JP4062933B2 - 車両用冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車エンジン冷却用のラジエータに用いて好適な車両用冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用冷却装置として、図4に示すように、エンジン冷却水温度(例えばエンジン10の出口水温)に応じてウォータポンプ132を作動させて、リザーブタンク120内に予め貯留した冷却水をラジエータ110のコア部116に噴射する噴射ノズル131を設けたものが知られている。これは、エンジン負荷が高い走行時であって、冷却水温度が所定温度より高くなった時に、噴射ノズル131から冷却水をラジエータ110のコア部116に噴射して、熱交換効率を高めてラジエータ110の冷却能力を向上するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却水の噴射に応じてリザーブタンク120内の冷却水は減少する一方となるので、走行の都度冷却水補充のためのメンテナンスを要する。
【0004】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、リザーブタンク内への冷却水の補充を不要とする車両用冷却装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
請求項1に記載の発明では、車両(1)に搭載される機器(10)内を流通する流体を冷却する熱交換器(110)に、冷却水を貯留するリザーブタンク(120)と、リザーブタンク(120)内の冷却水を熱交換器(110)の外表面に流出させる冷却水流出手段(130)とが設けられる車両用冷却装置において、車両(1)の室内を冷房する冷凍サイクル装置(20)内の蒸発器(21)で凝縮された凝縮水を、リザーブタンク(120)内に供給する凝縮水供給手段(140)を設け、冷却水流出手段(130)は、リザーブタンク(120)内に設けられて、水平方向に対して車両(1)後方上側に向けて所定角度(θ)で傾斜し、水平方向の反所定角度側に冷却水を堰き止める堰(122)と、所定角度(θ)側の前記リザーブタンク(120)底部(121)に設けられ、前記冷却水が外部に流出する流出孔(123)とから構成されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
これにより、蒸発器(21)で生成される凝縮水が凝縮水供給手段(140)によって逐次リザーブタンク(120)に供給されるので、リザーブタンク(120)内への冷却水の補充を不要とすることができる。
【0009】
また、一般に車両(1)の機器(10)にとって熱負荷の厳しい登坂走行時に、車両(1)が所定角度(θ)で傾斜した場合、冷却水は堰(122)を乗り越えて流出孔(123)から熱交換器(110)の外表面に流出するので、従来技術のような熱負荷状態の検出手段や冷却水噴射手段を要することなく簡単な構成で安価に対応可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、リザーブタンク(120)は、熱交換器(110)の上側に設けられるようにしたことを特徴としている。
【0011】
これにより、リザーブタンク(120)から流出する冷却水を熱交換器(110)の上側から供給でき、効率良く熱交換器(110)の冷却能力を向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、熱交換器(110)とリザーブタンク(120)とは互いに係合され、リザーブタンク(120)には、車両(1)の所定部位(11)に取付けられる取付け部(124)が形成されたことを特徴としている。
【0013】
これにより、リザーブタンク(120)を熱交換器(110)と一体にして、車両(1)への装着性を向上でき、且つ、取付け部(124)での取付けを可能とすることができる。更に、熱交換器(110)とリザーブタンク(120)とを別個に設けていた場合に対して、各取付け部材を低減できる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、リザーブタンク(120)は、蒸発器(21)よりも下側に配置され、凝縮水供給手段(140)は、蒸発器(21)下側部とリザーブタンク(120)内とを接続するホース(140)としたことを特徴としている。
【0015】
これにより、蒸発器(21)で生成される凝縮水を重力によってリザーブタンク(120)内に供給することができ、ポンプ等の圧送手段が不要となる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、凝縮水供給手段(140)は、蒸発器(21)下側部およびリザーブタンク(120)内を接続するホース(140)と、ホース(140)間に設けられるポンプ(141)とから構成されるようにしたことを特徴としている。
【0017】
これにより、リザーブタンク(120)と蒸発器(21)の高さ方向の位置に関係なく、蒸発器(21)での凝縮水をリザーブタンク(120)内に供給できる。
【0018】
請求項1〜請求項5の発明においては、請求項6に記載の発明のように、車両(1)に搭載される機器(10)をエンジン(10)とし、熱交換器(110)としては、エンジン(10)内を流通する流体としての冷却水を冷却するラジエータ(110)に適用して好適である。
