JP4058412B2 - 高分子炭水化物材料の修飾方法 - Google Patents

高分子炭水化物材料の修飾方法 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
(発明の分野)
本発明は高分子炭水化物材料の修飾のための化学−酵素学的方法、詳しくは、あらゆる高分子炭水化物材料の表面に特定の化学基を導入し前述の材料の物理化学的特徴を変化させるための活性化した重合体表面の利用、さらにこの方法で生成した材料やこれらの材料を含む生成物に関する。
(技術の背景と先行技術)
実質的に紙や板や繊維産業で用いられる全てのセルロース材料は、最終的な3次元の形に成型される前(例えば木材パルプや綿糸等)もしくは後(例えば紙や段ボール紙、織物等)に、これらの材料の表面の特徴を変化させるため、化学的に処理される。製造過程の様々な時点で、化学薬品添加によるセルロースの材料処理が行われ、それにより表面の特徴は劇的に変化する。例えば、陰イオン性セルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースは、通常用いられる陽イオン性充てん剤やサイズ剤の保持のために、木材パルプに添加される。
同様に、アルキルケテンダイマーやアルキル無水コハク酸のような有機サイズ剤は、疎水性を上げ、シートの印刷可能性を変化させるため、紙の成型時に添加される。液体や食品の包装材としてセルロース材料が用いられる時にはしばしば、紙やボール紙はポリエチレンのような熱可塑性プラスティックで積層し、水性の溶液が透過しないようにさせる。繊維製品や紙シートは日常的に染色、印刷されているが、それ以外の表面修飾の例は未だ存在しない。セキュリティー紙や包装(紙幣やトレース可能な書類や小包)における近年の技術の多くは、特殊な化学薬品による表面加工に依存しており、これらによって後で真偽を確認するための分析を行うことができる。さらにセルロースの材料は高分子産業において、充てん剤、積層材、パネル製品、放射線強化木材、プラスティック複合材、アロイポリマー、ブレンドポリマー、セルロース誘導体(セルロース系材料)など、広範囲に応用できる可能性を持っている。
このような化合物の製造や品質が障害となって、それらの用途は未だ限定されている。近年、原料高分子の性質を向上させ、コストや最終産物の重量を減少させる、表面が修飾された充てん剤に対する必要性は増加している。最適な機械の性能や強化された繊維の耐久性に関して、繊維とポリマーマトリクス間の界面接着の最適化は、重要な特徴である。繊維−マトリクス界面の質は、プラスティックの補強剤として、天然繊維の応用化に重要である。繊維とマトリクスは化学的に異なるものであるが、効率的に応力を移動させ、界面全体に接着を配分する上で、それらの界面における強力な接着が必要とされる。よって、セルロース誘導体化の新しい方法は、ポリマーの加工における繊維−マトリクスの接着や、接着性、新たな複合材料の改善のために必要である。
物理的、化学的処理によるセルロース繊維表面修飾の今日到達している技術は、繊維表面に薬剤を導入させる手順において高度な制御を欠く。セルロースを直接化学的に修飾することの重大な欠点は、ほとんどの化学物質が繊維構造に浸透してしまうことと、繊維内部で化学的な修飾が起こることで、繊維の構造や特性が失われてしまうことである。触媒として、酵素はその反応様式に高い特異性を持ち、そのため従来の方法に取って代わる魅力的な方法を提供する。さらに、これらの触媒がタンパク性であることは、生分解性があり、環境に優しいことを意味する。また、酵素は本質的に表面で作用することから、繊維構造への浸透問題を克服できる。
基質の化学結合を切断することで分解反応を触媒する分解酵素は、セルロース材料の処理において、過去15年以上も、特にパルプや紙業界で注目されてきた。例えばリグナーゼはリグニンの除去により、パルプの漂白性や白さを向上させるために用いられている。また、キシラナーゼ処理により加熱過程で再沈殿したリグニンの除去が容易になった。
同様に、セルラーゼは繊維産業で広く利用され、衣類の仕上がりを変化させた。例えば、「ストーンウォッシュ」効果を出す際に、デニムのセルラーゼ処理は軽石と機械的に洗濯する方法からほとんど取って代わって行われている。セルラーゼはまた、多くの洗濯石鹸の主成分であり、ほころんだ綿繊維を酵素的にトリミングすることにより毛羽立ち防止剤として働く。
セルロース繊維の修飾において分解酵素が広く用いられているが、逆方向、例えば合成の方向の反応を触媒する酵素の利用はほとんど発達していない。これは主に、セルロースやヘミセルロースのような多糖類の合成を行う酵素についてほとんど知られていなかったためである。このような酵素の大半は、ヌクレオチド糖依存的転移酵素として知られており、細胞膜結合型であるために、その単離と特徴づけが困難であった。さらに、活性糖の分離には多額の費用がかかる。セルロース繊維の修飾におけるヌクレオチド糖依存的転移酵素の利用は、天然基質の糖環の化学修飾が最終的に基質の伸張した多糖鎖に組み込まれてしまうため、許容されないという事実により、さらに限定される。転移酵素は別として、ある種のβ−グルコシダーゼやセルラーゼのように、保持性の反応機構を利用する糖質加水分解酵素は、反応混合物中に水が存在しない場合、炭水化物の合成に用いることができる。これらの酵素が有機溶媒中で糖転移反応を触媒すればグリコシル結合の分解よりも生成の方で働く。
有機溶媒使用の必要性はこの方法の重大な欠点である。さらに、保持性グリコシダーゼは遺伝学的に加工されて、触媒求核部位を除去されうる。このような酵素は、加水分解に必要な共有結合した酵素−基質中間体を作れないが、その代わりに供与体が糖をフッ素化されて反応の遷移状態を再現するものであれば、適切な受容体と供与体の糖の縮合反応を触媒することができる。ヌクレオチド依存性グリコシル転移酵素と同様に、欠点は活性化基質を必要とすることであり、そのことが大規模な技術の使用を制限している。
よって、高分子炭水化物、特に繊維構造を完全に残したセルロース繊維に、様々な機能性をもつ広範囲の化学基を導入する方法を開発する必要がある。理想的には、その過程には1つまたはそれ以上の酵素が関与し、これらの酵素は繊維に化学基を付加する試みに対抗して働く加水分解またはほかの分解活性を欠くものである。
EP 562 832はエンド−キシログルカン転移酵素をコードする遺伝子を開示し、とこの遺伝子が植物の形態を調節することを示唆している。この開示はエンドグルカン転移酵素を用いることにより、キシログルカン分子内のD−グルコシル結合を切断し、次いで得られたキシログルカン分子セグメントの還元末端を別のキシログルカン分子の非還元末端のD−グルコースに結合させることを含む、キシログルカン分子の転移方法について述べている。これを何回も繰り返すことによって、任意の構造のキシログルカン分子を構築することができることから、キメラ多糖類の合成に応用できるとされる。
U.S. 5,968,813 (PCT/DK96/00538, WO97/23683)では、セルロース材料の強度の向上について開示している。それによるとセルロース材料は、水性媒体中でキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET)に接している。XET処理はセルロース繊維間での架橋を増大させると考えられており、よってセルロース材料の強度および/または形状の保持を改善すると考えられている。
(本発明の要約)
本発明は、高分子炭水化物材料(PCM)の修飾方法に関するものであり、前述の方法は所望の機能性を有する化学基を、化学基を有する炭水化物リンカー分子により前述の炭水化物材料に結合させる工程を含み、前述のリンカー分子はPCMに結合することができるものである方法に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、高分子炭水化物材料(PCM)の修飾方法に関するものであり、化学基を含む炭水化物リンカー分子を用いて、所望の機能性を有する化学基を前述の炭水化物材料に結合させる工程を含み、前述の炭水化物リンカー分子はPCMと結合することができるものである方法に関する。
この方法の具体例を図1に示す。図1は未修飾のPCM(1)、および炭水化物リンカー分子(CLM)(2)を示す。前述のCLMは少なくともSCP(3)の一部と化学基(5)を持ち、炭水化物ポリマー断片(CPF)(4)複合体となっていてもよい。炭水化物リンカー分子はPCMと結合できるため、PCMが接触していれば結合反応が起こる。
別の実施例において、前述の方法は以下の工程を含む
(i) 所望の機能性を有する化学基を含む炭水化物重合体断片(CPF)を供給する工程
