JP4069419B2 - 磁気インピーダンス素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁界検出を行なう磁気センサおよびそれを用いた電流センサ、特に磁気インピーダンス効果を利用した高感度磁気インピーダンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器や計測・制御機器の高性能化,小型薄型化,低コスト化が急速に進み、これらの急速な発展に伴い、それらに用いられる磁気センサ,電流センサなどにも小型,低コスト,高感度などの要求が高まっている。
従来から用いられている磁気センサとしてはホール素子、磁気抵抗効果素子(MR素子)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)、フラックスセンサなどが知られており、また電流センサとしてはカレントトランスを用いた方式などが知られている。
【0003】
例えばコンピュータの外部記憶装置となるハードディスク装置に用いられる磁気ヘッドには、従来のバルクタイプの誘導型磁気ヘッドからMRヘッドへと高性能化が進んでおり、現在では巨大磁気抵抗効果(GMR)を適用しようとする研究が活発に行なわれている。また、モータの回転センサであるロータリエンコーダではマグネットリングの微小化に伴い、外部に漏れる磁束が微弱になっており、現在のMR素子に代わり高感度な磁気センサが要求されている。ブレーカなども従来の機械式に代わり、電流センサを用いた電子式の開発が進んでいるが、従来のカレントトランスを用いた方式では小型化が困難であり、また感度,検出レンジなどの点で、磁気センサの高感度化,大レンジ化が求められている。
【0004】
これらの要求を満たすために、アモルファスワイヤの磁気インピーダンス効果(MI効果ともいう)を用いた磁気インピーダンスセンサが、例えば特許文献1に提案された。磁気インピーダンス効果とは、磁性体に高周波電流を通電した状態で外部磁界が変化すると磁性体の透磁率が変化し、それに伴い磁性体のインピーダンスが、磁界0のときと比較して数十〜数百%変化する現象である。このような効果を利用するセンサでは、磁性体の両端の電圧を測定することにより、数百マイクロテスラ(μT)程度の微小な外部磁界変化を検出することができる。上記のような磁気インピーダンス効果は、アモルファスワイヤだけでなく磁性薄帯や磁性薄膜でも同様に見られ、特に薄膜については小型,薄型が可能であり信頼性,量産性に優れるため、様々な構造のものが提案されており、その1つに例えば特許文献2に示すものがある。
【0005】
薄膜を用いた磁気インピーダンス素子は、磁気異方性を付与され、一軸異方性を誘導した高透磁率軟磁性膜を短冊状に加工した磁性薄膜パターンで構成される。磁気異方性は磁性膜の成膜時に磁界を印加しながら行ない、さらに回転磁界中や静止磁界中で150〜400℃程度の熱処理をすることにより誘導される。磁化容易軸の方向は、一般的には短冊状構造の短軸(線幅)方向である。磁気インピーダンス素子は、その長さ方向成分の磁界によってインピーダンスが変化するという特性を示す。このときの磁気インピーダンス特性は、磁化容易軸が線幅の場合、磁場の正負でそれぞれインピーダンスのピークをとり、磁場の正負で対称であるという特性を示す。また、その変化率は数十〜数百%と非常に大きな変化を示す。
【0006】
長さ方向に磁気異方性を付与しても、磁気インピーダンス特性が発現する。その時の特性は磁界0のときインピーダンスが最も大きく、磁界の絶対値が大きくなるにつれて減少する特性になる。この場合もインピーダンスは磁界の正負で対称になる。この場合の検出磁界方向も、磁性薄膜パターンの長さ方向成分である。
これらの磁気インピーダンス特性におけるインピーダンスの変化は、磁性薄膜パターンに高周波電流を印加している状態での透磁率が変化することによって引き起こされるものである。インピーダンスを抵抗成分とインダクタンス成分とに分離すると両者ともに透磁率が変化することによって変化するが、絶対値の大きい抵抗成分がその変化には支配的である。透磁率変化による抵抗変化は、基本的には高周波電流が磁性体中を流れるときに発生する表皮効果に起因するため、表皮効果を大きくするためには高周波電流の周波数を上げるか、または磁性薄膜パターンである磁性体の膜厚を厚くする方法が有効となる。
【0007】
