JP4060218B2 - 屋外用給湯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋外に設置され、フロントカバーの正面に、燃焼用空気を取り込む給気口と、発生した燃焼ガスを排気する排気筒とが設けられている屋外用給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋外用給湯器は、前面を開口し、壁等に取り付け可能な箱状のバックカバー内に、バーナを備えた燃焼室と熱交換器とを有する内胴を収容し、バックカバーの開口をフロントカバーで閉塞して形成される。また、フロントカバーの正面には、バーナの燃焼用空気を取り込むための給気口が形成されると共に、燃焼室から発生する燃焼ガスを排気するための排気筒が貫通して前方へ突出している。ここで、給気口は、燃焼用空気を吸引するファンの近傍で開口するように、ファンが設けられる下方位置に、排気筒は、熱交換器の上方に形成される排気室から最短距離で開口するように上方位置に夫々設けられることが多くなっている。
しかし、このように給気口と排気筒との位置が上下に離れると、風が当たる方向や強さの違い等によって給気と排気とのバランスが崩れ、失火や火移り不良等の不具合が発生するおそれがある。そこで、特許文献1に示すように、排気筒の近傍、具体的には同じ高さに給気口を設けて、給気と排気とのバランスを図ろうとする技術も採用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−200828号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように給気口を排気筒と同じ高さに設ければ、風が当たる条件を略同じにすることができるが、排気筒が通常フロントカバーの幅方向に広く形成されるため、その真横に並ぶ給気口の面積に制限を受けることとなり、高さが同じでも排気筒と給気口との開口面積に隔たりが生じてしまう。よって、結局風による影響に差が生じ、給排気のバランスが崩れるおそれは解消できない。
【0005】
そこで、請求項1に記載の発明は、耐風性能が向上し、給排気のバランスが好適に維持される屋外用給湯器を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、排気筒を断面円形とする一方、前記フロントカバーにおける前記排気筒の貫通孔を前記排気筒より大径で排気筒と同心となる円形とし、前記フロントカバーの背面に、排気筒が貫通し少なくとも給気口の後方空間を器具内部と仕切る内カバーと、前記フロントカバーの背面から前記内カバーの下縁を非接触で且つ後方へ向けて上り傾斜となるように回り込み、前記内カバーの後方で所定間隔をおいて平行となり、上端が前記排気筒より下方に位置する受けカバーとを設けて、前記給気口から吸引された燃焼用空気が、前記フロントカバーと内カバーとの間で下降し、前記内カバーの下方で折り返した後、前記内カバーと受けカバーとの間で上昇して器具内に入るようにして、前記フロントカバーにおける前記受けカバーの取付際に、前記受けカバーで捕捉された雨水を排水する逃がし孔を形成したことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、フロントカバーの背面に、排気筒が貫通し少なくとも給気口の後方空間を器具内部と仕切り、前後を連通させる窓を複数形成して下端の折曲部が前記フロントカバーの背面と固着される内カバーを設けると共に、その内カバーから突出する前記排気筒の根元部分に、前記排気筒の周面から離れるに従って徐々に後退するテーパ面を前面に備えたリング体を外装して、前記給気口から吸引された燃焼用空気が、前記フロントカバーと内カバーとの間で下降し、前記窓を通って器具内に入るようにして、
