JP4069150B2 - 伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法 - Google Patents

伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材を得るための鋼材を製造するための方法に関するものであり、特に硬質で延性の極めて小さい非金属系介在物が低減されて伸線性と疲労特性の高められた鋼線材用鋼を製造するための有用な方法に関するものである。
タイヤコード用鋼やばね用鋼では、アルミナ(Al23)やスピネル(Al23・MgO)等の様な、硬質で延性の極めて小さい非金属系介在物(特に酸化物系介在物、以下、単に「介在物」ということがある)が存在していると、極細鋼線にまで伸線する工程で伸線性を損ねる原因となったり、製品段階で疲労破壊の起点となったりする。従って、鋼線材の製造過程で、上記介在物を極力低減するか若しくは軟質化により延性を高めて無害化することが重要となる。
鋼線材中に存在する介在物を極力低減するという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば特許文献1、2には、溶鋼の脱酸剤としてSi,Mnを用い、Al濃度を規制することによって介在物を低減する方法が開示されている。また特許文献3、4には、溶鋼を収容する耐火物容器中のAl23濃度を規制することによって介在物の低減を図る技術が提案されている。更に、Al23濃度の低いCaO−SiO2系フラックスを用いて溶鋼を精錬することによって、鋼中の介在物を低減する技術も提案されている(例えば、特許文献5、6)。
しかしながら、これまで提案されている技術は、転炉から出鋼される溶鋼に対して実施される二次精錬での技術に関するものであり、こうした二次精錬における条件だけを適切に制御しても、介在物を十分に低減できるとは限らず、二次精錬よりも前の工程と二次精錬の条件を適切に制御する必要がある。
特開昭50−081907号公報 特開昭50−11618号公報 特開2003−245758号公報 特開2004−211148号公報 特開平4−110413号公報 特開平9−059744号公報
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、二次精錬における条件と転炉における製造条件を適切に制御することによって、硬質な非圧延介在物が低減されて伸線性と疲労特性の高められた鋼線材を得るための鋼材を製造する有用な方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の製造方法とは、転炉に装入する主原料を、溶銑、冷銑および屑鋼とすると共に、これら主原料全体に対する割合で溶銑:96〜100%(質量%の意味、以下同じ)、冷銑:4%以下(0%を含む)および屑鋼:2%以下(0%を含む)とし、且つ全主原料中の平均P濃度を0.02%以下として転炉吹錬を行ない、転炉吹錬終了後の二次精錬時における溶鋼撹拌ガス流量を、溶鋼1t当り0.0005Nm3(Nはnormalの意;298K、105Paでの体積をいう、以下同じ)/分以上、0.004Nm3/分以下とし、次いで連続鋳造におけるタンディッシュ内にパージするAr流量をタンディッシュ内の溶鋼1t当り0.04Nm3/分以上、0.10Nm3/分以下として操業する点に要旨を有するものである。
本発明方法で対象とする鋼線材用鋼は、その化学成分組成が、C:0.4〜1.3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.2〜1.0%、Al:0.003%以下(0%を含まない)を夫々含み、残部鉄および不可避不純物であるものが好ましいものとして挙げられる。
また本発明方法で対象とする鋼線材用鋼は、必要によって更に他の元素として、(a)Ni:0.05〜1%、Cu:0.05〜1%およびCr:0.05〜1.5%よりなる群から選択される1種以上、(b)Li:0.02〜20ppm、Mg:0.02〜20ppm、Ce:3〜100ppm、およびLa:3〜100ppmよりなる群から選択される1種以上、等を含むことも有用であり、含有される成分の種類に応じて、鋼線材の特性が更に改善される。
本発明では、転炉に装入する主原料の原料割合および平均P濃度を適切に制御すると共に、二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量、および連続鋳造時にタンディッシュ内にパージするAr流量を適切に制御することによって、鋼線材中の硬質な非圧延介在物が低減されて、伸線時に優れた伸線性を発揮すると共に、優れた疲労特性を具備する鋼線材用鋼が得られ、タイヤコードといった高強度極細線や、高い疲労特性の要求されるばね等の製造に最適な鋼線材用鋼を、効率よく提供できる。
