JP4068769B2 - 画像処理装置及びその傾き補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、傾いて読み取った原稿画像を傾き補正(回転補正)するための画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−148279号公報に開示されるディジタル複写機では、イメージスキャナの原稿台に傾いて載置された原稿に対し、以下の方法で傾き補正を行う。
【0003】
すなわち、まずプリスキャンにより原稿の4つの頂点座標を検出し、これらの頂点座標を用いて原稿の傾き角度を検出する。そして、原稿画像の読み取りスキャン(以下「本スキャン」という)時に、読み取り画像データを複数ライン分のラインバッファに格納し、このラインバッファからの画像データの読み出しを、上記のように検出した傾き角度で補正したアドレスを用いて行う。
【0004】
また、特開平5−252379号公報には、以下の傾き補正方法が開示されている。
【0005】
すなわち、原稿画像を読み取りながら、前ラインの主走査原稿端位置と現ラインの主走査原稿端位置との差分に基づいて傾き角度をリアルタイムに検出し、この傾き角度に基づいて、主走査方向および副走査方向の画像シフトを行う。この副走査方向の画像シフトは、画像メモリ(ページメモリ)への書き込みアドレスを補正することにより行うようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平4−148279号公報に開示される構成は、ページメモリを使用しない点で優れている。しかしながら、この構成では、アフィン変換による回転処理をバッファメモリ読み出し時に読み出しアドレス制御で行うためアドレス発生回路が複雑になり、また、アドレス算出結果が整数にならない場合を想定して補間処理などが必要である。
【0007】
一方、上記特開平5−252379号公報に開示される構成では、画像メモリへの書き込み時に副走査方向の画像シフトを行うために、不連続な書き込みアドレスを生成する必要があり、その結果、アドレス生成回路が複雑化する。また、この構成では、傾き補正の際に生じる倍率誤差については何ら考慮されていないため、傾き補正後の画像の倍率が元の原稿の倍率と異なる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために提案されたものであって、主走査方向に画像シフトするための簡易な構成を通常の画像処理装置が備える構成に追加するだけで傾き補正を可能とし、且つ、回転補正の際に生じる倍率誤差の補正を可能とした画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために以下の手段を採用している。すなわち本発明は図14(a)に示すように、電気的な走査により原稿を画像データとして読み取りながら、該画像データの傾きを補正する画像処理装置を前提としている。
【0010】
傾き角度検出手段66は、上記原稿の傾き角度を検出する。第1のラインシフト手段65は、上記傾き角度検出手段66によって検出された傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に画像データを主走査方向にシフトする。第1の画像メモリ88は、上記第1のラインシフト手段65によってシフトされた画像データを記憶する。第1の回転手段85は、上記第1の画像メモリ88に記憶された画像データを90度或いは270度回転させて主走査方向と副走査方向とを入れ替える。第2のラインシフト手段91は、上記第1の回転手段85によって回転された画像データを、上記傾き角度検出手段66によって検出された傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に主走査方向にシフトする。このようにすれば、主走査方向に画像シフトするための簡易な構成を通常の画像処理装置が備える構成に追加するだけで傾き補正が可能となる。
ここで、上記第1のラインシフト手段65がシフトする画像データは、画像信号が一定のレートで流れるものである。そこで、第1のラインシフト手段65は、副走査が進むにつれて、その出力において、主走査の画像信号がイネーブルになるタイミングを遅延もしくは先行させることによって、上記のように画像データをシフトする。
このようにすれば、画像データを読み取りながら(画像信号の段階で)、傾き補正の一部(すなわち、第1のラインシフト手段65によるシフト処理)を行うことになるため、傾き補正するに必要な時間を短縮できる。
【0011】
