JP4066242B2 - 腹膜透析装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者自身が在宅(自宅)等で行うことができる腹膜透析装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
腹膜透析法(continuous ambulatory peritoneal dialysis、以下、「CAPD」とも言う)は、患者自身が自宅や職場で透析液の容器(バッグ)の交換を行うことができるため、社会復帰が易く、大いに注目されている。
【0003】
このCAPDは、患者の腹腔内にカテーテルチューブ(腹膜カテーテル)を留置し、このカテーテルチューブの体外端にトランスファーチューブを接続し、これに透析液の入った透析液バッグ(注液バッグ)のバッグチューブを接続し、各チューブを通じてバッグ内の透析液を腹腔内に注液し、所定時間透析を行った後に、腹腔内の透析液排液を前記各チューブを通じて、排液バッグ内に回収するものである。なお、各チューブ同士の接続は、両チューブの端部にそれぞれ装着された雄、雌コネクタの嵌合により無菌的に行われる。
【0004】
ところで、このCAPDにおいては、透析液の腹膜内への注液は、透析液バッグを患者の腹部から1m程度高い位置へ置き、その重力落差によって透析液を透析液バッグから腹膜内の腹部内へ移送している。また、腹膜内からの透析液排液の回収は、排液バッグを患者の腹部から1m程度低い位置へ置き、その落差によって透析液を腹膜内から排液バッグへ移送している。
【0005】
しかしながら、このような透析液の注液、排液方法では、例えば、患者が就寝中に腹膜透析を行う場合には、ベッドを用いて患者を床から70〜100cm程度の高い位置に寝かせ、さらに、患者より1m程度高い位置に透析液バッグをセットする必要がある。このために、装置全体の高さが2m程度と大型なものとなり、取り扱いや運搬がしにくいばかりか、就寝中の患者が寝返りを打つこと等により装置を転倒させてしまうおそれがある。さらに、排液に必要な落差を確保するために、患者の就寝位置(高さ)を自由に選択することができないという欠点もある。
【0006】
こうした欠点を補うために、注液・排液を自動化するとともに透析液及び排液バッグの設置場所の高さ制約を受けない腹膜透析装置が提案されている。例えば、特許第3113887号によれば弁アクチュエータにより、弁を開閉して、使い捨てカセットの流路を選択時に切換えるようにした腹膜透析装置が提案されている。また、腹膜透析液を送液するためのポンプ部(ダイアフラム)、加温部が一体的に形成された使い捨てカセットについて特開平11−347115号に提案されている。このカセットは、両側から加温され、2つのポンプ部(ダイアフラム)により、加温された腹膜透析液が患者の腹腔内に送液されるように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような腹膜透析装置を使用して腹膜透析を自宅で行うためには、患者は腹膜透析装置の利用のための十分なトレーニングを受けた後に、患者自身がひとりで全ての手順を記憶し、間違い無く操作しなければならないことから少なからず患者には負担となる。
【0008】
また、例えば、操作手順にごく僅かなトラブルが発生しても速やかにそれに対応できなくなるという問題があった。また、就寝時間中に腹膜透析を行う場合、寝返りなどで透析回路のチューブが一時的に閉塞して所定の注/排液速度で注/排液が行えない場合があり、アラームなどで報知していた。しかしなが、再度の寝返りでチューブの閉塞が解除され通常の注/排液速度に復帰することがあり、一時的なチューブの閉塞毎に警報を発生させると十分な睡眠ができないという問題がある。
【0009】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みてなれたものであり、本発明の目的は、患者自身による透析治療の自動化が可能であり、また、操作性が極めて明瞭で分かりやすく、寝返りなどで一時的なチューブの閉塞等で所定の注/排液速度で注/排液が行えない場合でもも不必要な警報を発生させず、最適な条件で透析治療を行うことができる腹膜透析装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、透析液容器を起点とし、または、排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置であって、記憶部に記憶された注液不良検出のモードのプログラムにより、注液量(mL),注液速度(mL/分)に基づいて注液時間(分)を制御部で演算し、演算された注液時間(分)の2倍を超えて注液が行われていると制御部で判断すると注液不良としてスピーカにて警報を発生することを特徴とする。また、注液時間(分)は、注液量(mL)/注液速度(mL/分)+注液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、透析液容器を起点とし、または、排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置であって、記憶部に記憶された排液不良検出のモードのプログラムにより、排液量(mL),排液速度(mL/分)に基づいて排液時間(分)を制御部で演算し、演算された排液時間(分)の2倍を超えて排液が行われていると制御部で判断すると排液不良としてスピーカにて警報を発生することを特徴とする。また、排液時間(分)は、排液量(mL)/排液速度(mL/分)+排液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、透析液容器を起点とし、または、排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体であって、該記憶部に記憶された注液不良検出のモードのプログラムにより、注液量(mL),注液速度(mL/分)に基づいて注液時間(分)を制御部で演算するステップのプログラムコードと、演算された注液時間(分)の2倍を超えて注液が行われていると制御部で判断するステップのプログラムコードと、判断結果に基づいて注液不良として警報をスピーカにて発生するステップのプログラムコードとからなることを特徴とする。注液時間(分)は、注液量(mL)/注液速度(mL/分)+注液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、透析液容器を起点とし、または、排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体であって、該記憶部に記憶された注液不良検出のモードのプログラムにより、排液量(mL),排液速度(mL/分)に基づいて排液時間(分)を制御部で演算するステップのプログラムコードと、演算された排液時間(分)の2倍を超えて排液が行われていると制御部で判断するステップのプログラムコードと、判断結果に基づいて排液不良として警報をスピーカにて発生するステップのプログラムコードとからなることを特徴とする。排液時間(分)は、排液量(mL)/排液速度(mL/分)+排液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の腹膜透析装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