一般に、転炉操業では、高炉で製造された溶銑の他、製鉄所内外からの屑鋼(スクラップ)や、溶銑を固めた冷銑等を装入し、Cを酸化除去しながら溶銑温度を上昇させて、C濃度が0.03〜1%程度の溶鋼を製造するようにされている。このとき転炉に装入される溶銑温度は1200〜1400℃程度であるが、この温度が高ければ高いほど、転炉に装入できる屑鋼や冷銑の量を増加させることができ、極力少ない溶銑から多くの溶鋼を製造することが可能になる。
しかしながら、タイヤコード用鋼やばね用鋼のような高炭素鋼を製造するに当っては、生産効率を低下させずに転炉でPを除去することが困難なため、転炉に装入する溶銑、冷銑および屑鋼などの主原料中のP濃度をできるだけ低減しておく必要がある。尚、転炉に装入される原料としては、上記溶銑、冷銑および屑鋼以外材にも、滓化調整のための鉄鉱石や、転炉耐火物保護のためのドロマイトも含まれることになるが、本発明では、これらのものを除いた原料(溶銑、冷銑および屑鋼)を主原料と呼んでいる。
主原料のうち、溶銑については、転炉への装入に先立って事前に脱りん処理されることが一般的であるので、転炉に装入される溶銑の温度は低く、屑鋼を装入するのに必要な熱的余裕が少ないものとなる。熱的余裕の少なさは、溶銑中のCを過剰に酸化させることによって補うことは可能であるが、アルミナのような硬質介在物を嫌うタイヤコード用鋼やばね用鋼では、Cの過剰酸化は極力避ける必要がある。即ち、Cの過剰酸化は、転炉吹錬終了時の溶鋼中溶存酸素濃度を上昇させることになり、溶鋼の脱酸で用いるFeSi合金の使用量が増え、しかもそのFeSi合金中には不可避的にAlが微量に含まれており、その結果として溶鋼中におけるアルミナ系介在物の増加を招くことになる。
こうしたことから、溶鋼中のアルミナ系介在物を低減するには、転炉に装入する主原料の熱的余裕度をできるだけ高めておく必要がある。こうした観点から、本発明者らが検討したところ、主原料中における溶銑、冷銑および屑鋼の割合を適切にすること主原料の熱的余裕度を高める上で有効であることが判明した。
まず本発明者らは、転炉に装入した主原料中の溶銑比率、冷銑比率および屑鋼比率(溶銑、冷銑および屑鋼の合計を100%としたときの各原料の割合)と鋼線材10t(トン)を伸線したときの断線回数の関係について調査した。主原料中の溶銑比率と断線回数の関係を図1に、同冷銑比率と断線回数の関係を図2に、同屑鋼比率と断線回数の関係を図3に、夫々示す(断線回数の意味については、後記実施例参照)。
この結果から明らかなように、溶銑比率が96%未満、冷銑比率が4%超、或は屑鋼比率が2%超になると、断線回数が増加することが分かる。こうしたことから、転炉に装入する主原料は、溶銑比率が96%以上、冷銑比率が4%以下、屑鋼比率が2%以下のものを用いることが断線回数を低減する上で有効なことが分かる。尚、好ましくは溶銑比率を98%以上とするのが良く、より好ましくは100%である。また冷銑比率の好ましい範囲は、2%以下である。
本発明では、転炉に装入する主原料中の平均P濃度を0.02%以下にする必要がある。転炉吹錬時の脱Pは、脱Cと同時に進行することになるが、タイヤコード用鋼やばね用鋼のような高炭素鋼では、脱Cを抑制しなければならないので、転炉吹錬で脱Pを期待することはできない。また、鋼線材中のP濃度においても、0.02%を超えると、P偏析の影響によって断線頻度の増加、疲労強度の低下を招くことになる。こうしたことから、吹錬前に全主原料中のP濃度を0.02%以下に抑制しておく必要があり、好ましくは0.015%以下にしておくのが良い。
本発明においては、転炉吹錬終了後の二次精錬(例えば、取鍋精錬)において、スラグと溶鋼を撹拌させる際の撹拌ガス流量(以下、単に「ガス流量」ということがある)も適切に制御する必要がある。転炉吹錬終了後の溶鋼は、SiやMn等で脱酸することになるが、この際にFeSi、FeMn、SiMn等の合金(脱酸剤素)中に含まれる微量AlによってAl23が生じ、製品において有害な介在物として残存することになる。こうしたことから、二次精錬時においてAl23を除去しておく必要がある。
こうした観点から、ガス流量が溶鋼1t(トン)当り0.0005Nm3/分以上にしてスラグ−溶鋼間の接触を強くする必要がある。このガス流量は、好ましくは0.0006Nm3/分以上であり、より好ましくは0.0007Nm3/分以上とするのが良い。但し、このガス流量が過剰になると、取鍋耐火物の溶損が顕著になり、操業上好ましくないばかりか、耐火物が溶鋼中に混入して製品に悪影響を与えることになる。こうしたことから、ガス流量は0.004Nm3/分以下とする必要があり、好ましくは0.0035Nm3/分以下、より好ましくは0.003Nm3/分以下とするのが良い。
