JP4069512B2 - 車両のサスペンション支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、サスペンションアームの一端をサスクロスメンバと共に車体部材(例えば、フロントサイドフレーム)に対して垂直方向に共締め固定するマクファーソン・ストラット・フロントサスペンションのような車両のサスペンション支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両のサスペンション支持構造としては、例えば欧州特許登録第265675号明細書に記載の構造がある。
【0003】
すなわち、図7に示すように、サスクロスメンバ71と、サスペンションアーム72と、を設け、このサスペンションアーム72の一端72aに設けられた支持ブッシュをサスクロスメンバ71のC字状のガイド部に位置決め支持させ、サスペンションアーム72の他端72bに設けられた支持ブッシュを、ボルト73を用いて支持部74に取付け、サスクロスメンバ71に対するサスペンションアーム72の仮保持を行なった後に、上述のサスペンションアーム72の一端72aをサスクロスメンバ71と共に車体部材に対して垂直方向に指向するボルトを用いて共締め固定すべく構成したフロントサスペンションの支持構造である。なお、図中、矢印Fは車両のフロント側を示し、矢印Rは車両のリヤ側を示す。
【0004】
この従来構成によれば、サスクロスメンバ71に対してサスペンションアーム72を仮保持した状態で、これら両者71,72を車体部材に取付けることができるので、サスペンションの組付け性向上を図ることができる利点がある反面、サスペンションアーム72の一端72aに設けられた支持ブッシュをガイドするガイド部がC字状であるから、このC字状のガイド部による支持ブッシュの位置決めが不完全となって、組付け位置がずれる問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、サスペンションアームの一端をサスクロスメンバと共に車体部材に対して垂直方向に共締め固定するものにおいて、上記サスクロスメンバのサスアーム支持部は、上側支持部と下側支持部とを備え、この両支持部は、サスペンションアーム取付側を開放し、反取付側にあっては互いに接合するコの字状の断面形状を有する構成とされ、上側支持部の下面には、支持ブッシュを保持する保持部が固定され、上記下側支持部は、上記上側支持部と接合された下側支持部本体と、この下側支持部本体に対して締結部材により脱着自在とされるロアブラケットとに分割されており、上記ロアブラケットの上面には、上記支持ブッシュを保持する保持部が固定されている一方、上記下側支持部本体には当該保持部を持たない構造とすることで、上述の保持部によりサスクロスメンバに対するサスペンションアームの仮保持を確実に行なって、車体部材に対するサスペンションの組付けを容易に実行することができるうえ、上記分割構造によりサスペンションアームのみの着脱が可能となって、サービス性の向上を図ることができる車両のサスペンション支持構造の提供を目的とする。
この発明の一実施態様は、上述の保持部には支持ブッシュが貫通する貫通孔を設け、この貫通孔の孔縁が支持ブッシュの外周に当接して、支持ブッシュの位置を規制するように構成することで、上述の支持ブッシュの略全周を確実に位置決め規制することができる車両のサスペンション支持構造の提供を目的とする。
この発明の一実施態様は、上述の保持部に、支持ブッシュを貫通孔に案内するガイド片を設けることで、サスペンションアーム一端の支持ブッシュを上述のガイド片に沿って貫通孔に案内することができ、サスクロスメンバに対するサスペンションアームの仮保持部における組付け性のさらなる向上を図ることができる車両のサスペンション支持構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両のサスペンション支持構造は、サスペンションアームの一端をサスクロスメンバと共に車体部材に対して垂直方向に共締め固定する車両のサスペンション支持構造であって、上記サスクロスメンバのサスアーム支持部は、上側支持部と下側支持部とを備え、この両支持部は、サスペンションアーム取付側を開放し、反取付側にあっては互いに接合するコの字状の断面形状を有する構成とされ、上側支持部の下面には、支持ブッシュを保持する保持部が固定され、上記下側支持部は、上記上側支持部と接合された下側支持部本体と、この下側支持部本体に対して締結部材により脱着自在とされるロアブラケットとに分割されており、上記ロアブラケットの上面には、上記支持ブッシュを保持する保持部が固定されている一方、上記下側支持部本体には当該保持部を持たない構造とされているものである。
