JP4065518B2 - 露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイスや液晶表示デバイス等のデバイスの製造に好適な露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスや液晶表示デバイス等のデバイスをフォトリソグラフィ技術を用いて製造する際に、レチクル等の原版のパターンでウエハやガラス板等の基板に塗布された感光材を露光する露光装置が使用されている。
【0003】
一般に、ウエハに塗布された感光材については適正露光量が定められている。従来の露光装置では、照明光の照明光学系中にビームスプリッタを配置して、このビームスプリッタにより分岐された一部の照明光の光量を光電センサ(積算露光センサ)でモニタすることにより、ウエハの露光量を間接的にモニタする。そして、ウエハの露光量がその適正露光量に達した時にそのウエハの現在のショッ卜領域への露光を停止することにより、露光量制御が行なわれる。
【0004】
このような露光装置においては、ウエハ上での照度と照明光学系内の積算露光量センサの出力との関係を予め計測により求めておく必要がある。このような計測のために、ウエハが載置されたステージ上にウエハ上における照度を計測するための光電センサを設置することが一般的である。このようにステージ上に設置された光電センサは、投影光学系を通してウエハに提供される露光光の照度ムラ等の計測に使用される場合が多いので、一般に照度ムラセンサと呼ばれる。
【0005】
照度ムラセンサとしては、一般的には、単一のフォトダイオード(受光素子或いは光電変換部)で構成される単一フォトダイオードや、複数のフォトダイオードで構成されるフォトダイオードアレイ或いはCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)等が使われうる。フォトダイオードアレイやCCD等のライン型又はエリア型の光電センサは、フォトダイオードから出力される入射光量に比例した電荷を光電センサ内の電荷蓄積部(キャパシタ)に蓄積する。その後、蓄積された電荷は、読み出し指令に従って電荷蓄積部から読み出され、電流電圧変換されて各種処理に使われる。
【0006】
照度ムラセンサの出力校正では、まず、ウエハの代わりに、予め校正された照度計を投影光学系の下に設置し、この校正用照度計によって照度を計測する。次に、校正対象の照度ムラセンサを投影光学系の下に移動させて、この照度ムラセンサによって同様に照度を計測し、出力が構成用照度計の出力と同じになるように出力の調整を実行する。
【0007】
一方、露光量制御が正しく実行されているか否かを検定する方法として、所定の露光量を設定するとともにウエハの代わりに照度ムラセンサを投影光学系の下に移動させて、この状態で積算露光量センサの出力に基づいて露光量制御を実行しながら、実際に照度ムラセンサに照射された露光量を測定する方法がある。
【0008】
所謂ステッパと呼ばれるステップアンドリピート方式によってウエハ上の複数のショット領域を順に露光する露光装置では、露光光源としてエキシマレーザ光源を用いることが最近の傾向である。エキシマレーザは、典型的には、出力パルス間に例えば3σで10%程度のエネルギーばらつきを持っている。このようエネルギーばらつきをもった光源を用いて所望の露光量精度、例えば1%を達成しようとすると、最低でも100パルスをウエハに照射して積算露光をする必要がある。したがって、目標露光量が小さい場合は、照明光学系内に設置された減光手段により照度を下げて、例えば、100パルスの積算露光により目標露光量に対する許容範囲内に実際の露光量が収まるようにしている。
【0009】
【特許文献1】
特開平2−5063号公報
【特許文献2】
特開平1−274020号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の構成では、照明光学系内の積算露光センサや、ステージ上の照度ムラセンサに対して広いダイナミックレンジが要求される。なぜなら、これらの光電センサによって、露光量が大きく設定された場合に使用される全く減光されていない強い光量から、露光量が小さく設定された場合に使用される減光手段によって減光された弱い光量までを計測する必要があるからである。通常、光電センサの前面には光電センサに最適な光量が入射するように光量を調整する減光手段が装着される。一般的に、この減光手段は、最大の光量が入射されたときにおいても光電センサ出力が飽和しないように設定される。したがって、露光量が小さく設定されて光電センサへの入射光量が小さくなると、光電センサ出力が非常に低下し、その結果、光電センサ自身の暗電流によるノイズや熱的なノイズ、さらには光電センサの入射光量と出力のリニアリティの影響を受けるので、計測の精度が低いという問題があった。