(ii) 前述の化学基を含む前述のCPFおよびSCPからなる複合体が形成される条件下で、前述の化学基を含む前記のCPFを可溶性炭水化物ポリマー(SCP)と接触させる工程、ここに前述のCPFおよびSCPは一緒になって炭水化物リンカー分子(CLM)を形成するものであり、次いで
(iii) CLMがPCMに結合して修飾された高分子炭水化物材料が得られる条件下で前述のCLMをPCMと接触させて修飾する工程
「PCM」と略される高分子炭水化物材料とは、水不溶性高分子炭水化物材料および/または水溶性高分子炭水化物材料を含む材料のことである。PCMは全部か一部が、1もしくはそれ以上の単糖ユニットの繰り返しから構成されるいずれの材料であってもよい。このようなPCMはしばしば2以上の異なる種類の高分子炭水化物、もしくは炭水化物ポリマー、タンパク質のような別のポリマーとの複合物である。PCMは、タンパク質やマンナンのような多糖類との複合体を形成するN−アセチルグルコサミンのポリマーであるキチンを含んでいてもよい。
PCMはまた、セルロースを含んでいてもよい。セルロースはβ1,4−結合グルコースユニットのホモポリマーであってもよい。グルコースの長いホモポリマー(例えば8-15,000 グルコースユニット)は、互いに水素結合で積層し、不溶性の材料となる。このようなセルロース材料は完全に結晶となっていてもよく、あるいは不規則で、不定形であってもよく、またあるいはそれら2つの混合物であってもよい。それらはまた、まず不溶性セルロースの可溶化させ、次いでそれらを再生させて異なる鎖から構成される不溶性セルロース材料を形成させることにより製造されうる(セルロースII)。
植物の細胞壁のセルロースは、ヘミセルロースやペクチンのような他の可溶性細胞壁多糖類とともに複合体を形成している。セルロースおよび/またはセルロース/ヘミセルロースの複合体を含むPCMの例としては、セルロース繊維、セルロースミクロフィブリル(ウィスカー)、紙およびパルプ製品ならびにセルロース織物があげられる。
説明や実施例から明らかなように、PCMは小さなポリマー(例えば1nm未満の大きさ)、大きなポリマー(例えば0.1〜1000nmの大きさ)、ポリマーの凝集体(例えば0.1〜10000nmの大きさ)、繊維(例えば0.1〜100000μmの大きさ)、繊維の凝集体のあらゆる構造体を指す。
用語「セルロース繊維」とは外側の1次細胞壁からなる植物細胞に関連するものであり、それは、より厚くより複雑な2次細胞壁を封入している。不可欠な繊維成分はセルロースであり、セルロースは植物の細胞壁の耐力要素である。パルプか手順の相違により、パルプ繊維は1次細胞壁を含むこともあればそうでないこともある。用語「セルロースミクロフィブリル」は、植物やその他生物が作り出すセルロース結晶の初期のユニットである。セルロースミクロフィブリルはセルロース系植物繊維、あるいはさらに容易にはアセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum spp.)のようなセルロース生産バクテリアの培養液から分離できる。
本発明と関連して、セルロース繊維は、例えば亜麻、麻もしくは穀類のような1年生の植物、または例えば綿花、ポプラ、カバノキ、ヤナギ、ユーカリ、マツ、トウヒのような多年生植物から抽出してもよい。セルロースミクロフィブリルは、例えば、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum spp.)のようなバクテリアの培養液から得ることができる。紙またはパルプ製品は当該分野で知られたどのようなセルロ−ス含有材料でもよい。これらは、木やパルプ繊維のような材料に限定されず、異なる化学パルプや機械パルプ、熱機械パルプ、綿毛パルプ、ろ紙、上質紙、新聞印刷用紙、再生セルロース材料、ボード原紙、ティッシュペーパー等の衛生用製品、紙袋およびクラフト紙、他の包装材料、削片板および繊維板ならびに固体の木材製品の表面または木材および繊維の混合物を含む。
PCMのさらなる例は、診断や分離技術に用いられるメンブレン、ゲル、ビーズのような医学的な応用で用いられている高分子炭水化物材料、および電子工学の応用に用いられるメンブレンを含む。本発明と関連した繊維製品は、他の天然または合成されたポリマーまたは材料ならびに電子工学的化合物との新しいタイプの複合物でもよい。
本発明と関連して、セルロース織物とは、綿、ビスコース、キュプラ、アセテートおよびトリアセテート繊維、モダール、レーヨン、ラミー、リンネル、テンセル(登録商標)等の、またはこれら繊維の混合物、またはこれらいずれかの繊維の混合物、または綿とスパンデックス(ストレッチデニム)、テンセルとウール、ビスコースとポリエステル、綿とポリエステル、綿とウールのようなこれらいずれかの繊維と合成繊維もしくはウールの混合物のような当該分野で知られたあらゆるセルロース含有織物のことである。
SCPと略される、「可溶性炭水化物ポリマー」とは1つもしくはそれ以上の異なる単糖もしくはその誘導体を含むポリマーであり、水もしくは有機溶媒に可溶なものである。例はヘミセルロース(セルロースのようにβ(1−4)結合グルコースユニットだけで構成されない炭水化物重合体)、ペクチン(ポリウロン酸とそのエステル)、デンプン(α(1−6)の側鎖の分岐を含む、もしくは含まないα(1−4)結合ポリグルコース)として分類される多糖を含む。キシログルカンとはSCP、特にヘミセルロースの代表例であり、α−(1,6)キシロースで修飾されたβ−(1,4)結合ポリグルコース骨格で構成される多糖であり、このキシロースはフコースおよびアラビノースのような他の糖で置換することができる。好ましい具体例では、(例えば1つもしくはそれ以上の水素結合、イオン相互作用、共有結合、ファンデルワールス力、これらの組み合わせのいずれかを介して)SCPはPCMと結合することができる。本発明の具体例において、SCPは後述のCPFでもよい。
「CPF」と略される「炭水化物ポリマー断片」という語は、酵素的、もしくは化学的に調製されたSCPの断片であってもよい分子を意味する。したがって、このような断片の例は、前述のSCPのユニットが何度も繰り返されたものを含む。適当な断片はポリマー骨格内に、約2-10または4-10、3-100、11-15、20-25、26-40、41-60、61-100、101-200、201-300、301-40、401-500、501-1000、1001-2000、2001-3000、3001-4000、4001-5000の単糖ユニットのように、2から約5000の単糖ユニットを含んでもよい。CPFは様々な鎖長や組成の側鎖を含んでもよい。特別な例は、図4に記述した構造またはその断片を有するような、あるいは1つ以上のフコシル基または他の単糖で修飾されたような、キシログルコ−オリゴサッカラド(XGO)を含むが、それらに限定されない。
XGOは、Friら、Physiologia Plantarum, 89, 1-3(1993)に概説された命名法に従って名付けられている。その中で、とりわけGは未置換β−グルコピラノシル残基であり、Xはキシロピラノシル−α(1−6)−グルコピラノシルユニットであり、Lはガラクトピラノシル−β(1−6)−キシロピラノシル−α(1−6)−グルコシルユニットであり、Fはフコピラノシル−α(1−2)−ガラクトピラノシル−β(1−2)−キシロピラノシル-α(1−6)−グルコシルユニットである。これら様々なユニットはグルコピラノシルユニット間のβ(1−4)を介して結合し、β(1-4)グルカン多糖骨格を形成してもよい。この命名法を用いて、通常はタマリンドのキシログルカンをエンドグルカナーゼで消化した後に単離されるXGOは、XXXGとXLXG、XXLG、XLLGである(図4参照)。これらの多糖の還元末端のグルコース(G)が、還元されたアルジドール型をとっている場合、このユニットは「Gol」と表記する。よって、例えばタマリンドのキシログルカンから得られた前述の多糖の還元型(アルジドール)誘導体は、XXXXGolとXLXGol、XXLGol、XLLGolと示す。
本発明との関連で、「化学基」という語は、不溶性高分子炭水化物表面の活性化または修飾に関係する、あらゆる化学的ラジカル(-R)基を意味する。不溶性高分子炭水化物表面の活性化とは、さらなる化学または酵素反応を許容しうる修飾と定義され、表面の修飾とは、その機能特性を変化させるのに十分な処理と定義される。