また、図示しない倍率補正手段は、傾き角度検出手段66によって検出された傾き角度に基づいて、当該傾き補正を行うことによって生じる倍率誤差を画像データ読み取り時に補正する。このように画像データ読み取り時に倍率補正を行うようにすれば、この倍率補正は多値画像データに対して行うことになるため、画質の劣化を最小限に抑えることができる。
【0012】
なお、上記第1のラインシフト手段65と上記第2のラインシフト手段91とを共通にすれば、ハードウェア構成をより簡素化できる。すなわち、読み取り時の画像データ或いは第1の回転手段85によって回転された画像データのいずれかを選択して第1のラインシフト手段65に入力するセレクタを備えれば、第2のラインシフト手段91を用いることなく上記と同様の効果が得られる(図14(b)参照)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明を適用したディジタル複合機の概略構造を示す側断面図であり、以下その構成を説明する。
【0015】
オートドキュメントフィーダ(以下「ADF」という)50に載置された複数枚の原稿は、透明なガラス板の原稿台0上に一枚ずつ下向きに置かれ、露光ランプ1によって露光される。この原稿からの反射光は、第1ミラー2・第2ミラー4・第3ミラー5を介してレンズ7で集束され、更に、イメージセンサ8上に集束される。
【0016】
上記露光ランプ1および第1ミラー2よりなる等速ユニット3は、矢印P方向に一定速度で移動する。また、上記第2ミラー4および第3ミラー5よりなる半速ユニット6は、等速ユニット3と同じ方向に該等速ユニット3の半分の速度で移動する。
【0017】
ここで、上記イメージセンサ8の走査方向を主走査方向、上記等速ユニット3の移動方向を副走査方向と定義する。
【0018】
主帯電器10は、矢印R方向に一定の速度で回転する感光体ドラム9を一様に帯電する。また、イメージスキャナ部Aにおけるイメージセンサ8からの画像信号に基づいた変調がされ、レーザスキャナユニット40より出射されたレーザ光は、ミラー41を介して上記感光体ドラム9上を露光走査し、この感光体ドラム9上に静電潜像を形成する。更に、現像器11は、トナーにより静電潜像を現像し、上記感光体ドラム9上にトナー像を形成する。
【0019】
以上の構成によれば、イメージスキャナ部Aの主走査周期とレーザプリンタ部Bの主走査周期、および副走査の速度/周速度を同期させることによって、原稿画像を読み取りながら記録を行うリアルタイムコピー動作が可能である。
次に、本発明を適用したディジタル複写機における画像信号の流れを図2に従って説明する。
【0020】
まず、上記イメージスキャナ部Aのイメージセンサ8(図1参照)から出力されるアナログ画像信号71はA/Dコンバータ72に入力され、このA/Dコンバータ72で8ビットのディジタル画像信号73に変換されてシェーディング補正回路74に入力される。このシェーディング補正回路74は、あらかじめ保持している白基準データと黒基準データとを用いて、イメージセンサ8の画素ごとの感度ばらつき・オフセットばらつき・光量むらを補正し、信号75を出力する。
【0021】
ここで、マルチプレクサ76は、上記シェーディング補正回路74からの信号75或いは後述する出力画像処理回路98からの多値画像信号99のいずれかを選択し、8ビットの画像信号77を出力する。この画像信号77は入力画像処理回路78に入力され、この入力画像処理回路78で後述する入力画像処理を施され、2値画像信号79として圧縮回路80に入力される。そして、この2値画像信号79は、圧縮回路80でリアルタイム圧縮(JBIG方式等)され、符号データ81として符号メモリ82に記憶される。更に、この符号データ81は、圧縮伸長回路93で復号され2値画像データ84として回転回路(回転手段)85に入力された後、この回転回路85で90度あるいは270度回転され又は回転されることなく画像メモリ88に格納される。
【0022】
ここで、第2のラインシフト手段としてのラインシフト回路91は、上記のように画像メモリ88に格納された画像データをラスター(走査線)順に読み出し、後述する第2のラインシフト処理を行って出力データ92を出力する。そして、この出力データ92は圧縮伸長回路93で符号化(JBIG方式等)され、符号データ94として符号メモリ82に記憶される。
【0023】
また、マルチプレクサ96は、上記入力画像処理回路78からの2値画像信号79、上記画像メモリ88から読み出された2値画像信号89、上記圧縮伸長回路93で伸長された2値画像信号95のうちのいずれか1つを選択し、2値画像信号97を出力する。この2値画像信号97は出力画像処理回路98に入力され、この出力画像処理回路98で所定の処理(8ビットの多値画像信号に変換する処理や、プリンタ部の記録特性のガンマ補正など)を施され、8ビットの画像信号99として出力される。