【0011】
また、照度ムラセンサに複数の受光素子(光電変換部)で構成されるフォトダイオードアレイやCCD等のライン型又はエリア型の光線センサを採用した場合、全ての受光素子からの出力信号を読み出すために、かなりの読み出し時間を必要とした。近年、エキシマレーザの発光周波数は高周波化される傾向があり、4kHz以上の発光周波数をもったレーザも登場している。このような高周波化されたレーザでは、発光パルス間の時間間隔が短く、この時間間隔内で全ての受光素子からの出力信号を読み出すことは困難になってきている。
【0012】
本発明は、上記の2つの課題のうち特に後者の課題に着目してなされたものであり、光源の発光周波数の増加への対応が容易な露光装置、より具体的には、光源の発光周波数が高くなった場合においても発光パルス間の時間間隔を利用して適正に光電センサから電気信号を読み出すことができる露光装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の露光装置は、パルス光を発生する光源から周期的かつ連続的に提供されるパルス光を利用して基板にパターンを転写する露光装置に係り、該露光装置は、パルス光を電気信号として検出する複数の光電変換部を有する光電アレイと、前記光電アレイの前記複数の光電変換部から電気信号を読み出す読出回路とを備える。前記読出回路は、前記光源から前記光電アレイに周期的かつ連続的に提供されるパルス光の光量に相当する電荷を前記光電アレイの前記複数の光電変換部に蓄積させ、該パルス光間の各時間間隔を使って前記複数の光電変換部の一部から電気信号を読み出しながら該パルス光間の複数の時間間隔を使って前記複数の光電変換部の全てから電気信号を読み出す。このような構成によれば、光源の発光周波数が高くなった場合においても発光パルス間の時間間隔を利用して適正に光電センサから電気信号を読み出すことができ、このようにして得られる電気信号を、例えば、露光量の制御や露光制御系の校正等に利用することができる。ここで、電気信号とは、最も広い意味を有するものとして解釈されるべきであり、電気信号という用語には、例えば、アナログ信号、デジタル信号、電気的に表現可能な数値情報(データ)等、あらゆる電気的な信号が含まれうる。
【0014】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記読出回路は、前記光電アレイから電気信号を読み出す都度、電気信号の読み出しを行った光電変換部をリセットするリセット回路を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明の好適な実施の形態によれば、前記露光装置は、同一の光電変換部から異なる時間に読み出された電気信号を加算する加算部を更に備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明の好適な実施の形態によれば、前記読出回路によって前記パルス間の1つの時間間隔において電気信号が読み出される光電変換部の個数が、前記光源の発光周波数に応じて決定されることが好ましい。例えば、このような光電変換部の個数は、前記光源の発光周波数が高い場合には相対的に少ない個数に決定され、前記光源の発光周波数が低い場合には相対的に多い個数に決定されうる。或いは、このような光電変換部の個数は、パルス間の1つの時間間隔において読み出しが可能な範囲で、可能な限り多い個数又はデータ処理に都合のよい個数に決定されうる。
【0017】
また、本発明の好適な実施の形態によれば、前記光源から前記光電アレイに周期的かつ連続的に提供されるパルス光に相当する電荷を前記複数の光電変換部に累積して蓄積させる回数が、前記光源から提供されるパルス光の強度に応じて決定されることが好ましい。例えば、このような累積して蓄積させる回数は、光電アレイが所定の範囲に限定されたダイナミックレンジで動作するように決定されうる。このようにダイナミックレンジを制限する方式によれば、例えば、光電アレイ(或いは光電変換部)の暗電流ノイズ、熱的ノイズ、入出力特性のリニアリティ等による計測精度或いは検出精度の低下を所望のレベル以下に抑えることができる。
【0018】
本発明の典型的な実施の形態によれば、前記光電アレイは、例えば、基板が載置されるステージの上に配置されうる。或いは、前記光電アレイは、前記光源から基板に至る光路から分岐されたパルス光の積算光量を検出しうるように配置されてもよい。
