JP4060967B2 - シールド掘進機の裏込注入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地中を掘削しながらトンネルを構築するシールド掘進機に設けられる裏込注入装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8に示すように、従来、地下トンネル等を掘削・構築する際に用いられるシールド掘進機1には、地山切削時における切羽の止水を行うための裏込材を注入する裏込注入装置Mが備えられている。
【0003】
この裏込注入装置Mは、図8〜図10に示すように、シールド掘進機1の外殻を構成する筒状のシールドフレーム2の上部にその軸方向に延びるように設けられており、このシールドフレーム2の後方に裏込材を注入すべくその軸方向に延びる裏込材注入パイプ3と、この裏込材注入パイプ3と平行に位置するピストンパイプ4と、この裏込材注入パイプ3とピストンパイプ4との先端を合流させる中実の注入ヘッド5と、ピストンパイプ4の先端プラグ6を上記注入ヘッド5内で往復動させる油圧ジャッキ7とから主に構成されており、この油圧ジャッキ7でピストンパイプ4を往復動させることで裏込材注入パイプ3から供給される裏込材を注入ヘッド5を介してその後方に吐出すると共に、この裏込注入供給パイプ3にピストンパイプ4側から洗浄水を逆流させて目詰まりを防止するようになっている。
【0004】
すなわち、この注入ヘッド5は、図11及び図12に示すように、シールドフレーム2の軸方向に貫通する貫通路8を有すると共に、この貫通路8に合流するように裏込材通路9を形成したものであり、この裏込材通路9側に上記裏込材注入パイプ3を接続すると共に、貫通路8内に上記ピストンパイプ4を往復動自在に挿入し、この貫通路8の端部を裏込材の注入口10としたものである。
【0005】
そして、先ず、図13に示すように、油圧ジャッキ7によってピストンパイプ4を後方に引いてから図示しない裏込材供給ポンプによって裏込材注入パイプ3側に裏込材を供給すると、この裏込材が裏込材通路9から貫通路8側に合流した後、その先端部の注入口10からシールドフレーム2の後方に吐出されて切羽の止水や裏込材の注入が行われることになる。尚、この時、貫通路8の下流側はピストンパイプ4の先端プラグ4aによって塞がれて、貫通路8側に流れ込んだ裏込材はこの貫通路8内を下流側に流れないようになっている。
【0006】
次に、このようにして所定量の裏込材が吐出されたならば、この裏込材の供給を停止し、図14に示すように油圧ジャッキ7によってピストンパイプ4を押し出して注入口10を塞いで土砂水等の浸入を阻止した後、図示しない洗浄水供給ポンプによってピストンパイプ4側に洗浄水を供給する。これによって、図15に示すようにこの洗浄水がピストンパイプ4の先端に形成された通過孔4aから合流部を介して裏込材通路9側へ流れた後、裏込材注入パイプ3内を逆流しながらその内部の裏込材を押し流して洗浄することで裏込材注入パイプ3の詰まりを防止するようになっている。その後、洗い流された洗浄水は図8に示すように裏込材供給ラインに設けられた三方バルブ11から適宜外部へ排出されるようになっている。
【0007】
尚、図8中sはトンネル壁を構成するセグメント、12は土砂水や裏込材等の浸入を防止するテールシール、図中13は、この裏込注入装置Mを覆うフード、14は、裏込材注入パイプ3やピストンパイプ4等を支持するフレームである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この裏込注入装置Mは溶接によってシールドフレーム2側に取り付けられているため、このシールドフレーム2に熱影響や土圧等の応力が加わると、その注入ヘッド5の貫通路8が変形してしまい、ピストンパイプ4が貫通路8内に固着して動かなくなったり、最悪の場合にはピストンパイプ4等が損傷してしまうことがあった。
【0009】
そして、このような事態が発生した場合には、全体の作業を停止してその補修を行わなければならず、大幅な工期の遅れを招くといった問題がある。また、上述したように、この裏込注入装置Mはシールドフレーム2の外側に設けられているため、その補修は極めて困難であり、補修に際して多大な労力と時間を要するといった問題がある。
【0010】