尚、上記撹拌に用いるガスの種類は特に限定されないが、溶鋼と反応を起こさず比較的安価に入手できるアルゴンが適当である。また、ガスの吹き込み方法についても限定されず、溶鋼上部から耐火物製ノズルを通じて吹き込む方法や取鍋の底部や側面部から吹き込む方法を採用することができる。
二次精錬を終えた溶鋼は、連続鋳造機にて鋳造されることになるが、連続鋳造に際しては取鍋から一旦タンディッシュと呼ばれる容器内に収容されることになる。このタンディッシュ内の空間に空気が残存していると、空気中の酸素によって溶鋼が酸化されることによって介在物が生成し、鋼線材としたときに断線回数頻度が増加することになる。こうしたことから、鋳造中はタンディッシュ内をArガスでパージする必要がある。
図4はタンディッシュでのパージAr流量(タンデッシュ内の溶鋼1t当りの流量)と断線回数(鋼材1t当り)の関係を示したものである。この結果から明らかなように、パージAr流量が0.04Nm3/分未満の場合には、空気中酸素による溶鋼の酸化が顕著になり、断線回数が増加することになる。こうしたことから、パージAr流量は0.04Nm3/分以上とする必要がある。しかしながら、溶鋼1t当りのパージAr流量が0.10Nm3/分を超えると、上記効果が飽和する傾向がある。
本発明で対象とする鋼材(高炭素鋼)は、成分組成のうちAl量が下記に示す通り制限されるだけで、その他の成分については特に制限されず、下記に示す通り一般的なスチールコード等の伸線加工用鋼材やばね用鋼並みに含まれるものである。具体的には、C:0.4〜1.3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.2〜1.0%、Al:0.003%以下(0%を含まない)を夫々含むものである。これらの好ましい成分の範囲設定理由は、下記の通りである。
[C:0.4〜1.3%]
Cは、強度の向上に有用な元素であり、この効果を発揮させるためには0.4%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.5%以上である。しかし、C含有量が過剰になると、鋼が脆化して伸線性が損なわれるので1.3%以下(より好ましくは1.2%以下)に抑えるのが良い。
[Si:0.1〜2.5%]
Siは、脱酸作用を有する元素であり、該作用を発揮させるには0.1%以上含有させることが好ましい、より好ましくは0.2%以上含有させるのが良い。但し、Si含有量が過剰になると、脱酸生成物としてSiO2が多く生成し伸線性が損なわれるので、2.5%以下(より好ましくは2.3%以下)に抑えるのが良い。
[Mn:0.2〜1.0%]
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有すると共に、介在物制御作用を有する元素である。これらの作用を有効に発揮させるには、Mnは0.2%以上(より好ましくは0.3%以上)含有させるのが良い。一方、Mn量が過剰になると、鋼材が脆化して伸線性が損なわれるので1.0%以下(より好ましくは0.9%以下)に抑えるのが良い。
[Al:0.003%以下(0%を含まない)]
Al含有量が多くなると介在物中のAl23濃度が高くなり、断線の原因となる粗大Al23が生成する可能性があるので、できるだけ抑制することが好ましく、こうした観点から0.003%以下(より好ましくは0.002%以下)に抑えるのが良い。
本発明で対象とする鋼材における基本成分は上記の通りであって、残部は鉄および不可避不純物であり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。更に、下記元素を積極的に含有させて特性を一段と高めることも有効である。
[Ni:0.05〜1%、Cu:0.05〜1%およびCr:0.05〜1.5%よりなる群から選ばれる1種以上]
Niは、鋼線の強度上昇にはあまり寄与しないが、伸線材の靭性を高める効果を発揮する元素である。こうした効果を発揮させるには、Niを0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましく0.1%以上である。しかし、Niを過剰に含有させても上記効果は飽和するだけであるので、1%以下(より好ましくは0.9%以下)とすることが好ましい。
