JP4060902B2 - 複合型光学素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子基材上に樹脂層を載置した複合型光学素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、特開平5−337959号公報に記載されている技術がある。一般に、複合型光学素子を製造する際には、金型と基材により形成される樹脂層に隙間ができないように樹脂供給量を僅かに多くし、基材からはみ出した樹脂を拭き取っている。しかし、この拭き取り作業は、作業性が悪く、量産性に不具合がある。そのため、特開平5−337959号公報の技術は、複合型光学素子製造時に金型と基材により形成される空間を広げるように、金型または基材の光学有効径よりも外側に樹脂溜りを設け、この樹脂溜りに樹脂を流入させるようにしている。このため、樹脂供給量にバラツキがあっても樹脂が基材からはみ出すことがなく、また樹脂の拭き取り作業も不要であり、連続して大量に複合型光学素子を製造することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術には次のような欠点がある。基材の有効径外の部分は、心取り加工により形成するため、基材に樹脂溜りを設ける場合も、心取り加工により一体的に加工するのが一般的である。つまり、基材の樹脂溜り部分の表面状態は、研磨面のような鏡面ではなく、光線透過率の悪いスリ面となる。ところが、このスリ面は光学有効径外にあるものの、スリ面で光線の乱反射を引き起こすと、その影響は光学有効径外だけではなく、光学有効径内にも及ぶ。このため、ゴーストやフレア等の光学性能の劣化が発生するという問題点がある。
【0004】
また、金型に樹脂溜りを設ける場合は、光線の乱反射等が発生しないため、光学性能の劣化はないが、樹脂溜りを設けた部分に流入した樹脂が突起となり、製造した複合型光学素子の光軸方向の厚さが増す。従って、製品のコンパクト化を妨げるという問題点につながる。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、樹脂供給量のバラツキがあっても、樹脂が基材からはみ出すことがなく、かつゴーストやフレア等の光学性能の劣化がなく、さらに製品をコンパクトにすることができる複合型光学素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1の発明に係る複合型光学素子は、光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂層を載置した複合型光学素子において、
前記光学素子基材は、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面の少なくとも樹脂層を載置する部分が鏡面であり、該鏡面部分に前記樹脂層を広げたことを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明に係る複合型光学素子の製造方法は、光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂を供給し、前記基材と金型とを相対的に接近させることにより樹脂を押し広げて金型と基材との間に所望の樹脂層を形成した後、エネルギーの照射により樹脂層を硬化させ、硬化した樹脂層と金型を剥離して所望の樹脂層を有する複合型光学素子を製造する複合型光学素子の製造方法において、前記光学素子基材において、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が、前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面を鏡面とし、該鏡面部分に前記樹脂層が広がるようにしたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、第1の発明に係る複合型光学素子の光学素子基材は、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側を、前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状にするとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面を鏡面とし、該鏡面部分に前記樹脂層が広がるようにしている。
【0009】