【0019】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1、図2に示す。第1実施形態は、本発明の車両用冷却装置100を車両1のエンジン10を冷却するラジエータ110に適用したものであり、まず、具体的な構成について図1に基づいて説明する。尚、ここでは車両1は、室内のダッシュボード位置がラジエータ110よりも高い位置となる1BOX車としている。
【0021】
車両用冷却装置100は、ラジエータ110にリザーブタンク120、冷却水流出手段130および凝縮水供給手段140を設けたものである。ラジエータ110は周知のように、車両1に搭載されるエンジン(機器)10内の冷却水(流体)を冷却する熱交換器であり、アッパタンク111、ロウアタンク114、コア部116から成る。
【0022】
アッパタンク111に設けられた入口パイプ112にラジエータホース12が接続され、また、ロウアタンク114に設けられた出口パイプ115にラジエータホース13が接続されている。これによりエンジン10内の冷却水が図示しないウォータポンプによってラジエータ110内を循環し、コア部116で冷却水は冷却される。
【0023】
また、アッパタンク111の上面には上側に突出する突起部113が設けられ、この突起部113には円筒状の弾性部材(以下、マウントゴム)150が装着されている。
【0024】
リザーブタンク120は、内部に冷却水を貯留する樹脂材から成る細長の容器であり、ラジエータ110の上側に配置されて、アッパタンク111の長手方向(図1では紙面に対して垂直方向)に延びている。リザーブタンク120の上面には後述する蒸発器21からの凝縮水が流入する流入孔126が設けられており、また、底部121には、上記アッパタンク111に装着されたマウントゴム150が嵌入されるマウント嵌入部125が設けられている。
【0025】
そして、リザーブタンク120の内部には、水平方向に対して車両1の後方上側に所定角度θで傾斜して、水平方向の反所定角度側に冷却水を堰き止める堰122がリザーブタンク120の長手方向に延びるように設けられている。また、所定角度θ側の底部121には冷却水が外部に流出する流出孔123がリザーブタンク120の長手方向に連続して設けられている。(流出孔123は、リザーブタンク120の長手方向に所定間隔で複数設けるようにしても良い。)そして、底部121における上側の面は、上記堰122と平行になるようにしている。尚、所定角度θは、車両1の登坂走行時における登坂路の勾配(7〜12度)を想定した角度としている。ラジエータ110への冷却水流出手段は、リザーブタンク120に設けた堰122と流出孔123より構成される。
【0026】
更には、リザーブタンク120の上面には、上側に向けてほぼ垂直に延びる取付け部124が設けられている。マウントゴム150がマウント嵌入部125に嵌入されて、ラジエータ110とリザーブタンク120とが係合された後に、この取付け部124が、車両1のアッパメンバ(所定部位)11に固定される。尚、ラジエータ110の下側は、ロウアタンク114にマウントゴム151が装着され、このマウントゴム151が車両1のロウアメンバ14に嵌入、固定されている。
【0027】
一方、車両1のダッシュボード内には、室内を冷房する冷凍サイクル装置20を構成する蒸発器21が配設されている。蒸発器21は、空調ケース22内に収容されて、内部の冷媒を蒸発させて、その蒸発潜熱によって空調ケース22内に送風される空気を冷却するものである。この時空気中に含まれる水分が凝縮水として生成されるが、空調ケース22の下側には凝縮水を排出するドレン孔23が設けられている。
【0028】
そして、ドレン孔23とリザーブタンク120の流入孔126とが凝縮水供給手段としてのホース140で接続されるようにしている。尚、車両1は上記で説明したように1BOX車両であり、ドレン孔23は流入孔126より高い位置となっている。
【0029】
次に、上記構成に基づく作動および作用効果について説明する。車両1走行時においては、エンジン10の冷却水はラジエータ110によって適温と成るように冷却されるが、一般に登坂走行時においてはエンジン10の負荷は高くなり、ラジエータ110の冷却能力が大きく必要とされる。本発明においては、この場合に、図2に示すように、ラジエータ110が登坂路の勾配(θ)分だけ傾斜すると、リザーブタンク120内の堰122が水平方向となり、堰き止められていた冷却水が堰122を乗り越えて、流出孔123から外部に流出する。そして、流出した冷却水はラジエータ110のコア部116に流れ、この冷却水によって熱交換効率が向上され冷却能力を向上させることができる。
【0030】
従来技術においては、リザーブタンク120内の冷却水は、ラジエータ110の冷却能力向上のために使用されると減少する一方であったが、本発明では蒸発器21で生成される凝縮水がホース140によって、リザーブタンク120に供給されるので、リザーブタンク120内への冷却水の補充を不要とすることができる。
【0031】
また、リザーブタンク120に設けた堰122と流出孔123によって、一般にエンジン10の負荷が高くなる登坂走行時に冷却水をラジエータ110のコア部116に供給でき、従来技術のような熱負荷状態の検出手段や冷却水噴射手段を要することなく簡単な構成で安価に対応可能となる。
【0032】
