JP4071660B2 - 伝搬環境模擬装置およびプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、陸上移動体通信において端末フィールド試験環境固有の情報を設定することにより端末フィールド試験の模擬を行う伝搬環境模擬装置およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
陸上移動体通信において、その伝搬特性は1)瞬時変動(フェージング)、2)短区間変動(シャドウィング)、3)長区間変動(距離減衰)の3つの独立した変動が重畳したものとして表せる。そこで、上記の3つの変動要素を利用して、こうした陸上移動体通信の伝搬特性を屋内でシュミレーションするための伝搬環境模擬装置が提案されている。チャネルシミュレータと呼ばれる装置は、伝搬環境模擬装置の1つであり、チャネル周波数、減衰、位相、遅延時間、ドップラー周波数などを入力値として与えることにより瞬時変動を模擬することができる。また、2つの異なるRF信号(RF:radio frequency 無線周波数)に対してそれぞれ6つまでのパスを設定でき、異なるRF信号に対して独立して伝搬環境を模擬することができる。さらに、その各々のパスに対して、遅延時間、パス減衰レベル、レイリーフェージング、対数正規フェージングを独立に設定することにより、長区間変動、瞬時変動、短区間変動を含む電波伝搬模擬を行うこともできる。
【0003】
また、1台の移動局と複数の基地局との仮想的な位置および各基地局のアンテナ指向性パターンを予め設定し、移動局と基地局との間の複数伝搬路における伝搬損を擬似するように減衰器の減衰量を制御するように構成されているマルチキャリア伝搬環境模擬装置というものも提案されている。このマルチキャリア伝搬環境模擬装置では、設定されている基地局位置および各基地局のアンテナ指向性パターン、伝搬路パラメータならびに移動局移動経路および移動速度をもとに、時間経過とともに移動局の移動に伴って変化する伝搬損を計算することにより、長区間変動の模擬を行い、標準偏差および平均値を用いて対数正規分布に従う乱数を、平均ビル幅および移動局速度から求まる平均周期ごとに、複数基地局間の相関を含めて生成し、その移動平均を基地局毎の短区間変動値として模擬を行っており、この装置と合わせてフェージングシミュレータを制御することにより瞬時変動の模擬も可能とするものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−261386号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、チャネルシミュレータによる方法やマルチセル伝搬模擬装置による方法では、移動局の移動に伴い基地局を切り替える(ハンドオーバ)などの特性解析、性能評価を行うことはできるものの、実際に端末フィールド試験を行うエリア固有のデータ(例えば、地理データ、地形データ、建物データ等)を伝搬パラメータとして与えることができない。そのため、端末フィールド試験環境を模擬に正確に反映することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、実際に端末フィールド試験を行うエリア固有のデータを伝搬パラメータとして用いることのできる伝搬環境模擬装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、仮想のエリアにおいて、仮想の無線局を想定して伝搬環境を模擬的に再現する伝搬環境模擬装置であって、前記仮想エリアは複数のエリアブロックに分割されており、送信局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する入力信号変換手段と、前記エリアブロック毎に実環境における固有の情報を予め記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶されたエリアブロック毎の固有情報と前記送信局および受信局に関するパラメータと位置情報とにより、前記送信局及び前記受信局の組合せ毎に、送信局及び受信局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて送信局から受信局までの電波伝搬路における伝搬データを生成する伝搬データ生成手段と、該伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を前記受信局ごとに加算する演算処理手段と、該演算処理手段からの信号を前記送信局から入力した信号の形式に変換し、前記受信局に出力する信号変換出力手段とを備え、前記演算処理手段は、前記受信局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、前記信号処理手段は、前記送信局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、前記減衰量生成部は、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、前記演算部は、該減衰量を前記入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、前記伝搬データ生成手段は、送信局又は受信局の移動経路の情報に基づいて該送信局又は受信局が属するエリアブロックを変更し、送信局又は受信局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、前記情報記憶手段が通信をしている無線局間以外の無線局による干渉パラメータを記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段からの伝搬データと該干渉パラメータとに基づいて干渉データを生成する干渉データ生成手段を備え、前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比および上り総合負荷率を含むことを特徴とする伝搬環境模擬装置を提案している。
【0008】
この発明によれば、入力信号変換手段により、送信局からの送信信号が所定の形式の信号、例えば、RF信号がベースバンド信号に変換される。想定するエリア固有の情報は予め情報記憶装置に記憶されており、伝搬データ生成手段により、この情報と送信局および受信局に関するパラメータおよび位置情報(時間ごとの位置変化を含む)とから送信局から受信局までの電波伝搬路における伝搬データが生成される。演算手段では、生成された伝搬データに基づき変換された送信信号を加工処理し、得られた信号を受信局ごとに加算する。加算された信号は、信号変換出力手段により、送信局から入力した信号の形式に変換され、受信局に出力される。
【0009】
