JP4069998B2 - 血液透析器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血液透析器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液透析療法あるいは濾過療法などに使用される血液透析器は、血液中に蓄積した老廃物あるいは有害物を、拡散、濾過などの原理に基づき血中から除去することを目的とし、20世紀半ばにドラム型血液透析器として実用化されてから、現在においても腎機能が一部または完全に喪失した患者の治療用途に用いられ有効に利用されている。老廃物あるいは有害物の除去は主として膜を介し行われるのが一般的であり、膜の材質としては、再生セルロースからなる膜や、たとえばポリアクリロニトリルやポリスルホン、ポリエチレンなどの合成高分子からなる膜が公知であり、形状は、平膜あるいは中空糸膜があるが、近年は血液との接触面積が大きくでき処理能力の高い中空糸状の膜が多く用いられている。
【0003】
さらに血液透析器の形状は、中空糸膜であれば数百から数万本を束ねて円筒形プラスチック製容器に装填した後、主にポリウレタン樹脂を充填して中空糸を容器に固定し半製品を作成して、さらに血液を導入する部品を取り付け、滅菌処理を行って血液透析器とされる。また、血液処理にあたっては、中空糸を用いた血液透析器の場合には、中空糸内側に血液を流し、さらにその外側には無機電解質等を含んだ透析液を流して、血液の除去対象物質を透析液側に拡散あるいは濾過して除去している。
【0004】
透析治療においては、血液を透析器に導入して所定時間血液を循環した後に、透析器内に残留した血液を生理食塩水によって押し出し、体内に戻す操作を行っている。その際、中空糸内だけではなく、血液を導入する部分に血液が残留する場合があり、そのため中空糸包埋部の血液との接触面形状を工夫する方法(特開平4-309360号)が考案されているが、複雑な形状となるため、生産性が下がりコストアップする要因となっていた。
【0005】
また、血液透析器の物質除去性能を決定する主な要因は、血液あるいは透析液と直接接する中空糸の性能、即ち物質移動係数であり、従来から中空糸の素材、物質を透過する孔径の大きさや分布、透過抵抗を決める膜の厚みなどが検討され実用化されてきた。一方、これら中空糸の性能を最大限に発現させるためには、透析器容器の形状が重要な役割を果たしており、中空糸内外の圧力損失、すなわち容器長と容器内径の関係や、透析器容器の長手方向中央付近に中空糸がどれぐらい密に詰まっているかを示す充填率などが検討され実用化されてきた。
【0006】
さらに、透析液流れを均一にして除去効率を上げるとともに、除去性能のバラツキを少なくする工夫として、中空糸間にスペーサーフィラメントを入れる方法(特許第3080430 号、特公昭59-18084号、特開平8-246283号)や、中空糸をクリンプと呼ばれる小さな波型にする方法(特公昭 57-194007号)などが考案されているが、これらの方法は、例えばスペーサーフィラメント入り中空糸束については、スペーサーフィラメントを中空糸間に挿入する、或いはスペーサーフィラメントで中空糸を編むような複雑な技術を要し、またクリンプ糸については、波型部で中空糸が折れたり、閉塞したりする場合があり、生産性に劣る面があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血液透析治療後、血液透析器の中空糸包埋部の血液接触面における血液残留を少なくすること、透析器の物質除去性能のバラツキを減少させることを目的とするものである。さらに、前記課題を解決する非常に簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記課題を解決するために、中空糸束形状、および中空糸包埋部における中空糸束の存在状態を鋭意検討した結果、驚くべき事に中空糸のポッティング材による包埋部における中空糸の存在状態を特定の状態にすることにより、血液透析治療後、血液透析器の中空糸包埋部にある血液接触面に血液の残留が少なくなること、さらに透析器の物質除去性能のバラツキを減少させることが可能なことを見いだした。また、これら課題を達成する製造方法を検討した結果、筒状プラスチック容器に挿入する前に中空糸束の形状を整える方法を見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明はかかる課題を達成するため、次のような構成を有する。