【0024】
これによって、変調回路100が、上記画像信号99に基づいてPWM変調を行いPWM信号をレーザドライバ101に出力し、レーザドライバ101が、上記PWM信号に基づいてレーザプリンタ部B内の半導体レーザを駆動するようになっている。
【0025】
なお、図2に示す各回路の設定や制御は、図示しないCPUによって行われる。
【0026】
また、図2に示す黒矢印は、多値あるいは2値のビデオ信号(画像信号)を示しており、一定のデータレート(以下「ビデオレート」という)のラスター信号である。一方、白矢印は、パラレル化2値画像データもしくは符号データを示しており、非同期でデータがやりとりされる。
【0027】
ここで、上記入力画像処理回路78は、図3に示す複数の回路からなる。
【0028】
階調補正回路61は、256バイトのルックアップテーブルで構成され、任意のデータをダウンロードすることにより階調特性を設定する。MTF補正回路62は、ラインバッファを用いた空間フィルタ処理によりエッジ強調処理を行う。主走査補間/間引き回路63は、主走査方向の画素の間引き及び補間挿入を行い、主走査方向の画素密度変換(拡大縮小)処理を行う。副走査補間/間引き回路64は、副走査方向のラインの間引き及び補間挿入を行い、副走査方向の線密度変換(拡大縮小)処理を行う。2値化回路67は、入力される8ビットの画像信号を、誤差拡散法あるいはその他の2値化法を用いて2値化し、2値画像信号79を出力する。
【0029】
ラインシフト回路65および原稿端検出回路66については後述することとし、以下図4を用いて、ビデオ信号の基本タイミングについて説明する。
【0030】
ラインシンク(Lsync _)は、アクティブローのパルス信号であり、イメージセンサのライン走査(主走査)開始タイミングを示している。ラインイネーブル(LEN _) は、アクティブローの信号であり、主走査周期内の画像信号の有効期間を示す。垂直イネーブル(VEN _) は、アクティブローの信号であり、1ページの副走査の有効期間を示す。
【0031】
よって、ラインイネーブル(LEN _) と垂直イネーブル(VEN _) がともにアクティブなとき、有効な画像信号が信号線上に流れることになる。各回路ブロック(例えば図3に示す各回路ブロック)は、ラインイネーブル(LEN _) 、垂直イネーブル(VEN _) 、および画像信号を前段の回路ブロックから受け取ってビデオレートで処理を行い、処理後のラインイネーブル(LEN _) 、垂直イネーブル(VEN _) 、および画像信号を後段の回路ブロックに渡していく。
【0032】
以下、上記ラインシフト回路65について説明する。
【0033】
図5(a)および図6(a)において、入力LEN _は、ラインシフト回路65に入力されるラインイネーブルであり、出力LEN _は、ラインシフト回路65から出力されるラインイネーブルである。
【0034】
通常、上記出力LEN _の幅(有効画素数)は、原稿をスキャンできる程度に、入力LEN _の幅より狭く設定する。また、上記出力LEN _がイネーブルになるタイミングは、副走査が進むにつれ、入力LEN _に対して遅延もしくは先行する。例えば図5(a)に示すように反時計回りに原稿が傾いた状態では、4つの出力LEN _A・B・C・Dがイネーブルになるタイミングは、出力LEN _A→出力LEN _B→出力LEN _C→出力LEN _Dの順番に遅延する。
【0035】
ここで、図5(b)の実線の領域が読み取り画像領域であるとすると、ラインシフト回路65から出力される有効画像領域は図5(b)のハッチング領域となる。また、圧縮回路80に取り込まれる画像信号は、垂直イネーブル(VEN _) およびラインイネーブル(LEN _) がともにアクティブである時の画像信号のみであるので、符号メモリ82に格納される画像データは図5(c)のようになる。
【0036】
このようなラインシフト処理を行う場合、ラインシフト回路65の処理パラメータ(原稿画像読み取り前にあらかじめ設定される)は以下のようになる。なお、下記のシフト量は、何ラインごとに1画素画像信号をシフトさせるかを示す。
【0037】
ラインシフト動作の有無:有り
ラインシフトの方向:正方向
ラインシフトの初期シフト画素数:0
シフト量:1/arctanθ(θ:図5(b)参照)
出力LEN _幅:L
一方、図6(a)に示すように時計回りに原稿が傾いた状態では、4つの出力LEN _A・B・C・Dがイネーブルになるタイミングは、出力LEN _A→出力LEN _B→出力LEN _C→出力LEN _Dの順番に早くする。
【0038】