以上のように、磁気インピーダンス素子は磁界に対してインピーダンスが大きく変化することが特徴であるが、素子にバイアス磁界を印加し、磁界に対してインピーダンスの変化が大きい点で動作させることにより、さらに磁界に対して高感度に応答するセンサとなる。このバイアス磁界を印加するためには、素子の周りにコイル(バイアスコイル)を形成し、そのコイルに電流を印加することで磁界を発生させることが必要である。また、感度の直線性を向上する目的で、負帰還磁界をかける方式についてもコイルが必要になる。アモルファスワイヤを用いた場合、そのワイヤの周りに直接Cuワイヤなどを巻き、コイルを形成する構造がとられているが、薄膜で形成した磁気インピーダンス素子と同一基板上にコイルを薄膜で形成するものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平06−281712号公報(第2−4頁、図1)
【特許文献2】
特開平08−075835号公報(第4頁、図1)
【特許文献3】
特開平11−109006号公報(第3−4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、磁気インピーダンス素子にはアモルファスワイヤを用いたものと薄膜を用いたものとがあるが、特性の再現性(安定性),信頼性,量産性の面では薄膜を用いた方が有利であると言える。薄膜を用いた場合、ガラスなどの非磁性基板上にスパッタ法などを用いて成膜し、レジストなどの感光性材料を用いて微細パターンを形成し、ウエットエッチングやイオンビームエッチングなどのドライエッチングを用いて、微細パターンに加工している。
【0010】
ところで、磁気インピーダンス特性は例えば図11に示すように、ゼロ磁界を中心に対称な形をしている。このような特性を用いて磁界を計測する場合、図11のb点に動作点を持ってくるためには、予めバイアス磁界を印加する必要がある。このバイアス磁界の印加方法として、薄膜コイルを形成する方法や、薄膜磁石を用いる方法がある。ただし、薄膜コイルを形成する場合は立体構造となり、プロセスが複雑になるという難点がある。また、永久磁石を形成する場合はバイアスが固定されてしまい、柔軟性がない。
したがって、この発明の課題は、磁気インピーダンス素子に対し、簡単かつ安価にバイアス磁界を印加できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
前記磁性薄膜を形成した非磁性基板と、圧電材料基板に硬磁性体を形成した基板とを、磁性薄膜と硬磁性体とが対向するように支持材を用いて組み合わせることを特徴とする。
【0012】
上記請求項1の発明においては、前記磁性薄膜の下にも硬磁性体を配置することができ(請求項2の発明)、請求項1または2の発明においては、前記磁性薄膜を支持する基板として圧電材料基板を用いることができ(請求項3の発明)、これら請求項1〜3のいずれかの発明においては、前記圧電材料基板に印加する電圧を三方向とすることができる(請求項4の発明)。
【0013】
請求項5の発明は、非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
バイメタル上に硬磁性体または硬磁性薄膜を形成した基板と、磁性薄膜を形成した非磁性基板とを、前記硬磁性体または硬磁性薄膜と磁性薄膜とが対向するように支持材により固定することを特徴とする。
【0014】
上記請求項5の発明においては、前記バイメタルの高熱膨張体側に前記硬磁性体または硬磁性薄膜を配置することができ(請求項6の発明)、請求項5または6の発明においては、前記磁性薄膜の感磁方向を前記バイメタルの反り方向と直交する方向に配置することができる(請求項7の発明)。
また、上記請求項5の発明においては、前記バイメタルの代わりに熱膨張アクチュエータの可動部を用いることができ(請求項8の発明)、または、前記バイメタルの代わりに静電アクチュエータの可動部を用いることができる(請求項9の発明)。
【0015】
請求項10の発明は、非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
バイメタル上に磁性薄膜を配置した基板と、被検知物体を有する基板とを、前記磁性薄膜と被検知物体とが対向するように支持材により固定することを特徴とする。
【0016】
上記請求項10の発明においては、前記バイメタル上の高熱膨張体側に前記磁性薄膜を配置することができ(請求項11の発明)、前記バイメタルの代わりに圧電材料基板を用いるこができ(請求項12の発明)、または、前記バイメタルの代わりに熱膨張アクチュエータの可動部を用いることができ(請求項13の発明)、もしくは、前記バイメタルの代わりに静電アクチュエータの可動部を用いることができる(請求項14の発明)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施の形態について説明する。