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、ピストンパイプの動きを確保して作動不良の発生を確実に防止することができる新規なシールド掘進機の裏込注入装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、シールドフレームの後端に設けられた中実の注入ヘッドにそのシールドフレームの軸方向に貫通する貫通路を形成し、この貫通路に裏込材を供給する裏込材注入パイプを合流すると共に、上記貫通路内に、先端が閉じたピストンパイプを往復動自在に挿入したシールド掘進機の裏込注入装置において、上記ピストンパイプの外側に、このピストンパイプを挿通すべく両端が開口したガイドパイプを設けて二重管構造とすると共に、そのガイドパイプの先端を上記貫通路内に挿入して取り付け、上記ピストンパイプ及びガイドパイプに、洗浄水を上記ピストンパイプから上記注入ヘッド内に形成された通路を介して上記裏込材注入パイプに流すための通過孔を夫々形成し、上記ガイドパイプの外側にその長さ方向に延びる切欠部を形成し、この切欠部が、上記裏込材注入パイプ及び上記ピストンパイプを覆って上記シールドフレームの外側に取り付けられたフードの内面に接触され、上記ガイドパイプが回り止めされているものである。
【0012】
これによって、シールドフレーム側から注入ヘッドを介して貫通路に変形応力が加わった場合であっても、その変形応力が貫通路内に設けられたガイドパイプで抑制されてピストンパイプまで伝わり難くなるため、貫通路内のピストンパイプの往復動が確保されて作動不良等の不都合を効果的に回避することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は本発明に係るシールド掘進機の裏込注入装置Mの実施の一形態を示す平面図、図2はその要部を示す部分拡大図であり、これらその基本的な構成は上述した従来のものと同様な構成をしている。
【0015】
図示するように、裏込材を供給するための裏込材注入パイプ3の先端は、金属体からなる中実の注入ヘッド5内に挿入されるように接続されており、その注入ヘッド5内に形成された裏込材通路9を介して貫通路8へ裏込材を供給するようになっている。
【0016】
一方、洗浄水を供給するピストンパイプ4は、注入ヘッド5の貫通路8内にその長さ方向に往復動自在に挿入されており、先端に設けられたプラグ6の位置が裏込材通路9との合流部を挟んで前後に移動することによって前述したように貫通路8先端の注入口10を開閉すると共に、洗浄水と裏込材の流れを制御するようになっている。
【0017】
また、これら裏込材注入パイプ3及びピストンパイプ4の後端側は、フレーム14の一部を構成する支持梁15をそれぞれ貫通するように設けられており、主に、この支持梁15と上記注入ヘッド5とによってフレーム14側に支持されるようになっている。
【0018】
ここで、このピストンパイプ4の外側には、このピストンパイプ4を挿通すべく両端が開口したガイドパイプ16が設けられている。
【0019】
このガイドパイプ16は、支持梁15から注入ヘッド5の貫通路8間に架け渡されるように設けられており、その先端が注入ヘッド5の貫通路8内壁に密着するように挿入され、他端が上記支持梁15側に溶接されて固定されてピストンパイプ4を挿通して案内するようになっている。
【0020】
また、図3に示すように、このガイドパイプ16の先端には、ピストンパイプ4の通過孔4aと同様に、貫通路8と裏込材通路9とを連通する通過孔17が形成されており、その合流部を介して裏込材及び洗浄水を通過させるようになっている。
【0021】
また、図5に示すように、このガイドパイプ16の中間部の外径は貫通路8内に挿入される先端部よりも拡径された段部18が形成されており、この段部18が注入ヘッド5の挿入端部に当接して貫通路8側への抜けが防止されるようになっている。さらに、図6に示すように、このガイドパイプ16及びピストンパイプ4の後端部は、それぞれ拡径されており、それぞれの段部19,20が当接してガイドパイプ16の抜止め用のストッパーとなっている。また、図7に示すように、このガイドパイプ16の上端部にはその長さ方向に延びる水平な切欠き部21が形成されており、フード13側に面接触して回り留めの働きを成している。
【0022】
そして、このように構成された本発明にあっては、このガイドパイプ16がピストンパイプ4のスムーズな往復動を確保することになるため、従来と同様に裏込材の注入・停止制御及び洗浄水による裏込材通路9の洗浄制御を行うことは勿論、注入ヘッド5の強度を向上させ、貫通路8の変形および変位を防止する作用を発揮することができる。
【0023】
従って、上述したようにシールドフレーム2の熱影響や応力によって注入ヘッド5を介して貫通路8に変形応力が加わった場合であっても、その変形応力がガイドパイプ16で抑制されてピストンパイプ4まで伝わり難くなるため、貫通路8内のピストンパイプ4の往復動が十分確保され、作動不良等の不都合を効果的に回避することが可能となる。
【0024】