従って、図6(b)の実線の領域が読み取り画像領域であるとすると、ラインシフト回路65から出力される有効画像領域は図6(b)に示すハッチング領域となり、符号メモリ82に格納される画像データの原稿領域は図6(c)に示すハッチング領域となる。この場合の処理パラメータを以下に示す。
【0039】
ラインシフト動作の有無:有り
ラインシフトの方向:負方向
ラインシフトの初期シフト画素数:X
シフト量:1/arctanθ(θ:図6(b)参照)
出力LEN _幅:L
以上にように、画像信号の主走査方向シフトは、入力LEN _に対して出力LEN _を時間的にシフトさせることにより実現するようにしている。
【0040】
次に、上記原稿端検出回路66について説明する。
【0041】
原稿端検出回路66は、主走査方向の原稿領域の開始位置および終了位置を検出(後述する)し、16ビット幅の始端レジスタと終端レジスタを更新する(この更新は主走査ごとに行う)。なお、上記開始位置を検出できない場合は、例えば“0xffff”をレジスタ値として始端レジスタを更新し、上記終了位置を検出できない場合は、例えば“0x0000”をレジスタ値として終端レジスタを更新するようにしている。
【0042】
図示しないCPUには、副走査有効期間中(垂直イネーブル(VEN _) アクティブ期間中)、主走査ごとに割り込みが発生する。従って、CPUは、主走査割り込み数をカウントすることにより副走査位置を知ることができ、各割り込みごとに上記始端レジスタと終端レジスタとをリードすることによって、副走査位置とそれに対応する主走査方向の原稿端位置をサンプルする。
【0043】
以下、上記開始位置および終了位置の検出方法について説明する。
【0044】
原稿端検出回路66は、入力されるラインイネーブル(LEN _) が有効であるとき、画素ごとにカウントアップする主走査カウンタを持つ。従って、ADF50の原稿カバーに相当する部分を黒にするか、もしくは、ADF50を上側に開き原稿カバーのない状態にして原稿を読み取れば、以下のようにして原稿端を検出できる。
【0045】
すなわち、上記の場合、原稿領域外の画像信号が黒レベルとなるため、1主走査有効期間内で、最初に黒レベルから白レベルに変化したときの主走査カウンタの値が上記開始位置となり、最後に白レベルから黒レベルに変化したときの主走査カウンタの値が上記終了位置となる。このような検出方法については、特開平2−67081号公報に開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0046】
次に、図11を用いて、上記出力画像処理回路98を更に詳しく説明する。
出力画像処理回路98は、2値多値変換回路111とプリンタガンマ補正回路112とからなる。2値多値変換回路111は、エッジ成分を保存しながら2値画像信号97を1画素8ビットの多値画像信号に変換する。この2値多値変換処理は既に公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。プリンタガンマ補正回路112は、プリンタ部で画像を記録する際の記録系のガンマ特性を補正する256バイトのルックアップテーブルである。
【0047】
なお、図2に示すMPX76が画像信号99を選択するときは、上記ルックアップテーブルは、リニアテーブルをダウンロードし、階調特性の変換は行わないようにする。
【0048】
[リアルタイムコピー]
図2を用いて、リアルタイムコピー時の画像データのフローを説明する。
【0049】
MPX76は画像信号75を選択し、MPX96は画像信号79を選択する。これによって、イメージスキャナ部Aの読み取った画像信号が各回路で処理され、リアルタイムでレーザプリンタ部Bに出力される。イメージスキャナ部Aとレーザプリンタ部Bとを同期させて動作させることにより、原稿を読み取りながら、同時に記録をも行うことができる。
【0050】
[メモリコピー]
図2を用いて、メモリコピー時の画像データのフローを説明する。
【0051】
MPX76は画像信号75を選択し、MPX96は画像信号95を選択する。これによって、イメージスキャナ部Aの読み取った画像信号が各回路で処理され、圧縮回路80で符号化されて、符号メモリ82に一旦格納される。符号メモリ82に格納された画像データは、レーザプリンタ部Bの動作と同期して圧縮伸長回路93で復号され、MPX96を経由してレーザプリンタ部Bに出力される。
【0052】
複数枚コピーや複数部コピーの場合、このメモリコピーのモードを使用する。また、1枚目や1部目のコピーの時は、リアルタイムコピーを行うと同時に、画像データを符号メモリ82に格納するようにしてもよい。
【0053】
[プリスキャンによる原稿の位置および傾きの検出]