【0019】
本発明の他の側面に係る露光装置は、パルス光を発生する光源から周期的かつ連続的に提供されるパルス光を利用して基板にパターンを転写する露光装置に係り、該露光装置は、パルス光を電気信号として検出する光電センサと、前記光電センサから電気信号を読み出す読出回路とを備える。ここで、前記読出回路による1つの読出動作と次の読出動作との間に前記光電センサに何パルス分の電荷を蓄積させるかは、前記光源から提供されるパルス光の強度に応じて決定されている。
【0020】
このような実施の形態において、前記光電センサは、典型的には、基板が載置されるステージの上に配置されうる。或いは、前記光電センサは、前記光源から基板に至る光路から分岐されたパルス光の積算光量を検出しうるように配置されてもよい。
【0021】
上記の発明又はその好適な実施の形態において、光源としては、例えば、エキシマレーザが好適である。
【0022】
本発明の露光装置の上記のような優れた利益は、該露光装置によって製造されうる各種のデバイスにも反映されうる。ここで、本発明の露光装置の適用例を挙げると、本発明の露光装置は、基板上に塗布された感光剤にパターンを転写する転写工程と、前記感光剤を現像する現像工程と、を含むリソグラフィ技術を適用したデバイス製造方法における転写工程において使用されうる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の好適な実施の形態の露光装置の概略構成を示す図である。図1に示す露光装置は、例えば、ステップアンドリピート方式の露光装置(いわゆるステッパ)としても、ステップアンドスキャン方式の露光装置(いわゆるスキャナ)としても具体化されうる。光源1は、照明光としてパルス光を発生する光源であり、典型的にはエキシマレーザである。光源1は、主制御系25から送られてくる発光指令に従ってパルス光を発生する。ここで、パルス光とは、時間軸上においてパルス波形を示す光を意味する。
【0025】
減光機構28は、ウエハ11に提供される光の強度(照度)を調整すべく照明光の光量を調整する。減光機構28は、例えば透過率が互いに異なる複数の減光フィルタを搭載したターレット構造を有し、これにより減光率の切替えを行う。減光機構28は、例えば、10%ずつ減光率が変化する25個の減光フィルタを備えうる。この場合は、それぞれの減光フィルタの透過率は、100%、90%、81%、72.9%、65.6%、59%、53.1%、47.8%、43%、38.7%、34.9%、31.4%、28.2%、25.4%、22.9%、20.6%、18.5%、16.7%、15%、13.5%、12.2%、11%、9.8%、8.9%、8.0%となる。なお、減光率は、100%から透過率を引いた値である。
【0026】
ビーム整形光学系2は、エキシマレーザ1から出射された照明光を所定の断面形状の平行光束に整形する。1/4波長板3は、ビーム整形光学系2を通った直線偏光の照明光を円偏光の照明光に変換する。円偏向に変換された照明光は、反射鏡4で反射されてフライアイレンズ5に入射する。フライアイレンズ5の射出面には多数の光源像が形成され、これにより照明光の照度分布の平坦化が行なわれる。
【0027】
ビームスプリッタ6は、フライアイレンズ5を通った照明光の大部分を透過させる一方、残りの一部を反射して集光レンズ12を通して積算露光量センサ14に提供する。ビームスプリッタ6を透過した照明光は、照明光学系7を通してレチクル(原版)9を均一な照度分布で照明する。この実施の形態では、照明光学系7中に反射鏡8が配置され、照明光が折り曲げられている。
【0028】
レチクル9に形成されたパターンは、投影光学系10を通してウエハ(基板)11に投影され、これによりウエハ11がパターン光で露光される。
【0029】
ビームスプリッタ6で反射された光は、集光レンズ12によって積算露光量センサ14の受光面に集光される。積算露光量センサ14は、光信号を電気信号に変換する光電センサで構成されうる。なお、周知の通り、光電センサには、フォトダイオードやそれを集積したCCD等が含まれうる。
【0030】
ウエハ11を保持して移動させるステージ17上には、ウエハ11上における照度ムラを検出するための照度ムラセンサ18が搭載されている。照度ムラセンサ18もまた、光電センサで構成されうる。
【0031】
図2は、図1における積算露光センサ14及び照度ムラセンサ18、すなわち光電センサの基本構造を示す図である。図2に示す構成では、光電センサ(積算露光センサ14、照度ムラセンサ18)は、単一の受光素子(光電変換部)で構成されているが、光電センサは、1次元又は2次元のアレイ状に配置された複数の受光素子(光電変換部)で構成されうる。