実施例1−1
図1は第1実施形態の第1実施例を示す構成図である。
これは、圧電材料基板5上に硬磁性薄膜4を形成した基板30と、非磁性基板3上に磁性薄膜1を形成した基板20とを、磁性薄膜1と硬磁性薄膜4とが対向するように、支持材7を用いて組み合わせた磁気インピーダンス素子の例を示す。その作製プロセスを以下に説明する。
圧電材料であるPZT基板5(厚さ0.5mm)の表裏に金属電極膜6を形成し、片方の面にSmCo硬磁性薄膜4をRFマグネトロンスパッタ法によって成膜し、レジストなどの感光性材料を用いて所望の大きさにパターン形成し、イオンビームエッチングによってSmCo硬磁性薄膜4を所望のパターンに加工した。これを基板30とする。その側面図を図1(a)に、同じく平面図を図8(a)に示す。
【0018】
次に、密着層2として利用する絶縁性有機物材料を非磁性基板3上に形成した後、RFマグネトロンスパッタ法を用いてアモルファス磁性薄膜1を成膜し、レジストなどの感光性材料を用いて微細パターンを形成し、磁界熱処理後に例えばイオンビームエッチングによってアモルファス磁性薄膜1を微細パターンに加工した。これを、基板20とする。その側面図を図1(b)に、同じく平面図を図8(c)に示す。
【0019】
次に、基板30のSmCo硬磁性薄膜4と、基板20のアモルファス磁性薄膜1とを向かい合わせるように、支持材7を用いて図1(c)のように組み合わせ、所望の磁気インピーダンス素子を作製する。このとき、アモルファス磁性薄膜1とSmCo硬磁性薄膜4との間隔を2μmとした。ここで、SmCo硬磁性薄膜4の磁化容易軸を、アモルファス磁性薄膜1の面内長手方向に磁界が印加されるように、アモルファス磁性薄膜1の面内長手方向に一致させておく。
【0020】
図9に、上記のようにして作製した磁気インピーダンス素子の特性例を示す。ゼロ磁場に対して非対称な曲線となり、320A/m程度のバイアス磁界が印加されたことになる。この素子のPZT圧電材料基板5に電圧50Vを印加した場合、約56A/mだけバイアス磁界が増加し、また、100V印加した場合、約110A/mだけバイアス磁界が増加した。このように、圧電材料に印加する電圧を変化させることで、磁性薄膜と硬磁性薄膜の間隔を変化させ、磁性薄膜に印加されるバイアス磁界を変化させることができる。
この例ではアモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、短冊状磁性薄膜を並列に配置した構造でも良い。また、圧電材料基板としてPZTを用いたがその他の圧電材料でも良く、硬磁性材料としてSmCo以外の材料を用いても良いのは勿論である。
【0021】
実施例1−2
図2は同じく第2の実施例を示す構成図である。
これは、電極6を形成した圧電材料基板5に硬磁性薄膜4を形成した図2(a)のような基板30と、非磁性基板3上に形成したアモルファス磁性薄膜1と密着層2との間にSmCo硬磁性薄膜4を形成した図2(b)のような基板21とを、基板30のSmCo硬磁性薄膜4と基板21のアモルファス磁性薄膜1とを向かい合わせるように、支持材7を用いて図2(c)のように組み合わせて作製した磁気インピーダンス素子の例である。基板21の平面図を図8(d)に示す。これにより、基板21に形成したSmCo硬磁性薄膜4によるバイアス磁界も加わるため、強いバイアス磁界を印加することができる。
この例ではアモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、短冊状磁性薄膜を並列に配置した構造でも良い。また、圧電材料基板としてPZTを用いたがその他の圧電材料でも良く、硬磁性材料としてSmCo以外の材料を用いても良いのは勿論である。
【0022】
図3は同じく第3の実施例を示す構成図である。
実施例1−3
これは、電極6を形成した圧電材料基板5にSmCo硬磁性薄膜4を形成した図3(a)のような基板30と、アモルファス磁性薄膜1を支持する非磁性基板としてPZT圧電材料基板5を用いた図3(b)のような基板22とを、基板30のSmCo硬磁性薄膜4と基板22のアモルファス磁性薄膜1とを向かい合わせるように、支持材7を用いて図3(c)のように組み合わせて作製した磁気インピーダンス素子の例である。これにより、基板22の圧電材料基板5に電圧を印加することで、アモルファス磁性薄膜1側も可動となるので、SmCo硬磁性薄膜4と磁性薄膜1との間隔を広範囲に変えることが可能になる。
