JP4063517B2 - 縁始末不要な裾を有する衣料 - Google Patents

縁始末不要な裾を有する衣料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも腹部と臀部を覆い股部を有している衣料であって、カーブした縁始末不要な裾を有する衣料に関するものである。特に、本発明は衣料後側における裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿う裾ラインを有している経編地を用いた伸縮性を有する衣料であって、少なくとも衣料後側における裾ラインがカーブしており、且つ縁始末不要な裾を有する衣料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ショーツ、ショートタイプのガードル、ボディスーツ、テディ、水着、レオタードなど、少なくとも腹部と臀部を覆い股部を有していて、衣料後側における裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側方向に向かう裾ラインを有する衣料は、フィットタイプの女性用衣料として、広く普及している。
【0003】
通常、これらの衣料の裾部分の最下端部分は、裾縁のほつれを防止するため、折り返して縫製するなど、縫製段階において、更に裾部分の処理が必要であり、また、通常、裾端部分を折り返して縫製するだけでなく、伸縮性テープなどを更に縫合により取り付けている。裾端部分を折り返して縫製すると、その部分の厚みが厚くなり、厚みの相違による段差があるため、その段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題がある。しかも、折り返された部分は、生地が2重になっており、厚みが厚く、縫合糸が存在するので、着用感が低下することになる。伸縮性テープなどが更に取り付けられている場合には、肌への食い込みなど、着用感が一層低下し、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、これらの問題を解決するために、衣料の裾部分を折り返して縫製するなどの裾の縁始末を必要としない裾部を有する衣料も用いられてきている。
【0005】
この様な裾の縁始末を必要としない編物の製造方法は知られているが、例えば、日本実公昭47−9946号などや、日本特開2000−303331号の図2に説明されている、いわゆる経編地の端部を糸抜きの手法を応用して作ることができる。
【0006】
しかしこのような糸抜きの手法によって得られた裾縁部は、裾ラインが直線状のものしか得られないと言う問題がある。裾ラインが直線状であると、衣料後側の裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側方向に向かう裾ラインを有する衣料の当該裾部に適用した場合に、裾ラインが臀部の丸い膨らみの外側をカーブして包み込むようなラインにならないので、裾ラインが臀部の丸い膨らみの立体構造に沿いにくく、裾ラインが一部の部分で臀部の丸い膨らみの中腹部を通過する様な状態になる。このような衣料は、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易いと言う問題がある。
【0007】
また、経編レース地で、波状のスカラップが裾ラインに形成されている衣料も知られている。この場合は、裾ラインにほつれ防止糸が編み込まれているので、前記と同様に裾部分を折り返して縫合するなどの、縁始末をする必要のない波状のスカラップが形成された裾を有する衣料を提供できる。
【0008】
この従来のスカラップが形成された裾部分を説明するために、図30と図31に、従来より衣料に用いられている波状のスカラップが形成された裾部分の部分平面概念図を示した。図30は同じ大きさ、形状、のスカラップ500が繰り返し複数個形成されている例であり、図31は、小さめの大きさのスカラップ511とそれより大きめのスカラップ510が交互に繰り返し複数個形成されている例である。
【0009】
しかし、いずれも、スカラップはほぼ直線状に並んで形成されており、スカラップ曲線のほぼ頂点でスカラップ曲線に接してスカラップの曲線群を包み込む様な線、これを“包絡線”と言うが、包絡線501が直線状であり、スカラップ状の小カーブを有し且つ全体としてその包絡線が曲線状になっているものではない。尚、スカラップに大小がある場合には、本発明においては、外側に突出している方のスカラップの包絡線を、本発明における包絡線とする。
【0010】
図32に、後ろ裾部が経編みレース地からなり、且つ図30に示したような形状のスカラップ500が繰り返し複数個形成されている従来のショーツの前側から見た平面図を示した。図32は、このショーツを左右の脇ライン602を境界線として、ショーツの前側と後側になるように扁平に前記ショーツを折り畳んだ状態でのショーツの前側から見た平面図である。このショーツの裾縁は、レースで採用されているほつれ防止糸が編み込まれていて、縁始末不要な裾となっている。しかし、後側の裾ライン601aの複数個のスカラップはほぼ直線状に並んで形成されており、スカラップの曲線(すなわち裾ライン601aの曲線)に接して各スカラップ500の頂点を結ぶスカラップの曲線群を包み込む様な線、すなわち前述した包絡線501は直線状であり、スカラップ状の小カーブを有し且つ全体としてその包絡線が曲線状になっているものではない。尚、図32において、600は前部の腹部充当部片、601が、前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、前脇部−脇部−後部充当部片601は、左半身用と右半身用のそれぞれの部片601同士が、後中心において互いに縫合されている(図示されてはいない)。603は前裾部片、604はクロッチ部片を示す。
【0011】
従来のこのようにスカラップが設けられていてもその包絡線が、直線状の裾ラインの場合には、説明を簡略化するため、以後、本発明では、裾ラインが直線状であると略称することがある。このようにスカラップが設けられていても裾ラインが直線状である場合には、前述した、スカラップなどの形成されていない糸抜きの手法によって形成された縁始末不要な直線状の裾ラインを有する裾を具備した衣料と同様に、裾ラインが全体的に直線状であり、裾ラインが臀部の丸い膨らみの外側をカーブして包み込むようなラインにならないので、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿いにくく、裾ラインが一部の部分で臀部の丸い膨らみの中腹部を通過する様な状態になる。このような場合、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易いと言う問題がある。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決し、縁始末が不要な裾で、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側にカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくく、裾部のフィット性が良好で、縁始末不要な裾を有する衣料を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、次の様な縁始末不要な裾を有する衣料を提供するものである。
【0014】
(1)少なくとも腹部と臀部を覆い股部を有していて、衣料後側における裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿う裾ラインを有している経編地を用いた伸縮性を有する衣料であって、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、衣料後側の裾ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線をaとすると、当該衣料後側の裾ラインは、裾ラインの上端と下端の間が、全体として仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状、または、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、且つ前記大カーブ状のカーブの曲率が裾ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっており、仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが1〜5cmの範囲であり、少なくとも衣料後側における裾が、縁始末不要な裾を有する衣料。
【0015】
(2)少なくとも衣料後側における裾部において、裾縁に沿って伸縮パワーが強化された領域を有し、前記伸縮パワーが強化された領域のパターンが、裾ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンである前記(1)項に記載の衣料。
【0016】
(3)伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの大きい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より小さい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる前記(2)項に記載の衣料。
【0017】
(4)伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの小さい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる前記(2)項に記載の衣料。
【0018】
(5)伸縮パワーの大きい領域が、比較的太い伸縮性糸が挿入されている領域であり、伸縮パワーが前者より小さい領域が、伸縮パワーの大きい領域に挿入されている伸縮性糸より細い伸縮性糸が挿入されている領域である前記(3)項または(4)項のいずれかに記載の衣料。
【0019】
(6)伸縮パワーの大きい領域が、単位当たりの伸縮性糸の挿入本数が多い領域であり、伸縮パワーが前者より小さい領域が、単位当たりの伸縮性糸の挿入本数が伸縮パワーの大きい領域より少ない領域である前記(3)項または(4)項のいずれかに記載の衣料。
【0020】
(7)伸縮パワーが強化された領域の幅が、1〜5cmである前記(2)〜(6)項のいずれかに記載の衣料。
【0021】
(8)伸縮パワーが強化された領域の幅が、2〜4cmである前記(2)〜(6)項のいずれかに記載の衣料。
【0022】
(9)衣料後側の裾ラインが、滑らかな1つの弧状の大カーブ状のカーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該裾ラインの上端と下端の間の当該カーブの長さが、13〜20cmであり、また、衣料後側の裾ラインが、スカラップ状の小カーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該スカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線の裾ラインの上端と下端の間のカーブの長さが、13〜20cmである前記(1)〜(8)項のいずれかに記載の衣料。
【0023】
(10)縁始末不要な裾が、ほつれ防止糸が裾縁に沿って編み込まれてなる縁始末不要な裾である前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の衣料。
【0024】
(11)衣料後側が、少なくとも裾縁部から臀部上方部まで連続した一体の経編地2枚を後中心で縫合して形成されている前記(1)〜(10)項のいずれかに記載の衣料。
【0025】
(12)衣料後側を充当する身頃が、立体裁断された身頃であり、当該立体裁断された左右の身頃が後中心で縫合され形成されている前記(1)〜(11)項のいずれかに記載の衣料。
【0026】
(13)仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが1.5〜4cmの範囲である前記(1)〜(12)項のいずれかに記載の衣料。
【0027】
(14)経編地がシングルラッセル編からなる前記(1)〜(13)項のいずれかに記載の衣料。
【0028】
(15)少なくとも後裾部を形成する経編地が経編レース地からなる前記(1)〜(14)項のいずれかに記載の衣料。
【0029】
(16)衣料が、ショーツ、ショートタイプのガードル、ボディスーツ、テディ、水着、レオタードから選ばれた衣料である前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の衣料。
【0030】
(17)衣料が、ショーツまたはショートタイプのガードルであり、当該衣料は、その左半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地と右半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地とが、前中心と後中心で縫合されて形成されており、それぞれの生地の前部−脇部−後部の裾縁とウェスト側の縁がともに、縁始末不要な縁からなる前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の衣料。
【0031】
(18)臀部の膨らみを充当する部分が、臀部の膨らみの立体形状に沿うように、加熱成形されている前記(1)〜(17)項のいずれかに記載の衣料。
【0032】
(19)衣料が少なくともほぼ横方向に伸縮性を有する前記(1)〜(18)項のいずれかに記載の衣料。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショートタイプのガードルの前側から見た平面図、図2は、図1のガードルの後側から見た背面図である。図1、図2はそれぞれ、ガードルの左右の脇ライン3を境界線として、ガードルの前側と後側になるように扁平に前記ガードルを折り畳んだ状態でのガードルの平面図並びに背面図である。
【0034】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0035】
左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の後ろ側の臀部の膨らみを充当する部分は、臀部の膨らみの立体形状に沿うように、加熱成形されている。この成形は、例えばモールド成形や、気体状加熱媒体による熱セット成型法(例えば日本特許第3201578号公報参照)などによって行われる。かかる成形をしておくことにより、後部をカバーする生地の臀部の膨らみに相当する箇所を膨らませることができ、裏打ちなどのない1枚物の生地であっても、臀部の膨らみに追従でき、臀部の立体形状へのフィット性が向上し好ましい。
【0036】
このガードルは、シングルラッセル編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はガードルのほぼ横方向である。4aで示される裾縁ライン、すなわちA−C−Bのラインが、本ガードルの後側における裾ライン(以後、“後裾縁ライン”と略称する事がある。)であり、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。尚、本ガードルを形成する経編地としては、シングルラッセル編地の代わりに、シングルラッセルレース地を用いてもよい。
【0037】
ここで、衣料(ここではガードル)の後裾縁ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線aとは、左右の脇ライン3を境界線として、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、後裾縁ライン4aと脇ライン3の交点Aが後裾縁ラインの上端であり、後裾縁ライン4aとクロッチ部片6の交点Bが後裾縁ラインの下端である。この点Aと点Bを通る直線が、後裾縁ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線aであり、符号9が付されている。なお、図示していないが、後側の左右の身頃とクロッチ部片が連続した生地からなる場合などの様に、後側の左右の身頃とクロッチ部片の縫合箇所が存在しない場合には、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、後裾縁ラインの最下点を後裾縁ラインの下端とする(以下、本発明において、同様である)。
