JP4071924B2 - 低合金耐熱鋼及びその製造方法並びにタービンロータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱構造部材、特にタービンロータ材として優れた性能を示す低合金耐熱鋼及びその製造方法、並びにその低合金耐熱鋼を用いたタービンロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、火力発電用蒸気タービン等の高温タービンロータ材として用いられる耐熱鋼の例としては、低合金系のCrMoV鋼や高Cr系の12Cr鋼(特開昭60−165359、特開昭62−103345参照)がもっぱら使用されてきた。このうちCrMoV鋼は高温強度の限界から使用温度範囲が566℃迄の蒸気プラントに制限され、しかも蒸気温度によってはロータを冷却する必要があり、構造が複雑になる難点がある。また、高温クリープ特性を改善する目的でエレクトロスラグ再溶解法による鋼塊を使用する試みも提案されている(特開昭60−70125参照)。一方、12Cr鋼は高温強度がCrMoV鋼よりも優れているため、最高600℃程度の蒸気温度のプラントに適用することも可能であるが、素材の製造が難しく、コスト高になる難点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年エネルギー効率の一層の向上が望まれるようになり、蒸気タービンの運転温度を高めようとすると、従来の鋼種では高温機械特性、特にクリープ強度の点で不十分であり、より高い蒸気温度での使用に耐える材料を開発する必要がでてきた。従来、CrMoV鋼は約950℃の温度から焼入れして使用されてきた。焼入れ温度を高めると軟らかい初析フェライト相の析出が抑えられ、強化元素の固溶も促進されて材料強度は高まるが新たにクリープ脆化を起こすという問題が発生するので、焼入れ温度を高めることができなかった。コバルト、ニオブ、タンタル等の元素を添加して初析フェライト相の析出を抑制する試みもなされてきたがまだ満足いくものは得られていない。そこで本発明は、焼入れ温度を高め、従来のCrMoV鋼と同等以上の高い靱性を有し、かつ平滑クリープ試験において高いクリープ破断特性を備え、しかもクリープ脆化を起こしにくい優れたクリープ特性を備えた材料を提供し、この新規な耐熱鋼で構成されたタービンロータを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高温特性、特にクリープ脆化特性には不純物の影響が大きいことを突き止めた。その結果、所定の合金配合をするのみならず、燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンといった有害な微量不純物元素を極力低く抑えることで、1000℃以上の高温度からの焼入れを可能にし、以下に示す高い靱性を有し、高温特性に優れ、特にクリープ脆化を起こさない低合金耐熱鋼及びこれを用いたタービンロータを得ることを見出して、本発明を完成させた。
【0005】
まず、高温特性のうち切欠クリープ破断強度について説明する。通常、鋼材に応力を加えると、比較的低い応力でも高温度の時は非常に徐々にではあるが塑性変形を起こして伸びを呈し、やがては急速に伸びが進行してくびれ、破断に至る現象がクリープ及びクリープ破断現象である。この現象は結晶粒界における粘性流れや結晶内の転位によるものと考えられる。高温クリープ試験は、高温度で材料に一定静荷重を長時間作用させて破断するまでの時間を測定している。試験片は一定断面積を持つ丸棒が使用され、測定方法はJISのZ−2271やZ−2272に規定されている。JISに規定されているのは平滑クリープ試験であり、試験片の測定部分の標点間は滑らかに削って仕上げたものが使用される。
これに対して切欠クリープ試験では、標点間に切欠(ノッチ)を設けた試験片を使用する。引張られる測定部分の断面積(切欠底の断面積)は平滑クリープ試験の場合と同じにして応力を定めている。平滑クリープ試験では、引張応力を加えると標点間が次第に伸び、標点間がくびれてやがては破断に至る。これに対して試験片に切欠を設けると、試験片が引張られた時に、切欠部を変形させまいとする応力が切欠部を取り巻くように働き(いわゆる多軸応力)、伸び現象を呈することなく破断に至る。一般に延性の高い材料では、切欠によって変形が拘束されることによって破断に至るまでの時間が長くなるのが、鋼種によっては、クリープ試験中に材料の脆化が徐々に進み、変形を伴わないで(ボイドの発生やその連結によってき裂が生じることなどによって)クリープ破断を起こすものが現れるが、この場合は応力集中が作用して切欠試験の方が平滑試験より短時間で破断してしまう。このような現象を切欠軟化と呼び、クリープ脆化を示す指標として用いることができる。すなわち、応力や温度条件をそろえて、平滑クリープ破断試験、切欠クリープ破断試験を行い、両者のクリープ破断時間を比較することで、クリープ脆化の程度を明確に示すことが可能となる。