【0032】
受光素子としてのフォトダイオード15は、典型的には、その受光面をウエハ11(図1)の露光面と同一又は共役の位置に一致するように配置されうる。フォトダイオード15の前面には、例えば、減光機構28において透過率100%(減光率0%)の減光フィルタが選択された場合に最適な光量がフォトダイオード15に提供されるようにする減光フィルタ27が装着されている。フォトダイオード15が発生する入射光量に比例した電荷(電流)は、電荷蓄積器(キャパシタ)19に蓄積される。電荷蓄積器19の出力電流は、電流電圧変換器16によって電圧に変換されて露光量データ21(23)として主制御系25に供給される。電荷蓄積器19には、主制御系25より電荷リセット信号20(22)が供給される。
【0033】
ここで、図1に戻り、積算露光量制御のための検定動作について説明する。設定露光量(目標露光量)をD(J/m2)、光源1が発生するパルス光の1パルス当たりのウエハ面上における照度をP(W/m2)、レーザ発光周波数をF(pls/sec)、発光パルス数M(pls)とすると、設定露光量Dは、(1)式で示され、該設定露光量を得るための発光パルス数Mは、(2)式で示される。
【0034】
D(J/m2)=P(W/m2)・M(pls)/F(pls/sec)
・・・(1)
M(pls)=D・F/P ・・・(2)
積算露光量制御の検定では、ウエハの代わりに照度ムラセンサ18を投影光学系10の下に移動させて、設定露光量が得られるように積算露光量センサ14の出力に基づいて積算露光量制御を実施する。この期間に照度ムラセンサ18に照射される全てのパルス光の光量を照度ムラセンサ18を使って積算することにより積算露光量を求め、それと設定露光量との比較により、積算露光量の制御精度を算出することができる。
【0035】
ここで、本発明の第1の実施の形態によれば、減光機構28の透過率、すなわち、照度ムラセンサ18に照射される光の強度に応じて、照度ムラセンサ18において積算した蓄積を実行すべきパルス数を切り替える。具体的には、パルス数の切替は、例えば、以下に例示的に説明するように実施されうる。なお、以下の動作は、主制御系25によって制御されうる。
【0036】
まず、減光機構28において100%の透過率の減光フィルタが選択されている場合には、照度ムラセンサ18に照射されるパルス光の積算は、次のように実行されうる。光源(エキシマレーザ)1の発光前に主制御系25から照度ムラセンサ18の電荷蓄積器19に対して、蓄積されている電荷をリセットする電荷リセット指令信号22を送る。次いで、光源1に1パルスのパルス光を発光させる。このとき、パルス光の光量に比例した電荷がフォトダイオード15で発生しこれが電荷蓄積器19に蓄積される。蓄積された電荷は、電流電圧変換器16により電圧に変換されて露光量データ23として主制御系25に送られる。次いで、主制御系25は、電荷蓄積器19に対して電荷リセット指令信号22を送る。これにより、電荷蓄積器19に蓄積されていた電荷はリセットされる。このような1パルスを単位とする一連の動作を所定のパルス数分だけ繰り返して、次々に露光量データ23を主制御系25に送り、主制御系25内の加算器25aで全ての露光量データ23を加算し、積算露光量を求める。
【0037】
また、減光機構28において47.8%の透過率を持った減光フィルタが選択された場合には、照度ムラセンサ18に照射されるパルス光の積算は、次のように実行されうる。光源(エキシマレーザ)1の発光前に主制御系25から電荷蓄積器19に対して、蓄積されている電荷をリセットする電荷リセット指令信号22を送る。次いで、光源1に1パルスのパルス光を発光させる。このとき、パルス光の光量に比例した電荷がフォトダイオード15で発生しこれが電荷蓄積器19に蓄積される。次いで、電荷リセット信号22を電荷蓄積器19に送ることなく、光源1に次の1パルスのパルス光を発光させて、フォトダイオード15で発生する電荷を電荷蓄積器19において前回の電荷に積算する。照度ムラセンサ18に対する入射光量が47.8%に減光されているので、2パルス分の電荷を照度ムラセンサ18内において積算することにより、透過率100%の減光フィルタを選択した場合とほぼ同等の電荷量となる。この2パルス分の露光量データ23は主制御系25に送られる。次いで、主制御系25は、電荷蓄積器19に対して電荷リセット指令信号22を送る。これにより、電荷蓄積器19に蓄積されていた電荷(2パルス分)はリセットされる。このような2パルスを単位とする一連の動作を所定のパルス数分繰り返して、次々に露光量データ23を主制御系25に送り、主制御系25内の加算器25aで全ての露光量データ23を加算し、積算露光量を求める。
