JP4059333B2 - 木質系芯材ボード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築用材料、家具、自動車用内装材などに用いられ、特に耐湿性が要求される用途で用いて好適な木質系芯材ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の木質系芯材ボードを床仕上材として用いる場合、例えば合板から成る台板上に化粧貼り用の木の薄板である突板(化粧材…例えば楢単板)を貼り合わせたものが知られている。この床仕上材の裏面は台板(合板)がそのまま露出した状態である。
【0003】
従来の床仕上材に用いられた木質系芯材ボードでは、その裏面が床下からの湿気を吸湿し、反りを生ずるという欠点があった。このような欠点は、床仕上材のみならず、床下地材、家具の表面化粧材、自動車の内装用のウッドパネルなどでも同様の問題があった。
【0004】
そこで、吸湿し易い面にポリエチレンシートを貼り付けること(耐湿層の形成)も試みられた。この場合、木質系のボード本体に通常の接着剤でポリエチレンシートを接着することができないので、ボード本体上にシートを積層した後に熱プレスなどによりシートを加熱溶融させて接着していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の耐湿層形成にポリエチレンシートなどのポリオレフィン系樹脂を用いると、ポリエチレンを一般的な接着剤でボード本体に接着するのは困難であるため、ポリエチレンシートの片面にクラフト紙を貼り付けた耐湿シートのポリエチレンを加熱して溶融させなければ接着できず、手間がかかっていた。また、3層構造(紙・ポリエチレン・紙)の耐湿シートをパーティクルボードから成るボード本体に接着剤で貼り付けるには、熱プレスするが、ボード本体に耐湿シートを貼り付けた後に、紙間剥離が発生していた。紙間剥離が生じると、クラフト紙によるボード本体の寸法安定性を確保できないおそれもあった。
【0006】
そこで、この発明は、木質系ボード本体の耐湿が要求される面に簡単かつ迅速に耐湿層を形成することができ、寸法の安定性も向上させた木質系芯材ボードを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、この発明は、木質系のボード本体の少なくとも片側表面に耐湿性シートを貼り合わせた木質系芯材ボードにおいて、前記耐湿シートは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれた材料から形成された有機不織布または織布であるか、ガラス繊維から形成された無機不織布または織布から成るシートをポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンの樹脂シートに積層して成り、この耐湿シートの樹脂シートは、プラズマ放電処理またはコロナ放電処理されており、放電処理された耐湿シートの樹脂シートの面とボード本体との間に接着剤を設け、熱プレスしてボード本体に耐湿シートを貼り合わせ、貼り合わされた耐湿シ―トの透湿抵抗値を100g/24h・m 以下としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の好適な実施例を図面を参照にして説明する。
【0009】
図1に示す実施例では、木質系のボード本体1の少なくとも片側表面にポリオレフィン系樹脂を含む耐湿シート2を設けてあり、この耐湿シート2は、ポリオレフィン系の樹脂シート3に紙、不織布、織布のいずれかのシート4を積層して成る。この耐湿シート2は必ず樹脂シート3がボード本体1の片側表面に接着される。
【0010】
図2は図1の拡大断面図であり、接着層5がボード本体1と耐湿シート2との間に設けてある。耐湿シート2の樹脂シート3は、そのままでは一般的な接着剤では接着が困難であるため、プラズマ放電処理やコロナ放電処理を施した後に接着剤を塗布し、ボード本体1に接着し、接着層5を形成する。このような放電処理をポリオレフィン系樹脂の樹脂シート3に施すことにより、樹脂シート3の表面が活性化され、接着剤によりボード本体1に貼付することができる。放電処理を施さない樹脂シート3をボード本体1に貼付する場合は、接着剤で接着することができず、ボード本体1上に樹脂シート3を積層した後、熱プレス等により溶融接着される。しかしながら、溶融接着による接着信頼性は、化学結合を有する接着剤を用いた接着信頼性に比べると著しく劣る状況であった。樹脂シート3に放電処理をすることにより、接着剤を用いることができ、接着耐久性、接着信頼性が向上する。
【0011】
