JP4060200B2 - 電気式ディスクブレーキのパッドクリアランス調整方法 - Google Patents

電気式ディスクブレーキのパッドクリアランス調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車や自動二輪車等の各種車両に搭載され、電動モータの駆動力で進退作動機構を進退させ、ディスクロータに摩擦パッドを押圧摺動して制動を行い、パッドクリアランス調整機能を備えた電気式ディスクブレーキに係るものである。特に、摩擦パッドの交換時に、摩擦パッドの材質やシムの有無に左右される事なく、ディスクロータと摩擦パッドとのクリアランスを常に所定に保つ事を可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−181579号公報
【0003】
従来、自動車や自動二輪車等の各種車両に於いて、ディスクロータを挟んで一つの摩擦パッドを対向配置し、電動モータの駆動力でピストンを移動させる事で、摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキが存在した。このような電気式ディスクブレーキでは、上記特許文献1の公報に示す如く、パッドクリアランス調整機能を設けたものが存在し、ディスクロータと摩擦パッドの間のクリアランスを一定に保ち、車両走行時のクリアランス不足によるブレーキの引摺りを抑制したり、ブレーキ操作時の良好な応答性を得ようとしている。
【0004】
前記従来技術のパッドクリアランス調整機能では、イグニッションスイッチがOFFからONに切り替わった際に、制御装置が一旦電動モータを作動し、ピストンを前進させて僅かな制動トルクを発生させる。そして、摩擦パッドに所定の荷重が加わった位置から、所定の戻し量でピストンを後退させた位置を、摩擦パッドの初期位置としている。このようにイグニッションスイッチのON時に摩擦パッドを初期位置に配置する事で、摩擦パッドとディスクロータとの間に所定のクリアランスを確保して、車両走行時のブレーキの引摺りを抑制するとともに、初回制動時の良好な応答性を得るものである。
【0005】
また、上記ピストンの移動量に対する摩擦パッドへの荷重の変化量を、図8のグラフに示す。このグラフでは、横軸を実ストロークとし、ピストンの移動量を表すとともに、縦軸を実クランプ力として、摩擦パッドへの荷重を表している。そして、ブレーキ操作後の制動解除の際に、図8のグラフに示す如く、摩擦パッドへの荷重が所定の荷重(図8で示す閾値)に達した位置から、所定の戻し量でピストンを後退させる事で、摩擦パッドを初期位置に戻し、所定のクリアランスを確保しようとするものである。この所定間隔のクリアランスの確保により、制動解除時のブレーキの引摺りを抑制し、次回制動時の良好な応答性を得ようとしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストンの移動量に対する摩擦パッドへの荷重の変化量は、摩擦パッドの硬度によって変化し、例えば摩擦パッドに多少の製造誤差やライニングに摩耗等を生じても変化するし、特に摩擦パッドの交換時において、非純正品等の使用によりライニングの素材の違いやシムの有無等があると、図9のグラフに示す如く、荷重の変化量(勾配)に差が生じ易い。具体的には、ライニングが硬質であったり、シム無しの摩擦パッドの場合は、荷重に対して変形しにくいため、図9に点線曲線で示す如く、純正品の基準の摩擦パッドよりも、ピストンの移動量に対する荷重の変化量が大きく、少ないピストンの移動量で所定の閾値の荷重が得られる。従って、該閾値でのピストンの位置から、基準製品と同一の戻し量でピストンを後退させた場合、所定の初期位置よりも後方に摩擦パッドが配置され、クリアランス過大となり、制動時のピストンの移動距離が長くなって応答性が低下する可能性がある。
【0007】
逆に、図9の一点鎖線曲線の如く、ライニングが軟質である等の理由で、基準の摩擦パッドに比べて変形し易い摩擦パッドに交換した場合には、ピストンの移動量に対する荷重の変化量が小さく、摩擦パッドに所定の閾値の荷重を加えるためには、基準製品より長いストロークで摩擦パッドをディスクロータに押しつける必要がある。従って、基準製品と同量の戻し量でピストンを後退させた場合、クリアランス不足となり、ブレーキの引摺りを生じる虞がある。上述の如きライニングのばらつきやシムの変更等は、自動車メーカーの指定した純正品をユーザーが使用しない場合に顕著に生じるものとなる。