【0007】
この発明の一実施態様は、上記保持部は支持ブッシュが貫通する貫通孔を有し、該貫通孔の孔縁が支持ブッシュの外周に当接して、支持ブッシュの位置を規制する車両のサスペンション支持構造であることを特徴とする。
【0008】
この発明の一実施態様は、上記保持部には支持ブッシュを貫通孔に案内するガイド片が設けられた車両のサスペンション支持構造であることを特徴とする。
【0009】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、上述のサスクロスメンバのサスアーム支持部に設けられた保持部によって、サスペンションアームの支持ブッシュを保持するので、サスクロスメンバに対するサスペンションアームの仮保持を確実に行なうことができて、車体部材に対するサスペンション(サスクロスメンバとサスペンションアームとの両者を含む)の組付けを容易に実行することができる効果がある。
【0010】
加えて、上述のロアブラケットが下側支持部に対して分割構造に形成されているので、この分割構造によりサスペンションアームのみの脱着が可能となり、この結果、サービス性の向上を図ることができる効果がある。
【0011】
この発明の一実施態様によれば、上述の保持部は支持ブッシュが貫通する貫通孔を有し、この貫通孔の孔縁が支持ブッシュの外周に当接して、該支持ブッシュの位置を規制するので、上記保持部にて支持ブッシュの略全周を位置ずれしないように確実に位置決め規制することができる効果がある。
【0012】
この一実施態様によれば、上述の保持部には支持ブッシュを貫通孔に案内するガイド片が設けられているので、サスペンションアーム一端の支持ブッシュを上述のガイド片に沿って貫通孔に案内することができ、この結果、サスクロスメンバに対するサスペンションアームの仮保持時における組付け性のさらなる向上を図ることができる効果がある。
【0013】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のサスペンション支持構造を示し、図1、図2において、このマクファーソン・ストラット・フロントサスペンションは、第1サスクロスメンバ1と第2サスクロスメンバ2とで車幅方向に延びるサスクロスメンバ3を構成し、このサスクロスメンバ3の端部側前後に設定されたサスアーム支持部4,5には支持ブッシュ6,7を介してサスペンションアーム8を取付けている。なお、図面では右側前輪9に対応する構成のみを示しているが、左側前輪に対応する構成は、これと左右対称に形成される。
【0014】
ここで、上述のサスペンションアーム8の前側の支持ブッシュ6は車体の略前後方向に指向するボルト10を用いて同側のサスアーム支持部4に取付けられ、サスペンションアーム8の後側の支持ブッシュ7は垂直方向に指向するボルト11を用いてサスアーム支持部5および各要素3,8と共に車体部材としてのフロントサイドフレーム12に共締め固定すべく構成している。
【0015】
上述のサスペンションアーム8の先端部はナックル13の下部に連結され、このナックル13の上部とボディ14(具体的にはサスタワー)との間には、ショックアブソーバ15およびコイルスプリング16等を有するストラットダンパ17が張架されている。
【0016】
上述のコイルスプリング16はアッパシート18とロアシート19との間に張架され、ショックアブソーバ15の下部に設けられたブラケット20と上述のナックル13の上部とをボルト連結する。
【0017】
一方、ねじり剛性の抵抗により片輪のみのバンプ、リバウンド時にロール角を抑制するスタビライザ21を、サスクロスメンバ3に並設し、このスタビライザ21の端部とストラットダンパ17に設けられたブラケット22との間をコントロールリンク23で連結している。
【0018】
また、上述の第2サスクロスメンバ2のサスアーム支持部4に近接した位置には、該メンバ2から上方に隆起する隆起部24を一体的に接合し、この隆起部24先端の取付部25をフロントサイドフレーム12の他の部位12aにボルトアップするように構成している。
【0019】