【0038】
図1、図2で示されたガードルの後裾縁ライン4aは、その上端と下端の間が、全体として仮想直線a9から外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインを呈しており、且つ前記大カーブ状のカーブの曲率が裾縁ラインの上端A側のカーブ(例えばA−Cラインのカーブ)の曲率よりも下端B側のカーブ(例えばC−Bラインのカーブ)の曲率が大きいカーブになっている事が必要である。臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を発揮させる上でも、上記の条件を満足する事が必要である。
【0039】
尚、本発明において、“滑らかな1つの弧状の大カーブ状”の曲線とは、後述するような、裾部により小さなカーブを有する複数のスカラップが形成されている場合の当該スカラップのカーブと区別するため、スカラップのカーブを小カーブと称し、本態様の様なスカラップが形成されおらず、カーブしている裾縁のラインを示すため、“滑らかな1つの弧状の大カーブ状”の曲線と表現したものである。“大カーブ状”とは、上記で定義した後裾縁ラインの上端と下端の間の裾縁ラインが、スカラップの様なより小さなカーブを複数個有するものでなく、1つの弧状のカーブになっていることを意味している。
【0040】
そして仮想直線a9から垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分b(すなわちこの例ではD−C間の距離)が1〜5cmであることが必要であり、bの長さは、好ましくは、1.5〜4cm、より好ましくは、2〜3.5cmの範囲である。bの長さが、1cmより短いと、後裾縁ライン4aが直線状のラインの場合の欠点と同様の欠点が発生しやすく、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易く、本発明の目的が達成できない。またbの長さが、5cmを越える場合には、後裾部が不必要に長くなりすぎ、折れ畳まれてまくれ上がりなどが生じ、好ましくない。尚、本実施の形態例のガードルにおいては、bの長さを2.5cmとした。また、後裾縁ライン4aの長さ、すなわちA−C−Bの曲線の長さは、衣料の種類や、サイズによっても変わるが、通常13〜20cmの範囲が好ましい。本実施の形態例においては、この後裾縁ライン4aの長さをMサイズで17cmとした。これらの条件は、以下の実施の形態例についても、特に断らない限り同様である。
【0041】
また、特に限定するものではないが、後裾縁ラインの上端Aと下端Bとを通る仮想直線aと、仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ラインまでの距離の最も長い部分bの直線(図中のC−D直線)の交点Dの位置は、仮想直線aのA−B間の長さLを基準にすると、点AからLの長さの60〜80%の位置であることが好ましく、より好ましくは65〜80%の位置、最も好ましくは70〜75%の位置である。これらの条件は、本発明に共通しており、他の実施の形態例等においても同様であるので、以後説明を省略している。本実施の形態例及び以下に述べる実施の形態例では、特に断らない限り、交点Dの位置を点AからLの長さの74%の位置とした。
【0042】
かくして得られた本発明のガードルは、縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい縁始末不要な裾を有するショートタイプのガードルを提供できる。
【0043】
尚、本実施の形態例に示したガードルは、ショーツに適用することもできる。ショーツに適用する場合には、ガードルより衣料としての伸縮パワーがやや小さめになるよう、伸縮性糸の太さや、挿入本数などを変更してもよいし、ガードルにおいて、腹部充当部片1の裏側に、お腹押さえ用の裏打ち布が更に設けられている場合には、当該裏打ち布の存在しない態様にしてもよい。
【0044】
次に、図3、図4に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショーツの実施の形態例を示した。
【0045】
図3は、本発明の衣料であるショーツの前側から見た平面図、図4は、図3のショーツの後側から見た背面図である。図3、図4はそれぞれ、ショーツの左右の脇ライン3を境界線として、ショーツの前側と後側になるように扁平に前記ショーツを折り畳んだ状態でのショーツの平面図並びに背面図である。
【0046】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されているが、左右の脇下側に前裾充当部片20が更に縫合ライン21で縫合されている。また前裾充当部片20は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0047】
このショーツは、シングルラッセルレース地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。尚、レース模様は、図3の右側部分にのみ示して、図3の左側部分や、図4においては図示を省略した。
【0048】
腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はショーツのほぼ横方向である。前裾充当部片20の編み立て方向(ウェール方向)は、裾縁ライン22が全体的に傾斜している方向の斜め方向である。4aで示される後裾縁ライン、すなわちA−C−Bのラインが、本ショーツの後裾縁ラインであり、波状のスカラップ23が形成されている。そしてスカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの大カーブ状を呈しており、全体的に臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。尚、前裾充当部片20の裾縁も縁始末不要な裾となっている生地を採用した。
【0049】
ここで、衣料(ここではショーツ)の後裾縁ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線aとは、左右の脇ライン3を境界線として、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、後裾縁ライン4aと脇ライン3の交点Aが後裾縁ラインの上端であり、後裾縁ライン4aとクロッチ部片6の交点Bが後裾縁ラインの下端であることは、図1、図2で説明した通りである。この点Aと点Bを通る直線が、後裾縁ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線aであり、符号9が付されている。図3、図4で示されたショーツ後裾縁ライン4aは、図1、図2で示されたショーツの後裾縁ライン4aと異なり、波状のスカラップ23が形成されている。そしてスカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状を呈している。スカラップの曲線のほぼ頂点に接してスカラップの曲線群を包み込む様な線、これを前述したように“包絡線”と言うが、包絡線4nが仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状となっていることを意味する。もし、図31などで説明したように、小さめの大きさのスカラップとそれより大きめのスカラップとが交互に繰り返し複数個形成されている場合には、最も外側に突出しているスカラップ同士のほぼ頂点を結ぶ包絡線を採用する。尚、本発明においてスカラップを有する態様において、“大カーブ状を呈している”とは、包絡線4nのカーブが各スカラップの個々の小さなカーブより大きいカーブとなっており、全体として包絡線4nである1つの弧状のカーブであることを意味している。
【0050】
尚、通常、このような曲線は単に「包絡線」と表現すれば十分であるが、よりその意味を簡単に概括的に理解しやすくするため“スカラップの小カーブのほぼ頂点を結ぶ”包絡線と言うと言う修飾語を補った。包絡線は必ずしも厳密にスカラップの小カーブの頂点を通るとは限らず、そのカーブの形状によって多少頂点をずれて通ることもしばしばあるので、“ほぼ頂点を結ぶ”と表現したものである。
【0051】
ちなみに、「包絡線」とは、例えば、日本機械学会著及び発行(発行日:1997年8月20日)の「機械工学事典」(JSME Mechanical Engineering Dictionary)第1228頁左欄に“曲線群全部をなめらかに包み込む曲線”などと解説されており、より専門的には、“x、y面の曲線f(x、y;c)=0がパラメータcによる群を構成するとき、すべてのcに対するf=0に同時に接する(曲線群全部をなめらかに包み込む)曲線をいい、f(x、y;c)=0、∂f/∂c=0からcを消去して求められる。”と解説されている。更に、株式会社研究社発行「研究社 新英和大辞典」第5版31刷1996年の第697頁左欄の“Envelope”の項の第4項に「包絡線は一群の曲線または曲面のすべてに接する曲線または曲面」と解説されている。
【0052】
そして、本発明においては、後裾縁ラインの上端と下端の間が、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が、仮想直線a9から外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状の曲線ライン(すなわち包絡線が曲線ラインとなる)となっており、且つ前記大カーブ状のカーブの曲率、すなわち前記包絡線の曲率が、裾縁ラインの上端A側の当該包絡線のカーブ(例えばA−Cラインのカーブ)の曲率よりも下端B側の当該包絡線のカーブ(例えばC−Bラインのカーブ)の曲率が大きいカーブになっている事が必要である。臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を発揮させる上でも、上記の条件を満足する事が必要である。そして仮想直線a9から垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分b(すなわちこの例ではD−C間の距離)が1〜5cmであることが必要であり、bの長さは、好ましくは、1.5〜4cm、より好ましくは、2〜3.5cmの範囲である。bの長さが、1cmより短いと、後裾縁ライン4aが直線状のラインの場合の欠点と同様の欠点が発生しやすく、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易く、本発明の目的が達成できない。またbの長さが、5cmを越える場合には、後裾部が不必要に長くなりすぎ、折れ畳まれてまくれ上がりなどが生じ、好ましくない。尚、本実施の形態例のショーツにおいては、bの長さを3.5cmとした。また、後裾縁ライン4aの包絡線4nのA点からB点までの長さは、前記と同様に、衣料の種類や、サイズによっても変わるが、通常13〜20cmの範囲が好ましい。本実施の形態例においては、この後裾縁ライン4aの包絡線の長さをMサイズの衣料において18.5cmとした。これらの条件は、以下の実施の形態例についても特に断らない限り同様である。
【0053】
尚、図5に左側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図を示した。但しレース模様の記載は省略している。右側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図は、図示していないが、図5と左右線対称になる。
【0054】
図5において、f−gのラインが、図3の縫合ライン5に相当するラインであり、g−hのラインが、図3、図4の前脇部の裾縁ライン4bと後裾縁ライン4aに相当するラインであり、f−jのラインが、図4のウェスト部8の一部に相当するラインであり、h−iのラインがクロッチ部片6に縫合されるラインであり、j−iのラインが図4の後中心の縫合ライン7に相当するラインである。
【0055】
図5において、縫合前の後中心側の裁断ライン(j−iのライン)は、後中心側に膨らんだ凸のカーブになった立体裁断となっている。このように、互いに後中心側に膨らんだ凸のカーブの立体裁断ラインの左右の後身頃(この例では左右の前脇部−脇部−後部充当部片4)同士を、後中心で縫合することにより、ヒップの立体形状に沿う衣料を形作ることができ、着用感並びに裾部にフィット性も向上し、好ましい。
【0056】
尚、図5に示したような、変則的なカーブを有する身頃生地は、経編機で編む際に、編地の幅方向に1つの当該身頃生地のパターンが配置されるように編むのではなく、カーブした縁始末不要な裾縁ラインがそれぞれ左右の外側になるように左右の身頃生地を幅方向に向かい合わせにして左右線対称になるように同時に編むことが好ましい。裁断する際には、後述するように、カーブした縁始末不要な裾縁ラインに沿ってカットした後、左右の身頃生地の対称軸に沿って、2つ折りにすることにより、左右の身頃生地が重なり、二重となる。二重にしておいて、必要な裁断ラインに沿って裁断することにより、正確に左右線対称形状の左右の身頃を形成できるので好ましい。上述したように、カーブした縁始末不要な裾縁ラインがそれぞれ左右の外側になるように左右の身頃生地を幅方向に向かい合わせにして左右線対称になるように同時に編むと、変則的なカーブラインの部分も、左右同じピッチで編むことができ、左右別々に編んだ場合の様な、同じ太さ、同じ種類の糸の編地幅方向の左右不均一偏在による生地の歪みが生じることが防止でき、左右の身頃生地のパターンが左右非対称になることを防止でき好ましい。
【0057】
また、もし、図5に示したような、左身頃のみを編んで、所定のパターンに裁断した後、裏返して右身頃に使用することはできない。なぜなら、生地の表と裏は、明確に区別されているからである。以上の事項は、本発明において共通して言える好ましい条件である。従って、他の実施の形態例においては、記載を省略することがある。
【0058】
ところで、図5に示された様な、前脇部−脇部−後部充当部片4は、縫合する前の生地の状態で、前述の定義に従い、完成した衣類に対応する箇所の点Aと点Bを結ぶ対応する仮想直線aを引き、仮想直線aから垂直方向に測定した後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bの長さを測定すると、縫合前の生地の状態では、bの長さが、衣料に仕上げた状態で前記定義に従って測定したbの長さより短く、また、A−B間の仮想直線aの長さは、縫合前の生地の状態の方が、衣料に仕上げた状態て測定した値よりも長くなっていると言う現象が観測される。
【0059】
この理由は、前述のように立体裁断された後身頃を互いに後中心で縫合することにより、目的の衣料に仕上げた際に、身頃生地が多少変形し、また立体裁断の身頃を用いて形成された衣料自体は、本来、膨らみのある人体の立体形状に沿うような立体形状をしているが、それを無理に当該衣料の左右の脇ラインを境界線として、衣料の前側と後側になるように衣料を扁平に折り畳んだ状態にして測定するため、皺や歪みが生じているからと推定される。しかし、本発明で言う前記bの長さや後裾ラインの上端と下端の間のカーブの長さあるいはその包絡線の長さ等はすべて、衣料の前側と後側になるように衣料を扁平に折り畳んだ状態における長さを言うのである。このことはこのこの実施の形態例のみに限られるものではなく、本発明に共通に言えることである。従って、他の実施の形態例においては、記載を省略することがある。
【0060】
かくして得られた本発明のショーツは、スカラップを有する縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくいレース状のスカラップを有し縁始末不要な裾を有するショーツを提供できる。特にレース状のスカラップを有しており、その包絡線が全体として仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状となっているので、意匠的にも美しく、好ましい。
【0061】
