JP4071004B2 - 鋳造台車の位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型を搭載した鋳造台車を移動させながら、この金型内に溶湯を注入してダクタイル鋳鉄管等を鋳造する遠心鋳造設備における鋳造台車の位置及び移動速度を検出する検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダクタイル鋳鉄管等の鋳鉄管を製造する遠心鋳造設備は、図7にその概略図を示すように、略水平に設置され、その軸芯回りに回転する金型2と、回転する金型2を回転支持装置3,3を介して保持する鋳造台車1と、ベルト6を介して金型2を回転させる電動機5と、車輪7が設置された鋳造台車1をレール8上で移動させる台車駆動装置13と、溶湯14を収容し、鋳込み用取鍋として使用される三角取鍋9と、三角取鍋9から注入される溶湯14を金型2内に中継供給するための注入用樋として使用されるシュート10及びトラフ11と、を備えており、電動機5により回転し、その一方の端部に中子12が嵌合された金型2内の奥まで挿入されたトラフ11の先端から溶湯14を注入しながら、金型2を鋳造台車1と共に台車駆動装置13により三角取鍋9と反対側に移動させることにより、注入した溶湯14を順次凝固させて、溶湯14から鋳鉄管15を直接製造している。金型2には、金型2を冷却する冷却水の給水及び排水のために一対の水冷ジャケット4,4が設置されている。
【0003】
鋳造される鋳鉄管15の管厚は、溶湯14の単位時間当たりの供給量と鋳造台車1の移動速度とに依存するため、三角取鍋9からの溶湯供給量を略一定に制御しつつ、鋳造台車1を一定速度で三角取鍋9の反対側に移動させて、鋳造される鋳鉄管15の管厚が管長手方向で一定になるように制御している。
【0004】
しかしながら、従来、鋳造台車の走行位置を検出する手段としして、例えば鋳造台車の傍らに設置した複数の近接スイッチ等により位置を検出していたため、測定値が連続的でなく、且つ、接触不良等の理由により測定精度も悪いため、鋳造台車の位置を正確に把握することができず、従って、鋳造台車の速度が何らかの理由により変化した場合にも、鋳造台車の移動速度をリアルタイムで制御することは不可能であり、このような場合には鋳造される鋳鉄管の管厚は均一にならず、歩留まり低下や管厚精整作業等を招いていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、金型を搭載した鋳造台車を移動させながら、この金型内に溶湯を注入してダクタイル鋳鉄管等を鋳造する遠心鋳造設備において、鋳造台車の位置並びに移動速度を精度良く且つ連続的に検出することができる位置検出装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の発明に係る鋳造台車の位置検出装置は、遠心鋳造設備の鋳造台車に取り付けられ、鋳造台車と同期して動作するビームと、該ビームに一体的に取り付けられたラックギアーと、該ラックギアーと噛み合うピニオンギアーをその外周部に備え、前記ビームの直線運動を回転運動に変換する歯車と、該歯車の回転数から前記鋳造台車の位置を検出する位置検出手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0007】
第2の発明に係る鋳造台車の位置検出装置は、第1の発明において、前記ビームは、ガイドロールにより上下方向及び幅方向左右でガイドされて前記歯車と噛み合っていることを特徴とするものである。
【0008】
第3の発明による鋳造台車の位置検出装置は、第1の発明及び第2の発明において、前記位置検出手段は、前記歯車の回転軸と連結されたアブソコーダーであることを特徴とするものである。
【0009】
上記の構成の本発明に係る位置検出装置では、たとえ鋳造台車が粉塵発生や蒸気発生等の作業環境の良くない場所に設置されていても、ラックギアーとピニオンギアーとの噛み合わせ精度は変化することがないため、常に、鋳造台車の位置を、鋳造台車の動作範囲全ストロークに渡って連続的に且つ精度良く検出することができる。又、上記の構成であるので、歯車の回転速度若しくは連続的に検出される検出位置の微分値に基づき、鋳造台車の速度を鋳造台車の動作範囲全ストロークに渡って連続的に且つ精度良く測定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態の1例を示す図であって、図1は、本発明に係る位置検出装置と鋳造台車との位置関係を示す側面概略図、図2は、図1の平面概略図、図3は、図1のX−X’矢視による概略図、図4は、鋳造台車に取り付けられたビームの拡大図、図5は、図1のA部詳細図、図6は、図5のY−Y’矢視による断面図である。