【0008】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、摩擦パッドの製造誤差や摩耗等を生じたり、特に摩擦パッドの非純正品等への交換により、摩擦パッドに素材の相違やシムの有無等が発生しても、摩擦パッドとディスクロータとの間に常に良好なクリアランスを確保可能とし、ブレーキの引摺りの抑制効果を高めるとともに、制動の応答性を向上させようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の如き課題を解決するため、第1の発明は、ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動し、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキであって、前記ディスクロータと摩擦パッドとのクリアランスが所定の間隔となるように、ピストンの初期位置を設定し、このピストンの初期位置への予め設定された戻し量により、前記ピストンを初期位置に移動させるパッドクリアランス調整機能を設けた電気式ディスクブレーキに於いて、イグニッションスイッチのON時に、摩擦パッドに予め設定した所定値の荷重が加わるまで電動モータを作動させるとともにこの際のピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、この演算された関数に基づき、前記戻し量を補正して成るものである。
【0010】
また、第2の発明は、ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動し、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキであって、前記ディスクロータと摩擦パッドとのクリアランスが所定の間隔となるように、ピストンの初期位置を設定し、このピストンの初期位置への予め設定された戻し量により、前記ピストンを初期位置に移動させるパッドクリアランス調整機能を設けた電気式ディスクブレーキに於いて、イグニッションスイッチのON時に、摩擦パッドに予め設定した所定値の荷重が加わるまで電動モータを作動させ、ピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、この演算された関数に基づき、前記摩擦パッドの予め設定された荷重の値を補正して成るものである。
【0011】
【作用】
本発明は上述の如く構成したものであり、第1、第2発明ともに、イグニッションスイッチがOFFからONに切り替わった際に、電動モータを作動してピストンを移動し、摩擦パッドをディスクロータに押し付けて摩擦パッドに荷重を加える。そして、摩擦パッドに予め設定した所定の荷重が加わった位置から、予め設定した所定の戻し量でピストンを後退させる事で、摩擦パッドを初期位置に戻す。この操作により、摩擦パッドとディスクロータとの間に所定のクリアランスが確保され、車両走行時のブレーキの引摺りの抑制効果が高まり、制動時の良好な応答性が得られるものである。
【0012】
そして、摩擦パッドに多少の製造誤差やライニングの摩耗等を生じたり、特に摩擦パッドの交換時に、非純正品の使用等の理由でライニング等の素材やシム等に変更を生じると、摩擦パッドの変形量が変化し、一定の荷重を得るためのピストンの移動量が異なるため、所定の荷重が加わった位置から、所定の戻し量でピストンを後退させる従来方法では、クリアランスの過不足を生じる可能性があった。このように摩擦パッドに変更を生じても、常に良好なクリアランスを確保可能とするため、第1の発明では、摩擦パッドの荷重の変化量に対応して、ピストンの戻し量を補正し、第2の発明では、摩擦パッドに加わる所定の荷重の値を補正している。
【0013】
まず、第1発明のパッドクリアランス調整方法を説明すると、制御装置では、イグニッションスイッチがOFFからONに変わった事を検出すると、初期処理として電動モータを作動してピストンを前進させ、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させる。この摩擦パッドによる押圧は、予め設定した所定の荷重が加わるまで行う。次に、前記電動モータの作動によるピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を制御装置にて演算し、この演算された関数に基づき、使用する摩擦パッドの荷重の変化量に応じて、ピストンの戻し量を補正する。一方、摩擦パッドに加わる所定の荷重の初期値は一定とする。
【0014】
上記戻し量の補正方法は、例えば、シム無しや硬質なライニングの使用により、予め想定した基準となる純正品よりも硬く変形しにくい摩擦パッドの場合は、従来技術で述べた如く、基準の摩擦パッドに比べて、ピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量が大きく、基準の摩擦パッドよりも短いストロークで所定の荷重を得る事ができる。そのため、この所定の荷重を得た位置から基準製品と同一の戻し量でピストンを戻すと、クリアランス過大となり、制動時の応答性が低下する可能性がある。そこで、硬い摩擦パッドの場合は、ピストンの戻し量を基準値より小さい値に補正し、この補正した戻し量でピストンを後退させるものである。その結果、所定の初期位置に、摩擦パッドを戻す事ができ、摩擦パッドとディスクロータとの間に所定間隔のクリアランスを確保する事ができ、制動時における良好な応答性が得られる。
【0015】
逆に、ライニングが柔らかい摩擦パッドの場合は、ピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量が小さいため、摩擦パッドに閾値の荷重を加えるためには基準製品よりも長いストロークで摩擦パッドを移動させる必要がある。そのため、基準製品と同一の戻し量では、クリアランスが不足して、ブレーキの引摺りを生じる虞がある。そこで、柔らかい摩擦パッドの場合は、戻し量を基準製品よりも大きい値に補正する事により、摩擦パッドを初期位置に確実に配置して、所定のクリアランスを確保する事が可能となり、クリアランス不足によるブレーキの引摺り抑制効果を高める事ができる。
