JP4062100B2 - 形状測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、形状測定装置に関し、特に物体の三次元形状を測定する形状測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X軸の座標値およびY軸の座標値が既知の特定位置における物体表面の高さ、つまりZ軸の座標値を測定することで物体の三次元形状を知ることができる。この測定原理を利用した測定装置として、物体に対して光を照射して物体からの反射光をレンズで集光し、集光した反射光をピンホールを介して受光してその受光量を検出し、複数の異なる光路長における受光量の検出結果に基づいて物体の高さを測定する装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−239216号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の測定装置による測定手法、つまりピンホールを介して得られた受光量に基づく測定手法では、反射光を集光して利用しているため、局部的な形状測定に適しているものの、比較的大きな物体の形状測定には不向きである等の問題があった。
【0005】
そこで本発明は、改善された測定手法に基づく形状測定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る形状測定装置は、対象物体表面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を介して対象物体表面の画像を取得する画像取得手段と、前記画像内における輝度値に基づいて前記撮像におけるピント合致位置を判定するピント合致位置判定手段と、前記ピント合致位置に基づいて対象物体表面の高さを算出することで対象物体の三次元形状を測定する形状測定手段とを有するものとする。上記構成によれば、対象物体表面の画像の輝度値に基づいて対象物体の三次元形状を測定する改善された測定手法に基づく形状測定装置が提供される。測定対象物体としては、例えば、車のボディやブレーキロータやプレス機の型など、比較的大きな物体の測定も可能である。
【0007】
望ましくは、前記画像取得手段は、それぞれ異なるピント位置に対応する前記複数の画像を取得し、前記ピント合致位置判定手段は、前記各画像内における輝度値に基づいて前記複数の画像の中からピント合致画像を抽出することで前記ピント合致位置を判定するものとする。上記構成において、複数の画像にはピントが合致した画像やピントがぼけた画像が含まれている。
【0008】
望ましくは、前記ピント合致位置判定手段は、前記各画像内における輝度値の最大値と最小値の差である輝度値差を検出し、前記各画像ごとの輝度値差に基づいてピント合致画像を抽出するものとする。上記構成において、ピント合致位置判定手段は、ピント位置が異なる複数の画像において輝度値差が異なる値となることを利用してピント合致画像を抽出する。つまり、ピントが合致していない画像では、画像内各部の輝度値が隣接部の輝度値の影響を受けた状態で取得されるため、ピント合致画像に比べて輝度値差が小さくなることを利用している。
【0009】
望ましくは、前記ピント合致位置判定手段は、前記輝度値差が最大の画像を前記ピント合致画像として抽出するものとする。さらに望ましくは、対象物体表面に、高輝度部と低輝度部を含む輝度パターンを投影する輝度パターン投影手段をさらに有し、前記画像取得手段は、前記撮像手段を介して、前記輝度パターンが投影された対象物体表面の画像を取得するものとする。上記構成における輝度パターンとしては、例えば、高輝度部と低輝度部が縞状に配置されたもの、同心円状に配置されたもの、並行に配置されたもの、砂目状に分散配置されたものなどが挙げられる。また、輝度パターンの投影方向と撮像方向とを同軸に設定することが可能であるため、撮像手段と輝度パターン投影手段とを近距離に配置して形状測定装置を小型化することも可能になる。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る形状測定装置は、対象物体表面を撮像する撮像手段と、対象物体表面に、高輝度部と低輝度部を含む輝度パターンを投影する輝度パターン投影手段と、前記撮像手段を介して、前記輝度パターンが投影された対象物体表面の画像を取得する画像取得手段であって、それぞれ異なるピント位置に対応する複数の画像を取得する画像取得手段と、投影された輝度パターンの高輝度部と低輝度部の輝度値差を前記各画像ごとに検出し、検出した輝度値差に基づいて複数の画像の中からピント合致画像を抽出することでピント合致位置を判定するピント合致位置判定手段と、前記ピント合致位置に基づいて対象物体表面の高さを算出することで対象物体の三次元形状を測定する形状測定手段とを有するものとする。上記構成によれば、物体表面に輝度パターンが投影されているため、物体表面自体に輝度値の高低が少ない場合においても、投影された輝度パターンの輝度値に基づいてピント合致位置を判定することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る形状測定装置は、対象物体表面を撮像する撮像手段と、対象物体表面に、高輝度部と低輝度部を含む輝度パターンを投影する輝度パターン投影手段と、前記撮像手段を介して、前記輝度パターンが投影された対象物体表面の画像を取得する画像取得手段であって、それぞれ異なるピント位置に対応する複数の画像を取得する画像取得手段と、前記各画像内において測定単位エリアを設定する測定単位エリア設定手段と、前記測定単位エリア内において投影された輝度パターンの高輝度部と低輝度部の輝度値差を前記各画像ごとに検出し、検出した輝度値差に基づいて複数の画像の中からピント合致画像を抽出することで、前記測定単位エリアに対するピント合致位置を判定するピント合致位置判定手段と、前記ピント合致位置に基づいて、前記測定単位エリアにおける対象物体表面の高さを算出することで対象物体の三次元形状を測定する形状測定手段とを有するものとする。上記構成において、測定単位エリアは各画像内に複数設けられてもよく、例えば、各画像内を全て網羅するように設けられてもよい。上記構成によれば、測定単位エリアにおける対象物体表面の高さが算出されるため、局所的な形状測定も可能になる。
