JP4064244B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

Description

【０００１】
背景技術
本発明は、独立請求項の上位概念部に記載した形式の燃料噴射弁から出発する。
【０００２】
たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６２６５７６号明細書に基づき、電磁的に操作可能な燃料噴射弁が公知である。この公知の燃料噴射弁では、電磁的な操作のために、プランジャが、電気的に励磁可能な電磁コイルと協働し、プランジャの行程が弁ニードルを介して弁閉鎖体に伝達される。この弁閉鎖体は弁座面と協働してシール座を形成している。プランジャには複数の燃料通路が設けられている。プランジャの戻りは戻しばねによって行われる。
【０００３】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第１９６２６５７６号明細書に基づき公知の燃料噴射弁には、特に燃料噴射弁を通流する燃料量ｑ_ｄｙｎをシール座からの弁閉鎖体の持上り時に十分正確に調量することができないという欠点がある。特に最小限に噴射される燃料量に対する、最大限に噴射される燃料量の比率ｑ_ｍａｘ／ｑ_ｍｉｎが比較的小さい。動的な通流量ｑ_ｄｙｎの経過を弁ニードルの行程に関連して図示する燃料噴射弁の特性線が比較的平らであるので、動的な通流量に激しい変動が生ぜしめられる。
【０００４】
発明の利点
独立請求項の特徴部に記載の特徴を備えた本発明による燃料噴射弁は従来のものに比べて、少なくとも１つの燃料通路が弁内室内に配置されており、燃料通路の横断面が燃料噴射弁の閉鎖時に閉鎖されており、これによって、燃料噴射弁の内室が弁ニードルの切欠きに接続されていないという利点を有している。燃料噴射弁の開放時には燃料通路が開放されるので、ほぼ段状の特性線が得られる。
【０００５】
従属請求項に記載した手段によって、独立請求項に記載した燃料噴射弁の有利な構成が可能となる。
【０００６】
少なくとも１つの燃料通路がフランジに形成されており、このフランジが磁気回路のプランジャを貫通していて、動力が伝達されるように弁ニードルに結合されていると特に有利である。この単純な構造によって、手間のかかるプランジャ自由路構造が不要となる。
【０００７】
さらに、燃料通路が、燃料噴射弁の内側磁極の、相応に形成された肩部によってカバーされると有利である。これによって、付加的な構成部材が回避される。
【０００８】
フランジとの差込み結合だけでなく燃料のさらなるガイドも可能にする切欠きを備えた管状の弁ニードルも特に有利である。
【０００９】
さらに、少なくとも１つの燃料通路が、絞りとして作用するのではなく、これによって、行程絞りを生ぜしめないように寸法設定されていると有利である。
【００１０】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【００１１】
図１Ａには、本発明による燃料噴射弁１の閉鎖状態の実施例が部分的な断面図で示してある。この燃料噴射弁１は、混合気圧縮型の火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁１の形で形成されている。この燃料噴射弁１は燃料を内燃機関の燃焼室内に直接噴射するために適している。
【００１２】
燃料噴射弁１は管状のノズルボディ２を有している。このノズルボディ２内には弁ニードル３が配置されている。この弁ニードル３は弁閉鎖体４に作用結合されている。この弁閉鎖体４は、弁座体５に配置された弁座面６と協働してシール座を形成している。燃料噴射弁１は、本実施例では、内向きに開放する燃料噴射弁１である。この燃料噴射弁１は噴射開口７を有している。
【００１３】
ノズルボディ２は溶接シーム８によって電磁コイル１０の外側磁極９に結合されている。電磁コイル１０はコイル枠体１２に巻き付けられている。このコイル枠体１２は電磁コイル１０の内側磁極１３に接触している。電磁コイル１０は線路（図示せず）を介して、電気的な差込みコンタクト１７を介して供給可能な電流によって励磁される。この差込みコンタクト１７はプラスチック被覆体１８によって取り囲まれている。このプラスチック被覆体１８は内側磁極１３を取り囲むように射出成形されていてよい。
【００１４】
弁ニードル３はフランジ１４を介して、動力が伝達されるように可動鉄心もしくはプランジャ２０に結合されている。フランジ１４は、管状に形成された弁ニードル３内に押し込まれていて、溶接シーム１５によって弁ニードル３に結合されている。この場合、フランジ１４はプランジャ２０にこのプランジャ２０の切欠き１９を貫通して係合している。フランジ１４には戻しばね２３が支持されている。この戻しばね２３には、燃料噴射弁１の図示の構成では、スリーブ３１によって予荷重もしくはプレロードがかけられている。
【００１５】
本発明によれば、フランジ１４には、プランジャ２０の流入側で半径方向に延びる少なくとも１つの燃料通路１１が形成されている。この燃料通路１１によって、燃料噴射弁１の開放時には、弁ニードル３内への燃料の通流が可能となる。燃料噴射弁１の閉鎖状態では、少なくとも１つの燃料通路１１が内側磁極１３の肩部２４によって、燃料噴射弁１の内側磁極１３に形成された内室２９に対して閉鎖されている。
【００１６】
燃料は中央の燃料供給部１６を介して燃料噴射弁１に供給され、フィルタエレメント２５によって濾過される。燃料噴射弁１はシール部材２８によって分配管路（図示せず）に対してシールされている。
【００１７】