【0038】
また、減光機構28において25.4%の透過率を持った減光フィルタが選択された場合には、照度ムラセンサ18において4パルス分の電荷を積算して蓄積することにより、透過率100%の減光フィルタを選択した場合とほぼ同等の電荷量が蓄積されるため、4パルスを一単位とする一連の動作を所定のパルス数分だけ繰り返して、次々に露光量データ23を主制御系25に送る。そして、主制御系25内の加算器25aで全ての露光量データ23を加算し、積算露光量を求める。
【0039】
このように、本発明の第1の実施の形態では、照明光学系内の減光機構28によって設定される減光率、すなわち、照度ムラセンサ18に照射される光の強度に応じて、電荷蓄積器19において積算を伴う蓄積を実行すべきパルス数を変更する。その結果、照度ムラセンサ18の電荷蓄積器19の出力を狭いダイナミックレンジ内に限定することができ、照度ムラセンサ18自体の暗電流によるノイズや熱的なノイズ、さらには照度ムラセンサ18の入射光量と出力のリニアリティの影響を受けにくくすることができる。
【0040】
以上のような光電センサに照射される光の強度(照度)に応じて、積算を伴う蓄積を実行すべきパルス数を変更する方法は、積算露光量の検定時のみならず、例えば、照度ムラの評価時にも適用することができる。
【0041】
また、このような光電センサの制御方法は、照度ムラセンサ18の制御のみならず、積算露光量センサ14にも適用することができる。この場合において、本方法は、ウエハを実際に露光する場合のみならず、積算露光量制御の検定時や、積算露光センサと照度ムラセンサ間の光学系の透過率の評価時等にも適用することができる。
【0042】
また、このような光電センサの制御方法は、露光装置にのみ適用されるものではなく、パルス光を発生する光源と、光電センサに照射されるパルス光の強度を変更する機能とを有するあらゆる装置に適用されうる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態として、受光素子(光電変換部)が1次元又は2次元のアレイ状に配置された光電センサが使用される場合における読出時間の問題を解決する方法を説明する。なお、この問題については、従来技術の欄においても言及したが、図3を参照して再度説明する。
【0044】
まず、複数の光電変換部がアレイ状に配置された光電センサについて説明する。図3は、複数の光電変換部がアレイ状に配置された照度ムラセンサ18の構成例を示す図である。図3に示す照度ムラセンサ18は、フォトダイオードアレイ(光電アレイ)29を有し、該アレイ29は、第1〜第nの光電変換部29−1〜29−nで構成されている。各光電変換部は、図2に示すフォトダイオード15と電荷蓄積器19とで構成されうる。
【0045】
光電変換部29−1〜29−nの電荷蓄積器には、該電荷蓄積部に蓄積された電荷を電流電圧変換器16に伝送するための電荷伝送スイッチ30−1〜30−nがそれぞれ接続されている。スイッチ30−1〜30−nを順にONすると、光電変換部29−1〜29−nの電荷蓄積器に蓄積された電荷が順に電流電圧変換器16へ流れる。蓄積された電荷が電流電圧変換器16へ流れることにより蓄積電荷が放出された電荷蓄積器はリセットされる。
【0046】
電荷伝送スイッチ30−1〜30−nは、シフトレジスタ(走査回路)31により後述の方法で順にONされ、ONされた電荷蓄積器に蓄積された電荷が電流電圧変換器16によって電圧に変換されて、露光量データ23として主制御系25に出力される。ここで、電荷伝送スイッチ30−1〜30−nやシフトレジスタ31は、読出回路又はその一部を構成する。
【0047】
露光量データ23は、この実施の形態ではアナログ電圧信号であり、主制御器25内に備えられた不図示のA/D変換器によりA/D変換されてメモリ25mに書き込まれ、その後に処理される。
【0048】
次に、この実施の形態のより深い理解のために、図4を参照しながらアレイ配列型の光電センサを使用する際の問題点を説明する。図4には、露光装置における光源1のパルス発光とそれに対応するフォトダイオードアレイ(光電アレイ)29の動作が模式的に示されている。
【0049】
図4(a)は、1つのパルス発光ごとに電荷を読み出す方式を模式的に示している。図4(a)において、各黒丸(●)は、エキシマレーザ等の光源1における1つのパルス発光に応じてフォトダイオードで発生する電荷を表す。この電荷は、矢印が示す方向に順次電荷伝送スイッチ30−1〜30−nがONされることにより、電流電圧変換器16を通して外部へ転送される。