(1) 中空糸束が筒状プラスチック容器内に挿入され、束の両端部がポッティング材で包埋された血液透析器において、中空糸包埋部の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率が87%以上であり、かつ中空糸包埋部の血液接触面における中空糸束の真円度偏りが3%以下である血液透析器。
(2) 中空糸の形状が繊維軸方向に沿って直線状である(1)記載の血液透析器。
(3) 中空糸の素材がポリスルホンを基材とする(1)または(2)記載の血液透析器。
(4)中空糸束を筒状プラスチック容器内に挿入し、束の両端部をポッティング材で包埋する血液透析器の製造方法において、予めフィルム巻きされた中空糸束を周速度の異なる複数のローラー間に置き、一定時間回転させた後、筒状プラスチック容器に挿入しポッティング材で固定する (1)乃至(3) のいずれかに 記載の血液透析器の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
中空糸包埋部の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率は、血液透析器の血液接触面における容器内径に対する中空糸束径の割合を示し、以下により算出する。
容器内径は血液透析器の血液接触面における容器内径を少なくとも5箇所以上、ノギス等を用いて測定し、その最大値および最小値の算術平均値を容器内径とする。一方、中空糸束径は、中空糸包埋部の血液接触面を正視し、極端に亀裂を生じたように束が割れている部分を除き、中空糸束の径を最低5箇所以上測定して、最大径および最小径を求めた上で、その算術平均値を中空糸束径として、下式(1) により占有率を算出する。
【0011】
【数1】
占有率 (%) = 100×中空糸束径÷容器内径 (1)
【0012】
すなわち、本試験における中空糸束の占有率は、透析器容器の長手方向中央付近の内径を算出の基準とし、容器内に中空糸がどれぐらい詰まっているかを示す中空糸の容器内充填率とは異なり、ポッティング材によって固定された血液接触面において、中空糸が如何に広がっているかを示すパラメータである。
発明者らはこの占有率に着目し、透析器の作成条件について詳細に検討を加え占有率の大小と血液循環後に透析器内に残留する血液の多少の関係を鋭意検討したところ、驚くべきことに、血液接触面における透析器容器に対する中空糸束の占有率を87%以上、好ましくは90%以上とすることにより、血液導入部に残る血液が少なくなることを見出した。この占有率の上限は、その定義から自ずと 100%であるが、中空糸が容器内部に接触するまで占有率を上げると、ウレタン樹脂等のポッティング材が浸透しにくくなってピンホールを生じやすく、生産性を落とす為、95%以下にすることが望ましい。
占有率を87%以上とすることによって、かかる効果が得られる理由は、血液接触面における透析器容器に対する中空糸束の占有率を大きくすると、中空糸の存在しない血液接触面が小さくなって血液循環中の滞留部分が小さくなり、血液凝固が起こりにくく、また、血液を体内に返す操作を行う際に、生理食塩水による返血操作が容易になって血液が残らないためと推測される。
【0013】
一方、本発明でいう中空糸包埋部の血液接触面における中空糸束の真円度偏りとは、中空糸包埋部の血液接触面を正視した時、中空糸束が真円を保ちポッティングされているか、あるいはウレタン等のポッティング材を注入する際に押し流されて変形している等の影響を受けて偏っているかを数値化する尺度であり、以下により算出する。
すなわち、中空糸包埋部の血液接触面を正視し、極端に亀裂を生じたように束が割れている部分を除き、中空糸束の径を最低5箇所以上測定して、最大径および最小径を求め、下式(2) により真円度を算出する。
【0014】
【数2】
真円度偏り(%)= 100×(最大径−最小径)÷最小径 (2)
【0015】
本試験における真円度偏りは、血液接触面における中空糸束径の偏りを示すパラメータであるが、この偏りが小さいことは、束最大径と最小径の差が小さく、血液接触面に中空糸が真円状に均一に存在していることを示している。
そこで、発明者らは真円度偏りに着目し、透析器の作製条件について詳細に検討を加え真円度偏りと透析器の物質除去性能の関係を鋭意検討したところ、同じ本数の中空糸を内蔵するにも関わらず、真円度偏りを3%以下にすることにより、さらに好ましくは真円度偏りを1%以下にすることによって、低分子物質の除去性能のバラツキが驚くほど小さくなることを見出した。ここでいう真円度偏りの下限は、定義から自ずと0%である。
【0016】