図１Ａに示した燃料噴射弁１の休止状態では、フランジ１４が、プランジャ２０の流入側の端面３０に接触するように戻しばね２３によって負荷される。これによって、プランジャ２０も戻しばね２３によって負荷されているので、弁ニードル３に形成された弁閉鎖体４が弁座面６に密に当て付けられた状態で保持される。プランジャ２０の端面３０と内側磁極１３との間に形成された作業ギャップ２７は開放されている。
【００１８】
フランジ１４に形成された少なくとも１つの燃料通路１１は、燃料噴射弁１の閉鎖状態では、内側磁極１３の肩部２４によってカバーされている。これによって、燃料が燃料通路１１を通流することができないようになっている。開放動作時の燃料噴射弁１の別の機能は図１Ｂに詳しく説明してある。
【００１９】
図１Ｂには、図１Ａに示した本発明により形成された燃料噴射弁１の開放状態の実施例が概略的な部分断面図で示してある。この場合、図１Ａおよび図１Ｂでは、合致する構成部材に同じ符号が付してある。
【００２０】
図１Ｂには、本発明により形成された燃料噴射弁１が開放状態で示してある。この場合、フランジ１４に形成された燃料通路１１が燃料噴射弁１の内室２９を弁ニードル３の切欠き２２に接続しているので、中央の燃料供給部１６を介して供給されかつフィルタエレメント２５によって濾過された燃料を、フランジ１４の軸方向の孔２１と弁ニードル３の切欠き２２とを介してシール座にガイドすることができる。この場合、弁ニードル３は複数の通流開口２６を有している。これらの通流開口２６を通って燃料が弁ニードル３の切欠き２２から流出する。
【００２１】
電磁コイル１０が電気的な線路（図示せず）を介して励磁されると、磁界が形成される。この磁界はプランジャ２０を戻しばね２３の力に抗して内側磁極１３に引き寄せる。この場合、プランジャ２０の流入側の端面３０と内側磁極１３との間の作業ギャップ２７が閉鎖される。
【００２２】
フランジ１４はプランジャ２０にこのプランジャ２０の切欠き１９を貫通して係合しているので、フランジ１４はプランジャ２０と共に燃料噴射弁１の作動時に行程方向で運動させられる。これによって、フランジ１４に溶接シーム１５を介して、動力が伝達されるように結合された弁ニードル３が同じく行程方向で運動させられるだけでなく、少なくとも１つの燃料通路１１も開放される。これによって、中央の燃料供給部１６を介して供給された燃料が燃料噴射弁１の内室２９を介して少なくとも１つの燃料通路１１を通って弁ニードル３の切欠き２２内に流入する。その後、通流開口２６を通って燃料はシール座に到達し、噴射開口７を介して燃焼室（図示せず）内に噴射される。
【００２３】
コイル電流が遮断されると、磁界が十分に減少した後、プランジャ２０がフランジ１４に対する戻しばね２３の押圧によって内側磁極１３から降下する。これによって、フランジ１４に作用結合された弁ニードル３が行程方向とは逆方向に運動させられる。これによって、弁閉鎖体４が弁座面６に載置し、燃料噴射弁１が閉鎖される。プランジャ２０は、第２のフランジによって形成されたプランジャストッパに載置する。
【００２４】
図２には、燃料噴射弁１を通流する通流量ｑ_ｄｙｎが燃料噴射弁１の弁ニードル３の行程に関連して概略的に示してある。
【００２５】
少なくとも１つの燃料通路１１を上述したように配置することによって、燃料噴射弁１を通る燃料の動的な通流量ｑ_ｄｙｎを弁ニードル３の行程に関連して図示する特性線を生ぜしめることができるかもしくはモデル化することができる。この場合、弁ニードル３の適宜な行程調整によって、獲得したい通流量精度の枠内で必要となる燃料と同じくらい多くの燃料が燃料噴射弁１を通流する。
【００２６】
少なくとも１つの燃料通路１１が肩部２４によりカバーされていることによって、開放動作の開始時に燃料はシール座に流れることができない。少なくとも１つの燃料通路１１の開放時に初めて、図２に示したように、動的な通流量ｑ_ｄｙｎが迅速にかつほぼ段状に飽和値に向かって上昇する。
【００２７】
説明した手段によって、燃料噴射弁１の動特性を改善することができ、製作費用を削減することができる。なぜならば、プランジャ自由路（Ａｎｋｅｒｆｒｅｉｗｅｇ）の構造が不要となり、燃料噴射弁１を通流する最小の燃料量を最小限に抑えることが得られるからである。
【００２８】
この場合、少なくとも１つの燃料通路１１は、絞りとして作用するのではなく、燃料通路１１の開放後、燃料噴射弁１を通る絞られない燃料流を許容するように寸法設定されている。
【００２９】
本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、たとえば混合気圧縮型の自己着火式の内燃機関のための燃料噴射弁１にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１Ａ】 本発明により形成された燃料噴射弁の閉鎖状態の実施例を示す概略的な断面図である。
【図１Ｂ】 本発明により形成された燃料噴射弁の開放状態の実施例を示す概略的な断面図である。
【図２】 図１Ａおよび図１Ｂに示した本発明による燃料噴射弁の弁ニードルの行程に関連した動的な通流量ｑ_ｄｙｎの概略図である。
【符号の説明】
１ 燃料噴射弁、 ２ ノズルボディ、 ３ 弁ニードル、 ４ 弁閉鎖体、 ５ 弁座体、 ６ 弁座面、 ７ 噴射開口、 ８ 溶接シーム、 ９ 外側磁極、 １０ 電磁コイル、 １１ 燃料通路、 １２ コイル枠体、 １３ 内側磁極、 １４ フランジ、 １５ 溶接シーム、 １６ 燃料供給部、 １７ 差込みコンタクト、 １８ プラスチック被覆体、 １９ 切欠き、 ２０ プランジャ、 ２１ 孔、 ２２ 切欠き、 ２３ 戻しばね、 ２４ 肩部、 ２５ フィルタエレメント、 ２６ 通流開口、 ２７ 作業ギャップ、 ２８ シール部材、 ２９ 内室、 ３０ 端面、 ３１ スリーブ