上記したように、原稿外の読み取り画像信号が黒レベルになる状態で、原稿をプリスキャンする。プリスキャンは、読み取り可能な最大主走査幅および最大副走査幅で行う。また、プリスキャン時の機械的な副走査速度は、通常の原稿画像読み取り時の2倍である。CPUは、プリスキャン中、原稿端検出回路66が検出する原稿領域の開始位置と終了位置とをサンプルして内部のワークエリアに格納し、プリスキャン後、このサンプルデータに基づいて原稿領域の位置及び傾きを以下に説明する方法で算出する。
【0054】
[傾き補正処理の概要]
以下、図9を用いて本発明における傾き補正処理の概要を説明する。なお、以下の説明では、“画像信号”と“画像データ”とを区別することなく“原稿画像(或いは画像)”と記載した箇所もある。
【0055】
原稿が反時計回りに角度θで傾いて原稿台に載置された場合、まず、主走査方向のラインシフト処理(以下「第1のラインシフト処理」という)によって画像の原稿領域を平行四辺形に変形させる(図9、A→B)。
【0056】
次いで、上記画像を90度回転させる(図9、B→C)。これによって、上記画像の主走査方向と副走査方向とが入れ替わる。
【0057】
更に、主走査方向のラインシフト処理(以下「第2のラインシフト処理」という)によって平行四辺形の原稿領域を矩形に変形させるとともに、不要な原稿外の矩形領域(図9Dに示すハッチング部分)をカットする(図9、C→D)。
【0058】
最後に、上記画像を270度回転させる(図9、D→E)。これによって、上記画像の主走査方向と副走査方向が元の方向に戻ることになる。
【0059】
以上の一連の処理によって、図9Eに示すように画像の傾きが補正される。
ここで、上記一連の処理のみでは、図9Dに示す画像と図9Aに示す画像とで倍率が異なるという不具合が生じる。すなわち、原稿の傾き角度をθとすると、図9Dに示す画像は、図9Aに示す画像のcosθ倍に縮小される。そこで、本発明では、上記倍率誤差を本スキャン時に補正するようにしている(後述する)。
【0060】
なお、図9Aに示す原稿の傾き角度θと、図9Cに示すシフト処理後の原稿と水平線との傾き角度θ' は幾何学的に同一ではない(後述する)。
【0061】
また、図9Dにおける270度回転は、原稿の方向を元に戻すための回転であるため、その必要がなければ不要である。
【0062】
更に、上記の説明では、単に“原稿が傾いて原稿台に載置された場合”としているが、ADF50を介して原稿台に傾いて載置された原稿に対しても上記と同様の傾き補正を実現できることはいうまでもない。
【0063】
[傾き補正のための本スキャン]
本スキャン時の処理を図7および図8を用いて説明する。
【0064】
まず、読み取られた画像データにおける原稿領域を矩形Fとした場合、この矩形Fの4つの頂点の座標は、上記した開始位置及び終了位置から算出できる。また、読み取り時に設定される主走査有効範囲をLEN1とし、副走査有効範囲をVENとし、ラインシフト回路65の出力LEN _の有効幅をLEN2とした場合、これら主走査有効範囲LEN1・出力LEN _の有効幅LEN2・副走査有効範囲VENの位置と幅は、上記のように算出した4つの頂点の座標から算出できる(算出方法は後述する)。
【0065】
ここで、図7に示すように原稿が反時計回りに傾いて載置された場合、ラインシフト回路65の入力および出力ラインイネーブルのタイミングは、図5に示すタイミングである。同様に、図8に示すように原稿が時計回りに傾いて載置された場合、ラインシフト回路65の入力および出力ラインイネーブルのタイミングは、図6に示すタイミングである。従って、上記矩形Fは、第1のラインシフト処理によって図7および図8に示す平行四辺形Gとなる。
【0066】
以上のように、本発明では、上記矩形Fを平行四辺形Gに変形する処理をラインイネーブルのタイミング制御だけで可能としている。このため、従来のようなメモリ書き込みアドレスの計算が不要となる結果、非常に簡単な回路構成となり、また、メモリへの書き込み単位のビット幅と1画素あたりの画像データビット幅とを同じにする必要もない。
【0067】
なお、この本スキャン時には、傾き補正の処理で生じる倍率の補正を倍率補正手段で行うようにしている。すなわち、主走査方向の倍率(1/cosθ)は、主走査補間/間引き回路63で補正し、副走査方向の倍率(1/cosθ)は、機械的な副走査速度を変えることによって補正する。このような倍率補正は、原稿読み取り時の多値データに対して行われるため、画質の劣化を最小限に抑えることができる。
【0068】
以下、上記した主走査有効範囲LEN1、出力LEN _の有効幅LEN2、および副走査有効範囲VENを算出する方法について説明する。
【0069】
まず、プリスキャン時に検出した原稿領域の4つの頂点の座標に基づいて、図12に示す基準点P0の座標を算出する。例えば、上記4つの頂点をP1・P2・P3・P4とすると、基準点P0は、頂点P1と主走査方向の同一直線上に存在する点であるため次式を用いて算出できる。