前記窓を、上端縁が前記窓の前方側へ非接触で延設される雨除け片となるガラリ形状とすると共に、前記折曲部に、左右方向で傾斜する勾配を付与して、前記折曲部で受けた雨水を前記フロントカバーの下端に形成した排水口へ案内可能としたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、屋外用給湯器の一例を示す説明図で、左側が正面図、右側が縦断面図を示す。屋外用給湯器(以下単に「給湯器」という)1において、2は、燃焼室3を内部に形成し、外周面に給水管4を螺旋状に巻回した内胴で、内胴2の上部に備えられた熱交換器5の吸熱管6に給水管4が接続され、内胴2の下方に設置されたバーナ7で熱交換器5を加熱することにより、熱交換器5の吸熱管6を通過する水を加熱して、吸熱管6の出口側に接続した図示しない出湯管から出湯可能としている。また、燃焼室3の下部には給気室8が形成され、その給気室8内にファン9が備えられている。10は給湯器1の運転を制御するコントローラである。これらの給湯機能部Aは、前面のみを開放して壁面等に取り付けられる深底箱状のバックカバー11と、そのバックカバー11の前面に取り付けられる浅底箱状のフロントカバー12とによって保護されている。
【0008】
13は、熱交換器5の上部に連設される排気室で、その前面には、フロントカバー12の正面を直交状に貫通して前方へ突出する断面円形の排気筒14が連結されている。フロントカバー12における排気筒14の貫通孔は、排気筒14より大径で排気筒14と同心の円形に形成されて、排気筒14の周囲にリング状の給気口15が開口するようになっている。一方、フロントカバー12の背面には、所定間隔をおいてフロントカバー12と平行となる内カバー16が、左右方向ではフロントカバー12の幅一杯で、上下方向ではフロントカバー12の上端から略中間付近まで設けられて、給気口15の後方空間を器具内部と仕切っている。17は、内カバー16の背面側で排気筒14に外装されたシール用のパッキンである。
【0009】
また、フロントカバー12の背面において、内カバー16の下方には、内カバー16の下縁を非接触で回り込み、内カバー16の後方で所定間隔をおいて平行となる受けカバー18が、同じくフロントカバー12の幅一杯で、上端は排気筒14より下方に位置するように設けられている。この受けカバー18は、給気口15から入り込んだ雨水等を捕捉して器具内への侵入を阻止するもので、フロントカバー12における受けカバー18の取付際には、受けカバー18で捕捉された雨水を排水する逃がし孔19,19・・が形成されている。よって、受けカバー18の下端には、逃がし孔19側へ雨水を案内する勾配が付与されている。
【0010】
以上の如く構成された給湯器1においては、出湯管に接続された屋内の給湯栓が開栓され、器具内に通水されると、コントローラ10がバーナ7に点火して熱交換器5での加熱を開始させると共に、ファン9を回転させる。すると、実線矢印で示すように、燃焼用空気が給気口15から吸引されてフロントカバー12と内カバー16との間に入って下降し、内カバー16の下方で折り返して上昇した後、内カバー16と受けカバー18との間を通過して器具内に入り、給気室8を通ってバーナ7側に供給される。そして、熱交換器5を通過した燃焼ガスは、点線矢印で示すように、排気室13から排気筒14を通って前方へ排気されることになる。
【0011】
ここで、排気筒14を断面円形とし、給気口15を、排気筒14の周囲に形成されるリング状の開口とすることで、両者が同一箇所にまとまって風に対する方向性もなくなり、同じ条件で風を受けるようになると共に、両者の開口面積も略同一に設定可能となる。よって、給排気のバランスが好適に維持されて耐風性能が向上し、使用能力が小さい場合でも、排気が抑えられてバーナ7が失火したり、給気過多で火移り不良が生じたりする等の不具合が改善される。また、燃焼用空気が内胴2の周囲を通過してからバーナ7へ供給されるため、器具の放熱量が削減されて熱効率のアップにも繋がる。
【0012】
一方、このような給湯器は、壁等に露出状態で取り付けられる標準型の他、集合住宅用等として扉付の取付ボックス内に収納される扉内設置型があるが、この扉には通常排気筒の貫通用に円形の透孔が形成されているため、上記形態のように排気筒14が断面円形であると、標準型と扉内設置型とに関係なく何れにおいても同一器具で使用できる。よって、部品が共通化して製造コストや管理の手間が低減するというメリットも得られる。
【0013】