この条件を満たす透析器が課題に掲げた目的を達成する理由は必ずしも明確ではないが、中空糸束の真円度偏りを抑制することによって、中空糸束と容器間、特に透析液が流入するあるいは流出する部分近傍において、中空糸束と容器間の空隙が一定となり、透析液の流れが個々の透析器でバラツキが少なくなって目的を達する透析器となったと推測される。
【0017】
さらに、血液透析器の血液接触面における透析器容器に対する中空糸束の占有率を87%以上とし、かつ中空糸束の真円度偏りを3%以下とすることにより、透析治療終了後、透析器の血液導入部に血液が残留することが無く、かつ低分子物質の除去性能のバラツキが少ない透析器とすることができた。
【0018】
従来、血液透析器は一般に、数百から数万本の中空糸をフィルムに巻き、ロート状のガイドを介して透析器容器に挿入し、さらにポッティング材を受ける冶具を取り付けた上で、ポッティング材を遠心しながら注ぎこむか、あるいは静置した樹脂に漬け込み、中空糸を容器に固定している。後者の静置した樹脂に中空糸束を漬け込む方法では、中空糸間に樹脂が浸入しづらく、数万本にもなる中空糸すべてを容器に固定することが難しいため、現在では一般に、遠心しながらポッティング材を注ぎ込む方法が用いられている。しかしながら、この方法ではポッティング材が遠心力により勢い良く流れ込むため、中空糸が倒れる傾向にあり、中空糸1本1本を直立させること、および血液接触面において中空糸束を真円に保つことが難しかった。これらの現象は、公知の技術である中空糸束先端をあらかじめ樹脂等で固定した上でポッティング材を遠心注入し、束の乱れを回避する方法(特開 2000-210538、特開2000-210539)では、仮に中空糸を固定しているので、中空糸を整列させることは可能であっても、ポッティング材を注入したとき、中空糸束の広がり、即ち本明細書中の血液接触面における中空糸束の占有率は抑制される傾向にあった。
【0019】
そこで発明者らは透析器容器に挿入する直前の中空糸束の状態に注目し、鋭意検討を進めた結果、以下の発明に至った。即ち、フィルムに包装された中空糸束を、複数のローラー間に置き、一定時間回転させることによって、フィルム内で中空糸を真円状とし、その後に透析器容器に挿入する方法を見出した。複数のローラーとは、具体的には、多孔質ウレタンなどのスポンジを表面に貼り付けた2本のローラーか、より好ましくは3本のローラーを使用し、各ローラーに中空糸束フィルムが常に接する状態で、一定時間、束を回転する。ローラーの接圧、回転数、回転時間により、フィルム内の中空糸の真円状態は比較的簡単に制御できるが、たとえば長時間処理しすぎると、フィルム内で中空糸が広がりすぎて、その後実施する血液透析器容器への挿入が困難になるため、使用する容器、中空糸束に合わせてローラー接圧、回転数、回転時間を定める必要がある。特に、ローラーの回転数とローラー周長の積であるローラー周速度は、複数本あるローラーのそれぞれの周速度が同一であると、中空糸はフィルム内で均一に分散されず、周速度を異なる様にすると、束の外周から中央部まで分散されることを見出した。
【0020】
この処理で中空糸がフィルム内で分散する理由は、中空糸同士が擦れて静電気を起こすため反発し合って、フィルム内で膨らみ分散して真円状となるか、もしくは、この処理を長時間行うと外観上、整列状態の中空糸が段々と乱れていくことから、処理を行うことで中空糸一本一本がフィルム内で移動して、中空糸がお互いに重なりあうようになるため、フィルム内で膨らんで分散して真円状となるものと考えられる。
【0021】
ここで用いられる血液透析用膜の材質は特に限定されないが、血液透析用途に用いられる公知の材質であれば、たとえば再生セルロース系膜や、ポリスルホンを基材とし、親水性を得るために PVP、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子を有したポリスルホン系膜、あるいはセルローストリアセテート膜、ポリメチルメタクリレート膜などを用いることができる。なかでも、ポリスルホンにPVPを添加してなる中空糸膜は本発明の好ましい具体例として挙げられるが、これはポリスルホンが疎水性の性質を持つため、本処理を施したときに多くの静電気が発生し、中空糸同士が静電的に反発しあって嵩だかになるものと考えられる。また、ポリスルホン膜は適度な糸の腰(適度なしなやかさ)を有するために、本処理を施したときに、もつれることなく中空糸が移動しやすく、中空糸がお互いに重なり合う現象が起こって嵩だかになりやすいものと考えられる。
【0022】