尚、上記ショーツを構成している糸使いは、この実施の形態例においては、ナイロン糸51%、レーヨン糸5%、ポリエステル糸2%、ポリウレタン糸42%であり、使用した糸の種類と、太さは、ナイロン糸は44デシテックス、ポリウレタン糸は156デシテックスと200デシテックス、ポリウレタン糸がナイロン糸でカバリングされたカバリング糸は78デシテックス、レーヨン糸は167デシテックス、ポリエステル糸は84デシテックスである。ナイロン糸、ポリエステル糸、レーヨン糸は地編みとレース柄模様の部分に使用され、200デシテックスポリウレタン糸は各ウェール1本づつに相当する割合で挿入されていて、生地状態での経て方向(本衣料で言えば横方向)の伸縮性を付与し、78デシテックスのナイロンカバリングされたポリウレタン糸は生地全体に、各ウェール1本づつに相当する割合で挿入されているが、ウェール方向への振り(別のウェールにまたがって糸が振られること)を大きくして挿入されており、生地状態での横方向(本衣料で言えば縦方向)の伸縮性を付与するために使用されている。156デシテックスのポリウレタン糸は、2本そろえて(156×2=312デシテックス)カーブした裾縁部分に挿入されている。これは、一具体例を示したものであり、この糸使いに限定されるものではない。
【0062】
尚、本実施の形態例に示したショーツは、ショートタイプのガードルに適用することもできる。
【0063】
次に、図6、図7に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例を示した。
【0064】
図6は、本発明の衣料であるショートタイプのガードルの前側から見た平面図、図7は、図6のガードルの後側から見た背面図である。図6、図7はそれぞれ、ガードルの左右の脇ライン3を境界線として、ガードルの前側と後側になるように扁平に前記ガードルを折り畳んだ状態でのガードルの平面図並びに背面図である。
【0065】
図6、図7に示されたショートタイプのガードルは、裾縁ライン4aに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有している点が、図1、図2に示したショートタイプのガードルと主として異なっている。従って同一部分には同一の符号を付している。
【0066】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0067】
このガードルは、シングルラッセル編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はガードルのほぼ横方向である。4aが後裾縁ラインであり、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。
【0068】
そして、このガードルは、裾縁ライン4a、4bに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、裾縁ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。
【0069】
この伸縮パワーが強化された領域25の幅は、1〜5cmの範囲が好ましく、特に2〜4cmが好ましい。この範囲の幅とすることにより、伸縮パワーが強化された部分が、面状に着用者の肌を押圧するので、着用者の肌に食い込むことがなく、しかもあまりに伸縮パワーが強化された領域の幅が広すぎて臀部の膨らみ箇所を押圧し、着用感を低下させると言うこともなく、裾部のフィット性を高め、裾部のずり上がりをより効果的に防止でき、ヒップアップ機能も発揮でき好ましい。このことは、本発明の他の実施の形態例についても同様に適用できる。
【0070】
この実施形態例では、伸縮パワーが強化された領域25は、複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなり、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域25aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域25aより小さい領域25bからなっている。前脇部−脇部−後部充当部片4の伸縮パワーがより小さい領域25bの更に内側の領域は、領域25bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0071】
すなわち、前脇部−脇部−後部充当部片4は、領域25a、領域25bも含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、裾縁ラインのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けることができる。
【0072】
こうすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0073】
尚、本ガードルを形成する経編地としては、シングルラッセル編地の代わりに、シングルラッセルレース地を用いてもよい。
【0074】
図6、図7で示されたガードルの後裾縁ライン4aは、その上端Aと下端Bの間が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインを呈しており、且つ前記カーブの曲率については、裾縁ラインの上端A側のカーブの曲率よりも下端B側のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。
【0075】
そして仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例のガードルにおいては、2cmとした。また、後裾縁ライン4aの曲線A−Bの長さは、Mサイズの衣料において16cmとした。
【0076】
かくして得られた本発明のガードルは、縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい縁始末不要な裾を有するショートタイプのガードルを提供できる。領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができる。
【0077】
尚、本実施の形態例に示したガードルは、ショーツに適用することもできる。
【0078】
また、要求に応じて、伸縮パワーが強化された領域25において、裾縁側が伸縮パワーの小さい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域としてもよい。
【0079】
次に、図8、図9に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショーツの別の実施の形態例を示した。
【0080】
図8は、本発明の衣料であるショーツの前側から見た平面図、図9は、図8のショーツの後側から見た背面図である。図8、図9はそれぞれ、ショーツの左右の脇ライン3を境界線として、ショーツの前側と後側になるように扁平に前記ショーツを折り畳んだ状態でのショーツの平面図並びに背面図である。図8、図9に示されたショーツは、裾縁ライン4aに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有している点が、図3、図4に示したショーツと主として異なっている。従って同一部分には同一の符号を付している。
【0081】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されているが、左右の脇下側に前裾充当部片20が更に縫合ライン21で縫合されている。また前裾充当部片20は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0082】
このショーツは、シングルラッセルレース編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。尚、レース模様は、図示を省略した。
【0083】
腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はショーツのほぼ横方向である。前裾充当部片20の編み立て方向(ウェール方向)は、裾縁ライン22が全体的に傾斜している方向の斜め方向である。4aで示される裾縁ラインは、本ショーツの後裾縁ラインであり、波状のスカラップ23が形成されている。前述した定義に従い、衣料後側の裾縁ラインの上端Aと下端Bを結ぶ仮想直線をaとすると、後裾縁ライン4aは、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が、仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、全体的に臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、上述の充当部片4の前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。更に、前裾充当部片20の裾縁も縁始末不要な裾となっている生地を採用した。
【0084】
そして、このショーツは、後裾縁ライン4aに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、裾縁ライン4aの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。
【0085】
この伸縮パワーが強化された領域25の幅は、1〜5cmの範囲が好ましく、特に2〜4cmが好ましい。この範囲の幅とすることにより、伸縮パワーが強化された部分が、面状に着用者の肌を押圧するので、着用者の肌に食い込むことがなく、しかもあまりに伸縮パワーが強化された領域の幅が広すぎて臀部の膨らみ箇所を押圧し、着用感を低下させると言うことなく、裾部のフィット性を高め、裾部のずり上がりをより効果的に防止でき、ヒップアップ機能も発揮でき好ましい。このことは、本発明の他の実施の形態例についても同様に適用できる。
【0086】
この実施形態例では、伸縮パワーが強化された領域25が、複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなり、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域25aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域25aより小さい領域25bからなっている。前脇部−脇部−後部充当部片4の領域25bの更に内側の領域は、領域25bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0087】
すなわち、前脇部−脇部−後部充当部片4は、領域25a、領域25bも含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、裾縁ライン4aのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けることができる。こうすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいショーツとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0088】
なお、この実施の形態例においては、前裾充当部片20の裾縁ライン22も波状のスカラップが形成されており、縁始末不要な裾としている。そして前裾縁ライン22に沿って伸縮パワーが強化された領域26を前記領域25と同様に設けている。前記伸縮パワーが強化された領域26が、前裾縁ライン22の形状に沿ったカーブを有する略帯状パターンとなっていて、伸縮パワーが強化された領域26が、この実施形態例では、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域26aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域26aより小さい領域26bからなる。前裾充当部片20の領域26bより更に内側の領域は、領域26bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0089】
前裾充当部片20の裾縁ライン22のカーブは、スカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が、直線状となるものか、あるいは、後裾縁ラインとは反対に、凹状のカーブとなっているものが好ましい。
【0090】
そしてこのショーツの後裾縁ライン4aは、図3、図4で示したショーツ後裾縁ライン4aと同様に、波状のスカラップ23が形成されている。そしてスカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が、前記で説明した仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状を呈している。
【0091】
上述したように、本発明においては、後裾縁ラインの上端Aと下端Bの間が、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状の曲線ラインとなっており、且つ前記大カーブ状のカーブ、すなわち前記包絡線、の曲率が、裾縁ラインの上端A側の当該包絡線のカーブの曲率よりも下端B側の当該包絡線のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例では、4cmとした。また、後裾縁ラインの長さは、A−B間の包絡線の長さでMサイズの衣料において19cmとした。
【0092】
尚、図10に左側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図を示した。但しレース模様の記載は省略している。右側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図は、図示していないが、図10と左右線対称になる。
【0093】
図10において、f−gのラインが、図8の縫合ライン5に相当するラインであり、g−hのラインが、図8、図9の前脇部の裾縁ライン4bと後裾縁ライン4aに相当するラインであり、f−jのラインが、図9のウェスト部8の一部に相当するラインであり、h−iのラインがクロッチ部片6に縫合されるラインであり、j−iのラインが図4の後中心の縫合ライン7に相当するラインである。
【0094】
図10において、縫合前の後中心側の裁断ライン(j−iのライン)は、後中心側に膨らんだ凸のカーブになった立体裁断となっている。このように、互いに後中心側に膨らんだ凸のカーブの立体裁断ラインの左右の後身頃(この例では左右の前脇部−脇部−後部充当部片4)同士を、後中心で縫合することにより、ヒップの立体形状に沿う衣料を形作ることができ、着用感並びに裾部にフィット性も向上し、好ましい。
【0095】
尚、図10に示したような、変則的なカーブを有する身頃生地は、経編機で編む際に、編地の幅方向に1つの当該身頃生地のパターンが配置されるように編むのではなく、カーブした縁始末不要な裾縁ラインがそれぞれ左右の外側になるように左右の身頃生地を幅方向に向かい合わせにして左右線対称になるように同時に編むことが好ましい。裁断する際には、後述するように、カーブした縁始末不要な裾縁ラインに沿ってカットした後、左右の身頃生地の対称軸に沿って、2つ折りにすることにより、左右の身頃生地が重なり、二重となる。二重にしておいて、必要な裁断ラインに沿って裁断することにより、正確に左右線対称形状の左右の身頃を形成できるので好ましい。上述したように、カーブした縁始末不要な裾縁ラインがそれぞれ左右の外側になるように左右の身頃生地を幅方向に向かい合わせにして左右線対称になるように同時に編むと、変則的なカーブラインの部分も、左右同じピッチで編むことができ、左右別々に編んだ場合の様な、同じ太さ、同じ種類の糸の編地幅方向の左右不均一偏在による生地の歪みが生じることが防止でき、左右の身頃生地のパターンが左右非対称になることを防止でき好ましい。
【0096】
また、もし、図10に示したような、左身頃のみを編んで、所定のパターンに裁断した後、裏返して右身頃に使用することはできない。なぜなら、生地の表と裏は、明確に区別されているからである。以上の事項は、本発明において共通して言える好ましい条件である。従って、他の実施の形態例においては、記載を省略することがある。
【0097】
ところで、図10に示された様な、前脇部−脇部−後部充当部片4は、縫合する前の生地の状態で、前述の定義に従い、完成した衣類に対応する箇所の点Aと点Bを結ぶ対応する仮想直線aを引き、仮想直線aから垂直方向に測定した後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bの長さを測定すると、縫合前の生地の状態では、bの長さが、衣料に仕上げた状態で前記定義に従って測定したbの長さより短く、また、A−B間の仮想直線aの長さは、縫合前の生地の状態の方が、衣料に仕上げた状態て測定した値よりも長くなっていると言う現象が観測される。
【0098】
