JP4067992B2 - 制御マフラ用バルブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マフラ内排気パイプの端部等に設けられ、排圧により開閉する排圧感応式の制御マフラ用バルブの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の制御用マフラは、バルブが当接するシール面の全周に耐熱性緩衝シール部材を設けている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−89257号公報(第4−6頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の制御マフラ用バルブを設ける制御マフラにおいて、内部の消音室を仕切る隔壁に多数の小孔を設ける場合においては、バルブを設ける隔壁の小孔とバルブの開口面積を足したものは、排気の上流側の隔壁の小孔の開口面積を足したものより大きくしてエンジンが高回転の際の背圧の上昇を防止しなければならない。このため、バルブを設ける隔壁の剛性は低下するので、剛性の低下は熱変形等の問題を発生させるおそれがあるため、板圧を厚くする等の剛性対策が必要となっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、バルブを設ける小孔の数を少なく又は径を小さくでき、剛性を確保でき、小孔を成形する設備のコストを抑制でき、材料コストも抑制することができる制御マフラ用バルブを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、隔壁により仕切られた複数の消音室を連通・非連通させるように開閉する弁体を備えた制御マフラ用バルブにおいて、弁体の当接面の一部に緩衝材を設けて弁体全閉の際に弁体と弁座の間に隙間を設けるようにしたことを特徴とする手段とした。
【0007】
請求項2記載の発明では、弁体が支軸により開閉する構造にし、弁体を弁座に向かって付勢する付勢手段を設け、緩衝材が、金属製の網を圧縮成形した緩衝マットを支軸と反対側の弁体の当接面に設けたものであることを特徴とする手段とした。
【0008】
請求項3記載の発明では、消音室を仕切る隔壁が、弁体の開閉で連通・非連通を行う消音室間を仕切る弁体側隔壁と弁体側隔壁より制御マフラ内部の排気の流れの上流側に位置する上流側隔壁を少なくとも設けたものであり、弁体側隔壁と上流側隔壁に多数の小孔を設け、弁体を閉じた状態では、上流側隔壁に設けた多数の小孔の総面積が弁体側隔壁に設けた多数の小孔の総面積と弁体と弁座の漏れ流路断面積とを加えたものより大きくなるようにしたことを特徴とする手段とした。
【0009】
【発明の作用と効果】
請求項1記載の発明では、弁体を閉じると、弁体の当接面の一部に緩衝材が設けられているので、弁体は全閉の状態で弁座との間に隙間を生じることになり、排気を洩らすことができ、その分、弁体に並行して設けられる通気する部分を少なく又は小さくして、通気する部分を設ける部材の剛性を向上させる。また、通気する部分を部材に成形する設備能力を抑さえて設備コストを抑えることができ、用いる緩衝材の量を少なくするので材料コストを抑えることができる。
さらに、全閉時に弁体に洩れを生じさせることにより、弁体の閉状態、開状態の圧力変動を抑えることによりチャタリングを防止して異音の発生を防止できる。
【0010】
請求項2記載の発明では、緩衝材が、金属製の網を圧縮成形した緩衝マットを弁体の支軸と反対側の当接面に設けたものであるため、弁体の着座の際の衝撃が最も高くなる部分を耐熱性と衝撃吸収性のよい緩衝マットで受けて耐久性を確保できるようにする。
【0011】
請求項3記載の発明では、弁体が閉じた状態となる、排気の圧力が小さいエンジンの低回転域では、上流側隔壁の多数の小孔を排気が通過することによる縮流・拡張により消音を行ったあとで、さらに、弁体側隔壁の小孔の総面積に弁体の漏れ流路断面積を加えた、より小さい流路面積で縮流・拡張されることにより効果高く消音し、弁体が開いた状態となる排気の圧力が大きいエンジンの高回転域では、弁体が開くことによって、弁体側隔壁の流路面積を増加して通気抵抗を減少させてエンジンの出力を低下させないようにし、車の静音性とパワーを両立させ、かつ、この弁体の全閉流量を洩らすようにすることで、小孔の数を減らしたり、径を小さくできるようにして隔壁の剛性を向上させ、コストを抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の制御マフラ用バルブを実現する実施の形態を、請求項1,2,3に係る発明に対応する実施例に基づいて説明する。
【0013】
(実施例)
【0014】
まず、構成を説明する。
図1は実施例の制御マフラ用バルブを示す断面図である。図2は実施例の制御マフラ用バルブの説明図である。図3は実施例の制御マフラの概略図である。図1〜3における主要符号を説明すると、
1は制御マフラ、2は弁座、3は弁体、31は当接面、4は支軸、5はコイルスプリング(付勢手段)、6は緩衝マット(緩衝材)、Aは弁体と弁座の隙間、B1(弁体側隔壁),B2はバッフルプレート(上流側隔壁)、C1は消音室である第1室,C2は消音室である第2室,C3は消音室である第3室、Dは分流孔、P1はインレットパイプ、P2はアウトレットパイプである。