図3はコロナ放電処理を施す例を示す工程図であり、ロール20に巻き取られたシート4(この場合紙)を送り出し、ドラム21上のシート(紙)5に樹脂タンク22内の溶融したオレフィン系樹脂を押し出してシート(紙)5上に樹脂シート3を積層した積層体を形成する。次いで、この積層体をコロナ放電装置23の電極24間を通過させて放電加工する。放電加工された積層体、すなわち耐湿シート2はロール25に巻き取られる。このロール25に巻き取った耐湿シート2をボード本体1の大きさに裁断して樹脂シート3側を接着剤でボード本体1に貼り付ける。このときのコロナ放電装置23の出力は2000W、処理時間は0.1〜0.6秒、周波数45KHzとしたが、出力は10〜5000W、処理時間は0.01〜30秒間、周波数は30〜60KHzの範囲内で樹脂シート3の接着剤によるボード本体1への貼り付けは可能であった。放電処理において出力が5000Wを超えると樹脂シート3の材料としての強度が低下し、10W未満であると樹脂シート3の接着剤による接着性が不充分であった。また、処理時間も0.01秒に満たない場合には接着性に劣り、周波数も30KHz未満では充分な接着性が認められなかった。また処理時間が30秒を超え周波数も60KHzを超えてしまうと樹脂シート3の材料強度が低下してしまう。
【0012】
実施例1
32g/m2 の薄葉紙(シート4)上に厚さ10μmのポリエチレンの樹脂シート3を積層して耐湿シート2を形成した。そして、この耐湿シート2のポリエチレンの樹脂シート3に対し出力2000Wで0.5秒間、45KHzでプラズマ放電処理を行い、接着剤で合板上に貼り合わせた。このときに使用した接着剤はメラミン樹脂系接着剤を8g/尺角、プレス条件は120℃で45秒だった。
【0013】
実施例2
32g/m2 の薄葉紙上に厚さ10μmのポリプロピレンの樹脂シート3を積層して耐湿シート2を形成した。この耐湿シート2を合板から成るボード本体1に実施例1と同様の処理を施して貼り付けた。
【0014】
実施例3
50g/m2 のクラフト紙上に厚さ20μmのポリエチレンの樹脂シート3を積層して耐湿シート2を形成した。ボード本体1としてはパーティクルボードを用い、このボード本体1に実施例1と同様の条件で耐湿シート2を貼り合わせた。
【0015】
比較例1
厚さ10μmのポリエチレンのシートの両面に50g/m2 のクラフト紙を貼り付けた3層構造の耐湿シートを形成した。メラミン樹脂系接着剤を8g/尺角用い、120℃で45秒間熱プレスしてパーティクルボードから成るボード本体に貼り付けた。
【0016】
比較例2
実施例1同様のボード作成、ただし、ポリエチレンシートにコロナ放電処理せずに合板に接着したのみのもの。
【0017】
比較例3
実施例1同様のボード作成、ただし、ポリエチレンシートにコロナ放電処理せずに合板に熱融着したもの。
【0018】
比較例1では、3層構造をとるため、耐湿シートそのもののコストが高くなり、ボード本体に貼り付けた後に、紙間剥離が発生した。これに対し、実施例1乃至3のものでは、接着剤信頼性も高く、接着耐久性も向上した。
【0019】
シート4として紙を用いる場合に、その紙としては樹脂を含浸して補強した紙間強化紙、チタン紙、セラミック紙、クラフト紙、薄葉紙、耐油紙から選択される。また、シート4として不織布又は織布を用いる場合、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれた材料から形成された有機不織布又は有機織布が好適に用いられ、あるいはガラス繊維から形成された無機不織布又は無機織布が好適に用いられる。樹脂シート3としては、上述したポリエチレン、ポリプロピレンの他にポリブチレンも使用できる。また、ボード本体1としては、合板やパーティクルボードの他に、MDF、OSBも用いることができ、あるいはこれらの複合体から成るものであってもよい。
【0020】
前記耐湿シート2は、その透湿抵抗値が100g/24h・m2 以下とする。この透湿抵抗値は、JIS Z 0208に基づいて定められる。透湿抵抗値の高い(水分を通し易い)紙、織布、不織布は、樹脂シート3と貼り合わせ時に使用する接着剤の塗布量を多くすることにより透湿抵抗値を低くすることができる。透湿抵抗値が100g/24h・m2 を超えると、耐湿シート2としての耐湿効果が低減する。
【0021】
図4に示す他の実施例では、耐湿シート2をボード本体2の片側表面に設け、反対側の表面には、熱硬化性樹脂を含むプリプレグシート6を積層し、このプリプレグシート6上に樹脂の含浸を可能とする化粧材7を重ね合わせて熱プレスして互いに接着を図った。プリプレグシート6は、紙、織布、不織布から成るシート基材にフェノール樹脂を固形分50〜500g/m2 になるように含浸させたものが好適に使用できる。化粧材7としては、例えば0.3mm程度の厚さの楢単板などが好適に使用でき、シート基材としての不織布は、例えば繊維径10μmで短繊維と長繊維の混合繊維からなる坪量100g/m2 のガラス繊維単独の不織布に固形分40%の水分散系フェノール樹脂を含浸させ、含浸時の固形分を200g/m2 とし、これを105℃で10分間乾燥させて半硬化状態にしてプリプレグシート6を得る。そして、ボード本体1の表面にこのプリプレグシート6を重ねるとともに化粧材7を重ね合わせ、プレス温度150℃、圧力10kgf/cm2 、プレス時間5分で熱プレスした。