この理由は、前述のように立体裁断された後身頃を互いに後中心で縫合することにより、目的の衣料に仕上げた際に、身頃生地が多少変形し、また立体裁断の身頃を用いて形成された衣料自体は、本来、膨らみのある人体の立体形状に沿うような立体形状をしているが、それを無理に当該衣料の左右の脇ラインを境界線として、衣料の前側と後側になるように衣料を扁平に折り畳んだ状態にして測定するため、皺や歪みが生じているからと推定される。しかし、本発明で言う前記bの長さや後裾ラインの上端と下端の間のカーブの長さあるいはその包絡線の長さ等はすべて、衣料の前側と後側になるように衣料を扁平に折り畳んだ状態における長さを言うのである。このことはこの実施の形態例のみに限られるものではなく、本発明に共通に言えることである。従って、他の実施の形態例においては、記載を省略することがある。
【0099】
かくして得られた本発明のショーツは、スカラップを有する縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくいレース状のスカラップを有し縁始末不要な裾を有するショーツを提供できる。特にレース状のスカラップを有しており、その包絡線が全体として仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状になっているので、意匠的にも美しく、好ましい。また、領域25a、26aの伸縮パワーを領域25b、26bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいショーツとすることができる。
【0100】
上記ショーツを構成している糸使いは、ナイロン糸51%、ポリエステル糸3%、ポリウレタン糸46%であり、使用した糸の種類と、太さは、ナイロン糸は44デシテックス、ポリウレタン糸は156デシテックスと200デシテックス、ポリウレタン糸がナイロン糸でカバリングされたカバリング糸は78デシテックス、ポリエステル糸は84デシテックスである。
【0101】
ナイロン糸、ポリエステル糸は地編みとレース柄模様の部分に使用され、200デシテックスポリウレタン糸は各ウェール1本づつに相当する割合で挿入されていて、生地状態での経て方向(本衣料で言えば横方向)の伸縮性を付与し、78デシテックスのナイロンカバリングされたポリウレタン糸は生地全体に、各ウェール1本づつに相当する割合で挿入されているが、ウェール方向への振り(別のウェールにまたがって糸が振られること)を大きくして挿入されており、生地状態での横方向(本衣料で言えば縦方向)の伸縮性を付与するために使用されている。156デシテックスのポリウレタン糸は、伸縮パワーの大きい領域25aと領域26aの部分には、2本ずつまとめて(156×2=312デシテックス)裾縁のカーブに沿った形状に挿入されている。また、領域25bと領域26bの部分には、156デシテックスのポリウレタン糸が1本ずつ裾縁のカーブに沿った形状に挿入されている。尚、この糸使いは、一具体例を示したものであり、この糸使いに限定されるものではない。
【0102】
尚、本実施の形態例に示したショーツは、ショートガードルに適用することもできる。
【0103】
また、必要に応じて、伸縮パワーが強化された領域25、26において、裾縁側が伸縮パワーの小さい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域としてもよい。
【0104】
次に、図11、図12に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例を示した。
【0105】
図11は、本発明の衣料であるショートタイプのガードルの前側から見た平面図、図12は、図11のガードルの後側から見た背面図である。図11、図12はそれぞれ、ガードルの左右の脇ライン3を境界線として、ガードルの前側と後側になるように扁平に前記ガードルを折り畳んだ状態でのガードルの平面図並びに背面図である。
【0106】
図11、図12に示されたショートタイプのガードルは、腹部充当部片1の左右の前脇裾縁ライン27のラインが凹状カーブ(インカーブ)しており、当該前脇裾縁ライン27も縁始末不要な裾からなり、更に前脇裾縁ライン27に沿って伸縮パワーが強化された領域26を有している点が、図6、図7に示したショートタイプのガードルと主として異なっている。従って同一部分には同一の符号を付している。
【0107】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0108】
左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の後ろ側の臀部の膨らみを充当する部分は、臀部の膨らみの立体形状に沿うように、気体状加熱媒体による熱セット成型法(例えば日本特許第3201578号公報参照)で、加熱成形されている。かかる成形をしておくことにより、後部をカバーする生地の臀部の膨らみに相当する箇所を膨らませることができ、裏打ちなどのない1枚物の生地であっても、臀部の膨らみに追従でき、臀部の立体形状へのフィット性が向上し好ましい。
【0109】
このガードルは、シングルラッセル編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はガードルのほぼ横方向である。4aが後裾縁ラインであり、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、前記充当部片4の前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。
【0110】
そして、このガードルは、裾縁ライン4a、4bに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、裾縁ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。伸縮パワーが強化された領域25は、複数のグレードの伸縮パワーを有する領域からなっていて、この実施形態例では、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域25aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域25aより小さい領域25bからなっている。前脇部−脇部−後部充当部片4の伸縮パワーがより小さい領域25bの更に内側の領域は、領域25bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0111】
すなわち、前脇部−脇部−後部充当部片4は、領域25a、領域25bも含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、裾縁ラインのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けることができる。こうすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0112】
なお、この実施の形態例においては、腹部充当部片1の左右の前脇裾縁ライン27の部分も縁始末不要な裾としている。そして前脇裾縁ライン27に沿って伸縮パワーが強化された領域26を前記領域25と同様に設けている。前記伸縮パワーが強化された領域26のパターンが、前脇裾縁ライン27の形状に沿った凹状のカーブを有する略帯状のパターンとなっていて、伸縮パワーが強化された領域26は、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域26aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域26aより小さい領域26bからなっている。腹部充当部片1における領域26bより更に内側の領域は、領域26bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0113】
尚、本ガードルを形成する経編地としては、シングルラッセル編地の代わりに、シングルラッセルレース地を用いてもよい。
【0114】
図11、図12で示されたガードルの後裾縁ライン4aは、その上端Aと下端Bの間が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインを呈しており、且つ前記カーブの曲率については、裾縁ラインの上端A側のカーブの曲率よりも下端B側のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例のガードルにおいては、2cmとした。また、後裾縁ライン4aの曲線A−Bの長さは、Mサイズの衣料において14cmとした。
【0115】
かくして得られた本発明のガードルは、縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい縁始末不要な裾を有するショートタイプのガードルを提供できる。
【0116】
また、領域25a、26aの伸縮パワーを領域25b、26bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができる。
【0117】
尚、本実施の形態例に示したガードルは、ショーツに適用することもできる。
【0118】
また、必要に応じて、伸縮パワーが強化された領域25、26において、裾縁側が伸縮パワーの小さい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域としてもよい。
【0119】
次に、図13〜図16に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショーツの更に別の実施の形態例を示した。
【0120】
図13は、本発明の衣料であるショーツの前側から見た平面図、図14は、図13のショーツの後側から見た背面図、図15は、図13、図14で示したショーツの着用状態を示す前側から見た斜視図、図16は、図13、図14で示したショーツの着用状態を示す後側から見た斜視図である。図13、図14はそれぞれ、ショーツの左右の脇ライン3を境界線として、ショーツの前側と後側になるように扁平に前記ショーツを折り畳んだ状態でのショーツの平面図並びに背面図である。尚、図13には、図14の後裾部分が見えるはずであるが、複雑になるので図示を省略しているが、当業者であれば、十分に理解し得る。
【0121】
図13〜図16に示されたショーツは、裾縁ライン4aに沿って設けられた伸縮パワーが強化された領域25が2グレードに分かれておらず、1つのグレードのみの伸縮パワーが強くなっている領域25を有している点と、左右それぞれの前部−脇部−後部をカバーする左並びに右半身充当部片が前中心と後中心の縫合ラインで縫合されている点が、図8、図9に示したショーツと主として異なっている。
【0122】
30aが左の前部−脇部−後部をカバーする左半身充当部片、30bが右の前部−脇部−後部をカバーする右半身充当部片であり、左半身充当部片30aと右半身充当部片30bとは、前中心の縫合ライン31と後中心の縫合ライン32で互いに縫合されている。腹部の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。左半身充当部片30aと右半身充当部片30bは、それぞれ連続した1枚の経編レース地から形成されている。
【0123】
このショーツは、経編編成されたレース編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。
【0124】
左及び右半身充当部片30a、30bの編み立て方向(ウェール方向)はショーツのほぼ横方向である。4aで示される裾縁ラインは、本ショーツの後裾縁ラインであり、波状のスカラップ23が形成されている。後裾縁ラインは後述するようにその包絡線が凸になるようにカーブしており、後裾縁ライン4aと連続している前裾縁ライン4cも同様の波状のスカラップ23が形成されていて、前裾縁ライン4cは後述するようにその包絡線が凹になるようにカーブしている。
【0125】
前述した定義に従い、衣料後側の裾縁ラインの上端Aと下端Bを結ぶ仮想直線をaとすると、後裾縁ライン4aは、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、前裾縁ライン4cも後裾縁ライン4aと連続しているので、後裾縁ライン4aとその曲線形状が異なるが、縁始末不要な裾となっている。
【0126】
そして、このショーツは、後裾縁ライン4a及び前裾縁ライン4cに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、後裾縁ライン4a及び前裾縁ライン4cの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。伸縮パワーが強化された領域25が、伸縮パワーの大きい領域であり、左及び右半身充当部片30a、30bの前記領域25以外の領域は、領域25よりも伸縮パワーが小さくなっている。
【0127】
すなわち、左及び右半身充当部片30a、30bは、領域25の部分も含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、後裾縁ライン4a、前裾縁ライン4cのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。前述の図8、図9で示したように伸縮パワーが強化された領域を、領域25aと領域25bの如く2段階以上の領域に分けて、領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁側から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設ける態様としてもよい。
【0128】
このようにして伸縮パワーが強化された領域25を裾部全周にわたって設けることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいショーツとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0129】
そしてこのショーツの後裾縁ライン4aには、図3、図4で示したショーツ後裾縁ライン4aと同様に、波状のスカラップ23が形成されている。そしてスカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が前記で説明した仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状を呈している。
【0130】
上述したように、本発明においては、後裾縁ラインの上端Aと下端Bの間が、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状の曲線ライン(すなわち包絡線が曲線ライン)となっており、更に前記包絡線の曲率が、裾縁ラインの上端A側の当該包絡線のカーブの曲率よりも下端B側の当該包絡線のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、図15や特に図16からも明らかなように、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例では、3cmとした。後裾縁ラインの長さは、A−B間の包絡線の長さで、Mサイズの衣料において17cmとした。
【0131】
かくして得られた本発明のショーツは、裾全周がスカラップを有する縁始末が不要な裾となっており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくいレース状のスカラップを有し縁始末不要な裾を有するショーツを提供できる。特にレース状のスカラップを有しており、その包絡線が全体として仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状になっているので、意匠的にも美しく、好ましい。また、領域25の伸縮パワーを大きくした伸縮パワーが強化された領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいショーツとすることができる。
【0132】
尚、本実施の形態例に示したショーツは、ショートタイプのガードルに適用することもできる。
【0133】
次に、図17、図18に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例を示した。
【0134】