なお、本発明は、バーナや熱交換器等の各構成部を一つずつ備えた給湯器に限らず、風呂の追い炊きや床暖房用としてさらに別個のバーナや熱交換器等の加熱機能部を併設した給湯器にも適用できる。すなわち、図2に示すように、図1で示した給湯機能部Aに加えて、バーナや熱交換器を有する内胴とファン等を備えた加熱機能部Bを、例えば風呂の追い炊き用として備えた給湯器1aにおいては、両機能部の排気室13,13aをダクト20で連結し、そのダクト20に1つの排気筒14を連結して、同様にフロントカバー12における排気筒14の周囲にリング状の給気口15を形成すれば良い。よって、各機能部で発生する燃焼ガスは、排気筒14で合流して排気されることになる。なお、給気口15から取り込まれる燃焼用空気は、各ファン9,9aにより夫々の給気室に導かれる。
【0014】
また、この変更例においては、内カバー16を貫通して前方へ突出する排気筒14の根元部分に、排気筒14の外周から離れるに従って徐々に後退するテーパ面を前面に備えたリング体としてのテーパリング21が外装されている。このテーパリング21は、合成樹脂製やゴム製でも良いし、金属板で形成しても良い。
【0015】
さらにここでは、受けカバーを設けず、内カバー16の下端が前方へ折曲してそのままフロントカバー12の背面に固着されている。よって、内カバー16の下方には、内カバー16の前後を連通させる窓22,22・・が複数個形成されているが、各窓22は、その上端縁が窓22の前方側へ非接触で延設される雨除け片23となるガラリ形状が採用されている。
一方、内カバー16の下端の折曲部24は、左側へ行くに従って低くなる勾配が付与されると共に、折曲部24の左端は、フロントカバー12の左端への到達前に下方へ折曲してフロントカバー12の下端へ繋がり、折曲部24で受けた雨水をフロントカバー12の左端下端へ案内可能としている。フロントカバー12の下端には、導いた雨水を排水可能な排水口25が形成されている。
【0016】
以上のように別個の加熱機能部Bが併設された給湯器1aにおいても、断面円形の排気筒14とその周囲のリング状の給気口15との採用により、給排気のバランスが好適に維持されて耐風性能が向上するという同様の効果が得られる。特にここでは、内カバー16の前方で排気筒14の根元部分にテーパリング21を設けているから、給気口15から入り込む燃焼用空気が抵抗なく器具内に導かれ、給気圧損が減少するという効果も得られる。
また、受けカバーをなくしてガラリ形状を有する内カバー16のみを設けたことで、器具の厚み寸法を減らすと共に、内カバー16による給気圧損を減少させることもできる。
【0017】
なお、上記テーパリング21や内カバー16のガラリ形状は、図1で示した給湯器1にも適用できる。なお、図2のように内カバー16の折曲部24をフロントカバー12の途中に形成するのは、フロントカバー12の前面にコントローラのメンテナンス用の開閉扉26が設けられるためであるから、このような開閉扉のない給湯器であれば、内カバー16の下端をフロントカバー12の下端際まで伸ばして、勾配を有する折曲部24を最下位置に形成しても差し支えない。このようにすれば、フロントカバー12の略背面全体に内カバー16が位置する二重構造となるため、騒音の低減効果も期待できる。
逆に内カバーは、騒音を考慮しなければ、左右または上下でフロントカバーの背面一杯に設ける必要はなく、外カバーやガラリ形状等の採用によって給気口から器具内への雨水の侵入を阻止可能であれば、給気口の後方空間のみを部分的に覆う最小面積で設けても差し支えない。
【0018】
その他、排気筒と給気口との開口面積は、略同一とするのが最適であるが、少なくとも給排気のバランスの維持のために、排気筒と給気口との開口面積の比が、1:2乃至2:1の範囲内となるように設定するのが望ましい。
また、排気筒は、突出寸法が短すぎると、風向きによっては排出した燃焼ガスが給気口から再び吸い込まれてしまうおそれがあり、逆に長すぎると邪魔になったり損傷しやすくなったりするため、フロントカバーの前面から排気筒の前端までの長さが、少なくとも20mm以上で100mm以下となるように設けるのが望ましい。