【0016】
上述の如く、摩擦パッドの荷重の変化量に応じてピストンの戻し量を補正する事により、非純正品等への摩擦パッドの交換や製造誤差、摩耗等に左右される事なく、摩擦パッドとディスクロータ間に常に所定のクリアランスを確保する事ができ、車両走行時における制動の際に、良好な応答性が得られる。そして、制動の解除時にもパッドクリアランス調整機能が作用し、摩擦パッドに所定の荷重が加わった位置から、前記補正された戻り量でピストンを後退させる事により、摩擦パッドが初期位置に戻される。そして、摩擦パッドとディスクロータとの間に所定のクリアランスが確保され、ブレーキの引摺りの抑制効果が高まるとともに、次回の制動時にも良好な応答性が得られるものとなる。
【0017】
また、上記第1発明に於いて、電動モータを摩擦パッドに予め設定した所定値の荷重が加わるまで作動させ、前記電動モータの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、この演算された関数に基づき、戻し量を補正する初期処理は、イグニッションスイッチがOFFからONに切り替わった時に、毎回行うよう制御装置にプログラムしても良い。また、摩擦パッドの交換後の一回目のイグニッションスイッチのON時のみに行うようにしても良い。この場合は、前記所定の荷重の値と補正された戻り量を制御装置に記憶しておき、その後のイグニッションスイッチのON時は、電動モータの作動によりピストンを移動して摩擦パッドに荷重を発生させ、この荷重が先に記憶した所定の値となった位置から、先に記憶した補正後の戻し量でピストンを後退させる操作を行うだけで、摩擦パッドを初期位置に戻して、所定のクリアランスを確保する事ができる。
【0018】
また、上記第1の発明では、ピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、これに基づいて摩擦パッド毎に戻り量を補正し、摩擦パッドに加わる荷重の閾値は一定としていたが、第2の発明のクリアランス調整方法では、演算された関数に基づき、摩擦パッドに加わる所定の荷重の値を補正し、戻し量は一定としている。この荷重の値の補正により、摩擦パッドに左右される事なく、基準製品と同一の戻し量でピストンを後退させる事により、摩擦パッドを予め設定した初期位置に確実に戻す事が可能となり、摩擦パッドとディスクロータとのクリアランスを所定の間隔に保つ事ができる。
【0019】
例えば、シム無しや硬質なライニングの使用等のため基準となる純正品よりも硬い摩擦パッドの場合は、移動量に対する荷重の変化量が大きく、同一ストロークでは摩擦パッドに加わる荷重は基準製品よりも値が大きい。従って、この大きな値に所定の荷重を補正する事により、基準製品と同一のピストンの戻り量で摩擦パッドを初期位置に戻す事ができ、クリアランス過大を解消して、制動の高い応答性を得る事ができる。
【0020】
逆に、軟質なライニングの使用等のため基準製品よりも柔らかい摩擦パッドの場合は、移動量に対する荷重の変化量が小さく、同一ストロークでは摩擦パッドに加わる荷重は基準製品よりも小さな値となる。従って、この小さな値に所定の荷重を補正する事により、基準製品と同一のピストンの戻り量で摩擦パッドを初期位置に戻す事ができ、クリアランス不足を解消して、ブレーキの引摺りの抑制効果が高まるものとなる。
【0021】
また、第2発明においても、閾値の補正はイグニッションスイッチのON時に、毎回行っても良いし、摩擦パッドの交換時の一回目のイグニッションスイッチのON時のみに行うものであっても良い。
【0022】
【実施例】
以下、本発明のパッドクリアランス調整機能を備えた電気式ディスクブレーキの一実施例を、図面に於いて詳細に説明すれば、(1)は自動車の車輪に接続して一体に回動するディスクロータで、両側の摩擦面(2)に臨ませて、図1に示す如く、タイヤホイール(5)の内側に於いて、一対のシム付き摩擦パッド(3)(4)を配置している。また、前記ディスクロータ(1)に臨ませて、車両本体にブラケット(6)を固定し、この固定側からディスクロータ(1)の外周を跨いで反対側に掛けて突設したキャリパ支持腕(7)に、前記摩擦パッド(3)(4)を摺動可能に配置している。
【0023】
また、前記ブラケット(6)のキャリパ支持腕(7)に、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付けるキャリパボディ(8)を、図2に示す如く、一対のスライドピン(9)を介して進退可能に連結している。このキャリパボディ(8)は、図1に示す如く、ディスクロータ(1)を挟んで、一方の摩擦パッド(3)の背面に配置する作用部(10)と、他方の摩擦パッド(4)の背面に配置する反力爪(11)を設けた反作用部(12)と、ディスクロータ(1)の外周を跨いで作用部(10)及び反作用部(12)とを連結するブリッジ部(13)とで構成されている。
【0024】
