JP4062503B2 - コロナ放電装置およびそれを備える画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極の清掃部材を備えるコロナ放電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機などの電子写真画像を形成する画像形成装置では、電子写真感光体の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像を現像によって可視化し、さらに可視化された画像を記録紙などに転写し定着して記録画像を得ている。画像形成装置の電子写真感光体は、露光によって静電潜像が形成される前に、コロナ放電装置(メインチャージャーともいう)によって一様帯電される。
【0003】
コロナ放電装置の放電用電極には、従来たとえば直径が80〜90μmのタングステン製の放電ワイヤが用いられてきた。この放電ワイヤを用いる放電装置では、帯電均一性を確保するために大きな電流を必要とするので、放電の際に多量のオゾンを発生させ、オゾンの強い酸化力のために電子写真感光体やコロナ放電装置自体が劣化するという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する先行技術の一つが、特開平1−312563に開示されている。この技術は、コロナ放電装置の電極形状をワイヤに代えて針状に形成するものである。針状電極では、ワイヤ電極の場合に比べて、同一出力を得るための電流値が4分の1程度に減少し、それに伴ってオゾン発生量も4分の1程度に減少する。しかしながら、針状電極を用いた場合、放電を繰返すのに伴い電極先端部にシリコンが付着するという現象が発生する。電極先端部に付着するシリコン量が増加するのに伴って放電が安定しなくなり、放電が不安定な状態で電子写真感光体の帯電に使用し続けると、形成される画像に筋汚れなどの画像むらが形成されるという不良が発生する。
【0005】
さらに前述のような針状電極におけるシリコン付着の問題を解決する先行技術が、たとえば実開平2−75658および特許3259515などに開示されている。実開平2−75658に開示される技術は、針状電極にスポンジローラを押し当てながら回転移動させて汚れを取除く(清掃する)ものであり、特許3259515に開示される技術は、回転可能に支持される一対のローラからなる清掃部材で針状電極を両側から挟みこみ、清掃部材を針状電極に対して相対的に移動させることによって汚れを取除くものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の先行技術には以下のような問題がある。実開平2−75658に開示される技術では、スポンジローラが針状電極の先端に引っ掛って破損し、破損時にちぎれたスポンジ片が針状電極の先端に付着して放電を不安定化させたり、スポンジローラの回転移動時に加えられる力によって針状電極の先端部が変形するという問題がある。また特許3259515に開示される技術では、一対のローラで針状電極を挟み込んで清掃するので、針状電極の先端部にローラが充分に当接せずに針状電極先端部が清掃され得ない場合が起こるという問題があり、さらに針状電極を両側から挟み込むための押圧機構などが必要とされるので、装置が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構成で、電極を損耗させることなく充分に清掃し、安定した放電の継続を可能にするコロナ放電装置およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【0008】
本発明は、電子写真感光体を帯電させるために用いられるコロナ放電装置において、
複数の先鋭状突起部を有する板状の電極と、
電極に対して相対的に移動可能に設けられ、電極の先鋭状突起部を清掃する薄板状の清掃部材とを含み、
清掃部材は、
弾性を有する弾性体であり、
米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さが、Mスケールで115以上を有し、
先鋭状突起部を清掃するとき、先鋭状突起部に対して10gf以上30gf以下の力で押付けられ、
電極を含む平面に対し、清掃部材が移動する方向からみたときに傾斜角を有するように形成された辺が、移動しながら弾性変形して先鋭状突起部に当接して擦過するように構成されることを特徴とするコロナ放電装置である。
また本発明は、電極を含む平面に対する前記傾斜角は、40〜60度であることを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、先鋭状突起部を有する電極に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に電極を擦過することによって電極の表面を清掃する清掃部材は、好適範囲の硬さを有する弾性体で形成されるとともに、電極を擦過する際に好適範囲の力で押圧されることによって、適度に弾性変形しつつ先鋭状突起部の先端にも充分に当接することができるので、突起部の先端を変形損傷させることなく汚れを充分に取除くことができる。また清掃部材が好適範囲の硬さを有するので、電極を擦過する際、逆に清掃部材が損耗して突起部の先端に付着することもない。このような清掃部材を用いて電極を清掃することによって、電極の先鋭状突起部を清浄に保つことができるので、放電むら発生を防止することができ、また放電むらに起因する画像不良の発生を防止することができる。
【0010】
また、清掃部材を好適範囲の硬さを有する弾性体で形成し、電極に対する清掃部材の押付け力を好適範囲に選択することによって、清掃部材を電極に対して相対的に移動させて擦過させるという簡単な構成で放電安定性に優れるコロナ放電装置を実現することができる。
また、清掃部材の電極を擦過する辺は、電極を含む平面に対し、清掃部材が移動する方向からみたときに傾斜角を有する。このことによって、清掃部材が電極に当接し始めるとき、まず突起部の基底部寄りの位置に当接し、次いで清掃部材が電極に対して相対的に移動するのに伴って、清掃部材の弾性変形が進み突起部の先端部に当接するようになる。清掃部材を電極に対して相対的に移動させるとき、清掃部材は、突起部の先端部にとどまらず、先端部から基底部方向にある程度の距離まで広い範囲を擦過して清掃することができるので、突起部の先端部のみを擦過して清掃する場合に比べて、次に電極を清掃する機会までの時間間隔を長く、すなわち清掃頻度を少なくすることができる。