このような活性化や修飾に適した化学基の例は、イオン性基(アミノ基やアンモニウム基、炭素陽イオン、スルホニウム基、金属イオンのような陽イオン性基、またはアルコキシド塩やチオレート塩、ホスホン酸塩、カルバニオン塩、カルボン酸塩、ホウ酸塩、スルホン酸塩、ブンテ塩のような陰イオン性基、またはアミノ酸やイリドのような両性イオン性基、または同じ分子内に存在する陽イオン性基と陰イオン性基の組み合わせ)、またはイオン化していない共役酸もしくは共役塩基(適切ならば)、または疎水基(脂肪酸アシルやアルキル基、不飽和誘導体、ペルフルオロアルカンのようなアルキル炭化水素、芳香族または環式芳香族炭化水素、複素環式化合物のようなアリル炭化水素)、非極性親水基(ポリエチレングリコールのようなポリエーテル)、求電子原子を含む高反応性基(カルボニル化合物、炭素陰イオン、ハロゲン化アルキル、アセタール)、求核試薬(窒素、硫黄、酸素、炭素陽イオン)、重合反応に用いられる単量体(アクリルアミド、ブロモブチレート、ビニル、スチレンのようなフリーラジカル、もしくは求核または求電子試薬)、発色体や蛍光体(C.I.染料、フルオレセイン、スルホローダミン、ピレンのような蛍光増白剤)、ビオチン、放射性同位体、フリーラジカル前駆体、安定フリーラジカル部分(例えばTEMPO)、核酸配列、アミノ酸配列、タンパク質またはタンパク質結合物質(例えばアフィニティーリガンド、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、抗体、または酵素基質もしくはその類似物)、受容体、ホルモン、ビタミン、薬物を包含しうる。
「CLM」と略される「炭水化物リンカー分子」とは、少なくとも上記のSCPおよび化学基の一部を含む分子、または複合体を意味する。好ましい具体例では、CLMは1つもしくはそれ以上の水素結合、イオン相互作用、1つもしくはそれ以上の共有結合、ファンデルワールス力、またはこれらいずれかの組み合わせを介してPCMに結合することができる。
実施例9、13、15、16、18aおよび30は、発色性や蛍光性、そして両性イオン性であるスルホローダミンを用いた、セルロース材料の修飾を目的とした化学基の適用例を示す。発色体は一般的に、顔料として知られており、蛍光体は蛍光増白剤として繊維製品や他の応用に用いられており、イオン性化合物は製紙法において保持剤として機能している。実施例10、14、17、18bおよび21は、先と同様に発色性や蛍光性を持ち、また広範囲のpHで陰イオン性を持つことから、このような化学基を要求する応用例として、フルオレセインによるセルロース繊維の修飾を示す。実施例8、19および20は、広範囲のpHで陽イオン性であり、イオン交換剤として適切であり、さらに製紙において保持性を上げることのできるアミノ基を、繊維表面に結合させる方法である。
さらに、アミノ基は本質的に、セルロース繊維に従来から存在する化学基よりも反応性が高く、そのため、他の広範囲の化学物質を結合させるために用いることができる。放射活性の取り込みは実施例11と及びそのパート「a」に記述したXET酵素アッセイに示されている。放射活性はトレーサーに応用されたり、繊維の形態研究に使用されることができる。結合したアルキル鎖との反応は実施例22、24および25に示されている。とくに、実施例24および25は、疎水化剤として広く用いられているアルケニル無水コハク酸が、どのように繊維表面に特異的に結合でき、潜在的にこの基の保持能を高めるのかを示している。
実施例23および26は、非蛍光性の芳香族基が繊維と結合できることを示している。後者の実施例は、シナモイル基を組み込んでおり、それによってポリスチレンやリグニンを合成するような重合反応を受けられるようになる。同様に、ブロモイソブチリル基は、実施例27に示すように、フリーラジカル反応の別の開始剤と結合することができる。実施例31に示すような基は、セルロース系グラフト共重合体を製造する際に用いられることができる。強力な接着性を持ちながらも、繊維/セルロース構造に対して不利な影響が低いもしくはないような、高品質の繊維−マトリクス界面をもつ。実施例28に示すビオチンの結合によって、アビジンタンパク質複合体を繊維表面に結合させることができ、そのことは適用範囲が広く、そのことを用いて繊維に酵素およびタンパク質との結合活性を付与することができる。
実施例29および30に記述してあるように、チオール基(またはスルフヒドリル基)を付加することによって、特異的かつ最重要である、ジスルフィド結合を介した他のチオール基との可逆的な結合をすることができる。膨大な数の化学基はこの手順によって導入され、次いで不要になったら除去することができる。最終的に全ての上記の実施例は、広範囲のアミン反応性化学基に、塩化スルホニルやイソチオシアナート、無水酸、活性化カルボキシル化合物(in situで合成されたもの)、チオエステルを含むがこれらに限定されない他の機能性を付与することができる。これらの化学反応の多くは繊維間の結合を促進し、あるいはセルロースと他の材料の反応性を上げるために使用されうる。
CLMは、有機もしくは化学合成および/または酵素の触媒活性を用いて分離される。酵素およびCPFを用いるCLMの製造の具体例を図2に示す。SCP(8)は、酵素(7)および化学基(5)を含むCPF(4)と接している。この具体例において、酵素(7)はSCPを開裂させ、そのかわりCPFに化学基を導入し、生成物CLMを生じさせる。CLMは1つまたはそれ以上の化学基を含んでいてもよい。
本発明の具体例において、天然もしくは化学的に修飾された単糖もしくはオリゴ糖を、オリゴ糖もしくは多糖に転移するように、酵素を用いてCLMを調製してもよい。このような酵素は、糖転移活性は高いが加水分解活性が低い酵素、固有の糖転移活性が高いグルコシル加水分解酵素、生物工学的に操作されて糖転移活性を上昇させた酵素、ならびにヌクレオチド糖を基質とするグリコシル基転移酵素を包含するがこれらに限定されない。
本発明の具体例において、酵素は、適当なグリコシル基供与基質(例えばキシログルカン)を用い、単糖またはオリゴ糖、多糖受容基質(例えばXGO)の存在下および非存在下で、酵素活性を保持する適当な状態で検定されるとき、受容基質の供与基質中への結合速度が、加水分解速度の少なくとも10%、例えば少なくとも15%、20%、25%、30%、40%、50%、75%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%を示すあらゆる酵素として定義されうる。受容基質の供与基質中への結合速度を測定する際に用いた試験は、ここに記述されている、酵素活性測定用放射分析および/もしくは比色分析でもよい。
本質的に高い糖転移活性を持つ酵素の典型例は、アミノスクラーゼ[Skovら、J Biol Chem. 276:25273-8(2001)]、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ[Ven der Veenら、Biochem Biophys Acta. 1543:336-360(2000)]を包含するがこれらに限定されない。保持機構により機能する多くの糖質加水分解酵素は、有機溶媒の使用で増大しうるグリコシル基転移活性を持つ。このような糖質加水分解酵素は、いくつかのセルラーゼおよびマンナーゼ [Kwonら、Biosci Biotechnol Biochem. 66: 110-6(2002); Harjunpaaら、FEBS LETT. 443: 149-53(1999)]、キシラナーゼ[CHRISTAKOPOULOSら、CARBOHYDR RES. 289: 91-104(1996)]およびいくつかのキチナーゼ[Sasakiら、 J BIOCHEM (Tokyo). 131: 557-64(2002)]を包含する。糖転移活性を増大させるための遺伝的操作をされた酵素の例は、保持性の糖質加水分解酵素をもとにしたいわゆる糖質合成酵素である[MEYERら、CHEM BIOL. 8: 437-43(2001);Fairweatherら、CHEMBIOCHEM. 3: 866-73(2002)]。このような種類の酵素は例えば、学問、産業、有効な治療を目的としたデザイナー(designer)オリゴ糖の合成に用いられる。
高い糖転移活性を持つ酵素を選択することが好ましく、全ての実用化を目的とした場合に加水分解活性もしくは他の分解活性が低いかまたは検出限界以下である酵素を選択することが最も好ましい。糖ヌクレオチドや有機溶媒が糖転移反応の促進に必要でないものが好ましい。このような糖転移酵素の一つの例として、植物で知られている酵素であるキシログルカンエンドトランスフェラーゼが挙げられる。