【0006】
タービンロータは運転中応力がかかった状態で長時間高温度に曝されるので、経年的材料強度の低下が問題となる。従来、タービンロータ材についてはJISに規定された平滑高温クリープ試験のみで品質が評価されていたが、本発明者らは切欠高温クリープ試験を行うことにより、材料の高温強度特性、特にクリープ脆化特性を評価する手段を見いだした。しかもクリープ脆化には有害な微量不純物が大きな影響を及ぼしていることを見いだした。その結果、燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンといった有害な微量不純物元素を極力低く抑えることで、1000℃以上の高温度からの焼入れを可能にし、初析フェライト相の析出を抑制するとともに、クリープ脆化を起こさない材料の開発に成功した。
【0007】
すなわち、請求項1の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなることを特徴とする低合金耐熱鋼である。従来のCrMoV鋼にタングステンを添加してクリープ特性の向上を図った上に、クリープ脆化に有害な燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの不純物の許容量を低く限定し、特にクリープ脆化特性を改善したものである。
【0008】
請求項2の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この発明は請求項1の合金にさらにコバルトを添加して靱性の改善を図り、請求項1の合金と同様にクリープ脆化に有害な燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの不純物の許容量を低く限定し、クリープ脆化特性を改善したものである。
【0009】
請求項3の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この発明は請求項1の合金にさらにニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加して、特に平滑クリープ特性の一層の向上を図るとともに、請求項1の合金と同様にクリープ脆化に有害な燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの不純物の許容量を低く限定し、クリープ脆化特性を改善したものである。
【0010】
請求項4の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この発明は請求項1の合金にさらにコバルト及びニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加し、靱性を向上させると共に平滑クリープ特性の一層の向上を図り、請求項1の合金と同様にクリープ脆化の向上を図った。
【0011】
請求項5の発明の合金は、量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この合金は従来のCrMoV鋼に相当する合金につき、クリープ脆化に有害な燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの不純物の許容量を低く限定し、クリープ脆化特性を改善したものである。
【0012】
請求項6の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この合金は請求項5の合金にCoを添加して靱性を向上させるとともに、請求項5の合金と同様にクリープ脆化特性を改善したものである。
【0013】
請求項7の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この合金は請求項5の合金に、さらにニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加して平滑クリープ特性の一層の向上を図り、請求項5の合金と同様にクリープ脆化特性を改善したものである。
【0014】
請求項8の発明の合金は、重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなる低合金耐熱鋼である。この合金は請求項5の合金に、さらにコバルト及びニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加して靱性を向上させ、平滑クリープ特性の一層の向上を図ると共に、請求項5の合金と同様にクリープ脆化特性を改善したものである。
【0015】
