JP4064698B2 - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体ギャザーを有する使い捨て吸収物品に関し、さらに詳細には、この立体ギャザーを改良し、体液の漏れや沁み出しを防止した使い捨て吸収物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、使い捨ての紙おむつや股漏れ防止用パッド、あるいは生理用ナプキン等の使い捨て吸収性物品には体液の漏れ防止用として立体ギャザーが設けられている。例えば、図4に展開平面図で、図5にその組立体を斜視図で示すようなテープ式の使い捨ての紙おむつ10においては、表面側を覆う透液性トップシート11と、裏面側を覆う不透液性バックシート12と、前記各シート間に介在された吸収体13とを有してなる紙おむつ本体の表面、すなわち透液性トップシート11の表面の長手方向両側に立体ギャザー14,14が突出して設けられている。この紙おむつ10は、紙おむつ本体を股間部の中心部、すなわち長手方向の中心線C−Cより二つに折って前身頃F及び後身頃Bを形成し、脚周り(サイドフラップ)部Sfに設けられた平面ギャザー15、前身頃Fの胴周り部Dfに設けられた平面ギャザー16、後身頃Bの胴周り部Dbに設けられた平面ギャザー17により着用者の身体にフィットさせ、ファスニングテープTにより、図5に示すような形態で身体に固定して使用される。なお、図4に示す14g,15g,16g,17gは夫々ギャザーを形成するための複数本のゴム紐等からなる弾性伸縮部材である。
【0003】
図6は図4のX−X断面矢視図で、立体ギャザー14の詳細を示したものある。図示するように、この立体ギャザー14は、下側より不透液性バックシート12、防水フィルム18、下部クレープ紙19d、上部クレープ紙19u、これらのクレープ紙により被包された吸収体13、透液性トップシート11等により構成された層の最上層、すなわち透液性トップシート11の表面に、斜め内側に傾斜するようにしてホットメルト接着剤等により固着され、弾性伸縮部材14gにより伸縮自在に形成された先端部が臀部等の身体Boに当接するようになっている。なお、図における×印は接着層を示している。
【0004】
従来、このような立体ギャザーの形状としては、図6に示すような起立側面視が「I」の字状の立体ギャザー14を始め、特開平7―289583号公報や特開平9−271489号公報に開示された図7(A)に示すような「く」の字状の立体ギャザー14A、さらに特開昭64−68503号公報に開示された図7(B)に示すような「T」字状の立体ギャザー14B、及び、(C)に示すような「Y」字の立体ギャザー14C等の種々のものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この立体ギャザー14(14Aないし14C)の先端部を図6の矢印P方向、すなわち右側面から見ると、図8に示すように、弾性伸縮部材14gの伸縮力により表面に微細な波状面が現れ、身体Boとの当接面間に微孔cが形成されることが判明している。このために、図6に点線及び矢印Qで示すように、紙おむつ10の内部に排泄された尿等の液が立体ギャザー14の内面に沿って伝わり、先端部に形成された微孔cを通って、場合によっては当接面を乗り越えて、外に漏れたり沁み出すという欠点があった。
【0006】
そこで、このような液漏れや沁み出しを防止するために、弾性伸縮部材14g,15g等の伸縮力を増し、紙おむつ本体を着用者の肌に強く密着させることが考えられるが、このように強く締め付けると、肌に締め付け跡が残ったり、擦れて肌が赤く腫れ上がるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、弾性伸縮部材の伸縮力を必要以上に強めることなく、よって身体に締め付け跡や腫れ等を生じることがなく、体液の漏れや沁み出しを確実に防止するようにした立体ギャザーを有する使い捨て吸収物品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、表面側を覆う透液性トップシートと、裏面側を覆う不透液性バックシートと、前記各シート間に介在された吸収体と、前記吸収体の両側部長手方向に亘って表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーとを具備してなる使い捨て吸収性物品において、前記各立体ギャザーの内部に複数本の弾性伸縮部材を設け、前記弾性部材を有する各立体ギャザーを、夫々、内側に向けて立ち上げ、起立する途中で外側に向けてくの字状に屈曲させ、さらに突出端部を30°<θ<60°となる折り返し角θをもって内側へV字状に折り返して液の流れ止めを形成したことを特徴とする使い捨て吸収性物品によって達成される。
【0010】
