JP4062151B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械やマシニングセンタ等のスイベルジョイント等に用いられ、回転・揺動用の密封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転・揺動用の高圧で使用される密封装置としては、従来、図7に示すパッキン701が使用されていた。パッキン701は、ウレタンゴムからなるバックリング702に摺動面となる内周側にPTFEからなる樹脂部材703を焼き付けて構成したものである。しかし、図7に示すパッキン701では、高速回転やシール対象物の要因等で摺動面の潤滑が悪いと、油膜切れによって、摺動発熱の増加、摺動面の摩耗、軸との供回りによる外周面や側面の摩耗が生じていた。
【0003】
これらの発生の対策として、図8に示すパッキン801が提案された。パッキン801は、バックリング802に摺動面となる内周側に樹脂部材803を組み合わせて構成したものである。そして、樹脂部材803の摺動面となる内周面に溝804を形成し、接触面積を減少させたものであった。しかし、図8に示すパッキン801でも、摺動部分の潤滑は不十分であった。
【0004】
また別に、図9に示すパッキン901も提案された(特許文献1参照)。パッキン901は、ゴム状弾性体製で、摺動面となる内周面に蛇行形状のリップ部902を設けたものである。しかし、図9に示すパッキン901でも、やはり油膜を十分に摺動面に導入できないために潤滑改善は不十分であった。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−1071号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の状況を打破するような、摺動面に油膜を十分に導入可能とする密封装置を開発することが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みたものであり、その目的は、摺動面に対して油膜を十分に導入できる密封装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にあっては、環状で一方の周側で摺動する密封装置であって、摺動する一方の周面に、周回りに蛇行形状をしつつ根本から先端に向けて細くなるリップ部を設け、該リップ部の周方向断面形状は蛇行形状に応じて変化しており、前記リップ部の周方向断面での根本から先端に向かう角度は、前記リップ部の先端位置が根本の立ち上がり部分に近づくにつれて大きくなり、先端位置が根本の立ち上がり部分から離れるにつれて小さくなることを特徴とする。
【0009】
したがって、リップ部が周方向に蛇行しているため、リップ部先端を基準とすると、被摺動部材の回転・揺動によって、リップ部先端と被摺動部材との摺動面がリップ部の蛇行の幅でストロークしているような状態を作り出すことができる。
【0010】
そして、このストロークしているような状態では、リップ部の周方向断面での根本から先端に向かう角度が、大きな角度から小さな角度へと遷移する際に、直前ではリップ部先端が摺動して摺動面であった部分に微小な隙間が徐々に形成されて行くこととなり、この隙間に毛管現象のようにかき出された油膜が吸い込まれる。
【0011】
したがって、被摺動部材が同じ位置で回転・揺動しても、蛇行するリップ部による摺動面のストローク領域全体に十分な油膜を導入することができる。よって、油膜切れが生じず、摺動発熱の増加、摺動面の摩耗、被摺動部材との供回りによる摺動面以外の面の摩耗といった弊害を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0013】
図1〜図3を用いて実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る密封装置を示す図である。図2は実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。図3は実施の形態に係る密封装置のリップ部の周方向での変化を示す図である。
【0014】
図1において密封装置としてのパッキン1は、全体として環状に形成されており、その内周面にリップ部2が形成されている。そして、図2に示すように外側のハウジング10の取付溝11内に配置されて、ハウジング10と内側の被摺動部材としての回転軸20間の隙間を密封する。本実施の形態では、ハウジング10は静止しており、回転軸20だけが回転し、パッキン1は回転軸20に摺動する。また、ハウジング10と回転軸20との間は、パッキン1の図示上下の両方から油圧がかかる状態で使用される。
【0015】
パッキン1は、内周面に、周方向に連続した周回りで軸方向に往復して振られる蛇行形状をしたリップ部2が形成されている。
【0016】
リップ部2は、根本から先端に向けて細くなっており、リップ部2の周方向断面形状は図1(b)に示すように蛇行形状に応じて変化しており、リップ部先端3は根本の幅よりも狭い範囲で内方に突出している。このため、リップ部2の周方向断面形状は、周方向位置で変化するものの、常に鋭角三角形となっている。
【0017】
そして、リップ部2の周方向断面での根本から先端に向かう角度は、リップ部2の先端位置が根本の立ち上がり部分に近づくにつれて大きくなり、先端位置が根本の立ち上がり部分から離れるにつれて小さくなる。
【0018】
即ち、図2に示すように、先端位置が図示下方の根本の立ち上がり部分に寄っていると、角度αは大きくなり、リップ部2の先端位置から根本の立ち上がり部分までのテーパライン4は回転軸20に対して直角に近い角度をなす。これに対し、先端位置が図示上方の根本の立ち上がり部分から離れていると、角度βは小さくなり、リップ部2の先端位置から根本の立ち上がり部分までのテーパライン5は回転軸20に対して0°に近い角度をなす。