【0011】
図1〜3に示すように、金型2を搭載した鋳造台車1は、油圧シリンダー等の台車駆動装置(図示せず)により、車輪7を介してレール8上を距離Lの範囲内で移動可能となっている。図1及び図2に示す実線位置が鋳造台車の前進限で、破線位置が後退限である。即ち、距離Lが鋳造台車1の動作範囲全ストロークであり、金型2内への溶湯の注入開始前に前進限に位置していた鋳造台車1は、溶湯の金型2内への注入進行に伴って移動し、溶湯の注入終了時には後退限の位置まで移動するようになっている。レール8は、基礎37に設置されたレール支持架台8aで支持されている。
【0012】
鋳造台車1のフレーム1aには、図3に示すように、取付台19が設置され、取付台19には、鋳造台車1の側面下方に伸びる連結金具20の一方の端が接続されている。そして、連結金具20の他端にはピン20aが設置され、このピン20aを介してビーム16が連結金具20に接続されている。又、ビーム16は略水平となるようにピニオンスタンド21に支持されている。このように、一端を連結金具20に保持されたビーム16は、他端をピニオンスタンド21に支持されながら、鋳造台車1の移動と同期して動作するようになっている。ピニオンスタンド21を挟んで鋳造台車1の反対側には、その内部にビーム16を格納するビームカバー36が設置されている。ビームカバー36は、基礎37に設置されたカバー支持架台36aで支持されている。
【0013】
ビーム16の下面側には、図4に示すように、鋳造台車1の移動距離Lと同等若しくは移動距離Lよりも長い範囲に渡って、ラックギアー17がボルト18により取り付けられている。
【0014】
図5及び図6に示すように、ピニオンスタンド21には、ビーム16のラックギアー17と噛み合うピニオンギアー23aをその外周に有する歯車23が設置されている。この歯車23は回転軸24に固定され、回転軸24は、ピニオンスタンド21を構成するスタンドケーシング22に設置された一対の軸受27,27により回転自在に支持されており、従って、歯車23はラックギアー17と噛み合いながらピニオンスタンド21内で回転するようになっている。尚、ビーム16は、歯車23のピニオンギアー23aが設置されていない部位で支持されており、ピニオンギアー23aにはビーム16の荷重がかからない構造となっている。
【0015】
又、ピニオンスタンド21には、ビーム16をガイドするためのガイドロール25が設置されている。ガイドロール25は回転軸26に固定され、回転軸26は、スタンドケーシング22に設置された一対の軸受28,28により回転自在に支持されている。ガイドロール25には左右の両端に突起25a,25aが設けられており、ビーム16は突起25aにより幅方向左右をガイドされ、且つ、ガイドロール25及び歯車23により上下方向をガイドされながらピニオンギアー23aと噛み合っている。
【0016】
歯車23の回転軸24は、カップリング30を経てアブソコーダー29と接続されている。アブソコーダー29は、スタンドケーシング22と一体的に設置されたアブソコーダー取付台22a上に設置されている。アブソコーダー29は、回転軸24の回転数からビーム16が移動した位置を検出すると共に、検出した位置信号からビーム16の移動速度を検出する装置である。即ち、アブソコーダー29により鋳造台車1の位置及び移動速度が検出されるようになっている。尚、アブソコーダー29はアブソリュート位置検出器とも呼ばれる機器である。アブソコーダー29の信号は、鋳造台車1の位置及び移動速度を制御する制御装置(図示せず)に送信されている。
【0017】
歯車23、ガイドロール25、及びアブソコーダー29が設置されたピニオンスタンド21は、ボルト31を介して取付板33に取り付けられ、取付板33は、ボルト32を介して設置架台35に設けられた取付板34に取り付けられている。設置架台35は基礎37に設置されている。
【0018】
その他、本発明を適用する遠心鋳造設備は、従来技術の図7に示した遠心鋳造設備と同様の設備であり、各設備は従来技術で説明した機能と同様の機能を有しており、ここではその説明を省略する。
【0019】
このような構成の位置検出装置が設置された遠心鋳造設備を用いて、鋳鉄管を鋳造するに際しては、三角取鍋等の注入用取鍋からの注入用樋への単位時間当たりの溶湯供給量が実質的に一定になるように溶湯を注入しつつ、鋳造台車1の移動速度を鋳込みの時期に応じて変化させる鋳造方法や、鋳造台車1の移動速度を一定値に制御しながら、注入用取鍋からの単位時間当たりの溶湯供給量を変化させる鋳造方法等を採用することにより、鋳造される鋳鉄管の管厚を所定の範囲に制御することが可能となる。