Claims (10)

1. 燃料噴射弁（１）であって、電磁コイル（１０）が設けられており、該電磁コイル（１０）が、戻しばね（２３）によって負荷されたプランジャ（２０）と協働するようになっており、該プランジャ（２０）が、弁ニードル（３）と共に、軸方向に運動可能な弁部分を形成しており、弁ニードル（３）に弁閉鎖体（４）が設けられており、該弁閉鎖体（４）が、弁座体（５）と共にシール座を形成している形式のものにおいて、
   プランジャ（２０）に該プランジャ（２０）の切欠き（１９）を貫通して係合していて、動力が伝達されるように弁ニードル（３）に結合されたフランジ（１４）が、半径方向の少なくとも１つの燃料通路（１１）を有しており、該燃料通路（１１）によって、当該燃料噴射弁（１）の作動時に当該燃料噴射弁（１）の内室（２９）が、弁ニードル（３）の切欠き（２２）に接続可能であり、少なくとも１つの燃料通路（１１）が、内側磁極（１３）の肩部（２４）によって閉鎖位置でカバーされていることを特徴とする、燃料噴射弁。
2. 当該燃料噴射弁（１）の内室（２９）が、当該燃料噴射弁（１）の閉鎖状態で弁ニードル（３）の切欠き（２２）に対して閉鎖されている、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 当該燃料噴射弁（１）の内室（２９）が、当該燃料噴射弁（１）の開放状態で弁ニードル（３）の切欠き（２２）に接続されている、請求項１または２記載の燃料噴射弁。
4. フランジ（１４）が、その流出側の端部で弁ニードル（３）の切欠き（２２）内に押し込まれている、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
5. フランジ（１４）が、プランジャ（２０）の流入側の端面（３０）に支持されている、請求項４記載の燃料噴射弁。
6. フランジ（１４）の流入側の面に戻しばね（２３）が支持されている、請求項４または５記載の燃料噴射弁。
7. 戻しばね（２３）が、弁ニードル（３）をプランジャ（２０）とフランジ（１４）とを介して閉鎖方向で負荷している、請求項６記載の燃料噴射弁。
8. 肩部（２４）が、内側磁極（１３）と一体に形成されている、請求項１記載の燃料噴射弁。
9. 燃料が絞られることなしにシール座に流れるように、少なくとも１つの燃料通路（１１）が寸法設定されている、請求項１から８までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
10. 弁ニードル（３）が管状に形成されていて、複数の通流開口（２６）を有している、請求項１から９までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。

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