【0012】
望ましくは、前記輝度パターンは、高輝度部と低輝度部が縞状に配置された輝度パターンであるものとする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1には、本発明に係る形状測定装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す図である。CCDカメラ10は測定対象である物体12の表面を撮像して物体表面画像を形成する。つまり、CCDカメラ10は、レンズ18によってピント調整されてハーフミラー16を透過して得られる物体12からの光を受け、光量に応じた電気信号に基づいて物体表面画像を形成する。CCDカメラ10は、例えば、X軸方向1.0cm(640ピクセル)、Y軸方向0.8cm(480ピクセル)のCCDを利用する。ここでX軸方向は図1における横方向でありY軸方向は紙面垂直方向である。CCDのピクセル数や大きさは測定対象に応じて適宜選択されてもよい。
【0015】
パターン投影器14は、ハーフミラー16を介して物体12の表面に輝度パターンを投影する。輝度パターンは白黒が縦横に縞状に形成されたクロスハッチ状のもの(図3参照)である。輝度パターンが描かれたスライド後方から光が当てられ、スライドを透過した光がハーフミラー16によって図1の下方、つまり物体12に向けて照射されることで輝度パターンが投影される。なお、輝度パターンとしては、白黒が同心円状に形成されたものや並行縞、あるいは、砂目模様など、測定対象に応じて選択されてもよい。
【0016】
レンズ駆動機構22はレンズ18をZ軸方向(図1における上下方向)に移動することで撮像におけるピント位置を調整する。撮像距離検出器20は、レンズ駆動機構22の駆動状態を検出する。形状測定処理部24は、CCDカメラ10から得られる物体表面の画像、および、撮像距離検出器20から出力されるレンズ駆動状態情報に基づいて、物体12の三次元形状を測定する。
【0017】
図2は、形状測定処理部(図1の符号24)が物体の三次元形状を測定する際の動作を示すフローチャートである。以下、図2を利用して形状測定処理部の動作を説明する。なお、以下の説明において図1に記載された構成については図1における符号を付すものとする。
【0018】
ステップ1において、物体12はパターン投影器14により輝度パターンが投影される。次にステップ2において、レンズ駆動機構22が制御されてレンズ位置を無限ピント位置、つまりレンズ18を最上位置に移動する。レンズ駆動機構22はギアの組み合わせによる駆動機構であるため、そのバックラッシュの影響を小さくするため、一方向への駆動に限定されることが望ましい。このため、予めレンズ18を最上位置に移動させておき、以下の動作においてレンズ18は下方向への動きに限定しておく。
【0019】
ステップ3において、物体12の表面画像が取り込まれる。物体12の表面にはステップ1において既に輝度パターンが投影されているため、輝度パターンが投影された表面画像が取り込まれる。この際、レンズの絞りは開放にして被写界深度を狭くしておく。次にステップ4において、撮像距離検出器20の出力に基づいてピント位置が演算される。
【0020】
ステップ5において、形状測定処理部24は画像の取り込みが終了したか否かを判断する。画像の取り込み動作は複数のピント位置のそれぞれに対して行われる。例えば、レンズ位置の最上位置においてステップ3およびステップ4が実行された後、ステップ6においてレンズを下方に移動させて新たに設定されたピント位置においてさらにステップ3およびステップ4が実行される。このようにして、ステップ6で設定されるピント位置の全てにおいて物体12の表面画像およびピント位置が取得されると、形状測定処理部24はステップ5において画像取り込みが終了したと判断してステップ7へ移行する。
【0021】
ステップ7において、取り込まれた各画像から輝度値差を算出する。ここで、ステップ7における輝度値差の算出手法を図3から図6を利用して説明する。図3および図5は輝度パターンが投影された物体表面画像を示しており、図3はピント合致位置で取得された画像を、図5はピントが合致していない位置で取得された画像をそれぞれ示している。また、図4は図3におけるラインAA´上における輝度値をプロットしたものであり、図6は図5におけるラインAA´上における輝度値をプロットしたものである。
【0022】
図4に示されるように、ピント合致位置で取得された画像の輝度値は、輝度値の大きい部分(図3において白に対応する部分)と輝度値の小さい部分(図3において黒に対応する部分)との差が顕著であるのに対して、図6に示されるピントが合致していない位置で取得された画像の輝度値は、白部分と黒部分が互いに影響し合い、輝度値の大きい部分と小さい部分との差が比較的小さくなる。そこで、図2のステップ7では、輝度値が最大の部分と輝度値が最小の部分の輝度値差を、各ピント位置において取得された画像のそれぞれに対して算出する。
【0023】