また、電極を含む平面に対する前記傾斜角が40〜60度となるように設定することによって、清掃作業を実施する時間間隔を約2倍に延長することができる。
【0011】
また本発明は、前記清掃部材は、複数の部材によって構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、清掃部材は、複数の部材によって構成される。このことによって、電極の突起部は、複数の清掃部材によって擦過されて清掃されるので、汚れは確実に取除かれて放電安定性が一層向上する。
【0013】
また本発明は、前記清掃部材を構成する複数の部材は、
前記部材同志が、前記電極に対する相対的移動方向に関して予め定められる間隔L1を有するように設けられることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、複数の清掃部材のうち互いに隣接する一方の清掃部材が、電極に当接して弾性変形するに際し、他方の清掃部材が、前記一方の清掃部材の弾性変形を妨げることのないような間隔L1を有するように設けられる。このことによって、前記一方の清掃部材は、電極を擦過している間中好適範囲の押圧力を維持できるので、電極の突起部を変形損傷させることなく充分に清掃することができる。
【0015】
また本発明は、前記清掃部材は、比抵抗が1013Ωcm以上を有する絶縁物からなることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記絶縁物は、ポリイミドであることを特徴とする。
本発明に従えば、清掃部材は、比抵抗が1013Ωcm以上を有する絶縁物からなり、好ましくは絶縁物がポリイミドである。清掃部材が、ポリイミドのような比抵抗の大きい絶縁物で形成されることによって、清掃部材を通じて電圧のリークすることがなくなるので、コロナ放電装置やコロナ放電装置の設けられる画像形成装置の破損等を防止することができる。
【0019】
また本発明は、前記清掃部材は、前記電極の清掃に使用されない状態にあるとき、前記電極の設けられていない位置に配置されることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、電極清掃に使用されない状態にある清掃部材は、電極の設けられていない位置に配置される。このことによって、電極清掃時に清掃部材を装置に装着し、電極を清掃しない時に清掃部材を装置から離脱させるという繁雑さが解消される。
【0021】
また本発明は、前記清掃部材は、装置本体外方からの操作によって前記電極に対して相対的に移動されることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、清掃部材は、装置本体外方からの操作によって電極に対して相対的に移動可能に構成される。このことによって、電極を清掃する都度、コロナ放電装置を画像形成装置から取出し、電極を露出させて清掃するという繁雑さが解消され、電極の清掃作業が極めて容易になる。またコロナ放電装置を画像形成装置から取出すことなくその電極を清掃することができるので、取出しによってコロナ放電装置を他の部品に打ち付けたりして破損させることを防止できる。
【0023】
また本発明は、前記電極と前記電子写真感光体との間に設けられるグリッドと、
前記グリッドに対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に前記グリッドを擦過することによって前記グリッドを清掃するグリッド清掃部材とをさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、電極と電子写真感光体との間に帯電均一性を向上させるためのグリッドが設けられ、このグリッドも飛散トナー等で汚れることがあるので、グリッドに対して相対的に移動可能であり、移動時にグリッドを擦過することによって清掃するグリッド清掃部材が設けられてもよい。このことによって、放電安定性および帯電均一性に優れるコロナ放電装置が実現される。
【0025】
また本発明は、前記清掃部材と前記グリッド清掃部材とが、単一部品に一体化されることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、清掃部材とグリッド清掃部材とが、単一部品に一体化されるので、1つの動作で電極とグリッドとの両方を清掃することができる。また、部品点数が削減されるので、組立作業効率を向上することができる。
【0027】
また本発明は、前記いずれか一つに記載のコロナ放電装置を帯電器として備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0028】
本発明に従えば、画像形成装置は、帯電器に前記いずれか一つに記載のコロナ放電装置を備える。このように、放電安定性に優れるコロナ放電装置を帯電器として備えるので、放電むらに起因する筋汚れや画像むらが無く画質の良好な画像を安定して形成することのできる画像形成装置が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態であるコロナ放電装置1の構成を簡略化して示す斜視図であり、図2は図1に示すコロナ放電装置1の正面図であり、図3は図1に示すコロナ放電装置1の側面図であり、図4は図1に示すコロナ放電装置1を備える画像形成装置2の構成を示す概略断面図である。
【0030】
図4に示す画像形成装置2は本発明のもう一つの実施の形態であり、ここでは画像形成装置の一つである複写機2について例示する。まず図4を参照してコロナ放電装置1が備えられる複写機2の構成と動作について説明する。複写機2は、原稿送給部3と、画像読取部4と、給紙部5と、画像形成部6と、定着部7とを含む構成である。
【0031】