請求項2に係る発明は、仮想のエリアにおいて、仮想の無線局を想定して伝搬環境を模擬的に再現する伝搬環境模擬装置であって、前記仮想エリアは複数のエリアブロックに分割されており、前記エリアブロック毎に実環境における固有の情報を予め記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶されたエリアブロック毎の固有情報と基地局および移動局に関するパラメータと位置情報とにより、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて基地局から移動局までの電波伝搬路における伝搬データを生成する伝搬データ生成手段と、前記基地局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第1の入力信号変換手段と、前記移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第2の入力信号変換手段と、前記伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記第1の入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を移動局ごとに加算する第1の演算処理手段と、前記伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記第2の入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局ごとに加算する第2の演算処理手段と、前記第1の演算処理手段からの信号を前記基地局から入力した信号の形式に変換し、前記移動局に出力する第1の信号変換出力手段と、前記第2の演算処理手段からの信号を前記移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局に出力する第2の信号変換出力手段とを備え、前記第1の演算処理手段は、前記移動局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、前記第2の演算処理手段は、前記基地局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、前記第1の演算処理手段において、前記信号処理手段は、前記基地局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、該減衰量生成部は、自己に対応する基地局及び移動局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、該演算部は、該減衰量を前記第1の入力信号変換手段からの信号に付加し、前記第2の演算処理手段において、前記信号処理手段は、前記移動局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、該減衰量生成部は、自己に対応する基地局及び移動局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、該演算部は、該減衰量を前記第2の入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、前記伝搬データ生成手段は、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、前記情報記憶手段が通信をしている無線局間以外の無線局による干渉パラメータを記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段からの伝搬データと該干渉パラメータとに基づいて干渉データを生成する干渉データ生成手段を備え、前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比および上り総合負荷率を含むことを特徴とする伝搬環境模擬装置を提案している。
【0010】
この発明によれば、基地局および移動局のそれぞれに入力手段、演算処理手段および信号変換出力手段を設けたため、上り下りの双方に対して、適切な伝搬環境のシミュレーションを行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載された伝搬環境模擬装置について、前記伝搬データ生成手段が、想定する前記エリア固有の情報と、前記送信局および受信局に関するパラメータとその位置情報とに基づいて、送信側から受信側へ電波伝搬路における減衰量、位相値、遅延時間の単位時間あたりの差分量を算出し、該算出値を出力する伝搬環境模擬装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、伝搬データ生成手段が送信側から受信側への電波伝搬路における減衰量、位相値、遅延時間の単位時間あたりの差分量を算出し、これを出力するため、伝搬データ生成手段が次段の装置に対して出力するデータ量を削減することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載された伝搬環境模擬装置について、前記情報記憶手段がエリアごとの地理データ、地形データあるいは道路や建造物に関するデータを少なくとも記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段が該地理データ、地形データあるいは道路や建造物に関するデータのうち少なくともひとつを利用して前記伝搬データを生成することを特徴とする伝搬環境模擬装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、エリアごとの固有情報として地理データ、地形データあるいは道路や建造物に関するデータを利用して伝搬データを生成することから、端末フィールド試験環境を模擬に適切に反映することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載された伝搬環境模擬装置について、前記想定する仮想エリアを並列的に構成することを特徴とする伝搬環境模擬装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、想定する仮想エリアを並列的に複数設定することができることから、伝搬環境模擬装置に実際に接続されている無線局よりも、等価的に多くの無線局について伝搬環境の模擬を行うことができる。
【0018】
この発明によれば、干渉データ生成手段により、実際に通信している無線局以外からの干渉をも含めてシミュレーションができることから、現実の環境により近い状態で、無線機等の評価を行うことができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、基地局あるいは移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する入力信号変換手段と、基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データと該基地局および移動局以外の無線局による干渉データとに基づいて入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局あるいは移動局ごとに加算する演算処理手段と、該演算処理手段からの信号を前記基地局あるいは移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局あるいは移動局に出力する信号変換出力手段とを備える伝搬環境模擬装置に用いられるプログラムであって、予め記憶された仮想エリアとして設定するエリアの実環境における固有の情報と前記基地局および移動局に関するパラメータと位置情報とにより前記基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データを生成する第1のステップと、予め記憶された該基地局および移動局以外の無線局による干渉パラメータと伝搬パラメータとに基づいて干渉データを生成する第2のステップと、該生成された伝搬データと干渉データとに基づいて入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局あるいは移動局ごとに加算する第3のステップとを実行するためのプログラムであり、前記仮想エリアは、複数のエリアブロックに分割され、前記エリアブロック毎の情報が予め記憶されており、前記第1のステップは、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて前記伝搬データを生成し、前記第3のステップは、受信局の各々に対応して信号処理を行う第4のステップを有し、前記第4のステップは、送信局の各々に対応して設けられる演算ステップ及び減衰量生成ステップと、該演算ステップからの出力信号を加算する第1の加算ステップと、該第1の加算ステップからの出力信号に前記干渉データに応じた干渉量を加算する第2の加算ステップとを有し、前記減衰量生成ステップは、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、前記演算ステップは、該減衰量を前記入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、前記第1のステップは、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比、及び上り総合負荷率を含むことを特徴とするプログラムを提案している。