例えば、Stephen C. Fryらは、Biochem. J 15, 282 p.821-828(1992)において、XETはミクロフィブリル間のキシログルカン鎖を切断し、再結合させるのに重要であり、よってXETは植物の細胞膨張に不可欠な細胞壁の緩みを引き起こすことを示唆している。XETは全ての植物、とくに全ての地上植物に存在するとされている。XETは、双子葉植物、単子葉植物の中でも特にイネ科単子葉植物、ユリ科単子葉植物、蘚類、ゼニゴケから抽出されている。XETは実施例1(カリフラワー)および実施例5(ハイブリッドアスペン細胞懸濁培養)に記述されているように植物から得てもよく、あるいは前述のFriらの文献に記述されている方法で得てもよい。
あるいは、糖転移酵素は、糖転移酵素をコードする遺伝情報を形質転換されたホスト生物の好気培養によって生産される。ホスト生物は、植物では特にタバコ、トウモロコシ、ハイブリッドアスペン、菌類では特にピキア・パストリス(Pichia pastoris)またはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のような酵母、トリコデルマ リーセイ(Trichoderma reesei)またはアスペルギルス属(Aspergilli)のような糸状菌であって、当該のホストにおける異種タンパク質発現に必要とされる、適当な遺伝情報を含むものが望ましい。このような形質転換体は、当該分野で既知の方法で調製、培養することができる。
遺伝子:糖転移酵素をコードする遺伝子は、自然界、適切な糖転移酵素を発現している生物、例えば植物または微生物から得ることができる。遺伝子はまた、天然に存在する酵素に関する利用可能な知識に基づいて、遺伝子操作により構築することができ、コード領域やプロモーター領域のような配列情報の欠失または置換、付加による修飾をすることができる。XETは例えばカリフラワー(実施例3)、ハイブリッドアスペン(実施例4)から、もしくは参照によりその開示を本明細書に記載されているものとされるEP 562 836に開示された方法で得てもよい。
ホスト細胞:結果として生じたDNA構築物を含むホスト細胞は、当業者に知られている方法を用いて得てもよい。
ホスト細胞は真核細胞で、特にポプラまたはタバコの懸濁細胞もしくは組織培養のような植物細胞、前述の植物もしくは類似の植物の葉もしくは種子が好ましい。植物細胞はアグロバクテリウム(Agrobacterium)を介した遺伝子の転移、もしくは自体公知の手順でパーティクルガンを用いることにより形質転換できる。ホスト細胞は、酵母や糸状菌もしくは細菌細胞でも可能である。特に、細胞はトリコデルマ(Trichoderma)属の種で、好ましくはトリコゼルマ・ハルジナム(Trichoderma harzianum)もしくはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、またはアスペルギルス(Aspergillus)属で、最も好ましくはアスペルギルス・オリザ(Aspergillus oryzae)もしくはアスペルギルス・ニゲ(Aspergillus niger)であればよい。真菌細胞はプロトプラスト化とプロトプラストの形質転換、続いて自体公知の方法による細胞壁の再生を伴う過程により、形質転換してもよい。
アスペルギリ属のホスト微生物としての使用は、とりわけEP 238 023 (Novo Nordisk A/S)に記載されており、トリコデルマ属の使用は、とりわけEP0244234 A2 04-11-1987 [1987/45], EP0244234 A3 12-10-1988 [1988/41], EP0244234 B1 21-07-1993 [1993/29], EP0244234 B2 07-11-2001 [2001/45]に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に記載されているものとする。ホスト細胞は、サッカロマイセス(Saccharomyces)属のような酵母では特にサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のようなピキア(Pichia)属の菌株、クリュイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)のようなクリュイベロマイセス(Kluyveromyces)属の菌株でもよい。ホストは、グラム陽性菌ではバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、イー・コリ(E. coli)のようなグラム陰性菌でもよい。細菌の形質転換は、例えばプロトプラストを用いるまたはコンピテントセルを用いた自体公知の手順で行ってもよい。
本発明によると、糖転移酵素は双子葉または単子葉植物から得てもよい。特に双子葉植物は以下の植物群:カリフラワー、ダイズ、トマト、ジャガイモ、ナタネ、ヒマワリ、綿花、タバコ、ポプラからなる群から選択されるか、単子葉植物は、コムギ、イネ、トウモロコシ、サトウキビからなる群から選択されてもよい。このような酵素の例はすべて、SEQ. ID. NO. 1、2、3の配列のうちの1つの配列にコードされる酵素、もしくはこれらと機能的なホモログである。機能的ホモログとは、SEQ. ID. NO. 1、2、3の配列のうちの1つの配列にコードされる酵素と相同性を示す配列でここに示されており、前述の相同性とは、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%もしくは100%である。
あるいは機能的ホモログとは、核酸にコードされた酵素であってもよく、前述の核酸配列がSEQ. ID. NO. 1、2、3の配列の少なくとも1つの配列と、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%もしくは100%の相同性を有していてもよい。
本文中の「相同性」という言葉は、2つの同じ長さのアミノ酸配列もしくは2つの同じ長さの核酸配列間の相同性の程度の量的測定値を表す。2つの異なる長さの配列が比較された場合、それらは最も一致するように整列させなければならない。配列の同一性は (Nref-Ndif)100/Nref の式で計算できる。Ndifは、整列させたときの2つの配列間で一致しない残基数の合計であり、Nrefは配列のうち1つに存在する残基数を示す。よって、AGTCAGTCというDNA配列は、AATCAATCという配列と75%の同一性を持つ(Ndif=2、Nref=8)。ギャップは対応する残基に対して一致しないとして数える。例えば、AGTGTCというDNA配列は、AGTCAGTCというDNA配列に対して75%の同一性を持つ(Ndif=2、Nref=8)。あるいは、配列の同一性は、BLASTPプログラム(Pearson & Lipman (1988) (www.ncbi.nim.nih.gov/cgi-bin/BLAST)のようなBLASTプログラムによって計算できる。この発明の1つの態様において、アライメントは世界的な整列アルゴリズムで、Huang & Miller (1991)に記述された初期値で行われた。これはhttp://www.ch.embnet.org/software/lalign_form.html.で入手できる。
あるいは、その酵素は、前述の配列に対して低い相同性を示すが、糖転移活性を持つように加工された酵素でもよい。
本発明者らは、植物繊維の1次細胞壁中に天然に存在するキシログルカンが、セルロースと強力な水素結合を形成し、植物内在性のXET活性によって放射性や傾向性を持ったXGOを、植物懸濁培養細胞中のキシログルカンの構成要素に組み込むという事実に基づいている(Biochem J. 279 (1991) p.529-535、Plant Cell Physiol 40(1999), p 1172- 1176参照)。
本発明者らは、分離したキシログルカン重合体が、化学的におよび/または酵素学的に広範囲の異なる化学基を含むように修飾されうることや、このような化学的に修飾されたキシログルカン重合体が、新たな化学基をセルロース繊維表面に導入するための界面として使用されうることを見出した。この方法の明確な長所は、このような表層の重合体の使用により、セルロースの直接的な化学的修飾に共通して起こっていた、後の繊維構造や性能の劣化を防止できることである。本発明者らは、XETのような糖転移酵素が異なる化学基を含む糖やオリゴ糖を受容体として使用できることを見出した。
水は、このような酵素の糖転移反応の受容体として競合しないので、酵素を水性溶媒中で用いて、容易に前述の化学基を、溶液中もしくは他のセルロースのような重合体材料に結合したキシログルカンのような界面の重合体に組み込むことができる。さらに、本発明者らは、キシログルカンが化学的に修飾されても、セルロース表面に強固に結合することや、導入された化学基がキシログルカンを介してセルロース材料の多孔質の面に結合していても、更なる化学反応を行うことができることを見出した。