先ず、図1は、本発明の腹膜透析装置を使い捨てカセット(腹膜透析用回路)8とともに示した外観斜視図、図2は全体構成を示した模式図である。
【0018】
両図において、腹膜透析装置1は、透析装置本体2と、この透析装置本体2に対して着脱可能に装着される腹膜透析装置用のカセット8とを備えている。
【0019】
また、図1において透析装置本体2は、カセット8を前面から装着するための二点鎖線図示の開口部21aを有したカセット装着部21と、カセット装着部21を塞ぐ状態と開く状態にするために実線と破線図示の位置に把持部22aを持って回動される蓋部材22と、表示部23と、治療の開始操作を行うための操作部24aと、治療の停止操作を行うための操作部24bとを有している。
【0020】
操作部24aと操作部24bとの形状および色は、それらを区別し易いように互いに異なっており、開始用の操作部(開始ボタン)24aには一つの凸部がまた停止用の操作部(停止ボタン)24bには二つの凸部が形成されている。
【0021】
表示部23は、例えば、液晶(LCD)パネル等を備えたタッチパネルで構成されており、タッチパネルの押圧操作で透析に必要となる各種情報の表示と、装置の操作指示を破線図示のスピーカ400aから音声ガイドとともに行うようにして、操作性、利便性を確保している。
【0022】
蓋部材22が実線で示したように閉じた状態を検出するセンサ16aと、カセット8が装填されたことを検出するセンサ16bと、カセット8に接続された接続チューブ85内に気泡が混入したことを検出する気泡センサ14aが図示の位置に配設されている。
【0023】
また、本体2のカバーにはフック部2aが収納可能に設けられており、チューブをこのフック部2aに引っ掛けるようにして送液を確実にしている。
【0024】
一方、透析装置本体2は、破線図示の主基部200と、副基部201とを取付用の基部としており、図示の樹脂製のカバーをそれぞれ設けるとともに、主基部200と、副基部201とを1〜2mm厚のアルミ金属板製としさらに随所に大型孔部を穿設することで軽量化を図っている。これらの基部に軽量樹脂製のカバーが固定される。また、例えば100メガバイト以上の記憶容量を有するメモリカード204が装置の背面から破線図示のカード読取装置203に対して装填可能に設けられており、表示部23の表示内容及び音声の変更や各国別の仕様変更を迅速に行えるように構成されている。また、患者データをメモリカード204に記録して、個別の患者に対応可能にしている。
【0025】
さらに、上記の二点鎖線図示のカセット装着部21の右側面側には遮蔽板202が破線図示の矢印方向に移動自在に設けられており、カセット8の接続チューブ85に対する機械的な干渉防止をすることでカセット8を装填位置にセットできるように構成されている。
【0026】
一方、カセット8は、透析装置本体2のカセット装着部21に対して着脱可能な形状のカセット本体81と、カセット本体81から連続形成される下本体フレーム811と、この下本体フレーム811から間隙86を介して対向して設けられた上本体フレーム812とから構成されている。
【0027】
さらに、カセット本体81には送液用のダイアフラム87と加温部83と流路切換部とが図示のように一体的に形成されており、ダイアフラム87の周囲をフランジ部材815で取り囲むように構成されている。
【0028】
次に、図2において、腹膜透析装置1は、透析液回路ユニット3を備えており、透析液回路ユニット3は、患者Kの腹膜内(腹腔内)へ注入(注液)される透析液を収容(収納)する複数の透析液バッグ(透析液容器)4と、濃度の異なる透析液を収容する追加透析液バッグ5と、患者Kの腹膜内から排液される透析液を回収する排液タンク(排液容器)6と、患者Kの腹膜内に留置された透析カテーテル(カテーテルチューブ)7とを接続するように準備される。
【0029】
ここで、透析液回路ユニット3は、注液チューブ回路(ライン)31と、追加注液チューブ回路(ライン)32と、注液/排液チューブ回路(ライン)33と、排液チューブ回路(ライン)34とを有している。さらに、透析液回路ユニット3は、カセット8のカセット本体81に設けられた切替カセット回路82と、加温カセット回路83と、バイパス回路(患者側チューブ回路)84とを有しており、切替カセット回路82は、注液回路821と、追加注液回路822と、注液/排液回路823と、排液回路824とで構成されている。
【0030】
また、図3のカセット8の流路切換部とクランパ(クランプ)240を示した外観斜視図において、注液回路821の一端、追加注液回路822の一端、注液/排液回路823の他端、排液回路824の他端には、接続チューブ85a、85b、85c、85dが接続されている。
【0031】
そして、図2において、注液チューブ回路31の一端側は、複数の分岐チューブ回路35が分岐接続されており、各分岐チューブ回路35の一端は、透析液バッグ4に接続されており、注液チューブ回路31の他端は、注液回路821の一端に接続チューブ85aを介して接続されている。
【0032】
追加チューブ回路32の一端は、追加透析液バッグ5に接続されており、追加チューブ回路32の他端は、追加注液回路822の一端に前記接続チューブ85bを介して接続されている。
【0033】
また、注液/排液チューブ回路33の一端は、注液/排液回路823の他端に接続チューブ85cを介して接続されており、注液/排液チューブ回路33の他端は、透析カテーテル7にトランスファーチューブセット36を介して接続されている。排液チューブ回路34の一端は、排液回路824の他端に接続チューブ85dを介して接続されており、排液チューブ回路34の他端は、排液タンク6に接続されている。
【0034】
流路切換部を形成する切替カセット回路82に接続されている注液チューブ回路31、追加注液チューブ回路32、注液/排液チューブ回路33および排液チューブ回路34は、カセット8を透析装置本体2に装着したとき、透析装置本体2の前面または前方側側面に位置するようになっている。
【0035】