【0020】
請求項7に係る発明は、基地局あるいは移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第1のステップと、該変換された入力信号をデジタル信号に変換する第2のステップと、予め記憶された仮想エリアとして設定するエリアの実環境における固有の情報と送信局および受信局に関するパラメータと位置情報とにより基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データを生成する第3のステップと、予め記憶された該基地局および移動局以外の無線局による干渉パラメータと伝搬パラメータに基づいて干渉データを生成する第4のステップと、該生成された伝搬データと干渉データとに基づいてデジタル信号に変換された前記入力信号を処理し、該処理された信号を前記基地局あるいは移動局ごとに加算する第5のステップと、該加算されたデジタル信号をアナログ信号に変換する第6のステップと、該アナログに変換された信号を前記基地局あるいは移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局あるいは移動局に出力する第7のステップとを実行するためのプログラムであり、前記仮想エリアは、複数のエリアブロックに分割され、前記エリアブロック毎の情報が予め記憶されており、前記第3のステップは、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて前記伝搬データを生成し、前記第5のステップは、受信局の各々に対応して信号処理を行う第8のステップを有し、前記第8のステップは、送信局の各々に対応して設けられる演算ステップ及び減衰量生成ステップと、該演算ステップからの出力信号を加算する第1の加算ステップと、該第1の加算ステップからの出力信号に前記干渉データに応じた干渉量を加算する第2の加算ステップとを有し、前記減衰量生成ステップは、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、前記演算ステップは、該減衰量を前記入力信号に付加するものであり、前記第3のステップは、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比、及び上り総合負荷率を含むことを特徴とするプログラムを提案している。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る伝搬環境模擬装置について図1から図17を参照して詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態に係る伝搬環境模擬装置は、図1に示すように、基地局1(BS)と、移動局2(MS)と、入出力装置(入力信号変換手段、信号変換出力手段)3a、3bと、伝搬データ生成装置(伝搬データ生成手段)4と、演算装置(演算処理手段)5と、データ保持装置(情報記憶手段)6とから構成されている。
【0022】
基地局1および移動局2(数は任意)はそれぞれ入出力装置3a、3bに接続されており、入出力装置3a、3bおよび伝搬データ生成装置4は演算装置5に接続されている。また、伝搬データ生成装置4は各エリア固有のデータ、例えば、地図データなどを保持したデータ保持装置6に接続されている。入出力装置3a、3bは、それぞれ基地局1あるいは移動局2からの無線周波数信号(RF信号)を受信する。なお、図中、RFは無線周波数信号(RF:radio frequency )を、BBはベースバンド信号(BB:Base Band)を示しており、BBからRFへの矢印(あるいは、RFからBBの矢印)はベースバンド信号からRF信号(あるいは、RF信号からベースバンド信号)への変換を表している。
【0023】
入出力装置3a、3bは、図1に示すように、基地局1側と移動局2側とのそれぞれに設置されている。基地局1側入出力装置3aには各基地局1がそれぞれ入出力装置3aに割り当てられたポートに接続されている。同様に、移動局2側入出力装置3bには各移動局2がそれぞれ入出力装置3bに割り当てられたポートにより接続されている。入出力装置3a、3bは各基地局1に割り当てられたポートまたは各移動局2に割り当てられたポートから入力されるRF信号をそれぞれ独立に演算装置5で受け取れるような形式、例えば、複素アナログベースバンド信号に変換した後、演算装置5の対応するポートへ変換した信号を出力する。一方、入出力装置3a、3bは、演算装置5から入力される複素アナログベースバンド信号を出力する基地局1もしくは移動局2のポート毎に独立してRF信号に変換した信号を出力する。
【0024】
伝搬データ生成装置4は、例えば、各基地局1と移動局2間における長区間変動(距離減衰)、短区間変動(シャドウィング)、瞬時変動(フェージング)を伝搬アルゴリズムに従い計算して、その計算結果を合成し、伝搬データとして演算装置5へ出力する。伝搬データ生成装置4における計算処理フローを図2に示す。伝搬データ生成装置4では想定している端末フィールド試験において使用する基地局1に関する情報(例えば、基地局座標、アンテナ高、セクタアンテナ指向性、チルト角、アンテナ利得およびビーム方向など)、移動局2に関する情報(例えば、経路と時刻、アンテナ高など)、および、短区間変動、瞬時変動を計算する際に必要となるパラメータ(例えば、短区間変動においては標準偏差、角度相関など。瞬時変動においては遅延プロファイル、遅延スプレッドなど)をデータ保持装置6に予め保持する。なお、以降、これら基地局1に関する情報を基地局パラメータ、移動局2に関する情報を移動局パラメータ、短区間変動、瞬時変動のためのパラメータを伝搬パラメータと呼ぶ。
【0025】
次に想定している端末フィールド試験環境情報の設定を、例えば以下のように行う。図3は、ある端末フィールド試験エリアを表しており、BS1、2、3は端末フィールド試験における基地局1を、MS1は移動局2を表し、MS1は時間の経過に伴い太矢印の方向へ移動するものとする。各基地局1と移動局2間の双方向矢印は各時間におけるBS1、2、3とMS間の電波伝搬を表す。
【0026】
端末フィールド試験環境情報を設定するためには、まず図3の破線で示すように、端末フィールド試験エリアを分割(分割数は任意)することが必要である。ここで、これら分割したそれぞれの区域はエリアブロックと呼ばれ、データ保持装置6にはこのエリアブロック毎に、道路幅、建物高、標高などの情報が保持されている。また、エリアブロック毎に与えられる端末試験エリア環境情報を環境パラメータと呼ぶ。これら環境パラメータはそれぞれの情報が記録されている地図データなどを参照することにより与えられる。
【0027】
環境パラメータは次のように設定する。例えば、道路幅は地図データからエリアブロック毎に高速道路、幹線道路、鉄道が通っているかを調べ、通っている場合はそのエリアブロックの道路幅を30mに設定し、通っていないエリアブロックの道路幅は12mとする。建物高については都市計画図などから各エリアブロックの属する(容積率、建蔽率)を調べ、(容積率、建蔽率)が(300、80)のとき建物高を15m、(600、80)のとき建物高を30m、(400、80)のとき建物高を20mなどのように、(容積率、建蔽率)の組により建物高を設定しエリアブロックに建物高を設定する。また、標高は数値地図などから端末フィールド試験エリアにおける標高データを得て、各エリアブロックの中心地点における標高をそのエリアブロックにおける標高値として設定する。