請求項1から請求項8の合金の初析フェライト相の量は、10体積%以下に限定した。柔らかい初析フェライト相の量を低く抑えることにより、材料強度を確保するとともに、靱性、クリープ破断強度およびクリープ脆化特性を改善したものである。
【0016】
請求項9の発明は、本発明の低合金耐熱鋼の製造方法に係わる発明であり、所定の組成を有する鋼塊を鍛造・成形し、該鋼塊を1000℃以上に加熱した後焼入れし、ついで600℃〜750℃で焼戻しすることを特徴とする低合金耐熱鋼の製造方法である。1000℃以上に加熱することにより初析フェライトの量を抑制することができ、かつ、強化元素が基地中に十分に溶け込むために高温特性が改善されたものとなる。
【0017】
請求項10の発明は、前記請求項1から請求項9のいずれかに記載の低合金耐熱鋼で構成されてなるタービンロータである。特に従来のタービンロータよりもクリープ脆化特性に優れ、高温度での使用に耐えるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に前記請求項1に記載の発明における各成分範囲の限定理由を説明する。
炭素(C): 炭素は熱処理時の焼入れ性を確保するとともに材料強度を高める効果がある。また、炭化物を形成して高温におけるクリープ破断強度の向上に寄与する。本合金系では0.20%未満の含有量では材料強度が十分でないので、下限値を0.20%とする。一方、炭素の含有量が多すぎると靱性が低下するとともに、高温度で使用中に炭窒化物が凝集して粗大化し、クリープ破断強度の低下やクリープ脆化の原因となる。従って炭素含有量の上限は0.35%とする。材料強度と靱性を兼ね備えるために特に好ましい範囲は0.25〜0.30%である。
【0019】
珪素(Si): 珪素は脱酸材としての効果がある反面、基地を脆化させる。脱酸効果を期待する場合には最大0.35%までの含有量が許容されるが、本発明材の製造において製法によっては珪素による脱酸効果をさほど期待しなくても良い場合があり、含有量を最小限にとどめることが可能となる。ただし、極端に珪素を低くするためには原料の厳選が必要となり、コスト高を招くため、下限を0.005%とする。したがって、珪素の含有量の範囲は0.005〜0.35%とする。好ましい範囲は0.01〜0.30%である。
【0020】
マンガン(Mn): マンガンは脱酸材として作用するとともに鍛造時の熱間割れを防止する効果を有する。又熱処理時の焼入れ性を高める効果もある。しかし、マンガン含有量が多くなるとクリープ破断強度が劣化するため、最大量を1.0%とした。ただし、マンガン含有量を0.05%未満に抑えるには原料の厳選と過度の精錬工程が必要となり、コスト高を招くので最低量は0.05%とする。したがって、マンガンの含有量の範囲は0.05〜1.0%、好ましくは0.1〜0.8%とする。
【0021】
ニッケル(Ni): ニッケルは熱処理時の焼入れ性を高め、引張強さや耐力を向上させるほか、特に靱性を高める効果がある。含有量が0.05%に満たないと効果が認められない。しかしその一方で長時間クリープ破断強度は多量のニッケル添加により低下する。本発明の合金ではニッケル添加による焼入れ性や靱性向上はあまり期待せず、逆に長時間クリープ破断強度に及ぼすニッケルの悪影響を排除するために、ニッケル含有量の上限を0.3%以下に抑えることとした。靱性とのバランスを考慮してニッケルの含有量の範囲は0.05〜0.3%、好ましくは0.08〜0.20%とした。
【0022】
クロム(Cr): クロムは熱処理時の焼入れ性を高めるとともに、炭化物及び/又は炭窒化物を形成してクリープ破断強度の改善に寄与し、かつマトリックス中に溶け込んで耐酸化性を改善する。またマトリックス自体を強化してクリープ破断強度を向上させる効果を有する。クロム含有量は0.8%未満では効果が十分でなく、2.5%を越える量を含有するとかえってクリープ破断強度が低下する。したがってクロムの含有量の範囲は0.8〜2.5%、好ましくは1.0〜1.5%とした。
【0023】
モリブデン(Mo): モリブデンは熱処理時の焼入れ性を高めるとともに、マトリックス中や炭化物及び/又は炭窒化物中に固溶してクリープ破断強度を向上させる。含有量が0.1%未満では効果が十分認められず、2.0%を越えて添加してもかえって靱性が低下し、コスト高にもなる。したがってモリブデンの含有量は0.1〜1.5%、好ましくは0.5〜1.5%とした。
【0024】
バナジウム(V): バナジウムは熱処理時の焼入れ性を高めるとともに炭化物及び/又は炭窒化物となってクリープ破断強度を改善する。含有量が0.05%未満では十分な効果が得られない。また0.3%を越えて含有するとクリープ破断強度がむしろ低下する。したがって、バナジウムの含有量は0.05〜0.3%、好ましくは0.15〜0.25とした。
【0025】