また、リザーブタンク120をラジエータ110の上側に配置するようにしているので、リザーブタンク120から流出する冷却水をラジエータ110の上側から供給でき、効率良くラジエータ110の冷却能力を向上させることができる。
【0033】
また、リザーブタンク120をマウントゴム150を介して、ラジエータ110に係合させて一体にしているので、車両1への装着性を向上でき、且つ、リザーブタンク120に設けた取付け部124で車両1のアッパメンバ11に取付けが可能となる。そして、ラジエータ110とリザーブタンク120とを別個に設けていた場合に対して、各取付け部材を低減できる。
【0034】
更に、蒸発器21がリザーブタンク120よりも高い位置となるように設定しているので、蒸発器21で生成される凝縮水を重力によってリザーブタンク120に供給することができ、ポンプ等の圧送手段が不要となる。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図に示す。上記第1実施形態では、蒸発器21がリザーブタンク120よりも高い位置に設定されるものとして説明したが、車両によっては、両者の位置関係がそのように確保できない場合もある。第2実施形態は、そのような場合での対応を可能とするものであり、蒸発器21の下側となるドレン孔23とリザーブタンク120の流入孔126とを接続するホース140の間にポンプ141を設けるようにしている。
【0036】
これにより、リザーブタンク120と蒸発器21の高さ方向の位置に関係なく、蒸発器21での凝縮水をリザーブタンク120内に供給できる。
【0037】
(その他の実施形態)
上記第1、第2実施形態では、熱交換器としてエンジン10の冷却水を冷却するラジエータ110を対象に説明したが、これに限らず、冷凍サイクル装置(機器)20内の冷媒(流体)を凝縮する凝縮器や、ターボチャージャー(機器)で過給された空気(流体)を冷却するインタークーラ等に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を示す模式図である。
【図2】登坂走行時における作動状態を示す模式図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す模式図である。
【図4】従来技術を示す模式図である。
【符号の説明】
1 車両
10 エンジン(機器)
11 アッパメンバ(所定部位)
20 冷凍サイクル装置
21 蒸発器
100 車両用冷却装置
110 ラジエータ(熱交換器)
120 リザーブタンク
121 底部
122 堰
123 流出孔
124 取付け部
130 冷却水流出手段
140 ホース(凝縮水供給手段)
141 ポンプ(凝縮水供給手段)

Claims (6)

  1. 車両(1)に搭載される機器(10)内を流通する流体を冷却する熱交換器(110)に、
    冷却水を貯留するリザーブタンク(120)と、
    前記リザーブタンク(120)内の前記冷却水を前記熱交換器(110)の外表面に流出させる冷却水流出手段(130)とが設けられる車両用冷却装置において、
    前記車両(1)の室内を冷房する冷凍サイクル装置(20)内の蒸発器(21)で凝縮された凝縮水を、前記リザーブタンク(120)内に供給する凝縮水供給手段(140)を設け
    前記冷却水流出手段(130)は、前記リザーブタンク(120)内に設けられて、水平方向に対して前記車両(1)後方上側に向けて所定角度(θ)で傾斜し、水平方向の反所定角度側に前記冷却水を堰き止める堰(122)と、前記所定角度(θ)側の前記リザーブタンク(120)底部(121)に設けられ、前記冷却水が外部に流出する流出孔(123)とから構成されるようにしたことを特徴とする車両用冷却装置。
  2. 前記リザーブタンク(120)は、前記熱交換器(110)の上側に設けられるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
  3. 前記熱交換器(110)と前記リザーブタンク(120)とは互いに係合され、前記リザーブタンク(120)には、前記車両(1)の所定部位(11)に取付けられる取付け部(124)が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用冷却装置。
  4. 前記リザーブタンク(120)は、前記蒸発器(21)よりも下側に配置され、
    前記凝縮水供給手段(140)は、前記蒸発器(21)下側部と前記リザーブタンク(120)内とを接続するホース(140)としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用冷却装置。
  5. 前記凝縮水供給手段(140)は、前記蒸発器(21)下側部および前記リザーブタンク(120)内を接続するホース(140)と、前記ホース(140)間に設けられるポンプ(141)とから構成されるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用冷却装置。
  6. 前記車両(1)に搭載される機器(10)はエンジン(10)であり、
    前記熱交換器(110)は、前記エンジン(10)内を流通する流体としての冷却水を冷却するラジエータ(110)であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の車両用冷却装置。
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