図17は、本発明の衣料であるショートタイプのガードルの前側から見た平面図、図18は、図17のガードルの後側から見た背面図である。尚、図19は、図17、図18で示したガードルに使用している左半身充当部片30aの展開平面図である。図17、図18はそれぞれ、ガードルの左右の脇ライン3を境界線として、ガードルの前側と後側になるように扁平に前記ガードルを折り畳んだ状態でのガードルの平面図並びに背面図である。尚、図17には、図18の後裾部分が見えるはずであるが、複雑になるので図示を省略しているが、当業者であれば、十分に理解し得る。
【0135】
図17〜図19に示されたショートタイプのガードルは、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられる代わりに、ウェスト部8の縁ライン8aに沿って伸縮パワーが強化された領域28が設けられており、ウェスト部8の縁ライン8aも、縁始末不要な縁が採用されている点が、図14〜図16に示したショートタイプのガードルと主として異なっている。
【0136】
30aが左の前部−脇部−後部をカバーする左半身充当部片、30bが右の前部−脇部−後部をカバーする右半身充当部片であり、左半身充当部片30aと右半身充当部片30bとは、前中心の縫合ライン31と後中心の縫合ライン32で互いに縫合されている。腹部の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。左半身充当部片30aと右半身充当部片30bにおいて、8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられる代わりに、ウェスト部8の縁ライン8aに沿って伸縮パワーが強化された領域28が設けられており、且つウェスト部8の縁ライン8aも、ほつれ防止糸を裾縁に沿って編み込むことにより、縁始末不要な縁が形成されている。このウェスト部8の縁ライン8aは、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線は、凹状のカーブとなっている。そして左半身充当部片30aと右半身充当部片30bは、それぞれ連続した1枚のシングルラッセルレース地から形成されている。
【0137】
このガードルは、シングルラッセルレース編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。
【0138】
左及び右半身充当部片30a、30bの編み立て方向(ウェール方向)はガードルのほぼ横方向である。4aで示される裾縁ラインは、本ガードルの後裾縁ラインであり、波状のスカラップ23が形成されている。後裾縁ラインは後述するようにその包絡線が凸になるようにカーブしており、後裾縁ライン4aと連続している前裾縁ライン4cも同様の波状のスカラップ23が形成されていて、前裾縁ライン4cは後述するようにその包絡線が凹になるようにカーブしている。
【0139】
前述した定義に従い、衣料後側の裾縁ラインの上端Aと下端Bを結ぶ仮想直線をaとすると、後裾縁ライン4aは、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、前裾縁ライン4cも後裾縁ライン4aと連続しているので、後裾縁ライン4aとその曲線形状が異なるが、縁始末不要な裾となっている。
【0140】
そして、このガードルは、後裾縁ライン4a及び前裾縁ライン4cに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、後裾縁ライン4a及び前裾縁ライン4cの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。左及び右半身充当部片30a、30b中の前記領域25と、前述したウェスト部8の伸縮パワーが強化された領域28以外の領域は、領域25、領域28よりも伸縮パワーが小さくなっている。
【0141】
すなわち、左及び右半身充当部片30a、30bは、領域25、領域28の部分も含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、後裾縁ライン4a、前裾縁ライン4cのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域28の部分においても、ウェスト部8の縁ライン8aのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸が、挿入されている。
【0142】
前述の図8、図9で示したように伸縮パワーが強化された領域を、領域25aと領域25bの如く2段階以上の領域に分けて、領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設ける態様としてもよい。
【0143】
このようにして伸縮パワーが強化された領域25を裾部全周にわたって設けることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。ウェスト部8の伸縮パワーが強化された領域28についても同様の効果がある。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0144】
そしてこのガードルの後裾縁ライン4aには、図3、図4で示したショーツ後裾縁ライン4aと同様に、波状のスカラップ23が形成されている。そしてスカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が前記で説明した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状となっている。
【0145】
上述したように、本発明においては、後裾縁ラインの上端Aと下端Bの間が、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインとなっており、しかも前記包絡線の曲率が、裾縁ラインの上端A側の当該包絡線のカーブの曲率よりも下端B側の当該包絡線のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例では、3cmとした。また、後裾縁ラインのA−B間の包絡線の長さは、Mサイズで17cmとした。
【0146】
かくして得られた本発明のガードルは、裾全周がスカラップを有する縁始末が不要な裾となっており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、また、ウェスト部8の縁ライン8aも、縁始末不要な縁が採用されていて、しかも伸縮パワーが強化された領域28が設けられており、ウェスト部8の裏側に伸縮テープなどが存在せず、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくいレース状のスカラップを有し縁始末不要な裾を有するショートタイプのガードルを提供できる。特にレース状のスカラップを有しており、その包絡線が全体として仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状になっているので、意匠的にも美しく、好ましい。また、領域25の伸縮パワーを大きくした伸縮パワーが強化された領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができる。
【0147】
尚、本実施の形態例に示したショートタイプのガードルは、ショーツに適用することもできる。
【0148】
また、必要に応じて、伸縮パワーが強化された領域25などを、図8、図9に示した実施の形態例のように2段階以上に分けて、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より小さい領域とするとか、必要に応じてその逆の組み合わせとしてもよい。
【0149】
次に、図20に、後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例を示した。
【0150】
図20は、本発明の衣料であるショートタイプのガードルの後側から見た背面図である。図20はガードルの左右の脇ライン3を境界線として、ガードルの前側と後側になるように扁平に前記ガードルを折り畳んだ状態でのガードルの背面図である。図20のショートタイプのガードルの前側から見た平面図は、実質的に図3と構成が同一なので、図示を省略し、図3の図面を代用して取り上げて説明する。図20に示されたショートタイプのガードルは、着用者の背中下部の窪み部分にピッタリとフィットするように、後中心を左右対称軸として後側のウェスト部8の下に略逆三角形状の伸縮パワーの強化された後部ウェスト下部充当部片35が更に接ぎ合わされて設けられている点が、図3、図4に示したショーツと主として異なっている。従って同一部分には同一の符号を付している。
【0151】
1が腹部を覆う腹部充当部片(図3参照)、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5(図3参照)で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されているが、左右の脇下側に前裾充当部片20(図3参照)が更に縫合ライン21(図3参照)で縫合されている。また前裾充当部片20は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。6はクロッチ部片である。8はウェスト部であり、ウェスト部8の裏側に沿って、伸縮テープなどが取り付けられている。
【0152】
左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の後ろ中心側の上部は、それぞれ斜めに切り欠き部分を有し、そこに、前述した略逆三角形状の伸縮パワーの強化された後部ウェスト下部充当部片35が縫合ライン36で縫合されている。後部ウェスト下部充当部片35の伸縮方向は、少なくとも横方向に伸縮性を有し、当該充当部片35において、使用されている伸縮性糸の太さを太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、当該充当部片35の伸縮パワーを大きくして、この部分が、着用者の背中下部の窪みにフィットするようにしている。
【0153】
このガードルは、シングルラッセルレース編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。尚、レース模様は、図示を省略した。
【0154】
腹部充当部片1、後部ウェスト下部充当部片35、及び左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はガードルのほぼ横方向である。前裾充当部片20の編み立て方向(ウェール方向)は、裾縁ライン22(図3参照)が全体的に傾斜している方向の斜め方向である。4aで示される裾縁ラインは、本ガードルの後裾縁ラインであり、波状のスカラップ23が形成されている。前述した定義に従い、衣料後側の裾縁ラインの上端Aと下端Bを結ぶ仮想直線をaとすると、後裾縁ライン4aは、スカラップ状の小カーブを有し、且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が前述した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、全体的に臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、上述の充当部片4の前脇部の裾縁ライン4b(図3参照)の部分も縁始末不要な裾となっている。更に、前裾充当部片20の裾縁も縁始末不要な裾となっている生地を採用した。
【0155】
なお、この実施の形態例においては、前裾充当部片20の裾縁ライン22も波状のスカラップが形成されており、縁始末不要な裾としている。
【0156】
そしてこのガードルの後裾縁ライン4aは、図3、図4で示したガードル後裾縁ライン4aと同様に、波状のスカラップ23が形成されていてスカラップ状の小カーブを有し且つ全体として前記で説明した仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状を呈している。すなわちスカラップの曲線のほぼ頂点を結んで、スカラップの曲線群を包み込む包絡線が、仮想直線aから外側に膨らんだ大カーブ状を呈している。
【0157】
上述したように、本発明においては、後裾縁ラインの上端Aと下端Bの間が、スカラップ状の小カーブを有し、且つその包絡線が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインとなっており、しかも前記包絡線の曲率が、裾縁ラインの上端A側の当該包絡線のカーブの曲率よりも下端B側の当該包絡線のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例では、3cmとした。また、後裾縁ラインのA−B間の包絡線の長さは、Mサイズの衣料において18cmとした。
【0158】
かくして得られた本発明のガードルは、スカラップを有する縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくいレース状のスカラップを有し縁始末不要な裾を有するショートタイプのガードルを提供できる。特にレース状のスカラップを有しており、その包絡線が全体として仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状になっているので、意匠的にも美しく、好ましい。
【0159】
尚、本実施の形態例に示したガードルは、ショーツに適用することもできる。
【0160】
次に、図21、図22に後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるボディスーツの実施の形態例を示した。
【0161】
図21は、本発明の衣料であるボディスーツの前側から見た斜視図、図22は、図21のボディスーツの後側から見た斜視図である。図21、図22に示されたボディスーツは、ウェスト部より上側に、乳房カップ部を有する上半身部が更に形成されている点を除いて、ウェスト部より下方部分は、図11、図12に示したショートタイプのガードルと類似している態様である。従って同一部分には同一の符号を付している。
【0162】
尚、図21においては後側に見える部分の肩紐51の図示を省略している。この部分は図22を参照すれば理解される。また図22においては、肩紐51は右側の肩紐について一部図示を省略しており、また肩紐の間に見えるはずの右側の乳房カップ近傍と右脇近傍部分の図示を省略している。これらを図22に記載すると図が複雑になり理解しにくくなるとともに、図21で十分理解できるからである。
【0163】
1が腹部を覆う腹部充当部片、4が前脇部から脇部並びに後部を充当する前脇部−脇部−後部充当部片であり、上下方向に長く、その上端は乳房カップ部の下側から脇側まで伸びており、背面側においては、背中の中間まで伸びている。左右の前脇部−脇部−後部充当部片4同士は、後中心の縫合ライン7で互いに縫合されている。腹部充当部片1は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。腹部充当部片1の裏側には、腹部の形状を補正するため必要に応じて、お腹押さえ用の裏打ち布を更に設けてもよい。53は、左右の胸下部充当部片であり、左右の胸下部充当部片53同士は、前中心の縫合ライン54で互いに縫合されており、胸下部充当部片53の脇縁は、縫合ライン5で前脇部−脇部−後部充当部片4と縫合されている。胸下部充当部片53の下側の縁は、縫合ライン55で腹部充当部片1の上部に縫合されている。50は乳房カップ部、51は肩紐である。6はクロッチ部片である。
【0164】
このボディスーツは、乳房カップ部50や肩紐51などを除いて、シングルラッセル編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。腹部充当部片1、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4の編み立て方向(ウェール方向)はボディスーツのほぼ横方向である。4aが後裾縁ラインであり、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、左右の前脇部−脇部−後部充当部片4は、一体的に形成された経編地であるので、前記充当部片4の前脇部の裾縁ライン4bの部分も縁始末不要な裾となっている。
【0165】
