JP4068806B2 - 静電潜像現像剤用トナー、静電潜像現像剤及び該静電潜像現像剤を用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等に用いられる静電潜像現像剤用トナー、静電潜像現像剤及び該静電潜像現像剤を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書、特公昭42−23910号公報(米国特許第3,666,363号明細書)及び特公昭43−24748号公報(米国特許第4,071,361号明細書)等に多数の方法が記載されているが、一般には、種々の手段により静電荷像担持体に電気的潜像を形成し、次いで、得られた潜像をトナーを用いて現像し、又、必要に応じて、紙などの転写材にトナーを転写した後、加熱、加圧あるいは溶剤蒸気等により定着させる一方、転写されずに静電荷像担持体上に残留したトナーをクリーニングすることにより、繰り返しコピー画像を得るものである。
【0003】
電気的潜像をトナーを用いて可視化する現像方式は種々知られており、大別して乾式現像法と湿式現像法とに分けられるが、現在は、乾式現像法が一般的に用いられている。乾式現像法は更に、二成分現像剤を用いる方法と、一成分現像剤を用いる方法とに二分される。
【0004】
二成分現像剤は、結着樹脂中にカーボンブラックなどの着色剤を分散含有せしめて成るトナーと、鉄粉あるいはガラスビーズなどより成るキャリアとの混合物で、この二成分現像剤を用いる方式には、鉄粉キャリアを用いる磁気ブラシ法(米国特許第2,874,063号明細書に記載)、ビーズキャリアを用いるカスケード法(米国特許第2,618,552号明細書に記載)などが知られている。
【0005】
一成分現像剤は、トナーのみより成り、トナー中に磁性体を含有した磁性一成分現像剤と磁性体を含有しない非磁性一成分現像剤があるが、この一成分現像剤を用いる方式には、パウダークラウド法(米国特許第2,221,776号明細書に記載)、マグネドライ法、インプレッション法などが知られている。
【0006】
しかしながら、これらの現像剤が樹脂と着色剤のみからなっていたのでは、流動性、転写性、現像性などの特性が十分でない。そのため、これらの特性を改善するために、トナーに添加剤として、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機酸化物を添加することが行われている。
【0007】
一般に、シリカ等の無機酸化物を添加剤として添加すると、流動性が向上し、良好な帯電特性が得られるが、母体トナーに付着せずに遊離している添加剤により、現像剤の担持搬送部材や潜像担持体に付着してフィルミング現象などの現像障害を引き起こす。
【0008】
また、添加剤が母体トナーに均一に付着していたとしても、経時でトナー中における添加剤の存在状態が変化し、母体トナー中に埋没したり、母体トナーから脱離して遊離する添加剤の割合が徐々に増加する。
【0009】
これにより、経時で流動性が悪化し、トナーの帯電が不均一となりやすく、また経時で帯電性が低下し、トナー飛散や地汚れが増加する原因となり、さらに遊離した添加剤が現像剤の担持搬送部材や潜像担持体に付着してフィルミング現象などの現像障害を引き起こし、十分な耐久性が得られない。
【0010】
このような従来の問題に対して、いくつかの方法が提案されている。例えば、
(I)トナー表面に予めシリカが外添されたトナーに、さらに、浮遊したシリカを混在させて、流動性低下を防止する現像剤が提案されている(特開昭57−93352)。しかし、該現像剤では、十分な混合を行わせず、シリカをただ加えるだけで浮遊している状態にしているにすぎず、浮遊状のシリカをトナー中に均一に付着させることは困難であり、均一な帯電が得られず、また、これらの浮遊状のシリカがフィルミング現象などの現像障害等の原因になる。
【0011】
また、(II)特開平7−92727号公報では、シリカを添加剤として含むトナーにおいて、添加剤であるシリカの一定量を母体粒子に表面に埋設、付着そして浮遊している割合を規定することで流動性の低下などを図る方法が提案されている。しかし、シリカ単独ではシリカの帯電量が大きいため、添加剤混合後の帯電量が高くなり、経時における帯電量が変動しやすく付着量が異なるため、カラー画像を出した場合において安定したベタ画像を得ることができない。
【0012】
また、(III)特開平9−218529号公報では、酸化チタンなどの無機微粒子の一定量をトナー粒子表面に強く付着させることで低電位コントラストの白色現像剤を提供することを提案している。しかし、それでは流動性や現像障害の解決策としては不十分である。
【0013】
一方、ベタ部を均一に現像させることが重要であるこれらの問題を解決するために、外部添加剤の埋め込み防止のため、特定のバインダー樹脂を使用することが提案されている(特開平6−95429号公報、特開平6−102699号公報、特開平6−266156号公報等)。
【0014】