また、中空糸の形状として、従来技術で述べた中空糸間にスペーサーフィラメントを入れた束や、クリンプを与えた中空糸にも応用可能であるが、特に好ましい実施様態として、中空糸が直線状である中空糸、いわゆるストレート糸が挙げられる。これは、ローラー間で束を回転処理したときに、中空糸の移動がより容易で、中空糸がお互いに重なりあって、フィルム内で膨らむ現象が起こりやすいためと考えられる。
本発明に用いることができるポリスルホン系高分子に PVPを添加してなる中空糸型血液処理用膜は、たとえば特開平12-135422 に記載の公知の方法によって製造された中空糸を、筒状のフィルムに挿入し中空糸束とする。
【0023】
得られた中空糸束を周速度の異なる複数のローラー間に置き、一定時間回転させた後、筒状の容器に装填、中空糸を覆っていたフィルムを抜き去った後、遠心機にセットしてポリウレタン樹脂等のポッティング材を注入して容器に接着固定する。余分な接着剤を切断除去して得られた半製品に栓、包装材を施した後、滅菌操作を行い、本発明の血液透析器とすることができる。上記の半製品に、純水や、ピロ亜硫酸ナトリウム、アセトンソジウムバイサルファイト等の水溶性の物質を溶存させた液を充填し、施栓後、滅菌を行っても差し支えない。また、滅菌操作は、エチレンオキサイドガス滅菌または高圧蒸気滅菌またはγ線などの放射線を照射する放射線滅菌のいずれかの方法を、任意に選択し使用することができる。
このようにして得られた血液透析器は、血液透析器の中空糸包埋部の血液残留が少ない血液透析器となり、かつ、または、透析器物質除去性能のばらつきが少なくなることを見出した。
【0024】
【実施例】
以下に本発明をさらに具体的に説明するために実施例および比較例を挙げて説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例、比較例中の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率測定、真円度偏り測定、血液導入部残血試験は以下の方法に従った。
【0025】
(中空糸束占有率測定)
中空糸包埋部の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率は、血液透析器の血液接触面における容器内径に対する中空糸束径の割合を示す。容器内径は血液透析器の血液接触面における容器内径を少なくとも5箇所以上、ノギス等を用いて測定し、その最大値および最小値の算術平均値を容器内径とする。一方、中空糸束径は、中空糸包埋部の血液接触面を正視し、極端に亀裂を生じたように束が割れている部分を除き、中空糸束の径を最低5箇所以上測定して最大
径および最小径を求め、その算術平均値を中空糸束径として、下式【数1】により占有率を算出した。
【0026】
【数1】
占有率(%)=100 ×中空糸束径÷容器内径 (1)
【0027】
(真円度偏り測定)
中空糸包埋部を正視し、極端に亀裂を生じたように束が割れている部分を除き、中空糸束の径を最低5箇所以上、ノギス等により実測して、中空糸束の最大径および最小径とし、下式(2)により真円度を算出した。
【0028】
【数2】
真円度偏り(%)=100 ×(最大径−最小径)÷最小径 (2)
【0029】
(血液導入部残血試験)
血液導入部残血試験は、牛全血(37℃、総タンパク含量6.5g/dl)を流速200ml/分で血液側に15分間流し、その後、生理食塩水を流速 50ml/分で4分間流した。その後、血液導入部を観察し、外周に血液が残っているかを目視により判定した。
【0030】
(低分子物質除去性能測定)
低分子物質(尿素)除去性能測定については、ダイアライザー性能評価基準(日本人工臓器学会、昭和57年9月)に従って、血液側溶液流速200ml/分、透析液側液流速500ml/分で実施し、血液入り口側の尿素濃度(Cin)、出口側の尿素濃度(Cout)から、下式【数3】により溶質のクリアランスを算出した。
【数3】
クリアランス=Cin/Cout×200
ここで得られる数値の単位はml/分となり、血液側溶液中(本測定においては200ml/分)のどれぐらいの溶液から溶質が除去されたかを示す。
【0031】
【比較例1】
図1に示すように、内径 200μm 、膜厚45μm のポリスルホン中空糸 9200 本を筒状フィルムに入れた中空糸束(4) を準備し、外表面にスポンジ層を有する外径45mmのローラー3本(1,2,3) を、全てのローラーが中空糸束に接し、かつ、ローラーの円の中心が正三角形の頂点になるように配置し、3本のローラーの回転速度を200rpm、250rpm、280rpmにして、2秒間中空糸束を回転させた。中空糸束は筒状フィルム内で膨らんだ状態となり、この中空糸束をポリカーボネート製筒状容器に挿入した後、遠心機にセットしてウレタン樹脂を、注入、ウレタン樹脂のゲルアップ後、遠心機より取り出した。ウレタン樹脂を十分固化させる為、45℃の養生庫に24時間入れた後、余分なウレタン樹脂を切断し、血液導入部部品を取り付け、純水を充填し、栓を施して、ガンマ線 25kGyを照射し、試験品を得た。