タングステン(W): タングステンはマトリックス中や炭化物中に固溶してクリープ破断強度を改善する。含有量が0.1%未満では十分な効果が得られない。また2.5%を越えて含有すると偏析する恐れが有り、フェライト相が出やすくなって強度が低下する。したがって、タングステンの含有量は0.1〜2.5%、好ましくは1.0〜2.4%である。
【0026】
次に、有害な不純物である燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンについて説明する。鋼材の機械的性質にとってこれらの不純物は低い方が好ましいことは論を待たない。しかし一般に鋼材中の不純物として含有許容量が規格化されているのは、製鋼原料から必然的に持ち込まれる燐と硫黄のみにすぎない。燐と硫黄は鋼材の材質を脆くすることから、おおかたの鋼種で許容量を定めているが、精錬の困難さからかなり高い水準に定められている。本発明者らはタービンロータ用のCrMoV鋼の高温特性、特に切欠クリープ破断強度の向上を目指して鋭意研究した結果、微量不純物が切欠クリープ破断強度に大きな影響を持っていることを見いだした。微量不純物としては燐、硫黄ばかりでなく、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモン等も悪影響を及ぼすことが判明した。これまで微量不純物は漠然と低い方が良いと認識されているのみで、具体的な許容量は明らかにされていなかった。本発明者らはこれら不純物について詳細に検討し、温度:600℃、応力147MPaの条件における切欠クリープ試験での破断時間10,000時間以上を目標に、含有量の許容量を具体的に示すこととした。
【0027】
燐(P)、硫黄(S): 燐と硫黄はともに製鋼原料から持ち込まれる不純物であり、鋼材の中で燐化物や硫化物を形成して鋼材の靱性を著しく低下させる有害な不純物である。本発明者らの研究では、高温特性にも悪影響を及ぼすことが判明した。燐は偏析しやすく、二次的に炭素の偏析も招来し材質を脆化させる。特に高温で高い応力を長時間負荷した場合の脆化に大きな影響を及ぼすことが判明した。燐や硫黄を極端に低下させるのは製鋼工程の負担が大きくなるので、切欠クリープ試験の破断時間10,000時間以上を目途に上限を求めた結果、燐についてはその含有量の上限を0.012%、硫黄の上限は0.005%とした。より好ましくは燐は0.010%以下、硫黄は0.002%以下である。
【0028】
銅(Cu): 銅は鋼材中の結晶粒界に沿って拡散して、材質を脆化させる。特に高温特性を劣化させる。切欠クリープ試験の結果から銅の含有量の上限は0.10%とした。より好ましくは0.04%以下である。
【0029】
アルミニウム(Al):アルミニウムは主として製鋼工程の脱酸材からもたらされるものであり、鋼材中で酸化物系の介在物を形成して、材質を脆化させる。切欠クリープ試験の結果からアルミニウムの含有量の上限は0.01%とした。より好ましくは0.005%以下である。
【0030】
砒素(As)、錫(Sn)、アンチモン(Sb): 砒素、錫、アンチモンは製鋼原料から混入する場合が多く、ともに結晶の粒界に沿って析出して材質の靱性を低下させる。特に高温になると結晶粒界への凝集が著しくなり、急速に脆化する。切欠クリープ試験の結果からこれら不純物の含有量の上限は、砒素は0.01%、錫は0.01%、アンチモンは0.003%とした。より好ましくは砒素は0.007%以下、錫は0.007%以下、アンチモンは0.0022%以下である。
【0031】
次に、請求項2に記載の発明における成分限定理由を説明する。なお、前述の請求項1に関する説明で既に述べた成分については、不純物を含めて限定理由は同じなので、ここではコバルトの成分限定理由について説明する。
コバルト(Co): コバルトはマトリックスに固溶してマトリックス自体を強化するとともに、フェライト相の析出を抑制する。又、靱性を向上させる効果もあるので、強度と靱性のバランスをとるのに有効である。添加量が0.1%未満では効果が現れず、3.5%を越えると炭化物の析出を促進してクリープ特性を劣化させる。したがってコバルトの含有許容範囲は0.1%〜3.5%とする。より好ましくは0.5〜2.5%である。
【0032】
次に、請求項3及び請求項4に記載の発明における成分限定理由を説明する。なお、前述の請求項1及び請求項2に関する説明で既に述べた成分については、不純物を含めて限定理由は同じなので、ここではニオブ、タンタル、窒素及び硼素の成分限定理由について説明する。
ニオブ(Nb): ニオブは焼入れ性を高めるとともに炭化物及び/又は炭窒化物を形成してクリープ破断強度を向上させる。また、高温加熱時の結晶粒の成長を抑制し、組織の均質化に寄与する。添加量が0.01%未満ではその効果は認められず、また、0.15%を越えると靱性の著しい低下を招くとともに、ニオブの炭化物或いは炭窒化物が使用中に粗大化し、長時間のクリープ破断強度を低下させる。したがってニオブの含有許容量は0.01%〜0.15%とした。好ましくは0.05〜0.1%の範囲である。