本発明者らは、糖転移酵素と化学的に修飾されたCPFをSCPに添加すると、驚くべきことに、期待された機能性を持つ多くの化学的に異なる新たな化学基を、PCMの表面に高収率で結合させることができることを見出した。
修飾されるPCMは、イネ科植物のような単子葉植物、ならびに被子植物(硬木)およびワタ類に属する植物のような双子葉植物、裸子植物(軟木)からなる群から選択される植物由来のものでもよい。
PCMは植物繊維の形態、もしくはセルロース系植物繊維または細菌由来のセルロースミクロフィブリルの形態で存在してもよい。
SCPは修飾されるPCMの一部を形成してもよく、よってSCP内に所望の機能性を有する化学基を含むCPFを取り込む工程、例えば酵素を用いる工程は、直接PCM−SCP複合体上で行われてもよい。この原理を図3に示す。図3上部において、PCM−SCP複合体(9)は、PCM(1)およびSCP(2)前述の酵素(7)および所望の機能性を有する化学基を含むCPF(4)を含んでいることがわかる。図3中央部において、前述の酵素(7)はPCM−SCP複合体(9)のSCP(2)と結合し、中間複合体(10)を形成するとことができる。図3の下部に至る過程において、前述の酵素(7)はSCP(2)を開裂し、所望の機能性を有する化学基を含むCPF(4)を取り込む(12)。(12)はSCPから開裂されたSCP断片である。
あるいは、SCPの修飾にはPCMとの結合が必要ではない。後者の場合、SCPは化学基およびSCPの修飾産物を含むように修飾されてもよく、このときCLMはPCMと接触する。あるいは、SCPはまずSCPのないPCMと接触する。SCP−PCM複合体が形成されると、所望の機能性を有する化学基を含むCPFの取り込みの工程は、例えば酵素を用いて、PCM−SCP複合体上で直接行われてもよい。
例えばここに記載された方法を順番に実行することおよび/または異なる化学基を含むCLMの混合物を用いて1つの工程で異なる化学基を含むCLMの混合物をPCMに結合させることにより、化学基の混合物でPCMを修飾することが可能である。
SCPおよび/またはSCPは化学基を含んでいてもよい。
CPFはキシログルカン由来でもよく、4から10個のポリマー骨格単糖ユニットを含む3から約100個のキシログルカンを含んでいてもよい。
1の具体例において、化学基を含むCPFは、化学基を含む前述のCPFおよび少なくともSCPの一部からなる複合体の形成を促進することができる酵素の存在下で、可溶性高分子ポリマーと接触させられる。この酵素は、天然もしくは化学的に修飾された単糖もしくはオリゴ糖をオリゴ糖および/もしくは多糖に転移することができるものであってもよい。具体例において前述の酵素は糖転移活性を有する酵素であってもよい。
別の具体例において、酵素は、適当なグリコシル基供与基質を用いて、単糖またはオリゴ糖もしくは多糖受容基質の存在下および非存在下で酵素活性を保持する適当な条件下で検定されるとき、受容基質の供与基質への結合速度が加水分解速度の少なくとも10%、例えば少なくとも15%、20%、25%、30%、40%、50%もしくは75%、例えば100%を示す。グリコシル基供与基質はキシログルカンであってもよく、受容基質はキシログルカン-オリゴ糖であってもよい。
受容基質の供与基質への取り込み速度を評価するための検定は、以下の工程からなる検定である。
(i) 0.1mgのキシログルカン、0.1mgのキシログルカンオリゴ糖(XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLGの重量比が15:7:32:46である混合物)を200μlの40mM クエン酸バッファー(pH5.5)中で30℃、30分間インキュベートする工程
(ii) 100μlの1M HClで反応を停止させる工程
(iii) 800μの20%NaSOおよび200μlのI(0.5%I、1%KI、w/w)溶液を加え、イオン強度を調整する工程
(iv) 620nmの吸光度を測定する工程
(v) i)の工程でキシログルカンオリゴ糖(XGO)を添加せずにi)〜v)の工程を行う工程
(vi) XGOを添加したインキュベートからXGOを無添加のインキュベートまでの吸光度の上昇をパーセントで計算する工程
酵素は、トランスグリコシラーゼ、糖質加水分解酵素、糖転移酵素からなる一群から選択されてもよい。酵素は野生型の酵素またはそのような野生型酵素由来の機能的におよび/もしくは構造的に修飾された酵素でもよい。具体例において、酵素はキシログルカンエンドトランスフェラーゼ(XET、EC2.4.1.207)である。
糖転移活性を有する酵素はアブラナ科に属する植物およびハコヤナギ属の植物種を含む植物由来のものでもよく、または組み替え的に生産されたものでもよい。
1の具体例において、所望の機能性を有する化学基は、イオン性基、疎水性基、非荷電親水性基、反応性基、求核試薬、重合可能な単量体、発色団、蛍光性基、ビオチン、放射性同位体、フリーラジカル前駆体、安定フリーラジカル部分、タンパク質およびタンパク質結合物質からなる一群から選択されてもよい。
本発明の1の具体例は、修飾されたPCMが、非修飾PCMと比較して、表面の強度、張力、防水性、反応性、光学的性質もしくはこれらの組み合わせのような表面の性質を変化させる方法に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載されたいずれかの方法によって得られる修飾された高分子炭水化物材料(mPCM)で、その材料は所望の機能性を有する化学基をそこに結合したものであり、前述の結合はPCMと結合することのできる炭水化物リンカー分子を介したものである。このmPCMは、セルロース系植物繊維、またはセルロース系植物繊維もしくは細菌由来のセルロース系ミクロフィブリルでもあってもよい。
mPCMの化学基は、他の機能性を持つ基と結合できる反応性をもった基でもよく、mPCMがそこに2つもしくはそれ以上の異なる化学基を結合していてもよい。
本発明の別の態様はここに記載された材料を含む複合材料である。
mPCMもしくはその複合材料は、紙、ダンボール、織物、診断もしくは化学検査もしくは加工における補助剤、液体や食料品の包装材、水性溶液の浸透を防ぐようにするためのポリエチレンのような熱可塑性プラスティックで積層された紙やボール紙、繊維製品およびセキュリティー紙、紙幣、トレース可能な書類、積層材およびパネル製品、放射線強化木材、プラスティック複合材、アロイポリマー、ブレンドポリマー、セルロース誘導体(セルロース系材料)の製造に使用してもよい。
本発明によると、糖転移酵素を用いて、化学的に修飾されたCPFとセルロース材料に含まれるSCPを結合させることによって、新たな化学基を固有の適切なSCPを含むPCMに加えることができる。本文において「固有の」という語は、PCMが修飾前にSCPを含むことである。本発明によると、まず溶液中で糖転移酵素を用いて化学的に修飾されたCPFをSCPに結合させ、次いで修飾されたSCPをPCM上に吸収させることにより、新たな化学基を固有のSCPを含まないPCMに加えることもできる。
本発明の特別な具体例によると、まず溶液中でXET酵素を用いて化学的に修飾されたXGOをキシログルカン(XG)と結合させ、次いで修飾されたXGをセルロース材料上に吸収させることによって、新たな化学基を、固有のキシログルカンを含まないセルロース材料に付加することができる。
本発明によると、PCMは、糖転移酵素を用いてSCPに結合された化学的に修飾されたCPFでの処理の後に、変化した表面の化学的性質、および/または向上した化学的反応性を与えられる。化学的に反応性のある基をもつSCPは、PCMの表面に強固に結合して、この表面の反応性を維持する。化学的反応性自体またはさらなる化学および/もしくは重合反応によって修飾されたときの化学的反応性は、PCM表面の性質に影響を及ぼす。さらに、実施例14aと14bに示すように、化学的に反応性をもつ基の密度は、糖転移酵素の濃度および/またはCPFおよび/または反応時間を変化させることにより調節される。表面の性質は、例えば実施例16bのような添付した実施例に示したような当該分野で知られたどんな方法で測定してもよい。
自然状態で、XET酵素のような糖転移酵素は、in vivo、つまり植物体内で機能することから、この酵素は明らかに水性の環境で機能することができる。本発明に基づく方法は、水性溶液中で行ってもよく、あるいはバッファーおよび/もしくは湿潤剤および/もしくは安定剤および/もしくは重合体および/もしくはDMSOのような水分活性を減少させる有機成分のような成分の存在下において、水中で行ってもよい。