【0028】
伝搬アルゴリズムでは、測定結果から得られた統計モデル、あるいは、レイトレースなどによる決定論的なモデルを用いる。例えば、統計モデルでは通常、長区間変動(距離減衰)、短区間変動(シャドウィング)、瞬時変動(フェージング)に分けて減衰量を求める。長区間変動(距離減衰)は端末フィールド試験環境の違いにより伝搬モデルを変更し減衰量を計算する。端末フィールド試験環境の違いは、例えば都市部、郊外部などで表す。ここで、都市部とは基地局1の地面からのアンテナ高が周辺の建物と同程度の高さであり、移動局2近傍に建造物などが密集しているような地域である。また、郊外部とは基地局1の地面からのアンテナ高が周辺の建物よりも高く、樹木、家屋等が散在し、移動局2近傍に建物など電波伝搬を妨害する妨害物はあるが密集していない地域のことである。
【0029】
一例として、都市部については坂上モデルを、郊外部については奥村−秦モデルを用いた場合の減衰量Ldは以下の[数1]および[数2]で計算される。
【数1】
【数2】
ここで、f:周波数[MHz]、hb:移動局のある地面からのアンテナ高[m]、hm:移動局アンテナ高[m]、d:基地局から移動局間距離[km]、W:道路幅[m]、θ:道路角[°]、hs:道路際の建物高[m]、 <H>:平均建物高[m]、hb0:基地局の地面からのアンテナ高[m]、 H:基地局近傍の建物高[m, H≦hb0] である。なお、伝搬モデルの違いにより計算に用いるパラメータが異なるため、これらのパラメータはデータ保持装置6にて保持する。
【0030】
データ保持装置6に保持されている基地局1、移動局2が属するエリアブロックにおける基地局パラメータ、移動局パラメータおよび環境パラメータを用いて、[数1]および[数2]により、端末フィールド試験環境に対応した長区間変動は計算される。
【0031】
次に、短区間変動(シャドウィング)はある確率密度分布に従う乱数とし、エリアブロックを更に任意に分割したブロック(以下、シャドウィングブロックと呼ぶ)ごとに与える。例えば確率分布として対数正規分布を用いる場合、伝搬パラメータとして対数正規分布の標準偏差σ(dB)を与え、受信電力の短区間平均値をx、その対数値をXとおくと、Xの確率密度関数は[数3]で与えられる。
【数3】
【0032】
ここで、meanはXの平均値であり、長区間変動(距離減衰)の平均値である。なお、各シャドウィングブロックに対して角度相関および距離相関を考慮した短区間変動を求めることも可能である。また、入力パラメータの設定により短区間変動を発生させなくすることも可能である。
【0033】
瞬時変動(フェージング)では、レイリーフェージングやライスフェージングを与えるようなモデルを用いる。例えば、伝搬パラメータとして、遅延プロファイル、遅延スプレッド、平均到来波数、平均存在区間長等を与え、素波毎の電力を計算しそれらを合計することにより瞬時変動を求める。なお、短区間変動と同様に、入力パラメータの設定により瞬時変動を発生させなくすることも可能である。
【0034】
以上より得られる長区間変動値、短区間変動値、瞬時変動値を時間の経過ごとに逐次求め、それらを加算し、伝搬データとして例えば、図4に示すように記述されて演算装置5へ送られる。なお、図4においては、伝搬データは、「伝搬データファイル1、2・・・」として基地局1と移動局2のそれぞれの組合せごとにまとめられている。各伝搬データファイルでは、さらに、移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)に分けられる。また、移動局送信基地局受信(BS←MS)に対して、時間t1、t2・・・に対する上り素波1伝搬データ(Ls1u1、Ls2u2、・・・)、上り素波2伝搬データ(Ls2u1、Ls2u2、・・・)のように、複数の素波毎に与えられている。基地局送信移動局受信(MS→BS)に対しても、同様に下り素波1伝搬データ(Ls1n1、Ls1n2、・・・)、下り素波2伝搬データ(Ls2n1、Ls2n2、・・・)のように、複数の素波毎に保持される。ここで、Lsju#は時刻#におけるBS←MSにおける素波jの伝搬データ、Lsjn#は時刻#におけるMS←BSにおける素波jの伝搬データである。
【0035】
演算装置5は、図5に示すように、基地局送信移動局受信の下り回線に対して、ADCユニット11と、下り信号処理ユニット20と、DACユニット15と、制御ユニット16とから構成され、下り信号処理ユニット20は、さらに、演算部12と、Fading生成部13と、加算部14とから構成されている。また、移動局送信基地局受信の上り回線については、専用のDACユニット21と、上り信号処理ユニット30と、ADCユニット22とが備えられており、制御ユニット16は共用化されている。
【0036】
各基地局1のポートからの信号はアナログデジタル変換を行う下り用ADCユニット11に接続され、下り用ADCユニット11は移動局2毎に対応した下り信号処理ユニット20に接続され、さらに下り信号処理ユニット20はそれぞれデジタルアナログ変換器(下り用DACユニット15)に接続された後、対応する移動局2のポートの入出力装置3bへ信号を受け渡す。同様に、移動局送信基地局受信の上り回線のため、各上り信号処理ユニット30は上り用ADCユニット22、および、上り用DACユニット21に接続されている。信号処理ユニット20は基地局1のポート毎に演算部12とFading生成部13があり、演算部12を通過した各基地局1からの信号は加算部14へ入力された後、DACユニット15に出力される。同様に、信号処理ユニット30についても、移動局2毎に演算部12とFading生成部13が備えられている。さらに、下り信号処理ユニット20と上り信号処理ユニット30に対して演算装置5の管理および伝搬データ生成装置4とのインターフェイスを行うための制御ユニット16が接続されている。なお、以下では、下り信号処理(基地局送信移動局受信)に関して述べるが、上り信号処理に関しても同様の処理が行われる。
【0037】
基地局側入出力装置3aにおいて変換され、各基地局1に割り当てられたポートごとに出力された複素アナログベースバンド信号は演算装置5にてデジタル信号に変換され、各移動局2に対応した下り信号処理ユニット20に入力される。伝搬データ生成装置4にて、各基地局1、移動局2の組合せごとに計算され出力された伝搬データは、演算装置5内の制御ユニット16を介して、それぞれ対応するfading生成部13へ送られる。
【0038】
Fading生成部13では伝搬データである各素波の伝搬データを合成することにより逐次対応する減衰量を生成し、演算部12において、下り用ADCユニット11から出力されたデジタル信号に得られた減衰量を付加する。次に、基地局1のポートごとの信号を加算部14により合成し、得られたデジタル信号をデジタルアナログ変換(下り用DACユニット15)により複素アナログベースバンド信号に変換し、対応する移動局2に割り当てられたポートへ出力し、移動局側入出力装置3bへ信号を出力する。このとき、移動局側入出力装置3bは、入力した複素アナログベースバンド信号をRF信号に変換して、移動局2に対して出力する。
【0039】
本実施形態によれば、基地局および移動局から受信した信号に対して、仮想エリア内に設定された想定する実環境における固有情報、例えば、伝搬パラメータや基地局パラメータ、環境パラメータ、移動局パラメータ等の様々なパラメータを用いて、これを伝搬アルゴリズムにより解析することにより、仮想エリア内の伝搬環境を忠実に再現することができる。なお、本実施形態においては、基地局と移動局による複数構成の場合について説明したが、本装置は、例えば、送信局と受信局のような単一構成の場合においても適用可能である。
【0040】