【0015】
実施例の制御マフラ1は、図3に示すように箱状に形成された本体の内部を2つのバッフルプレートB1,B2で仕切るようにして上下流方向に3つの消音室、第1室C1,第2室C2,第3室C3を形成し、外部上流から制御マフラ1の内部に排気を取り込むためのインレットパイプP1を設ける。このインレットパイプP1は、終端が最も下流側の第1室C1の内部となるように設ける。また、インレットパイプP1の第2室部分には、分流孔Dを設けて排気の一部が第1室C1を通らずに第2室に流れるようにし、パイプ内から第2室C2に排気が拡散することで消音させるようにする。また、制御マフラ1には内部から外部下流に排気を送りだすアウトレットパイプP2を設ける。このアウトレットパイプP2は、始端が最も上流側の第3室C3の内部となるように設ける。
【0016】
制御マフラ1の内部を仕切って消音室を形成するための隔壁であるバッフルプレートB1,B2には、多数の小孔を部材状態においてパンチング加工を行うことにより設け、さらに上流側のバッフルプレートB1には、パンチングにより設けた小孔より大きな開口部を設け、この大きな開口部にバルブを設ける。
バルブを設ける開口部は、図1に示すように、周縁部分がプレート面から下流側になだらかな絞り形状で張り出すようにする。これにより、開口部の周縁部分及び周縁部分のバリが、開口部を設けるバッフルプレートB1の上流側面より上流側に位置しないようにする。
この開口部に設けるバルブは図1に示すように、上流側のバッフルプレートB1に設けた大きな小孔のバッフルプレートB1の平面と同一面部分の周縁となる環状部分を弁座2とし、この弁座2に開閉して当接する弁体3を、弁体3の外周端部が弁座2に支軸4で開閉自在に取り付けるように設ける。
【0017】
さらに、弁体3の支軸4には、コイルスプリング5を支軸4がコイルスプリングの内穴を貫通させるように取り付け、その一端を弁体3に係合させ、他端を弁座2に係合させて、弁体3をコイルスプリング5の付勢力で弁座2に押し付けるようにする。
この支軸4を設けた反対側位置となる弁体3の当接面31に緩衝マット6を設ける。緩衝マット6は、図2に示すように、本来は環状となる当接面31の一部のみを覆うようにスポット溶接により弁体3に取り付ける。また、これにより、弁体3を閉じると緩衝マット6の両側に弁体3と弁座2の隙間Aができる緩衝マット6の大きさ、厚さにする。
緩衝マット6としては、網状の鋼材を矩形に圧縮成形したものを実施例では用いている。
【0018】
次に、作用を説明する。
[制御マフラの制御作用]
本実施例の制御マフラ1は、図3に示すが、エンジンが低回転時においては、弁体3が閉じていてインレットパイプP1から流入する排気は、主に第1室C1、第2室C2、第3室C3を経てアウトレットパイプP2から外部に排出されるが、この過程で拡張、縮流が繰り返されて消音される事になる。
この場合、バッフルプレートB2の小孔群とバッフルプレートB1の小孔群の各々の合計面積はバッフルプレートB2のほうが大きくなっている。すなわち、バッフルプレートB1の小孔群の合計面積が小さいという事は、そこを通過する排気の縮流および拡張比が大きくなり、より消音効果が大きくできることを示す。従って、エンジン低回転域では、充分なる消音効果が期待できる。
一方、エンジンが高回転時においては、排気量が増加するため、制御マフラ1内の圧力が高まり、所定の付勢力で閉じている弁体3が開くことになる。この場合、バッフルプレートB2を通過した排気は、バッフルプレートB1の小孔群合計面積に、弁体3の開口面積が加わるためバッフルプレートB1での縮流拡張比が小さくなり通気抵抗が減少することになる。従って、エンジン高回転時には、マフラの圧力損失が低減できエンジンの高出力化が図れるというメリットが得られる。
【0019】
[洩れを増やす作用]
エンジンが低回転である場合における弁体3の全閉時には、図1に示すようにコイルスプリング5による付勢力によって弁体3の当接面31は弁座2に押し付けられ、弁体3の当接面31に設けた緩衝マット6が弁座2に当接することとなる。この緩衝マット6は支軸4と反対側部分の当接面31部分にしか設けていないため、図1に示すように弁体3と弁座2の間に隙間Aが生じることとなる。
本実施例では、エンジンの低回転時に生じる所定の排気圧において、500リットル/minの流量を洩らすことができる。
【0020】
[緩衝作用]
本実施例では、弁体3の支軸4の反対側に緩衝マット6を設けている。弁体3は支軸4から最も遠い着座位置が最も着座の際に大きな衝撃となるが、この位置が緩衝マット6で確実に緩衝して衝撃を起因とする問題や耐久性の問題が生じないようにしている。
【0021】
[バッフルプレートのコスト低減作用及び熱変形の防止作用]
弁体3を閉じても隙間Aを生じさせることにより、バルブ全閉時の洩れ流量を十分に得られるため、このバルブと並行して設けられるバッフルプレートの小孔の数を減らし、小孔の大きさを小さくすることができる。
よって、バッフルプレートの剛性を向上させて熱変形等を防止する。