また、特定の帯電制御剤、外部添加剤を使用することも提案されている(特開平6−51561号公報、特開平6−208242号公報、特開平6−250442号公報等)。しかしながら、これらの効果はいずれも十分とはいえず、特に4色重ね合わせるフルカラー現像システムにおいては、より精密にトナー現像量を制御することが必要であり、従ってトナー帯電量の長期安定化には未だ課題が残っている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の実情に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、トナーの経時帯電安定性に優れると同時に、流動性、転写性にも優れ、現像不良や、感材上かぶり、機内汚染性を引き起こすことがない静電潜像現像剤用トナー、該静電潜像現像剤用トナーを用いた静電潜像現像剤、該静電潜像現像剤を用いた画像形成方法を提供することをその課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、金属錯化合物のトナー粒子への分散の状態に着目し、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXとし、金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとして、XとYを原点を通る直線に一次回帰したときの各元素の相関係数により、各トナー粒子中で金属錯化合物が均等に分散しているかが推定でき、この絶対偏差の値が0.08より小さい場合に、金属錯化合物が均等均一にトナー粒子中に分散し、帯電分布の改善が著しいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち、本発明によれば、少なくとも結着樹脂及び金属錯化合物、着色剤からなるトナー粒子と1種以上の外部添加剤とを含有する静電潜像現像剤用トナーにおいて、該トナー粒子の体積平均粒径/トナー粒子の個数平均粒径≦1.2、外添剤を添加した該トナーの帯電量B/トナー母体の帯電量A≦1.2、かつ該トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXとし、内部金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとして、XとYの原点を通る直線に一次回帰したときの各元素の絶対偏差が0.08より小さく、また、Y=0の直線上に存在する粒子に由来するXの総計がその他の粒子に由来するXの総計に対して、5%以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナーが提供される。
【0018】
前記外部添加剤として、2種以上の外部添加剤を含有することが好ましく、BET比表面積が20から250m2/gの範囲の外部添加剤を少なくとも一種含有することが好ましい。
前記外部添加剤としては、シリカ、チタン化合物、アルミナ、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム、りん酸カルシウム、フッ素含有樹脂微粒子、シリカ含有樹脂微粒子、及び窒素含有樹脂微粒子よりなる群から選ばれた少なくとも一種を使用することが好ましい。
【0019】
本発明の静電潜像現像剤は、本発明の静電潜像現像剤用トナーを用いてなることを特徴とする。本発明の静電潜像現像剤は、一成分現像剤であっても、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤であっても良く、二成分現像剤の場合は、キャリアが、樹脂被覆層を有してなることが好ましい。
【0020】
本発明の画像形成方法は、潜像担持体上の静電潜像を現像剤を用いて現像する工程、得られた該トナー画像を転写体上に転写する工程を有する画像形成方法において、該現像剤として、本発明の静電潜像現像剤を用いてなることを特徴とする。また、得られた画像を転写ベルト上に転写して多色像を形成する工程と、得られた多色像を一度に転写体上に転写する工程とを有するカラー画像の形成にも用いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の静電潜像現像剤用トナーは、少なくともトナー粒子及び1種以上の外部添加剤からなり、トナー粒子は、さらに、結着樹脂及び着色剤を含有している。
【0022】
トナー粒子
本発明の電子写真用トナーの個数平均粒径と体積平均粒径の関係は、体積平均粒径/個数平均粒径≦1.2であることが好ましく、1.0≦体積平均粒径/個数平均粒径≦1.2であることがより好ましい。
本発明において、前記トナーの粒径は、コールターカウンターマルチサイザー(コールター社製)により100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子について、その粒径の平均を測定することによって行った。
前記粒径に関する要件は、本トナーを一成分系トナーとして、トナー搬送部材上にトナー薄層を形成する現像装置に用いる場合に特に重要である。トナー薄層を形成する現像装置では、トナーに均一な帯電を持たせるために、トナー搬送部材表面のトナーの層厚は極力薄くする必要がある。ここで、体積平均粒径/個数平均粒径が1.2より大きい場合にはトナー搬送部材に供給されるトナーに粒径選択が起こり、現像ホッパーに供給したトナーに比べ搬送部材に出現するトナーの粒子径が大幅に小さくなる。さらに現像を繰り返すにつれて、より小粒径のトナーから消費されていくため、次第にホッパー内及び搬送部材上へ出現するトナーの粒径が上昇しやすい。したがって初期と経時では、トナーの帯電性が異なり、連続複写後に、画像上に地汚れ、ボソツキ等が発生する様になり、特にカラートナーの場合には色調の変動が起こりやすい。
【0023】
本発明に用いられるトナー粒子の個数平均粒径と体積平均粒径の関係が、体積平均粒径/個数平均粒径≦1.2のトナー粒子の製造方法としては、該関係式の範囲を満足するものが製造できれば、特に限定されるものではなく、公知の方法を使用することができるが、一般には、結着樹脂と着色剤と共に必要に応じて、離型剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを混練、粉砕、分級して得る混練粉砕法などが挙げられ、必要に応じて機械的衝撃力又は熱エネルギーを与えて形状を変化させる製造方法、また、前記方法で得られたトナー粒子をコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法でもよい。
