed.Ausubel,et al.参照。
ハイブリダイゼーション条件は、非イオン性主鎖、即ちPNAを使用する時、当分野で既知のようにまた変化し得る。加えて、交差架橋剤を、標的がハイブリダイゼーション錯体の二つの鎖に、架橋するために結合した、即ち、共有結合後に、添加し得る。
好ましい態様において、一本鎖核酸を、第1電子伝達部、電極および第2電子伝達部を含むように製造する。標的配列へのハイブリダイゼーションは、二本鎖ハイブリダイゼーション錯体を形成する。ハイブリダイゼーション錯体において、少なくとも電子伝達部を含むヌクレオシドの間の配列が二本鎖である、即ち、開始により、錯体が少なくとも一つの電子を、電子伝達部の一方から他方へ移動できるように、重層π−軌道を含む。当業者に認められるように、電極は電子供与体または受容体として働き得、第二電子伝達種の選択をそれに応じで成す。
別の態様において、a)導電性オリゴマーを介して電極に共有結合した第1一本鎖核酸およびb)第2電子伝達部を含む第2一本鎖核酸を含む組成物を製造する。この態様において、第1一本鎖核酸は、第1標的ドメインにハイブリダイズでき、第2一本鎖核酸は第2標的ドメインにハイブリダイズできる。本明細書の“第1標的ドメイン”および“第2標的ドメイン”なる用語またはその文法的な相同語は、試験下にある核酸内の標的配列の二つの位置を意味する。第1標的ドメインは、第2標的ドメインに-直接隣接し得、または第1と第2標的ドメインは、介在標的ドメインにより分離し得る。好ましくは、このドメイン間にギャップがない;即ち、それらは隣接する。“第1”および“第2”なる用語は、標的配列の5’−3’配向に関する配列の配向を付与する意味はない。例えば、相補的標的配列の5’−3’配列に関して、第1標的ドメインは、第2ドメインの5’または第2ドメインの3’のいずれかに位置し得る。
この実施態様において、第1の一本鎖核酸は第1標的ドメインにハイブリダイズし、第2の一本鎖核酸は第2標的ドメインにハイブリダイズして、ハイブリダイゼーション複合体を形成する。前に概記したように、ハイブリダイゼーション複合体は開始時に電子伝達部間の少なくとも1つの電子を伝達することができる。
当業者は理解できるように、ハイブリダイゼーション複合体は、2つの核酸、すなわち電極に結合したプローブと両者に結合している第2電子伝達部を有する標的とを含み得る。また、ハイブリダイゼーション複合体は3つの核酸を含み得る。すなわち、電極に結合した第1プローブ、第2プローブおよびこれらのいずれにも結合した第2電子伝達部を有する標的核酸である。同様に、ハイブリダイゼーション複合体は4つ以上の核酸でもってつくることができる。最も重要なことは、第2電子伝達部と電極に結合しているヌクレオシドとの間に積み重なったπ軌道が存在することである。
一つの実施態様において、a)導電性オリゴマーを介して電極に共有結合した一本鎖の核酸とb)標的核酸とを有する組成物がつくられた。この実施様態において、標的とプローブのハイブリダイゼーションが起きると、ハイブリダイゼーションインディケーターが加えられる。ハイブリダイゼーションインディケーターは二本鎖核酸と優先的に結合する電子伝達部として働く。通常逆であるが、同様の方法は、Millan et al.,Anal.Chem.65:2317-2323(1993);Millan et al.,Anal.,Chem.662943-2948(1994)(出典明示により本明細書の一部とする)参照。ハイブリダイゼーションインディケーターには、インターカーレーターおよび副および/または主溝結合部が含まれる。好ましい実施態様においてインターカーレーターが用いられる。なぜならインターカーネーションは一般的に二本鎖核酸の存在下のみに起き、電子伝達は標的ハイブリダイゼーションの存在のみで生じる。インターカーネート遷移金属複合体電子伝達部は既存技術で知られている。同様に、メチレンブルーなどの副および/または主溝結合部もこの実施様態で用いることができる。
さらに、ハイブリダイゼーションインディケーターは、本発明の他の系のいずれにおいても用いることができる。例えば、これを用いると、共有的に結合した電子伝達部に加えて、系において生成されるシグナルを容易にし、停止あるいは増幅する。例えば、上記のMilanによると、いくつかのハイブリダイゼーションインディケーターは、ミスマッチ含有の核酸に優先して、完全に相補的な二本鎖核酸に結合する。このことは系に追加の情報を与えるのに役立つ。同様に電子的結合がハイブリダイゼーションインディケーター結合により増加することになる。他方、電子伝達シグナルの停止はハイブリダイゼーションインディケーターを用いて達成され、これにより、電子が電極よりもむしろ第2電子伝達部とハイブリダイゼーションインディケーターの間を流れる。
別の実施様態において、a)導電性オリゴマーを介して電極に共有結合した第1の一本鎖核酸、b)第2電子伝達部を含有する一本鎖核酸およびc)介在一本鎖核酸(標識されていることもあり、あるいは電子伝達部を含むこともある)を含む組成物が使用される。PCT WO95/15971に概記されているように、開始時の電子伝達をもって、第1の一本鎖核酸は第1標的ドメインにハイブリダイズし、第2の一本鎖核酸は第2標的ドメインにハイブリダイズし、介在核酸は介在標的ドメインにハイブリダイズする。介在核酸は、単一のヌクレオシドであるが、電子伝達部間の距離についてのパラメーターを考慮すれば、どのような長さでもよい。
さらに、リガーゼを用いるなどの標準的分子生物学の技法によって、第1と第2、第1、介在と第2の各核酸は電子伝達反応の前に連結することができる。
1つの実施態様において、本発明の組成物は相補的な標的配列中のミスマッチを検出するのに用いられる。ミスマッチは、1つのヌクレオシドあるいは複数のヌクレオシドにおける変更、挿入または欠失のいずれであっても、核酸のハイブリダイズ二重らせんにおける正しくない塩基対を生じる。従って、電子供与体部から電子受容体部への道がミスマッチである領域に及んでいると、相対インピーダンスに電価がみられるように、電子伝達が低下する。従って、この実施態様では、電子供与体部は変異から5′位で核酸に結合し、電子受容体部は3′位で核酸に結合し、またその逆もある。
電子伝達は好ましい電圧を持って電子的に一般的に開始される。電位が修飾核酸プローブを含有するサンプルに応用される。応用電位における厳密なコントロールおよび変形は、電位および3電極系(1つの対照、1つのサンプル、1つの逆電極)または2電極系(1つのサンプル、1つの逆電極)を介している。このことで応用電位が系のピーク電子伝達電位にマッチされる。この系は、一部が核酸に結合した電子受容体の選択に、一部が用いた導電性オリゴマーに依存しているものである。
好ましくは、二本鎖核酸と一本鎖核酸との系インピーデンス間の相対的な相違を最大にするように、開始および検出が選択される核酸を介しての電子伝達の効率は、化合物のインピーデンスの機能である。
好ましい実施態様において、同時還元剤または同時酸化剤(合せて、同時レドックス剤)が追加の電子源として用いられる(参照、Sato et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn 66:1032(1993);Uosaki et al.,Electrochimica Acta 36:1799(1991);およびAlleman et al.,J.Phys.Chem 100:17050(1996)、出典明示により本明細書の一部とする)。
好ましい実施態様において、溶液中の入力電子源が電子伝達の開始に用いられる。好ましくは、直流電流を用いて開始および検出がなされたとき、および電極中に不動態化剤の単分子層が存在するときである。これはいくつかの一般的な方法で行うことができる。好ましい実施態様において、入力電子源は、プローブ核酸に共有的に結合した第2電子伝達部(ETM)よりも低いか同じレドックス電位を有する。このように、入力電子源のレドックス電位以上の電圧において、第2ETMおよび入力電子源が酸化されて電子を与え得る。ETMはハイブリダイゼーション複合体を介して導電性オリゴマーを介して電極に電子を与え、入力源がETMに与える。例えば、実施例中に記載した本発明の組成物に結合した第2ETMとして、フェロセンは、水溶液中で大略200mVのレドックス電位を有する。(フェロセンが何に結合しているかによって少し変化する)電子源のフェロシアニドは、同様に約200mVのレドックス電位を有する。従って、約200mVまたはそれ以上の電圧において、フェロセンはフェリセニウムの変わり、電子を核酸に伝達する。もしこの核酸が二本鎖であると、二本鎖核酸および導電性オリゴマーを介して迅速に電極への伝達が進む。電子をETMに伝達するためにフェリシアニドを酸化することができる。この方法において、電子源(または同時還元剤)は系に生じたシグナルを増幅するために働き、電子源分子が核酸に結合した第2ETMに電子を迅速に、かつ繰り返して伝達する。電子の供与・受容の速度は、濃度および大きさなどにより影響される同時還元剤の拡散の速度に制限される。
他方、第2ETMよりも低いレドックス電位を有する入力電子源が用いられる。ETMのレドックス電位よりも低いが、電子源のレドックスよりも高い電圧において、フェロシアニドなどの入力源は酸化され得ず、ETMに電子を与え得ない。すなわち電子伝達が起きない。しかし、電子源分子の使用は、絶縁すなわち不動態化層が存在しているときのみ可能である。なぜなら、存在していないと、源分子が電極に直接、電子を伝達するからである。従って、好ましい実施態様においては、電子源は溶液で用いられハイブリダイズされた標的配列の存在下に生じたシグナルを増幅する。
他の好ましい実施態様において、入力電子源は、プローブ核酸に共有結合した第2電子伝達部(ETM)よりも高いレドックス電位を有する。例えば電子源のルミノールは大略720mVのレドックス電位を有する。ETMのレドックス電位よりも低い電圧、すなわち200−720mVにおいては、電圧がルミノールのレドックス電位よりも低いので、ETMはルミノール電子源から電子を受けることができない。しかし、ルミノールのレドックス電位、またはそれ以上で、ルミノールはETMに電子を伝達し、迅速かつ反復の電子伝達を可能とする。この方法において、電子源(または同時還元剤)は系で生じたシグナルを増幅するのに働き、電子源分子は核酸に結合した第2ETMに迅速にかつ反復して電子を供与する。
ルミノールは酸化に際して化学的発光種になるという別の利点もあり(参照Jirka et al.,Analytica Chemica Acta 284:345(1993))、二本鎖核酸を介しての電子伝達の光学的検出が可能となる。ルミノールが電極に直接接触しない限り、すなわち不動態化層が存在する限り、核酸上の第2電子伝達部(例えばフェロセン)に電子を伝達することのみによりルミノールは酸化される。二本鎖核酸が存在していないと、すなわち標的配列が本発明の組成物にハイブリダイズしていないときは、系は高いインピーダンスを起こし、ルミノールからの低い光子放出および低い(もしあれば)シグナル放出をもたらす。二本鎖核酸の存在すなわち標的配列のハイブリダイゼーションにおいて、第2電子伝達部は低いインピーダンスを有し、非常に大きいシグナルを生じる。このように光子放出によるルミノール酸化の測定は、電極に電子を与える第2電子伝達部の能力についての間接的な測定となる。さらに、光子検出は一般的に電子検出よりも感度がよいので、系の感度が増大する。最初の結果から、発光が過酸化水素濃度、pHおよびルミノール濃度(これは直線的ではない)に依存していることが示唆される。
適切な電子源分子は周知であり、フェリシアニドやルミノールが含まれるが、これらに限定されない。
他方、出力電子受容体を用いることができる。すなわち上記反応を逆に行う。電極から電子を受けるメタロセンなどのETMを用いる。電子を迅速に繰り返し受ける出力電子受容体でメタロセンをメタリセニウムに変える。この実施態様で、コバルトイセニウムが好ましいETMである。
核酸を介しての電子伝達は種々の方法によって検出することができる。例えば、選択できる方法として、これらに限定されるものではないが、フルオレッセンス、ホスホレッセンス、ルミニセンス、ケミルミニセンス、エレクトロルミニセンスおよび屈折率がある。電子検出には、これらに限定されるものではないが、アンペロメトリー、ボルタメトリー、キャパシタンス、インピーデンスがある。これらの方法には、交流または直流の電流に基づく時間・周波数依存法、パルス法、ロックイン法、フィルター法(高パス、低パス、バンドパス)および時間分解フルオレセンスなどの時間分解法がある。いくつかの実施態様において、必要とされるすべては電子伝達検出であり、他の実施態様において電子伝達速度が測定される。
1つの実施態様において、核酸二重らせんの一端から他端への電子の効率的な伝達は、電子供給体と受容体の両方のレドックス状態での定型的変化をもたらす。ビピリジン、ピリジン、イミダゾール環含有のルテニウム複合体を含む多くの電子伝達部でもって、レドックス状態におけるこれらの変化はスペクトルの変化に関連している。吸収の顕著な相違がこれらの分子について還元状態と酸化状態の間にみられる。例えば、参照、Fabbrizzi et al.,Chem.Soc.Rev.1995 pp192-202。これらの相違は、分子光度計あるいは光電子増倍管を用いて監視することができる。