そして、前記作用部(10)は、図1に示す如く、シリンダ(14)内に、ブラシレス型の電動モータ(15)と、摩擦パッド(3)(4)の押圧力を発生させる本発明のピストンとしてのボールねじ機構(16)と、このボールねじ機構(16)に電動モータ(15)の駆動力を減速して伝達する減速ギア機構(17)とを収納している。この減速ギア機構(17)は、電動モータ(15)の駆動力により回動可能な遊星腕(18)と、この遊星腕(18)に回動可能に軸支した遊星歯車(23)と、この遊星歯車(23)を回動させる太陽歯車(26)とから構成されている。
【0025】
前記遊星腕(18)は、前記電動モータ(15)の回転子として作用するマグネット(39)を外周に配置した円筒状の円筒部(20)と、摩擦パッド(3)とは反対側の後部に設け、円筒部(20)よりも径大な径大部(21)とから成り、電動モータ(15)の駆動力により、軸受部(57)を介してシリンダ(14)内を回動可能としている。そして、径大部(21)の外周三ヶ所に、等間隔で遊星歯車(23)を回動可能に軸支し、図1、図2に示す如く、各遊星歯車(23)を、径大部(21)外周に開口した切欠部(22)から外部に突出させている。また、径大部(21)は、図2に示す如く、隣接する遊星歯車(23)間の外周を三角形状にカットして、遊星腕(18)の軽量化を図るとともに、後述の如く、本発明のパッドクリアランス調整方法のデータを得るための回転角センサ(19)のロータとしての使用を可能としている。
【0026】
また、遊星歯車(23)は、第1歯車部(24)と、この第1歯車部(24)よりも歯数の少ない第2歯車部(25)とを、軸方向の前後に分離して一体に形成し、前記第1歯車部(24)を、キャリパボディ(8)に回動不能に固定された太陽歯車(26)に噛合し、この太陽歯車(26)により遊星歯車(23)の回動を可能としている。
【0027】
また、上記太陽歯車(26)の固定は、図1、図3に示す如く、キャリパボディ(8)の後部に配置したバックプレート(27)に、等間隔で挿通穴(29)を複数開口し、各挿通穴(29)に挿通した固定ピン(28)を、太陽歯車(26)の背面に凹設した固定穴(30)に挿入する事により行っている。前記固定ピン(28)は、バックプレート(27)の装着孔(32)に装着したキャップ(33)にて頭部を押圧され、固定穴(30)への挿入状態が保たれている。そして、キャップ(33)を外すと、固定ピン(28)の頭部とバックプレート(27)間に装着した押圧発条(31)の付勢力により、固定ピン(28)が固定穴(30)から離脱し、太陽歯車(26)の固定が解除可能となる。
【0028】
そして、前記遊星腕(18)内に、軸受部(58)を介してボールねじ機構(16)のボールねじナット(34)を、回動可能で進退不能に収納している。このボールねじナット(34)は、遊星腕(18)の径大部(21)側に配置した後端外周に、太陽歯車(26)よりも歯数の少ない減速歯車(35)を固定している。この減速歯車(35)を、前記遊星歯車(23)の第2歯車部(25)に噛合し、遊星歯車(23)の回動によってボールねじナット(34)の回動を可能としている。
【0029】
また、ボールねじナット(34)は、中央に設けたボール溝(36)に、複数のボール(37)を介してボールねじ軸(38)を進退可能に螺着している。また、前記ボールねじ軸(38)は先端に、摩擦パッド(3)の押圧部材として、平板状のパッド押圧板(40)を互いに分離不能に接続している。このパッド押圧板(40)にて、摩擦パッド(3)を、広い面積で一部に押圧力を集中する事なく押圧して、ディスクロータ(1)に平行に押し付け可能としている。
【0030】
尚、上記ボールねじ軸(38)とパッド押圧板(40)との接続は、図1に示す如く、ボールねじ軸(38)の内部を貫通形成して中空部(41)を設け、この中空部(41)内から、パッド押圧板(40)の背面に凹設した袋穴状の取付穴(43)に、取付ねじ(42)を螺着して行うものである。このような構成とする事により、パッド押圧板(40)とボールねじ軸(38)の接続部からのシリンダ(14)内への塵埃や水分の侵入も抑制している。また、このようにパッド押圧板(40)とボールねじ軸(38)との接続を、キャリパボディ(8)の後部側から行う事ができるので、組み付け性やメンテナンス性も向上するものである。
【0031】
また、パッド押圧板(40)の外周とシリンダ(14)の内周との間に、伸縮可能なダストシール(47)を接続して、シリンダ(14)の開口部(45)を閉塞し、シリンダ(14)内への塵埃や水分、小石等の侵入を抑制可能としている。
【0032】
また、本発明のパッドクリアランス調整方法において、ボールねじ軸(38)の移動量に対する摩擦パッド(3)(4)の荷重の変化量を得るため、図1に示す如く、摩擦パッド(3)(4)の荷重センサ(48)と、遊星腕(18)の回転角を検出する回転角センサ(19)とを設けている。
【0033】