【0070】
【数1】
基準点P0が算出できたら、基準点P0と頂点P3より主走査有効範囲LEN1を、頂点P2と頂点P1より出力LEN _の有効幅LEN2を、頂点P1と頂点P4より副走査有効範囲VENを、それぞれ算出する。
【0071】
なお、定型サイズの原稿を使用することが予め判っている状況下では、この原稿の縦横の長さが判るため、頂点P1及び頂点P4のみに基づいて基準点P0を算出することもできる。
【0072】
また、主走査有効範囲LEN1を算出する際、基準点P0ではなく頂点P2を用いると、原稿領域Fの左端が走査されないという不具合が生じるので注意が必要である(図13参照)。
【0073】
更に、上記の説明では、有効範囲のみを走査することとしているが、走査の態様はこれに限定されるものではない。すなわち、まずは全範囲を走査し、その後メモリから有効範囲を切り出すようにしても上記と同様の効果が得られる。
【0074】
ここで、上記シフト処理でのシフト量を検討すると図15のようになる。すなわち、シフト基準点は頂点P1であるため、原稿領域の側辺P2P4・P1P3のみでなく上辺P1P2・下辺P3P4もシフトされ、シフト処理後の原稿領域と水平線との傾き角度はθではなくθ’となる。しかしながら、傾き角度θが小さければ、θ=θ' として処理を行っても、その誤差は無視できるほどに小さい。従って、ここでは、θ=θ’として扱っている。
【0075】
[傾き補正のための90度回転]
図10を用いて、上記した90度回転を更に詳しく説明する。
【0076】
符号メモリ82に格納されている画像データ83は、圧縮/伸長回路93により復号され、回転回路85により90度回転されて画像メモリ88に格納される。
【0077】
ここで、上記回転回路85は、16×16画素のブロックごとに90度回転し(図10(a)→(b))、16ビットを1ワードとして、画像メモリ88に非連続のアドレス制御を行いながら書き込む(図10(b)→(c))。このように画像メモリ88へ画像データが格納されると、符号メモリ82に格納していた画像データは消去しておく。
【0078】
なお、上記のように非連続のアドレス制御が必要となるのは、図10(b)に示す1段目のワードデータは図10(c)に示す1段目のワードアドレスに書き込み、図10(b)に示す2段目のワードデータは図10(c)に示す2段目のワードアドレスに書き込むというように、書き込み先のアドレスが非連続(1段目のワードアドレスと1段目のワードアドレスとは非連続)となるからである。
【0079】
[第2のラインシフト処理と不要領域削除]
上記した第2のラインシフト処理と不要領域削除とを更に詳しく説明する。
ラインシフト回路91は、画像メモリ88に格納された画像データを読み出し、主走査方向にラインシフトして圧縮伸長回路93に入力する。設定動作パラメータは、図9に示す角度θを用いると以下のようになる。
【0080】
ラインシフト動作の有無:有り
ラインシフトの方向:正方向
ラインシフトの初期シフト画素数:0
シフト量:1/arctanθ
主走査有効画素数:M(図9参照)
また、圧縮伸長回路93は、上記のように入力される画像データから不要なデータすなわち原稿外の矩形領域(図9D参照)を削除し、必要な矩形領域のみの画像データを符号化して符号メモリ82に格納する。このように符号メモリ82へ画像データが格納されると、画像メモリ88に格納していた画像データは消去しておく。
【0081】
[270度回転]
上記した270度回転を更に詳しく説明する。
【0082】
270度回転は、主走査方向と副走査方向とを入れ替えるべく90度回転した画像の方向を元の画像の方向に戻すために行う。すなわち、符号メモリ82に格納されている画像データ83は、圧縮/伸長回路93により復号され、回転回路85により270度回転されて画像メモリ88に格納される。処理内容は、上記した90度回転と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
[ズーム処理なしの場合のプリント]
傾き補正後の原稿画像を等倍でプリントする場合、MPX96は画像信号89を選択するようにしておく。これによって、画像メモリ88に格納された傾き補正後の画像データは、レーザプリンタ部Bの動作に同期してそのラスタデータとして読み出され、その画像信号89により、MPX96・出力画像処理回路98・変調回路100・レーザドライバ101を経由した後、記録紙に等倍画像として出力される。
【0084】
[ズーム処理ありの場合のプリント]
傾き補正後の原稿画像をズーム処理(拡大/縮小)してプリントする場合、MPX76は多値画像信号99を選択し、MPX96は画像信号89を選択する。このとき、プリンタ部Bは動作させない。