また、第2の発明に係る複合型光学素子の製造方法は、樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が、前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面を鏡面とし、該鏡面部分に前記樹脂層が広がるようにした光学素子基材の前記鏡面上に樹脂を供給する。前記光学素子基材と金型とを相対的に接近させることにより樹脂を押し広げて所望の樹脂層を形成した後、エネルギーの照射により樹脂層を硬化させ、硬化した樹脂層と金型を剥離させて所望の樹脂層を有する複合型光学素子を製造する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の複合型光学素子およびその製造方法を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、基材2は、樹脂層を載置する面2aの光学有効径Dよりも外側が、前記樹脂層を載置する面2a側の光学有効径D内の曲率半径をそのまま延長した形状とは異なる形状となっている。ここでは、基材2の中心軸Oに対して垂直方向に基材2の外縁部を除去(図に示す鎖線部2dを除去)して、平面2bを形成している。従って、基材2の体積は、基材2の光学有効径D内の曲率半径をそのまま延長した形状(鎖線部2dを含む基材2の形状)に対して、減少している。つまり、基材2の面2aに供給する樹脂の樹脂供給量にバラツキがあっても、光学有効径D外においてバラツキを吸収することができ、樹脂が基材2からはみ出すことを防止することができる。また、樹脂供給量のバラツキを吸収するためのスペースを広げる際に、金型の樹脂押圧面(光学面)1aの形状を変更していないので、複合型光学素子自体の体積が増加することはない。従って、製品のコンパクト化を妨げるようなことはない。
【0011】
また、本発明の複合型光学素子およびその製造方法は、光学有効径D外において図1に示すように、基材2の樹脂層を載置する面2a側の形状を変更し、かつ形状変更後に露呈する面、すなわち平面2bを鏡面等の光線が規則的に透過する面に仕上げている。従って、形状変更後に露呈する面、すなわち平面2bにおいて、光線の乱反射は発生せず、光学有効径D内において光学性能の劣化につながるゴーストやフレアは発生しない。
【0012】
[発明の実施の形態1]
本発明の実施の形態1を図2〜図6に基づいて説明する。図2および図3は複合型光学素子の光学素子基材を示す図、図4〜図6は複合型光学素子の製造工程を示す図である。
【0013】
本発明の実施の形態1では、図2に示すように、光学素子基材として両面に凹面を形成したガラス製の基材12を用い、片面にエネルギー硬化型樹脂としての紫外線硬化型樹脂(以下、樹脂と称する)15からなる樹脂層を硬化させて複合型光学素子を構成する。基材12は、直径Rが25mm、光学有効径Dが19.5mmで、直径20mmまでは曲率半径15mmの凹面とした樹脂層を載置する研磨面(以下、成形面と称する)12aが片面(図において上面)に形成され、直径20mmよりも外側(外縁部)に基材12の中心軸Oに対して垂直な平面12bが形成されている。この平面12bは、図3に示すように、成形面12aの曲率半径を基材12の外周部まで延長して得られる形状部分である鎖線部12dを除去して形成したものであり、従って基材12の体積は減少している。つまり、基材12の直径Rまで成形面12aを形成する場合と比較して、光学有効径D外において、基材12の体積減少分だけ樹脂15を充填する空間が増大するので、平面12bにまで樹脂15を広げることができ、樹脂供給量のバラツキに対して有利である。また、平面12bは研磨により粗さRa=0.020μmの鏡面に仕上げられており、平面12bの外観は、光源と観察者の間に基材12を置いて観察した場合に、スリ面のように光源の形状を認識できないものではなく、光源の形状をはっきりと認識できるレベルとなっている。従って、基材12の樹脂層13(図4〜図6参照)が載置される成形面12aおよび平面12bの一部を透過する光線は、光学有効径D内の成形面12aのみならず、平面12bにおいても乱反射を起こすことはない。
【0014】
一方、基材12の成形面12aの反対面(図において下面)は、凹状の非成形面(樹脂層13を載置しない面)12cで、基材12の外周部まで形成された曲率半径100mmの研磨面となっており、また基材12の中心軸O上の厚さは3mmである。なお、基材12は予め公知の方法によりシランカップリング剤により基材12と樹脂層13の密着性を向上するための処理がなされている。さらに、成形面12a上に供給する樹脂15の供給量は、その供給量にバラツキが生じた場合においても、樹脂層13の最外周部が光学有効径D以上に到達し、かつ基材12の外周部からはみ出さないように予め設定されている。
【0015】
次に、図2および図4〜図6を用いて複合型光学素子の製造方法を説明する。複合型光学素子の製造には、図4に示すような所望の樹脂層13の表面13aを形成するための光学面11aを有し、直径が22mmで、かつ中心軸が基材2の中心軸Oと同一で上下動自在に保持された金型11を用いる。
【0016】