【0024】
本発明で用いる結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル及び酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン及びビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、並びに、これらの単独重合体あるいは共重合体が挙げられ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0025】
本発明で用いる着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料・顔料が代表的なものとして挙げられる。
【0026】
本発明のトナー粒子には、結着樹脂と着色剤の他に、必要に応じて、オフセット防止のための離型剤を添加することができる。離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のワックス類が挙げられる。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、中でも、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物の帯電制御剤を好適に使用することができる。
【0027】
本発明に用いられるトナー粒子は、通常のトナー粒子と同様に、3〜10μmの平均粒径を有するものが好ましく、4〜8μmの範囲のものがより好ましい。平均粒径が10μmを超えるとドット及びラインの潜像にトナー粒子が忠実に現像せず、写真画像の再現あるいは細線の再現が劣る場合がある。また平均粒径が3μm未満ではトナー単位当たりの表面積が大きくなって、帯電性及びトナー流動性の制御が難しくなり、安定した画像が得られない場合がある。
【0028】
外部添加剤
本発明の外部添加剤としては、無機微粒子や有機微粒子等の公知の外部添加剤を用いることができるが、その中でも、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム及びりん酸カルシウム等の無機微粒子、フッ素含有樹脂微粒子、シリカ含有樹脂微粒子及び窒素含有樹脂微粒子等の有機樹脂微粒子が好ましい。また、目的に応じて外部添加剤表面に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、疎水化処理を行うためのシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0029】
前記チタン化合物は、平均一次粒子径100nm以下のものが好ましく、10nm〜70nmの範囲のものがより好ましい。また、このチタン化合物を、第1外部添加剤として用いると、凝集が少なく、トナー粒子間での付着量の差が小さくなり好適である。
【0030】
外部添加剤の材料、粒径は、目的に応じて、適宜選択され、例えば、比較的粒径の大きなものと小さなものというように何種類かの外部添加剤を組み合わせて使用するのが、トナー粒子間での付着力が低下する点で好ましい。
例えば、近年の高画質化のためにトナー粒子の小粒径化によるトナー粒子同士の付着力増大に伴う転写不良を助けるためには、大きな粒径の外部添加剤を一種以上用いるのが好ましい。大きな粒径の外部添加剤とは、BET比表面積が20から250m2/gの範囲にあるものを意味し、BET比表面積がこの範囲にあれば、種々の表面処理されたものが使用可能であり、特に、20から100m2/gのものがより好ましい。20m2/g未満の場合はトナーの流動性が低下することによる画像むらが発生しやすく、また、トナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。250m2/gを超える場合、転写助剤としての効果を発揮することが難しく、特に最下層のトナーにおいて、転写不良が起こりやすい。これら大きな粒径の外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.1〜5.0重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.2〜2.0重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.1重量部未満の場合は転写不良改善効果が不十分で、5.0重量部を超える場合ではトナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。
【0031】
特に、トナーの付着力を低減するために、粒径の異なる外部添加剤を一種以上用いるのが好ましい。これらの外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.1〜5.0重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.05重量部未満の場合は、その効果が十分に発揮されにくく、10重量部を超えると、トナーから脱離する外部添加剤が多くなり、帯電不良やキャリア汚染、感光体傷等を引き起こすし易くなる。
【0032】