上記荷重センサ(48)は、ボールねじ軸(38)の先端に、パッド押圧板(40)に当接して設け、該パッド押圧板(40)を介して作用部(10)側の摩擦パッド(3)の荷重を検出可能としている。また、荷重センサ(48)は、制御装置との検出データ等の送受信を行うためのハーネス(50)を、図1、図3に示す如く、ボールねじ軸(38)の中空部(41)に挿通させている。そして、図1に示す如く、ハーネス(50)を引張り発条(51)にて引張り付勢し、弛み部分を常に中空部(41)に配置して、中空部(41)の外ではハーネス(50)が常に張った状態となるようにしている。そのため、ボールねじ軸(38)が摩擦パッド(3)方向に前進して、ハーネス(50)に引張り力が加わっても、引張り発条(51)が伸張するので、ハーネス(50)が切断されたり、ボールねじ軸(38)の前進が阻害される事はない。また、ボールねじ軸(38)が後退すると、引張り発条(51)が復元収縮するので、ハーネス(50)が中空部(41)以外の位置で弛む事はなく、ハーネス(50)が部材間に絡まる等の不具合を抑制できる。
【0034】
一方、回転角センサ(19)は、図1、図3に示す如く、シリンダ(14)の内周面に、遊星腕(18)の三角形状の径大部(21)の外周に臨ませて、磁気コイルを円周状に配置してステータとし、遊星腕(18)の径大部(21)をロータとした構成である。この三角形状の径大部(21)が回転角センサ(19)の内周を回動する事により、波形の出力電圧を発生するので、遊星腕(18)の回転角を検知可能となるものである。このように、遊星腕(18)の径大部(21)をロータとして兼用できるので、遊星腕(18)とは別個に回転角センサ(19)用のロータを設ける必要がなく、部品点数や組み付け工数の増加を防ぐ事ができる。
【0035】
上述の如く回転角センサ(19)で検出した回転角と、減速ギア機構(17)の遊星歯車(23)、太陽歯車(26)、ボールねじナット(34)の減速歯車(35)による回転速度の減速割合等に基づいて、制御装置では、パッドクリアランス調整機能のためのボールねじ軸(38)の移動量を演算したり、ブラシレス型の電動モータ(15)の起動を制御するものである。
【0036】
また、図1、図3に示す如く、遊星腕(18)の径大部(21)の後端面に臨ませて、前記バックプレート(27)に、パーキング機構のソレノイド(54)を設けている。そして、車両の駐車時に、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付けて制動を行った状態でソレノイド(54)を作動すると、係止ピン(55)が、遊星腕(18)の径大部(21)端面に設けた係止穴(56)に係合する。この係合により、遊星腕(18)が回動不能に固定され、摩擦パッド(3)(4)による制動を維持する事ができる。また、バックプレート(27)外周には、Oリング(60)を介して被覆カバー(44)を装着し、複数の固定ねじ(59)で固定している。この被覆カバー(44)により、ソレノイド(54)やバックプレート(27)、その他を外的衝撃から保護するとともに、シリンダ(14)内のバックプレート(27)側のシール性も高めている。
【0037】
また、キャリパボディ(8)は、電動モータ(15)の摩擦パッド(3)側と減速ギア機構(17)側で3分割可能に形成し、各パーツ間に、図1に示す如く、キャリパボディ(8)よりも熱伝導率の低い断熱材製の断熱リング部材(46)を挿入配置している。この断熱リング部材(46)の断熱効果により、摩擦パッド(3)(4)の制動熱が、キャリパボディ(8)の外表面を介して電動モータ(15)や減速ギア機構(17)に伝達されたり、電動モータ(15)の駆動熱が、減速ギア機構(17)に伝達されるのを抑制する事ができる。
【0038】
尚、前記断熱リング部材(46)は、キャリパボディ(8)の本体を分割形成して、各パーツ間に挿入配置しているので、キャリパボディ内部の部品に設ける場合と比較して、組み付けが容易であり、生産性に影響を与える事はない。また、分割形成によりキャリパボディ(8)の内部への各種部品の組み付け性やメンテナンス性も向上するものとなる。
【0039】
上述の如き電気式ディスクブレーキにおける、第1実施例のパッドクリアランス調整方法を説明する。まず、制御装置では、イグニッションスイッチがOFFからONに切り替わった事を検知すると、初期処理として電動モータ(15)を作動してボールねじ機構(16)のボールねじ軸(38)を前進させ、一対の摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押圧摺動させる。この際に、制御装置では、荷重センサ(48)により摩擦パッド(3)に加わる荷重を監視し、予め設定した所定の荷重が加わるまで摩擦パッド(3)(4)の押圧摺動を行う。
【0040】
また、本実施例の電気式ディスクブレーキは、パーキング機構を設けているから、車両の停車中は摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付けた状態が保持されている。このような場合は、制御装置の制御により、パーキング機構を解除した後、電動モータ(15)を逆転させ、ボールねじ軸(38)を後退させて一旦摩擦パッド(3)(4)による制動を解除し、再度電動モータ(15)を正転させる事でボールねじ軸(38)を前進させ、摩擦パッド(3)(4)の所定荷重までの押圧摺動を行う。
【0041】