【0022】
接着層5の材料としては、先に述べたメラミン樹脂系の他に、PVA系、アクリル樹脂系、酢酸ビニル系のものが好適に使用できる。なお、ボード本体1の両面に耐湿シート2を設けることもできる。
【0023】
実施例1〜4、比較例1〜3について高さ10cmから荷重10kgのおもりを自由落下させることを10万回繰り返すことにより、繰返し荷重試験を実施した。試験後接着面について実施例1〜4については剥がれがなかったが、比較例1〜3については剥がれが発生した。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、木質系のボード本体の少なくとも片側表面に耐湿性シートを貼り合わせた木質系芯材ボードにおいて、前記耐湿シートは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれた材料から形成された有機不織布または織布であるか、ガラス繊維から形成された無機不織布または織布から成るシートをポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンの樹脂シートに積層して成り、この耐湿シートの樹脂シートは、プラズマ放電処理またはコロナ放電処理されており、放電処理された耐湿シートの樹脂シートの面とボード本体との間に接着剤を設け、熱プレスしてボード本体に耐湿シートを貼り合わせ、貼り合わされた耐湿シ―トの透湿抵抗値を100g/24h・m 以下としたので、耐湿機能に優れたポリオレフィン系樹脂を含む耐湿シートのポリオレフィン系の樹脂シートの面をボード本体に簡単かつ迅速に接着でき、接着信頼性も高く、接着耐久性も向上する。さらに、耐湿シートに紙、不織布、織布をポリオレフィン系樹脂のシートに積層しているので、これら紙などがボード本体の寸法安定性を保持するのに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の好適な実施例を示す断面図。
【図2】図1の拡大断面図。
【図3】コロナ放電処理の工程図。
【図4】他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1 ボード本体
2 耐湿シート
3 樹脂シート
4 シート
5 接着層

Claims (5)

  1. 木質系のボード本体の少なくとも片側表面に耐湿性シートを貼り合わせた木質系芯材ボードにおいて、
    前記耐湿シートは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれた材料から形成された有機不織布または織布であるか、ガラス繊維から形成された無機不織布または織布から成るシートをポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンの樹脂シートに積層して成り、
    この耐湿シートの樹脂シートは、プラズマ放電処理またはコロナ放電処理されており、
    放電処理された耐湿シートの樹脂シートの面とボード本体との間に接着剤を設け、熱プレスしてボード本体に耐湿シートを貼り合わせ、
    貼り合わされた耐湿シ―トの透湿抵抗値を100g/24h・m 以下としたことを特徴とする木質系芯材ボード。
  2. 前記コロナ放電処理条件として、出力10〜5000W、0.01〜30秒間、周波数30〜60KHzで行うことを特徴とする請求項1に記載の木質系芯材ボード。
  3. 前記コロナ放電処理条件として、出力1000W〜3000W、0.05〜15秒間、周波数40〜50KHzで行うことを特徴とする請求項1に記載の木質系芯材ボード。
  4. 前記ボード本体は、合板、MDF、パーティクルボード、OSBの1種または2種以上の複合体から成ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の木質系芯材ボード。
  5. 前記耐湿シートをボード本体の片側表面に設け、反対側の表面には、熱硬化性樹脂を含むプリプレグシートを積層し、このプリプレグシート上に樹脂の含浸を可能とする化粧材を重ね合わせて熱プレスして互いに接着を図り、前記プリプレグシートは、紙、職布、不織布から成るシート基材にフェノール樹脂を固形分50〜500g/m になるように含浸させたのもであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の木質系芯材ボード。
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