外部添加剤のトナーに対する総添加量は、トナー粒子に均一に付着させるためには、外部添剤の添加量をより多くすることが好ましいが、帯電量、粉体特性、コスト、外部添加剤の凝集状態、遊離外部添加剤によるディフェクトなどとのバランスを考慮して、適宜決定される。
【0033】
帯電量
本発明の静電潜像現像剤用トナーは、トナー母体の帯電量Aと外添剤を添加したトナーの帯電量Bとの関係が、B/A≦1.2であることが好ましい。初期と経時では外添剤の埋設及び浮遊状態が変化する。この変化によって帯電量の変化が生じ、トナー補給時の新しいトナーとの帯電量分布差により地肌汚れが発生する。このためトナー母体の帯電量Aを現像装置に合った帯電量に設定することが望ましい。外添剤を添加したトナーの帯電量BはB/A≦1.2の関係を満たすように外添剤種類及び添加量を調整する。これにより経時で外添剤の埋設及び浮遊状態が変化し、外添剤に起因する帯電量が正規の帯電量を下回った場合でも、新しいトナーとの帯電量分布差を生じることが無く、経時での地肌汚れを防止できる。B/Aの関係がB/A>1.2の場合、つまり、外添剤を添加したトナーの帯電量BがB>1.2Aの場合は、経時での帯電量の低下が大きく、トナー補給をした際には帯電量分布差により、地肌汚れが発生する。
【0034】
静電潜像現像剤用トナー
本発明の静電潜像現像剤用トナーは、以上のトナー粒子と外部添加剤から構成されるが、本発明においては、内部金属錯化合物(帯電制御剤)のトナー粒子での分散状態が重要であり、この分散状態を、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXとし、金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとして、XとYを原点を通る直線に一次回帰したときの各元素の相関係数で規定している。
【0035】
本発明における相関係数の求め方とその意義を、具体的に説明する。各元素の発光電圧により元素分析を行うパーティクルアナライザー「PT−1000」(横河電機(株)製)にて、個々のトナー粒子の元素分析を実施し、約3000粒の粒子について、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXと、内部金属錯化合物由来の元素(Zn)に起因する発光電圧をYとを測定した。このデータをもとに算出した、XとYの関係をそれぞれプロットしたのが、図1及び図2である。図1、図2において、定性的には、各点はトナー粒子を表し、各点でのXは炭素原子(トナー粒子)の粒径を表し、Yは内部金属錯化合物の粒径を表している。
【0036】
前記相関図に、回帰式Y=a(X)で表される原点を通る直線を引いたのが、図1、図2でもある。回帰式Y=a(X)の、係数aは、解析ソフトの最小二乗法により求めることができる。各プロットが、この直線に載っていれば、内部金属錯化合物は、トナー粒子の粒径に応じて、各粒子間で均等に分散していることになる。図1と図2を比較すると、本発明の静電潜像現像剤においては、各プロットが、ほぼ直線上に載っている。一方、従来の分散状態が不均一な静電潜像現像剤においては、直線からのバラツキが著しい。このバラツキを定量的に表したのが、絶対偏差である。
【0037】
以上のデータをもとに、XとYとを原点を通る直線に一次回帰させ、内部金属錯化合物由来の各元素の絶対偏差(d)を算出した。実際には解析ソフトより求めることができ、絶対偏差(d)を算出したものが、図3、図4である。
但し、回帰式を算出する際には、Y=0の粒子(金属錯化合物(帯電制御剤)が全く内添していない粒子)については、金属錯化合物(帯電制御剤)を添加しないトナーを作成し、微量元素分析による観察により、金属錯化合物が無いことが確認されており、測定限界以下の粒子であるとして除外した。なお、図3,4においては、Y=0の粒子については除外し、また、X=0のデータは、金属錯化合物の単独粒子であるとみなし、これらのデータも回帰式、標準誤差(d)を算出するの際には除外した。このときのパーティクルアナライザー「PT−1000」のノイズカットレベルは1.2に設定した。
【0038】
本発明の絶対偏差は、トナー粒子間での金属錯化合物(帯電制御剤)の分散状態が均一な程、相関係数の値が0に近づいて行く。本発明においては、この相関係数の値が、0.08より小さくなければならず、0に近いものが好ましい。相関係数の値が、0.08を上回ると、総帯電量は高くなるが、急激に、帯電分布が広がり、十分な現像性が得られなくなったり、非画像部への現像が起こってしまったり、かぶりトナーが増えてしまうなどの弊害が出てくる。
【0039】
また、本発明において、トナーは、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧Xと内部金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとしたときにおいて、Y=0の直線上に存在する粒子に由来するXの総計がその他の粒子に由来するXの総計に対して5%以下の関係にあるトナーであることが好ましい。Y=0の直線上に存在する粒子に由来するXとは、トナー粒子に金属錯化合物(帯電制御剤)を含まない元素に起因する発光電圧をXを意味しており、その総計がその他の粒子に由来するXの総計に対して5%以下とは、具体的には、トナーに金属錯化合物(帯電制御剤)が含まれていないトナーが金属錯化合物を含有するトナーに対して5%以下であることを意味している。つまり、この数値が少なければ、少ないほどトナーに金属錯化合物を含有しないトナーの量が少なく、添加した金属錯化合物が有効に分散されており、5%を超えると、帯電量分布が広くなり、弱帯電性トナーが多く、その結果、地肌汚れやトナー飛散などの弊害が出てくる。