そして、このボディスーツは、裾縁ライン4a、4bに沿って、伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、裾縁ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。伸縮パワーが強化された領域25は、複数のグレードの伸縮パワーを有する領域からなっていて、この実施形態例では、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域25aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域25aより小さい領域25bからなっている。前脇部−脇部−後部充当部片4の伸縮パワーが小さい領域25bの更に内側の領域は、領域25bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0166】
すなわち、前脇部−脇部−後部充当部片4は、領域25a、領域25bも含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、裾縁ラインのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁側から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けることができる。こうすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいボディスーツとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0167】
なお、この実施の形態例においては、腹部充当部片1の左右の前脇裾縁ライン27の部分も縁始末不要な裾としている。そして前脇裾縁ライン27に沿って伸縮パワーが強化された領域26を前記領域25と同様に設けている。前記伸縮パワーが強化された領域26のパターンが、前脇裾縁ライン27の形状に沿った凹状のカーブを有する略帯状のパターンとなっていて、伸縮パワーが強化された領域26は、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域26aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域26aより小さい領域26bからなっている。腹部充当部片1における領域26bより更に内側の領域は、領域26bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0168】
尚、本ボディスーツを形成する経編地としては、シングルラッセル編地の代わりに、部分的にシングルラッセルレース地を用いてもよい。
【0169】
図21、図22で示されたボディスーツの後裾縁ライン4aは、先に定義した後裾縁ラインの上端と下端の間が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインを呈しており、且つ前記カーブの曲率については、裾縁ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例のボディスーツにおいては、3.5cmとした。また、後裾縁ライン4aの上端から下端までの曲線の長さは、Mサイズの衣料において18.5cmとした。
【0170】
かくして得られた本発明のボディスーツは、縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい縁始末不要な裾を有するボディスーツを提供できる。また、領域25a、26aの伸縮パワーを領域25b、26bの伸縮パワーより大きくして、裾縁側から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいボディスーツとすることができる。
【0171】
尚、本実施の形態例に示したボディスーツは、ボディテディなどに適用することもできる。ボディテディの場合には、シングルラッセルレース編地により形成すると、デザイン性が向上し、おしゃれなものとなる。
【0172】
また、必要に応じて、伸縮パワーが強化された領域25、26において、裾縁近傍が伸縮パワーの小さい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域としてもよい。
【0173】
次に図23、図24に後側における裾が、カーブした縁始末不要な裾を有する本発明の衣料であるボディスーツの別の実施の形態例を示した。
【0174】
図23は、本発明の衣料であるボディスーツの前側から見た斜視図、図24は、図23のボディスーツの後側から見た斜視図である。
【0175】
尚、図23においては後側に見える部分の肩紐51の図示を省略している。この部分は図24を参照すれば理解される。また図24においては、肩紐51は右側の肩紐について一部図示を省略しており、また肩紐の間に見えるはずの右側の乳房カップ近傍と右脇近傍部分の図示を省略している。これらを図24に記載すると図が複雑になり理解しにくくなるとともに、図23で十分理解できるからである。
【0176】
60aが左の前部−脇部−後部をカバーする左半身充当部片、60bが右の前部−脇部−後部をカバーする右半身充当部片であり、左半身充当部片60aと右半身充当部片60bとは、前中心の縫合ライン61と後中心の縫合ライン62で互いに縫合されている。左半身充当部片60aと右半身充当部片60bは、上下方向に長く、その上端は乳房カップ部の下側から脇側まで伸びており、背面側においては、背中の中間まで伸びている。前側中央部には、左半身充当部片60aと右半身充当部片60bにまたがって、その上にお腹押さえを兼ねた胸下部−腹部充当部片62が重ねられて設けられており、前記充当部片62の周囲が左半身充当部片60aと右半身充当部片60bに縫合されている。
【0177】
50は乳房カップ部、51は肩紐である。6はクロッチ部片である。左及び右半身充当部片60a、60bの後ろ側の臀部の膨らみを充当する部分は、臀部の膨らみの立体形状に沿うように、加熱成形されている。この成形は、例えばモールド成形や、気体状加熱媒体による熱セット成型法(例えば日本特許第3201578号公報参照)などによって行われる。かかる成形をしておくことにより、後部をカバーする生地の臀部の膨らみに相当する箇所を膨らませることができ、裏打ちなどのない1枚物の生地であっても、臀部の膨らみに追従でき、臀部の立体形状へのフィット性が向上し好ましい。
【0178】
このボディスーツは、乳房カップ部50や肩紐51などを除いて、シングルラッセル編地が用いられており、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて経編編成され、編地全体に伸縮性が付与されている。左及び右半身充当部片60a、60bと胸下部−腹部充当部片62の編み立て方向(ウェール方向)はボディスーツのほぼ横方向である。
【0179】
4aが後裾縁ラインであり、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブしている裾縁ラインとなっていて、しかも縁始末不要な裾となっている。縁始末不要な裾とするには、後述するように、当該裾縁ラインに沿って、適宜、ほつれ防止糸を編み込む公知の方法により達成できる。また、前裾縁ライン4cも後裾縁ライン4aと連続しているので、後裾縁ライン4aとその曲線形状が異なるが、縁始末不要な裾となっている。尚、前裾縁ライン4cの曲線形状は、衣料の内側に凹む、凹状のカーブとなっている。
【0180】
そして、このボディスーツは、後裾縁ライン4a、前裾縁ライン4cに沿って伸縮パワーが強化された領域25を有し、前記伸縮パワーが強化された領域25のパターンが、後裾縁ライン4a及び前裾縁ライン4cの裾縁ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンとなっている。伸縮パワーが強化された領域25は、この実施形態例では、裾縁側が伸縮パワーの大きい領域25aからなり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者の領域25aより小さい領域25bからなる。左及び右半身充当部片60a、60bにおいて、伸縮パワーが小さい領域25bの更に内側の領域は、領域25bよりも更に伸縮パワーが小さくなっている。
【0181】
すなわち、左及び右半身充当部片60a、60bは、領域25a、領域25bも含めて、編地全体に伸縮性糸(後述するような編地全体に配されている第1の伸縮性糸)が配されて伸縮性が付与されているが、伸縮パワーが強化された領域25の部分には、裾縁ラインのカーブに沿って、更に、伸縮パワー強化用の伸縮性糸(これを前記第1の伸縮性糸と区別するため第2の伸縮性糸と言う。)が、挿入されている。領域25aに挿入されている伸縮性糸の太さを領域25bに挿入されている伸縮性糸の太さよりも太くするか、その使用密度(単位当たりの伸縮性糸の挿入本数)を大きくすることにより、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁から衣料内部方向に、伸縮パワーが順次変化する領域を設けることができる。こうすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいボディスーツとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0182】
尚、本ボディスーツを形成する経編地としては、シングルラッセル編地の代わりに、部分的に経編レース地を用いてもよい。
【0183】
図23、図24で示されたボディスーツの後裾縁ライン4aは、先に定義した後裾縁ラインの上端と下端の間が、先に定義した仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状の曲線ラインとなっており、且つ前記カーブの曲率については、裾縁ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっている。従って、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を好適に発揮できる。そして前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bは、本実施の形態例のボディスーツにおいては、2.5cmとした。また、後裾縁ライン4aの上端から下端までの曲線の長さは、Mサイズの衣料において17cmとした。
【0184】
かくして得られた本発明のボディスーツは、縁始末が不要な後裾を有しており、従って裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾縁ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側に沿ってカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい縁始末不要な裾を有するボディスーツを提供できる。また、領域25aの伸縮パワーを領域25bの伸縮パワーより大きくして、裾縁に沿って伸縮パワーが順次変化する領域を設けているので、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいボディスーツとすることができる。
【0185】
尚、本実施の形態例に示したボディスーツは、ボディテディなどに適用することもできる。ボディテディに適用する場合には、ボディスーツより衣料としての伸縮パワーがやや小さめになるよう、伸縮性糸の太さや、挿入本数などを変更してもよいし、ボディスーツにおいて、腹部充当部片1の裏側に、お腹押さえ用の裏打ち布が更に設けられている場合には、当該裏打ち布の存在しない態様にしてもよい。
【0186】
また、必要に応じて、伸縮パワーが強化された領域25において、裾縁近傍が伸縮パワーの小さい領域とし、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域としてもよい。
【0187】
次に、図25と図26に、従来のショーツと、本発明のショーツとを比較するために、比較モデル図を示した。
【0188】
図25が、図8、図9で示した本発明のショーツと図32に示した従来のショーツとをそれぞれ着用した状態を重ねて描いた後側から見た概略比較モデル図、図26がその右側面図である。
【0189】
簡略化するため、符号としては、図8、図9で示した本発明のショーツの後裾縁ライン4a(実線ライン)と、図32に示した従来のショーツ後裾縁ライン601a(点線ライン)の符号のみを図中に記載した。
【0190】
図25、図26からも明らかなように、従来のショーツ後裾縁ライン601aは、前述した包絡線が直線状であり裾縁ラインが臀部の丸い膨らみの外側をカーブして包み込むようなラインにならないので、臀部の丸い膨らみの立体形状に沿いにくく、裾縁ラインが一部の部分で臀部の丸い膨らみの中腹部を通過する様な状態になる。このような場合、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じ易くなる。また、一旦ずれると元に戻りにくい。一方、本発明のショーツの後裾縁ライン4aは、その包絡線が全体として前述した仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、且つ前記包絡線の曲率が裾縁ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっていて、しかも仮想直線aから垂直方向に測定した前記後裾縁ライン4aまでの距離の最も長い部分bが1.5〜7cm、この実施の形態例では4cmであるので、臀部の丸い膨らみの下側からも臀部の丸い膨らみを十分に覆い、全体的に臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくい機能を発揮しやすいことがわかる。
【0191】
上記で説明したように、従来のショーツやガードルなどにおいては縁始末不要な後裾縁ラインは、裾縁ラインもしくはその包絡線が直線状となってしまう。それは、通常のレース編地や、トリコットやパワーネットなどの経編地が、長方形の経長の形状にしか編めないからでもある。本発明においては、縁始末不要なカーブした縁ラインを有するレース地の技術を特定の衣料に応用して、その縁始末不要な縁ラインのカーブの出し方やカーブの長さを、ヒップの立体形状にフィットする様、設計することを工夫することによって、裾の着用感を向上させたショーツやガードルなどの衣料を形成したものである。
【0192】
以上の実施の形態例で説明した衣料は、衣料後側を充当する生地が、少なくとも裾縁部から臀部上方部まで連続した一体の経編地からなる態様の実施の形態例を挙げて説明したが、必要に応じて、衣料後側を充当する生地を、当該裾部充当用のパーツとそれより上側の衣料後側を充当するパーツに分けて別々に各パーツを用意し、本発明の前述した要件を満たす後裾縁ラインを有する裾部充当用のパーツが、前記それより上側の衣料後側を充当するパーツの裾部を構成するように縫合されて取り付けられている態様とすることも可能である。
【0193】
尚、以上の様な実施の形態例に示したショーツは、ショートタイプのガードルに適用することもできるし、ショートタイプのガードルは、ショーツに適用することができる。特に限定するものではないが、概略的に言えば、ショーツに適用する場合には、ガードルより衣料としての伸縮パワーがやや小さめになるよう、伸縮性糸の太さや、挿入本数などを変更してもよいし、ガードルにおいて、腹部充当部の裏側に、お腹押さえ用の裏打ち布が更に設けられている場合には、ショーツに適用する場合には、当該裏打ち布の存在しない態様にしてもよい。このように、本発明においては、比較的伸縮パワーが強められているものをガードル、比較的伸縮パワーが弱いものをショーツと呼んでいるが、ショーツとショートタイプのガードルを厳密に区別するものではない。
【0194】
以上、本発明の衣料について、実施の形態例について説明した。
【0195】
本発明の衣料に用いられる、経編地としては、シングルラッセル編が好ましく、また、経編レース地がより好ましく、経編レース地のうちでも、特にシングルラッセルレースがより好ましい。
【0196】
次に、例えばシングルラッセルレース編みやシングルラッセル編を用いて、後裾縁ライン4aのような、所定のカーブした裾縁ラインを有し、縁始末不要な裾とする方法について、代表的な方法を図27〜図29を引用しながら説明する。
【0197】
シングルラッセルレース編みにおいて、柄を形成しない場合は、シングルラッセル編とほぼ同等のものになるので、シングルラッセルレース編みをベースとして、所定のカーブした裾縁ラインを有し、縁始末不要な裾とする場合の、編成方法の例について説明する。