原稿送給部3は、複写されるべき原稿を送給する両面自動原稿送り装置8(略称RADF:Reversing Automatic Document Feeder)と、RADF8から送給された原稿が予め定められる位置に載置される原稿台9と、原稿受けトレイ10とを含む。RADF8は、原稿台9に対して所定の位置関係を有するとともに開閉可能な状態で支持される。RADF8は、原稿の一方の面が原稿台9の予め定められる位置であって画像読取部4に対向する位置に載置されるように原稿を送給し、一方の面の画像読取りが終了すると、他方の面が原稿台9の予め定められる位置であって画像読取部4に対向する位置に載置されるように原稿を反転送給し、他方の面の画像読取りが終了すると、原稿を原稿受けトレイ10へ排出する。このような原稿の送給および表裏反転動作は、複写機2の全体動作に関連して制御される。なお原稿の一方の面のみを複写する場合には、原稿の反転送給は実行されない。
【0032】
画像読取部4は、原稿台9の下方に配置され、RADF8によって原稿台9に送給された原稿の画像を読取る動作を行い、原稿台9の下面に沿って平行に往復移動する第1および第2走査ユニット11,12と、光学レンズ13と、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ14とを含む。
【0033】
第1走査ユニット11は、読取るべき原稿画像表面を露光する露光ランプ15と、原稿からの反射光像を所定の方向に偏向する第1ミラー16とを備え、原稿台9の下面に対して一定の距離を保ちながら予め定められる走査速度で往復移動する。第2走査ユニット12は、第1走査ユニット11の第1ミラー16によって偏向された反射光像をさらに所定の方向に偏向する第2および第3ミラー17,18とを備え、第1走査ユニット11と一定の速度関係を保って原稿台9の下面に沿って平行に往復移動する。
【0034】
光学レンズ13は、第2走査ユニット12の第3ミラー18によって偏向された反射光像を縮小し、CCDラインセンサ14の予め定められる位置に結像させる。CCDラインセンサ14は、白黒画像またはカラー画像を読取り、赤(R),緑(G),青(B)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインカラーCCDであり、光学レンズ13によって結像された反射光像を順次光電変換して電気信号を出力する。CCDラインセンサ14から電気信号として出力される原稿画像情報は画像形成部6に入力される。
【0035】
給紙部5は、複写機2の最下部に配置され、記録媒体である記録紙Pを積載収容する用紙トレイ19と、用紙トレイ19内の記録紙Pを1枚ずつ分離送給する分離ローラ20および給紙ローラ21とを含み、画像形成部6に対して記録媒体である記録紙Pを供給する。給紙部5から1枚ずつ分離供給される記録紙Pは、記録紙Pの搬送経路各所に設けられる搬送ローラ22によって画像形成部6の手前まで搬送され、画像形成部6の手前に設けられる一対のレジストローラ23によって給紙タイミングが制御されて画像形成部6に供給される。
【0036】
画像形成部6は、画像読取部4と給紙部5との間に配置され、レーザビームスキャナユニット24と、画像形成ステーション25と、転写搬送ベルト機構26とを含む。転写搬送ベルト機構26は、画像形成部6の下部に配置され、駆動ローラ27と、従動ローラ28と、駆動ローラ27と従動ローラ28とに張架される無端ベルト29と、無端ベルト29表面を帯電させて記録紙Pを吸着させるための吸着用帯電器30と、無端ベルト29に吸着されている記録紙Pを剥離するための除電器31とを備える。
【0037】
無端ベルト29は、駆動ローラ27の軸線まわりの回転によって矢符32方向に駆動する。レジストローラ23によってタイミング制御されて供給される記録紙Pは、吸着用帯電器30によって表面の帯電された無端ベルト29に静電吸着され、前述の矢符32方向に搬送される。記録紙Pには、無端ベルト29によって矢符32方向に搬送される過程において画像が転写され、画像の転写された記録紙Pは、除電器31によって無端ベルト29から剥離されて定着部7へと搬送される。レジストローラ23による給紙のタイミング制御は、記録紙Pの搬送方向先端部が搬送経路内に設けられる図示しないセンサによって検知され、このセンサの検知出力に応じて実行される。
【0038】
複写機2は、カラー複写機であるので、レーザビームスキャナユニット24および画像形成ステーション25は、黒色,シアン色,マゼンタ色およびイエロー色の各色に対応して4組が設けられる。各レーザビームスキャナユニット24および画像形成ステーション25は、現像に用いられるトナーの色が、黒色,シアン色,マゼンタ色,イエロー色に異なること、および画像原稿情報のうち黒色成分像に対応する画素信号,シアン色成分像に対応する画素信号,マゼンタ色成分像に対応する画素信号,イエロー色成分像に対応する画素信号が、それぞれ入力されること以外は構成を同じくするので、黒色のレーザビームスキャナユニット24および画像形成ステーション25を代表例として説明し、他については説明を省略する。なお、各色に対応するレーザビームスキャナユニット24および画像形成ステーション25を個々に示す場合には、アルファベットの添字:b(黒色),c(シアン色),m(マゼンタ色),y(イエロー色)を付して表す。
【0039】
図5は、黒色画像形成用レーザビームスキャナユニット24bおよび画像形成ステーション25bの構成を示す拡大図である。レーザビームスキャナユニット24bは、画像読取部4から入力される画像原稿情報に応じて変調されたドット光を発光する図示しない半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子からのレーザビームを主走査方向に偏向させるポリゴンミラー33bと、ポリゴンミラー33bによって偏向されたレーザビームを電子写真感光体40b(以後、単に感光体と呼ぶ)の表面に結像させるfθレンズ34b,35bと、反射ミラー36b,37b,38bとを備える。反射ミラー38bで反射されたレーザビームは、画像形成ステーション25bの感光体40b表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0040】