以下、本発明の内容を、テープ式使い捨て紙おむつを例に詳述する。なお、以下の説明では、上述した従来のテープ式紙おむつ10と同一ないし共通する構成要素には同一の符号を、また、改良を加えた構成要素にはダッシュを付して説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るテープ式の使い捨て紙おむつ(以下「紙おむつ10’」という)を展開して表面側から見た平面図であり、図2(A)は図1のX−X断面矢視図、(B)はY−Y断面矢視図である。なお、図1及び図2は、説明の都合上、左右対称である本紙おむつ本体の右半分のみを示したものである。図示するように、本紙おむつ10’は、表面側を覆う透液性トップシート11と、裏面側を覆う不透液性バックシート12と、前記各シート間に介在され、上部クレープ紙19u及び下部クレープ紙19dにより被包された吸収体13と、不透液性の不織布等からなり、吸収体13の両側部長手方向に亘って表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザー14’,14’とを具備してなる紙おむつであって、立体ギャザー14’,14’の突出端部のフラップ14’aを、当技術分野における周知の加工方法により、角度θをもって夫々内側へ折り返して形成したものである。ここに、このフラップ14’aの長さは5mm〜30mm、好ましくは8mm〜20mmの範囲に設定され、また、折り返し角θは0°<θ<180°、好ましくは10°<θ<80°、さらに好ましくは30°<θ<60°の範囲に設定されている。なお、立体ギャザー14’以外の構成は上述した従来の紙おむつ10と実質的に同一であるので、この説明は省略する。
【0012】
以上のとおり、本紙おむつ10’では立体ギャザー14’がその突出端部、すなわち臀部等の身体Boと当接する先端部が内側に折り返されて設けられているので、図2(A)に点線及び矢印Q’で示すように、立体ギャザー14’の内面に沿って流れ出た尿等の液は、突出端部で折り返され、フラップ14’aの内面に沿って内部に戻される。よって、本紙おむつ10’によれば、尿等の排泄物が股間部から外に漏れたり沁み出すことが防止される。
【0013】
また、このような立体ギャザー14’を有する本紙おむつ10’では、立体ギャザー14’の弾性伸縮部材14g、あるいは脚周り部Sfの弾性伸縮部材15gの伸縮力を極度に強める必要がなく、よって本紙おむつ10’によれば、これらの弾性伸縮部材14g,15gによる締め付け跡や腫れ等を生じることがない。
【0014】
以上、本発明の内容を使い捨て紙おむつの実施例に基づき説明したが、本発明は必ずしもこの実施例に限定されるものではなく、パッドや生理用ナプキン等にも適用できることはいうまでもない。また、構成についても種々の変更が可能である。
【0015】
図3は、上述した立体ギャザーの変更例を示す起立断面図で、図示するように、この立体ギャザー14”は、内部に複数本の弾性伸縮部材14”gを有し、途中が「く」の字状に屈曲されたもので、この突出端部においてフラップ14”aが内側に折り返されて液の流れ防止が図られている。このような立体ギャザー14”を有する吸収性物品においても、前記同様な効果が得られる。
【0016】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明によれば、弾性伸縮部材の伸縮力を必要以上に強めることなく、よって身体に締め付け跡や腫れ等を生じることなく、体液の漏れや沁み出しを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るテープ式使い捨て紙おむつを展開して表面側から見た平面図である。
【図2】(A)は図1のX−X断面矢視図、(B)はY−Y断面矢視図である。
【図3】本発明に係わる立体ギャザーの変更例を示す側断面図である。
【図4】従来のテープ式使い捨て紙おむつを展開して表面側から見た平面図である。
【図5】図4に示す従来紙おむつの組立体の斜視図である。
【図6】図4に示す従来紙おむつの層構成を示す断面図である。
【図7】従来の立体ギャザーの形状を示す起立側断面図である。
【図8】従来の立体ギャザーの形状を示す右側面図である。
【符号の説明】
10 従来の使い捨て紙おむつ
10’ 本発明に係わる使い捨て紙おむつ
11 透液性トップシート
12 不透液性バックシート
13 吸収体
14,14’ 立体ギャザー
14’a,14”a フラップ
15,16,17 平面ギャザー
14g,16g,16g,17g 弾性伸縮部材
B 後身頃
F 前身頃
T ファスニングテープ
Bo 身体

Claims (1)

  1. 表面側を覆う透液性トップシートと、裏面側を覆う不透液性バックシートと、前記各シート間に介在された吸収体と、前記吸収体の両側部長手方向に亘って表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーとを具備してなる使い捨て吸収性物品において、前記各立体ギャザーの内部に複数本の弾性伸縮部材を設け、前記弾性部材を有する各立体ギャザーを、夫々、内側に向けて立ち上げ、起立する途中で外側に向けてくの字状に屈曲させ、さらに突出端部を30°<θ<60°となる折り返し角θをもって内側へV字状に折り返して液の流れ止めを形成したことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
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