なお、各分岐チューブ回路35、追加注液チューブ回路32、注液/排液チューブ回路33および排液チューブ回路34には、それぞれ、流路を開閉するクレンメ(流路開閉手段)37が設けられている。
【0036】
次に、図4のカセット8の立体分解図において、本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、二つの分割加温カセット回路831、832の間において間隙86が形成されており、カセット本体81を透析装置本体2のカセット装着部21に装着したときに、各分割加温カセット回路831、832の両面(上面と下面)側に加温手段9のヒータ(加温部)が位置し、各分割加温カセット回路831、832が、対応するヒータにより挟まれた状態で加温されるように構成されている。
【0037】
カセット本体81には、図1に示した切替カセット回路82が設けられており、切替カセット回路82は、図3に示した注液回路821と、追加注液回路822と、注液/排液回路823と、排液回路824から構成されている。追加注液回路822の他端は、注液回路821の途中に連通しており、排液回路824の一端は、注液回路821の他端付近に連通している。
【0038】
さらに、切替カセット回路82は、カセット本体81を透析装置本体2のカセット装着部21に装着したときに、図3のクランパ240による閉塞で注液回路状態と排液回路状態との問で切り替えることができるように構成されている。
【0039】
ここで、注液回路状態とは、注液回路821(または追加注液回路822)と注液/排液回路823が連通することにより、透析液バッグ4(または追加透析液バッグ5)と透析カテーテル7が連通した状態、換言すれば患者Kの腹膜内へ透析液を注液するための状態(注液し得る状態)のことを言う。
【0040】
また、排液回路状態とは、注液/排液回路823と排液回路824が連通することにより、透析カテーテル7と排液タンク6が連通した状態、換言すれば患者Kの腹膜内から透析液を排液するための状態(排液し得る状態)のことを言う。さらにカセット本体81には、図4に示す加温カセット回路83が設けられている。加温カセット回路83は、対向配置された二つのシート状の分割加温カセット回路831、832を備えている。
【0041】
下側の分割加温カセット回路831の一端は、注液回路821の他端に連通し、下側の分割加温カセット回路831の他端は、接続管833を介して上側の分割加温カセット回路832の一端に連通している。そして、上側の分割加温カセット回路832の他端は、注液/排液回路823の一端に連通している。
【0042】
従って、透析液は、下側の分割加温カセット回路831と、上側の分割加温カセット回路832とを、この順序で順次流れる。
【0043】
なお、本発明では、透析液は、下側の分割加温カセット回路831と、上側の分割加温カセット回路832とに分流して流れ、その後、合流するように構成してもよい。
【0044】
各分割加温カセット回路831、832の流路は、図5のカセット8の平面図と、図6のカセット8の背面図に示すように蛇行状をなしているが、例えば、渦巻き状をなしていてもよい。このように、蛇行状または渦巻き状とすることにより、各分割カセット回路831、832の流路が長くなり、透析液を確実に加温することができる。
【0045】
また、カセット本体81には、収縮膨張によりポンピング作動して透析液を送液するために後述するポンプ室において気密状態に保持されるダイヤフラムポンプ87が設けられており、ダイヤフラムポンプ87は、注液回路821の途中に接続されている。
【0046】
そして、フランジ部材815により、ダイヤフラムポンプ87を密閉状態で収容することで加圧するとダイヤフラムポンプ87が収縮し、減圧するとダイヤフラムポンプ87が膨張するように構成されている。
【0047】
また、カセット本体81には、前述のように、バイパス回路84が設けられている。このバイパス回路84の一端は、加温カセット回路83の上流側、本実施形態では注液回路821の途中に接続され、バイパス回路84の他端は、加温カセット回路83の下流側、本実施形態では注液/排液回路823の途中に接続されている。このバイパス回路84により、加温カセット回路83の上流側と下流側とが接続され、透析液を冷却するための循環回路が形成される。
【0048】
また、バイパス回路84に、透析液を強制冷却するために、ペルチェ素子などの強制冷却手段を設けて迅速かつ確実に冷却するようにしてもよい。
【0049】
前記切替カセット回路82、加温カセット回路83、バイパス回路84およびダイヤフラムポンプ87は、略平面的に配置されている。これにより、カセット8の厚さをより薄くすることができる。
【0050】
カセット本体81を透析装置本体2のカセット装着部21に装着したときに、加温カセット回路83の出口側(下流側)は、最終注液回路状態と、戻り回路状態との間で切替可能に構成されている。ここで、最終注液回路状態とは、加温カセット回路83の出口側が、注液/排液回路823に連通し、かつバイパス回路84に連通しない状態のことを言う。また、戻り回路状態とは、加温カセット回路83の出口側が、バイパス回路84に連通し、かつ注液/排液回路823に連通しない状態のことを言う。
【0051】
さらに、図4のカセット8の立体分解図に示すように、下本体フレーム811の、切替カセット回路82に対応する位置には、流路切換部を形成する第1〜第8支持突起881〜888が形成されている。第1支持突起881は、注液回路821の一端付近を支持するものであって、第2支持突起882は、追加注液回路822を支持するものであって、第3支持突起883は、注液回路821におけるダイヤフラムポンプ87とバイパス回路84の一端の間を支持するものであって、第4支持突起884は、注液回路821におけるダイヤフラムポンプ87と加温カセット回路83の一端の間を支持するものである。同様に、第5支持突起885は、排液回路824を支持するものであって、第6支持突起886は、注液/排液回路823における加温カセット回路83の他端とバイパス回路84の他端の問を支持するものであって、第7支持突起887は、注液/排液回路823の他端付近を支持するものであって、第8支持突起888は、バイパス回路84を支持するものである。
【0052】
切替カセット回路82と、バイパス回路84と、ダイヤフラムポンプ87とは、ブロー成形により一体的に形成されている。これにより、別部品での接合を削減することができ、カセット8の品質が向上するとともに、コストを低減することができる。
【0053】
また、加温カセット回路83の各分割加温カセット回路831および832は、それぞれ、シート成形により形成されている。これにより、各分割加温カセット回路831、832の製造が簡単になるとともに、コストを低減することができる。