【0033】
タンタル(Ta): タンタルもニオブと同様に焼入れ性を高めるとともに、炭化物及び/又は炭窒化物を形成してクリープ破断強度を向上させる。添加量が0.01%未満ではその効果は認められず、また、0.15%を越えると靱性の著しい低下を招くとともに、タンタルの炭化物或いは炭窒化物が使用中に粗大化し、長時間のクリープ破断強度を低下させる。したがってタンタルの含有許容量は0.01%〜0.15%とした。好ましくは0.05〜0.1%の範囲である。
【0034】
窒素(N): 窒素は炭素とともに合金元素と結合して炭窒化物を形成して、クリープ破断強度の向上に寄与する。添加量が0.001%未満で窒化物を生成することができないためその効果は認められず、0.05を越えると長時間の間に炭窒化物が凝集して粗大化するので十分なクリープ強度が得られない。したがって窒素の含有許容量は0.001%〜0.05%とした。好ましくは0.005〜0.01%の範囲である。
【0035】
硼素(B): 硼素は焼入れ性を高めると共に、粒界強度を高めてクリープ破断強度の向上に寄与する。添加量が0.001%未満ではその効果は認められず、また、0.015%を越えると焼入れ性がかえって悪化する。したがって硼素の含有許容量は0.001%〜0.015%とした。好ましくは0.003〜0.010%の範囲である。
【0036】
次に、請求項5から請求項8に記載の発明について合金組成の限定範囲を説明する。請求項5から請求項8に記載の発明の合金の主成分は、従来のCrMoV鋼に相当した合金であり、タングステンを添加していない。その他の成分の限定理由については、これまで説明してきたとおりである。
【0037】
請求項5の発明の合金は、従来のCrMoV鋼相当の合金の不純物含有量を極めて低い範囲に限定したものである。不純物含有量を極めて低い範囲に限定することにより、靱性を損なわずに平滑クリープ強度は従来のCrMoV鋼と同等以上のレベルであって、しかもクリープ脆化を起こさない材料が得られることが判明した。したがってあえてタングステンを添加しない組成とした。
主成分を上記のように調製した上で、燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの微量不純物を特定の値以下に下げることにより、高温強度特性、特にクリープ脆化を抑制するようにした。具体的には炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05から1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%である。
【0038】
請求項6の発明の合金は、請求項5の発明の合金にコバルトを加え、マトリックスを強化し靱性を改善したものである。
請求項7の発明の合金は、請求項5の発明の合金にニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加して、平滑クリープ特性の一層の向上を図ったものである。
請求項8の発明の合金は、請求項5の発明の合金にさらにコバルト及びニオブ、タンタル、窒素、または硼素のうち少なくとも1種の微量元素を添加して、靱性を向上させると共に、平滑クリープ特性の一層の向上を図ったものである。
コバルト、ニオブ、タンタル、窒素、または硼素を添加することによる効果や含有量の範囲は前述の説明と同じなので省略する。
【0039】
次に、本発明の低合金鋼の光学顕微鏡組織について説明する。
本発明の低合金鋼は、通常950℃以上の高温に加熱して焼入れした後、580〜680℃で焼戻して使用する。高温クリープ強度を向上させるには、焼入れするときの温度を高めて、強化元素を十分に固溶させる方法がある。ところが従来のCrMoV鋼では焼入れ温度を1000℃以上にすると、使用中に材質が脆化するいわゆるクリープ脆化を引き起こす。このため従来のCrMoV鋼では焼入れ温度は950〜970℃が採用されてきた。一方タングステンやモリブデン等の強化元素量を増した成分系では、950〜970℃程度の焼入れ温度では、軟らかいフェライト相が多量に析出し、材料強度を確保できないとともに、高温クリープ強度も満足できる性能ではない。ただし、フェライト相も析出量が少なく、かつ微細に分散している場合は弊害は少ない。
【0040】
本発明者らはクリープ脆化の防止対策を鋭意研究した結果、クリープ脆化には燐、硫黄、銅、アルミニウム、砒素、錫、アンチモンの微量不純物が大きく影響していることを突き止めた。クリープ脆化がこれら微量不純物に起因していることから、これら微量不純物含有量を低く抑えることにより、焼入れ温度を1000℃以上に高めてもクリープ脆化は起こらないことが判明した。焼入れ温度を1000℃以上に高めると、強化元素が基地中に十分に溶け込むとともに、フェライト相の析出が抑えられ、材料強度が向上し、平滑クリープ特性も一層向上する。フェライト相減少の効果が現れるのは、光学顕微鏡組織中でフェライト相の占める割合が10%以下になるときである。微細なフェライト相が10%以下で分散している場合はあまり悪影響は及ぼさない。