【0040】
静電潜像現像剤
本発明の静電潜像現像剤用トナーをキャリアと組み合わせることにより、二成分現像剤として使用することができる。この場合、キャリアが芯材上に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアであることが好ましい。また、被覆樹脂・マトリックス樹脂に導電材料が分散されていてもよい。
【0041】
被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
上記の樹脂に含まれる導電材料としては、金、銀、銅といった金属粉やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等の無機微粒子を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
キャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用い体積固有抵抗を調整するためには磁性材料であることが好ましい。キャリア芯材の平均粒径としては、一般的には10〜500μmのものが用いられ、好ましくは30〜100μmの球状形状のものが用いられる。
【0044】
また、キャリアの芯材の表面に樹脂被覆する方法としては、キャリア芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被覆層形成溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0045】
本発明の画像形成方法は、潜像保持体上の静電潜像を、現像剤層を用いて現像する工程、得られたトナー画像を転写体上に転写する工程を有するものである。
潜像保持体上の静電潜像を、現像剤層を用いて現像する工程において、現像剤として、本発明の静電潜像現像剤用トナーを用いていれば、特に制限はない。これらの各工程は、それ自体は一般的な工程であり、例えば、静電潜像担持体としては、電子写真感光体、誘電記録体等が使用され、公知の方法により静電潜像が形成される。また、現像剤担持体としては、例えば、二成分現像装置の場合は、回転可能な非磁性スリーブ内に、マグネチックロールが固定設置されたものが使用され、一成分現像装置の場合は回転可能な非磁性スリーブなどが使用され、該現像剤担持体は静電潜像担持体に対向するように配置され、静電潜像担持体上に形成されたトナー像は、転写体上に公知の工程により転写され、熱ロールにより定着される。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0046】
さらに、本発明の画像形成方法は、得られたトナー画像を転写体上に転写する工程として、転写ベルト上に多色像を形成する工程と得られた多色像を一度に転写体上に転写する工程とを有するカラー画像の形成にも好適に使用することができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0048】
(ポリエステル樹脂の合成例)
合成例1
攪拌装置、温度計、窒素導入口、流下式コンデンサー、冷却管付き4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン740g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン300g、テレフタル酸ジメチル466g、イソドデセニル無水コハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル114gをエステル化触媒とともに加えた。窒素雰囲気下で前半210℃まで常圧昇温し、後半210℃減圧にて攪拌しつつ反応させた。酸価2.3KOHmg/g、水酸基価28.0KOHmg/g、軟化点106℃、Tg62℃のポリエステル樹脂を得た(以下ポリエステル樹脂Aという)。
【0049】
合成例2
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン71225g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン165g、テレフタル酸500g、イソドデセニル無水コハク酸130g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソプロピル170gをエステル化触媒とともにフラスコに加えた。これらを合成例1と同様の装置、同様の処方にて反応させ、酸価0.5KOHmg/g、水酸基価25.0KOHmg/g、軟化点109℃、Tg63℃のポリエステル樹脂を得た(以下ポリエステル樹脂Bという)。
【0050】
(ポリオール樹脂の合成例)
合成例1
攪拌装置、温度計、窒素導入口、冷却管付きセパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378.4g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86.0g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のグリシジル化物(前記一般式(1)においてn+m:約2.1)191.0g、ビスフェノールF274.5g、p−クミルフェノール70.1g、キシレン200gを加えた。窒素雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.1839g加え,更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、酸価0.0KOHmg/g、水酸基価70.0KOHmg/g、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂を得た(以下ポリオール樹脂Aという)。