Cuは析出硬化作用によって、鋼線の高強度化に寄与する元素である。こうした効果を発揮させるには、Cuを0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.1%以上である。しかしCuを過剰に含有させると、結晶粒界に偏析し、鋼材の熱間圧延工程で割れやキズが発生し易くなるので、1%以下(より好ましくは0.9%以下)とすることが好ましい。
Crは、伸線加工時における加工硬化率を高める作用があり、比較的低い加工率でも容易に高強度を確保できる。しかもCrは鋼の耐蝕性を高める作用も有しており、例えばタイヤ等のゴム補強材(極細鋼)に用いられる場合、該極細鋼の腐食を抑制する上でも有効に作用する。これらの効果を発揮させるには、Crを0.05%以上含有させることが好ましく、より好ましく0.1%以上である。しかしCrを過剰に含有させると、パーライト変態に対する焼入性が高くなり、パテンティング処理が困難となる。更に、二次スケールが著しく緻密になりメカニカルデスケーリング性および酸洗性が劣化する。よってCr量は1.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.4%以下とするのが良い。
[Li:0.02〜20ppm、Mg:0.02〜20ppm、Ce:3〜100ppm、およびLa:3〜100ppmよりなる群から選択される1種以上]
これらの元素は、鋼中の非金属介在物をより軟質化する作用を有する。こうした効果を発揮させるには、Liの場合0.02ppm以上(より好ましくは0.03ppm以上)、Mgの場合0.02ppm以上(より好ましくは0.03ppm以上)、Ceの場合3ppm以上(より好ましくは5ppm以上)、Laの場合3ppm以上(より好ましくは5ppm以上)含有させることが好ましい。しかし上記元素を過剰に入れても効果は飽和するだけであるので、Li、Mgはそれぞれ20ppm以下(より好ましくは10ppm以下)に抑えるのがよい。またCe、Laは夫々100ppm以下(より好ましくは80ppm以下)に抑えるのが良い。
本発明の製造方法で得られる鋼材は、その後熱間圧延の工程を経て鋼線材とされるが、その断面直径が3〜10mmのものであり、この鋼線材は例えば冷間での伸線工程で高い伸線性の要求されるタイヤコード、ピアノ線等の極細高強度鋼線の素材として有用である。また高い疲労特性の要求されるばね、ワイヤー等の素材として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
[鋼材の製造]
溶銑予備処理工程において、Pを0.007〜0.020%、Sを0.002〜0.01%にまで低下させた溶銑を、或はこの溶銑と冷銑および/または屑鋼を各種割合で転炉に装入し、所定の濃度にまで脱C吹錬し、その後、取鍋へ出鋼し、取鍋加熱精錬装置にて成分調整(成分組成については下記表2、5参照)とスラグ精錬(二次精錬)を実施した。尚、取鍋精錬時のスラグは、CaO/SiO2=0.7〜1.7、Al23=4〜25%のCaO−SiO2−Al23系である。また、取鍋精錬時の溶鋼撹拌ガスにはArを用い、その流量を溶鋼1t当り0.0002〜0.0080Nm3/分/tの範囲で変化させた。ガス撹拌時間はいずれも15分以上とした。
上記取鍋精錬に引き続いて連続鋳造を行い、断面が600mm×380mmの鋳片を得た。鋳造時のタンディッシュ内溶鋼量は20tとし、この溶鋼1t当り0.02〜0.13Nm3/分/tの範囲でパージAr流量を変化させた。そしてこの鋳片を、1260℃に加熱し、断面が155mm角となるまで分塊圧延を行った後、更に熱間圧延を施してφ5.5mmまたはφ8.0mmの鋼線材を得た。
得られた鋼線材から1000gを切り出し、酸溶解による介在物抽出および介在物の組成分析に供した。このときの介在物抽出および介在物の組成分析(定量)の方法は下記の通りである。
〔介在物抽出の方法〕
まず、純水、硝酸(濃度:60%)および硫酸(濃度:96%)を、体積比で各々5:25:1に混合した酸溶液の入ったビーカを準備し、これに鋼線材(1000g)を入れた。このビーカを加熱し、溶液温度を90〜95℃に保持しながら、線材を完全に溶解させた。溶解後、10μmのフィルターで濾過する。その後、フィルターに残った介在物のうち、長径が20μm以上の介在物の組成およびその個数計測を行なった。
〔介在物の定量〕