光学顕微鏡組織中でフェライト相の占める割合は、通常用いられる画像解析装置で判定できる。
【0041】
次に、本発明の低合金耐熱鋼の製造方法について説明する。
本発明の低合金耐熱鋼の製造方法は、上述したとおり先ず所定の合金組成となるように母材を溶製する。ここで微量不純物を下げる方法は特に制限はなく、原材料の厳選を含めて公知のあらゆる精錬方法が利用できる。次に、たとえばタービンロータ材を製造する場合には、所定の組成に溶解した合金溶湯を公知の方法で鋼塊に鋳造し、所定の鍛造・成形加工を施してタービンロータの素材とする。次いでこの素材を1000℃以上1100℃以下の温度、好ましくは1030℃〜1070℃に加熱した後焼入れし、600〜750℃の温度、好ましくは650〜700℃の温度で焼戻す。焼入れ温度が1000℃に満たない場合は強化元素の固溶が不十分で軟らかいフェライト相が多量に析出し、強度が上がらない。焼入れ温度が1100℃を越えると結晶粒が粗大化して靱性が低下する。焼戻し温度が600℃に満たないと焼戻しが十分おこなえず、高温クリープ強度が低下するとともに所望の靱性が得られない。また、焼戻し温度が750℃を越えると引張強さ、耐力が低下する。焼戻し温度は0.2%耐力がおよそ63±2kgf/mm2 となる範囲を目標に適宜選択すればよい。焼入れ・焼戻しの手段にも特に制限はなく、材料の用途や大きさによって適宜公知の手段を選択すればよい。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
各実施例において、全ての供試材は50kg真空高周波炉にて溶製し、加熱温度1200℃で鍛造を行った。各種評価試験に用いた供試材の熱処理は、胴径が1200φのロータを油冷したときの中心部を模擬した焼入れ処理を行い、焼戻しは0.2%耐力がおよそ618±20MPaとなるように、各材料ごとに焼戻し温度を決めて行った。ただし、一部に目標耐力が得られないものがあった。
【0043】
(実施例1)
表1に実施例1に供した材料(試料番号1〜6)と、比較材料(試料番号7〜14)の化学組成を示す。また、表2にはこれらの材料を950℃、1000℃及び1050℃から焼入れした場合の初析フェライト相の量を画像解析装置によって求めた結果を示した。さらに表2にはこれらの材料を1050℃から焼入れした場合の0.2%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー及び600℃−15kgf/mm2 におけるクリープ破断時間を平滑試料と切欠試料について測定した結果を示した。
【0044】
比較例Aの試料番号7〜9は主として炭素、珪素及びマンガンの量が不適当なため、微量不純物の含有量を減らしても強度不足を呈した。試料番号7と8は初析フェライト相が多くて焼入れ性が低く強度不足であった。試料番号9は靱性が劣っている。比較例Bの試料番号10と11は、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム等の量が不適当なため、微量不純物の含有量を減らしてもなお平滑クリープ強度が不足している。比較例Cの試料番号12〜13は、主要成分は本発明と同等の目標値に合致しているものの、微量不純物の含有量が多いため、平滑クリープ試験では破断時間が長いが、クリープ脆化を起こす脆い材料であることを示している。
【0045】
これに対して試料番号1〜6の本発明例では1000℃の焼入れ温度で初析フェライト相は大幅に低下し、耐力、靱性、クリープ特性のいずれをみても優れている。特に、1050℃焼入れ材は切欠クリープ試験において12000時間経過後も破断せず、クリープ脆化を起こしていないことを示している。
【0046】
(実施例2)
次に、表3に実施例2に供した材料の化学組成を示す。実施例2では実施例1の試料番号2及び試料番号5の材料をベースに、さらにコバルト或いはNb、Ta、窒素、硼素等の微量元素を添加して、しかも微量不純物を低く抑えたものである。表4には実施例1と同様に、これらの材料を1050℃から焼入れした場合の0.2%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー及び600℃−15kgf/mm2 におけるクリープ破断時間を平滑試料と切欠試料について測定した結果を示した。
【0047】