次に、制御装置では、上記所定の荷重までの摩擦パッド(3)(4)の押圧摺動過程での、ボールねじ軸(38)の移動量に対する摩擦パッド(3)(4)の荷重の変化量の関数を演算し、この演算された値に基づいて、摩擦パッド(3)(4)への荷重の閾値と、この閾値での位置からのボールねじ軸(38)の戻し量を決定する。このボールねじ軸(38)の移動量は、前述の如く回転角センサ(19)等からのデータにより演算し、摩擦パッド(3)(4)への荷重は荷重センサ(48)にて検出して得ている。
【0042】
しかしながら、非純正品の使用等により、ライニングの素材やシムの有無等、摩擦パッド(3)(4)に変更を生じると、ボールねじ軸(38)の移動量に対する摩擦パッド(3)(4)の荷重の変化量にばらつきを生じ、上記荷重の値や戻り量を一定とすると、クリアランスの過不足を生じる可能性があった。そのため、第1実施例では、摩擦パッド(3)(4)の性質に対応して、ボールねじ軸(38)の戻り量を補正する。この摩擦パッド(3)(4)の違いによる、ボールねじ軸(38)の移動量に対する荷重の変化量の関数グラフを図4に示す。この図4に示す如く、摩擦パッド(3)(4)への荷重の変化量を実クランプ力として縦軸に示し、この実クランプ力の値がaからbまでの所定区間でのボールねじ軸(38)の移動量を実ストロークとして横軸に示している。
【0043】
例えば、図4に点線曲線で示すライニング等が硬質な摩擦パッド(3)(4)に交換された場合は、純正品の基準のシム有りの摩擦パッド(3)(4)(図4の太実線曲線)と比較して、ボールねじ軸(38)の移動量に対する荷重の変化量が大きく、図4に示すように短い移動量で閾値として示す所定の荷重を得る事ができる。また、基準の摩擦パッド(3)(4)を使用する場合であっても、図4に実線曲線で示す如く、純正品のシムを外した場合(シム無し)でも、シム有りの基準の摩擦パッド(3)(4)に比べ、ボールねじ軸(38)の移動量に対する荷重の変化量が大きくなる。そのため、これらの摩擦パッド(3)(4)を、閾値の荷重が加わった位置から基準の摩擦パッド(3)(4)と同量の戻し量でボールねじ軸(38)を後退させると、クリアランス過大となり、制動時の応答性が低下する虞がある。
【0044】
逆に、図4に一点鎖線曲線で示す如く、ライニング等が柔らかい摩擦パッド(3)(4)に交換した場合は、ボールねじ軸(38)の移動量に対する荷重の変化量が小さく、所定の荷重を得るためには基準製品よりも長い移動量でボールねじ軸(38)を移動させ、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付ける必要がある。そのため、摩擦パッド(3)(4)に閾値の荷重が加わった位置から基準製品と同一の戻し量でボールねじ軸(38)を後退させたのでは、クリアランス不足となり、ブレーキの引摺りを生じる可能性がある。
【0045】
上記問題を解消するため、第1実施例では、荷重の閾値を一定とし、摩擦パッド(3)(4)に応じて、ボールねじ軸(38)の戻し量を補正している。この補正のため、制御装置では図4に示す関数グラフを基に、移動量に対して変化量が安定した実クランプ力aからbまでの所定区間での極太線部分のデータを取り出して、図5に示す如く制御装置のCPU内に該データをマッピングする。この図5に示すマッピングに基づいて、図6のグラフに示す如く、基準製品より硬い摩擦パッド(3)(4)の場合は、戻し量を小さい値に補正して、クリアランス過大による応答性の低下を抑制可能とし、柔らかい摩擦パッド(3)(4)の場合は、戻し量を大きい値に補正して、クリアランス不足によるブレーキの引摺りを抑制可能としている。
【0046】
上述の如く荷重及び戻し量を決定・記憶すると、次に制御装置では、ボールねじ軸(38)を後退させて、摩擦パッド(3)(4)に加わる荷重を徐々に低下させ、この荷重が前記閾値に達した時点で、そこから補正後の戻し量でボールねじ軸(38)を後退させる。この操作により、摩擦パッド(3)(4)を所定の初期位置に配置する事ができ、該摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)との間に、所定間隔のクリアランスを確保する事ができ、走行時の摩擦パッド(3)(4)の引摺りの抑制防止効果が高まるとともに、初回制動時での良好な応答性が得られる。
【0047】
また、上記ボールねじ軸(38)の移動量に対する摩擦パッド(3)(4)の荷重の変化量の関数を演算して、戻し量を補正する工程は、イグニッションスイッチのON時に毎回行うように制御装置にプログラムしても良いし、摩擦パッド(3)(4)の交換時のみに行うようプログラムしても良い。毎回行う場合は、摩擦パッド(3)(4)の使用中に摩耗等を生じて摩擦パッド(3)(4)の硬さや肉厚等が変化しても、その変化に応じて、毎回戻し量を補正するので、クリアランス調整を高精度に行う事ができる。
【0048】