この例ではアモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、短冊状磁性薄膜を並列に配置した構造でも良い。また、圧電材料基板としてPZTを用いたがその他の圧電材料でも良く、硬磁性材料としてSmCo以外の材料を用いても良いのは勿論である。
【0023】
実施例1−4
図4は同じく第4の実施例を示す構成図である。
これは、PZT圧電材料基板5にSmCo硬磁性薄膜4を形成した図4(a)のような基板31において、PZT基板の三方向に電圧を印加できるように、電極を三方向に形成した磁気インピーダンス素子の例である。基板31の平面図の例を、図8(b)に示す。基板20は図1(b)と同じである。基板31の圧電材料基板に印加する電圧を三方向で制御可能とすることにより、圧電材料の歪み量,歪み方を精度良く制御できるようになる。
この例ではアモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、短冊状磁性薄膜を並列に配置した構造でも良い。また、圧電材料基板としてPZTを用いたがその他の圧電材料でも良く、硬磁性材料としてSmCo以外の材料を用いても良いのは勿論である。
【0024】
図5はこの発明の第2の実施の形態を示す構成図である。
実施例2
これは、バイメタル材料51上に硬磁性薄膜4を形成した図5(a)のような基板70と、ガラス基板3a上に感磁部としての磁性薄膜1を形成した図5(b)のような基板60とを、磁性薄膜1と硬磁性薄膜4とが対向するように、支持材7cを用いて図5(c),(d)のように組み合わせた磁気インピーダンス素子の例である。その作製プロセスを以下に説明する。なお、図5(c)は磁性薄膜1の長手方向断面図、図5(d)はガラス基板3aの長手方向断面図である。
【0025】
密着層2bとして利用する絶縁性有機物材料をガラス基板3b上に形成した後、RFマグネトロンスパッタ法を用いてSmCo硬磁性薄膜4を成膜し、レジストなどの感光材料を用いて所望の大きさにパターン形成し、イオンビームエッチングによって、SmCo硬磁性薄膜4を所望のパターンに加工する。そのガラス基板3bをバイメタル材料51上に接着し、これを図5(a)に示す基板70とする。ここでは、バイメタル材料51の高熱膨張材側に硬磁性薄膜4を接合した。
さらに、基板70の片側(硬磁性薄膜のない側)には、バイメタルを加熱するためのヒーター配線8を薄膜パターン技術によって形成する。このヒーター配線8はバイメタル材料51の表,裏のいずれの面に形成しても良いが、ここでは硬磁性薄膜4のある基板3bを接合した面に形成している。また、同じ面に基板60との接合用支持材7cを形成した。
【0026】
次に、密着層2として利用する絶縁性有機物材料をガラス基板3a上に形成した後、RFマグネトロンスパッタ法を用いてアモルファス磁性薄膜1を成膜し、レジストなどの感光材料を用いて微細パターンを形成し、磁界熱処理後にイオンビームエッチングによって、アモルファス磁性薄膜1を微細パターンに加工した。ここではアモルファス磁性薄膜1の感磁方向を図5(c)のように、ガラス基板3aの短軸方向とし、これを図5(b)に示す基板60としている。この基板60には、支持材接合用のパッド7bを形成した。
【0027】
次に、基板70のSmCo硬磁性薄膜4と、基板60のアモルファス磁性薄膜1とを向かい合わせるように、基板70の支持材7cと基板60の支持材接合用のパッド7bを図5(d)のように合わせて接合し、所望の磁気インピーダンス素子を作製する。このとき、アモルファス磁性薄膜1とSmCo硬磁性薄膜4との間隔を、約2μmとした。ここで、硬磁性薄膜4の磁化容易軸を、アモルファス磁性薄膜1の面内長手方向に一致させておく。
【0028】
以上のように作製した磁気インピーダンス素子の特性例を、図10に示す。
図示のように、ゼロ磁場に対して非対称な曲線となり、約320A/m程度のバイアス磁界が印加された。この素子のヒーター8に直流電流を与えると、ヒーター8に発生する熱によってバイメタル51が反り、アモルファス磁性薄膜1とSmCo硬磁性薄膜4との間隔が増加するので、感磁部としての磁性薄膜に印加されるバイアス磁界が減少し、図10のように磁気インピーダンス特性がシフトすることになる。
【0029】
このように、バイメタル材料を加熱することによって磁性薄膜1と硬磁性薄膜4との間隔を変化させ、磁性薄膜に印加されるバイアス磁界を変化させることができる。