【0050】
図4(a)の右側に示す黒丸群(●)が光電センサ18から読み出され、A/D変換され、メモリ25mストアされたデータを表す。このような一般的な読み出し方法でフォトダイオードアレイ29内の全信号(電荷)を読み出すには、(3)式で示される読出時間を要する。
【0051】
読出時間(T1)=(1つの光電変換部当たりの電荷読出時間)×(光源変換部の個数) ・・・(3)
図4(b)は、2パルス分の電荷を読み出す方式を示している。ここで、黒丸(●)は、1つ目のパルス発光によって蓄積される電荷を示し、白丸(○)は、2つ目のパルス発光によって蓄積される電荷を示している。具体的には、図4(b)では、光源1が発生する2パルス分のパルス光に相当する電荷をフォトダイオードアレイ29の各光電変換部29−1〜29−nに蓄積し、その後、その電荷を読み出す。図4(b)の例では、2回のパルス発光が終了する都度、フォトダイオードアレイ29の光電変換部29−1〜29−nの電荷を読み出せばよいが、この読み出しは、次のパルス発光の開始前に実行しなければならないので、読出時間(T1)は、パルス発光の時間間隔よりも短くなければならない。すなわち、読出時間(T1)として許容される時間は、図4(a)、(b)において同じである。
【0052】
ここで、一つの光電変換部の電荷読出時間を2μsec、光電変換部の個数を256個とすると、全ての光電変換部の電荷を読み出すために要する読出時間(T1)は、 2μsec×256=0.512msec
である。
【0053】
光源1の発光周波数を1000Hzとした場合は、発光パルス周期が1msecであるので、図4(a)に示すようにパルス間の時間間隔内で256個の信号の読み出しを実行しても時間的に余裕がある。しかし、光源1の発光周波数を2000Hzとした場合は、発光パルス周期が0.5msecであるので、パルス間の時間間隔内で信号を読み出すことができなくなる。すなわち、光源1の発光周波数が高くなると、それに従って、パルス発光の時間間隔内で全ての光電変換部の信号を読み出すことがより困難になる。
【0054】
そこで、この実施の形態では、図5に示すような読み出し方法を提供する。図5において、簡略化のために、光電変換部の数を16個としている(すなわち、n=16)。なお、図5において、”1”を付した丸(○)は、1つ目のパルスによる電荷、”2”を付した丸(○)は、2つ目のパルスによる電荷、”3”を付した丸(○)は、3つ目のパルスによる電荷、”4”を付した丸(○)は、1つ目のパルスによる電荷を示している。
【0055】
まず、エキシマレーザ等の光源1の発光前に主制御系25から光電変換部29−1〜29−16内の電荷蓄積器に対して、蓄積されている電荷をリセットする電荷リセット指令信号22を送る。次に(a)のように、エキシマレーザ等の光源1の1パルス目のパルス光によって電荷(”1”を付した電荷)が蓄積されると、シフトレジスタ31を駆動し、アレイ29の一部(第1ブロック)の光電変換部29−1〜29−4の電荷を読み出し、メモリ25mの第1〜第4アドレスにストアし、シフトレジスタ31の駆動を一時停止する。
【0056】
次に、(b)のように、光源1の2パルス目のパルス光によって電荷(”2”を付した電荷)が蓄積されると、シフトレジスタ31の駆動を再開し、アレイ29の一部(第2ブロック)の光電変換部29−5〜29−8の電荷を読み出し、メモリ25mの第5〜第8アドレスにストアする。
【0057】
次に、(c)のように、光源1の3パルス目のパルス光によって電荷(”3”を付した電荷)が蓄積されると、シフトレジスタ31の駆動を再開し、アレイ29の一部(第3ブロック)の光電変換部29−9〜29−12の電荷を読み出し、メモリ25mの第9〜第12アドレスにストアする。
【0058】
次に(d)のように、光源1の4パルス目のパルス光によって電荷(”4”を付した電荷)が蓄積されると、シフトレジスタ31の駆動を再開し、アレイ29の一部(第4ブロック)の光電変換部29−13〜29−16の電荷を読み出し、メモリ25mの第13〜第16アドレスにストアする。
【0059】
エキシマレーザの発光が終了するまで(a)から(d)の動作を繰り返す。
【0060】
次に、(e)のように、光源1を発光させずに光電変換部29−1〜29−4の電荷を読み出し、読み出したデータをメモリ25mの第1〜第4アドレスに格納されているデータに加算して当該アドレスに再ストアする。同様に、(f)、(g)に示すように、光源1を発光させずに、光電変換部29−5〜29−8、29−9〜20−12の電荷を読み出し、メモリ25mの第5〜第8アドレス、第9〜第12アドレスに格納されているデータに加算して当該アドレスに再ストアする。