この実施態様において、電子供与体および受容体には、光学活性化すなわち開始について上記したすべての誘導体が含まれる。好ましい電子供与体および受容体は電子伝達を高感度で監視し得るレドックスについて大きいスペクタル変化を特徴としている。好ましい例に、Ru(NH34pyおよびRu(bpy)zimがある。吸収によって監視される供給体または受容体のみが理想のスペクトル特性を有していることが理解されるべきである。電子供給体のみが吸収変化について監視されると、電子受容体が光学的に可視となり得る。
好ましい実施態様において、電子伝達は蛍光定量で検出される。ルテニウムなどの遷移金属複合体の多くが明白な蛍光性を有する。従って、核酸に結合した電子供与体と受容体とのレドックス状態の電荷は、Ru(4,7−ビフェニル2−フェナントロリン)3 2+などによる蛍光を用いて、感度よく監視することができる。この核酸の生成は、標準的蛍光検出法によって容易に測定することができる。例えば、レーザー誘発蛍光は、標準的細胞蛍光定量、オンライン蛍光定量でのフロー(例えばクロマトグラフィーに結合したもの)あるいは96ウエル・イムノアッセイについて市販されているものに類似の多サンプル“プレートリーダー”で記録することができる。他方、蛍光は、溶液中の核酸プローブまたは光学繊維に結合した核酸プローブで光学結合センサーを用いて測定することができる。蛍光は光学繊維に結合した光学増倍管または他の光検出器を用いて監視することができる。これについての有利な点は、検出に用いられるサンプル量が極めて少量でよいことである。
さらに、Molecular Dynamicから販売されているFluorlmagerなどの走査蛍光検出器が固体表面に並んだ修飾核酸分子の蛍光を監視するのに非常に適している。この系の利点は、何千もの特定の核酸プローブでカバーされたチップを一度に用いて多数電子伝達プローブを走査できることである。
多くの遷移金属複合体がStokesシフトでもって蛍光を現す。適当な例として、ルテニウムなどの遷移金属のビスおよびトリスフェナントロリン複合体、およびビスおよびトリビピリジン複合体がある(参照、Juris,A.,Balzani,V.,et al.Coord.Chem.Rev.,V.84,p.85-277,1988)。好ましい例では、効率的な蛍光(合理的に高い量子収量)および低い再構築エネルギーを示す。これらには、Ru(4,7−ビフェニル2−フェナントロリン)3 2+、Ru(4,4’−ジフェニル2,2’−ビピリジン)3 2+および白金複合体がある(参照、Cummings et al.,J.Am.Chem.Soc.118:1949-1960(1996)、出典明示により本明細書の一部とする)。
他方、ハイブリダイゼーションに関連する蛍光の低下は、これらの系を用いて測定できる。一本鎖核酸で容易に蛍光を出す電子伝達供与体分子は、励起状態電子の効率的伝達を可能にするプローブに相補的な核酸が結合しているときに、蛍光強度に低下を起す。この蛍光の低下は、上記したのと同じ方法を用いて、標的配列の存在のインディケーターとして容易に監視することができる。
別の実施態様において、電子化学発光が電子伝達検出の基礎として用いられる。Ru2+(bpy)3などの電子伝達部のいくつかで直接発光に励起状態の低下がおきる。この性質の変化は、核酸ハイブリダイゼーションに関連しており、簡単な光学増倍管で監視することができる。(参照、Blackburn,G.F.Clin.Chem.37:1534-1539(1991);およびJuris et al.,上記)。
好ましい実施態様において、電子検出に、アンペロメトリー、ボルタメトリー、キャパシタンスおよびインピーデンスなどが用いられる。好ましい技法として、これらに限定されるものでないが、電解重量分析、クーロメトリー(制御電位クーロメトリーおよび一定カレント・クーロメトリーを含む)、ボルタメトリー(サイクルボルタメトリー、パルスボルタメトリー(正常パルスボルタメトリー、スクエア波ボルタメトリー、示差パルスボルタメトリー、オステリオウング・スクエア波ボルタメトリー、静電量パルス法)、ストリッピング分析(アニオンストリッピング、カチオンストリッピング、スクエア波ストリッピングボルタメトリー)、伝導分析(電子的伝導、直接分析)、時間依存電子化学分析(クロノアンペロメトリー、クロノポテンショメトリー、サイクルクロノアンペロメトリー、サイクルクロノポテンショメトリー、交流ポログラフィー、クロノガルバメトリー、クロノクロメトリー)、交流インピーデンス法、キャパシタンス法、交流ボランタメトリー、光学電子化学法がある。
好ましい実施態様において、核酸を介しての電子伝達の監視はアンペロメトリー検出で行われる。この検出法において、望む標的遺伝子を含有するサンプル中の核酸結合電極と対照(逆)電極との間の電位(単離された対照電極と比較して)が利用される。相違する効率の電子伝達が標的核酸の存在または不存在によって生じる。すなわち標的核酸の存在また不存在が核酸のインピーデンス系(すなわち、一本鎖に対する二本鎖)を変えて、異なる電流をおこす。
アンペロメトリーで電子伝達を測定する器具は、感度のよい電流検出を含み、電圧電位を制御する手段、常にポテンシオスタットを含む。この電圧は核酸上の電子供与複合体の電位を参照することにより最適化される。電子供与複合体には、鉄、オスミウム、白金、コバルト、レニウム、レテニウムの複合体について上記したものが含まれ、鉄複合体が最も好ましい。
好ましい実施態様において、他の電子検出法が用いられる。例えばポテンシオメトリー(すなわちボルタメトリー)には、非ファラデー法(ネット電流なし)が含まれ、pHや他のイオン検出器において通常は用いられる。同様のセンサーが核酸を介しての電子伝達を監視するために用いられる。さらに、絶縁体(抵抗など)および導電体(導電、インピーデンス、キャピシタンス)などの他の性質が核酸を介しての電子伝達を監視するために用いられる。また、電流を生じるいかなる系(電子伝達など)も小さい磁場を生じ、ある実施態様で監視され得る。
本発明の組成物で見られる電子伝達の速い速度がもたらす一つの利点は、時間分解が吸収、蛍光あるいは電子流などによるモニターにおけるシグナル対ノイズ結果を一般的に高め得ることである。本発明の電子伝達の速い速度は、高度のシグナルと電子伝達開始・完了間の定型的遅延とをもたらす。特定の遅延のシグナルを増幅することにより、電子伝達のパルス開始および“ロックイン”増幅検出によって、シグナル対ノイズに2−4オーダの強さの改善がなされる。
好ましい実施態様において、電子伝達は改変交流(AC)法を用いて始められる。理論に拘束されることなく、電極に連結した核酸は、つながっている抵抗とコンデンサーを流れる交流電圧に同様に反応する。基本的に、これらの抵抗とコンデンサーとして働く複合体の性質を測定し得る方法は、検出の基本とすることができる。驚くべきことに、従来からの電気化学理論、例えば、Laviron et al.,J.Electroanal.Chem.97:135(1979)およびLaviron et al.,J.Electroanal.Chem.105:35(1979)(出典明示により本明細書の一部とする)は、非常に小さいEAC(10mV以下)および比較的多数の分子を除き、本明細書に記載の系のモデルとはならない。すなわち、交流電流(I)は、Lavironの式に正確には記載されていない。このことは、この理論が電子の限界のない源とシンクを想定していることに部分的には由来するものであり、これは本発明の系には当てはまらない。
従って、Nernstの式と最初の原理を用いて、結果に密接に適合するモデルを開発するために、別の式をつくりだした。これは次の通りである。Nernst式、下記の式1は、同じ酸化電位ですべての分子が酸化されるわけでないので、与えられた電圧と温度における酸化分子(O)の還元分子(R)に対する比(分子数=n)を示す。
Figure 0004072206
DOは電極電位、E0は金属複合体の形式的電位、Rはガス定数、TはKelvin度数での温度、nは伝達された電子の数、Fはファラデー定数、[O]は酸化分子の温度、[R]は還元分子の濃度である。
Nernst式は式2および3に書き改めることができる。
Figure 0004072206
DOは電位の直流素子である。
Figure 0004072206
式3は式4、5、6に、単純化のために1に等しい濃度に正常化することにより書き改めることができる。
式4 [O]+[R]=1
式5 [O]=1−[R]
式6 [R]=1−[O]
式5および6を式3に挿入し、nF/RTが38.9V-1に等しいことから、n=1とすると、[O]および[R]をそれぞれ定義する式7および8は次の通りである。
Figure 0004072206
ファラデー交流の発生を考慮して、与えられる電位での[O]/[R]比を検定しなければならない。応用EACを有する特定のEDCは、本明細書で一般的に記載されるように、EACの最大値で、表面の電圧がEDC+EACになるので、より多くの分子が酸化状態になり、EACの最小値で、電圧が低くなるのでより還元される。従って、与えられたEDCでの交流電流(AC)は、Nernst曲線と同様に交流および直流電圧の両方によって検出される。特定的に交流サイクル最小での酸化分子の数を交流サイクル最大時の値から引くと、その交流サイクルにおける全変化が式9に記載のように得られる。次いで2で割ると、交流振幅が得られる。
Figure 0004072206
式10で交流電流が得られる。
Figure 0004072206
式11に示すように、全交流電流は、レドックス分子数C)、ファラデー定数(F)、交流周波数(ω)、0.5(交流振幅を考慮するため)、式7に上記した比率から導かれる。交流電圧は大略、平均EAC2/πである。
Figure 0004072206
式11を用いて、過電位(交流電圧)を増して、シュミレーションを行った。図22Aはそのシュミレーションの1つを示す。図22Bは従来理論に基づくシュミレーションを示す。
図23Aおよび23Bは、シュミレーションで実施例7のEc−wireをプロットして、実際の実験データを表したものであり、モデルが実験結果によく一致していることが分かる。ある場合には電流が予測よりも小さいが、大抵は改善され得るフェロセン変性によるものであることが分かる。しかし、電子伝達速度の影響も機器による因子も、式11に組み入れられてない。電子伝達速度は、応用周波数に近いか、それより低いと、重要である。このように真のiACは下記の式12に示すような3因子の関数である。
式12
AC=f(Nernst因子)f(kET)f(機器因子)
これらの式は、交流素子および直流素子を含む入力シグナルを利用する系における期待交流電流をモデル化し、予測できる。上記したように、驚くべきことに従来の理論は、非常に低電圧の場合以外は、これらの系をまったくモデル化しない。
一般に、一本鎖プローブ核酸系は高いインピーデンスを有し、二本鎖プローブ核酸系(すなわち、標的にハイブリダイズしたプローブはハイブリダイゼーション複合体を形成する)は低いインピーデンスを有する。このインピーデンスの相違は、多くの有用な交流検出法の基礎として役立つが、下記するように、当業者が分かるように、数多くの技法が用いられる。さらに、交流入力および出力シグナルを用いると、用いた交流電圧と応答の電圧あるいは電流間で変わり得る相を基にした相違種の同定が可能になる。このように、一般的に下記するように交流検出はいくつかの利点があり、それには、感受性の増加、位相シフトでの変化を監視する能力およびバックグラウンドのノイズを拙除する能力が含まれる。
従って、交流開始および検出方法を用いると、系の周波数応答がハイブリダイゼーションの結果として変化し、二本鎖核酸を形成する。“周波数応答”は、電極と電子伝達部との間の電子伝達の結果としてのシグナル修飾を意味する。この修飾はシグナル周波数に従って相違する。周波数応答には、1以上の周波数での交流電流、位相シフト、直流オフセット電圧、ファラデーインピーデンス等が含まれる。
好ましい実施態様において、標的配列がプローブ一本鎖核酸に加えられる。好ましくはプローブ一本鎖核酸は、上記したように、電極を含有する共有結合第1電子伝達部および共有結合第2電子伝達部を含む。しかし、ここに概記するように、系にいくつかの他の配置を用いることができ、それには、標的核酸に結合した第2電子伝達部、第2電子伝達部を含有する第2プローブ核酸、介在核酸などがある。
好ましい実施態様において、一本鎖核酸はスペーサーを介して電極に共有結合する。“スペーサー”とは、電極の表面から核酸を離して保持する部を意味する。好ましい実施態様において、概記するように、適切なスペーサー部には不動態化剤および絶縁体が含まれるが、スペーサーは導電性オリゴマーである。好ましくは(必ずしも常にそうでないが)、スペーサーを介しての電子伝達速度が一本鎖核酸を介する速度よりも速く、実質的な導電スペーサーが一般的に好ましいのであるが、スペーサー部は実質的に不導電性である。一般にスペーサーの長さは、導電性オリゴマーおよび不動態化剤で概説した通りである。同様に、スペーサー部は導電性オリゴマー、不動態化剤、絶縁体であって、本明細書では同じ“A”リンカーが用いられる。
標的配列は、もし存在していると、プローブ一本鎖核酸に結合してハイブリダイゼーション複合体を形成するような条件でもって組成物に加えられる。