画像形成ステーション25bは、軸線39bまわりに矢符F方向に回転自在に支持される感光体40bと、感光体40bの円周面に沿って配置される以下の機器、すなわち前述のレーザビームで露光される前に感光体40bの表面を一様に帯電させる帯電器41bと、レーザビームスキャナユニット24bから出力されるレーザビームの露光によって感光体40bの表面に形成される静電潜像を現像して可視化する現像器42bと、無端ベルト29を介して感光体40bに対向して設けられ現像された画像を無端ベルト29上の記録紙Pに転写させる転写用放電器43bと、静電潜像の現像処理後に感光体40bの表面に残留するトナーを除去回収するクリーニングユニット44bとを備える。帯電器41b,現像器42b,転写用放電器43bおよびクリーニングユニット44bは、矢符Fで示す回転方向の上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
【0041】
帯電器41bには、本発明のコロナ放電装置1が用いられる。帯電器41bは、放電によって感光体40bの表面を一様に帯電させる。一様に帯電された感光体40bの表面が、画像原稿情報に応じたレーザビームスキャナユニット24bからのレーザビームによって露光され、露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて静電潜像が形成される。
【0042】
現像器42bは、感光体40bに対向して設けられる現像ローラ45bと、現像ローラ45bにトナーを含む現像剤を供給する現像剤搬送ローラ46bと、現像ローラ45bおよび現像剤搬送ローラ46bを回転自在に支持するとともに、その内部空間に現像剤を収容するケーシング47bとを備える。現像器42bの現像ローラ45bから、静電潜像の形成された感光体40bの表面に現像剤が供給されることによって静電潜像が現像されて可視化される。可視化された画像は、前述のように転写用放電器43bによって無端ベルト29上の記録紙Pに転写される。
【0043】
再び図4に戻って、黒色の画像が転写された記録紙Pには、無端ベルト29に吸着されたまま矢符32方向に搬送され、搬送方向上流側から下流側に向って以下の順に設けられるシアン色,マゼンタ色,イエロー色のレーザビームスキャナユニット24c,24m,24yおよび画像形成ステーション25c,25m,25yを通過する際に、シアン色,マゼンタ色,イエロー色の画像が、前述の黒色画像の場合と同様にして順次転写される。このようにして記録紙Pにフルカラー画像が形成される。フルカラー画像の形成された記録紙Pは、除電器31によって無端ベルト29から剥離されて定着部7へ送給される。
【0044】
定着部7は、図示しない加熱手段を備える加熱ローラ48と、加熱ローラ48に対向して設けられ加熱ローラ48に押圧されて当接部いわゆるニップ部50を形成する加圧ローラ49とを備える。定着部7に供給された記録紙Pは、ニップ部50を通過する際に加熱および加圧され、記録紙P上の現像剤が定着されて堅牢な画像となる。
【0045】
定着部7によって定着された記録紙Pは、一方の表面だけに画像形成する場合または一方の表面の画像形成を終えた後反転されて他方の表面に画像形成する場合、切換ゲート51の動作によってその上方へ送給され、さらに排出ローラ52によって排紙トレイ53へ排出される。なお、記録紙Pの一方の表面に画像形成した後、さらに続けて他方の表面に画像形成する場合、記録紙Pは、切換ゲート51の動作によってその下方に送給され、スイッチバック搬送経路54を経て表裏反転された後、再度画像形成部6へ搬送される。画像形成部6へ送給された記録紙Pには、前述と同様にして画像形成される。
【0046】
図1〜図3に戻って、複写機2の帯電器41として設けられるコロナ放電装置1について説明する。コロナ放電装置1は、複数の先鋭状突起部68を有する板状の電極61(以後、針状電極と呼ぶ)と、針状電極61を保持する保持部材62と、針状電極61に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極61を擦過することによって針状電極61の表面を清掃する2枚の清掃部材63a,63bと、清掃部材63a,63bを支持する支持部材64と、清掃部材63a,63bおよび支持部材64を移動させる移動用部材65と、針状電極61,保持部材62,清掃部材63a,63bおよび支持部材64を収容するシールドケース66とを含む構成である。このコロナ放電装置1は、複写機2において、感光体40を臨み感光体40の長手方向に沿って配置される。
【0047】
針状電極61は、たとえばステンレス鋼製の薄板状部材であり、一方向に長く延びる平板部67と平板部67の長手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される先鋭状の突起部68とによって構成される。針状電極61の寸法について例示すると、平板部67の短手方向の長さL2は、10mm程度が好ましく、突起部68の突出方向の長さL3は、2mm程度が好ましく、突起部68の先端の曲率半径Rは、40μm程度が好ましく、突起部68の形成されるピッチTPは、2mm程度が好ましい。
【0048】
針状電極61を保持する保持部材62は、針状電極61と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、たとえば樹脂製である。針状電極61は、その長手方向の両端部付近において、保持部材62の突出部分の一側面に、ねじ部材69によってねじ止めされている。この針状電極61には、前述の感光体40を帯電させるべく動作中は、コロナ放電するために5kV程度の電圧が印加されている。
【0049】
清掃部材63a,63bは、樹脂または金属からなり、平面投影図で略T字状の形状を有する薄板部材である。さらに清掃部材63a,63bは、T字状の突出(脚)部分先端における一方のコーナーが斜めにカットされていることを特徴とする。この清掃部材63a,63bは、ASTM規格D785に規定されるロックウェル硬さが、Mスケールで115以上を有する弾性体である。また清掃部材63a,63bは、比抵抗:1013Ωcm以上の絶縁性を有することが好ましく、たとえばポリイミドなどが好適である。
【0050】
ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極61に当接させて擦過するとき、清掃部材が不所望に変形し過ぎて清掃効果を得ることができない。清掃部材63a,63bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ASTM規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130となる。