【0054】
また、切替カセット回路82、バイパス回路84およびダイヤフラムポンプ87は、分割加温カセット回路831、832に高周波融着(高周波溶着)、接着により接合されている。
【0055】
ここで、分割加温カセット回路831および832をシート成形で形成するには、それぞれ、例えば、樹脂シートを2枚重ね合わせ、これらを所定のパターンで融着する。なお、融着されなかった部分が流路を形成する。
【0056】
前記切替カセット回路82、加温カセット回路83、バイパス回路84およびダイヤフラムポンプ87の構成材料としては、それぞれ、軟質の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ−(4−メチルペンテンー1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0057】
また、カセット本体81には位置決め用の孔部8a、8aが形成されており、副基部201の位置決めピンによる位置決めを行うようにしている。さらに、上記の第1〜第8支持突起に対向して流路切換部の一部を形成する開口部81bが形成されておりクランパがこれら開口部81bに潜入することで閉塞状態にできるようにしている。
【0058】
一方、図5のヒータ構成図に示すように、透析装置本体2内には、カセット8の加温カセット回路83を加温する加温手段9が設けられており、加温手段9は、板状(層状)の下部面ヒータ91と、板状(層状)の上部面ヒータ92と、板状(層状)の中間面ヒータ93とを有している。
【0059】
ここで、下部面ヒータ91は、下方の分割加温カセット回路831の下面を下方向から伝熱部材としてのアルミ板94aを介して加温するものであって、上部面ヒータ92は、上方の分割加温カセット回路832の上面を上方向から伝熱部材としてのアルミ板94dを介して加温するものである。そして、中間面ヒータ93は、前記間隙内86に位置して、下方の分割加温カセット回路831の上面を上方向から伝熱部材としてのアルミ板94bを介して加温するとともに、上方分割加温カセット回路832の下面を下方向から伝熱部材としてのアルミ板94cを介して加温するものである。
【0060】
これにより、下方の分割加温カセット回路831の内部の透析液は、下部面ヒータ91と中間面ヒータ93とで挟まれた状態で加温され、上方の分割加温カセット回路832の内部の透析液は、上部面ヒータ92と中間面ヒータ93とで挟まれた状態で加温される。よって、加温手段9による加温カセット回路83の内部の透析液の加温効率が向上し、透析装置本体2およびカセット8の小型化、軽量化に有利となる。
【0061】
図3に示したクランプ手段11は、カセット8の切替カセット回路82を注液回路状態と排液回路状態との一方に切り替えたり、また、加温カセット回路83の出口側を最終注液回路状態と排液回路状態との一方に切り替えたり、ダイヤフラムポンプ87のポンピング作動を補助する。
【0062】
すなわち、透析装置本体2内には、矢印で示した第1〜第8クランプ111〜118が設けられており、第1クランプ111は、第1支持突起881との協働により注液回路821の一端付近を流路が閉塞するようにクランプする。第2クランプ112は、第2支持突起882と協働して追加注液回路822を流路が閉塞するようにクランプする。第3クランプ113は、第3支持突起883と協働して注液回路821におけるダイヤフラムポンプ87とバイパス回路84の一端の問を流路が閉塞するようにクランプする。第4クランプ(ポンピング制御用クランプ)114は、第4支持突起884と協働して注液回路821におけるダイヤフラムポンプ87と加温カセット回路83の一端の問を流路が閉塞するようにクランプする。
【0063】
同様に、第5クランプ115は、第5支持突起885と協働して排液回路824を流路が閉塞するようにクランプする。第6クランプ116は、第6支持突起886と協働して注液/排液回路823における加温カセット回路83の他端とバイパス回路84の他端の間を流路が閉塞するようにクランプする。第7クランプ117は、第7支持突起887と協働して注液/排液回路823の他端付近を流路が閉塞するようにクランプする。そして、第8クランプ118は、第8支持突起888と協働してバイパス回路84を流路が閉塞するようにクランプする。したがって、切替カセット回路82を注液回路状態に切り替えるときには、第1クランプ111(あるいは第2クランプ112)、第4クランプ(ポンピング制御用クランプ)114、第6クランプ116、第7クランプ117を、それぞれ、アンクランプ状態に切り替えるとともに、第2クランプ112(あるいは第1クランプ111)、第5クランプ115、第8クランプ118を、それぞれ、クランプ状態に切り替える。そして、ポンピング作動手段10によりチャンバー814内を加圧するときに時、第4クランプ114をアンクランプ状態に切り替えるとともに、第3クランプ113をクランプ状態に切り替える。さらに、ポンピング作動手段10によりチャンバー814内を減圧するときには、第4クランプ114をクランプ状態に切り替えるとともに、第3クランプ113をアンクランプ状態に切り替える。これにより、透析液バッグ4(あるいは追加透析液バッグ5)から透析カテーテル7に向かって透析液を送液、すなわち、注液することができることから、図6(a)に図示の透析液の腹腔内への送液状態にすることができる。
【0064】
また、切替カセット回路82を排液回路状態に切り、替えるときには、第7クランプ117、第8クランプ118を、それぞれ、アンクランプ状態に切り替えるとともに、第1クランプ111、第2クランプ112、第4クランプ114、第6クランプ116を、それぞれ、クランプ状態に切り替えることで図6(b)に図示の廃液の回収状態にすることができる。
【0065】
また、ポンピング作動手段でポンプ室内を減圧するときには、第3クランプ113をアンクランプ状態に切り替えるとともに、第5クランプ115をクランプ状態に切り替える。さらに、ポンピング作動手段によりチャンバー814内を加圧するときには、第3クランプ113をクランプ状態に切り替えるとともに、第5クランプ115をアンクランプ状態に切り替えることにより、透析カテーテル7から排液タンク6に向かって透析液を排液することができる。
【0066】
ダイヤフラムポンプ87と、第3クランプ113と、第4クランプ114と、第5クランプ115、ポンピング作動手段とで、透析液を送液する送液手段が構成される。
【0067】
さらに、切替カセット回路82が注液回路状態にあって、加温カセット回路83の出口側が最終注液回路状態にあるときには、第7クランプ117がアンクランプ状態で、第8クランプ118がクランプ状態となっている。