第1入力電子シグナルは系に用いられ、好ましくは少なくともサンプル電極(本発明の複合体を含む)および逆電極を介して系に用いられ、電極と第2電子伝達部との電子伝達が開始される。電極系も対照および実施電極に適用される電圧で用いられる。第1入力シグナルは少なくとも1つの交流素子を含む。交流素子は変化し得る振幅と周波数である。一般的に、本発明方法での使用において、交流振幅は約1mV−1.1Vであり、約10mV−800mVが好ましく、特に約10−500mVが好ましい。交流周波数は約0.01Hz−10MHzであり、約1Hz−1MHzが好ましく、約1−100kHzが特に好ましい。
驚くべきことに、交流と直流シグナルとの組み合わせ使用は、概記するように一本鎖核酸と二本鎖核酸との識別を可能にする。さらに、交流素子および直流素子からなるシグナルは驚くべき感受性とシグナル最大化を可能にする。好ましい態様において、第1の入力シグナルは交流素子および直流素子を含む。すなわち、サンプルと逆電極直流オフセット電圧は、第2電子伝達部の電子化学的電位を介して掃引される。(例えば、フェロセンが使用されるとき、掃引は一般に0−500mVである)この掃引は系の最大応答が見られる直流電圧を同定するのに用いられる。これは一般に第2電子伝達部の電子化学的電位かその周辺である。この電圧が測定されると、掃引または1以上のユニホーム直流オンセット電圧が用いられる。直流オンセット電圧は約−1Vから+1.1Vであり、約−500mVから+800mVが望ましく、約−300から500mVが特に望ましい。好ましい実施態様において直流オンセット電圧はゼロではない。直流オンセット電圧のトップで、変化し得る振幅および周波数のシグナル交流素子が適用される。もし核酸が交流摂動に応答するのに充分に低いインピーデンスであると、電極と第2電子伝達部との間の電子伝達によって、交流電流が生じる。
確立した系において、一本鎖核酸と二本鎖核酸(すなわち標的配列の存在)とを識別するのに、単一の入力シグナルを用いて十分である。他方、複数の入力シグナルも適応される。これには、多くの種類があり、多重周波数、、多重交流振幅あるいはこれらの組合せが用いられる。
このように好ましい実施態様において、多重直流オンセット電圧を用いると、直流電圧掃引が好ましい。これは単一の周波数または2以上の周波数で行われれる。
好ましい実施態様において、交流振幅は変更することができる。理論にとらわれることなく、振幅を上げると推進力が増すようである。高い振幅は高い過電位をもたらし、電子伝達に速い速度を与える。一般的に同じ系がその周波数での高い過電位の使用を介して単一の周波数での応答を改善する(すなわち、より早い出力シグナル)。振幅が高周波数で増すと、系を通しての電子伝達の速度を増し、感受性が大きくなる。さらに、例えば、これは、同定、校正および/または定量についての一本鎖核酸などの遅い系での応答を惹起するのに用いられる。電極上のハイブリダイズしていない一本鎖核酸の量をハイブリダイズしている二本鎖核酸の量と比較すると、サンプル中の標的配列を定量することができる。これはセンサーまたは系での内部コントロールとして非常に顕著に働く。検出に用いられる同じ分子上に標的の追加の前あるいは後での測定を可能にする。これは同じコントロール系よりもむしろ相違するコントロール系に依存している。検出に用いられる実際の分子が実験の前に定量される。例えば、1Hz以上の予備的実施では、電極の表面上にある実際の分子数を定量する。サンプルが加えられ、出力シグナルが測定され、結合/非結合の比が測定される。これは従来法に比して大きい利点がある。
好ましい実施態様において、系の測定は、少なくとも2つの単離した振幅または過電位でなされる。複数の振幅が好ましい。上記したように、振幅変化の結果としての応答の変化は、系の同定、校正および定量の基礎を形成する。さらに1以上の交流周波数が同様に用いることができる。
好ましい実施態様において、交流周波数は様々である。相違する周波数において、異なる分子が異なる方法で応答する。当業者は分かるように、周波数が増すと出力電流は一般に増加する。しかし、電極と第2電子伝達部間に電子が行き来する速度よりも周波数が大きいときは、高い周波数は出力シグナルの喪失または低下をもたらす。例えば、図11に示すように、一本鎖核酸および二本鎖核酸の両方において1Hzで応対が検出される。しかし、高い周波数、例えば200Hz以上であると一本鎖核酸の応答はなくなり、二本鎖核酸の応答は増加し続ける。ある時点で二本鎖核酸を介しても電子伝達の速度よりも周波数が大きく、出力シグナルも低下する。このように、一本鎖核酸と二本鎖核酸の相違する周波数応答は、電子が核酸間を行き来する速度(すなわち、核酸のインピーデンス)に基づいて、二本鎖核酸対一本鎖核酸の選択的検出の基本をなす。
ある実施態様において、検出に単一周波数における出力シグナルの単一測定を用いる。すなわち、一本鎖核酸の周波数応答はあらかじめ測定でき、特定の高周波数で非常に低い。この情報を用いると、一本鎖核酸の周波数応答が非常に低いか、または存在しないような、高周波数、例えば10−100kHzでの応対は、二本鎖ハイブリダイゼーション複合体の存在を示す。すなわち、高周波数でのすべての応答はハイブリダイゼーション複合体を特徴付ける。単一入力高周波数を用いることのみが必要であり、すべての周波数応答はハイブリダイゼーション複合体が存在すること、標的配列が存在することを示している。
さらに交流技法を用いると、共有結合核酸以外のものによるすべての単一周波数でのバックグラウンドシグナルの顕著な低下をもたらす。すなわち望まないシグナルの“閉め出し”または“濾去”である。すなわち、溶液中の電荷キャリヤーすなわちレドックス活性分子の周波数応答が、その核酸係数および電荷伝達係数によって制限される。従って、高周波数では、電荷キャリヤーはその電荷を電極に伝達するのに十分速く拡散し得ず、および/または電荷伝達速度が十分に速くない。このことは、不動態化単層を用いない場合あるいは部分的または不完全な単層を用いる場合、すなわち溶媒が電極に到達し得ない場合に著しい。すでに概記したように、直流技法において、電極に溶媒が到達し得る“穴”の存在は、系の“短回路”溶媒電荷キャリヤーをもたらし得る。しかし、現在の交流技法を利用すると、1以上の周波数が選ばれて、単層の存在・不存在にかかわらず溶液中の1以上の電荷キャリアーの周波数応答を防ぐ。このことは血液などの多くの生物体液が、アンペロメトリー検出を妨害し得るレドックス活性分子を顕著な量で含有しているので、特に明白である。
好ましい実施態様において、系の測定は少なくとも2つの単離された周波数で行われ、複数の周波数の測定が好ましい。複数の周波数には走査がある。例えば交流電流は、1−20Hzなどの低い入力周波数で、10−100kHzなどの高い周波数での出力シグナルに対する応答と比較すると、速い電子伝達速度を有する二本鎖核酸と遅い電子伝達速度を有する一本鎖核酸との周波数応答の相違を示す。好ましい実施態様において、周波数は少なくとも2、好ましくは約5、さらに好ましくは少なくとも10周波数で測定される。
電子伝達を開始するために入力シグナルを伝導した後に、出力シグナルが受けられ、すなわち検出される。出力シグナルの存在および増大は入力シグナルの過電位/振幅;入力交流シグナルの周波数;介在媒体の組成物すなわち電子伝達部間のインピーデンス(すなわち一本鎖対二本鎖など);直流オンセット;系の環境;第2電子伝達部の性質および溶媒に依存する。1つの与えられた入力シグナルにおいて、出力シグナルの存在および増大は、一般的に2つの電子伝達部間の媒体のインピーデンスおよび入力シグナルの性質に依存する。二本鎖核酸すなわちハイブリダイゼーション複合体は、一本鎖核酸に比例すると、比較的低いインピーデンスを有し、大きい出力シグナルをもたらす。しかし、一本鎖核酸は、相補的標的の不存在において、電子伝達間の電子伝達をもたらす。このように交流素子および直流オンセットを含む入力シグナルを転送すると、第1伝達部、すなわち電極と核酸に共有結合した第2伝達部との間に電子が伝達され、インピーデンスが十分に低いと、周波数が整い、振幅が十分であり、出力シグナルがもたらされる。
好ましい実施態様において、出力シグナルは交流電流を含む。上記したように、出力電流の大きさはパラメーターの数に依存する。これらのパラメーターを変えると、数において系が最適化される。
本発明で生じる交流電流は一般的に、約1femptoamp−約1milliampにあり、約50femptoamp−約100microampが好ましく、約1picoamp−約1microampが特に好ましい。
好ましい実施態様において、出力シグナルは入力シグナルに比較すると交流素子でシフトする位相である。理論にとらわれることなしに、本発明の系を充分にユニホームにすると、位相シフトの検出が可能となるのは驚くべきことである。すなわち、本発明の電子伝達が起きる2分子複合体は均質に交流入力と反応し、これは標準の電子素子と同じであり、位相シフトが測定できる。このことは、一本鎖核酸と二本鎖核酸との検出の基礎をなすだけではなく、より重要なことは、ハイブリダイゼーション複合体中に存在するミスマッチに由来すると思われるような、インピーデンス中の小さい変化が周波数応答よりも大きい形で出力の交流相に影響し得るので、ミスマッチの検出が可能になる点である。
出力シグナルはハイブリダイゼーション複合体を介しての電子伝達を特徴とする。すなわち出力シグナルは二本鎖核酸の存在を特徴とする。好ましい実施態様において、検出の基礎は、ハイブリダイゼーション複合体の形成の結果としての系のファラデーインピーデンスの相違にある。ファラデーインピーデンスは、2つの電子伝達部間、すなわち電極と第2電子伝達部間の系のインピーデンスである。ファラデーインピーデンスはバルクすなわち2電子インピーデンスとまったく異なり、バルクインピーデンスは電極間のバルク溶液のインピーデンスである。多くの因子がバルクインピーデンスに作用しないファラデーインピーデンスを変えることができ、その逆も可能である。このように本系のヌクレオシドは一定のファラデーインピーデンスを有し、これは電子伝達部間の距離、その電子的性質、介在媒体の組成物などに依存している。本発明方法において特に重要なのは、電子伝達部間のファラデーインピーデンスが介在ヌクレオシドが一本鎖であるか、二本鎖であるかによって顕著に相違する点である。このように、系のファラデーインピーデンスはハイブリダイゼーション複合体の形成に際して変化し、これがハイブリダイゼーション複合体を特徴付ける変化である。
従って、本発明はさらに、交流検出法を用いて核酸検出のための装置を提供する。この装置は、少なくとも第1測定すなわちサンプル電極および第2測定すなわち逆電極を有する試験室を含む。3電極系も用いられる。第1および第2電極は試験サンプル受け領域に接触し、液体試験サンプルの存在下で、2つの電極は電子的に接触し得る。
好ましい実施態様において、第1測定電極は、スペーサー、好ましくは導電性オリゴマーを介して共有結合した一本鎖核酸を含む。ある実施態様において、第2電子伝達部はプローブ一本鎖核酸に接触するか、または層間物質として単離して加えることができる。好ましい実施態様において、第2電子伝達部はプローブ一本鎖核酸に共有結合している。
装置は、試験室すなわち測定電極に電気的に連結した交流電圧源を含む。好ましくは、交流電圧源はオフセット電圧も同様に放出し得る。
好ましい実施態様において、装置はさらに、入力シグナルと出力シグナルとを比較し得るプロセッサーを含む。プロセッサーは電極に結合しており、出力シグナルを受けるように配置され、表面ヌクレオシドの存在を検出する。本発明の組成物は、種々の研究、臨床、品質管理、野外試験などに用いられる。
好ましい実施態様において、プローブは遺伝子診断に用いられる。例えば、プローブは、本明細書に開示された技術を用いてつくられ、種々の遺伝子の標的配列を検出する。例えば、非ポリープ症の大腸癌、BRCAI乳癌遺伝子、種々の癌に関する遺伝子であるP53、アルツハイマー病のおそれを示すApoE4遺伝子を検出して、症状が出る前の患者および嚢胞性線維症遺伝子の変異など現技術で知られている変異が検出できる。
別の実施態様において、ウィルスおよび細菌検出が本発明の複合体を用いてなされる。この実施態様において、種々の細菌およびウィルス由来の標的配列が検出されるようにプローブが設計される。例えば、現在の血液スクリーニング法は抗HIV抗体の検出に依存している。ここに開示した方法は、臨床サンプルの直接的スクリーニングを可能にし、HIV核酸配列、特に高度に保存されたHIVは配列を検出する。さらに、抗ウィルス療法の効果を評価する改善法として、患者体内のウィルス循環を直接的に監視できる。同様に、白血病関連ウィルス、HTLV−IおよびHTLV−IIがこの方法で検出される。結核およびクリミジアなどの性感染症についての細菌感染も検出できる。
好ましい実施態様において、本発明の核酸は、水および食物サンプルのスクリーニングにおける有毒細菌についてのプローブとして用いられる。例えば、サンプルは細菌が核酸を放出して溶菌するように処理され、プローブは細菌株を認識するように処理される。病原菌株には、Salmonella,Campylobacter,Vibrio cholerae,Leishmania,E.coliの外毒素株およびレジオネラ症菌がある。同様に、バイオ療法が本発明の組成物を用いて評価される。
別の実施態様のおいて、犯罪の犠牲者および容疑者から採取されたサンプルについて法医学上の″DMフィンガープリント″でも使用される。
他の実施態様において、アレイ中のプローブはハイブリダイゼーションにより配列決定のために用いられる.