図6は、第2の実施形態に係る端末フィールド模擬試験の概念図である。図に示すように、第2の実施形態に係る端末フィールド模擬試験は、並列的に構成された複数の端末フィールド試験エリア(数は任意)からなっている。また、各端末フィールド試験エリアには、基地局1(BS1、2、3・・・)と移動局2(MS1、2、3・・・)が配置されている。ここで、BS1、2、3・・・は図1に示すBS#1、2、3に、MS1、2・・・は図1に示すMS#1、2、・・・に対応しており、それぞれ入出力装置3a、3bに接続されている。すなわち、本実施形態においては、各端末フィールド試験エリアにて設定されているBS1、2、3・・・はそれぞれ同一の基地局を示している。
【0041】
但し、各端末フィールド試験における基地局パラメータ、移動局パラメータに関しては、それぞれ異なる設定となっている。また、各端末フィールド試験エリアは図3と同様のものであるが、各端末フィールド試験エリアはそれぞれ独立した別の試験エリアであり、設定されている環境パラメータ、および、上述の第1の実施形態に記載した都市部、郊外部といったフィールド試験環境も異なる。本実施形態によれば、伝搬環境模擬装置に接続されている共通の基地局1、移動局2を繰り返し用いて、異なる基地局パラメータ、移動局パラメータの設定が行えることから、異なる端末フィールド試験を同時に模擬できるという特徴を有する。
【0042】
図8は第3の実施形態に係る擬似干渉模擬の概念図の一例である。図8においては、セクタ数が3である複数の基地局1(BS)と複数の移動局2(MS)とで構成される擬似干渉が示されており、図の中央に位置する基地局1と移動局2との通信に対する、その他の基地局1、移動局2からの影響を示している。また、図中、通信を行っている基地局1と移動局2の間の信号を太矢印で示し、その他の基地局および移動局からの信号(以後、干渉信号と呼ぶ)を一点鎖線で示している。図9は、第3の実施形態に関する構成例であり、図1と比較すると、干渉データ生成装置31が新たに演算装置5に接続された構成になっている。また、干渉データ生成装置31はデータ保持装置6にも接続されている。
【0043】
図7は、干渉データ生成装置31における干渉量計算の処理フローを示しており、付加する干渉量を計算するために必要となる情報(例えば、上り所要Eb/N0、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比、上り総合負荷率など)が干渉パラメータとして設定されている。また、それら干渉パラメータはデータ保持装置6に保存されている。なお、基地局パラメータ、移動局パラメータ、伝搬パラメータ、環境パラメータ、および伝搬アルゴリズムに関しては図2に示される伝搬データ生成装置4における計算処理フローと同様である。
【0044】
また、干渉信号に対しても伝搬経路として通過するエリアブロックに設定された環境パラメータ、基地局パラメータ、移動局パラメータ、および伝搬パラメータに基づいてそれぞれ電波伝搬減衰をうけるものとし、これら干渉信号に対して、干渉アルゴリズムに従い付加する干渉量を計算する。干渉量の計算は、例えば、移動局送信基地局受信(BS←MS)では所要SNRが維持される加入者数を求め、この加入者数を100%の負荷として対応する干渉量を計算し、基地局送信移動局受信(MS←BS)では、移動局2が在圏するセクタからの干渉電力、移動局2が在圏しないセクタからの干渉電力をそれぞれ計算し合計することにより付加する干渉量を計算する。
【0045】
逐次計算された干渉量は、例えば、図10に示すような干渉データとしてまとめられ、演算装置5に送られる。なお、図10に示すように、干渉データは干渉データファイルとしてそれぞれ基地局1(BS)と移動局2(MS)の組み合わせごとに分けられる。各干渉データファイルでは基地局1と移動局2の相互間に対して、時間t1、t2、t3、・・・ごとに、上り干渉量(Iu1、Iu2、・・・)、下り干渉量(In1、In2、・・・)が与えられる。ここで、Iu#は時刻#における上り干渉量、In#は時刻#における下り干渉量を表している。
【0046】
図11は干渉計算を行う際の演算装置5の構成例を示している。図5の構成と比較して、基地局1のポート毎の信号を加算部13により合成した信号が、新たに干渉信号生成部32からの信号と、さらに加算部33において合成された後、下り用ADCユニット15へ出力される構成になっている。また、移動局送信基地局受信の上り回線における上り信号処理ユニット30に対しても同様に構成されている。干渉データ生成装置31において、各基地局1、移動局2ごとに計算された、それぞれに対応する干渉データは演算装置5内の制御ユニット16を介して送られ、例えば、その干渉データに干渉信号生成部32にて生成する乱数を乗じることにより、逐次対応する干渉量が生成される。そして、基地局1のポート毎にそれぞれ対応する減衰量が付加された信号に、さらに、干渉信号生成部にて生成された干渉量が加算部33にて付加される。
【0047】
本実施形態においては、基地局と移動局との間の伝搬環境のみならず、他の基地局および移動局からの干渉信号をも加味して、伝搬環境を模擬することができるため、より現実に近い伝搬環境において、移動局等の性能を正確に評価することができる。
【0048】
図12は、第4の実施形態に係る伝搬データ生成装置から出力される伝搬データのフォーマット例を示したものである。図中、伝搬データは、(伝搬データファイル1、2、・・・)として基地局1と移動局2のそれぞれの組合せごとにまとめられ、各伝搬データファイルは、更に移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)に分けられている。移動局送信基地局受信(BS←MS)に対しては時間t1、t2、・・・ごとに上り素波1差分量(L*s1u1、L*s1u2、・・・)、上り素波2差分量(L*s2u1、L*s2u2、・・・)のように複数の素波毎に保持されている。また、基地局送信移動局受信(MS←BS)においても同様に時間t1、t2、・・・に対して、下り素波1差分量(L*s1n1、L*s1n2、・・・)、下り素波2差分量(L*s2n1、L*s2n2、・・・)のように複数の素波毎に保持される。
【0049】
ここで、L*sju#は時刻#における移動局送信基地局受信(BS←MS)に対する素波jの差分量、L*sjn#は時刻#における基地局送信移動局受信(MS←BS)に対する素波jの差分量を表す。また、第4の実施形態に係る演算装置処理フローの構成は図5と同様であるが、各Fading生成部13では、それぞれ対応する伝搬データ生成装置4にて計算された素波毎の差分量を保持した伝搬データを受け取り、まず、差分量から各時間の素波毎の減衰量を計算した後、それらを合成し、対応する移動局送信基地局受信(BS←MS)(もしくは、基地局送信移動局受信(MS←BS))における減衰量を計算する。なお、減衰量を計算した後の処理は第2の実施形態の場合と同様である。
【0050】
また、本実施形態においては、伝搬データ生成装置4にて素波毎の伝搬データ(差分量)を生成しているが、伝搬データ生成装置4にて予め素波を合成し対応する移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)の減衰量を計算し、その差分量を伝搬データとして演算装置5に出力することも可能である。その場合、各Fading生成部13では得られる差分量から各時間における減衰量を求める処理のみが行われるこにとなる。本実施形態によれば、伝搬データ生成装置4が素波毎の伝搬データの差分値を演算装置5に出力することから、伝搬データ生成装置4から演算装置5に出力するデータ量を削減することができる。
【0051】