【0032】
得られた試験品について、5本をランダムに取り出し、尿素のクリアランス測定を行って平均値と標準偏差を算出した。更に、同じ試験品に対し、牛血液を用いた残血試験を行った後、血液導入部を解体して、中空糸包埋部の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率、および中空糸束の真円度偏りを測定・算出した。得られた数値を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【比較例2】
内径 200μm 、膜厚45μm のポリスルホン中空糸9200本を筒状フィルムに入れた中空糸束を準備し、外表面にスポンジ層を有する外径45mmのローラー3本を、全てのローラーが中空糸束に接し、かつ、ローラーの円の中心が正三角形の頂点になるように配置し、3本のローラーの回転速度を200rpm、250rpm、280rpmにして、4秒間中空糸束を回転させた。得られた中空糸束を比較例1と同じ処理を施し、得られた試験品について、比較例1と同じ試験を行って得た数値を表1に示した。
【0035】
【実施例1】
内径 200μm 、膜厚45μm のポリスルホン中空糸9200本を筒状フィルムに入れた中空糸束を準備し、外表面にスポンジ層を有する外径45mmのローラー3本を、全てのローラーが中空糸束に接し、かつ、ローラーの円の中心が正三角形の頂点になるように配置し、3本のローラーの回転速度を300rpm、350rpm、380rpmにして、2秒間中空糸束を回転させた。得られた中空糸束を比較例1と同じ処理を施し、得られた試験品(本発明品)について、比較例1と同じ試験を行って得た数値を表1に示した。
【0036】
【実施例2】
内径 200μm 、膜厚45μm のポリスルホン中空糸9200本を筒状フィルムに入れた中空糸束を準備し、外表面にスポンジ層を有する外径45mmのローラー3本を、全てのローラーが中空糸束に接し、かつ、ローラーの円の中心が正三角形の頂点になるように配置し、3本のローラーの回転速度を300rpm、350rpm、380rpmにして、4秒間中空糸束を回転させた。得られた中空糸束を比較例1と同じ処理を施し、得られた試験品(本発明品)について、比較例1と同じ試験を行って得た数値を表1に示した。
【0037】
【比較例3】
内径 200μm 、膜厚45μm のポリスルホン中空糸9200本を筒状フィルムに入れた中空糸束を準備し、ローラー間で回転させることなく、ポリカーボネート製円筒容器に挿入し、ウレタン樹脂による固定以降、比較例1と同じ処理を施し、得られた試験品(対照)について、比較例1と同じ試験を行って得た数値を表1に示した。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、非常に簡便な方法によって、血液透析治療後、血液透析器の中空糸埋包部の血液接触面における血液残留を少なくすることができ、透析器の物質除去性能のバラツキを減少させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の中空糸束を複数のローラー間に置きローラーを回転させたときのローラーと中空糸束との位置関係を示す平面図。
【符号の説明】
1, 2, 3・・ローラー
4 ・・・・中空糸束
Claims (4)
- 中空糸束が筒状プラスチック容器内に挿入され、束の両端部がポッティング材で包埋された血液透析器において、中空糸包埋部の血液接触面における容器内径に対する中空糸束の占有率が87%以上であり、かつ中空糸包埋部の血液接触面における中空糸束の真円度偏りが3%以下である血液透析器。
- 中空糸の形状が繊維軸方向に沿って直線状である請求項1記載の血液透析器。
- 中空糸の素材がポリスルホンを基材とする請求項1または2記載の血液透析器。
- 中空糸束を筒状プラスチック容器内に挿入し、束の両端部をポッティング材で包埋する血液透析器の製造方法において、予めフィルム巻きされた中空糸束を周速度の異なる複数のローラー間に置き、一定時間回転させた後、筒状プラスチック容器に挿入しポッティング材で固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の血液透析器の製造方法。
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