本発明はまた、標的核酸配列における変異あるいはミスマッチの検出のため特殊な方法としての用途がある。結果として電子伝達部を含有する一本鎖核酸が変異のある標的配列とハイブリダイズされると、ヌクレオシドの塩基対の2重らせんを崩すエネルギーが電子伝達速度に影響するのが測定できる。変異が変更、挿入、欠失などの事例である。他方、2つの一本鎖核酸も使用し得る。これは標的配列に直接的にハイブリダイズした共有結合電子伝達種を有する。このように、本発明は標的配列の変異の検出を提供する。
本発明は非常に特異的で感度のよいプローブを提供する。このプローブはいくつかの実施態様において、ハイブリダイズしていないプローブを除去しないで標的配列を検出する。これは自動的遺伝子プローブ検定をつくるのに有用である。
他の実施態様において、電子伝達部は単離の鎖上にある。この実施態様では、1つの一本鎖核酸が導電性オリゴマーを介して共有結合した電極を有する。推定標的配列を一般的に本明細書で記載するように、すなわち電子伝達部をPCR反応プールの個々のヌクレオシドに組み込むことにより第2電子伝達部で標識する。2つの一本鎖核酸のハイブリダイゼーションにおいて、電子伝達が検出される。
他方、本発明の組成物はPRC反応をなすことによって標的配列の存在の有無の指標となる。PCRはいくつかの方法で行われる。例えば、1つの実施態様において、PCR反応は公知の方法で行われ、第2ETMを有する標的核酸を含有する本発明の組成物に加えられ、導電性オリゴマーを介して電極に共有結合されて、標的配列が検出される。他方、PCRは、導電性オリゴマーと標的核酸を有する電極の存在下またはそれに加えて、第2ETMで標識されたヌクレオシドを用いて行われる。第2ETM含有のPCRを電極組成物に結合させると、電子伝達による検出ができる。電子伝達を介して電極に結合している核酸は、ETMで標識された第2プライマーを加えて、1つのPCRプライマーとなり得る。伸長によって、第2ETMおよび共有結合された電極を有する二本鎖核酸が得られる。この方法において、標的配列のPCR検出のために本発明は使用される。
本発明は核酸を感度よく検出できる方法を提供する。好ましい実施態様において、約10×106以下の分子が検出され、約10×105以下が好ましく、10×104以下が特に好ましく、約10×103以下がさらに好ましく、約10×102以下が最も好ましい。当業者は分かるように、これは標的配列とレポーター分子が1:1で相関していると推定する。各々の標的配列について1以上のレポーター分子(すなわち第2電子伝達部)が用いられると、感度は上昇する。
検出の限界が調べられつつあるが、公表されたDNAを介する電子伝達速度に基づくと、8塩基対の解離につき大略1×106electron/sec/duplexであり(Meade et al.,Angw.Chem.Eng.Ed.,34:352(1995))、高推進力の交流周波数100kHzが可能である。予備的な結果から、これらの系を通しての電子伝達は非常に効率的であり、ほぼ100×103electron/secが得られ、非常に少ない分子について電位femptoampの感度が得られる。
別の実施態様において、本発明は導電性オリゴマーを介して電子に共有結合したメタロセンを含む新規の導電性オリゴマーを提供する。これは一般的に構造35に示される。
Figure 0004072206
構造35は構造4の構造を利用し、当業者は分かるように、構造2、3、9、10などの構造を使用できる。構造の好ましい実施様態は次に示される。
Figure 0004072206
構造37の好ましいR基は水素である。
Figure 0004072206
これらの組成物は次のように合成される。メタロセンに連結した構造は本明細書記載のようにつくられる。参照、Hsung et al.,Organometallics 14:4804-4815(1995);およびBumm et al.,Science 271:1705(1996)、(出典明示により本明細書の一部とする)。導電性オリゴマーは新規エチルピリジン保護基を用いて電極に結合される。
これらの組成物は、光超電力および赤外検出などの多くの適用において、本発明のアレイで内部電子化学的対照としてポテントシュスタットの校正に、これらの核酸は用いられる。
下記の実施例は、上記した発明を使用する方法をより詳しく記載し、本発明の種々の実施態様を実施するための最上の方法を明らかにするものである。これらの実施例は、本発明の範囲を制限しようとするものではなく、説明のために提示されるものである。すべての引用文献は出典明示により本明細書の一部とする。
実施例
実施例1
アミドを介してヌクレオシドに連結した導電性オリゴマーの合成
この合成は図1に示され、ヌクレオシドとしてのウリジンおよび構造4フェニルアセチレン導電性オリゴマーを用いる。
化合物1:氷浴中の4-ヨードチオアニソールgm(40mmol)のジクロロメタン350mL溶液にmCPBA10.1gmを加えた。反応混合物を半時間攪拌すると、懸濁液が形成した。懸濁液に粉末Ca(OH)24.0gを加え、混合物を室温で15分間攪拌し、濾過し、固体をジクロロメタン30mLで1回洗う。合わせた濾液に無水トリフルオロ酢酸12mLを加え、反応混合物をアルゴン中で1.5時間還流した。溶媒を除き、残渣をTEAとメタノール(比率=50:50)の混合物200mLに溶媒し蒸発乾固した。残渣とジクロロメタン100mLに溶解し、溶液を飽和塩化アンモニウム液60mLで1回洗った。水層をジクロロメタン(2×70mL)で2回抽出した。有機抽出液を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、直ちにできるだけ速く蒸発乾固する。残渣をベンゼン120mLに溶かし、次いで4-ビニルピリジン5.3mLを加えた。反応混合物をアルゴン中で一夜還流した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンに溶かしクロマトグラフィーにかけた。シリカゲル(150g)に20%エチルアセテート/ヘキサン混合物を充填した。粗製生成物溶液を入れ、カラムを20−60%エチルアセート/ヘキサン混合物で溶出した。フラクションをTLC(EtOAc:ヘキサン=50:50,Rf=0.24)で同定し、プールし、蒸発乾固すると、標記の固体化合物7.4g(54.2%)が得られた。
化合物2:化合物1(3.4g、9.97mmol)のジエチルアミン70mL溶液に塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)200mg、ヨウ化第1銅100mg、トリメチルシリルアセチレン1.9mLを加えた。反応混合物を2時間攪拌した。ジエチレンアミンを除去した後、残渣をジクロロメタンに溶解し、カラムクロマトグラフィーにかけた。シリカゲル(120gm)に50%エチレンアセテート/50%ヘキサンの混合液を充填した。粗製のサンプル溶液を入れ、カラムを同じ混合液で溶出した。溶媒を除去すると、標題の液状化合物(2.6g、83.7%)が得られた。
化合物3:氷浴中の化合物2(26mg)のジクロロメタン150mL溶液にIN沸化テトラブチルアンモニウムTHF溶液9.0mLを加えた。反応混合物を1時間攪拌し、水で一度洗って、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去後、残渣をカラム解離に供した。シリカゲル(50ml)に50%エチルアセテート/50%ヘキサン混合液を攪拌し、粗製生成物溶液を入れ、カラムを同じ混合液で溶出した。溶媒を除去すると、標題の固体化合物が得られた(1.87g、94.1%)。
化合物4:ガラスビンに、化合物3(1.80g、7.52mmol)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)160mg、ヨウ化第1銅80mg、1-トリメチルシリル-2-(4-ヨードフェニル)アセチレン2.70mg(9.0mmol)を入れた。ビンをふたし、アルゴンを泡立たせた。反応混合物をアルゴン下で50℃に1時間加熱した。アミンを除去し、残渣をジクロロメタンに解離のために溶解した。シリカゲル(100ml)に60%エチルアセテート/ヘキサンを充填した。粗製の混合物を入れ、カラムを同じ溶媒で溶出した。フラクションをTLC(EtOAc:ヘキサン=50:50、生成物は淡青色)で同定し、プールした。溶媒を除去すると標題の固体化合物が得られた(2.47g、79.8%)。
化合物5:氷浴中の化合物4(2.47g)のジクロロメタン130mL溶液に1N沸化テトラブチルアンモニウムTHF溶液8.0mLを加えた。反応混合物を1時間攪拌し、水で一度洗って、無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去後、残渣をカラム解離に供した。シリカゲル(60ml)に50%エチルアセテート/50%CH2Cl2混合液を充填し、粗製生成物溶液を入れ、カラムを同じ混合液で溶出した。溶媒を除去すると、標題の固体化合物が得られた(1.95g、95.7%)。
化合物6:ガラスビンに化合物5(0.23gm、0.68mmol)、2’−デオキシ−2’−(4−ヨードフェニルカルボニル)アミノ−5’−O−DMTウリジン0.5gm(0.64mmol)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)60mg、ヨウ化第1銅30mgを入れた。ビンを封し、アルゴンで泡立たせた。ピロジン(15mL)およびDMF(15mL)をシリンジで導入した。反応混合物を85℃で一夜加熱した。溶媒を減圧で除去し、残渣をジクロロメタン300mLに溶解した。溶液を水で3回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をカラム精製にかけた。シリカゲル(30gm)に1%TEA/1%メタノール/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れた。カラムを1%TEA/1%メタノール/CH2Cl2および1%TEA/2%メタノール/CH2Cl2で溶出した。フラクションを同定し、蒸発乾固した。単離した生成物を別の逆相カラム精製にかけた。逆相シリカゲル(C−18、120g)に60%CH3CN/40%H2Oを充填し、サンプルを極少量のTHFに溶かして、入れた。カラムを60%CH3CN/40%H2O 100mL、70%CH3CN/30%H2O 100mL、60%CH3CN/10%THF/30%H2O 100mL、50%CH3CN/20%THF/30%H2O 200mLおよび35%CH3CN/35%THF/30%H2O 500mLで溶出した。フラクションをHPLC(0.1mMTEAA:CH3CN=20:80、フロー速度=10mL/分)で同定し、濃縮乾燥すると純粋の標題化合物が得られた。
化合物7:純粋の化合物6(100mg、0.1mmol)のピリジン40mL溶液にDMAP50mgmおよび無水コハク酸1.0g(10mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン下で40分間攪拌した。ピリジンを除去した後、残渣をジクロロメタン300mLに溶かし、5%NaHCO3水溶液150mLを加えた。混合物を3時間激しく攪拌し、分離した。有機層を1%クエン酸で1度洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾燥すると化合物7が110mg得られた。さらに精製することなく、化合物7を対応するCPGの製造に用いた。
導電性オリゴマー−ウリジン−CPG:100mL丸底フラスコ中のLCAA−CPG (500−)1.4gに化合物7(100mg、100μmol)、BOP試薬100mg(230μmol)、HBT30mg(200μmol)、ジクロロメタン70mL、TEA2mLを入れた。混合物を3日間攪拌した。CPGを濾去し、ジクロロメタンで2回洗い、別の100mLフラスコに移した。CPG中にピリジン50mL、無水酢酸10mL、N−メチルイミジゾール2mLを加えた。CPGを濾去し、ピリジン、メタノール、ジクロロメタン、エーテルで2回洗い、蒸発乾固した。標準的な方法でヌクレオシドの保持が認められ、7.1μmo1/gであった。
2’−デオキシ−2’−(4−ヨードフェニルカルボニル)アミノ5’−O−DMTウリジン:2’−デオキシ−2’−アミノ−5’−O−DMTウリジン5.1g(9.35mmol)のピリジン250mL溶液を氷浴中で冷やし、クロロトリメチルシラン3mLを加えた。反応混合物を室温まで加温し、1時間攪拌した。この溶液にDMAP0.1gおよび塩化4−ヨードベンゾイル3.0g(10.9mmol)を加え、反応混合物を一夜攪拌した。この溶液に濃水酸化アンモニウム液30mLを加え、混合物をきっちり15分間攪拌した。溶媒を減圧で除去した。残渣をカラム分離のためにジクロロメタン15mLに溶かした。シリカゲル(125mg)に1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2で溶出した。サンプルを入れた後、カラムを1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2 300mLおよび1%TEA/4%CH3OH/CH2Cl2 500mLで溶出した。フラクションをTLC(CH3OH:CH2Cl2=10:90)で同定し、プールし、濃縮して乾燥すると純粋の標題の化合物が得られた(6.2g、85.5%)。
ホスホルミジト(化合物8)の合成
化合物6(0.2g)およびジイソプロピルアンモニウム・テトラゾリド30mgの乾燥ジクロロメタン10mL溶液に2−シアノエチルN,N,N’,N’−テトライソプロピルホスファン0.12gをアルゴン下で加えた。溶液を5時間攪拌し、ジクロロメタン60mLを加えて薄めた。溶液を2.5%w/v炭酸水素ナトリウム溶液で2回、かん水で1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をジクロロメタン5mLに溶かし、ヘキサン100mLを徐々に加えた。懸濁液を−20℃で1時間保存した。上澄液を除去し、残渣を高減圧で一夜乾燥すると標題の化合物が得られた(0.19g、79.0%)。これをDNA合成に用いた。
さらに、この手順を4回繰り返した。
実施例2
アミン結合でヌクレオシドのリボースに連結した導電性オリゴマーの合成
実施例2A:
2’−(4−ヨードフェニル)アミノ−2’−デオキシ−5’−O−DMTウリジン(化合物4)の合成:この合成は図2に示され、図中の生成物の標識に関して参照される。5’−O−DMTウリジン(化合物1)5.0gおよびジメチルアミノピリジン2.7gのアセトニトリル200mL溶液にp−ヨードフェニルイソシアニドジクロライド3.3gをアルゴン下に徐々に加えた。反応混合物を一夜攪拌した。混合物にジクロロメタン550mLを加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗い、かん水で1回洗った。溶媒を減圧除去すると、粗製の生成物2が得られた。精製することなく、生成物2を乾燥DMF50mLに溶かし、150℃に2時間加熱した。DMFを蒸発した後、残渣をジクロロメタン300mLに溶解し、5%炭酸水素ナトリウム液で1回洗い、かん水で1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去すると生成物3が得られた。精製することなく、生成物3を50%ジオキサンと50%メタノールの混合物100mLに溶解した。この溶液に1N NaOH液43mLを加えた。反応混合物を一夜攪拌した。混合物にジクロロメタン800mLを加え、水で2回洗い、Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をカラム単離のためにジクロロメタン15mLに溶かした。シリカゲル(100g)に1%TEA/2%エタノール/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れた後、カラムを1%TEA/2−3%エタノール/CH2Cl2で溶出した。フラクションをTLC(CH3OH:CH2Cl2=1:9)で同定し、プールし、濃縮すると生成物4が得られた(2.0g、29.2%)。
ここに記載したようにして、追加の導電性オリゴマーユニットが生成物4に、加えられた追加のヌクレオチドおよび電極表面への結合でもって、加えることができる。
実施例2B
ベンジルアミノ−ウリジンが図16に示すように合成された。
化合物C2の合成:シクロヌクレオシドC1(8.3g、15.7mmol)のジクロロメタン200mL溶液にカルボニルジイミダゾール2.80gをアルゴン下で加えた。溶液を7時間攪拌した後、4−ヨードベンジルアミン4.3gおよびジイソプロピルエチルアミン10mLを加えた。混合物を一夜アルゴン気中で攪拌した。溶液を5%クエン酸液で2回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、残渣を少量のジクロロメタンに単離のために溶解した。シリカゲル(150g)に1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2充填し、サンプル溶液を入れ、カラムを1%TEA/2−10%CH3OH/CH2Cl2で溶出した。フラクションをTLC(CH3OH:CH2Cl2=7:93)で同定し、プールし、濃縮すると、生成物C2が得られた(9.75g、78.8%)。
化合物C3の合成:化合物C2(9.75g、12.4mmol)およびDBU1.0mLの乾燥THF250mL溶液を50℃でアルゴン下に2日間攪拌した。THFを回転蒸留器で除去し、単離のためにジクロロメタン20mLに溶解した。シリカゲル(130g)に1%TEA/25%EtOAc/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れた後、カラムを同じ混合液で溶出した。望む生成物を含有するフラクションをプールし、濃縮すると生成物C3が得られた(6.46g、66.3%)。
最終化合物C4の合成:化合物C3(6.46g)を1,4−ジオキサン150mLおよびメタノール100mLの混合液に溶解し、4.0M水酸化ナトリウム水溶液100mLを加えた。混合物を室温で一夜攪拌した。溶液にジクロロメタン500mLおよびかん水500mLを加えて、希釈した。混合物をよく攪拌し、有機層を分離し、かん水500mLで1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。残渣をジクロロメタン20mLに単離のために溶解した。シリカゲル(80g)に1%TEA/25%EtOAc/CH2Cl2を充填し、サンプルを入れた。カラムを1%TEA/25−50%EtOAc/CH2Cl2で溶出した。適切なフラクションを合わせ、濃縮すると最終化合物C4が得られた(4.1g、65.7%)。
実施例3
Y芳香族基に結合したR基を有する導電性オリゴマーの合成
この合成は図6に示す。
2−アセチルー5−ヨードトルエン(P1)の合成:三塩化アルミニウム20gのジクロロメタン懸濁液500mLに塩化アセチル10.2mLをアルゴン下に加えた。反応混合物を15分間攪拌し、シリンジを通して3−ヨードトルエン20gを加えた。混合物を一夜アルゴン下で攪拌し、氷水500mg中に注いだ。有機層を分離し、飽和塩化アンモニウム水で1回、10%チオ硫酸ナトリウムで1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をカラム精製のためにヘキサンに溶解した。シリカゲル(260g)にヘキサンを充填し、サンプル溶液を入れた後、カラムをヘキサン750mL、1%v/vエーテル/ヘキサン750mL、2%v/vエーテル/ヘキサン750mL、3%v/vエーテル/ヘキサン1500mLで溶出した。適正な異性体を含有するフラクションをGC-MSおよび1H NMRで同定し、プールし、蒸発乾固すると、標題の化合物が得られた(12.5g、51.2%)。ヨード−3−メチル−4−(エチニルトリメチルシリル)ベンゼン(P2):不活性気中で500mL丸底フラスコに乾燥THF25mLを入れ、−78℃に冷やし、2.0MのLDA溶液(ヘプタン/エチルベンゼン/THF溶液)14mLをシリンジで加えた。この溶液にヨード−3−メチル−4−アセチルベンゼン6.34g(24.38mmol)のTHF溶液25mLを滴下し、反応混合物を1時間−78℃で攪拌し、次いでジエチルクロロホスフェート4.0mL(19.42mmol)をシリンジで加えた。15分後に水浴を除き、反応混合物をRTまで加熱し、3時間攪拌した。反応混合物を再び−78℃まで冷やし、2.0MのLDA溶液29mLを滴下した。加え終えた後、反応混合物をRTまで上げ、さらに3時間攪拌した。その後、再び−20℃まで冷やし、塩化トリメチルシリル9.0mL(70.91mmol)を加え、RTで2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷/飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mLに注ぎ、エーテル300mLを加え、有機化合物を抽出した。水層を分離し、再びエーテル2x200で抽出した。エーテルのフラクションを合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸留した。得た液体の残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液100%n-ヘキサン)で精製すると、4.1g(54%)が得られた。
生成物(P3)の合成:化合物3(上記)1.14gおよびP2(1.6g)のジエチルアミン溶液100mLに塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)およびヨウ化第1銅0.1gをアルゴン下に加えた塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)およびヨウ化第1銅0.1gをアルゴン下に加えた。反応混合物を55℃で1時間攪拌し、さらに室温で一夜攪拌した。溶媒を除去した後、残渣をカラム単離のためにジクロロメタンに溶解した。シリカゲル(120g)に20%エチルアセテート/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れ、カラムを20−50%エチルアセテート/CH2Cl2で溶出した。フラクションをTCL(EtOAC:CH2Cl2=50:50)で同定し、プールし、濃縮すると、P3のTMS誘導体1.70g(84.0%)が得られた。
P3のTMS誘導体0.74gのジクロロメタン溶液70mLに0℃で1.0Mの(nBu)4NF THF溶液を加えた。30分間攪拌した後、水で1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をカラム単離のためにジクロロメタンに溶解した。シリカゲル(20g)に20%エチルアセテート/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れ、カラムを20−40%エチルアセテート/CH2Cl2で溶出した。蛍光化合物を含有するフラクションを合わせ、濃縮乾固すると、純粋のP3が得られた(0.5g、81.3%)。
P4の合成:P3(0.5g)およびP2(0.63g)の乾燥DMF50mLおよびTEA10mLの溶液に塩化[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)100mgおよびヨウ化第1銅50mgをアルゴン下に加えた。反応混合物を55℃で1時間攪拌し、35℃で一夜攪拌した。溶媒を減圧で除去した後、残渣をカラム単離のためにジクロロメタンに溶解した。シリカゲル(100g)に20%エチルアセテート/CH2Cl2を充填し、サンプル溶液を入れ、カラムを20−40%エチルアセテート/CH2Cl2で溶出した。フラクションをTCL(EtOAC:CH2Cl2=50:50)で同定し、プールし、濃縮すると、P4のTMS誘導体0.47g(61.3%)が得られた。
P4のTMS誘導体0.47gのジクロロメタン溶液70mLに0℃で1.0Mの(nBu)4NF THF溶液1.0mLを加えた。30分間攪拌した後、水で1回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をカラム単離のために用いた。シリカゲル(20g)に20%エチルアセテート/CH2Cl2を充填し、カラムを20−40%エチルアセテート/CH2Cl2で溶出した。蛍光化合物を含有するフラクションを合わせ、濃縮乾固すると、純粋なP4が得られた(0.32g、78.7%)。
R基を有する他の導電性オリゴマーは図17に図示し、これらはここに概説した技術を用いて作った。
実施例4
リボースを介して結合したメタロセン第2電子伝達部を有するヌクレオシドの合成
5’−O−DMT−2’−デオキシ−2’−(フェロセンカルボニル)アミノウリジン(UAF)の合成:フェロセンモノカルボン酸2.5mg(10.9mmol)のジクロロメタン350ml中の溶液にDCC2.25mgおよびN−ヒドロキシスクシンイミド1.27mg(10.9mmol)を添加した。反応混合物を3時間攪拌し沈殿を形成した。沈殿を濾取しジクロロメタンで1回洗浄した。合わせた濾液を2’−デオキシ−2’−アミノ−5’−O−DMTウリジン4.5mg(8.25mmol)に添加した後、トリエチルアミン2mlを添加した。反応混合物を室温で8日間攪拌した。溶媒の除去後、残渣を分離のためジクロロメタンに溶解した。シリカゲル(120mg)を1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2で充填した。サンプル溶液を流し入れた後、カラムを2−7%CH3OH/1%TEA/CH2Cl2で溶出した。画分をTLC(CH3OH:CH2Cl2=1:9)で同定し、プールし、濃縮し乾燥させ表題化合物1.3mg(22.0%)を得た。
UAFホスホラミダイトの合成
ジイソプロピルアミノクロロ(β-シアノ)エトキシホスフィンの合成:氷水浴で冷却したジクロロ(β-シアノ)エトキシホスフィン0.54ml(4.0mmol)のジクロロメタン40ml中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン10mlを添加した後、アルゴン下ジイソプロピルアミン0.64ml(4.0mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、2時間攪拌した。その溶液にDMAP0.1mgを添加すると、その反応混合物は次のステップの反応の準備ができている。
UAFホスホラミダイトの調製:氷水浴で冷却した5’−O−DMT−5−フェロセニルアセチルエニル−2’−デオキシウリジン1.30mg(1.72mmol)のジクロロメタン40ml中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン10mlを添加した。調製したホスフィン溶液を注射器でヌクレオシド溶液に移した。反応混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。その溶液を、ジクロロメタン100mlを加えて希釈し、5%NaHCO3水溶液200mlで1回、そして塩水(200ml)で1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し乾燥した。シリカゲル(47mg)を2%TEA/1%CH3OH/CH2Cl2で充填した。残渣をジクロロメタン10mlに溶解し流し入れた。カラムは1%TEA/1%CH3OH/CH2Cl2150mlおよび1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2250mlで溶出した。画分をプールし、濃縮し表題化合物0.5mg(30.3%)を得た。
導電性オリゴマーおよび第2電子伝達部を含むヌクレオチドを、標準的な核酸合成技術を用い核酸に組込んだ;“Oligonucleotides and Analogs,A Practical Approach”,Ed.By F.Eckstein,Oxford University Press,1991参照、ここで引用することによりこの明細書の一部に加える。
実施例5
塩基を介して結合したメタロセン第2電子伝達部を有するヌクレオシドの合成
5’−O−DMT−5−フェロセニルアセチルエニル−2’−デオキシウリジン(UBF)の合成:フラスコ内に5−ヨード−2’−デオキシウリジン4.8mg(13.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド400mg、ヨウ化銅(I)100mg、DMF95mlおよびTEA10mlを添加した。溶液をアルゴンで脱気しフラスコをシールした。反応混合物を50℃で一晩攪拌した。真空で溶媒を除去した後、残渣を乾燥ピリジン140mlに溶解した後、DMAP0.2mgおよびDMT−Cl5.0mg(14.8mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去した後、残渣をジクロロメタン300mlに溶解し、5%NaHCO3水溶液(2×200ml)で2回、塩水(2×200ml)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、残渣をトルエンで2回共蒸発し、カラム分離のためにジクロロメタン15mlに溶解した。シリカゲル(264mg)を0.5%TEA/CH2Cl2で充填した。粗生成物溶液を流し入れた後、カラムは1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2300ml、1%TEA/5%CH3OH/CH2Cl2400mlおよび1%TEA/7%CH3OH/CH2Cl21.2Lで溶出した。画分をTLC(CH3OH:CH2Cl2=10:90)で同定し、プールし、濃縮し乾燥させ表題化合物7.16mg(71.3%)を得た。