【0051】
合成例2
合成例1の装置を用いて、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)205.3g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約3000)54.0g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のグリシジル化物(前記一般式(1)においてn+m:約2.2)432.0g、ビスフェノールF282.7g、p−クミルフェノール26.0g、キシレン200gを加えた。窒素雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え,更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、酸価0.0KOHmg/g、水酸基価58.0KOHmg/g、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂を得た(以下ポリオール樹脂Bという)。
【0052】
実施例1
母体トナーの製造例1
結着樹脂 ポリエステル樹脂A 100部
着色剤 キナクリドン系マゼンダ顔料 4部
帯電制御剤 サリチル酸の亜鉛化合物 4部
1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.120℃に設定したブスコニーダー(ブス社製)によって溶融混練
3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:5.8μm
体積平均粒径:6.4μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーaを得た。
母体トナーの製造例1の母体トナーa 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0053】
実施例2
母体トナーの製造例1の母体トナーa 100部に対し、シリカとしてTG−810G(CABOT社製・BET比表面積:230m2/g)を0.5重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0054】
実施例3
母体トナーの製造例1の母体トナーa 100部に対し、シリカとしてAEROSIL RX200(日本アエロジル社製・BET比表面積:200m2/g)を0.5重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0055】
実施例4
母体トナーの製造例1の母体トナーa 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%、アルミナとしてAluminiumOxideC(日本アエロジル社製・BET比表面積:100m2/g)0.02重量%を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0056】
実施例5
母体トナーの製造例2
結着樹脂 ポリエステル樹脂B 100部
着色剤 キナクリドン系マゼンダ顔料 4部
帯電制御剤サリチル酸のクロム化合物 4部
1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.120℃に設定したブスコニーダー(ブス社製)によって溶融混練
3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:5.9μm
体積平均粒径:6.6μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーbを得た。
母体トナーの製造例1の母体トナーb 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%、アルミナとしてAluminiumOxideC(日本アエロジル社製・BET比表面積:100m2/g)0.02重量%を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0057】
実施例6
母体トナーの製造例3
結着樹脂 ポリオール樹脂A 100部
着色剤 キナクリドン系マゼンダ顔料 4部
帯電制御剤 サリチル酸の亜鉛化合物 4部
1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.120℃に設定したブスコニーダー(ブス社製)によって溶融混練
3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:6.3μm
体積平均粒径:7.0μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーcを得た。
母体トナーの製造例1の母体トナーc 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%、アルミナとしてAluminiumOxideC(日本アエロジル社製・BET比表面積:100m2/g)0.02重量%を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0058】
実施例7
母体トナーの製造例4
結着樹脂 ポリオール樹脂B 100部