【0020】
以上説明したように、本発明による鋳造台車1の位置検出装置では、ビーム16の上下方向は、鋳造台車1に設置された連結用ピン20aと歯車23のピニオンギアー23aが設置されていない部位とにより支持される構造のため、例えば鋳造台車1の車輪7やレール8が摩耗し、鋳造台車1のレベルが変化しても、ビーム16はそれに倣って傾くことが許容され、且つ、ラックギアー17とピニオンギアー23aとの噛み合い精度は変化しないので、鋳造台車1が粉塵発生や蒸気発生等の作業環境の良くない場所に設置されていても、鋳造台車1の位置並びに速度を、鋳造台車1の動作範囲全ストロークに渡って連続的に且つ精度良く検出することができる。その結果、鋳造台車1の移動速度及び位置をリアルタイムで精度良く制御することが可能となり、管長手方向で管厚の均一な鋳鉄管を容易に且つ安定して製造することが達成され、省資源及び省エネルギー等々の工業上有益な効果がもたらされる。
【0021】
尚、本発明は上記実施の形態で説明した遠心鋳造設備に限るものではなく、例えば複数の金型が1つの鋳造台車に搭載された遠心鋳造設備においても適用することができる。又、各機器も上記説明に限るものではなく、例えばビーム16の左右方向をガイドするガイドロールをピニオンスタンド21に別途設置することも可能であり、上記機能が満足されるならば、各機器の形状はどのようであっても良い。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、ラックギアーとピニオンギアーとの組み合わせにより鋳造台車の位置を検出するので、たとえ鋳造台車が粉塵や蒸気等により作業環境の良くない場所を移動しても、ラックギアーとピニオンギアーとの噛み合わせ精度は変化することがなく、鋳造台車の位置を鋳造台車の動作範囲全ストロークに渡って連続的に且つ精度良く検出することができると共に、鋳造台車の移動速度をも精度良く測定することができる。その結果、管長手方向で管厚の均一な鋳鉄管を容易に且つ安定して製造することが可能となり、省資源及び省エネルギー等々の工業上有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、本発明に係る位置検出装置と鋳造台車との位置関係を示す側面概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、図1の平面概略図である。
【図3】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、図1のX−X’矢視による概略図である。
【図4】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、鋳造台車に取り付けられたビームの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、図1のA部詳細図である。
【図6】本発明の実施の形態の1例を示す図であって、図5のY−Y’矢視による断面図である。
【図7】遠心鋳造設備の概略構造を示す図である。
【符号の説明】
1 鋳造台車
2 金型
7 車輪
8 レール
16 ビーム
17 ラックギアー
19 取付台
20 連結金具
21 ピニオンスタンド
22 スタンドケーシング
23 歯車
23a ピニオンギアー
25 ガイドロール
29 アブソコーダー
30 カップリング
36 ビームカバー
37 基礎
Claims (3)
- 遠心鋳造設備の鋳造台車に取り付けられ、鋳造台車と同期して動作するビームと、該ビームに一体的に取り付けられたラックギアーと、該ラックギアーと噛み合うピニオンギアーをその外周部に備え、前記ビームの直線運動を回転運動に変換する歯車と、該歯車の回転数から前記鋳造台車の位置を検出する位置検出手段と、を具備することを特徴とする鋳造台車の位置検出装置。
- 前記ビームは、ガイドロールにより上下方向及び幅方向左右でガイドされて前記歯車と噛み合っていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造台車の位置検出装置。
- 前記位置検出手段は、前記歯車の回転軸と連結されたアブソコーダーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳造台車の位置検出装置。
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