【0051】
比抵抗が、1013Ωcm未満であっても本発明における所望の効果を得ることができるけれども、清掃部材63a,63bに比抵抗1013Ωcm以上の絶縁物を用いることによって、針状電極61から清掃部材63a,63bを通じて電圧がリークすることを防止できるので、コロナ放電装置1やコロナ放電装置1の設けられる複写機2の破損等の怖れが無くなる。
【0052】
清掃部材63a,63bを支持する支持部材64は、逆L字状の形状を有する部材である。T字状を有する清掃部材63a,63bの腕部分が、支持部材64の梁状部分に装着される。2枚の清掃部材63a,63bは、針状電極61に対して相対的に移動する方向に関して予め定められる間隔L1を有するように設けられる。間隔L1は、一方の清掃部材63aが針状電極61に当接して変形しているとき、他方の清掃部材63bが、変形している一方の清掃部材63aに当ることのない距離に選ばれ、装着される支持部材64の梁状部分の厚みで調整することができる。
【0053】
この間隔L1の好適な値は、清掃部材に用いられる素材の材質が異なると、その変形状態も異なるので、清掃部材として用いる素材の変形状態を事前に試験することによって定めることが望ましい。清掃部材63a,63bが、たとえば厚み:0.1mmのポリイミドからなるとき、間隔L1は2mmに選定される。2枚の清掃部材63a,63bに前述の間隔L1を設けることによって、一方の清掃部材63aが、針状電極61を擦過している間中、他方の清掃部材63bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極61の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃することができる。
【0054】
また、清掃部材63a,63bは、前述のT字状の突出部分先端における一方のコーナーが斜めにカットされて形成される辺70a,70bが、針状電極61を擦過する辺になるように支持部材64に装着される。このことによって、清掃部材63a,63bの針状電極61を擦過する前述の辺70a,70bは、針状電極61を含む平面に対して傾斜角θを有するように設けられることになる。
【0055】
このように、清掃部材63a,63bの辺70a,70bが、針状電極61を含む平面と傾斜角θを有するように設けられることによって、たとえば清掃部材63aが針状電極61に当接し始めるとき、まず突起部68の基底部寄りの位置に当接し、次いで清掃部材63aが針状電極61に対して相対的に移動するのに伴って、清掃部材63aの弾性変形が進み突起部68の先端部に当接するようになる。本実施の形態では、清掃部材63aまたは63bは、突起部68の先端から基底部寄りに0.5〜1.5mmの位置に当接し始めるように設定される。したがって、清掃部材63a,63bを針状電極61に対して相対的に移動させるとき、清掃部材63a,63bは、突起部68の先端部にとどまらず、先端部から基底部方向にある程度の距離まで広い範囲を擦過して清掃することができるので、突起部68の先端部のみを擦過して清掃する場合に比べて、次に電極を清掃する機会までの時間間隔を長く、すなわち清掃頻度を少なくすることができる。
【0056】
清掃部材63a,63bの辺70a,70bと、針状電極61を含む面との成す傾斜角θは、40〜60度であることが好ましく、傾斜角θをこの範囲に設定することによって、清掃作業を実施する時間間隔を約2倍に延長することができた。また清掃部材を2枚で構成することによって、2枚のうち少なくともいずれか一方が確実に針状電極61に当接するような設定を容易に実現することができる。したがって、清掃部材63a,63bおよび支持部材64の寸法精度にある程度許容範囲を持たせることが可能であり、部材の加工費用を削減することができる。
【0057】
シールドケース66は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、前述の感光体40を臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。またシールドケース66は、針状電極61と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース66の底面71に前述の保持部材62が装着される。シールドケース66の内側面72と保持部材62とによって形成される溝部73に、支持部材64の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
【0058】
支持部材64の柱状部分には、針状電極61の延びる方向と平行に貫通孔74が形成され、貫通孔74を挿通して移動用部材65が設けられる。移動用部材65は、貫通孔74に挿通されている部位で支持部材64に固定されるので、移動用部材65を針状電極61の延びる方向に牽引することによって、支持部材64は、溝部73に対して摺動し、かつ溝部73に案内されて針状電極61の延びる方向に移動することができる。すなわち、支持部材64に支持される清掃部材63a,63bが、針状電極61の延びる方向に移動するので、前述のように清掃部材63a,63bを針状電極61に当接させて擦過することができる。
【0059】
移動用部材65は、糸状またはワイヤ状の部材であり、シールドケース66に形成される孔または隙間からシールドケース66の外方に延び、シールドケース66の外面または複写機2の機体に設けられる滑車75a,75bを介してその端部が垂下される。なお、滑車75a,75bと移動用部材65の端部は、図1および図3では省略されている。移動用部材65の端部は、複写機2の機体外方にまで延長され、コロナ放電装置1を複写機2から取外すことなくまた複写機2を開放することなく、針状電極61の清掃を実施できるようにすることが好ましい。
【0060】
移動用部材65を牽引することによって清掃部材63a,63bを針状電極61に当接させて清掃するとき、針状電極61に対する清掃部材63a,63bの押圧力は、10gf以上,30gf以下になるように調整される。この押圧力の調整は、たとえば以下のようにして行うことができる。
【0061】