【0061】
以上の手順により、フォトダイオードアレイ29の光電変換部29−1〜29−nに蓄積された4パルス分のパルス光の積算光量を示す露光量データがメモリ25mにストアされたことになる。
【0062】
ここで、光源1の1パルスあたりのデータ読み出し時間(T2)は、光電変換部の個数を256個として、4分割(図4では、16個を4分割)して読み出す場合、
2μsec×256/4=0.128msec
となる。これは、光源1の発光周波数を2000Hzに設定した場合のパルス間隔である0.5msecに比べて十分に小さいので、パルス間の時間間隔を利用して、読み出すべきブロック(分割された4ブロックのうちの1ブロック)内の全ての光電変換部の電荷を露光量データとして読み出すことが可能となる。ここで、更に光源1の発光周波数を高くする場合には、読み出し時のフォトダイオードアレイ29の分割数を増やせばよい。なお、分割数を増加することは、パルス光間の1つの時間間隔において読み出すべき光電変換部を減少させることを意味する。
【0063】
以上のように、この実施の形態によれば、光源1の発光周波数に応じて、フォトダイオードアレイ29を分割して読み出すか否か、更に分割して読み出す場合における分割数が決定される。これにより、発光周波数が高くなった場合においても、パルス光間の各時間間隔を利用してフォトトランジスタアレイの一部の光電変換部から露光量データを得ながら該パルス光間の複数の時間間隔を利用してフォトトランジスタアレイの全ての光電変換部から露光量データを得ることができる。換言すると、この実施の形態によれば、光源1の発光周波数に応じて、必要な露光量データを得ることができるように、フォトダイオードアレイ29からの読み出し方法が変更又は決定される。ここで、分割数(又は、パルス光間の1つの時間間隔で読み出しを実行すべき光電変換部の個数)、又は、読み出し方法の決定及び変更は、光源1の発振周波数に応じて、主制御系25によって実行されうる。
【0064】
また、パルス光の発光周波数に応じてフォトダイオードアレイからの読み出し方法を変更する方法は、露光装置にのみ適用されるものではなくパルス光をフォトダイオードアレイを用いて計測するあらゆる装置に適用可能である。
【0065】
また、第1の実施の形態として説明した技術思想を第2の実施の形態として説明した技術思想と結合することもできる。すなわち、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態のように、積算して蓄積を実行すべきパルス数を光電センサに照射される光の強度に応じて変更して、光電センサの出力を限定されたダイナミックレンジ内に収めることができる。ただし、この場合、読み出し時の光電センサの分割数の増加に応じて、必要とされるダイナミックレンジが広がりうる。
【0066】
次に、上記の露光装置または露光方法を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。図6は、微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す図である。ステップ1(回路設計)ではデバイスのパターン設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計したパターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコンやガラス等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0067】
図7は、上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す図である。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した積算露光量計測装置を有する露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば、光源の発光周波数の増加への対応が容易な露光装置、より具体的には、光源の発光周波数が高くなった場合においても発光パルス間の時間間隔を利用して適正に光電センサから電気信号を読み出すことができる露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施の形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1における積算露光センサ及び照度ムラセンサ(光電センサ)の基本構造を示す図である。