【0198】
図27は、各筬毎に分離して記載した主要筬の糸の編み組織図であり、図28は、図27に示した組織に従って編み上げられた編地の組織を説明するための、簡略化した組織図、図29は、図28の編地を所定のカーブした裾縁に沿って、カットした状態を説明するための簡略化した組織図である。
【0199】
このレース編地として、経編編成による場合、地編の基本組織を、鎖編糸と挿入糸によるサテン編、プレーンコード編、デンビ編、チュール編あるいはメッシュ調などの編組織にして、ポリウレタン繊維等のスパンデックス糸その他の伸縮性糸を挿入して編成することにより、編地全体に比較的大きな伸長性や伸縮性を付与し、これに柄筬による通常のレース柄、あるいはジャカードガイド筬による厚地、薄地、穴地等の変化による所謂ジャカードレース柄を構成することができる。
【0200】
すなわちこの実施形態例で説明するレース編地は、地編を編成するいわゆる地筬とは別に、柄を編成する柄筬を備える経編機、あるいはジャカード装置により運動が制御される少なくとも1枚のジャカードガイド筬を備える経編機により編成される。
【0201】
具体的には、前記の経編機により、レース用の地編の基本組織、例えばウールや綿等の天然繊維あるいはナイロン繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維等の非伸縮性糸よりなる鎖編糸(71)と、非伸縮性糸よりなる挿入糸または非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸(72)とにより形成される地編の組織に対して、ポリウレタン繊維等のスパンデックス糸その他よりなる第1の伸縮性糸(73)が、挿入糸として編地全体に配されて編成されることにより、編地全体に主として経方向(糸の供給方向、本発明の衣料では、ほぼ衣料の横方向に相当する方向)の伸縮性が付与されている。なお、挿入糸(72)として、非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸を用いた場合には、図27で図示したように所要コース毎に横振り(他のウェールにまたがって横に振られること)を入れながら挿入することにより、編地全体に主として横方向(糸の供給方向と直角の方向、本発明の衣料では、ほぼ衣料の縦方向に相当する方向)の伸縮性も付与できるので、挿入糸(72)として、非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸を用いることが好ましく、前記実施例の衣料においては、挿入糸(72)として、非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸を用いている。
【0202】
そして、前記のレース編地において、この編地の使用態様に応じて求められる裾縁ラインを形成し、更には所定部分に所定幅(所定数のウェール幅)で、伸縮パワーが強化された領域を形成するための伸縮強化用の第2の伸縮性糸(74)が挿入されて、裾縁ライン並びに必要に応じ裾縁ライン形状に沿った伸縮パワーが強化された略帯状のパターンの領域部分を形成するように編成される。第2の伸縮性糸(74)は、所定の裾縁ラインのカーブやスカラップの形状に応じてカーブする任意の形状で編方向に連続するように挿入されている。
【0203】
ここで、図28、図29は、前述したように簡略化した組織図であるので、図27との関係をまず説明しておく。
【0204】
図27における、鎖編糸(71)と非伸縮性糸よりなる挿入糸(72)と第1の伸縮性糸(73)は編地全体に配されているので、これを組織図にそのまま重ねて記載すると、組織図が複雑で、わかりにくくなるので、鎖編糸(71)と非伸縮性糸よりなる挿入糸又は非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸(72)と第1の伸縮性糸(73)は、図28、図29においては、それぞれ同じウェールで重なるものを、この3本をまとめて1本の直線80で示した。すなわち図28、図29において80は鎖編糸(71)と挿入糸(72)と第1の伸縮性糸(73)の3本をまとめて簡略化して1本の直線で示した。尚、ウェール毎に符号を付するため、80a、80b、80c、………80nとした。また第2の伸縮性糸(74)は、図28、図29においては単純なカーブの曲線74で表し、ウェール毎に符号を付するため、74a、74b、74c、………74nとした。
【0205】
上記した経編地90は、例えば、図27および図28に例示の編組織のように編成できる。
【0206】
すなわち、図27のように、少なくとも1枚の筬(L1)により非伸縮性糸よりなる編目を形成する編糸(71)を導糸して鎖編みで各ウエールの編目列を編成するとともに、他の少なくとも1枚の筬(L2)により非伸縮性糸よりなる挿入糸又は非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸(72)を導糸して、前記編目列に対して所要コース毎に横振り挿入して編成することにより、地編の基本組織を編成する。尚ここで、挿入糸(72)としては、前述したように非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸を用いることが編地全体に主として横方向(糸の供給方向と直角の方向、本発明の衣料では、ほぼ衣料の縦方向に相当する方向)の伸縮性も付与できるので、好ましい。また図示する編組織の場合、前記筬(L1)を所要コース毎に左右交互に隣接ウェールに移行させて編目形成する編成を繰り返しており、前記編糸(71)に切断が生じた場合の解れを防止できるようになっている。
【0207】
この地編の基本組織としては、図示する実施例のものに限らず、サテン編デンビ編、プレーンコード編、チュール編あるいはメッシュ調の組織やネット組織等を基本とする種々の編組織による実施が可能であり、また組織を変化させることも可能である。
【0208】
そして、前記とは別に2枚以上の筬を使用して、そのうちの1枚の筬(L3)で第1の伸縮性糸(73)を主として総詰めで導糸し、地編全体にわたって前記の鎖編による各ウェールの編目列に対してジグザグ状に経方向に挿入して編成することにより、経編地90の全体に伸縮性を、主として編地の経方向(糸の供給方向、本発明の衣料基準では、ほぼ衣料の横方向に相当する方向)に付与する。
【0209】
本発明においては更に、他の少なくとも1枚の筬(L4)により、伸縮強化用の第2の伸縮性糸(74)を導糸して所定のカーブになるように編幅方向の所定の部分に所定幅(所定数のウェール)に渡って挿入して、所定の裾縁を形成するとともに、必要に応じて例えば他より伸縮パワーの大きい帯状の伸縮パワーが強化されている領域を形成するように編成する。すなわち、該筬(L4)の第2の伸縮性糸(74)を適宜横方向に移行させて編成することにより、前記所定のカーブを有する裾縁並びに帯状の伸縮パワーが強化された領域を所定のカーブ形状、例えば図6〜図9の4aや25のような所定の形状をなすように編成する。
【0210】
この際、動きを異にする複数の筬を用いて、それぞれ前記伸縮強化用の第2の伸縮性糸を所定個所に所定幅で配して編成することにより、カーブやスカラップの曲がりの形状が同形、対称形あるいは異形の複数の強化伸縮部を同時に形成できる。
【0211】
尚、裾縁並びに帯状の伸縮パワーが強化された領域は、図28、図29では74a〜74fで示した第2の伸縮性糸の挿入されている部分である。もし図1〜図4で例示した実施の形態の如く、帯状の伸縮パワーが強化された領域を作らない場合には、74aを1本、必要なら74a、74bの2本程度の挿入により、裾縁部のみ形成すればよい。一方、図6〜図8で説明したような、伸縮パワーの強い領域25aと伸縮パワーが中間の領域25bの様な、伸縮パワーが段階的に変化している領域を設けるには、例えば、74a〜74cまでの第2の伸縮性糸の太さを74d〜74fまでの第2の伸縮性糸の太さより太いものを使用するとか、あるいは、74a〜74cまでの第2の伸縮性糸は各ウェール毎に2本ずつ重ねて挿入し、74d〜74fまでの第2の伸縮性糸は各ウェール毎に1本ずつ挿入するなど単位当たりの伸縮性糸の挿入本数を変えることなどの手法により、領域25aの伸縮パワーと領域25bの伸縮パワーが異なる態様を実現することもできる。
【0212】
次に、裾縁部を縁始末不要なほつれの生じない裾縁とするために、糸80a、80b……80nのうち裾縁の第2の伸縮性糸74aが交差する糸の交差する部分に沿って、糸80a、80b……のループとともにループ形成するよう、ほつれ防止糸81a、81b、81c、81d、……を編み込む(図28参照)。必要なら74a、74bの2本程度について、同様にしてほつれ防止糸を編み込んでおくと、より確実に、ほつれの生じない裾縁部を形成することができ好ましい。
【0213】
このようにして、裾縁部となる部分にほつれ防止糸を編み込んだ後、図29に示すように裾縁の第2の伸縮性糸74aの形状に沿って、その外側を点線で示したカットライン91において切断することにより、縁始末不要なほつれの生じない所望の形状の裾縁ラインを有する経編地を形成することができる。
【0214】
第2の伸縮性糸74a、74b……のカーブは、目的とする衣料の後裾縁ラインのカーブ形状に一致するように設定すればよい。なお、このような、ほつれ防止糸により、経編レース地の縁部を縁始末不要なほつれの生じない裾縁ラインとする技術は、すでに知られており、必要とあれば、日本特公平3−46578号公報などを参照することができる。ほつれ防止糸としては、通常、非伸縮性糸が用いられる。
【0215】
そして、例えば、図19に示したように、後裾縁ライン4aを所定のカーブ形状とするだけでなく、更に後裾縁ライン4aと連続している前裾縁ライン4cも一体的に連続して形成する場合においても、第2の伸縮性糸74a、74b……のカーブの形状を、後裾縁ライン4aと前裾縁ライン4cの連続している裾縁ラインの形状に一致するように設定することにより、同様に形成できる。
【0216】
更に、図19に示したように、ウェスト部8の縁ライン8aも、縁始末不要な縁としたり、更にはウェスト部8の縁ライン8aに沿って伸縮パワーが強化された領域28などを設ける場合においても、図28や図29で示した第2の伸縮性糸74a、74b……に相当する挿入用の伸縮性糸を、第2の伸縮性糸74a、74b……とは反対側の縁側(図の右側になる)に、ウェスト部8の縁ライン8aに要求される所望のカーブになるように、同様にして挿入し、同様のほつれ防止糸を編み込むことにより、実現できる。
【0217】
また、図示していないが、裾縁近傍でなく、更に中間部にも、伸縮パワーの変化する領域を設けたい場合には、第2の伸縮性糸74a、74b……に相当する伸縮性糸を、前記生地90の中間の所望の部位に所望の幅になるように挿入すればよい。
【0218】
なお、さらにレース柄を形成する場合には、上記で説明した筬とは別の柄筬により柄糸を導糸して、適宜の柄を編成することも、また柄用のジャカードガイド筬を用いて、レース調の穴部と厚地部と薄地部を形成したレース柄とすることもできる。
【0219】
なお、ジャカードガイド筬は、筬の運動とは別に各ガイドが編針ピッチの1針分緯方向に変位できるように設けられており、ジャカード装置の変位プログラムに従って制御され、所望の柄の編成が行なわれるようになっている。かかるジャカード装置の詳細は、必要とあれば、日本特開平6−166934号(対応米国特許第5,390,512号)などが参照できる。
【0220】
非伸縮性糸よりなる編目を形成する編糸(71)、非伸縮性糸よりなる挿入糸(72)としては、ウールや綿等の天然繊維糸、あるいはナイロン繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維糸、レーヨンなどの再生繊維糸等が用いられ、ナイロン繊維糸、ポリエステル繊維糸、レーヨン糸が好ましく用いられる。糸の太さについては、特に限定するものではないが、22dtex〜77dtexのものが好ましく、より好ましくは22dtex〜44dtexのものが用いられる。また挿入糸(72)として、非伸縮性糸でカバリングした伸縮性糸よりなる挿入糸を用いる場合には、第1の伸縮性糸(73)と同じ太さか、それよりも細いことが好ましく、かかる前提で、好ましくは44dtex〜308dtexのもの、より好ましくは77tex〜154dtexのものが好ましく用いられる。
【0221】
また、地編全体にわたって挿入される第1の伸縮性糸(73)としては、ポリウレタン繊維等のスパンデックス糸、ポリウレタン繊維糸がナイロン繊維、ポリエステル繊維、ウール、絹または綿等の非伸縮性繊維糸でカバリングされたカバードヤーンなどが用いられる。糸の太さについては、特に限定するものではないが、44dtex〜396dtexのものが好ましく、より好ましくは110dtex〜308dtexのものが用いられる。
【0222】
また、裾縁部を形成したり、伸縮パワーの変化する領域を形成するために挿入糸として用いられる第2の伸縮性糸(74)としては、ポリウレタン繊維等のスパンデックス糸、ポリウレタン繊維糸がナイロン繊維、ポリエステル繊維、ウール、絹または綿等の非伸縮性繊維糸でカバリングされたカバードヤーンなどが用いられる。糸の太さについては、第2の伸縮性糸は、第1の伸縮性糸と同じ太さか、それよりも太いことが好ましく、かかる前提で、110dtex〜616dtexのものが好ましく用いられる。この範囲の糸を用いると、裾に強度を持たせたり、裾を肌に密着させると言う効果が発揮できるとともに、生地が平坦でなくなり波打ったりすることもなく、また、裾部分のみ伸縮パワーが大きくなりすぎて、不適当な緊締力となってしまうこともなく好ましい。また、より好ましくは154dtex〜308dtexのものが用いられる。ガードルやショーツ等の衣料において、身体に密着し、適度の体型補整機能を持たせるのに、適度な伸縮パワーが発揮され好ましい。
【0223】
尚、実施の形態例等で述べた、長さなどの数値は、主としてMサイズ(標準体型の女性)の場合を想定して述べたものである。Lサイズや、LLサイズ、あるいはSサイズといった衣料の場合、後裾縁のカーブないし後裾縁の包絡線のカーブの長さなどは、サイズに応じて変わるが、仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bの長さは、衣料のサイズの違いによってもあまり変わらない。
【0224】
【発明の効果】
本発明の衣料は、少なくとも腹部と臀部を覆い股部を有していて、衣料後側における裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿う裾ラインを有している経編地を用いた伸縮性を有する衣料であって、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、衣料後側の裾ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線をaとすると、当該衣料後側の裾ラインは、裾ラインの上端と下端の間が、全体として仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状、または、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、且つ前記大カーブ状のカーブの曲率が裾ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっており、前記仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが1〜5cmの範囲であり、少なくとも衣料後側における裾が、縁始末不要な裾を有する衣料である。
【0225】
従って、本発明の衣料は、裾部に折り返して縫製された部分が存在しないので、折り返し部分による段差が生じることがなく、着用者の外観を低下させるおそれががなく、着用感もよく、しかも、衣料後側における裾ラインが臀部の膨らみの外脇側から下側にカーブして臀部の丸い膨らみ部分を、すっぽりと包み込み、臀部の丸い膨らみの立体構造に沿い易く、着用者の運動や屈伸など動作によって、裾部分のずり上がりなどが生じにくく、裾部のフィット性が良好で、縁始末不要な裾を有する衣料を提供できる。
【0226】