【0068】
加温カセット回路83の出口側を戻り回路状態に切り替えるときには、第1クランプ111、第2クランプ112、第7クランプ117をクランプ状態に切り替えるとともに、第8クランプ118をアンクランプ状態に切り替える。これにより、透析液は、加温カセット回路83の出口側から透析カテーテル7に向かって流れることなく、バイパス回路84内をダイヤフラムポンプ87に向かって流れる。すなわち、透析液は、バイパス回路87と加温カセット回路83との間を循環する。
【0069】
第7クランプ117と第8クランプ118とで、加温カセット回路83の出口側を最終注液回路状態と戻り回路状態に切り替える注液戻り回路切替手段が構成される。
【0070】
ここで、透析液を排液するときは、その排液は、バイパス回路84を経由して、排液タンク6に回収される。これにより、流路の構成を簡素化することができる。
【0071】
以上のように、カセット本体81に、切替カセット回路82と、加温カセット回路83と、バイパス回路84と、ダイヤフラムポンプ87とを設けることにより、腹膜透析装置1の小型化および軽量化を図ることができ、腹膜透析装置1の運搬等の取り扱いが容易になり、円滑な医療行為を行うことができる。
【0072】
特に、各分割加温カセット回路831、832を流れる透析液が、それぞれ、対応するヒータで挟まれた状態で加温されるので、透析液の加温効率が向上し、これにより、腹膜透析装置1をさらに小型、軽量にすることができる。
【0073】
一方、図2に示すように、腹膜透析装置1は、透析液の温度管理等のために、種々のセンサを備えている。
【0074】
すなわち、透析装置本体2の、加温カセット回路83の下流側には、加温カセット回路83の出口側(下流側)を流れる透析液の温度(出口液温)を測温(検出)する出口液温用温度センサ12Aが設置され、加温カセット回路83の上流側には、加温カセット回路83の入口側(上流側)を流れる透析液の温度(入口液温)を測温(検出)する入口液温用温度センサ12Bが設置されている。
【0075】
ここで、出口液温用温度センサ12Aおよび入口液温用温度センサ12Bとしては、それぞれ、応答速度が極めて速いサーモパイル型赤外線センサ(非接触型の温度センサ)を用いるのが好ましい。これにより、各面ヒータ91、92、93の温度を高精度に制御することができる。
【0076】
また、図5に示すように各面ヒータ91、92、93には、それぞれ、その温度を測温(検出)するためのサーミスタなどのヒータ用温度センサ13が設けられている。さらに、透析装置本体2には、切替カセット回路82の入口側および出口側の気泡を検知する気泡センサ14がそれぞれ設けられている。なお、腹膜透過装置1は、回路の閉塞を検出する閉塞センサ、その他、種々のセンサ(各種センサ16)を備えている。
【0077】
さらに、図7のブロック図に示すように、腹膜透析装置1は、透析液の注液、排液等の各制御を行う制御システム(制御手段)15を備えている。
【0078】
すなわち、制御システム15は、CPU(中央制御部)150と、記憶部152とを備えており、CPU150には、複数のクランプ111〜118を制御するクランプ制御ブ153、複数の面ヒータ91、92、93の温度を制御するヒータ制御部154、ポンピング作動手段10を制御するポンピング作動制御部155が、それぞれ、電気的に接続されている。また、CPU150には、それぞれ、出口液温用温度センサ12A、入口液温用温度センサ12B、各ヒータ用温度センサ13、各気泡センサ14、表示部23、操作部24a、24bが、それぞれ、電気的に接続されている。なお、CPU150には、電源回路156、バッテリー回路157と音声発生回路400とカセット装填手段300を制御するカセット装填制御部301とが電気的に接続されている。また、表示部23には上記のメモリカードを装填可能にしたカード読取装置203が電気的に接続されている。また、記憶媒体読取部170でフレキシブルディスク,CD−ROM等、各種制御プログラムを記憶した記憶媒体170aを読取るものである。また、外部通信部171により、LAN,インターネツト,赤外線等の無線等を介して、携帯端末(不図示),医療サイト等との相互通信可能となっている。
【0079】
この制御システム15は、出口液温用温度センサ12Aにより測温された温度が予め設定された所定の温度(本実施形態においては39℃)以上になると、クランプ制御部153により、第7クランプ117を制御してクランプ状態に切り替え、第8クランプ118を制御してアンクランプ状態に切り替えるとともに、ヒータ制御部154により、複数の面ヒータ91、92、93の駆動を停止させるオフ状態に切り替える。
【0080】
また、各面ヒータ91、92、93の出力(出力値)は、透析液の温度制御フロー、透析液の温度に基づいて選択される。すなわち、制御システム15は、出口液温用温度センサ12Aにより側温された温度と、入口液温用温度センサ12Bにより測温された温度とに基づいて、注液される透析液の温度が所定の温度範囲内になるように複数の面ヒータ91、92、93の出力(駆動)を制御する。そして、クランプ制御部153により、第1クランプ111(あるいは第2クランプ112)、第4クランプ114、第6クランプ116、第7クランプ117を制御してアンクランプ状態に切り替えるとともに、第2クランプ112(あるいは第1クランプ111)、第5クランプ115、第8クランプ118を制御してクランプ状態に切り替える。これにより、切替カセット回路82を注液回路状態に切り替えることができる。また、ヒータ制御部154により、複数の面ヒータ91、92、93に電力(出力)を供給するように制御する。これにより、加温カセット回路83を流れる透析液を加温する加温工程、換言すれば、透析液の温度制御フローが予熱工程に入る。
【0081】
複数の面ヒータ91、92、93に電力の供給を開始してからT1時間経過すると、予熱工程が終了する。この予熱工程が終了すると、ポンピング作動制御部155により、ポンピング作動手段10を制御してポンプ室内の加圧、減圧を交互に繰り返す。また、クランプ制御部153により、第4クランプ114を制御してクランプ状態、アンクランプ状態の切り替えをチャンバー814内の加圧、減圧に合わせて交互に繰り返すとともに、第3クランプ113を制御してクランプ状態、アンクランプ状態の切り替えをチャンバー814内の加圧、減圧に合わせて交互に繰り返す。これにより、ダイヤフラムポンプ87をポンピング作動(収縮、膨張)させて、透析液バッグ4から透析カテーテル7に向かって透析液を送液し、注液する。
【0082】