図2に戻り、ステップ8において、各画像ごとに算出された輝度値差に基づいてピント合致位置を確定する。ピント合致位置における輝度値差に比べてピントが合致していない位置における輝度値差は小さいため、形状測定処理部24は全ての画像における輝度値差を比較して、輝度値差が最大の画像をピント合致画像として抽出する。
【0024】
ステップ9において、ピント合致画像取得時のレンズ位置から物体12表面の高さを算出する。各画像はステップ4においてそのピント位置(レンズ位置に対応)が取得されている。CCDカメラ10が固定されていれば、ピント合致位置は物体12の表面位置とレンズ18までの距離26で決定される。CCDカメラ10の固定位置はCCDカメラ10の駆動機構が出力する情報によって形状測定処理部24に伝えられる。したがって、ピント合致状態におけるレンズ18から測定対象までの距離を予め測定しておけば、CCDカメラ10の位置、ピント合致位置におけるレンズ位置、および、ピント合致状態におけるレンズ18から測定対象までの距離に基づいて物体12の表面の高さ、つまり、図1におけるZ方向の物体表面の凹凸形状を測定することができる。
【0025】
ステップ10において、物体12の表面の高さとCCDカメラ10による撮像位置に基づいて物体の三次元形状が算出される。物体12の表面の高さであるZ座標はステップ9で算出されている。したがって、Z座標を測定した際のCCDカメラ10の位置、つまりX座標とY座標とに基づいて物体12表面のXYZの三次元座標が算出される。CCDカメラ10をX軸方向、Y軸方向に移動させながら上述したステップ1からステップ10を繰り返すことで、所望のX座標とY座標において物体12の表面の高さが算出され、例えば、物体12全体を対象としてその三次元形状を測定することができる。
【0026】
なお、上述のステップ7において輝度値差を算出し、ステップ8においてピント合致位置を確定し、ステップ9において高さを算出する動作において、画像内に測定単位エリアを設けることで、測定単位エリアごとにピント合致位置を確定することも可能である。測定単位エリアは、例えば、図3の輝度パターンの4個の升目に相当する正方形エリアであり、この測定単位エリアを画像内の所定位置に設定し、設定した測定単位エリア内で輝度値差を算出する。測定単位エリアはピント位置が異なる各画像ごとに物体表面の同一箇所に対応して設定される。そして各画像ごとに測定単位エリア内の輝度値差が算出され、最大の輝度値差を有する画像のピント位置を、この測定単位エリアのピント合致位置と判断する。測定単位エリアを図3の画像の原点位置から画像内を網羅するように走査することで、図3の画像内各部において4個の升目の正方形エリアごとにその高さを算出することが可能になる。したがって、画像単位で高さを測定するよりもさらに詳細な形状測定が可能になる。なお、測定単位エリアは測定対象に応じてその大きさや形状が決定されてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、改善された測定手法に基づく形状測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る形状測定装置の全体構成を示す図である。
【図2】 本発明に係る形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】 ピント合致位置で取得された画像を示す図である。
【図4】 図3におけるラインAA´上における輝度値をプロットした図である。
【図5】 ピントが合致していない位置で取得された画像を示す図である。
【図6】 図5におけるラインAA´上における輝度値をプロットした図である。
【符号の説明】
10 CCDカメラ、14 パターン投影器、18 レンズ、20 撮像距離検出器、24 形状測定処理部。
Claims (3)
- 対象物体表面を撮像する撮像手段と、
対象物体表面に、高輝度部と低輝度部を含む輝度パターンを投影する輝度パターン投影手段と、
前記撮像手段を介して、前記輝度パターンが投影された対象物体表面の画像を取得する画像取得手段であって、それぞれ異なるピント位置に対応する複数の画像を取得する画像取得手段と、
投影された輝度パターンの高輝度部と低輝度部の輝度値差を前記各画像ごとに検出し、検出した輝度値差に基づいて複数の画像の中からピント合致画像を抽出することでピント合致位置を判定するピント合致位置判定手段と、
前記ピント合致位置に基づいて対象物体表面の高さを算出することで対象物体の三次元形状を測定する形状測定手段と、
を有する、形状測定装置。 - 対象物体表面を撮像する撮像手段と、
対象物体表面に、高輝度部と低輝度部を含む輝度パターンを投影する輝度パターン投影手段と、
前記撮像手段を介して、前記輝度パターンが投影された対象物体表面の画像を取得する画像取得手段であって、それぞれ異なるピント位置に対応する複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記各画像内において測定単位エリアを設定する測定単位エリア設定手段と、
前記測定単位エリア内において投影された輝度パターンの高輝度部と低輝度部の輝度値差を前記各画像ごとに検出し、検出した輝度値差に基づいて複数の画像の中からピント合致画像を抽出することで、前記測定単位エリアに対するピント合致位置を判定するピント合致位置判定手段と、
前記ピント合致位置に基づいて、前記測定単位エリアにおける対象物体表面の高さを算出することで対象物体の三次元形状を測定する形状測定手段と、
を有する、形状測定装置。 - 請求項1または2記載の形状測定装置であって、
前記輝度パターンは、高輝度部と低輝度部が縞状に配置された輝度パターンであることを特徴とする形状測定装置。
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