UBFホスホラミダイトの合成:
ジイソプロピルアミノクロロ(β-シアノ)エトキシホスフィンの調製:氷水浴で冷却したジクロロ(β-シアノ)エトキシホスフィン1.9ml(13.8mmol)のジクロロメタン40ml中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン10mlを添加した後、アルゴン下ジイソプロピルアミン2.3ml(13.8mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、2時間攪拌した。その溶液にDMAP0.1mgを添加すると、その反応混合物は次のステップの反応の準備ができている。
UBFホスホラミダイトの調製:氷水浴で冷却した5’-O−DMT−5−フェロセニルアセチルエニル−2’−デオキシウリジン3.42mg(4.63mmol)のジクロロメタン40ml中の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン10mlを添加した。その調製したホスフィン溶液を注射器でヌクレオシド溶液に移した。反応混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。その溶液を、ジクロロメタン150mlを添加して希釈し、5%NaHCO3水溶液200mlで1回、塩水(200ml)で1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し乾燥した。シリカゲル(92mg)を2%TEA/1%CH3OH/CH2Cl2で充填した。残渣をジクロロメタン10mlに溶解し流し入れた。カラムは1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2500mlで溶出した。画分をプールし、濃縮し表題化合物3.0mg(69.0%)を得た。
導電性オリゴマーおよび第2電子伝達部を含むヌクレオチドを、標準的な核酸合成技術を用い核酸に組込んだ;“Oligonucleotides and Analogs,A Practical Approach”,Ed.By F.Eckstein,Oxford University Press,1991参照、ここで引用することによりこの明細書の一部に加える。
実施例6
(CH216の単層と共に導電性オリゴマーを含む核酸を含む電極の合成
上記技術、そして標準的核酸合成を用い、実施例1のフェニルアセチレン導電性ポリマーを有するウリジンを3’位に組込み、以下の核酸を形成する:ACCATGGACTCAGCU−実施例1の導電性ポリマー(以下“ワイヤ−1”)。
HS−(CH2)16−OH(以下“絶縁体−2”)を以下のように作った。
16−ブロモヘキサデカン酸
16−ブロモヘキサデカン酸は、HBr(48%水溶液)と氷酢酸の1:1v/v混合物24ml中の16−ヒドロキシヘキサデカン酸5.0g(18.35mmole)を48時間還流することにより調製した。冷却中に、粗生成物は反応容器の中で固体化した。それを濾過し、冷水3×100mlで洗浄した。物質をn−ヘキサンの再結晶により精製し、濾過し、高真空で乾燥した。望ましい生成物6.1g(99%収率)が得られた。
16−メルカプトヘキサデカン酸
不活性物質雰囲気下、ナトリウム金属懸濁液(ミネラルオイル中、40%)2.0gを0℃でゆっくりと乾燥メタノール100mlに添加した。添加終了後、反応混合物を室温で10分攪拌し、チオ酢酸1.75ml(21.58mmole)を添加した。さらに10分攪拌した後、16−ブロモヘキサデカン酸6.1g(18.19mmole)の脱気メタノール性溶液30mlを添加した。得られた混合物を15時間還流し、その後室温まで冷却し、脱気した1.0M NaOH水溶液50mlを注入した。反応が完了するにはさらに3時間の還流を必要とした。得られた反応混合物を氷水浴で冷却し、攪拌しながら氷水200mlを含む容器に注いだ。この混合物を1.0M HClでpH=7に滴定し、エーテル300mlで抽出した。有機層を分離し、水3×150mlで、飽和NaCl水溶液150mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルの除去後、物質はn−ヘキサンの再結晶により精製し、濾過し、高真空で乾燥した。望ましい生成物5.1g(97%収率)が得られた。
16−ブロモヘキサデカン−1−オール
不活性物質雰囲気下、BH3・THF複合物(1.0M THF溶液)10mlを、−20℃で16−ブロモヘキサデカン酸2.15g(6.41mmole)のTHF溶液30mlに添加した。反応混合物をこの温度で2時間攪拌し、次いでさらに室温で1時間攪拌した。その後、得られた混合物を攪拌しながら、氷/飽和重炭酸ナトリウム水溶液200mlを含む容器に注いだ。有機化合物をエーテル3×200mlで抽出した。エーテル画分を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルの除去後、物質を最小量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液として100%ジクロロメタン)で精製した。望ましい生成物1.92g(93%収率)が得られた。
16−メルカプトヘキサデカン−1−オール
不活性物質雰囲気下、ナトリウム金属懸濁液(ミネラルオイル中、40%)365mgを0℃で乾燥メタノール20mlに滴下した。滴下完了後、反応混合物を室温で10分攪拌し、その後チオ酢酸0.45ml(6.30mmole)を添加した。さらに10分攪拌した後、16−ブロモヘキサデカン−1−オール1.0g(3.11mmole)の脱気メタノール性溶液3mlを添加した。得られた混合物を15時間還流し、室温に冷却し、脱気した1.0M NaOH水溶液20mlを注入した。反応が完了するにはさらに3時間の還流を必要とした。得られた反応混合物を氷水浴で冷却し、攪拌しながら氷水200mlを含む容器に注いだ。この混合物を1.0M HClでpH=7に滴定し、エーテル300mlで抽出した。有機層を分離し、水3×150ml、飽和NaCl水溶液150mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルの除去後、物質を最小量のジクロロメタンに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液として100%ジクロロメタン)で精製した。望ましい生成物600mg(70%収率)が得られた。
顕微鏡のスライドグラスを覆う純金を、エタノール中、100マイクロモーラーのHS−(CH216−COOHを含む溶液中で、室温で4時間攪拌した。次いで電極をエタノールで完全に漱ぎ、乾燥した。ワイヤ−1溶液(1×SSCバッファーpH7.5中、1マイクロモーラー)20−30マイクロリッターを、小滴ずつ電極に塗布した。電極を保湿チャンバー中、室温で4時間インキュベーションして蒸発を最小にした。次いでワイヤ−1溶液を電極から除去し、電極を1×SSCバッファーに浸した後1×SSCで4回濯いだ。次いで電極を、1×SSC中、室温で2日まで保存した。
他に、好ましくは“2段階”または“3段階”の何れの方法が使用される。“2段階”方法は以下のとおりである。水中で、〜5−10マイクロモーラー濃度のワイヤ−1化合物を純金表面にさらし、〜24時間インキュベーションした。それを水、次いでエタノールで十分に濯いだ。次いで金を、エタノール中の、〜100マイクロモーラー絶縁体チオール溶液に〜12時間さらし、十分に濯いだ。ハイブリダイゼーションは3時間かけて完全に行った。一般に、ハイブリダイゼーション溶液を50℃に温め、次いでハイブリダイゼーションを促進するために冷却した。
“3段階”方法には、上記と同じ濃度および溶媒を用いる。純金電極を〜1時間絶縁体溶液にインキュベーションし、濯いだ。この方法により、おそらく不完全な単層を生じ、それは未反応の金の部分である。次いでスライドガラスをワイヤ−1溶液で24時間以上(一般的に長いほうがよい)インキュベーションした。このワイヤ−1にはまだ、エチル−ピリジン保護基を有していた。ワイヤ−1溶液は、水中、5%NH4OH、15%エタノールであった。これによりワイヤから保護基をはずし、金に結合させた(インシトゥ脱保護)。次いでスライドグラスを絶縁体中で再び〜12時間インキュベーションし、上記の様にハイブリダイズする。
一般に、溶媒の変化には、水、エタノール、アセトニトリル、バッファー、混合物などを含めて用い得る。また、必要ではないかもしれないが、加熱または超音波処理等のエネルギーの入力が、全ての析出過程を加速的に進行することが明らかである。また、両ステップともインキュベーション期間が長いほど、例えば1週間程度、よりよい結果となるように思われる。
ハイブリダイゼーション効率は、ワイヤ−1配列に相当する32P相補性および非相補性15量体を用い測定した。表1に示したように1×SSC中で電極全体に適用した、標識した非相補性(ここでは“A5”)または相補性(ここでは“S5”)標的配列それぞれ50マイクロリッターを用い、電極をインキュベーションした。次いで電極を保湿チャンバー内で室温で1−2時間インキュベーションし、上記の様に濯いだ。放射標識DNA量を各電極に対してシンチレーションカウンターで測定し、電極を乾燥しX線フィルムに4時間感光した。
Figure 0004072206
実施例7
電極に連結したフェロセンを含む組成物の合成
周期的ボルタメトリー(cyclic voltametry)および他の直流技術を使用して、表面結合分子の電子伝達速度を測定できることが文献に見られる。表面結合分子により、ボルタマグラム(voltammagam)のスキャンスピードが十分に遅いならば、完全に対称な(symetric)酸化および還元ピークが見られる。スキャン速度が速くなるにつれて、分子中の電子伝達速度論によりこれらのピークは、互いに離れて分裂する。所定のスキャン速度では、導電性の乏しい分子は、良好な導体よりも分裂度合いが大きい。
それゆえ、通常の絶縁体と比して導電性ポリマーの導電率を測定するために、2つの分子を試験した。導電性オリゴマーを介して電極(ここでは“ワイヤ−2”)に結合したフェロセンの合成は、図7に示したように、以下のように作られた。
化合物#11の合成を以下に示す。化合物#10(Hsung et al.,Organometallics 14:4808-4815(1995)の記載に従い作り、それは引用によりこの文書に加える)2.33g(5.68nmole)、CuI90mg(0.47mmole)およびPdCl2(PPh3280mg(0.11mmole)を、不活性物質雰囲気下、ピロリジン100mlに溶解し、20時間50℃で加熱した。全ての揮発性成分を高真空で除去し、得られた粗残渣を最小量のジクロロメタンに溶解した。望ましい化合物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液として50%酢酸エチル+50%ジクロロメタン)により精製した。純粋生成物3.2g(90%収率)が得られた。
化合物#12
アセトン200ml中のMG#1の懸濁液200mg(0.32mmole)(よりよい結果となるように超音波を適用する)に、MeIを添加し、反応混合物を室温で20時間攪拌した。その後、得られた溶液の容積を、回転蒸留により50mlに減少させ、n−ヘキサン400mlを添加した。形成した沈殿を濾過し、n−ヘキサン3×200mlで洗浄し、高真空で乾燥した。望ましい化合物の収量が得られた。
化合物#13
アセトン200ml中のMG#2の懸濁液100mg(0.13mmole)(よりよい結果となるように超音波を適用した)に、トリエチルアミン10mlを添加し、反応混合物を室温で20時間攪拌した。その後、得られた溶液の容量を回転蒸留により50mlに減少させ、n−ヘキサン400mlを添加した。形成した沈殿を濾過し、n−ヘキサン3×200mlで洗浄し、高真空で乾燥した。望ましい化合物を、THF3×50mlでこの沈殿から抽出した。THF画分の蒸発により、化合物#13 35mg(52%)が得られた。次いで、これを当分野に既知の金電極に添加した。
HS−(CH2)15NHCO−Fc(ここでは“絶縁体−1”)を、Ward et al.,Anal.Chem.66:3164-3172(1994)(引用によりこの文書に加える)に記載されているように作った(注:分子の合成は正確であるけれども、図1のデータは不正確である)。
各単層は以下のように作られた。
絶縁体:顕微鏡のスライドガラスを覆う金を、純エタノール中の絶縁体−1とHS−(CH2)15−OH(絶縁体−2)の混合物に浸した。何れかの位置の局所的フェロセン濃度が高くなり、その結果フェロセン分子間の相互作用が起こるのを防ぐために、混合物に絶縁体−2分子を添加する。最終的な溶液は0.1mM絶縁体−1および0.9mM絶縁体−2であった。混合物を超音波し、1−10時間加熱(60−80℃)した。電極をエタノール、水およびエタノールで完全に濯いだ。電極を純エタノールの1mMチオール溶液に浸し、2−60時間室温で放置した。次いで、電極を再び濯いだ。この方法により、表面に密にパックされたフェロセン分子の計算値と比較して絶縁体−1の被覆度1−10%をもたらした。被覆度の大小は混合物濃度および/またはインキュベーション時間を変えることにより簡単に得られた。
ワイヤ:同じ方法が上記と同様に行われるが、ただし、2番目のコーティングステップには10〜60時間、好ましいのは約24時間、必要であることを除く。これにより、より低い被覆度がもたらされ、0.1〜3%であった。
周期的ボルタメトリーは、何れの化合物に対しても3スキャン速度で実施する:1V/秒、10V/秒、および50V/秒。1V/秒でさえ、絶縁体−1では有意な分裂が起こり、おおよそ50mVの分裂が起こった。より高速では、分裂が増大する。しかしながら、ワイヤ−2を用いると、僅かな分裂が50V/秒で起こっただけで、完全に対称なピークが低速で観察される。