また、前記予熱工程が終了すると、透析液の温度制御フローが初期加温工程に入る。初期加温工程が終了すると、透析液の温度制御フローは通常加温工程に入る。通常加温工程においては、複数の面ヒータ91、92、93の出力制御は、出口液温用温度センサ12Aにより測温された温度が33℃未満の場合には、P制御によるヒータの出力値を複数の面ヒータ91、92、93に出力する。
【0083】
一方、出口液温用温度センサ12Aにより測温された温度が33℃以上39℃未満の場合には、PI制御によるヒータの出力値を複数の面ヒータ91、92、93に出力する。
【0084】
これにより、複数の面ヒータ91、92、93の出力制御を高精度に行うことできる。初期加温工程、または通常加温工程において、出口液温用温度センサ12Aにより測温される温度が39℃以上になると、クランプ制御部153により、第7クランプ117を制御してクランプ状態に切り替えるとともに、第8クランプ118を制御してアンクランプ状態に切り替える。また、ヒータ制御部154により、複数の面ヒータ91、92、93への電力の供給を停止、換言すれば複数の面ヒータ91、92、93をオフに切り替える。これにより、加温カセット回路83の出口側を戻り回路状態に切り替えることができ、透析液は、加温カセット回路83から、透析カテーテル7へ向かって流れることなく、バイパス回路84へ向かって流れ、そのバイパス回路84を介して加温カセット回路83の上流側に戻り、バイパス回路84および加温カセット回路83の間を循環し、その間に温度が下がる(冷却される)。すなわち、透析液の加温制御フローは冷却工程に移行する(ステップ12)。したがって、患者Kの体温よりもかなり高温(39℃以上の温度)の透析液が患者Kに注液されることがなく、安全な透析治療を行うことができる。
【0085】
そして、出口液温用温度センサ12Aにより測温される温度が39℃未満になると、クランプ制御部153により、第7クランプ117を制御してアンクランプ状態に切り替えるとともに、第8クランプ118を制御してクランプ状態に切り替える。さらに、複数の面ヒータ91、92、93をONに切り替える。これにより、加温カセット回路83の出口側を最終注液回路状態に復帰することでき、再び初期加温工程または通常加温工程へ移行する。患者Kの腹膜内に所定量の透析液を注液(注入)すると、透析液の注液は終了する。
【0086】
この透析液の注入が終了した後に、クランプ制御部154により、第7クランプ117、第8クランプ118を制御してアンクランプ状態に切り替えるとともに、第4クランプ114、第6クランプ116を制御してクランプ状態に切り替える。これにより、切替カセット回路82を排液回路状態に切り替えることができる。
【0087】
そして、ポンピング作動制御部155により、ポンピング作動手段10を制御してチャンバー814の減圧、加圧を交互に繰り返す。また、クランプ制御部により、第3クランプ113を制御してアンクランプ状態、クランプ状態の切り替えをチャンバ内−814の減圧、加圧に合わせて交互に繰り返すとともに、第5クランプ115を制御してクランプ状態、アンクランプ状態の切り替えをチャンバー814内の減圧、加圧に合わせて交互に繰り返す。これにより、ダイヤフラムポンプ87をポンピング作動させて、透析カテーテル7から排液タンク6に向かって腹膜内の透析液を送液し、排液することができる。
【0088】
続いて、図8から図13は図1で示した表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【0089】
図7と図8のブロック図において、装置2の電源がオンされ、操作部24aが押圧されると、装置メーカー名の初期の画面500が表示されてガイド役のナースと羊(キャラクタ像)をカラー表示した画面501に移り、画面502で矢印の移動表示で記憶部152の初期化が行われ、同時に音声ガイドで「治療は明るく清潔な場所で行いましょう。必ず手を洗いましょう」とのメッセージが電子音声でスピーカ400aから発生される。これに続き、画面503に自動で切り替わる。この画面では、治療パターン、初期排液量、注液量、腹腔内での貯留時間、サイクル数、最終注液量、最終濃度変更の有無、透析時間、透析終了予定時刻、総透析液量等の腹膜透析に必要なパラメータが前回のデータとして表示される。これで良い場合には、「次へ」のタッチキー506を押圧して図9の画面に進む。
【0090】
図9の画面507では、カセット8を装置の装着部にセットするように音声ガイドとともに表示される。また、画面507では「設定確認」のタッチキー508が同時に表れる。このタッチキー508を押圧すると図11の画面523に移る。画面507の後の画面509では、図6で示したカセット8と配管とから構成された「マイホームぴこを入れる手順です」と音声ガイドが発生され、これに前後してナースとカセットの画像が入れ替わり表示される。そこで、患者が「次へ」のタッチキー510を触ると、画面511に変わり、「全てのクランプを閉じてください」の文字、操作手順が音声ガイドとともにカラーによる静止画が示される。この画面511の「次へ」のタッチキー512を押圧すると、画面513で蓋部材22を手前がわに開くように画面が表示され、音声ガイドが行われて、画面514に自動的に切り替わる。この画面514では装置の蓋部材の上からカセット8を挿入する様子がカラーによる動画で表示される。これに続き、画面515でカセット装填後に蓋部材を閉じる画面が音声ガイドとともに表示されて、図10の画面516に変わり、カセットを上記の3層のヒータで挟む状態に移動するまで待機する。これに続き、画面517で本体のフック2aに接続チューブをセットするように音声ガイドとともに動画により表示されて、画面518に移る。
【0091】
この画面518では、音声ガイドとともに「ぴこセット(テルモ株式会社の商標)8に透析バッグを接続します」と表示され、「次へ」を触れると画面519に変わり、接続の様子を示した画像とともに音声ガイドが発生される。これ以降、画面520、521、522に自動で切り替わることで必要な接続のための操作を指示する。 図11の画面は、図9の画面507、508における「設定確認」のタッチキー508に触れたときに順次表示される画面であり、画面523では接続の確認のためのメッセージが音声ガイドとともに表示されて、接続の完了後に「次へ」のタッチキー524にふれることで、画面525の待機画面表示が行われてから、画面526で接続後のアンクランプ他の表示と音声ガイドがされてから、画面528で「設定」のタッチキーに触れて、透析準備をして、操作部24aを押圧して透析を開始する。また、この画面528では「上下矢印」のタッチキー530を触れると画面の項目1〜5の反転表示が行われて戻るのタッチキーに触れることで確認を可能にしている。また、画面526では、患者が説明を必要とする項目をタッチキー530で選択することができる。