種々の重量の錘を準備し、各錘の重量を移動用部材65の一方の端部にそれぞれ吊下げた状態で、清掃部材63aまたは63bにばね秤などを接続し、清掃部材63aまたは63bに負荷される力を測定する。この力が、10gf〜30gfの範囲になるような錘を予め選定しておき、針状電極61を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材65の端部に吊下げることによって、所望の押圧力で清掃することができる。また移動用部材65の端部に予め回転トルクを調整した電動機を接続し、所望の押圧力を得るようにしてもよい。
【0062】
押圧力が、10gf以上,30gf以下に限定される理由は、以下のようである。押圧力が10gf未満では、針状電極61の付着物を充分に除去することができず、押圧力が30gfを超えると、針状電極61の突起部68の先端が変形破損する。
【0063】
図6は、本発明の実施の第2形態であるコロナ放電装置81の構成を簡略化して示す斜視図である。本実施の形態のコロナ放電装置81は、実施の第1形態のコロナ放電装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。コロナ放電装置81において注目すべきは、針状電極61が、保持部材62の長手方向の長さに比べて短くなるように形成されるので、保持部材62の長手方向の一端部または両端部には、針状電極61の設けられていない部分82(以後、退避部82と呼ぶ)の形成されることである。
【0064】
この退避部82には、針状電極61の清掃に使用されない状態、すなわち感光体40を帯電するべくコロナ放電装置81が動作状態にあるとき、清掃部材63a,63bが配置収容される。このように、針状電極61の清掃に使用されない状態にある清掃部材63a,63bは、前述の退避部82に配置収容される(以後、この配置収容されている状態を退避状態と呼ぶ)ので、清掃時と清掃しない時とで清掃部材63a,63bを装置に着脱するという繁雑さが解消される。
【0065】
また清掃部材63a,63bが導電性素材で形成されている場合、コロナ放電の際に針状電極61から清掃部材63a,63bへの放電、さらに清掃部材63a,63bからの2次放電による感光体40または複写機2の破損および電磁波の発生を防止するために、退避状態にある清掃部材63a,63bと針状電極61との離隔距離を5mm以上にすることが好ましい。
【0066】
なお清掃部材63a,63bが絶縁性素材で形成されている場合、前述のような退避部82を形成する必要はないけれども、退避状態において清掃部材63a,63bが常に突起部68に当接して機械的な変形を受けることを回避するために、少なくとも突起部68を形成せず、平板部67のみとする退避部の設けられることが好ましい。
【0067】
図7は本発明の実施の第3形態であるコロナ放電装置85の構成を簡略化して示す斜視図であり、図8は図7に示すコロナ放電装置85の正面図である。本実施の形態のコロナ放電装置85は、実施の第2形態のコロナ放電装置81に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0068】
コロナ放電装置85には、感光体40の帯電均一性を向上させるためのグリッド86が、針状電極61と感光体40との間に設けられ、さらにグリッド86に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時にグリッド86を擦過することによってグリッド86を清掃するグリッド清掃部材87a,87bが備えられる。
【0069】
グリッド清掃部材87a,87bは、前述の支持部材64に支持される清掃部材63a,63bをグリッド86の方向に延長し、グリッド86を臨むその先端部を鋸歯状に加工することによって実現される。このグリッド清掃部材87a,87bが支持部材64からグリッド86へ向う方向に延びる長さは、鋸歯状に加工された先端部がグリッド86に0.1mm程度食込むように設定される。なお、グリッド清掃部材87a,87bは、清掃部材63a,63bと同一素材で形成されることに限定されない。清掃部材63a,63bの素材とは異なり、たとえばモケットまたは毛ブラシなどで形成されたものを、支持部材64に支持させてもよい。
【0070】
グリッド清掃部材87a,87bは、清掃部材63a,63bとともに支持部材64に支持されるので、移動用部材65を操作して支持部材64を針状電極61に対して相対的に移動させるとき、清掃部材63a,63bが針状電極61を擦過して清掃し、同時にグリッド清掃部材87a,87bが、グリッド86を擦過して清掃する。このようにして、グリッド86に付着した飛散トナーなどが、グリッド清掃部材87a,87bによって除去されるので、放電安定性および帯電均一性が一層向上する。
【0071】
(実施例)
以下に本発明の実施例を説明する。
【0072】
本発明の実施の第1形態のコロナ放電装置1を備える複写機2を準備し、清掃試験を実施した。ただし、コロナ放電装置1には、それぞれ異なる材料で形成された清掃部材63a,63bが装着される4種類のものを準備した。コロナ放電装置1に用いられた清掃部材の材料は、厚み:0.1mmからなるポリサルフォン,ポリイミドA,ポリイミドBおよびステンレス鋼(略称SUS)の4種類である。ここで、前述の4種類の材料は、表面のロックウェル硬さおよび比抵抗がそれぞれ異なる。各材料のロックウェル硬さと比抵抗を合わせて表1に示す。
【0073】
清掃試験は、次のように実施した。コロナ放電装置1の針状電極61に電圧を印加し、電流値がマイナス(−)600μAになるように定電流制御しながら連続120時間エージングさせて針状電極61にシリコン等を付着させた。ここで120時間のエージングとは、日本工業規格(JIS)P0138に規定される紙寸法であるA4サイズの記録紙20万枚に画像を複写することである。
【0074】
120時間のエージング後、4種類の材料からなる清掃部材がそれぞれ装着されたコロナ放電装置1において、針状電極の延びる方向に清掃部材を1往復させて清掃した。この清掃部材を1往復させる際、針状電極に対する押圧力を、8,10,30および35gfの4段階に変化させた。清掃後、針状電極に電圧を印加し電流値が−600μAで、サンプル画像を1枚の記録紙に複写した。複写されたサンプル画像を目視観察して、画像のノイズランクを評価した。また清掃前後における針状電極の目視観察によって、削れ物の針先への付着,針先曲りおよび付着物清掃性を評価した。以下評価指標について説明する。