介在物の定量に当っては、EPMA[Electron Probe Microanalyzer,日本電子社製(JXA−8000シリーズ)]を用い、加速電圧:20kV、試料電流:0.01μAの条件で、特性X線のエネルギー分散分光により定量分析を行った。定量対象元素は、Al、Mn、Si、Mg、Ca、Ti、Zr、Oとした。定量方法は、上記元素濃度が既知の物質のX線強度を測定して、X線強度と元素濃度の関係を検量線として予め作成し、該検量線を用いて観察対象介在物のX線強度から各元素の存在濃度を求めた。そして各々の元素が、Al23、MnO、SiO2、MgO、CaO、TiO2、ZrO2の形で存在すると仮定し、上記定量により求めた各元素濃度を基に、介在物中のAl23、MnO、SiO2、MgO、CaO、TiO2、ZrO2の存在濃度を算出し、Al23を80%以上含む介在物をアルミナ系介在物として、その長径及び個数を測定した。
<実施例1:伸線性の評価>
上記のようにして得られたφ5.5mm鋼線材を、タイヤコードに適用した場合の伸線性を下記要領で評価した。
(評価方法)
φ5.5mm→φ0.2mmへ伸線時の断線回数
(伸線方法)
上記φ5.5mmの鋼線材の酸化皮膜を塩酸で除去した後、連続伸線機(昭和機械社製:型式 CD−610−7+BD610)でφ1.2mmまで乾式伸線を行った。この伸線工程で用いた伸線ダイスの径は、4.8、4.2、3.7、3.26、2.85、2.5、2.2、1.93、1.69、1.48、1.3(いずれも単位:mm)である。またφ1.2mmでの線引き速度は400m/分である。伸線に際し、線材の表面には、予めリン酸亜鉛の皮膜処理を行い、潤滑剤はステアリン酸ナトリウム主体のものを用いた。
φ1.2mmまで伸線した線材は、1230Kまで加熱した後、830Kの鉛浴中でパテンティング処理を施し、微細パーライト組織としたのち、Cu:Zn=7:3(質量比)のブラスめっき(膜厚:約1.5μm)を行った。そして最後に、湿式伸線機(KOCH社製:型式KPZIII/25−SPZ250)を用いて、φ0.2mmとなるまで引き抜き加工を行った。線引き中の浸漬浴は、水を75質量%含み、天然脂肪酸、アミン塩、界面活性剤を混合させた溶液を用いた。この伸線工程で用いた伸線ダイスの径は、1.176、0.959、0.880、0.806、0.741、0.680、0.625、0.574、0.527、0.484、0.444、0.408、0.374、0.343、0.313、0.287、0.260、0.237、0.216(いずれも単位:mm)である。またφ0.2mmでの線引き速度は500m/minである。
転炉主原料の条件を下記表1、鋼材の化学成分組成を下記表2に、および伸線性の結果を二次精錬の条件と共に下記表3に夫々示す。
Figure 0004069150
Figure 0004069150
Figure 0004069150
これらの結果から次のように考察することができる(尚、下記のNo.は、表1〜3中の試験No.を示す)。
No.1〜8のものでは、本発明で規定する要件を満たしているので、Al23介在物個数が少なくなり、伸線加工時の断線回数が少なく伸線性に優れていることがわかる。これに対しNo.9〜27のものでは、本発明で規定する要件を満たしていないので、伸線加工時の断線回数が多く、伸線性に劣る結果となった。
詳細には、No.9,10は、転炉主原料中のP濃度が0.02%を超えているため、優れた伸線性を確保できなかった。No.11〜14は、主原料の配合比、P濃度、およびタンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量が本発明で規定する範囲外であるので、伸線性に劣っている。No.15〜17は、主原料の配合比、P濃度、および二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量は本発明で規定する範囲内であるが、タンディッシュ内へのパージAr流量が本発明で規定する範囲外であるので、伸線性に劣っている(但し、No.15はその効果が飽和したもの)。No.18〜25は、主原料のP濃度、二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量およびタンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、主原料の配合比が本発明で規定する範囲外であるので、伸線性に劣っている。No.26,27は、タンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、主原料の配合比および二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量が本発明で規定する範囲外であるので、伸線性に劣っている。
<実施例2:疲労特性の評価>
上記のようにして得られたφ8.0mm鋼線材を、ばねに適用した場合の疲労特性を下記要領で評価した。
(評価方法) φ8.0mmの鋼線材の中村式回転曲げ疲労試験