表4の結果から、実施例2の各料料(試料番号15〜21)は0.2%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギーは実施例1の材料と同程度であるが、クリープ特性が向上し、特に平滑クリープ試験におけるクリープ破断時間が大幅に伸びていることが判る。また、1000℃以上の焼入れ温度で初析フェライトの量は低減し、1050℃から焼入れした場合微量不純物を低く抑えたことによりクリープ脆化は起こしていないことが判る。
【0048】
(実施例3)
表5に実施例3に供した本発明の材料(試料番号22、23)と比較例の材料(試料番号12、24)の化学組成を示す。実施例3では従来のCrMoV鋼に相当する材料の微量不純物について検討した。表6にはこれらの材料を950℃、1000℃及び1050℃から焼入れした場合の0.2%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー及び600℃−147MPaにおけるクリープ破断時間を平滑試料と切欠試料について測定した結果を示した。
【0049】
表6の結果から、1000℃以上から焼入れした場合、実施例3の材料(試料番号22、23)は比較例の材料(試料番号12、試料番号24)と比べると、強度や靱性は共に同程度のレベルにある。しかし、平滑クリープ特性はやや向上し、切欠試験片について測定したクリープ破断時間は、比較材が2000〜2500時間であるのに対して、本発明合金では12000時間で未破断であり、高温クリープ特性が飛躍的に向上している。従来のCrMoV鋼でも微量不純物の量を低く抑えることにより、クリープ脆化が防げることが判る。
【0050】
(実施例4)
表7に実施例4に供した本発明の材料(試料番号25、28)の化学組成を示す。実施例4では実施例3で良好な結果を示した試料番号23の合金をベースに、さらにコバルト或いはNb、Ta、窒素、硼素等の微量元素を添加して、しかも微量不純物を低く抑えたものである。表8にはこれらの材料を1050℃から焼入れした場合の0.2%耐力、シャルピー衝撃吸収エネルギー及び600℃−147MPaにおけるクリープ破断時間を平滑試料と切欠試料について測定した結果を示した。
【0051】
表8の結果から、本発明の材料(試料番号25〜28)は試料番号23の合金に比べてさらに平滑クリープ試験での破断時間が確実に伸びている。しかも靱性の低下や切欠脆化の傾向は認められない。
【0052】
【発明の効果】
本発明の低合金耐熱鋼は、製造方法が容易で、従来のCrMoV鋼に比べて同等以上の耐力、靱性を有し、かつ高温特性に優れている。特に1000℃以上からの焼入れが可能となり、初析フェライト相の析出が抑制されるため、クリープ脆化を起こさないので高温用蒸気タービン材として優れた性能を発揮する。また、本発明のタービンロータは優れた高温強度と靱性を備え、クリープ脆化を起こさないので高温での使用が可能となり、エネルギー効率の高い発電プラントが実現できるので極めて有用である。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
Claims (10)
- 重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.35%、珪素:0.005〜0.35%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.3%、クロム:0.8〜2.5%、モリブデン:0.1〜1.5%、タングステン:0.1〜2.5%、バナジウム:0.05〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 重量%で炭素:0.20〜0.40%、珪素:0.005〜0.40%、マンガン:0.05〜1.0%、ニッケル:0.05〜0.6%、クロム:0.8〜1.5%、モリブデン:0.5〜1.5%、バナジウム:0.1〜0.3%、コバルト:0.1〜3.5%を含み、さらにニオブ:0.01〜0.15%、タンタル:0.01〜0.15%、窒素:0.001〜0.05%、硼素:0.001〜0.015%のうちから選ばれたいずれか一種以上を含み、燐:0.012%以下、硫黄:0.005%以下、銅:0.10%以下、アルミニウム:0.01%以下、砒素:0.01%以下、錫:0.01%以下、アンチモン:0.003%以下であって、残部が不可避的不純物を含む鉄からなり、初析フェライト相の量が10体積%以下であることを特徴とする低合金耐熱鋼。
- 請求項1から請求項8のいずれかに記載の組成を有する鋼塊を鍛造・成形し、該鋼塊を1000℃以上1100℃以下に加熱した後焼入れし、ついで600℃〜750℃で焼戻しすることを特徴とする低合金耐熱鋼の製造方法。
- 請求項1から請求項8のいずれかに記載の低合金耐熱鋼で構成されてなることを特徴とするタービンロータ。
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