電子伝達速度の重要な違いにもかかわらず、電子伝達は通常“絶縁体”と呼ばれる(CH1215などの導電性の乏しいオリゴマーでさえ生じることに注目すべきである。それゆえ“導電性オリゴマー”および“絶縁体”という語は幾分関連している。
実施例8
導電性オリゴマーおよび第2電子伝達部の両方を有する核酸の合成および分析
以下の核酸構成が上記技術を用いて作られた:上記のように作られたUBFを伴う、5’−ACCATGGAC[UBF]CAGCU−導電性ポリマー(上記概説のような、構造5タイプ)ここでは“ワイヤ−3”。それゆえ、第2電子伝達部、すなわちフェロセンは、導電性オリゴマーから6番目の塩基である。
ワイヤ−3および絶縁体−2を混合した単層は、上記概説した技術を用いて構成された。組成物は、相補性標的配列の不存在下(すなわち、1本鎖)および存在下(すなわち、2本鎖)、周期的ボルタメトリー(CV)および矩形波ボルタメトリー(SW)を用い、水中の0.2M NaClO4で分析した。
得られたSWでは、ハイブリダイゼージョン前の、すなわち2本鎖核酸の不存在下、ピークが存在しない。相補性標的配列の存在下、フェロセンに相当する〜240mVのピークが見られた。
ここに記載したような媒介物もまた用いた。6mMフェリシアン化物(Fe(CN)6)を溶液に添加した。フェリシアン化物は、SW実験で170mVのピークとなる。しかしながら、170mVのピークは観察されなかったが、240mVのピークはフェリシアン化物の非存在下と比べて非常に高まった。
他に、CVを行った。標的配列の非存在下では、ピークは見られなかった。表面の核酸をハイブリダイズするためにもう一度、小片を完全な相補性核酸でインキュベーションした。再び、小片を同じ状態下でスキャンした。増大したシグナルが観察された。最終的に、表面との相補を融解するために小片を70℃のバッファーに浸した。放射活性プローブによる以前の実験では、おおよそ45℃で融解する極めて似ている表面で15−量体がハイブリダイズするのが見られた。熱処理後のスキャンの繰り返しにより、ハイブリダイゼーション前の最初のスキャンのときに、低下したシグナルが見られる。
実施例9
交流整流法
本発明の4種の組成物を含む電極が作られ、交流整流法に使用された。通常、全ての電極は、上記概説したようにある割合の絶縁体−2とサンプルとを混合することにより作られた。
サンプル1(ここでは“Fc−アルカン”と名づけた)には、絶縁体−2と絶縁体−1の混合単層を含んでいた。サンプル2(ここでは“Fc−アミド−アルカン”と名づけた)には、絶縁体−2とアルカンにフェロセンを結合したアミドを有する絶縁体−1誘導体の混合単層を含んでいた。サンプル3(ここでは“Fc−ワイヤ”と名づけた)には、絶縁体−2とワイヤ−2の混合単層を含んでいた。サンプル4は、下記にように新しいインシトゥ脱保護ステップを用いたことを除いてサンプル3と同じであった。サンプル5(ここでは“ssDNA”と名づけた)(AGCTGAGTCCA(UBF)GGU−導電性オリゴマー)には、絶縁体−2とワイヤ−3の混合単層を含んでいた。サンプル6(ここでは“dsDNA”と名づけた)には、ワイヤ−3の相補物がハイブリダイズし2本鎖ワイヤ−3を形成する、絶縁体−2とワイヤ−3の混合単層を含んでいた。サンプル7は溶液中のフェロセン溶液であった。ここで示したように、速いのから遅いのまでの電子伝達速度は以下のとおりである:サンプル3>サンプル6>サンプル1>サンプル2>サンプル5。通常、サンプル1はssDNAをモデルとし、サンプル3はdsDNAをモデルとする。
実験は以下のとおり行った。作用(サンプル)電極と基準電極間の直流オフセット電圧は、典型的には0〜500mVのフェロセンの電気化学的電位(potential)で掃引した。直流オフセットの頂部において、種々の振幅および周波数の交流シグナルを適用した。励振周波数における交流電流を直流オフセットに対してプロットした。
図8は、サンプル1を用いた200mV交流振幅および1,5および100Hzの周波数における実験を示す。サンプル1は3つの周波数全てに応答し、より高い電流はより高い周波数から生じ、これはより高い周波数でフェロセンにより供与される秒あたりの電子が単に多くなった結果である。速度が速いほど、また周波数応答が高い程、整流限界がよくなる。図9はサンプル3で被覆した電極のオーバーレイ交流ボルタモグラム(overlaid AC voltammogams)を示す。4つの励振周波数を適用した:10Hz、100Hz、1kHz、10kHz、すべて25mV過電圧である。図10は、周波数に対するピーク電流の測定によるサンプル1、2および3の周波数応答を示す。サンプル3は10kHz(整流器システムの限界)まで周波数を増大しても応答したが、サンプル1は20〜200Hzで応答しなくなる。それゆえサンプル1とサンプル3を識別するために、1Hzおよび1000Hzで分析することによりその方法は単純化し、その応答を比較できるが、理解されるとおり、これは可能性ある種々の方法のうちのだだ1つの方法にすぎない。これはdsDNAおよびssDNAシステムに似ている。図11は、正規化電流の関数としてプロットした、サンプル5およびサンプル6を示す(どちらの場合も最高電流1である:dsDNAの実際の電流はssDNAのものよりもかなり高く、そのためグラフを正規化して両方とも示している。)。線は上記のとおりRC回路をモデルとし、データに一致したものではない。1Hzでは、ssDNAおよびdsDNAのどちらも応答する;200Hzでは、ssDNAシグナルは見られなくなる。図12は、過電圧の増大によりサンプル1および2のような遅延システムの出力シグナルが増大することを示す。図13Aおよび13Bは、過電圧および周波数を調節して選択性および感度を増大し得ることを示す。例えば低い過電圧および高い周波数を用いて遅い方(サンプル1またはサンプル5)を最小にすることができる。次いで、過電圧を増大して、校正および数量化のために遅い方の応答を誘導することができる。
図14は、溶液(サンプル7)に添加したフェロセンが、これは拡散に関連する周波数応答を有することを示し結合フェロセンの周波数応答と簡単に識別できる。これは、周波数の変化により、結合分子、特にdsDNAなどの迅速結合分子のシグナルがサンプル中の酸化還元(レドックス)分子を汚染することにより生ずる何れかのシグナルと簡単に識別され得ることを示す。
図15Aおよび15Bは、別サンプルで生ずる位相シフトを示す。図15Aは、モデル化合物を示し、15BはdsDNAおよびssDNAを用いたデータを示す。この周波数では位相シフトが大きくない一方、位相を90°シフトさせる周波数がいつも見られる。
実施例10
塩基を介して結合した導電性オリゴマーの合成
典型的な合成を図18および19に示す。パラジウムカップリング化学を用いると、ヨード化塩基にカップリングする代わりに導電性オリゴマーの重大な二量化を防ぐため、塩基上に保護基が必要となると思われる。加えて、パラジウム反応成分を変えることもまた望ましい。また、より長い導電性オリゴマーにとって、R基は溶解度の増大に好ましい。
実施例11
トリメチルシリルメチル保護基の使用
金表面へ付着させる前に、硫黄原子を保護するための仮保護基の使用について調べた。
Figure 0004072206
モレキュラーシーブ(3Å)0.5gmに、ドライTHF3mlおよび1.0テトラブチルアンモニウムフルオライド2.5mlを加えた。20分撹拌した後、化合物#1を100gアルゴン雰囲気下に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、次いで5%クエン酸水溶液100ml中に注入し、その水性溶液を十分に振盪し、次いでエーテル(2×100ml)で2回抽出した。併せたエーテル溶液をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。この残渣をカラムクロマトグラフィーにより、溶離液として10%ジクロロメタン/ヘキサンを使用して精製した。精製した反応混合物を1HNMRで分析し、50%が化合物#2であり50%が対応するジスルフィドであることが分かった。
塩基結合導電性オリゴマー合成時のこの保護基の使用を図20および21に示す。
実施例12
電子伝達部を有するのペプチド核酸類の調製
α−炭素に共有結合した合成導電性オリゴマーを有するペプチド核酸単量体サブユニットの合成への攻撃を図31に示す。
4−ヨードフェニルアラニン:220mlの酢酸と29mlの濃硫酸との混液中に40.15gm(0.243mol)のフェニルアランンを溶解した溶液に、粉末ヨウ素24.65gm(0.097mol)および粉末NaIO310.18g(0.051mol)を撹拌しながら加えた。反応混合物を70℃で21時間撹拌し、この間に、1gmのNaIO3を2回に分けて加えた。混合物を冷まし、次いで酢酸を回転蒸発器で35℃に保ちながら除去し、次いでこの残留油に水400mlを加えて稀釈した。この水性溶液をエーテル100mlで一回、さらにジクロロメタン100mlで一回抽出した。Norit5gmで脱色した後、水性溶液を固型NaOHを加えて中和し、粗生成物を沈殿させ、沈殿を冷却した後ろ取し、次いで水800mlおよびエタノール300mlで洗浄した。湿った生成物を酢酸200mlから再結晶し、4−ヨード−L−フェニルアラニン37.5gmを得た。
4−ヨードフェニルアラニン酸メチル塩酸塩:チオニルクロライド10.2gmを、氷−水浴で冷却したメタノール10mlに滴下した。この冷却液に4−ヨードフェニルアラニン5.0gmを加えて黄色溶液とし、2時間還流した。溶媒を除去した後、白色固体を得て、次いでエーテル50mlを加えた10mlのメタノールにて再結晶した。表題の化合物(5.4gm)を得た。
N−アミドカルボキシルエチル−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:アセトニトリル100ml中にメチル 4−ヨードフェニルアラニネート塩酸塩5.0gm(14.6mmol)を溶解した溶液に、トリエチルアミン6mlおよびアクリルアミド1.1gm(15.4mg)を加えた。この溶液を一夜撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をジクロロメタン200mlに溶解し、次いでこの溶液を5%NaHCO3溶液で一回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。この生成物をカラム分画で精製した。
N−アミノエチル−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:アセトニトリル24ml中に[1,1−ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン3.46mg(8mmol)を溶解した溶液に、ガラス蒸留水12ml、次いでメチルN−アミドカルボキシルエチルアラニネート2.98g(8mmol)を加えた。この混合物を室温で6時間撹拌した後、水150mlおよび濃塩酸16mlで稀釈した。この水性溶液を150mlのエーテルで一回抽出し、次いで元の容量の約1/3になるまで濃縮した。この水性溶液を、濃NaOH溶液を使用してpH12以上に調整し、次いで塩基性水性溶液をCH2Cl2で6回抽出した(6×200ml)。集めた抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで濃縮乾固し、さらに高真空ラインで乾燥し、生成物は更なる精製を行うことなく次の反応に使用した。
N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:二口フラスコに、メチルN−アミノエチル−4−ヨードフェニルアラニネート19.0gm(55.8mmol)およびドライDMF600mlを加えた。この溶液を氷−水浴中で冷却した。冷却溶液にTEA20mlを加え、次いで2−ニトロベンゼンスルホニルクロライド13.5gm(60.9mmol)を徐々に加えた。混合液を低温で30分間撹拌し、次いで室温まで温め、さらに4時間撹拌した。沈殿物を形成させた後、ろ過し、次いでDMFで一回洗浄した。DMFを高真空で除去した後、残渣を500mlのジクロロメタンに溶解した。有機溶液をブラインで2回洗浄した後、Na2SO4で乾燥し濃縮した。この残渣を、カラム精製を行うために少量のジクロロメタンで溶解した。CH2Cl2をシリカゲル(250gm)を満たし、サンプル溶液を流し入れ、カラムをCH2Cl2で溶出した。各画分をTLC(展開溶媒・CH2Cl2)で同定した後収集して濃縮し、表題の化合物24.1gm(収率88.1%)を得た。
N−(2−MMT−アミノエチル)−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:氷−水浴中で冷却したドライTHF250mlに、2−MMT−アミノエタノール16.5gm(49.5mmol)、N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル20.0gm(40.8mmol)およびトリフェニルホスフィン13gm(49.5mg)を溶解した溶液に、アルゴン雰囲気下でジエチルアゾジカルボキシレート7.8ml(49.5mmol)を加えた。この溶液を室温まで温めた後、一夜撹拌した。THFを除去した後、残渣をカラム分画を行うために少量のCH2Cl2で溶解した。サンプル溶液のTLC(CH2Cl2:ヘキサン=9:1)は2つの生成物を示した。すなわち、先行のスポットが目的生成物であり、後出のスポットはトリフェニルホスフィンオキシドである。1%TEA/ヘキサンをシリカゲル(300gm)を満たし、サンプル溶液を流し入れ、カラムを、1%TEA/ヘキサン500ml、1%TEA/25%CH2Cl2/ヘキサン100mlおよび1%TEA/50%CH2Cl2/ヘキサン1000mlで溶出した。各画分をTLC(展開溶媒・CH2Cl2:ヘキサン=9:1)で同定した。純粋な先行スポットを含む画分を収集して濃縮し、表題の化合物を17gm得た。スポットが重なっている画分を収集して濃縮し、次いで再度精製を行い、表題の化合物3.0gmを得た。全収率は62%である。