上述のサスアーム支持部5は図3、図4に示す如く上側支持部26と下側支持部27とを備え、これら両支持部26,27のサスペンションアーム8取付側を開放し、反取付側にあっては、その接合フランジ部26a,27aを互に接合して、コ字状の断面形状を有するように構成している。
【0020】
しかも、上述の下側支持部27は該下側支持部27とロアブラケット28との分割構造に形成されており、下側支持部27の上面に予め溶接固定された複数たとえば合計3個のウエルドナット29…に対して同数のボルト30を用いて上述のロアブラケット28を取付けている。このため、図5に示すように上述のロアブラケット28にはナット29の溶接箇所に対応して合計3個のボルト挿通孔31,32,33が穿設され、これら複数のボルト挿通孔31〜33のうち少なくとも1つのボルト挿通孔33が長孔状に形成されている。
【0021】
ところで、前述の支持ブッシュ7は図4に示すようにインナパイプ34と、ラバーブッシュ35と、アウタパイプ36とを有し、この支持ブッシュ7を支持するサスアーム支持部5の上側支持部26の下面と、ロアブラケット28の隆起部上面とには、保持部としてのガイド部材37,37がそれぞれ接合固定されている。
【0022】
上下のガイド部材37,37は同様に構成されているので、以下、図5、図6を参照してロアブラケット28の上面に接合固定されたガイド部材37の構成について説明する。
【0023】
上述のボルト11を挿通させるボルト挿通孔38を中心としてロアブラケット28に固定されたガイド部材37は支持ブッシュ7におけるインナパイプ34が貫通する貫通孔39を有し、この貫通孔39の孔縁がインナパイプ34外周に当接して、支持ブッシュ7の位置を規制するように構成されている。なお、この実施例では図5から明らかなように、上述の貫通孔39の孔縁による車体幅方向(図示の左右方向)に対する位置規制が車体前後方向(図示の上下方向)に対する位置規制よりもタイトになるように孔形状が設定されている。
【0024】
しかも、上述のガイド部材37はその主面37aから車幅方向両サイドに傾斜状に延びるスラント面37b,37bを有し、これら各スラント面37b,37bの中間部位をロアブラケット28方向に折曲げてインナパイプ34を位置規制する規制片37c,37cが一体形成されている。
【0025】
ここで、上述のスラント面37b,37bは支持ブッシュ7のインナパイプ34を貫通孔39に案内するためのガイド片である。なお、図2、図3、図5においてFは車両のフロント側を示し、Rは車両のリヤ側を示す。
【0026】
このように構成した車両のサスペンション支持構造において、サスクロスメンバ3に対してサスペンションアーム8を仮保持するには、図4に示すロアブラケット28が除去された状態のサスアーム支持部5における上側支持部26下面のガイド部材37の貫通孔39に対して、支持ブッシュ7のインナパイプ34上端を差込んで位置決めする。
【0027】
次に、ロアブラケット28上面のガイド部材37の貫通孔39に支持ブッシュ7のインナパイプ34下端が位置するように、該ロアブラケット38を下側支持部27の下面に配設し、しかる後に、ボルト30をウエルドナット29に螺合して、下側支持部27の下面にロアブラケット28を固定すると共に、上側支持部26とロアブラケット28との間で支持ブッシュ7を挟持する。
【0028】
次に、サスペンションアーム8の他端前部に設けられた支持ブッシュ6(図2参照)を、ボルト10によりサスクロスメンバ3のサスアーム支持部4に取付けると、サスクロスメンバ3に対してサスペンションアーム8を仮保持することができる。
【0029】
このようにして仮保持が完了したサスペンションを、車体部材としてのフロントサイドフレーム12に組付けるには、このフロントサイドフレーム12から下方に向けて垂直方向に延びるボルト11を図4に示す如く上側支持部26のボルト挿通孔40、ガイド部材37の貫通孔39、支持ブッシュ7のインナパイプ34内部、ガイド部材37の貫通孔39、ロアブラケット28のボルト挿通孔38をこの順に介して該ロアブラケット28の下方に突設させ、この突設部にナット41を螺合すると共に、フロントサイドフレーム12の他の部位12aから取付部25(図1参照)下面に突設させたボルト(図示せず)に対してナット42を螺合させると、サスペンション(サスクロスメンバ3、サスペンションアーム8を含む)を車体としてのフロントサイドフレーム12に組付けることができる。