図13は、第5の実施形態に係る構成を示すものである。図中、BSは基地局1を、MSは移動局2を表しており、これらはそれぞれ既存入出力装置3a、3bに接続され、既存入出力装置3a、3bは既存演算装置5に接続されている。さらに、既存演算装置5に伝搬データ生成処理部41が接続されている。伝搬データ生成処理部41は図示しない1台のコンピュータシステム、もしくは、LANや通信回線のような情報ネットワークで接続された複数台のコンピュータネットワークなどで実現され、入力インターフェイス、出力インターフェイス、外部記憶装置や、コンピュータに組み込まれるソフトウェアプログラムの演算処理機能を持つものである。
【0052】
既存入出力装置3a、3bでは基地局1あるいは移動局2からのRF信号を既存演算装置5で処理できる信号に周波数変換を行い、既存演算装置5に信号を出力し、また、既存演算装置5から入力された信号をRF信号へ信号変換し、対応する基地局1もしくは移動局2へ信号を出力する。既存演算装置5では基地局1あるいは移動局2からの信号に、対応する基地局1、移動局2間の伝搬データに基づいて、入力された信号の信号強度、位相、遅延時間を逐次変更し、対応する入出力装置3a、3bへ出力する。
【0053】
図14は図13における伝搬データ生成処理部の処理フローであり、この処理はコンピュータプログラムによって実現される。図14において、短区間変動、瞬時変動を計算する際に必要となるパラメータ(例えば、短区間変動については標準偏差、角度相関など、瞬時変動については遅延プロファイル、遅延スプレッドなど)を伝搬パラメータとして、想定している端末フィールド試験環境情報(例えば、標高、道路幅、建物高など)を環境パラメータとして、基地局に関する情報(例えば、基地局位置、アンテナ高、チルト角、アンテナ利得など)を基地局パラメータとして、移動局に関する情報(例えば、移動局位置とその時間変化、アンテナ高など)を移動局パラメータとして、干渉量を計算する際に必要となるパラメータ(例えば、セル外セル内干渉比、上り所要Eb/Noなど)を干渉パラメータとして入力し、保持する。なお、環境パラメータの入力方法は第1の実施形態で記述した方法を用いることができる。
【0054】
伝搬アルゴリズム部では図2に示した伝搬アルゴリズム部の処理と同様に、移動局2の移動に伴い、保持された各基地局位置、移動局位置に対応した環境パラメータ、および、各基地局パラメータ、各移動局パラメータ、伝搬パラメータを用いて、想定する端末フィールド試験環境に適した既存伝搬モデルにより、基地局送信移動局受信、移動局送信基地局受信の組合せごとに減衰量が求められる。また、干渉アルゴリズム部における処理は図10に示した干渉アルゴリズム部の処理と同様であり、基地局移動局の組合せごとに上り干渉量および、下り干渉量が計算される。
【0055】
伝搬アルゴリズム部および干渉アルゴリズム部により生成された減衰量、干渉量は伝搬データ/干渉データ作成部にて、例えば、図15に示すようにまとめられ、出力される。なお、図15において、伝搬/干渉データは、(伝搬/干渉データファイル1、2・・・)として基地局1と移動局2のそれぞれの組合せごとにまとめられている。また、各伝搬/干渉データファイルでは更に移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)および干渉データに分けられて記述されている。
【0056】
時間t1、t2、・・・に対して、移動局送信基地局受信(BS←MS)では上り素波1伝搬データ(Ls1u1、Ls1u2、・・・)、上り素波2伝搬データ(Ls2u1、Ls2u2、・・・)のように複数の素波毎に保持され、基地局送信移動局受信(MS←BS)では下り素波1伝搬データ(Ls1n1、Ls1n2、・・・)、下り素波伝搬データ(Ls2n1、Ls2n2、・・・)のように複数の素波毎に保持され、干渉データとして上り干渉量(Iu1、Iu2、・・・)、下り干渉量(In1、In2、・・・)が保持される。ここで、Lsjn#は時刻#での移動局送信基地局受信(BS←MS)における素波jの伝搬データ、Lsjn#は時刻#での基地局送信移動局受信(MS←BS)における素波jの伝搬データ、Iu#は時刻#での上り干渉量、In#は時刻#での下り干渉量をそれぞれ表す。なお、本実施形態においては、伝搬データファイル内の移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)の伝搬データとして素波毎の減衰量を保持しているが、素波毎の時間差分量を保持することも可能である。前記出力された伝搬/干渉データは既存演算装置5へ入力され、基地局1、移動局2の組合せごとの伝搬/干渉データに基づき、対応する信号の信号強度、位相、遅延時間などが逐次変更される。
【0057】
図16は、第6の実施形態に係る構成を示したものであり、基地局1(BS)と、移動局2(MS)と、既存入出力装置3a、3bと、ADCユニット11と、DACユニット15、伝搬データ生成/演算処理部42とから構成されている。BS1、MS2は、それぞれ既存入出力装置3a、3bに接続され、既存入出力装置3a、3bは、ADCユニット11、DACユニット15を介して伝搬データ生成/演算処理部42に接続されている。ここで、既存入出力装置3a、3bから伝搬データ生成/演算処理部42への入力はADCユニット11に、伝搬データ生成/演算処理部42から既存入出力装置3a、3bへの入力はDACユニット15にそれぞれ接続されている。
【0058】
伝搬データ生成/演算処理部42は、図示しない一台のコンピュータシステム、もしくはLANや通信回線のような情報ネットワークで接続された複数台のコンピュータシステムで実現されるものであり、入力インターフェイス、出力インターフェイス、外部記憶装置や、コンピュータに組み込まれるソフトウェアプログラムの演算処理機能を持つものである。
【0059】
既存入出力装置3a、3bには、基地局1、移動局2がそれぞれ割り当てられたポートに接続されており、基地局1あるいは移動局2からのRF信号を演算処理できる信号(例えば、ベースバンド信号など)に変換を行い、対応するADCユニット11に出力し、また、DACユニット15からのベースバンド信号など演算処理できる信号を、例えば、RF信号へ信号変換し、対応する基地局1または移動局2へ出力するものである。ADCユニット11、DACユニット15には、アナログ/デジタル変換器、デジタル/アナログ変換器が、移動局送信基地局受信(BS←MS)、基地局送信移動局受信(MS←BS)の組合せの数だけ備えられており、それぞれ既存入出力装置3a、3b、伝搬データ生成/演算処理部42と接続されている。
【0060】
図17は、図16に示す伝搬データ生成/演算処理部における基地局送信移動局受信の場合の処理フロー例であり、この処理はコンピュータプログラムによって実現される。なお、移動局送信基地局受信に関しても同様の処理が行われる。図17において、基地局信号入力、伝搬データ付加部以外の伝搬データ/干渉データ生成における処理は図14の場合と同様であり、例えば、図15の伝搬/干渉データが伝搬干渉データ付加部へ送信されるものとする。伝搬干渉データ付加部では各基地局1、移動局2の組合せごとに出力された伝搬データ/干渉データから対応する基地局送信移動局受信の伝搬データである各素波の伝搬データを合成することにより対応する基地局送信移動局受信の減衰量を生成する。そして、既存DACユニット15から入力された基地局信号に対して、前記生成した減衰量を付加する。さらに、その移動局2毎に減衰量を付加した各基地局1の信号を加算し、対応する移動局2に割り当てられたDACユニット15内のデジタルアナログ変換器へ出力する。
【0061】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、第1の実施形態においては、入出力装置においてRF信号とベースバンド信号との変換を例にとって説明をしたが、これに限られるものではなく、例えば、RF信号とIF(IF:intermediate frequency)信号との変換を行ってもよい。
【0062】