また、上記工程を摩擦パッド(3)(4)の交換時のみに行う場合は、2回目以降は荷重の変化量のマッピングや戻り値の補正を省く事ができるので、パッドクリアランス調整を迅速に行う事ができる。また、この場合、2回目以降のイグニッションスイッチON時のパッドクリアランス調整には、一回目でCPUに記憶した荷重の閾値と補正戻し量を使用する。そして、イグニッションスイッチONを感知した制御装置は、電動モータ(15)の作動により、ボールねじ軸(38)を前進させて、所定の荷重が加わるまで摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押圧摺動させる。次に、ボールねじ軸(38)を後退させて、摩擦パッド(3)(4)への荷重を徐々に低下させ、この荷重が閾値に達したら、この閾値でのボールねじ軸(38)の位置から、補正戻し量でボールねじ軸(38)を後退させる事により、摩擦パッド(3)(4)を予め設定した初期位置まで戻す事ができ、摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)との間に、毎回適切なクリアランスを確保する事が可能となる。
【0049】
次に、電気式ディスクブレーキでの制動の作用を説明する。車両の走行時にドライバがブレーキペダルを踏み込んで制動操作を行うと、この踏み込み量に応じて電動モータ(15)が駆動し、遊星腕(18)がシリンダ(14)内を回動する。この遊星腕(18)の回動により、径大部(21)に軸支され、太陽歯車(26)に第1歯車部(24)を噛合する遊星歯車(23)が、太陽歯車(26)の外周を回動する。この遊星歯車(23)の回動により、第2歯車部(25)に減速歯車(35)を噛合するボールねじナット(34)が回動される。
【0050】
そして、ボールねじ機構(16)の作用により、回動力がボールねじ軸(38)の摺動力に変換され、パッド押圧板(40)を介して作用部(10)側の摩擦パッド(3)を押圧摺動し、ディスクロータ(1)に押し付ける。更に、ボールねじ軸(38)の摺動の反力で、キャリパボディ(8)が後退し、反作用部(12)の反力爪(11)が、反作用部(12)側の摩擦パッド(4)を押圧摺動し、ディスクロータ(1)に押し付ける事により、制動が行われる。その際、前述の如く、摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)との間に、適切なクリアランスが確保されているので、制動時には良好な応答性を得る事ができる。
【0051】
そして、ブレーキペダルの踏み込みを解除すると、電動モータ(15)の制御により遊星腕(18)が逆回転し、遊星歯車(23)を介してボールねじナット(34)が、先の回転とは逆方向に回転するので、ボールねじ軸(38)が後退し、摩擦パッド(3)の押圧が解除される。また、このボールねじ軸(38)後退の反力により、キャリパボディ(8)も復元方向に摺動し、反作用部(12)側の摩擦パッド(4)の押圧が解除されるので、制動が解除されるものである。
【0052】
また、この制動解除時にもパッドクリアランス調整機能が作用し、ボールねじ軸(38)の後退により摩擦パッド(3)(4)への荷重が徐々に低下し、この荷重が閾値に達すると、この位置から所定の戻し量でボールねじ軸(38)が後退され、摩擦パッド(3)(4)が所定の初期位置に戻される。そのため、摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)との間に、再び適切なクリアランスが確保され、車両走行中のブレーキの引摺りが抑制されるとともに、次回の制動時においても良好な応答性を得る事ができる。
【0053】
また、上記第1実施例では、パッドクリアランス調整機能のため、ボールねじ軸(38)の戻し量を補正しているが、他の異なる第2実施例のパッドクリアランス調整方法では、図5に示す移動量と荷重の変化量のマッピングに基づいて、図7の関数グラフに示す如く、戻し量は一定とし、摩擦パッド(3)(4)に加わる荷重の閾値を補正している。例えば、基準製品より硬い摩擦パッド(3)(4)の場合、図7のグラフに点線曲線で示す如く、ボールねじ軸(38)の移動量に対する摩擦パッド(3)(4)への荷重の変化量が大きいので、同一ストローク位置では、摩擦パッド(3)(4)に加わる荷重は基準製品よりも大きい。そのため、この大きい荷重に閾値を補正する事により、パッドクリアランス調整時に、摩擦パッド(3)(4)への荷重が補正閾値に達した位置から、基準製品と同一の戻し量でボールねじ軸(38)を後退させる事で、摩擦パッド(3)(4)を所定の初期位置に確実に戻す事ができ、クリアランス過大による応答性の低下を抑制し、制動時は良好な応答性が得られるものとなる。
【0054】
逆に、基準製品より柔らかい摩擦パッド(3)(4)の場合(図7の一点鎖線曲線)、移動量に対する荷重の変化量が小さいので、同一ストローク位置での摩擦パッド(3)(4)への荷重は基準製品よりも小さい。そのため、この小さい荷重に閾値を補正する事により、パッドクリアランス調整時に、摩擦パッド(3)(4)への荷重が補正閾値に達した位置から、基準製品と同一の戻し量でボールねじ軸(38)を後退させる事で、摩擦パッド(3)(4)を初期位置に確実に戻す事ができ、クリアランス不足によるブレーキの引摺りの抑制効果を高める事ができる。
【0055】