(a)ノイズランク:画像に現れたノイズの程度を評価する指標である。サンプル画像を目視観察し、画像むらのないものを良(○)と評価し、画像むらの発生したものを不良(×)と評価した。
(b)削れ物の針先への付着:清掃部材を針状電極に対して当接させて擦過する際に、清掃部材が削られて針状電極の突起部先端(針先と称する)に付着しているか否かを、拡大投影機によって清掃前後の針状電極を目視観察して判定した。削れ物の針先への付着が無い場合を良(○)、針先への付着が発生した場合を不良(×)と評価した。
(c)針先曲り:清掃部材を針状電極に対して当接させて擦過することによって、針状電極突起部先端である針先に変形が発生したか否かを、拡大投影機によって清掃前後の針状電極を目視観察して判定した。針先曲りの無い場合を良(○)、針先曲りの発生した場合を不良(×)と評価した。
(d)付着物清掃性:清掃部材によって針状電極を清掃した後、針状電極の付着物が除去されているか否かを、拡大投影機によって清掃前後の針状電極を目視観察して判定した。付着物が除去された場合を良(○)、付着物が充分除去されていない場合を不良(×)と評価した。
【0075】
清掃試験による評価結果を表1に合わせて示す。表1に示すように、各評価指標のすべてにおいて評価良(○)を満足するのは、ロックウェル硬さで115以上を有するポリイミドBおよびSUSからなる清掃部材が、押圧力10gf以上,30gf以下の範囲で針状電極に当接される場合である。
【0076】
清掃部材の表面硬さがロックウェル硬さで115未満では、針状電極に対する押圧力を変化させてもノイズランクが不良であり、また削れ物が針先に付着する。清掃部材の表面硬さがロックウェル硬さで115以上であっても、押圧力が10gf未満では、ノイズランクと付着物清掃性とが不良であり、押圧力が30gfを超えると、ノイズランクと針先曲りが不良になる。
【0077】
比抵抗が1013Ωcmの絶縁性材料であるポリイミドB、および比抵抗が7×10−5Ωcmの導電性材料であるSUSのいずれであっても、針状電極に対する押圧力を適正範囲である10〜30gfとすることによって、各評価指標のすべてにおいて評価良(○)を満足する。しかしながら、絶縁性材料であるポリイミドBは、コロナを照射しても化学変化を起こさず、低分子成分が放出されず、また清掃部材からの2次放電の怖れも無いので、清掃部材の材料としてより好適である。
【0078】
【表1】
【0079】
以上に述べたように本実施の形態では、画像形成装置は、複写機2であるけれども、これに限定されることなく、コンピュータなどから与えられる画像情報に応じて画像形成するレーザプリンタなどであってもよい。またレーザビームスキャナユニット24によってレーザビームを走査して感光体40を露光し、感光体40への画像情報の光書込みを行うけれども、これに限定されることなく、レーザビームスキャナユニット24の代わりに、発光ダイオード(LED)アレイと結像レンズとからなるLEDヘッドを書込み光学系として用いてもよい。LEDヘッドは、レーザビームスキャナユニットに比べて、寸法が小さく、また可動部分が無く無音なので、複数個の光書込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー複写機などの画像形成装置に好適に用いることができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、先鋭状突起部を有する電極に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に電極を擦過することによって電極の表面を清掃する清掃部材は、好適範囲の硬さを有する弾性体で形成されるとともに、電極を擦過する際に好適範囲の力で押圧されることによって、適度に弾性変形しつつ電極の突起部にも充分に当接することができるので、電極の突起部先端を変形損傷させることなく汚れを充分に取除くことができる。また清掃部材が好適範囲の硬さを有するので、電極を擦過する際、逆に清掃部材が損耗して電極の突起部先端に付着することもない。このような清掃部材を用いて電極を清掃することによって、電極の先鋭状突起部を清浄に保つことができるので、放電むら発生を防止することができ、また放電むらに起因する画像不良の発生を防止することができる。
【0081】
また、清掃部材を好適範囲の硬さを有する弾性体で形成し、電極に対する清掃部材の押付け力を好適範囲に選択することによって、清掃部材を電極に対して相対的に移動させて擦過させるという簡単な構成で放電安定性に優れるコロナ放電装置を実現することができる。
また、清掃部材の電極を擦過する辺は、電極を含む平面に対し、清掃部材が移動する方向からみたときに傾斜角を有する。このことによって、清掃部材が電極に当接し始めるとき、まず突起部の基底部寄りの位置に当接し、次いで清掃部材が電極に対して相対的に移動するのに伴って、清掃部材の弾性変形が進み突起部の先端部に当接するようになる。清掃部材を電極に対して相対的に移動させるとき、清掃部材は、突起部の先端部にとどまらず、先端部から基底部方向にある程度の距離まで広い範囲を擦過して清掃することができるので、突起部の先端部のみを擦過して清掃する場合に比べて、次に電極を清掃する機会までの時間間隔を長く、すなわち清掃頻度を少なくすることができる。
また、電極を含む平面に対する前記傾斜角が40〜60度となるように設定することによって、清掃作業を実施する時間間隔を約2倍に延長することができる。
【0082】
また本発明によれば、清掃部材は、複数の部材によって構成される。このことによって、電極の突起部は、複数の清掃部材によって擦過されて清掃されるので、汚れは確実に取除かれて放電安定性が一層向上する。
【0083】
また本発明によれば、複数の清掃部材のうち互いに隣接する一方の清掃部材が、電極に当接して弾性変形するに際し、他方の清掃部材が、前記一方の清掃部材の弾性変形を妨げることのないような間隔L1を有するように設けられる。このことによって、前記一方の清掃部材は、電極を擦過している間中好適範囲の押圧力を維持できるので、電極の突起部を変形損傷させることなく充分に清掃することができる。
【0084】