また、第1の実施形態においては、伝搬データ生成装置にて素波毎の伝搬データを作成し、Fading生成部にて合成することにより減衰量を求める例を説明したが、伝搬データ生成部にて予め素波を合成し減衰量を求めた後、その減衰量を伝搬データとして演算装置へ直接出力することができる。その場合は、伝搬データは直接積算部に接続されるので、回路構成は小さくなる一方、転送するデータ量が増す。また、第5の実施形態においては、既存入出力装置と既存演算装置を別個に構成する例を示したが、ひとつの装置でこれを実現しても良い。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、移動体通信システムにおいて、任意の複数基地局と複数移動局の組合せで複数のフィールド試験環境における電波状態の変動に関連する試験を同時に屋内で模擬することができるという効果を有する。したがって、これによりフィールド試験に伴う工程遅延や時間的制約を回避でき試験工数を削減することができるという効果がある。
【0064】
さらに、本発明によれば、一般に端末フィールド試験では行うことが困難である電波状態の変動を再現して繰り返し試験することが可能であるという効果を有する。したがって、これにより、問題を顕在化させ、問題の箇所を的確に特定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係る構成図である。
【図2】 第1の実施形態に係る伝搬データ生成装置における処理フロー図である。
【図3】 第1の実施形態に係る端末フィールド試験エリアブロックの概念図である。
【図4】 第1の実施形態に係る伝搬データファイルのフォーマットを示す図である。
【図5】 第1の実施形態に係る演算処置装置の構成図である。
【図6】 第2の実施形態に係る概念図である。
【図7】 第3の実施形態に係る干渉計算の処理フローを示した図である。
【図8】 第3の実施形態に係る概念図である。
【図9】 第3の実施形態に係る伝搬環境模擬装置の構成図である。
【図10】 第3の実施形態に係る干渉データファイルのフォーマットを示す図である。
【図11】 第3の実施形態に係る演算処理装置の構成図である。
【図12】 第4の実施形態に係る伝搬データファイルのフォーマットを示す図である。
【図13】 第5の実施形態に係る構成図である。
【図14】 第5の実施形態に係る伝搬データ生成処理部における処理フローを示した図である。
【図15】 第5の実施形態に係る伝搬/干渉データファイルのフォーマットを示す図である。
【図16】 第6の実施形態に係る構成図である。
【図17】 第6の実施形態に係る伝搬データ生成/演算処理部の処理フローを示した図である。
【符号の説明】
1・・・基地局、2・・・移動局、3a、3b・・・入出力装置、4・・・伝搬データ生成装置、5・・・演算装置、6・・・データ保持装置、11・・・下りADCユニット、12・・・演算部、13・・・Fading生成部、14・・・加算部、15・・・下りDACユニット、16・・・制御ユニット、20・・・下り信号処理ユニット、21・・・上りDACユニット、22・・・上りADCユニット、30・・・上り信号処理ユニット、31・・・干渉データ生成装置、32・・・干渉信号生成部、33・・・加算部、41・・・伝搬データ生成処理部、42・・・伝搬データ生成/演算処理部
Claims (7)
- 仮想のエリアにおいて、仮想の無線局を想定して伝搬環境を模擬的に再現する伝搬環境模擬装置であって、
前記仮想エリアは複数のエリアブロックに分割されており、
送信局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する入力信号変換手段と、
前記エリアブロック毎に実環境における固有の情報を予め記憶する情報記憶手段と、
該情報記憶手段に記憶されたエリアブロック毎の固有情報と前記送信局および受信局に関するパラメータと位置情報とにより、前記送信局及び前記受信局の組合せ毎に、送信局及び受信局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて送信局から受信局までの電波伝搬路における伝搬データを生成する伝搬データ生成手段と、
該伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を前記受信局ごとに加算する演算処理手段と、
該演算処理手段からの信号を前記送信局から入力した信号の形式に変換し、前記受信局に出力する信号変換出力手段とを備え、
前記演算処理手段は、前記受信局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、
前記信号処理手段は、前記送信局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、
前記減衰量生成部は、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、
前記演算部は、該減衰量を前記入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、
前記伝搬データ生成手段は、送信局又は受信局の移動経路の情報に基づいて該送信局又は受信局が属するエリアブロックを変更し、送信局又は受信局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、
前記情報記憶手段が通信をしている無線局間以外の無線局による干渉パラメータを記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段からの伝搬データと該干渉パラメータとに基づいて干渉データを生成する干渉データ生成手段を備え、
前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比および上り総合負荷率を含む、
ことを特徴とする伝搬環境模擬装置。 - 仮想のエリアにおいて、仮想の無線局を想定して伝搬環境を模擬的に再現する伝搬環境模擬装置であって、
前記仮想エリアは複数のエリアブロックに分割されており、
前記エリアブロック毎に実環境における固有の情報を予め記憶する情報記憶手段と、
該情報記憶手段に記憶されたエリアブロック毎の固有情報と基地局および移動局に関するパラメータと位置情報とにより、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて基地局から移動局までの電波伝搬路における伝搬データを生成する伝搬データ生成手段と、
前記基地局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第1の入力信号変換手段と、
前記移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第2の入力信号変換手段と、
前記伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記第1の入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を移動局ごとに加算する第1の演算処理手段と、
前記伝搬データ生成手段からのデータに基づいて前記第2の入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局ごとに加算する第2の演算処理手段と、
前記第1の演算処理手段からの信号を前記基地局から入力した信号の形式に変換し、前記移動局に出力する第1の信号変換出力手段と、
前記第2の演算処理手段からの信号を前記移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局に出力する第2の信号変換出力手段とを備え、
前記第1の演算処理手段は、前記移動局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、