【0085】
これによって、画像メモリ88に格納されている傾き補正後の画像データは、画像信号89として読み出され、入力画像処理回路78に含まれる主走査補間/間引き回路63および副走査補間/間引き回路64により必要なズーム処理を施された後、圧縮回路80により符号化されて符号メモリ82に格納される。このように符号メモリ82へ画像データが格納されると、画像メモリ88に格納されていた画像データは消去しておく。以降は、上記した[メモリコピー]の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
ところで、本スキャン時にズーム処理を行いながらラインシフト処理を行うと、シフト量の設定に誤差が生じる。そこで、本発明では、上記のように後処理でズーム処理を行うことによってズームプリントを可能としている。
【0087】
また、本発明では、画像メモリ88や符号メモリ82への格納は2値画像で行っているにもかかわらず、ズーム処理は多値画像に変換して行うようにしているため、メモリの低容量化と高画質ズームの両方を実現できる。
【0088】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、第1のラインシフト処理を入力画像処理回路78で行い、第2のラインシフト処理をラインシフト回路91で行うようにしているが、本実施の形態では、第1および第2のラインシフト処理の両方を入力画像処理回路78で行うようにしている。
【0089】
[傾き補正のための本スキャン]及び[傾き補正のための90度回転]は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略することとし、以下、以降の処理について説明する。
【0090】
まず、MPX96は画像信号89を選択し、MPX76は多値画像信号99を選択するようにしておく。これによって、第1のラインシフト処理・90度回転等の処理を施されて画像メモリ88に格納された画像データは、MPX96・出力画像処理回路98・MPX76を経由して入力画像処理回路78に入力され、この入力画像処理回路78で第2のラインシフト処理を施される。
【0091】
その後、圧縮回路80・符号メモリ82・圧縮伸長回路93を経由して回転回路85に入力された画像データ84は、この回転回路85で270度回転されてプリントされる。このプリント動作は、上記[ズーム処理なしの場合のプリント][ズーム処理ありの場合のプリント]と同様である。
【0092】
以上のように、本実施の形態によれば、第1および第2のラインシフト処理の両方を入力画像処理回路78という単一の手段で実現することができるため、ハードウェア構成を簡素化できる。
【0093】
なお、ここでは、ディジタル複写機を例示して説明してきたが、画像読取装置やFAX装置などにも本発明を適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したディジタル複合機の概略構造を示す側断面図
【図2】本発明を適用したディジタル複写機における画像信号フロー図
【図3】入力画像処理回路78のブロック図
【図4】ビデオ信号の基本タイミング図
【図5】ラインシフト回路65の動作説明図
【図6】ラインシフト回路65の動作説明図
【図7】本スキャン時の処理の説明図
【図8】本スキャン時の処理の説明図
【図9】本発明の傾き補正処理の概略説明図
【図10】90度回転処理の説明図
【図11】出力画像処理回路98のブロック図
【図12】基準点P0の算出方法を示す図
【図13】主走査有効範囲の説明図
【図14】本発明の概略機能ブロック図
【図15】シフト処理後の傾き角度の説明図
【符号の説明】
8 イメージセンサ
65 ラインシフト回路(第1のラインシフト手段)
66 傾き角度検出手段
85 回転回路
88 画像メモリ
91 ラインシフト回路(第2のラインシフト手段)
Claims (17)
- 電気的な走査により原稿を画像データとして読み取りながら、該画像データの傾きを補正する画像処理装置において、
上記原稿の傾き角度を検出する傾き角度検出手段と、
上記傾き角度検出手段によって検出された傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に画像データを主走査方向にシフトする第1のラインシフト手段と、
上記第1のラインシフト手段によってシフトされた画像データを記憶する第1の画像メモリと、
上記第1の画像メモリに記憶された画像データを90度或いは270度回転させて主走査方向と副走査方向とを入れ替える第1の回転手段と、