【0092】
一方、図8の画面503の「変更」のタッチキー504に触れると図12の画面531に変更されて、「上下矢印」のタッチキー533を触れて画面534から541の画面との対話で設定をする。これらの画面534から541の画面の表示色は単色でかつ背景色は変化しないことから、患者は設定を変更中であることが分かる。
【0093】
排液ライン閉塞、注液ライン閉塞、注液不良、排液不良、排液量不足、追加注液ライン閉塞、バッテり電圧低下、外気温低下、腹膜ライン閉塞、気泡検出、停電などの異常状態の内容及びそれらに対応する操作手順が予め記憶部152に記憶されている。気泡センサ14、各種センサ16で異常が検出されると自動的に異常状態を表示する画面に移行し、どのような異常が発生しているかどうかを画面で順次表示し、順次質問形式で使用者(患者)に対応が確認できるようになっている。なお、注液ライン閉塞、注液不良の検出、警報は以下のようにして行う。
【0094】
注液ライン閉塞、注液不良の検出について、図14のフローチャートに基づいて説明する。設定画面531〜541で設定入力(ステップS1)された、治療パターン,貯留時間,サイクル数,透析時間,注液量(mL)とメーカー等により予め設定された注液速度(mL/分)(通常は使用者は設定画面では設定できないようになっているが使用者が設定画面で設定可能としてもよい)等の透析条件に基づいて注液時間(分)を演算し(ステップS2)、演算された注液時間(分)の所定量(例えば演算された注液時間(分)の2倍)を超えて注液が行われていると判断する(ステップS3)と注液不良として表示部23に表示するとともに、音声でも案内して警報(ステップS4−2)とする。また、注液時間(分)は、注液量(mL)/注液速度(mL/分)+注液開始までの準備時間(分)(例えば2分程度)である。また、所定の注液量(mL)に戻った場合または所定の速度で注液が行われている場合、表示部23でキャラクターによる正常動作の画面表示を行う(ステップS4−1)。
【0095】
排液ライン閉塞、排液不良の検出について、図14ののフローチャートに基づいて説明する。設定画面531〜541で設定入力された、治療パターン,貯留時間,サイクル数,透析時間,注液量(mL)とメーカー等により予め設定された注液速度(mL/分)(通常は使用者は設定画面では設定できないようになっているが使用者が設定画面で設定可能としてもよい)等の透析条件に基づいて排液量(mL)が演算される。メーカー等により予め設定された排液速度(mL/分)(通常は使用者は設定画面では設定できないようになっているが使用者が設定画面で設定可能としてもよい)と演算された排液量(mL)に基づいて排液時間(分)を演算し(ステップS5)、演算された排液時間(分)の所定量(例えば演算された排液時間(分)の2倍)を超えて排液が行われていると判断する(ステップS6)と排液不良として表示部23に表示するとともに、音声でも案内して警報(ステップS7−2)とする。また、排液時間(分)は、排液量(mL)/排液速度(mL/分)+排液開始までの準備時間(分)(例えば2分程度)である。また、所定の排液量(mL)に戻った場合または所定の速度で排液が行われている場合、表示部23でキャラクターによる正常動作の画面表示を行う(ステップS7−1)。なお、排液時間(分)の演算は、ステップS2で注液時間の演算と併せて行ってもよい。
【0096】
このような注液不良検出のモードのプログラム、排液不良検出のモードのプログラム記憶部152に記憶されているか、記憶媒体170aに記憶され、記憶媒体読取部170で読取られ、CPU150にて制御される。
【0097】
図13は、透析の異常状態の例をして排液ラインの閉塞が生じた場合である。異常状態を知らせるために、画面550〜554において音声ガイドとともに文字を含む静止画像または動画像で表示とともに、背景色を図中のハッチングで示した黄色、オレンジ色のような目立つ所定色として表示することで、患者に異常状態であることを知らせるようにしている。
【0098】
画面550では、警報(アラーム)・指示画面で「停止スイッチを押して警報音を止めてください」という文字が表示され、同時に音声でも「停止スイッチを押して警報音を止めてください」という報知・指示が行われる。
【0099】
この指示に従って、操作部(停止ボタン)24bを押圧すると、画面551に示すように、質問形式の画面となり、予め記憶部152に記憶されている閉塞箇所(パターン)のうちの一つが、腹膜透析ラインの模式図とともに矢印551aと所定色(赤色)の円形のドットマーク551bで示され、「ピンクのクランプが閉じている」か否かの質問が文字表示とともに音声で行われる。
【0100】
画面551で「いいえ」をクリックすると、画面552に移行するが、「はい」をクリックすると画面555となり、対応すべき手順が「ピンクのクランプを開けてください」という文字及び音声により指示される。この指示に従った手順を実行し、「次へ」をクリックすると画面552に移行する。
【0101】
画面552で「いいえ」をクリックすると、画面554に移行するが、「はい」をクリックすると画面555が表示され、対応すべき手順が、「チューブのつぶれ、ねじれを直してください」という文字及び音声により指示される。この指示に従った手順を実行し、「次へ」をクリックすると画面554に移行する。
【0102】
画面554で「開始スイッチを押してください。中止するときは医師の指示を受けてください」という文字及び音声により指示される。
【0103】
こうして、異常内容・箇所を予め想定して記憶部152に記憶して、順次確認できるようになっている。
【0104】
また、各画面において、操作部24aを押圧することにより、元の動作に戻ることができるようになっている。
【0105】
この異常状態は、図13に示す排液ラインの閉塞の他に、治療中とプライミング時の注液ライン閉塞、注液不良、排液不良及び不足、気泡混入、治療中とプライミング時の追加注液ライン閉塞、停電によるバッテーバックアップ、外気温度低下があり、これらの異常発生時には、全て黄色、オレンジ色のような目立つ色での背景色となり同時に音声ガイドで異常を知らせることで、万が一トラブルが発生しても容易に対処できるようになるので安心して使用できる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、患者自身による透析治療の自動化が可能であり、また、操作性が極めて明瞭で分かりやすく、最適な条件で治療を行うことができ、患者の寝返りなどの為に一時的に腹膜ラインが閉塞というトラブルが発生しても警報を発生することがないのでも最適な条件で透析治療を行うことができる腹膜透析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の腹膜透析装置をカセット8とともに示した外観斜視図である。