また本発明によれば、清掃部材は、比抵抗が1013Ωcm以上を有する絶縁物からなり、好ましくは絶縁物がポリイミドである。清掃部材が、ポリイミドのような比抵抗の大きい絶縁物で形成されることによって、清掃部材を通じて電圧のリークすることがなくなるので、コロナ放電装置やコロナ放電装置の設けられる画像形成装置の破損等を防止することができる。
【0086】
また本発明によれば、電極清掃に使用されない状態にある清掃部材は、電極の設けられていない位置に配置される。このことによって、電極清掃時に清掃部材を装置に装着し、電極を清掃しない時に清掃部材を装置から離脱させるという繁雑さが解消される。
【0087】
また本発明によれば、清掃部材は、装置本体外方からの操作によって電極に対して相対的に移動可能に構成される。このことによって、電極を清掃する都度、コロナ放電装置を画像形成装置から取出し、電極を露出させて清掃するという繁雑さが解消され、電極の清掃作業が極めて容易になる。またコロナ放電装置を画像形成装置から取出すことなくその電極を清掃することができるので、取出しによってコロナ放電装置を他の部品に打ち付けたりして破損させることを防止できる。
【0088】
また本発明によれば、電極と電子写真感光体との間に帯電均一性を向上させるためのグリッドが設けられ、このグリッドも飛散トナー等で汚れることがあるので、グリッドに対して相対的に移動可能であり、移動時にグリッドを擦過することによって清掃するグリッド清掃部材が設けられてもよい。このことによって、放電安定性および帯電均一性に優れるコロナ放電装置が実現される。
【0089】
また本発明によれば、清掃部材とグリッド清掃部材とが、単一部品に一体化されるので、1つの動作で電極とグリッドとの両方を清掃することができる。また、部品点数が削減されるので、組立作業効率を向上することができる。
【0090】
また本発明によれば、画像形成装置は、帯電器に前記いずれか一つに記載のコロナ放電装置を備える。このように、放電安定性に優れるコロナ放電装置を帯電器として備えるので、放電むらに起因する筋汚れや画像むらが無く画質の良好な画像を安定して形成することのできる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるコロナ放電装置1の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図2】図1に示すコロナ放電装置1の正面図である。
【図3】図1に示すコロナ放電装置1の側面図である。
【図4】図1に示すコロナ放電装置1を備える画像形成装置2の構成を示す概略断面図である。
【図5】黒色画像形成用レーザビームスキャナユニット24bおよび画像形成ステーション25bの構成を示す拡大図である。
【図6】本発明の実施の第2形態であるコロナ放電装置81の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の第3形態であるコロナ放電装置85の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図8】図7に示すコロナ放電装置85の正面図である。
【符号の説明】
1,81,85 コロナ放電装置
2 複写機
3 原稿送給部
4 画像読取部
5 給紙部
6 画像形成部
7 定着部
61 針状電極
62 保持部材
63 清掃部材
64 支持部材
65 移動用部材
66 シールドケース
82 退避部
86 グリッド
87 グリッド清掃部材
Claims (11)
- 電子写真感光体を帯電させるために用いられるコロナ放電装置において、
複数の先鋭状突起部を有する板状の電極と、
電極に対して相対的に移動可能に設けられ、電極の先鋭状突起部を清掃する薄板状の清掃部材とを含み、
清掃部材は、
弾性を有する弾性体であり、
米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さが、Mスケールで115以上を有し、
先鋭状突起部を清掃するとき、先鋭状突起部に対して10gf以上30gf以下の力で押付けられ、
電極を含む平面に対し、清掃部材が移動する方向からみたときに傾斜角を有するように形成された辺が、移動しながら弾性変形して先鋭状突起部に当接して擦過するように構成されることを特徴とするコロナ放電装置。 - 電極を含む平面に対する前記傾斜角は、40〜60度であることを特徴とする請求項1記載のコロナ放電装置。
- 前記清掃部材は、
複数の部材によって構成されることを特徴とする請求項1または2記載のコロナ放電装置。 - 前記清掃部材を構成する複数の部材は、
前記部材同志が、前記電極に対する相対的移動方向に関して予め定められる間隔L1を有するように設けられることを特徴とする請求項3記載のコロナ放電装置。 - 前記清掃部材は、
比抵抗が10 13 Ωcm以上を有する絶縁物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコロナ放電装置。 - 前記絶縁物は、
ポリイミドであることを特徴とする請求項5記載のコロナ放電装置。 - 前記清掃部材は、
前記電極の清掃に使用されない状態にあるとき、前記電極の設けられていない位置に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコロナ放電装置。 - 前記清掃部材は、
装置本体外方からの操作によって前記電極に対して相対的に移動されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコロナ放電装置。 - 前記電極と前記電子写真感光体との間に設けられるグリッドと、
前記グリッドに対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に前記グリッドを擦過することによって前記グリッドを清掃するグリッド清掃部材とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のコロナ放電装置。 - 前記清掃部材と前記グリッド清掃部材とが、
単一部品に一体化されることを特徴とする請求項9記載のコロナ放電装置。 - 前記請求項1〜10のいずれか一つに記載のコロナ放電装置を帯電器として備えることを特徴とする画像形成装置。
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