N−(2−MMT−アミノエチル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:DMF150ml中に、N−(2−MMT−アミノエチル)−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル17.0gm(21mmol)および炭酸カリウム11.6gm(84mmol)を懸濁させた液に、アルゴン雰囲気下でチオフェノール2.6ml(25.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で1.3時間撹拌し、次いでブライン1.2Lを加えて稀釈した。この水性溶液をエーテル(2×500ml)で3回抽出し、次いで併せた抽出物を稀釈したNaOH溶液で一回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を除去した後、この残渣をカラム分画に使用した。1%TEA/ヘキサンをシリカゲル(220gm)を満たし、サンプル溶液を上から流し入れ、カラムを1%TEA/ヘキサン500ml、1%TEA/25%エーテル/ヘキサン100mlおよび1%TEA/50%エーテル/ヘキサン1000mlで溶出した。各画分をTLC(展開溶媒・エーテル:ヘキサン)で同定し、収集して濃縮し、表題の化合物を5.6gm(収率43.1%)を得た。
N−(2−MMT−アミノエチル)−N−[(チミン−1−イル)アセチル]−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:DMF(10ml)中にN−(2−MMT−アミノエチル)−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル3.37g(5.43mmol)を溶解した液に、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(0.884g、5.43mmol)および4−エチルモルホリン(1.38ml、10.86mmol)を加えた。DMF(10ml)に溶解したチミン酢酸(1.00g、5.43mmol)を溶解した液に、次いでN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(1ml、6.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で一昼夜、20.5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をCH2Cl2600mlに溶解し、この溶液を水500mlで2回、ブライン500mlで一回洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥した。溶媒を除去した後、粗残渣を、カラム分画を行うために10ml以内のCH2Cl2で溶解した。1%TEA/CH2Cl2をシリカゲル(135gm)を満たし、サンプル溶液を上から流し入れ、カラムを1%TEA/CH2Cl2で溶出した。各画分をTLC(CH2Cl2:CH3OH=95:5)で確認した。目的化合物を含む画分を収集してついで濃縮乾固した。固体生成物を最小量のEtOAcで溶解し、次いでN,N’−ジイソプロピルウレアを析出させるため冷凍庫内に放置した。沈殿物をろ過し、次いでろ液を濃縮して表題の化合物3.56g(83.3%)を得た。
N−(2−MMT−アミノエチル)−N−[(チミン−1−イル)アセチル]−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル:ジオキサン20mlおよび水4ml中にN−(2−MMT−アミノエチル)−N−[(チミン−1−イル)アセチル]−4−ヨードフェニルアラニン酸メチル3.5g(4.45mmol)を溶解した。この溶液を0℃まで冷却し、次いで1M NaOHをpH12になるまで滴下した。1時間後に反応混合物を室温まで温め、さらに1M NaOHを滴下しpHを12に保った。反応をTLC(CH2Cl2:CH3OH=95:5)でモニターした。加水分解が完了した後、反応混合物を、2M KHSO4でpH5に調節した。次いでCH2Cl2300mlを添加して稀釈した。有機層を分離し、次いで水性層をCH2Cl2250mlで2回抽出した。併せた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をカラム精製を行うために最小量のCH2Cl2で溶解した。1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2をシリカゲル(52gm)を満たし、サンプル溶液を上から流し入れ、このカラムを1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2700mlおよび1%TEA/5%CH3OH/CH2Cl21Lで溶出した。各画分をTLC(CH2Cl2:CH3OH=95:5)で同定した。目的化合物を含む画分をとり分け、表題の化合物を2.9g(84.6%)得た。
PNA−骨格−ワイヤ:N−(2−MMT−アミノエチル)−N−[(チミン−1−イル)アセチル]−4−ヨードフェニルアラニネート1g(1.29mmol)、トリメチルシリルエチル保護3−単位ワイヤ0.5g(1.29mmol)、Pd(dba)244.6mg(0.077mmol)、トリフェニルホスフィン91.6mg(0.349mmol)、およびヨウ化銅(I)44.6mg(0.17mmol)をDMF120mlおよびピロリジン62ml中で混合した混合物を、よく脱気し、60℃で5時間撹拌した。溶媒を除去し残渣をCH2Cl2250mlおよび飽和EDTA溶液200ml中に溶解した。この混合液を30分間撹拌した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラム分画のために最小量のCH2Cl2に溶解した。シリカゲル(22g)に1%TEA/CH2Cl2を満たし、試験溶液を流し入れ、カラムを1Lの1%TEA/2%CH3OH/CH2Cl2および1%TEA/5%CH3OH/CH2Cl2で分離が完了するまで溶出した。各画分をTLC(CH2Cl2:CH3OH=95:5)で同定した。該当画分を集め、黄−オレンジ色の固形物0.55gとなるまで濃縮し、濃縮物をCH2Cl2150mlに溶解し、水50mlと10%テトラブチルアミンヒドロキシド50mlとを加えて稀釈した。混合物を分液ロートに入れ5分間振盪した。有機層を分離し、水性層を再度CH2Cl250mlで抽出し、併せた有機層をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を除去し、表題化合物0.8g(46.5%)を得た。
実施例13
電子伝達部を有するペプチド核酸類の調製
塩基に共有結合したフェロセン電子伝達部を有するペプチド核酸単量体サブユニットの合成を図32に示す。
Y1の合成:5−ヨードウラシル(100.0g)をドライDMF250ml中に懸濁させた。水酸化ナトリウム1.68gを少しづつ加えた。反応混合物を次いで室温で40分間撹拌した。それからt−ブチルブロモアセテート6.16mlを加え、反応混合物をさらに2時間室温で撹拌した。反応混合物を、CO2を含有するメタノール5mlで緩和した。次いで溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン中に溶解し水で洗浄した。洗浄中に沈殿が精製するのでこれをろ取し、乾燥した。この反応でY1生成物9.33gが生じた。
Y2の合成:Y1を6.33gジクロロメタン140ml中に溶解した液に、トリエチルアミン35ml、4−ジメチルアミノピリジン0.55g、および2−メジチレンスルホニルクロリド5.89gを加えた。反応混合物を40分間撹拌したのち、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン0.40gおよび2,4−ジメチルフェノール4.34mlを加え、2時間撹拌した。反応混合物を次いでジクロロメタン200mlで稀釈し、溶液を5%重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し濃縮した。残渣をジクロロメタン5ml中に溶解し、ジクロロメタンを満たしたシリカゲル200gのカラム上に流し入れた。カラムを1−5%メタノール/ジクロロメタンで溶出した。目的物を含有する画分を集め濃縮してY2を2.5g得た。
Y3の合成:2.5gのY2、1.38gのフェロセンアセチレン、200mgのPd(pph3)Cl2および208gのヨウ化銅を、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlおよびトリエチルアミン100ml中に加えた混合物をよく脱気し、55℃で2時間撹拌した。溶媒を除去したのち、残渣をジクロロメタンに溶解し、溶液を5%重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。粗製物をジクロロメタン5mlに溶解し、ジクロロメタンを満たしたシリカゲル200gのカラム上に流し入れた。カラムを2−5%メタノール/CH2Cl2で溶出した。該当画分を集め、蒸発させてY3を2.98g得た。
Y4の合成:2.50gのY3を氷浴中で冷却したジクロロメタン40ml中に溶解した溶液に、トリメチルシラン7.1mlを加え、続いてトリフルオロ酢酸17.5mlを加えた。得られた反応混合物を同温度で5分間撹拌した後、室温まで温めた。反応混合物を室温で7.5時間撹拌した。溶媒を除去した。残渣をジクロロメタン5ml中に溶解し、ジクロロメタンを満たしたシリカゲル25gを含有するカラムに流し入れた。カラムを0−2.5メタノール/CH2Cl2で溶出した。各画分を集め、蒸発させてY4を2.18g得た。
Y5の合成:メチルN−(2−MMT−アミノエチル)グリシネート0.98gをジメチルホルムアミド(DMF)7ml中に溶解した。この溶液に、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン0.329gおよび4−エチルモルフォリン0.51mlを加えた。この反応混合物に、Y4を1.0g DMF7ml中に溶解した溶液を加え、つづいてN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド0.38mlを加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンに溶解した。溶液を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。カラムクロマトグラフ用に約5mlになるまで溶媒を蒸発させた。粗製混合物を1%TEA/CH2Cl2を満たしたシリカゲル20gのカラム上に流し入れた。カラムを0−2%メタノール/1%TEA/CH2Cl2で溶出した。溶媒を蒸発させ、Y5を0.97g得た。
Y6の合成:Y5を0.97g、ジオキサン10mlと水2ml中に溶解した。混合物のpHを1M NaOHで11に調製した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。加水分解の完了後、混合物のpHを2M硫酸水素カリウムで5に調製した。混合物をCH2Cl2(3×200ml)で3回抽出し、抽出物を集め、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液をカラムクロマトグラフィー用に約5mlになるまで蒸発させた。シリカゲル(20g)を1%トリエチルアミンのジクロロメタン溶液で満たした。試料溶液をカラム上に流し入れ、カラムを5−10%メタノール/1%TEA/ジクロロメタンで溶出した。該当物を含む画分を集め、トリエチルアミンを除くためにピリジンおよびトルエンと共に蒸発させ、Y6を0.8g得た。
Y7の合成:Y6を0.8gアセトニトリル80ml中に溶解した溶液中に、2−ニトロベンズアルドキシム0.61gおよび1,1,3,3−テトラメチルグアニジン0.37gを加えた。得られた溶液を室温で6時間撹拌した。溶媒を除去した。残渣をジクロロメタンに溶かし飽和NaCl溶液で洗浄した。シリカゲル(20g)を1%トリエチルアミンのジクロロメタン溶液で満した。粗製残渣をジクロロメタン5mlに溶かし、カラム上に流し入れた。カラムを0−5%メタノール/1%TEA/CH2Cl2で溶出した。生成物を含む画分を集め、濃縮して生成物150mgを得た。この生成物を次いでジクロロメタン100ml中に溶解した。溶液を水10mlおよび10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させてY7を200mg得た。

Claims (10)

  1. (a)電極にスペーサーを介して共有結合させた第1の一本鎖核酸;
    (b)該第1の核酸に共有結合させた電子伝達部(ETM);および
    (c)該電極の表面に結合させた不動態化剤の単層
    を含む該電極を含む組成物。
  2. (a)以下を含む電極
    i)該電極にスペーサーを介して共有結合させた第1の一本鎖核酸;
    ii)該電極の表面に結合させた不動態化剤の単層;
    (b)電子伝達部(ETM)を含む第2の一本鎖核酸(ここで、該電子伝達部は、該第2の一本鎖核酸に共有結合している)
    を含む組成物。
  3. 該組成物が、該電極のアレイを含む支持体をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
  4. 該スペーサーが導電性オリゴマーである、請求項1、請求項2または請求項3に記載の組成物。
  5. 該スペーサーが絶縁体である、請求項1、請求項2または請求項3に記載の組成物。
  6. 該ETMが遷移金属錯体である、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の組成物。
  7. 該遷移金属錯体がメタロセンである、請求項6に記載の組成物。
  8. 該メタロセンがフェロセンである、請求項7に記載の組成物。
  9. 核酸サンプル中の標的配列を検出する方法であって:
    a)該サンプルを請求項1に記載の組成物に適用し、該標的配列が該第1の核酸に結合してハイブリダイゼーション複合体を形成させること、
    b)該ハイブリダイゼーション複合体に電子的イニシエーションシグナルを印加すること、および、
    c)該標的配列の存在を示すものとして該ETMと該電極との間の電子伝達を検出すること
    を含む方法。
  10. 核酸サンプル中で、第1ドメインおよび第2ドメインを含む標的配列を検出する方法であって、
    a)該サンプルを請求項2に記載の組成物に適用し、該標的配列の該第1のドメインが該組成物の該第1の核酸に結合し、該標的配列の該第2のドメインが該第2の核酸に結合して、ハイブリダイゼーション複合体を形成させること、
    b)該ハイブリダイゼーション複合体に電子的イニシエーションシグナルを印加すること、および、
    c)該標的配列の存在を示すものとして該ETMと該電極との間の電子伝達を検出すること
    を含む方法。
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