まず、図2に示すように、樹脂15を基材12の成形面12a上に必要量(前記した予め設定された量)供給する。次に、金型11を下降させて基材12の成形面12aに近づけ、金型11の光学面11aで成形面12a上の樹脂15を外周方向に押し広げる。そして、図4に示すように、基材12の成形面12aと金型11の光学面11aとの間で広げられた樹脂15が所望の厚さの樹脂層13を形成する位置で金型11の下降を停止する。このときの樹脂層13の形状は、中心軸O上の厚さが0.1mm、表面13aの曲率半径が13mm、光学有効径Dが19.5mmである。そして、樹脂層13の最外周部は、基材12の成形面12aよりも外側に到達して、基材12の平面12b上にある。つまり、基材12と金型11により形成される空間を広げるように、基材12の光学有効径D外の形状を変更しているので、樹脂15が基材12の直径Rよりもはみ出さないのである。
【0017】
次に、基材12の下方から不図示の紫外線照射手段により紫外線を樹脂層13の全面に照射して樹脂層13の硬化を開始する。その結果、エネルギーの照射が完了した時点では金型11、基材12および硬化した樹脂層13が一体となった密着体が形成される。
【0018】
その後、前記密着体を上昇させると、図5に示すように、予め基材12の平面12bの一部の上方に設けられていた剥離用の部材14の先端が基材12の平面12bに面接触する。ここで、平面12bに接触する剥離用の部材14の下部は、基材12の平面12bと平行な平面14aに形成されている。そして、基材12の平面12a上の剥離用の部材14の平面14aが接触した部分にまず荷重が集中し、その後荷重が基材12全体に分散する。さらに、前記密着体の上昇を続けると、図6に示すように、容易かつ瞬時に金型11から基材12と樹脂層13とが一体となった複合型光学素子16が剥離されて、所望の複合型光学素子16が得られる。
【0019】
本発明の実施の形態1によれば、樹脂15の供給量にバラツキがあっても、樹脂15が光学有効径D以上に到達し、かつ基材12の外周部からはみ出すことがなく、また光線の乱反射によるゴーストやフレア等の光学性能の劣化につながるような不具合が発生しない複合型光学素子16を得ることができる。さらに、樹脂供給量のバラツキを吸収するためのスペースを確保することによる、複合型光学素子自体の体積増加がなく、製品をコンパクトにすることができる。
【0020】
[発明の実施の形態2]
本発明の実施の形態2を図7〜図9に基づいて説明する。図7は本実施の形態2の複合型光学素子の光学素子基材を示す図、図8は複合型光学素子製造の一工程を示す図、図9は複合型光学素子を示す図である。
【0021】
本発明の実施の形態2では、図7に示すように、光学素子基材として一方が凹面、他方が凸面に形成されたガラス製の基材22を用い、凹面にエネルギー硬化型樹脂としての紫外線硬化型樹脂(以下、樹脂と称する)25からなる樹脂層を硬化させて、図9に示す複合型光学素子26を構成する。
【0022】
基材22は、直径Rが20mm、光学有効径Dが16.5mmで、直径17mmまでは曲率半径70mmの凹面からなる樹脂層23を載置する研磨面(以下、成形面と称する)22aが形成されるとともに、直径17mmよりも外側(外縁部)は基材22の中心軸Oに対して垂直な平面22bが形成されている。この平面22bは、前記実施の形態1と同様に、成形面22aの曲率半径を基材22の外周部まで延長して得られる形状部分(図3の鎖線部12dと同様)を除去して形成してある。従って、基材22の直径Rまで成形面22aを形成する場合と比較して、光学有効径D外において、基材22の体積減少分だけ樹脂25を充填する空間が増大するので、樹脂供給量のバラツキに対して有利である。また、平面22bは#1200の砥石で研削することにより粗さRa=0.050μmの鏡面に仕上げられており、平面22bの外観は、光源と観察者の間に基材22を置いて観察した場合に、スリ面のように光源の形状を認識できないものではなく、光源の形状をはっきりと認識できるレベルとなっている。従って、基材22の樹脂層23を載置する成形面22aおよび平面22bの一部を透過する光線は、光学有効径D内の成形面22aのみならず、平面22bにおいても乱反射を起こすことはない。
【0023】
一方、基材22の成形面22aの反対面(図において下面)は、凸状の非成形面(樹脂層23を載置しない面)22cに形成され、基材22の外周部まで形成された曲率半径30mmの研磨面となっている。この基材22の中心軸O上の厚さは5mmである。なお、基材22は予め公知の方法によりシランカップリング剤により基材22と樹脂層23の密着性を向上するための処理がなされている。さらに、成形面22a上に供給する樹脂25の供給量は、供給量にバラツキが生じた場合においても、樹脂層23の最外周部が光学有効径D以上に到達し、かつ基材22の外周部からはみ出さないように予め設定されている。
【0024】
次に、図7〜図9を用いて複合型光学素子の製造方法を説明する。
複合型光学素子の製造には、図8に示すように、所望の樹脂層23表面23aを形成するための光学面21aを有し、直径が19mmで、かつ中心軸が基材22の中心軸Oと同一で上下動自在に保持された金型21を用いる。
【0025】