また、バッフルプレートの剛性を向上させることは、バッフルプレートの材質、厚さに余裕を持たせるため、バッフルプレートのコストの低減につながる。
また、バッフルプレートの小孔の大きさを小さくすることと、数が少なくて済むことはバッフルプレートの製造設備の能力を抑えることができ、設備コストを抑制する。
【0022】
[緩衝マットのコスト抑制作用]
緩衝マット6は、弁体3の当接面31の一部に設けるだけであるため、緩衝マット6のコストが抑制される。
【0023】
[異音防止作用]
弁体3を閉じた状態で、洩れ流量を発生させるため、洩れを生じさせない従来に比べて、弁体3の開状態との圧力変動が小さくなる。よって、チャタリングが発生しにくく、チャタリングによる脈動音の発生を防止する。
【0024】
次に、効果を説明する。
【0025】
実施例の制御マフラ用バルブにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0026】
(1)制御マフラ1の内部の隔壁であるバッフルプレートに設けられる弁座2に対し開閉可能な弁体3を備えた制御マフラ1用バルブにおいて、弁体3の当接面31の一部に緩衝マット6を設けて弁体3の全閉の際に弁体3と弁座2の間に隙間Aを設けるようにしたため、並行して設けられるバッフルプレートの小孔の数を少なく又は径を小さくでき、剛性を確保でき、小孔を成形する設備のコストを抑制でき、材料コストも抑制することができる。
さらに、全閉時に弁体に洩れを生じさせることにより、弁体の閉状態、開状態の圧力変動を抑えることによりチャタリングを防止して異音の発生を防止できる。
【0027】
(2)弁体3が支軸4により開閉する構造にし、弁体3を弁座2に向かって付勢するコイルスプリング5を設け、緩衝材が、金属製の網を圧縮成形した緩衝マット6を弁体3の支軸4と反対側の当接面31に設けたものであるため、耐久性を確保できる。
【0028】
(3)消音室を仕切る隔壁が、弁体3の開閉で連通・非連通を行う第2室C2と第3室C3を仕切るバッフルプレートB1とバッフルプレートB1より制御マフラ内部の排気の流れの上流側に位置するバッフルプレートB2を少なくとも設けたものであり、バッフルプレートB1とバッフルプレートB2に多数の小孔を設け、弁体を閉じた状態では、バッフルプレートB2に設けた多数の小孔の総面積がバッフルプレートB1に設けた多数の小孔の総面積と弁体3と弁座2の漏れ流路断面積とを加えたものより大きくなるようにしたため、車の静音性とパワーを両立させ、この弁体の全閉流量を洩らすようにすることで、小孔の数を減らしたり、径を小さくできるようにして隔壁の剛性を向上させ、コストを抑制できる。
【0029】
以上、本発明の制御マフラ用バルブを実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0030】
例えば、実施例では、バッフルプレート又はインナーパイプの剛性・コストに作用させたが、マフラの構成によっては、別の部材に作用させるようにしてもよい。
また、実施例では、付勢手段としてコイルスプリングを用いたが、別のバネ等であってもよく、耐熱性を持ち、確実に弁体の開閉が行えるものが望ましい。
また、実施例では、緩衝材として緩衝マットを用いたが、緩衝性能と耐熱性を有すれば他のものを用いてもよい。
また、実施例では、弁体に緩衝マットを設けたが、弁座に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の制御マフラ用バルブを示す断面図である。
【図2】実施例の制御マフラ用バルブの説明図である。
【図3】実施例の制御マフラの概略図である。
【符号の説明】
1 制御マフラ
2 弁座
3 弁体
31 当接面
4 支軸
5 コイルスプリング
6 緩衝マット
A (弁体と弁座の)隙間
B1 バッフルプレート
B2 バッフルプレート
P1 インレットパイプ
P2 アウトレットパイプ
P インナーパイプ
P3 インナーパイプ
P4 インナーパイプ
Claims (3)
- 隔壁により仕切られた複数の消音室を連通・非連通させるように開閉する弁体を備えた制御マフラ用バルブにおいて、
前記弁体の当接面の一部に緩衝材を設けて弁体全閉の際に弁体と弁座の間に隙間を設けるようにしたことを特徴とする制御マフラ用バルブ。 - 請求項1に記載された制御マフラ用バルブにおいて、
弁体が支軸により開閉する構造にし、弁体を弁座に向かって付勢する付勢手段を設け、
緩衝材が、金属製の網を圧縮成形した緩衝マットを支軸と反対側の弁体の当接面に設けたものであることを特徴とする制御マフラ用バルブ。 - 請求項1または請求項2に記載された制御マフラ用バルブにおいて、
消音室を仕切る隔壁が、弁体の開閉で連通・非連通を行う消音室間を仕切る弁体側隔壁と同弁体側隔壁より制御マフラ内部の排気の流れの上流側に位置する上流側隔壁を少なくとも設けたものであり、前記弁体側隔壁と前記上流側隔壁に多数の小孔を設け、弁体を閉じた状態では、前記上流側隔壁に設けた多数の小孔の総面積が前記弁体側隔壁に設けた多数の小孔の総面積と弁体と弁座の漏れ流路断面積とを加えたものより大きくなるようにしたことを特徴とする制御マフラ用バルブ。
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