【0030】
このように上記構成の車両のサスペンション支持構造によれば、上述のサスクロスメンバ3のサスアーム支持部5に設けられた保持部(ガイド部材37参照)によって、サスペンションアーム8の支持ブッシュ7を保持するので、サスクロスメンバ3に対するサスペンションアームの仮保持を確実に行なうことができて、車体部材(フロントサイドフレーム12参照)に対するサスペンション(サスクロスメンバ3とサスペンションアーム8との両者を含む)の組付けを容易に実行することができる効果がある。
【0031】
加えて、上述のサスアーム支持部5の下側支持部27が本体(サスアーム支持部5参照)に対して分割構造に形成されている。つまり、この実施例では、ロアブラケット28が下側支持部27に対して分割構造に形成されているので、この分割構造によりサスペンションアーム8のみの脱着が可能となり、この結果、サービス性の向上を図ることができる効果がある。
【0032】
さらに、上述の保持部(ガイド部材37参照)は支持ブッシュ7(インナパイプ34参照)が貫通する貫通孔39を有し、この貫通孔39の孔縁が支持ブッシュ7の外周(インナパイプ34の外周参照)に当接して、該支持ブッシュ7の位置を規制するので、上記保持部(ガイド部材37参照)にて支持ブッシュ7の略全周を位置ずれしないように確実に位置決め規制することができる効果がある。
【0033】
また、上述の保持部(ガイド部材37参照)には支持ブッシュ7を貫通孔39に案内するガイド片(スラント面37b参照)が設けられているので、サスペンションアーム8一端の支持ブッシュ7を上述のガイド片(スラント面37b参照)に沿って貫通孔39に案内することができ、この結果、サスクロスメンバ3に対するサスペンションアーム8の仮保持時における組付け性のさらなる向上を図ることができる効果がある。
【0034】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のサスペンションは、実施例のマクファーソン・ストラット式のフロントサスペンションに対応し、
以下同様に、
車体部材は、フロントサイドフレーム12に対応し、
保持部は、ガイド部材37に対応し、
ガイド片は、スラント面37bに対応するも、
この発明は上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両のサスペンション支持構造を示す説明図。
【図2】 図1の平面図。
【図3】 サスアーム支持部の拡大平面図。
【図4】 図3のA−A線矢視断面図。
【図5】 ロアブラケットの平面図。
【図6】 ガイド部材の断面図。
【図7】 従来の車両のサスペンション支持構造を示す説明図。
【符号の説明】
3…サスクロスメンバ
5…サスアーム支持部
7…支持ブッシュ
8…サスペンションアーム
12…フロントサイドフレーム(車体部材)
26…上側支持部
27…下側支持部
28…ロアブラケット
29…ウエルドナット(締結部材)
30…ボルト(締結部材)
37…ガイド部材(保持部)
37b…スラント面(ガイド片)
39…貫通孔
Claims (3)
- サスペンションアームの一端をサスクロスメンバと共に車体部材に対して垂直方向に共締め固定する車両のサスペンション支持構造であって、
上記サスクロスメンバのサスアーム支持部は、上側支持部と下側支持部とを備え、
この両支持部は、サスペンションアーム取付側を開放し、反取付側にあっては互いに接合するコの字状の断面形状を有する構成とされ、
上側支持部の下面には、支持ブッシュを保持する保持部が固定され、
上記下側支持部は、上記上側支持部と接合された下側支持部本体と、
この下側支持部本体に対して締結部材により脱着自在とされるロアブラケットとに分割されており、
上記ロアブラケットの上面には、上記支持ブッシュを保持する保持部が固定されている一方、
上記下側支持部本体には当該保持部を持たない構造とされている
車両のサスペンション支持構造。 - 上記保持部は支持ブッシュが貫通する貫通孔を有し、該貫通孔の孔縁が支持ブッシュの外周に当接して、支持ブッシュの位置を規制する
請求項1記載の車両のサスペンション支持構造。 - 上記保持部には支持ブッシュを貫通孔に案内するガイド片が設けられた
請求項2記載の車両のサスペンション支持構造。
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