前記本発明の衣料において、少なくとも衣料後側における裾部の裾縁に沿って伸縮パワーが強化された領域を有し、前記伸縮パワーが強化された領域のパターンが、裾ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンである本発明の好ましい態様とすることにより、裾部のフィット性をより一層向上し、裾部分のずり上がりなどがより生じにくいガードルとすることができるとともに、裾縁部分に伸縮性テープなどが取り付けられて伸縮パワーを強化している場合に比べて、肌への食い込みなどがなく、着用者の肌に伸縮性テープなどの押圧の跡がついてしまうなどの問題がない。従って着用感が良好で、伸縮性テープの厚みによる段差がアウターウェアーに反映し、アウターウェアーの外側からも段差が見えてしまい、着用者の外観を著しく低下させると言う問題もなく好ましい。
【0227】
更に、伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの大きい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より小さい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる本発明の好ましい態様、または、伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの小さい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる本発明の好ましい態様とすることにより、上述の効果とともに、伸縮パワーが強化された領域が、複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなるので、単数グレードの伸縮パワーを有する領域のみからなる場合より、より一層着用感が改良され好ましい。
【0228】
また、本発明においては、伸縮パワーが強化された領域の幅が、1〜5cm、より好ましくは2〜4cmである本発明の好ましい態様とすることにより、伸縮パワーが強化された部分が、面状に着用者の肌を押圧するので、着用者の肌に食い込むことがなく、しかもあまりに伸縮パワーが強化された領域の幅が広すぎて着用感を低下させると言うことなく、裾部のフィット性を高め、裾部のずり上がりをより効果的に防止でき、またヒップアップ機能も付与でき好ましい。
【0229】
また、本発明において、衣料後側の裾ラインが、滑らかな1つの弧状の大カーブ状のカーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該裾ラインの上端と下端の間の当該カーブの長さが、13〜20cmであり、また、衣料後側の裾ラインが、スカラップ状の小カーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該スカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線の裾ラインの上端と下端の間のカーブの長さが、13〜20cmとすることが好ましい。
【0230】
すなわち最も生産量の多いMサイズ、Lサイズといった多くの女性が属する体型用のものを基準にすると、前記カーブの長さが13〜20cmの長さということは、女性のヒップの膨らみの下縁部分の長さと、ほほ同じとなり、ヒップの膨らみの下縁に、ぴったりとフィットでき、好ましい。あまりにも短いと、ヒップの下縁に添わず、ヒップの膨らみをすっぽりと包むことができなくなるおそれがあり、また、あまりに長いと、たるみが生じてしまい、ヒップの膨らみの下緑にフィットすることができにくくなる。
【0231】
また、本発明において、仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが、好ましくは1.5〜4cm、より好ましくは2〜3.5cmの範囲である。かかる好ましい態様とすることにより、着用者の運動や屈伸などの動作によって、裾部分のずり上がりなどが一層生じにくく、後裾部が不必要に長くなりすぎ、折れ畳まれてまくれ上がりなどがの問題もなく、好ましい。
【0232】
また、本発明において、縁始末不要な裾が、ほつれ防止糸が裾縁に沿って編み込まれてなる縁始末不要な裾である好ましい態様とすることにより、裾縁ラインを任意の形状にすることができ、容易に縁始末不要な裾を有する経編地を製造することができ好ましい。
【0233】
また、衣料後側が、少なくとも裾縁部から臀部上方部まで連続した一体の経編地2枚を後中心で縫合して形成されている本発明の好ましい態様とすることにより、縫合ラインが臀部の膨らみの中腹などの部分を横切らず、着用感が良好で見栄えのよい衣料とすることができ好ましい。
【0234】
また、衣料後側を充当する身頃が、立体裁断された身頃であり、当該立体裁断された左右の身頃が後中心で縫合され形成されている衣料である本発明の好ましい態様とすることにより、立体裁断された後側をカバーする左右の後身頃を後中心で縫合することにより、ヒップの立体形状に沿う衣料を形作ることができ、着用感並びに裾部にフィット性も向上し、好ましい。尚、特に限定するものではないが、左右の後身頃の縫合前の後中心側の裁断ライン(図5や図10のi−jのライン)は、後中心側に膨らんだ凸のカーブにするような立体裁断が好ましく採用される。
【0235】
また、衣料が、ショーツ、ショートタイプのガードル、ボディスーツ、テディ、水着、レオタードから選ばれた衣料である本発明の好ましい態様とすることにより、これらの衣料は、人体にフィットさせて着用するタイプの衣料であり、本発明の前述した機能が効果的に発揮されやすく好ましい。
【0236】
また、衣料が、ショーツまたはショートタイプのガードルであり、当該衣料は、その左半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地と右半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地とが、前中心と後中心で縫合されて形成されており、それぞれの生地の前部−脇部−後部の裾縁とウェスト側の縁がともに、縁始末不要な縁からなる態様とした場合には、すべての裾縁のみならず、ウェスト部の縁も縁始末不要な縁とすることができ、ウェスト部の厚みがより一層薄くできるので、着用者のウェストまわりの外観を細く保つことができ、好ましい。
【0237】
また、衣料が少なくともほぼ横方向に伸縮性を有する態様とすることにより、衣料を横方向に広げて衣料の着脱ができるので、衣料の着脱が容易になるとともに、裾部のフィット性も向上し好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衣料であるショートタイプのガードルの前側から見た平面図。
【図2】図1のガードルの後側から見た背面図。
【図3】本発明の衣料であるショーツの実施の形態例の前側から見た平面図。
【図4】図3のショーツの後側から見た背面図。
【図5】図3、図4のショーツの左側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図。
【図6】本発明の衣料であるショートタイプのガードルの別の実施の形態例の前側から見た平面図。
【図7】図6のガードルの後側から見た背面図。
【図8】本発明の衣料であるショーツの別の実施の形態例の前側から見た平面図。
【図9】図8のショーツの後側から見た背面図。
【図10】図8、図9のショーツの左側の前脇部−脇部−後部充当部片4の縫合前の展開平面図。
【図11】本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例の前側から見た平面図。
【図12】図11のガードルの後側から見た背面図。
【図13】本発明の衣料であるショーツの更に別の実施の形態例の前側から見た平面図。
【図14】図13のショーツの後側から見た背面図。
【図15】図13、図14で示したショーツの着用状態を示す前側から見た斜視図。
【図16】図13、図14で示したショーツの着用状態を示す後側から見た斜視図。
【図17】本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例の前側から見た平面図。
【図18】図17のガードルの後側から見た背面図。
【図19】図17、図18で示したガードルに使用している左半身充当部片30aの展開平面図。
【図20】本発明の衣料であるショートタイプのガードルの更に別の実施の形態例の後側から見た背面図。
【図21】本発明の衣料であるボディスーツの前側から見た斜視図。
【図22】図21のボディスーツの後側から見た斜視図。
【図23】本発明の衣料であるボディスーツの別の実施の形態例の前側から見た斜視図
【図24】図23のボディスーツの後側から見た斜視図。
【図25】本発明のショーツと従来のショーツとをそれぞれ着用した状態を重ねて描いた後側から見た概略比較モデル図。
【図26】図25の概略比較モデル図の右側面図。
【図27】本発明で用いる主要筬の糸の編み組織図。
【図28】図27に示した組織に従って編み上げられた編地の組織を説明するための、簡略化した組織図。
【図29】図28の編地を所定のカーブした裾縁に沿って、カットした状態を説明するための簡略化した組織図。
【図30】従来より衣料に用いられている波状のスカラップが形成された裾部分の部分平面概念図。
【図31】従来より衣料に用いられている波状のスカラップが形成された裾部分の部分平面概念図。
【図32】従来のショーツの前側から見た平面図。
【符号の説明】
1 腹部充当部片
3 脇ライン
4 前脇部−脇部−後部充当部片
4a 後裾縁ライン
4b 前脇部の裾縁ライン
4c 前裾縁ライン
4n 包絡線
5 縫合ライン
6 クロッチ部片
7 後中心の縫合ライン
8 ウェスト部
8a ウェスト部8の縁ライン
9 仮想直線a
20 前裾充当部片
21 縫合ライン
22 裾縁ライン
23 スカラップ
25 伸縮パワーが強化された領域
25a 裾縁近傍が伸縮パワーの大きい領域
25b 伸縮パワーが領域25aより小さい領域
26 伸縮パワーが強化された領域
26a 伸縮パワーの大きい領域
26b 伸縮パワーが領域26aより小さい領域
27 前脇裾縁ライン
28 伸縮パワーが強化された領域
30a 左半身充当部片
30b 右半身充当部片
31 前中心の縫合ライン
32 後中心の縫合ライン
35 後部ウェスト下部充当部片
36 縫合ライン
50 乳房カップ部
51 肩紐
53 胸下部充当部片
54 前中心の縫合ライン
55 縫合ライン
60a 左半身充当部片
60b 右半身充当部片
61 前中心の縫合ライン
62 後中心の縫合ライン
71 非伸縮性糸よりなる鎖編糸
72 非伸縮性糸よりなる挿入糸
73 第1の伸縮性糸
74 第2の伸縮性糸
80 鎖編糸(71)と非伸縮性糸よりなる挿入糸(72)と第1の伸縮性糸(73)の3本をまとめて簡略化して1本の直線で示したもの
81a、81b、81c、81d ほつれ防止糸
90 経編地
91 カットライン
500 スカラップ
501 包絡線
510 大きめのスカラップ
511 小さめの大きさのスカラップ
600 腹部充当部片
601 前脇部−脇部−後部充当部片
601a 後側の裾縁ライン
602 脇ライン
603 前裾部片
604 クロッチ部片

Claims (19)

  1. 少なくとも腹部と臀部を覆い股部を有していて、衣料後側における裾ラインが、臀部の膨らみの外脇側から下側に沿う裾ラインを有している経編地を用いた伸縮性を有する衣料であって、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として、衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、衣料後側の裾ラインの上端と下端を結ぶ仮想直線をaとすると、当該衣料後側の裾ラインは、裾ラインの上端と下端の間が、全体として仮想直線aから外側に膨らんだ滑らかな1つの弧状の大カーブ状、または、スカラップ状の小カーブを有し且つスカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線が仮想直線aから外側に膨らんだ1つの弧状の大カーブ状を呈しており、且つ前記大カーブ状のカーブの曲率が裾ラインの上端側のカーブの曲率よりも下端側のカーブの曲率が大きいカーブになっており、仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが1〜5cmの範囲であり、少なくとも衣料後側における裾が、縁始末不要な裾を有する衣料。
  2. 少なくとも衣料後側における裾部において、裾縁に沿って伸縮パワーが強化された領域を有し、前記伸縮パワーが強化された領域のパターンが、裾ラインの形状に沿ったカーブを有する略帯状のパターンである請求項1に記載の衣料。
  3. 伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの大きい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より小さい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる請求項2に記載の衣料。
  4. 伸縮パワーが強化された領域が、裾縁側の領域が伸縮パワーの小さい領域であり、それより衣料内部の領域が伸縮パワーが前者より大きい領域からなる複数グレードの伸縮パワーを有する領域からなる請求項2に記載の衣料。
  5. 伸縮パワーの大きい領域が、比較的太い伸縮性糸が挿入されている領域であり、伸縮パワーが前者より小さい領域が、伸縮パワーの大きい領域に挿入されている伸縮性糸より細い伸縮性糸が挿入されている領域である請求項3または4のいずれかに記載の衣料。
  6. 伸縮パワーの大きい領域が、単位当たりの伸縮性糸の挿入本数が多い領域であり、伸縮パワーが前者より小さい領域が、単位当たりの伸縮性糸の挿入本数が伸縮パワーの大きい領域より少ない領域である請求項3または4のいずれかに記載の衣料。
  7. 伸縮パワーが強化された領域の幅が、1〜5cmである請求項2〜6のいずれかに記載の衣料。
  8. 伸縮パワーが強化された領域の幅が、2〜4cmである請求項2〜6のいずれかに記載の衣料。
  9. 衣料後側の裾ラインが、滑らかな1つの弧状の大カーブ状のカーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該裾ラインの上端と下端の間の当該カーブの長さが、13〜20cmであり、また、衣料後側の裾ラインが、スカラップ状の小カーブを有する場合には、前記衣料を左右の脇ラインを境界線として衣料の前側と後側になるように扁平に前記衣料を折り畳んだ状態で、当該スカラップ状の小カーブのほぼ頂点を結ぶ包絡線の裾ラインの上端と下端の間のカーブの長さが、13〜20cmである請求項1〜8のいずれかに記載の衣料。
  10. 縁始末不要な裾が、ほつれ防止糸が裾縁に沿って編み込まれてなる縁始末不要な裾である請求項1〜9のいずれかに記載の衣料。
  11. 衣料後側が、少なくとも裾縁部から臀部上方部まで連続した一体の経編地2枚を後中心で縫合して形成されている請求項1〜10のいずれかに記載の衣料。
  12. 衣料後側を充当する身頃が、立体裁断された身頃であり、当該立体裁断された左右の身頃が後中心で縫合され形成されている請求項1〜11のいずれかに記載の衣料。
  13. 仮想直線aから垂直方向に測定した前記後側の裾ラインまでの距離の最も長い部分bが1.5〜4cmの範囲である請求項1〜12のいずれかに記載の衣料。
  14. 経編地がシングルラッセル編からなる請求項1〜13のいずれかに記載の衣料。
  15. 少なくとも後裾部を形成する経編地が経編レース地からなる請求項1〜14のいずれかに記載の衣料。
  16. 衣料が、ショーツ、ショートタイプのガードル、ボディスーツ、テディ、水着、レオタードから選ばれた衣料である請求項1〜15のいずれかに記載の衣料。
  17. 衣料が、ショーツまたはショートタイプのガードルであり、当該衣料は、その左半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地と右半身の前部−脇部−後部を充当する一体の連続した生地とが、前中心と後中心で縫合されて形成されており、それぞれの生地の前部−脇部−後部の裾縁とウェスト側の縁がともに、縁始末不要な縁からなる請求項1〜15のいずれかに記載の衣料。
  18. 臀部の膨らみを充当する部分が、臀部の膨らみの立体形状に沿うように、加熱成形されている請求項1〜17のいずれかに記載の衣料。
  19. 衣料が少なくともほぼ横方向に伸縮性を有する請求項1〜18のいずれかに記載の衣料。
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