まず、図7に示すように、樹脂25を基材22の成形面22a上に必要量供給する。次に、金型21を下降させて光学面21aを成形面22aに近づけ、光学面21aで成形面22a上の樹脂25を外周方向に押し広げる。そして、図8に示すように、基材22の成形面22aと金型21の光学面21aとの間で広げられた樹脂25が所望の厚さの樹脂層23を形成する位置で金型21の下降を停止する。このときの樹脂層23の形状は、中心軸O上の厚さが0.2mm、表面23aの曲率半径が50mm、光学有効径Dが16.5mmである。そして、樹脂層23の最外周部は、基材22の成形面22aよりも外側に到達して、基材22の平面22b上にある。つまり、基材22と金型21により形成される空間を広げるように、基材22の光学有効径D外の形状を変更しているので、樹脂25が基材22の直径Rよりもはみ出さないのである。
【0026】
以後、エネルギーを樹脂層23の全面に照射して金型21と基材22および硬化した樹脂層23が一体となった密着体を形成する工程、および金型21から基材22と樹脂層23とが一体となった図9に示すような複合型光学素子26を剥離する工程は、実施の形態1と同じである。
【0027】
本発明の実施の形態2の製造方法によると、樹脂25の供給量にバラツキがあっても、樹脂25が光学有効径D以上に到達し、かつ基材22の外周部から樹脂25がはみ出すことがなく、また光線の乱反射によるゴーストやフレア等の光学性能の劣化につながるような不具合が発生しない複合型光学素子26を得ることができる。さらに、樹脂供給量のバラツキを吸収するためのスペースを確保することによる、複合型光学素子自体の体積増加がなく、製品をコンパクトにすることができる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態2では、平面22bを#1200の砥石で研削することにより鏡面に仕上げているが、本実施の形態はこれに限定するものではなく、#1000〜#2000の砥石で研削すれば、鏡面を得ることができる。
【0029】
また、前記本発明の実施の形態1,2では、基材12,22の外縁部の形状を平面12b、22bに形成した場合を説明したが、光学有効径D外において樹脂15,25を充填する空間が増大する形状であれば、平面に限られず、例えば凹面であってもよい。
【0030】
さらに、前記各実施の形態1,2では、光学素子基材としてガラス製の基材、エネルギー硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いた場合を説明したが、これに限られず、プラスチック製の基材や熱硬化型樹脂または他の電子線硬化型樹脂を用いても同様な効果が得られる。
【0031】
また、基材12,22の光学有効径D外における平面12a,22aを鏡面に作成する方法として、研磨、研削を用いているが、本発明はこれに限定するものではなく、ガラスプレス等、他の方法を用いて鏡面を作成しても同様な効果が得られる。
【0032】
[比較例]
比較例では、図10に示す基材32を用いて、複合型光学素子を製造した。基材32は、実施の形態2と同様な形状の成形面32aを有し、樹脂35を押し広げて形成した樹脂層を載置する成形面32aの光学有効径D外には、基材32の中心軸Oに対して垂直な平面32bが#800の砂による砂摺り加工により、粗さRa=0.200μmのスリ面に仕上げられている。ここで、平面32bの外観は、光源と観察者の間に基材32を置いて観察した場合に、光源の形状を認識できないレベルである。
【0033】
次に、本発明の実施の形態2と同様の工程により、基材32を用いて複合型光学素子を製造し、実施の形態2で製造した複合型光学素子26と光学性能を比較した。その結果、実施の形態2の場合よりフレアが多く、実用上に問題があるレベルであった。
【0034】
なお、上記した具体的実施の形態から次のような構成の技術的思想が導き出される。
(1)光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂層を載置した複合型光学素子において、前記光学素子基材は、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を凹ませた形状であるとともに、この凹ませて露呈した面の少なくとも樹脂層を載置する部分が鏡面であることを特徴とする複合型光学素子。
【0035】
(2)光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂層を載置した複合型光学素子において、前記光学素子基材は、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面の少なくとも樹脂層を載置する部分が粗さRa=0.020〜0.050μmの鏡面であることを特徴とする複合型光学素子。
【0036】
(3)前記鏡面は、光学素子基材の中心軸に対して垂直な平面としたことを特徴とする複合型光学素子。
【0037】