また、上記では、摩擦パッド(3)(4)の交換による変形量の変化を想定してクリアランス調整を行っているが、基準の摩擦パッド(3)(4)のみを使用した場合であっても、例えば摩擦パッド(3)(4)に多少の製造誤差を生じて、変形量に多少の個体差を生じたり、摩擦パッド(3)(4)やディスクロータ(1)の摩耗等を生じて、移動量に対する荷重の変化量が変わっても、上記第1実施例の如く、ボールねじ軸(38)の戻し量を補正したり、第2実施例の如く、摩擦パッド(3)(4)の荷重の閾値を補正する事により、製造誤差や摩耗に左右される事なく、ディスクロータ(1)と摩擦パッド(3)(4)との良好なクリアランスを確保可能となる。
【0056】
また、本発明のパッドクリアランス調整方法は、図1〜図3に示す如き電気式ディスクブレーキに限らず、パッドクリアランス調整機能を備えた従来公知の何れの電気式ディスクブレーキでも実施する事ができ、車種や電気式ディスクブレーキの構造に対応して、ピストンの戻し量を補正するか又は摩擦パッドへの荷重の閾値を補正する。
【0057】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであるから、特に摩擦パッドの交換等により、摩擦パッドの素材やシム等に変更が生じても、該摩擦パッドに対応して、パッドクリアランス調整に使用するピストンの戻し量又は摩擦パッドに加わる荷重の閾値を補正する事により、常に摩擦パッドを所定の初期位置に戻す事が可能となり、摩擦パッドの変更に左右される事なく、該摩擦パッドとディスクロータとの間に、常に所定間隔のクリアランスを確保する事ができる。また、ユーザーが非純正品を使用したり、摩擦パッドに多少の製作誤差を生じていたり、ディスクロータや摩擦パッドに摩耗を生じたり等して、ピストンの移動量に対する摩擦パッドへの荷重の変化量が変化しても、その製作誤差や摩耗量に応じて、摩擦パッドのピストンの戻し量や荷重の閾値を補正可能となり、所定のクリアランスを保つ事ができる。このように、摩擦パッドとディスクロータとの間に、常に所定のクリアランスを確保可能となる事により、制動時の良好な応答性を得る事ができるとともに、制動解除後のブレーキの引摺りも抑制する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パッドクリアランス調整機能を設けた本発明の電気式ディスクブレーキの横断面図。
【図2】図3のA−A線断面図で、太陽歯車の固定部材とハーネスとを省略したものである。
【図3】図1のバックプレート側の部分拡大断面図。
【図4】ボールねじ軸の移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量を示した関数グラフ。
【図5】図4の移動量と荷重の変化量曲線をマッピングした関数グラフ。
【図6】第1実施例にて、同一荷重の閾値に対する戻し量の補正値を示す関数グラフ。
【図7】第2実施例にて、同一戻し量に対する荷重の閾値の補正値を示す関数グラフ。
【図8】従来技術に於いて、基準の摩擦パッドのピストンの移動量に対する荷重の変化量を示す関数グラフ。
【図9】従来技術に於いて、硬さの異なる摩擦パッドのピストンの移動量に対する摩擦パッドへの荷重の変化量を示す関数グラフ。
【符号の説明】
1 ディスクロータ
3 摩擦パッド
4 摩擦パッド
15 電動モータ
38 ボールねじ軸(本発明のピストン)

Claims (2)

  1. ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動し、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキであって、前記ディスクロータと摩擦パッドとのクリアランスが所定の間隔となるように、ピストンの初期位置を設定し、このピストンの初期位置への予め設定された戻し量により、前記ピストンを初期位置に移動させるパッドクリアランス調整機能を設けた電気式ディスクブレーキに於いて、イグニッションスイッチのON時に、摩擦パッドに予め設定した所定値の荷重が加わるまで電動モータを作動させるとともにこの際のピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、この演算された関数に基づき、前記戻し量を補正する事を特徴とする電気式ディスクブレーキのパッドクリアランス調整方法。
  2. ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動し、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキであって、前記ディスクロータと摩擦パッドとのクリアランスが所定の間隔となるように、ピストンの初期位置を設定し、このピストンの初期位置への予め設定された戻し量により、前記ピストンを初期位置に移動させるパッドクリアランス調整機能を設けた電気式ディスクブレーキに於いて、イグニッションスイッチのON時に、摩擦パッドに予め設定した所定値の荷重が加わるまで電動モータを作動させ、ピストンの移動量に対する摩擦パッドの荷重の変化量の関数を演算し、この演算された関数に基づき、前記摩擦パッドの予め設定された荷重の値を補正する事を特徴とする電気式ディスクブレーキのパッドクリアランス調整方法。
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