バッファーは、適切には、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、アジピン酸塩、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、炭酸塩(特にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、特に炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、もしくはアンモニウムおよび塩酸塩)、ジアミン、特にジアミノメタン、イミダゾール、トリス、またはアミノ酸バッファーでもよい。
湿潤剤はPCMの湿潤性を上げるために使用される。湿潤剤は、非イオン性界面活性剤タイプが好ましい。安定剤は酵素を安定させる物質であってもよい。
通常は、例えばPCM、CLMおよび必要に応じて化学基を含んでいてもいなくてもよいSPC、化学基を含むCPFおよび酵素からなる群から選択される1つもしくはそれ以上の成分を含むような反応媒体を、反応状態によるが最低でも数分間インキュベートすることが適切である。約1分間から20時間までのインキュベート時間、例えば2−5分間、5−7分間、7−10分間、10−15分間、15−20分間、20−30分間、30−40分間、40−60分間、1−2時間、2−4時間、4−6時間、6−8時間、8−10時間、10−12時間、12−14時間、14−16時間、16-18時間もしくは18-20時間が通常適切であろう。特にインキュベート時間が30分間から10時間であることがしばしば好ましいであろう。インキュベート時間は好ましくは+/−5時間より短い間隔、例えば+/−2時間、+/−1時間、+/−45分間、+/−30分間、+/−15分間、+/−10分間、+/−5分間、+/−2分間、+/−1分間、+/−30秒間、+/−10秒間、+/−1秒間、+/−0.1秒間または+/−0.01秒間より短い間隔で調製を行う。
本発明の方法における反応媒体の温度は、−5℃から100℃の範囲、例えば0−5、5−10、10−15、15−20、20−25、25−30、30−33、33−36、36−38、38−40、40−50、50−60、60−70、70−80、80−90もしくは90−100℃のような範囲の適当なものでよい。反応混合物が酵素を含む具体例において、インキュベート中の反応混合物の温度は、インキュベート中の至適代謝回転となるような温度に近いものが好ましい。好ましくは、温度はインキュベート中の至適ターンオーバーとなるような温度より10℃未満、例えば10℃、8℃、6℃、4℃、2℃、1℃、0.5℃もしくは0.1℃未満とすべきである。
修飾後または未修飾のSCPをPCMと結合させる際、反応条件によるが、通常、混合物を少なくとも数分間インキュベートすることが適切である。約1分間から48時間までのインキュベート時間が通常適切であり、特に30分間から10時間までのインキュベート時間がしばしば好ましい。インキュベート溶液は、濃度が0から5Mの間の、好ましくは0.0から0.1Mの間のバッファーで、適当にはpH2から11の範囲に、好ましくはpH5から8の範囲に、緩衝されたものがよい。この過程における反応媒体の温度は、混合物内の個々の成分の安定性にもよるが、適切には10から100℃の範囲内であってもよい。
本発明は、添付図面を参照にして、より詳しく説明されている。
材料と方法
酵素活性および特にXET活性の測定
a.放射分析
本発明者らは、Steele, N. et al. (Phytochemistry, 2000,54, 667-680)と類似の、修正した分析方法を開発し、以下のようして用いた。[1−H]−XLLGol(300μl、H0中0.36μmol)を50mM クエン酸・リン酸バッファー、pH5.5中、非放射性xgo−9 アルジトール(700μl,8.6μmol)に溶解した。分析に用いるときは、濃度が2.24μmol/ml(3.1mg/ml)となるようにこのストックをバッファーで希釈した。放射性XLLGolのストック(10μl,2.24μmol/ml)をキシログルカンに加えた(10μL、バッファー中3.0mg/ml)。希釈した酵素溶液(10μl)を加え、反応混合物を25℃で30分間インキュベートした。その後、50%のギ酸水溶液(20μl)で反応を停止させた。反応液(40μl)を円形のWhatman 3MM ろ紙(直径20mm)で乾燥させた。円形ろ紙4時間流水で洗浄した後、65℃のオーブンで乾燥させ、Ready-safe scintillation cocktail(6ml, Beckman Coulter AB, Bromma,Sweden)を含むシンチレーション・バイアルに入れ、Packard Tricarb 1500 scintillation counterによって放射活性の取り込みを解析した。紙からシンチレーション溶液への放射活性の溶出はなかった。ブランクは酵素より先に反応液に酸を加えることにより測定し、添加した放射活性の合計量のコントロールは、コントロールの紙の周囲を洗浄しないことにより測定した。ろ紙がどの程度分析に影響するかの測定は、コントロールとろ紙のないコントロールの混合物のシンチレーションカウントを比較することにより得た。
b. 比色分析
酵素活性の測定は、Sulova et al. (1995) Anal. Biochem. 229,80-85の方法に修正を加えた方法を元に行った。XETを0.1mgのキシログルカン、0.1mgのキシログルカンオリゴ糖(XXXG,XLXG,XXLGおよびXLLGが15:7:32:46の比で含まれる混合物)を200μlの40mMクエン酸バッファー、pH5.5中で30℃、30分間インキュベートした。反応を100μlの1M HClで停止させ、800μlの20%NaSO、および200μlのI(0.5%I、1%KI、w/w)を加えてイオン強度を調製した。620nmの吸光度を測定した。本明細書に関しては、1ユニットの酵素活性は、30分で0.1ユニットの吸光度の変化(バックグラウンドの加水分解を集計後)と定義される。
実施例1
カリフラワーからのXETの抽出
カリフラワーの抽出液は、カリフラワーの房を氷冷したクエン酸バッファー(0.35M,pH5.5、10mM CaClを含む)中でホモジナイズした後、ミラクロスでろ過して調製した。ろ液を、0.1M 酢酸アンモニウムバッファー、pH5.5と等しい伝導度になるまで超純水(18MΩ.cm)で希釈した。その後、溶液をSP-Fast Flow cation exchanger (Amersham Biosciences, Sweden)と4℃で1時間、穏やかに攪拌した。SP-FFゲルをガラスフリットフィルターで回収後、0.1M 酢酸アンモニウム,pH5.5でろ液が透明になるまで洗浄した。ゲルをカラムに入れ、結合したタンパク質を、カラムの体積の10倍以上の0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0~1.0Mの直線グラディエントのNaClによって溶出した。XET活性をもった画分を回収し、硫化アンモニウム(1M)と混合した。サンプルをResource-ISO column (1ml, Amersham Biosciences, Sweden)にアプライ後、カラムの体積の20倍以上の0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0〜1.0Mの直線グラディエントの硫化アンモニウムによって溶出した。XET活性をもった画分を回収し、SDS−PAGEと銀染色によって解析した。ゲルはイムノブロッティングによりXETと確認された1つのバンドのみを示した。
実施例2
ヨーロッパヤマナラシ(Populus tremula)xクエーキングアスペン(tremuloides Mich.)のハイブリッド・アスペン懸濁培養細胞からのXETの抽出