【図3】複数の光電変換部がアレイ状に配置された照度ムラセンサ(光電センサ)の構成例を示す図である。
【図4】フォトダイオードアレイの蓄積電荷と読み出しを示す図である。
【図5】フォトダイオードアレイの蓄積電荷と分割読み出しを示す図である。
【図6】微小デバイスの製造の流れを示す図である。
【図7】図5におけるウエハプロセスの詳細な流れを示す図である。
【符号の説明】
1:光源(例えば、エキシマレーザ)、2:ビーム整形光学系、3:1/4波長板、4:反射鏡、5:フライアイレンズ、6:ビームスプリッタ、7:レンズ群、8:反射鏡、9:レチクル、10:投影光学系、11:ウエハ、12:集光レンズ、13:光束、14:積算露光センサ、15:フォトダイオード、16:電流電圧変換器、17:ステージ、18:照度ムラセンサ、19:電荷蓄積器、20:電荷リセット指令信号、21:露光量データ、22:電荷リセット指令信号、23:積算露光量データ、24:発光指令信号、25:主制御系、27:減光フィルタ、28:減光機構、29:フォトダイオードアレイ、29−1〜29−n:光電変換部、30−1〜30−n:電荷伝送スイッチ、31:シフトレジスタ(走査回路)
Claims (11)
- パルス光を発生する光源から周期的かつ連続的に提供されるパルス光を利用して基板にパターンを転写する露光装置であって、
パルス光を電気信号として検出する複数の光電変換部を有する光電アレイと、
前記光電アレイの前記複数の光電変換部から電気信号を読み出す読出回路と、
を備え、前記読出回路は、前記光源から前記光電アレイに周期的かつ連続的に提供されるパルス光の光量に相当する電荷を前記光電アレイの前記複数の光電変換部に蓄積させ、該パルス光間の各時間間隔を使って前記複数の光電変換部の一部から電気信号を読み出しながら該パルス光間の複数の時間間隔を使って前記複数の光電変換部の全てから電気信号を読み出すことを特徴とする露光装置。 - 前記読出回路は、前記光電アレイから電気信号を読み出す都度、電気信号の読み出しを行った光電変換部をリセットするリセット回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 同一の光電変換部から異なる時間に読み出された電気信号を加算する加算部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 前記読出回路によって前記パルス光間の1つの時間間隔において電気信号が読み出される光電変換部の個数が、前記光源の発光周波数に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記光源から前記光電アレイに周期的かつ連続的に提供されるパルス光に相当する電荷を前記複数の光電変換部に累積して蓄積させる回数が、前記光源から提供されるパルス光の強度に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記光電アレイが、基板が載置されるステージの上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記光電アレイが、前記光源から基板に至る光路から分岐されたパルス光の積算光量を検出するように配置されていることを特長とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
- パルス光を発生する光源から周期的かつ連続的に提供されるパルス光を利用して基板にパターンを転写する露光装置であって、
パルス光を電気信号として検出する光電センサと、
前記光電センサから電気信号を読み出す読出回路と、
を備え、前記読出回路による1つの読出動作と次の読出動作との間に前記光電センサに何パルス分の電荷を蓄積させるかが、前記光源から提供されるパルス光の強度に応じて決定されることを特徴とする露光装置。 - 前記光電センサが、基板が載置されるステージの上に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
- 前記光電センサが、前記光源から基板に至る光路から分岐されたパルス光の積算光量を検出するように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の露光装置を使用して、基板上に塗布された感 光剤にパターンを転写する転写工程と、
前記感光剤を現像する現像工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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