(4)光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂を供給し、前記基材と金型とを相対的に接近させることにより樹脂を押し広げて金型と基材との間に所望の樹脂層を形成した後、エネルギーの照射により樹脂層を硬化させ、硬化した樹脂層と金型を剥離して所望の樹脂層を有する複合型光学素子を製造する複合型光学素子の製造方法において、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が、前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面の少なくとも樹脂層を載置する部分が粗さRa=0.020〜0.050μmの鏡面である光学素子基材を用いることを特徴とする複合型光学素子の製造方法。
【0038】
前記(2)〜(4)によれば、鏡面は光源の形状をはっきりと認識できる粗さであり、樹脂層を載置する面および鏡面を透過する光線は乱反射を起こすことがなくなり、光線の乱反射によるゴーストやフレア等の光学性能の劣化がない複合型光学素子を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る請求項1の複合型光学素子によれば、樹脂層の形成の際に光学有効径内から出た樹脂が基材の一部を除去した面に載置されるため、光学素子基材から樹脂がはみ出すことなく、また基材の一部を除去した後に露呈する面の少なくとも樹脂層を載置る部分を鏡面にし、該鏡面部分に樹脂層を広げたので光線の乱反射によるゴーストやフレア等の光学性能の劣化がなくなる効果を奏する。
【0040】
また、本発明に係る請求項2の複合型光学素子の製造方法によれば、基材の一部を除去した後に露呈する面を鏡面とし、該鏡面部分に前記樹脂層が広がるようにした光学素子基材から樹脂がはみ出すことなく光学有効径以上に到達し、光線の乱反射によるゴーストやフレア等の光学性能の劣化がなくなる複合型光学素子を得ることができる効果を奏する。
【0041】
さらに、樹脂供給量のバラツキを吸収するためのスペースを確保することによる複合型光学素子自体の体積増加がないため、製品をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合型光学素子に用いる光学素子基材を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に用いる光学素子基材を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に用いる光学素子基材を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1における樹脂層を形成する工程を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1における金型と複合型光学素子を剥離する工程を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1における金型と複合型光学素子を剥離した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に用いる光学素子基材を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2における樹脂層を形成する工程を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2の複合型光学素子を示す図である。
【図10】比較例に用いる光学素子素材を示す図である。
【符号の説明】
1,11 金型
1a,11a 光学面
2,12,22 光学素子基材
2a 樹脂層を載置する面
2b,12b,22b 平面
12a,22a 成形面
13,23 樹脂層
15,25 樹脂
16,26 複合型光学素子
Claims (2)
- 光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂層を載置した複合型光学素子において、
前記光学素子基材は、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面の少なくとも樹脂層を載置する部分が鏡面であり、該鏡面部分に前記樹脂層を広げたことを特徴とする複合型光学素子。 - 光学素子基材の表面にエネルギー硬化型の樹脂を供給し、前記基材と金型とを相対的に接近させることにより樹脂を押し広げて金型と基材との間に所望の樹脂層を形成した後、エネルギーの照射により樹脂層を硬化させ、硬化した樹脂層と金型を剥離して所望の樹脂層を有する複合型光学素子を製造する複合型光学素子の製造方法において、
前記光学素子基材において、前記樹脂層を載置する面の光学有効径よりも外側が、前記面の光学有効径内の曲率半径を延長した形状に対して前記基材の体積が減少するように基材の一部を除去した形状であるとともに、前記基材の一部を除去した後に露呈する面を鏡面とし、該鏡面部分に前記樹脂層が広がるようにしたことを特徴とする複合型光学素子の製造方法。
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