【0019】
この図2のようなリップ部2の断面は、図3(a)のA断面〜E断面の周方向で異なる断面形状A〜Eを連続して示す図3(b)に示すように、周方向で変化している。この図3(b)のいずれの断面においても上記の図2に示す、リップ部2の先端位置が根本の立ち上がり部分に近づくにつれて大きくなり、先端位置が根本の立ち上がり部分から離れるにつれて小さくなるという角度関係は満たしている。
【0020】
以上の構成のパッキンについての作用を以下に示す。
【0021】
本実施の形態では、回転軸20だけが回転し、パッキン1は回転軸20に摺動する。このとき、回転軸20が回転・揺動の動作によって、リップ部2が周方向に蛇行しているため、リップ部先端3を基準とすると、リップ部先端3と回転軸20との摺動面が相対的にリップ部2の蛇行の幅でストロークしているような状態を作り出すことができる。
【0022】
具体的には、図3(b)に示すように、リップ部先端3が接触する回転軸20の位置が、回転軸20の回転に順じて、リップ部2が回転軸20に対してストローク(往復動)するような動きを行う。
【0023】
そして、このストロークしているような状態では、リップ部2の周方向断面での根本から先端に向かう角度が、大きな角度から小さな角度へと遷移する際に、直前ではリップ部先端3が摺動して摺動面であった部分に微小な隙間Wが徐々に形成されて行くこととなり、この隙間Wに毛管現象のようにかき出された油膜が吸い込まれる。
【0024】
即ち、図3(b)のA状態でリップ部先端3が図示上方へ最大ストローク状態となっており、油膜も図示上側へかき出してしまっている。しかし、図3(b)のA状態からB状態、C状態と続くように、A状態で最大であったリップ部図示上部側の角度βが小さくなって行き、A状態からB状態、又はB状態からC状態と遷移する際に、直前ではリップ部先端3が摺動していた摺動面であった部分に微小な隙間Wができ、リップ部先端3の摺動面が図示下方へ移動する。このため、徐々に微小な隙間Wがリップ部2の図示上部側テーパライン5に隣接して、しかも角度βが小さくなることによって回転軸20との間に奥へ細く深くなる微小な隙間Wを形成する。この隙間Wが形成されて行くに従い、A状態で図示上方へ最大ストロークしてかき出された油膜が、毛管現象のように隙間Wへ吸い込まれる。特に、B状態からC状態のように微小な隙間Wが、角度βが小さくなることによって回転軸20との間に奥へ細く深くなるにつれて油膜の吸い込みは顕著となる。
【0025】
以上の現象は図3(b)のリップ部図示上部側のテーパライン5について説明したが、図示下部側のテーパライン4でも同様に作用している。
【0026】
また、リップ部図示上部側のテーパライン5において、図3(b)のC状態のその後のD状態、E状態では、図示上方へのストローク応じて、単に油膜を図示上側へかき出す作用を生じている。
【0027】
したがって、回転軸20が同じ位置で回転・揺動しても、蛇行するリップ部2による摺動面のストローク領域全体に十分な油膜を導入することができる。よって、リップ部先端3の回転軸20に対する摺動面では油膜切れが生じず、摺動発熱の増加、摺動面の摩耗、被摺動部材との供回りによる摺動面以外の面の摩耗といった弊害を防止できる。
【0028】
なお、本発明は本実施の形態の形状に限られるものではなく、例えば、図4に示すように、本発明の密封装置のパッキン401として、ゴム状弾性体製のバックリング402にリップ部2を有する樹脂部材403を焼き付けて構成しても良い。また図5に示すように、本発明の密封装置のパッキン501として、リング幅が小さい断面円形のゴム状弾性体製のバックリング502にリップ部2を有する樹脂部材503を組み合わせて構成しても良い。
【0029】
また、本実施の形態では、パッキンをハウジングに固定する構成について説明したが、図6に示すように、パッキン601を回転軸20に固定する構成も本発明の範疇に含まれる。この場合、リップ部2はパッキン601の外周側に設けられる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、リップ部の蛇行の幅でストロークしているような状態を作り出し、油膜の吸い込み作用を生じることで、摺動面に対して油膜を十分に導入できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る密封装置を示す図である。
【図2】実施の形態に係る密封装置の装着状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る密封装置のリップ部の周方向での変化を示す図である。
【図4】他の実施の形態に係る密封装置を示す図である。
【図5】他の実施の形態に係る密封装置を示す図である。
【図6】他の実施の形態に係る密封装置を示す図である。
【図7】従来技術の密封装置を示す図である。
【図8】従来技術の密封装置を示す図である。
【図9】従来技術の密封装置を示す図である。
【符号の説明】
1 パッキン
2 リップ部
3 リップ部先端
4,5 テーパライン
10 ハウジング
11 取付溝
20 回転軸
401 パッキン
402 バックリング
403 樹脂部材
501 パッキン
502 バックリング
503 樹脂部材
601 パッキン
W 微小な隙間
Claims (1)
- 環状で一方の周側で摺動する密封装置であって、
摺動する一方の周面に、周回りに蛇行形状をしつつ根本から先端に向けて細くなるリップ部を設け、
該リップ部の周方向断面形状は蛇行形状に応じて変化しており、
前記リップ部の周方向断面での根本から先端に向かう角度は、前記リップ部の先端位置が根本の立ち上がり部分に近づくにつれて大きくなり、先端位置が根本の立ち上がり部分から離れるにつれて小さくなることを特徴とする密封装置。
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