着色剤 キナクリドン系マゼンダ顔料 4部
帯電制御剤 サリチル酸のクロム化合物 2部
1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.120℃に設定したブスコニーダー(ブス社製)によって溶融混練
3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:6.1μm
体積平均粒径:6.8μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーdを得た。
母体トナーの製造例1の母体トナーd 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%、アルミナとしてAluminiumOxideC(日本アエロジル社製・BET比表面積:100m2/g)0.02重量%を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0059】
比較例1
母体トナーの製造例2
製造例1と同一の材料を用い、製造例1の混練条件を変更した
1.製造例1と同一の材料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.130℃に設定した2本ロールによって溶融混練
3.混練物を冷却後、ターボミル(ターボ工業社製)を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:6.1μm
体積平均粒径:6.9μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーbを得た。
母体トナーの製造例2の母体トナーb 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0060】
比較例2
母体トナーの製造例3
製造例1と同一の材料を用い、製造例1の3、4の粉砕、分級の条件を変えることにより、
個数平均粒径:5.1μm
体積平均位径:6.4μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.3
のマゼンダ母体トナーcを得た。
母体トナーの製造例3の母体トナーc 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.8重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.2重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0061】
比較例3
母体トナーの製造例4
製造例1と同一の材料を用い、製造例1の3の粉砕装置を変更した
1.上記原析料を、ヘンシェルミキサーにより混合
2.130℃に設定した二軸押し出し機によって溶融混練
3.混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機によって微粉砕
4.風力分級機を用いて、分級し、
個数平均拉径:6.2μm
体積平均粒径:7.1μm
体積平均粒径/個数平均粒径:1.1
のマゼンダ母体トナーdを得た。
母体トナーの製造例4の母体トナーd 100部に対し、シリカとしてHDK2000H(Wacker社製・BET比表面積:140m2/g)を0.7重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を1.0重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.5重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0062】
比較例4
母体トナーの製造例1の母体トナーa 100部に対し、シリカとしてAEROSIL R976(日本アエロジル社製・BET比表面積:300m2/g)を1.0重量%及びAEROSIL RX50(日本アエロジル社製・BET比表面積:50m2/g)を0.5重量%、チタニアとしてMT150(テイカ社製・BET比表面積:65m2/g)を0.4重量%添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で十分混合して、電子写真用トナーを得た。
【0063】
[物性測定]
〔粒径〕トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径及び個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
〔絶対偏差〕前記の方法により、約3000粒の粒子について、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXと、内部金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとを測定し、内部金属錯化合物由来の各元素の絶対偏差(d)を算出した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1より、本発明の実施例1〜4の静電潜像現像剤は、各外部添加剤由来の元素の相関係数が0.08より小さく、また、内部金属錯化合物のY=0上のXの割合(母体遊離率)が5%以下であり、トナー粒子中に金属錯化合物を内添していないトナーも少ないことが分かる。これに対し、混練条件を変更して得られたトナー粒子を用いた静電潜像現像剤(比較例1)では、内部金属錯化合物由来の元素の絶対偏差が0.08以上となり、内添されている金属錯化合物(帯電制御剤)の分散状態が均一でないことが分かる。粉砕装置を変更して得られたトナー粒子を用いた静電潜像現像剤(比較例3)では、トナー粒子中に金属錯化合物(帯電制御剤)が内添されていないトナー粒子が多いことが分かる。