(試料の調製方法および試験方法)
φ8.0mmの鋼線材に、オイルテンパー→歪取焼鈍→ショットピーニング処理→再度歪取焼鈍を施した後、中村式回転曲げ疲労試験機を用いて下記条件で疲労試験を行い、折損率を求めて疲労特性の評価を行った。
(疲労試験条件)
試験片長さ:650mm
試験片本数:30本
試験荷重:95.8kgf/mm2(940MPa)
回転速度:4500rpm
試験中止回数:2×107
折損率の算出式:折損率=折損本数/(全ての供試験片) ×100(%)
転炉主原料の条件を下記表4、鋼材の化学成分組成を下記表5に、および疲労試験の結果を二次精錬の条件と共に下記表6に夫々示す。
Figure 0004069150
Figure 0004069150
Figure 0004069150
これらの結果から次のように考察することができる(尚、下記のNo.は、表4〜6中の試験No.を示す)。
No.28〜36は、本発明の規定を満たしているので、疲労試験時の折損率が小さく疲労特性に優れていることがわかる。これに対し、No.37〜54は、本発明の規定を満たしていないので、疲労試験時の折損が多く、疲労特性に劣っている。
詳細には、No.37,38は、転炉主原料中のP濃度が0.02%を超えているため、優れた疲労特性を確保できなかった。No.39〜41は、主原料の配合比、P濃度、およびタンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量が本発明で規定する範囲外であるので、疲労特性に劣っている。No.42〜44は、主原料の配合比、P濃度、および二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量は本発明で規定する範囲内であるが、タンディッシュ内へのパージAr流量が本発明で規定する範囲外であるので、疲労特性に劣っている(但し、No.42はその効果が飽和したもの)。No.45〜52は、主原料のP濃度、二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量およびタンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、主原料の配合比が本発明で規定する範囲外であるので、疲労特性に劣っている。No.53,54は、タンディッシュ内へのパージAr流量は本発明で規定する範囲内であるが、主原料の配合比および二次精錬における溶鋼攪拌ガス流量が本発明で規定する範囲外であるので、疲労特性に劣っている。
主原料中の溶銑比率と鋼材10t当りの断線回数との関係を示したグラフである。 主原料中の冷銑比率と鋼材10t当りの断線回数との関係を示したグラフである。 主原料中の屑鋼比率と鋼材10t当りの断線回数との関係を示したグラフである。 タンディッシュでのパージAr流量と鋼材10t当りの断線回数との関係を示したグラフである。

Claims (4)

  1. 転炉に装入する主原料を、溶銑、冷銑および屑鋼とすると共に、これら主原料全体に対する割合で溶銑:96〜100%(質量%の意味、以下同じ)、冷銑:4%以下(0%を含む)および屑鋼:2%以下(0%を含む)とし、且つ全主原料中の平均P濃度を0.02%以下として転炉吹錬を行ない、転炉吹錬終了後の二次精錬時における溶鋼撹拌ガス流量を、溶鋼1t当り0.0005Nm3/分以上、0.004Nm3/分以下とし、次いで連続鋳造におけるタンディッシュ内にパージするAr流量をタンディッシュ内の溶鋼1t当り0.04Nm3/分以上、0.10Nm3/分以下として操業することを特徴とする伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法。
  2. 鋼線材用鋼の化学成分組成が、C:0.4〜1.3%、Si:0.1〜2.5%、Mn:0.2〜1.0%、Al:0.003%以下(0%を含まない)を夫々含み、
    残部鉄および不可避不純物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 鋼線材用鋼が更に他の元素として、Ni:0.05〜1%、Cu:0.05〜1%およびCr:0.05〜1.5%よりなる群から選択される1種以上を含むものである請求項2に記載の製造方法。
  4. 鋼線材用鋼が更に他の元素として、Li:0.02〜20ppm、Mg:0.02〜20ppm、Ce:3〜100ppmおよびLa:3〜100ppmよりなる群から選択される1種以上を含むものである請求項2または3に記載の製造方法。
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