ポプラのXETを、顆粒状培養細胞から得た材料を氷冷したクエン酸バッファー(0.35M,pH5.5、10mM CaClを含む)中で均質化し、混合物を4℃で2時間攪拌した後、ミラクロスでろ過することにより調製した。ろ液を、0.1M酢酸アンモニウムバッファー,pH5.5と等しい伝導度になるまで超純水(18MΩ.cm)で希釈した。その後、溶液をSP-Fast Flow cation exchanger (Amersham Biosciences, Sweden)と4℃、1時間、穏やかに攪拌した。SP-Triacrylゲルを回収し、0.1M酢酸アンモニウム,pH5.5とガラスフリットフィルターを用いて、ろ液が透明になるまで洗浄した。ゲルをカラムに入れ、結合したタンパク質を、カラムの体積の10倍以上の0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0〜1.0Mの直線グラディエントのNaClによって溶出した。XET活性をもった画分を回収し、Sephadex G-25カラム上で0.1M酢酸アンモニウムバッファー,pH5.5にバッファーを交換後、Resource S cation exchange column (1 ml、Pharmacia) にロードした。結合したタンパク質をカラムの体積の10倍以上の0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0〜1.0Mの直線グラディエントのNaClによって溶出した。XET活性をもった画分を回収し、Sephacryl S200 column (120ml, Amersham Biosciences, Sweden)にアプライした後、カラム体積の2倍の0.1M酢酸アンモニウム,pH5.5で溶出した。XET活性が最も多く含まれるピークに対応する画分を回収し、Resource S column (1ml, Amersham Biosciences, Sweden)にアプライした。この画分をカラムの体積の10倍以上の0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0.0〜0.5Mの直線グラディエントのNaClによって溶出した。XET活性をもった画分を回収し、SDS−PAGEによって均質のものであることを確認した。
実施例3
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)からの組み換えXETの精製
XETをコードする遺伝的材料(実施例4および5を参照)を形質転換されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)の培養によって得られた細胞は、一般的にメタノールによる誘導から3日後に培地中で最も高いXET活性を示す。これらの酵母細胞を遠心分離によって回収し、培地を
0.45μmのろ紙でろ過後、限外ろ過によって濃縮および脱塩した。その後XETを2ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。濃縮された培地ろ液(0.1M酢酸アンモニウム,pH5.5バッファー中)をまずSP-Triacylカラムにアプライし、次いで0.1M酢酸アンモニウム、pH5.5中、0.0〜0.5Mの直線グラディエントのNaClによって溶出した。XET活性をもつ画分を回収、脱塩後、Resource S columnにアプライした後、陽イオン交換クロマトグラフィーの1つめのステップで用いたものと同じ塩の直線グラディエントにより溶出した。タンパク質の均質性はSDS−PAGEおよび銀染色によって解析した。分子量約32kDaの単一バンドのみが現れ、このバンドはイムノブロッティングによりXETであると確認された。本プロトコルにより、XETの異なるアイソザイムをコードする配列番号1、2、3の全ての配列の発現が成功することが示された。
実施例4
カリフラワーからのXETをコードする遺伝子の単離
XET遺伝子に該当するcDNAは、液体窒素中で新鮮なカリフラワー組織を粉砕後、変性条件下で細胞を溶解させることにより得られたRNAの抽出物から単離された。次に、溶解させた細胞のサンプルをQIA Shredderカラムを通して遠心することにより、不溶物を除去した。次いで、RNAを選択的にRNAeasyメンブレンに吸着させ、バッファーで洗浄後、水で溶出した。XETcDNAは、当技術分野で周知のプロトコルに従って2ステップのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて調製した。1μgのRNAと、オリゴdT(18)プライマーを用いて、55℃で1時間逆転写酵素と反応させることにより、cDNAのファースト・ストランドを合成した。特異的PCR反応のためのディジェネレート・プライマーの鋳型は、IPPRKAIDVPFGRNYで示される、カリフラワーXETタンパク質のN末端の配列から得た。
用いた全てのプライマーの配列を表1に示す。リバース・プライマーであるCFXETR1と、ネステッド・プライマーであるCFXET F1は2ステップ・ネステッドPCRの際に使用され、正しい分子量と、糖質加水分解酵素/糖転移酵素ファミリー16に属するXETに対応する配列をもつものがPCR産物中に生じた。全長cDNAは一連のディジェネレート・ネステッド・プライマー(表1)を用いて増幅後、全長cDNA(配列番号1)の配列決定を行った。
表1.本実施例に用いたプライマー
Figure 0004058412
混合塩基のIUBコード:M=A+C、R=A+G、W=A+T、S=G+C、Y=C+T、V=A+G+C、H=A+C+T、B=G+T+C、N=A+G+C+T、K=G+T
プライマーCFXETFI、CFXETF2およびCFXETRIは、RT−PCRのための遺伝子特異的ディジェネレート・プライマーである。CFXET-5r-I、CFXET-5r-2、CFXET-3r-1およびCFXET-3r-2は、遺伝子特異的インターナル・プライマーであり、5'RACE OUTER、5'RACE INNER、3'RACE OUTERおよび3'RACE INNERはRLM-RACEのアダプターに相補的なプライマーである。CF-FL-FI、CF-FL-F2、CF-FL-RIおよびCF-FL-R2は全長cDNAを増幅させるための遺伝子特異的プライマーである。
実施例5
ハイブリッド・アスペンからのXETをコードする遺伝子の単離
ポプラXETをコードするcDNAを、例えばハイブリッド・アスペンの形成層ESTライブラリーから単離し、Hertzberget al, 1998.に記載されているように構築した。ライブラリーを詳細に解析することにより、XET様酵素に対応する3つの配列が明らかとなった。このクローンの1つの全長配列を解読したところ、XTE16Aと命名された全長XET酵素のcDNAコピー(配列番号3)が含まれていることが明らかとなり、他のクローンは、XET16Cと命名された2つ目の全長cDNA(配列番号2)であった。
実施例6
タマリンド種子粉末からのキシログルカンの調製
Edwards etal. (Planta 1985,163, 133-140)の方法を次のように修正した。NaBH(0.75g)を2.0M NaOH(1.5L)に溶解した。この溶液に、脱脂タマリンド種子粉末(30g)をゆっくり加え、凝集しないように激しく(パドルスターラーで)撹拌した。この混合物を90℃に加熱し、1時間撹拌し続けながら温度を保持した。部分的に冷めた後、固体をグラスファイバーでろ別し、廃棄した。さらに冷ました後、ろ液に氷酢酸(300ml)をゆっくり加えて酸性化し、次にエタノール(3.0l)をゆっくり加え、キシログルカンを無色のゼラチン状の塊として沈殿させた。この固体を、綿タオルでろ過して回収した後、ろ液を廃棄した。キシログルカンを純水(1.5l,18MΩ.cm)に穏やかに加熱しながら溶解し、ゆっくりエタノール(3.0l)を加えて再沈殿させた。固体の塊を綿タオルでろ過して回収し、手で絞って余分なろ液を除去した。この固体を減圧下(オイルポンプ)で乾燥した後、家庭用コーヒーグラインダー(Braun社)で粉砕し、純度の高い粉末(17g)を得た。
実施例7
エンドグルカナーゼを用いたキシログルカンオリゴ糖の生成
キシログルカン(3g)を、50℃の200gの純水(18MΩ.cm)で激しく撹拌して溶解した。30℃に冷却し、セルラーゼ(30mg,4U/mg,T.reesei, Fluka由来)を加えて、溶液の温度を一晩保持した。その後、活性炭(3g)を加え、混合物を15分間撹拌した。アセトニトリル(200ml)を加えた後、混合物をglass fibre filter paper(Whatman GF/A)でろ過した。その後、ろ液を減圧して(水流ポンプで)濃縮し、残留溶媒を高真空(オイル)ポンプで除去した。必要ならば、キシログルコ−オリゴ糖混合物(XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLGが、陰イオンクロマトグラフィ:HPAEC−PADで測定したところ15:7:32:46のモル比で含まれる)をAmide-80 column(TosoHaas、21.5mmx300mm、溶離剤はアセトニトリル−水が55:45)を装着したsemi-preparative HPLCで分画した。XLXGおよびXXLGはこれらの条件下で分離しなかった。エレクトロスプレーイオン化質量分析(Micromass Q-TOF2)を用いてオリゴ糖の組成を確認した。