図5では、支持材7cを1つとして片持ち梁のようにしたが、両端を支持してバイメタルを撓ませる構造にしても良い。また、アモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、または短冊状磁性薄膜を複数並列に配置する構造でも良い。さらに、磁性薄膜としてSmCo以外の材料を用いても良いし、バルク磁石を用いてもよい。また、基板70はバイメタル材料上にガラス基板を接合した構造としたが、バイメタル上にSiO2薄膜を形成し、その後密着層2b、硬磁性薄膜4を形成する構造でも良い。
【0030】
バイメタル上に硬磁性薄膜4を配置しているが、圧電材料や熱膨張アクチュエータ,静電アクチュエータの可動部に、硬磁性薄膜またはバルク磁石を配置する構造にしても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、図5の構成によれば、磁気インピーダンス特性の温度特性を補正することができ、この場合はバイメタル材料を加熱するヒーターは不要となる。すなわち、図5では高熱膨張材側が凸に反り、アモルファス磁性薄膜1と硬磁性薄膜4との間隔が広がるのでバイアス磁界が減少し、温度上昇による磁気インピーダンス特性の低磁界側への変化を補正することができる。
【0031】
図6はこの発明の第3の実施の形態を示す構成図である。
実施例3
これは、バイメタル材料51上にアモルファス磁性薄膜1を形成した図6(a)のような基板71と、測定対象となる配線パターン9が形成された図6(b)のような基板61とを、アモルファス磁性薄膜1と配線パターン9が対向するように支持材7cを介して図6(c)のように接合した磁気インピーダンス素子の例である。その作製プロセスは以下の通りである。
【0032】
密着層2として利用する絶縁性有機物材料をガラス基板3b上に形成した後、RFマグネトロンスパッタ法を用いてアモルファス磁性薄膜1を成膜し、レジストなどの感光材料を用いて微細パターンを形成し、磁界熱処理後にイオンビームエッチングによって、アモルファス磁性薄膜1を微細パターンに加工し、これを図6(a)に示す基板71としている。また、この基板71には、支持材7cおよびヒーター配線8を形成した。
上記基板71のアモルファス磁性薄膜1を、図6(b)に示す基板61の配線パターン9と対向するように支持材7cを介して図6(c)のように接合し、所望の磁気インピーダンス素子を作製する。
【0033】
以上のように構成することで、ヒーター配線8に電流を流しバイメタル材料51を加熱することによってバイメタル材料51が反り、アモルファス磁性薄膜1と配線パターン9との間隔が変化する。反り量は加熱温度、つまり通電する電流によって制御できるので、アモルファス磁性薄膜1と配線パターン9との間隔を高精度に制御することができる。
【0034】
図6では、支持材7cを1つとして片持ち梁のようにしたが、両端を支持してバイメタルを撓ませる構造にしても良い。また、アモルファス磁性薄膜1を短冊状としたが、つづら折れパターンでも良いし、または短冊状磁性薄膜を複数並列に配置する構造でも良い。さらに、基板71はバイメタル材料上にガラス基板を接合した構造としたが、バイメタル上にSiO2薄膜を形成し、その後密着層2、アモルファス磁性薄膜1を形成する構造でも良い。
【0035】
図7は図6の変形例を示す構成図である。
実施例3−1
これは、金属電極11を形成した圧電材料基板5上に、密着層2としての有機絶縁薄膜と感磁部としてのアモルファス磁性薄膜1を形成した基板72と、被磁界測定対象としての配線パターン9が形成されている基板61とを、基板72の周りに形成した支持材7を用いて、アモルファス磁性薄膜1と配線パターン9とが対向するように、基板72と基板61とを組み合わせた磁気インピーダンス素子の例である。
【0036】
上記のように構成することにより、圧電材料基板5に印加する電圧によって、配線パターンと磁性薄膜との間隔を高精度に調整する事ができる。なお、圧電材料基板の代わりに熱膨張アクチュエータや静電アクチュエータの可動部を用い、これに磁性薄膜を形成しても同様の効果を得ることができる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1〜4の発明によれば、磁性薄膜を形成した非磁性基板と、圧電材料基板上に硬磁性材料を形成した基板を、磁性薄膜と硬磁性材料が対向するように支持材を用いて組み合わせるようにしたので、磁性薄膜と硬磁性材料の間隔を圧電材料に印加する電圧で制御することが可能となり、簡単にバイアス磁界を変えることができるという利点がもたらされる。