特に、このガイドパイプ16を貫通路8の内側に密着させるのではなく、その間に適度な公差(隙間)を設けるようにすれば、貫通路8の変形応力が直接ガイドパイプ16側へ伝わらなくなりため、より優れた効果を発揮することができる。
【0025】
尚、この注入ヘッド5には、従来と同様に土圧センサーを備える他、グリスライン(図示せず)を設け、このグリスラインからピストンパイプ4とガイドパイプ16間に潤滑油を注入してピストンパイプ4の往復動をよりスムーズに行うようにしても良いことは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、以下に示すような優れた効果を発揮することができる。
【0027】
▲1▼裏込材及び洗浄水の流れを制御するピストンパイプを二重管構造とすると共に、その外側をガイドパイプとして貫通路内に固定したため、注入ヘッドの強度が向上し、貫通路の変形及び変位を防止することができる。
【0028】
▲2▼これによって、シールドフレームの熱影響や応力によって注入ヘッドに変形応力が加わった場合であっても、貫通路内のピストンパイプのスムーズな往復動が確保される。
【0029】
▲3▼その結果、ピストンパイプの作動不良等の不都合を効果的に回避することが可能となり、従来、多大な労力と時間を要していた補修作業を回避することができる。
【0030】
▲4▼構成が比較的簡単であるため、故障が少なくなって装置の信頼性が向上すると共に、製作費用も安価となり、経済的である。
【0031】
▲5▼注入ヘッドにガイドパイプを付設するだけ従来の裏込材注入装置をそのまま使用することが可能となり、コストの上昇も最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘進機の裏込注入装置の実施の一形態を示す平面図である。
【図2】図1中A部を示す部分拡大図である。
【図3】図2中A部を示す部分拡大図である。
【図4】図2中XーX矢視図である。
【図5】図2中B部を示す部分拡大図である。
【図6】図2中C部を示す部分拡大図である。
【図7】図2中Y−Y断面図である。
【図8】従来のシールド掘進機及びその裏込注入装置の取付位置を示す概略図である。
【図9】従来のシールド掘進機の裏込注入装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図10】従来のシールド掘進機の裏込注入装置の実施の一形態を示す平面図である。
【図11】図10中A部を示す部分拡大図である。
【図12】図11中XーX矢視図である。
【図13】従来のシールド掘進機の裏込注入装置の作用を示す平面図である。
【図14】従来のシールド掘進機の裏込注入装置の作用を示す平面図である。
【図15】従来のシールド掘進機の裏込注入装置の作用を示す平面図である。
【符号の説明】
2 シールドフレーム
3 裏込材注入パイプ
4 ピストンパイプ
4a 通過孔
5 注入ヘッド
8 貫通路
9 通路
13 フード
15 支持枠
16 ガイドパイプ
17 通過孔
21 切欠部
M 裏込注入装置
Claims (2)
- シールドフレームの後端に設けられた中実の注入ヘッドにそのシールドフレームの軸方向に貫通する貫通路を形成し、
この貫通路に裏込材を供給する裏込材注入パイプを合流すると共に、
上記貫通路内に、先端が閉じたピストンパイプを往復動自在に挿入したシールド掘進機の裏込注入装置において、
上記ピストンパイプの外側に、このピストンパイプを挿通すべく両端が開口したガイドパイプを設けて二重管構造とすると共に、
そのガイドパイプの先端を上記貫通路内に挿入して取り付け、
上記ピストンパイプ及びガイドパイプに、洗浄水を上記ピストンパイプから上記注入ヘッド内に形成された通路を介して上記裏込材注入パイプに流すための通過孔を夫々形成し、
上記ガイドパイプの外側にその長さ方向に延びる切欠部を形成し、
この切欠部が、上記裏込材注入パイプ及び上記ピストンパイプを覆って上記シールドフレームの外側に取り付けられたフードの内面に接触され、
上記ガイドパイプが回り止めされていることを特徴とするシールド掘進機の裏込注入装置。 - 上記ガイドパイプは、その先端が上記貫通路に隙間を隔てて挿入され、基端が上記シールドフレームに取り付けられた支持枠に溶接された請求項1に記載のシールド掘進機の裏込注入装置。
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JP34856398A JP4060967B2 (ja) | 1998-12-08 | 1998-12-08 | シールド掘進機の裏込注入装置 |
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