さらに、排気筒の位置も、図1のようにフロントカバーの中央に設ければ、扉内設置型との対応上好ましいが、図2のように内部機構の配置との関係から、左右何れかへ寄せたり、より下方位置に設けたり等の設計変更は可能である。勿論図2の場合もフロントカバーの中央に設けることができる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1及び2に記載の発明によれば、断面円形の排気筒の周囲にリング状の給気口を形成したことで、両者が同一箇所にまとまって風に対する方向性もなくなり、同じ条件で風を受けるようになると共に、両者の開口面積も略同一に設定可能となる。よって、給排気のバランスが好適に維持されて耐風性能が向上し、使用能力が小さい場合でも、排気が抑えられてバーナが失火したり、給気過多で火移り不良が生じたりする等の不具合が改善される。また、器具の放熱量が削減されて熱効率のアップにも繋がる。さらに、標準型と扉内設置型共に同一器具が使用できるため、部品が共通化して製造コストや管理の手間が低減するというメリットも得られる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、排気筒にリング体を外装したことで、給気口から入り込む燃焼用空気を抵抗なく器具内に導くことができ、給気圧損が減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】屋外用給湯器の説明図である。
【図2】屋外用給湯器の変更例の説明図である。
【符号の説明】
1・・屋外用給湯器、2・・内胴、3・・燃焼室、5・・熱交換器、7・・バーナ、11・・バックカバー、12・・フロントカバー、14・・排気筒、15・・給気口、16・・内カバー、21・・テーパリング、22・・窓、A・・給湯機能部、B・・加熱機能部。

Claims (2)

  1. 内設した燃焼室から発生する燃焼ガスを排気する排気筒を、フロントカバーの正面を貫通して前方へ突出させる一方、前記フロントカバーの正面に、燃焼用空気を取り込む給気口を形成した屋外用給湯器であって、
    前記排気筒を断面円形とする一方、前記フロントカバーにおける前記排気筒の貫通孔を前記排気筒より大径で排気筒と同心となる円形とし
    前記フロントカバーの背面に、排気筒が貫通し少なくとも給気口の後方空間を器具内部と仕切る内カバーと、前記フロントカバーの背面から前記内カバーの下縁を非接触で且つ後方へ向けて上り傾斜となるように回り込み、前記内カバーの後方で所定間隔をおいて平行となり、上端が前記排気筒より下方に位置する受けカバーとを設けて、前記給気口から吸引された燃焼用空気が、前記フロントカバーと内カバーとの間で下降し、前記内カバーの下方で折り返した後、前記内カバーと受けカバーとの間で上昇して器具内に入るようにして、
    前記フロントカバーにおける前記受けカバーの取付際に、前記受けカバーで捕捉された雨水を排水する逃がし孔を形成したことを特徴とする屋外用給湯器。
  2. 内設した燃焼室から発生する燃焼ガスを排気する排気筒を、フロントカバーの正面を貫通して前方へ突出させる一方、前記フロントカバーの正面に、燃焼用空気を取り込む給気口を形成した屋外用給湯器であって、
    前記排気筒を断面円形とする一方、前記フロントカバーにおける前記排気筒の貫通孔を前記排気筒より大径で排気筒と同心となる円形として、前記給気口を、前記排気口の周囲に形成されるリング状の開口とし、
    前記フロントカバーの背面に、排気筒が貫通し少なくとも給気口の後方空間を器具内部と仕切り、前後を連通させる窓を複数形成して下端の折曲部が前記フロントカバーの背面と固着される内カバーを設けると共に、その内カバーから突出する前記排気筒の根元部分に、前記排気筒の周面から離れるに従って徐々に後退するテーパ面を前面に備えたリング体を外装して、前記給気口から吸引された燃焼用空気が、前記フロントカバーと内カバーとの間で下降し、前記窓を通って器具内に入るようにして、
    前記窓を、上端縁が前記窓の前方側へ非接触で延設される雨除け片となるガラリ形状とすると共に、前記折曲部に、左右方向で傾斜する勾配を付与して、前記折曲部で受けた雨水を前記フロントカバーの下端に形成した排水口へ案内可能としたことを特徴とする屋外用給湯器。
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