【0066】
〔帯電量〕キャリア(パウダーテック社製:FPC−300)6gにトナーを5wt%を計量し、密閉できる金属円柱に仕込み150rpmで15分攪拌し、得られた現像剤をブローして帯電量を求める。
【0067】
[実機評価]
(実機評価1)実施例、比較例で得られた静電潜像現像剤について、(株)リコー製「IPSIO Color5000」改造機を用いてコピーテストを実施し、以下の項目について評価を行った。改造機は、「Color5000」のプロセススピードを上げ一分間に6枚A4フルカラーコピーが採取できる状態に設定したものを用いた。また、コピーテストは、黒を含む3万枚フルカラーモードで実施した。コピーテスト開始直後と3万枚コピー実施後において、現像機内の現像剤の帯電量と、得られた画像濃度を測定し、画質を評価した。
画像濃度は、「X−rite938」(X−rite社製)を用いて測定した。画質は、画像の濃度ムラ、非画像部かぶり、画像ぬけ等が無いか否かを、目視で評価した。
【0068】
【表2】
【0069】
表2より、本発明の実施例1〜4の静電潜像現像剤は、(株)リコー製「IPSIO Color5000」改造機を用いたテストで、濃度、画質、地肌汚れにおいて、良好な性能を示し、維持性の観点からも問題が無いことが分かる。
一方、比較例1の静電潜像現像剤は、初期から地肌汚れがおこり、転写効率も非常に低かった。3万枚後には更に地肌汚れトナーの量が多くなり、また、コピーされた紙の背景部分にもトナーがのってしまった。比較例2の静電潜像現像剤は、初期は画像品質に問題なかった。3万枚後では、経時での粒径選択によりトナーの粒径が上昇し、トナーの帯電性が異なり、画像上に地肌汚れ、ボソツキ等が発生し色調の変動が発生した。また、比較例3の静電潜像現像剤では、初期から地肌汚れが非常に悪かった。比較例4の静電潜像現像剤は初期は画像品質に問題なかったが、3万枚後には画像濃度が低くなり、更にトナー補給をした際には、画像濃度は高くなったが、地肌汚れが発生してしまった。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、トナーの流動性、帯電性、現像性、転写性、感材上かぶり、機内汚染性を同時に且つ長期に満足でき、特に初期及び経時での帯電安定性の不具合を改善し、長期にわたり良好な画像を得ることができる静電潜像現像剤用トナー、該静電潜像現像剤用トナーを用いた静電潜像現像剤、及び該静電潜像現像剤を使用する画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の静電潜像現像剤において、前記XとYの関係を表し、XとYを原点を通る直線に一次回帰したときの関係を表す図である。
【図2】本発明の比較例1の静電潜像現像剤において、前記XとYの関係を表し、XとYを原点を通る直線に一次回帰したときの関係を表す図である。
【図3】本発明の実施例1の静電潜像現像剤において、図1にて求めたXとYの原点を通る直線に一次回帰したときのZn元素の絶対偏差を求めた図である。
【図4】本発明の比較例1の静電潜像現像剤において、図2にて求めたXとYの原点を通る直線に一次回帰したときのZn元素の絶対偏差を求めた図である。
Claims (6)
- 少なくとも結着樹脂及び金属錯化合物、着色剤からなるトナー粒子と1種以上の外部添加剤とを含有する静電潜像現像剤用トナーにおいて、該トナーの個数平均粒径と体積平均粒径の関係が体積平均粒径/個数平均粒径≦1.2、かつ、トナー母体の帯電量Aと外添剤を添加したトナーの帯電量Bとの関係がB/A≦1.2であり、更に、該静電潜像現像剤用トナーが、トナー粒子の結着樹脂由来の炭素に起因する発光電圧をXとし、金属錯化合物由来の元素に起因する発光電圧をYとして、XとYの原点を通る直線に一次回帰したときの各元素の絶対偏差が0.08より小さく、Y=0の直線上に存在する粒子に由来するXの総計がその他の粒子に由来するXの総計に対して、5%以下であることを特徴とする静電潜像現像剤用トナー。
- 前記外部添加剤として、2種以上の外部添加剤を含有することを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像剤用トナー。
- 前記外部添加剤として、BET比表面積が20〜250m2/gの範囲の外部添加剤を少なくとも一種含有することを特徴とする請求項1又は2記載の静電潜像現像剤用トナー。
- 前記外部添加剤が、シリカ、チタン化合物、アルミナ、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム、りん酸カルシウム、フッ素含有樹脂微粒子、シリカ含有樹脂微粒子、及び窒素含有樹脂微粒子よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の静電潜像現像剤用トナー。
- 請求項1から4のいずれかに記載の静電潜像現像剤用トナーを含有してなることを特徴とする静電潜像現像剤。
- 潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像する工程、得られたトナー画像を転写体上に転写する工程を有する画像形成方法において、前記現像剤として、請求項5記載の静電潜像現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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