上記第1の回転手段によって回転された画像データを、上記傾き角度検出手段によって検出された傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に主走査方向にシフトする第2のラインシフト手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 上記第1のラインシフト手段と上記第2のラインシフト手段が共通である請求項1に記載の画像処理装置。
- 更に、読み取り時の画像データ或いは上記第1の回転手段によって回転された画像データのいずれかを選択して上記第1のラインシフト手段に入力するセレクタを備えた請求項2に記載の画像処理装置。
- 上記第1のラインシフト手段は、副走査が進むにつれて、主走査の画像信号がイネーブルになるタイミングを遅延もしくは先行させる請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 上記第1のラインシフト手段は、原稿領域が平行四辺形となるように画像データをシフトし、上記第2のラインシフト手段は、該平行四辺形が矩形となるように画像データをシフトする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 上記傾き角度検出手段は、画像データの読み取りに先立って行われる原稿プリスキャン時の画像信号に基づいて上記傾き角度を検出する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 上記傾き角度検出手段は、主走査方向の原稿端位置を検出する手段と、該原稿端位置を副走査位置と対応させて記憶する手段とを備える請求項6に記載の画像処理装置。
- 更に、上記第2のラインシフト手段によってシフトされた画像データを記憶する第2の画像メモリと、該第2の画像メモリに記憶された画像データを270度或いは90度回転させて元の方向に戻す第2の回転手段とを備えた請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 上記第1のラインシフト手段と上記第2のラインシフト手段、上記第1の画像メモリと上記第2の画像メモリ、上記第1の回転手段と上記第2の回転手段がそれぞれ共通である請求項8に記載の画像処理装置。
- 更に、上記傾き角度検出手段によって検出された傾き角度に基づいて、当該傾き補正を行うことによって生じる倍率誤差を画像データ読み取り時に補正する倍率補正手段を備えた請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 更に、上記第2のラインシフト手段によってシフトされた画像データを拡大あるいは縮小するズーム手段を備えた請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 更に、上記第1のラインシフト手段によってシフトされた画像データを2値化して上記第1の画像メモリに記憶する2値化手段と、
上記第2のラインシフト手段によってシフトされた画像データを多値化して上記ズーム手段に入力する多値化手段とを備えた請求項11に記載の画像処理装置。 - 電気的な走査により原稿を画像データとして読み取りながら、該画像データの傾きを補正する画像処理装置の傾き補正方法において、
上記原稿の傾き角度を検出する傾き角度検出処理と、
上記傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に画像データを主走査方向にシフトする第1のラインシフト処理と、
上記シフト後の画像データを90度或いは270度回転させて主走査方向と副走査方向とを入れ替える第1の回転処理と、
上記回転後の画像データを、上記傾き角度に対応するシフト量で所定のライン数毎に主走査方向にシフトする第2のラインシフト処理と、
からなることを特徴とする画像処理装置の傾き補正方法。 - 副走査が進むにつれて、主走査の上記画像信号がイネーブルになるタイミングを遅延もしくは先行させる請求項13に記載の画像処理装置の傾き補正方法。
- 上記第1のラインシフト処理によって、原稿領域が平行四辺形に変形し、上記第2のラインシフト処理によって、該平行四辺形が矩形に変形する請求項13に記載の画像処理装置の傾き補正方法。
- 上記第2のラインシフト処理でシフトされた画像データを270度或いは90度回転させて元の方向に戻す請求項13に記載の画像処理装置の傾き補正方法。
- 上記傾き角度検出処理で検出された傾き角度に基づいて、当該傾き補正を行うことによって生じる倍率誤差を画像データ読み取り時に補正する請求項13に記載の画像処理装置の傾き補正方法。
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