前記第2の演算処理手段は、前記基地局の各々に対応して設けられる信号処理手段を有し、
前記第1の演算処理手段において、前記信号処理手段は、前記基地局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、該減衰量生成部は、自己に対応する基地局及び移動局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、該演算部は、該減衰量を前記第1の入力信号変換手段からの信号に付加し、
前記第2の演算処理手段において、前記信号処理手段は、前記移動局の各々に対応して設けられる演算部及び減衰量生成部と、該演算部からの出力信号を加算する加算部とを有し、該減衰量生成部は、自己に対応する基地局及び移動局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、該演算部は、該減衰量を前記第2の入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、
前記伝搬データ生成手段は、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、
前記情報記憶手段が通信をしている無線局間以外の無線局による干渉パラメータを記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段からの伝搬データと該干渉パラメータとに基づいて干渉データを生成する干渉データ生成手段を備え、
前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比および上り総合負荷率を含む、
ことを特徴とする伝搬環境模擬装置。 - 前記伝搬データ生成手段が、想定する前記エリア固有の情報と、前記送信局および受信局に関するパラメータとその位置情報とに基づいて、送信側から受信側へ電波伝搬路における減衰量、位相値、遅延時間の単位時間あたりの差分量を算出し、該算出値を出力する請求項1又は請求項2に記載された伝搬環境模擬装置。
- 前記情報記憶手段がエリアごとの地理データ、地形データあるいは道路や建造物に関するデータを少なくとも記憶するとともに、前記伝搬データ生成手段が該地理データ、地形データあるいは道路や建造物に関するデータのうち少なくともひとつを利用して前記伝搬データを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載された伝搬環境模擬装置。
- 前記想定する仮想エリアを並列的に構成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載された伝搬環境模擬装置。
- 基地局あるいは移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する入力信号変換手段と、基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データと該基地局および移動局以外の無線局による干渉データとに基づいて入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局あるいは移動局ごとに加算する演算処理手段と、該演算処理手段からの信号を前記基地局あるいは移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局あるいは移動局に出力する信号変換出力手段とを備える伝搬環境模擬装置に用いられるプログラムであって、
予め記憶された仮想エリアとして設定するエリアの実環境における固有の情報と前記基地局および移動局に関するパラメータと位置情報とにより前記基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データを生成する第1のステップと、
予め記憶された該基地局および移動局以外の無線局による干渉パラメータと伝搬パラメータとに基づいて干渉データを生成する第2のステップと、
該生成された伝搬データと干渉データとに基づいて入力信号変換手段からの信号を処理し、該処理された信号を基地局あるいは移動局ごとに加算する第3のステップとを実行するためのプログラムであり、
前記仮想エリアは、複数のエリアブロックに分割され、
前記エリアブロック毎の情報が予め記憶されており、
前記第1のステップは、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて前記伝搬データを生成し、
前記第3のステップは、受信局の各々に対応して信号処理を行う第4のステップを有し、
前記第4のステップは、送信局の各々に対応して設けられる演算ステップ及び減衰量生成ステップと、該演算ステップからの出力信号を加算する第1の加算ステップと、該第1の加算ステップからの出力信号に前記干渉データに応じた干渉量を加算する第2の加算ステップとを有し、
前記減衰量生成ステップは、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、
前記演算ステップは、該減衰量を前記入力信号変換手段からの信号に付加するものであり、
前記第1のステップは、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、
前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比、及び上り総合負荷率を含む、
ことを特徴とするプログラム。 - 基地局あるいは移動局からの送信信号を入力し、該入力した送信信号を所定の形式の信号に変換する第1のステップと、
該変換された入力信号をデジタル信号に変換する第2のステップと、
予め記憶された仮想エリアとして設定するエリアの実環境における固有の情報と送信局および受信局に関するパラメータと位置情報とにより基地局と移動局間の電波伝搬路における伝搬データを生成する第3のステップと、
予め記憶された該基地局および移動局以外の無線局による干渉パラメータと伝搬パラメータに基づいて干渉データを生成する第4のステップと、
該生成された伝搬データと干渉データとに基づいてデジタル信号に変換された前記入力信号を処理し、該処理された信号を前記基地局あるいは移動局ごとに加算する第5のステップと、
該加算されたデジタル信号をアナログ信号に変換する第6のステップと、
該アナログに変換された信号を前記基地局あるいは移動局から入力した信号の形式に変換し、前記基地局あるいは移動局に出力する第7のステップとを実行するためのプログラムであり、
前記仮想エリアは、複数のエリアブロックに分割され、
前記エリアブロック毎の情報が予め記憶されており、
前記第3のステップは、前記基地局及び前記移動局の組合せ毎に、基地局及び移動局が各々属するエリアブロックの情報に基づいて前記伝搬データを生成し、
前記第5のステップは、受信局の各々に対応して信号処理を行う第8のステップを有し、
前記第8のステップは、送信局の各々に対応して設けられる演算ステップ及び減衰量生成ステップと、該演算ステップからの出力信号を加算する第1の加算ステップと、該第1の加算ステップからの出力信号に前記干渉データに応じた干渉量を加算する第2の加算ステップとを有し、
前記減衰量生成ステップは、自己に対応する送信局及び受信局の組合せの前記伝搬データに基づき、減衰量を生成し、
前記演算ステップは、該減衰量を前記入力信号に付加するものであり、
前記第3のステップは、移動局の移動経路の情報に基づいて移動局が属するエリアブロックを変更し、移動局が移動するときのエリアブロック毎の前記伝搬データを生成し、
前記干渉パラメータは、上り所要Eb/N 0 、基地局雑音指数、セル外セル内干渉比、及び上り総合負荷率を含む、
ことを特徴とするプログラム。
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