また、請求項5〜14の発明によれば、磁気インピーダンス素子の感磁部である磁性薄膜を形成した非磁性基板と、硬磁性体または薄膜を形成した非磁性基板をバイメタルに配置した基板を、磁性薄膜と硬磁性体または薄膜とが対向するように支持材を用いて組み合わせるようにしたので、磁性薄膜と硬磁性体または薄膜との間隔をバイメタルの反りで制御することが可能となり、簡単にバイアス磁界を変えることができる。さらに、磁気インピーダンス素子の感磁部である磁性薄膜をバイメタル上に形成したものを、被検知物体に面するように支持材を用いて接合する構造とすることで、磁性薄膜と被検知物体との間隔を高精度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態(その1)を示す構成図
【図2】この発明の第1の実施の形態(その2)を示す構成図
【図3】この発明の第1の実施の形態(その3)を示す構成図
【図4】この発明の第1の実施の形態(その4)を示す構成図
【図5】この発明の第2の実施の形態を示す構成図
【図6】この発明の第3の実施の形態を示す構成図
【図7】図6の変形例を示す構成図
【図8】この発明で用いられる各種基板を示す平面図
【図9】第1の発明による素子の磁気インピーダンス特性例図
【図10】第2の発明による素子の磁気インピーダンス特性例図
【図11】バイアス点の説明図
【符号の説明】
1…磁性薄膜、2,2b…密着層、3…非磁性基板、3a,3b…ガラス基板、4…硬磁性薄膜、5…圧電材料、6,11…電極、7,7c…支持材、7b…支持材接合用パッド、8…ヒーター配線、9…配線パターン、10,20,21,22,30,31,32,60,61,70,71,72…基板、51…バイメタル。

Claims (14)

  1. 非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
    前記磁性薄膜を形成した非磁性基板と、圧電材料基板に硬磁性体を形成した基板とを、磁性薄膜と硬磁性体とが対向するように支持材を用いて組み合わせることを特徴とする磁気インピーダンス素子。
  2. 前記磁性薄膜の下にも硬磁性体を配置することを特徴とする請求項1に記載の磁気インピーダンス素子。
  3. 前記磁性薄膜を支持する基板として圧電材料基板を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気インピーダンス素子。
  4. 前記圧電材料基板に印加する電圧を三方向とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子。
  5. 非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
    バイメタル上に硬磁性体または硬磁性薄膜を形成した基板と、磁性薄膜を形成した非磁性基板とを、前記硬磁性体または硬磁性薄膜と磁性薄膜とが対向するように支持材により固定することを特徴とする磁気インピーダンス素子。
  6. 前記バイメタルの高熱膨張体側に前記硬磁性体または硬磁性薄膜を配置することを特徴とする請求項5に記載の磁気インピーダンス素子。
  7. 前記磁性薄膜の感磁方向を前記バイメタルの反り方向と直交する方向に配置することを特徴とする請求項5または6に記載の磁気インピーダンス素子。
  8. 前記バイメタルの代わりに熱膨張アクチュエータの可動部を用いることを特徴とする請求項5に記載の磁気インピーダンス素子。
  9. 前記バイメタルの代わりに静電アクチュエータの可動部を用いることを特徴とする請求項5に記載の磁気インピーダンス素子。
  10. 非磁性基板に高透磁率磁性の短冊状磁性薄膜またはこれらを交互に接続してつづら折れ磁性薄膜パターンを形成し、これに高周波電流を印加することにより磁性体のインピーダンスが変化する、磁気インピーダンス効果を利用する素子であって、
    バイメタル上に磁性薄膜を配置した基板と、被検知物体を有する基板とを、前記磁性薄膜と被検知物体とが対向するように支持材により固定することを特徴とする磁気インピーダンス素子。
  11. 前記バイメタル上の高熱膨張体側に前記磁性薄膜を配置したことを特徴とする請求項10に記載の磁気インピーダンス素子。
  12. 前記バイメタルの代わりに圧電材料基板を用いることを特徴とする請求項10に記載の磁気インピーダンス素子。
  13. 前記バイメタルの代わりに熱膨張アクチュエータの可動部を用いることを特徴とする請求項10に記載の磁気インピーダンス素子。
  14. 前記バイメタルの代わりに静電アクチュエータの可動部を用いることを特徴とする請求項10に記載の磁気インピーダンス素子。
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