【図2】 本発明の腹膜透析装置の実施形態を模式的に示す図である。
【図3】 カセット8の流路切換部とクランパ240を示した外観斜視図である。
【図4】 カセットの立体分解図である。
【図5】 カセット8の加温回路とヒータの関係図である。
【図6】 (a)は透析液の腹腔内への送液状態にする模式図、(b)は排液を送液状態にする模式図である。
【図7】 透析装置本体のブロック図である。
【図8】 表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図9】 表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図10】表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図11】 表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図12】 表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図13】 表示部23において順次変化する表示画面を示した図である。
【図14】 注液不良/排液不良検出のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1…透析装置、2…装置本体、21…カセット装着部、22…蓋部材、23…表示部、24a,4b…操作部、3…透析液ユニット、31…注液チューブ回路、32…注液チューブ回路、3…/排液チューブ回路、34…排液チューブ回路、35…分岐チューブ回路、36…トランスファーチューブセット、37…クレンメ、4…透析液バッグ、5…追加透析液バッグ、6…排液タンク、7 …透析カテーテル、8…カセット、81…カセット本体、9…加温手段、10…ポンピング作動手段、101…エア回路、102…分岐エア回路、103…分岐エア回路、104…空気圧発生装置、105…真空圧発生装置、14…気泡センサ、15…制御システム、16…各種センサ、500〜555 画面

Claims (8)

  1. 透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、前記送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置であって、
    該記憶部に記憶された注液不良検出のモードのプログラムにより、該注液量(mL),該注液速度(mL/分)に基づいて注液時間(分)を該制御部で演算し、該演算された注液時間(分)の2倍を超えて注液が行われていると該制御部で判断すると注液不良としてスピーカにて警報を発生することを特徴とする腹膜透析装置。
  2. 該注液時間(分)は、該注液量(mL)/該注液速度(mL/分)+注液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析装置。
  3. 透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、前記送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置であって、
    該記憶部に記憶された排液不良検出のモードのプログラムにより、該排液量(mL),該排液速度(mL/分)に基づいて排液時間(分)を該制御部で演算し、該演算された排液時間(分)の2倍を超えて排液が行われていると該制御部で判断すると排液不良としてスピーカにて警報を発生することを特徴とする腹膜透析装置。
  4. 該排液時間(分)は、該排液量(mL)/該排液速度(mL/分)+排液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする請求項3に記載の腹膜透析装置。
  5. 透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、前記送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体であって、該記憶部に記憶された注液不良検出のモードのプログラムにより、該注液量(mL),該注液速度(mL/分)に基づいて注液時間(分)を該制御部で演算するステップのプログラムコードと、該演算された注液時間(分)の2倍を超えて注液が行われていると該制御部で判断するステップのプログラムコードと、該制御部での判断結果に基づいて注液不良としてスピーカにて警報を発生するステップのプログラムコードとからなることを特徴とする腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体。
  6. 注液時間(分)は、該注液量(mL)/該注液速度(mL/分)+注液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする請求項に記載の腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体。
  7. 透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段と、注液量(mL)等の透析条件を入力する入力手段と、入力された透析条件を表示する知らせる表示手段、記憶部、制御部とを有し、前記送液手段により患者側に透析液を供給するとともに、その排液を回収することで透析を行う腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体であって、該記憶部に記憶された排液不良検出のモードのプログラムにより、該排液量(mL),該排液速度(mL/分)に基づいて排液時間(分)を該制御部で演算するステップのプログラムコードと、該演算された排液時間(分)の2倍を超えて排液が行われていると該制御部で判断するステップのプログラムコードと、該制御部での判断結果に基づいて排液不良として警報をスピーカにて発生するステップのプログラムコードとからなることを特徴とする腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体。
  8. 該排液時間(分)は、該排液量(mL)/該排液速度(mL/分)+排液開始までの準備時間(分)であることを特徴とする請求項に記載の腹膜透析装置の制御方法のプログラムコードが記憶された記憶媒体。
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