キシログルカン(3g)を50℃の純水200ml(18MΩ.cm)中で激しく撹拌して溶解した。30℃に冷却し、セルラーゼ(30mg,4U/mg,Trichoderma reesei, Fluka由来)を加えて、溶液の温度を一晩保持した。β−ガラクトシダーゼ(150mg、ラクトースに対して9U/mg、Apergillus oryzae由来、Sigma G-5160)を加え、溶液を室温で1時間撹拌した。溶液を3分間沸騰させた後、急冷して活性炭(3g)を加えた。その後、混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、アセトニトリル(200ml)を加え、混合物をglass fibre filter paper(Whatman GF/A)でろ過した。その後、ろ液を減圧して(水流ポンプで)濃縮し、残留溶媒を高真空(オイル)ポンプで除去した。その後、キシログルコ−オリゴ糖混合物を、Amide-80 column(TosoHaas、21.5mmx300mm、溶離剤はアセトニトリル−水が55:45)を装着したsemi-preparative HPLCで分画した。エレクトロスプレーイオン化質量分析(Micromass Q-TOF2)を用いてオリゴ糖の組成を確認した。
実施例8
キシログルコ−オリゴ糖のアミノアルジトール誘導体(XGO−NH)の調製
キシログルコ−オリゴ糖(2.4g、1.9mmol、XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLGの混合物)を、飽和炭酸水素アンモニウム溶液(50ml)に溶解した。その後、シアノボロ水素化ナトリウム(2.4g、38mmol)を加え、反応物を暗所において室温で撹拌した。7日後、反応物をろ過し、pH2になるまで酢酸を加えた。減圧して濃縮後、粗生成物を75mlの水に再溶解し、10回に分けてP2カラム(Bio-rad、Bio-Gel P2、5cm x 22cm)にアプライした。それぞれのカラム操作から得られた、XGO−NHを含み、低い伝導性を示す画分を回収し、濃縮し、乾燥した(収量:1.31g、51%)。エレクトロスプレーイオン化質量分析(Micromass Q-TOF2)を用いて修飾オリゴ糖の組成を確認した。
実施例9
キシログルコ−オリゴ糖のスルホローダミン誘導体(XGO−SR)の調製
XGOアミノアルジトール(XGO−NH、0.5g、0.4mM、XXXG−NH、XLXG−NH、XXLG−NHおよびXLLG−NHの混合物)を3%テトラホウ酸水溶液(30ml)に溶解した。スルホローダミンB酸クロリド(192mg、0.3mM、Fluka 86186)をジメチルホルムアミド(DMF、1ml)に溶解し、これを撹拌した溶液中に滴下して加えた。反応をTLC(クロロホルム:メタノール:水=5:4:1)によりモニターし、7日後濃縮し、乾燥した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュ・クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール:水=55:45:5および5:4:1の段階的溶出)により精製した。生成物から微量のシリカの除去するため、前述の物質を逆相クロマトグラフィー・カラム(Supelclean ENVI-18 SPE tube、6 ml、Supelco、 Bellefonte、PA、U. S. A.)にロードし、脱イオン水、10%アセトニトリル水溶液、20%アセトニトリル水溶液の段階的なグラディエントにより溶出した(収量:20mg、2.7%)。
実施例10
キシログルコ−オリゴ糖のフルオレセイン誘導体(XGO−FITC)の調製
フルオレセイン・イソチオシアネート・異性体I(FITC、12mg、0.03mmol、Fluka 46952)を、XGOアミノアルジトール(XGO−NH、45mg、0.036mmol、XXXG−NH、XLXG−NH、XXLG−NHおよびXLLG−NHの混合物)の炭酸水素ナトリウムバッファー(100mM、pH9.0、20ml)溶液に加えた。室温で24時間撹拌した後、反応物をTLC(アセトニトリル:水:酢酸=70:30:1)で展開し、減圧して濃縮、乾燥した。粗生成物を1.5mlの超純水に再溶解し、P2カラム(Bio-rad、Bio-Gel P2,1、6 cm x 50cm)にアプライし、流速0.2ml/分の10mM炭酸水素アンモニウム水溶液で溶出した。全ての画分をTLCアセトニトリル:水:酢酸=70:30:1)で解析し、未反応のFITCとXGO−NHを所望の生成物から分離することに成功したことを示した。XGO−FITC画分(オンラインUV検出器とTLCで検出した)と、低い伝導性を含む画分を回収し、橙色の固体が得られるまで減圧濃縮を行った(収量:34mg、60%)。エレクトロスプレーイオン化質量分析(Micromass Q-TOF2)を用いて修飾オリゴ糖の組成を確認した。
実施例11
XLLG キシログルコ−オリゴ糖の放射性および非放射性誘導体([1−H]−XLLGolおよび[1−H]−XLLGoI)の合成
キシログルコ−オリゴ糖 XLLG(8.6μmol)を純水(250μl、18MΩ.cm)に溶解し、NaOHを用いてpHを11.5に合わせた。NaB(8.2μmol、3.76GBq)を加え、反応物を室温で一晩置いた。溶液のpHが約4になるまで氷酢酸を注意深く加え、反応を停止させた。その後、トリチウムガスを放出させるため、溶液を30分程ドラフトに置いた。Bio-Gel P-2 resin(Bio-Rad、bed volume 20 ml)を用いたゲルろ過クロマトグラフィーと、純水(18MΩ.cm)による溶出によって生成物から塩を除いた。約1mlずつ画分を回収した。この画分を、液体シンチレーションカウンターおよび薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、アセトニトリル:水=7:3で溶出、モリブデン酸アンモニウム/硫酸で染色)によって解析した。放射活性があり、かつXLLGに対応するRf値を有する生成物を含有する画分を回収した。還元糖の定量的Tollens試験をこの生成物に行ったところ、ネガティブであったことから、還元反応が完了していたことが示された。この生成物の放射活性は115270Bq/μlであった。
非放射性XLLGolの合成は、還元剤であるNaBをNaBHに置換して、上記の方法と同様に行われた。クロマトグラフィーの溶媒の蒸発により、白色粉末の生成物が得られ、このプロトンNMRスペクトルは以前に報告されていたもの(York, W. et al., Carbohydrate Research 1990,200, 9-31)と同一であった。3つの反応の平均収率(50(+/−)3%)を用いて、濃度1.21x10−9mol/l、比放射能95MBq/lを示す放射性物質合成の収率を概算した
実施例12
再生セルロースメンブレンの調製
a.Okajimaの方法(Okajima, K. (1995)Polymer Journal, 27 (11), 1113-1122)に従って、10gのセルロース(Whatman No. 1 filter paper, UK)を、65gのNHOH(20%)、調製したての12gのCu(OH)、8gの10%(w/v)NaOHおよび30gの水の混合物に溶解し、青色透明で粘性のある溶液を4℃で作製した。溶液をガラス皿に厚さ0.3mmとなるよう注入し、4℃に保持した10%NaOH水溶液の、次に4%HSO水溶液の凝固槽に、それぞれ5分間入れた。得られた再生セルロースフィルムを流水で洗浄し、室温でガラス板上に置いて乾燥させた。
b.NaOH/尿素水溶液からの再生セルロースメンブレンの調製
キュプラアンモニウム溶液(DP= 650、旭化成株式会社)中で綿リンターから作られるベンリーゼ(Bemliese)不織布を、セルロース源として用いた。10gのベンリーゼ(Bemliese)不織布を200mlの6重量%NaOH/4重量%尿素水溶液に4℃で溶解し、透明なセルロース溶液を得た。この溶液を0.5mmのガラス板上に厚さ0.5mmとなるように注ぎ、すぐに5重量%のHSO水溶液に沈め、4℃で5分間凝固させた。得られた透明のメンブレンを流水で洗浄し、室温でガラス板上に置いて乾燥させた。
実施例13
XETを介した、スルホローダミン修飾キシログルカンオリゴ糖(XGO−SR)の溶液中キシログルカンへの取り込み
実施例8に記載したように、蛍光スルホローダミンをキシログルカンの還元末端に化学的に取り込ませて、XGO−ローダミンを得た。酢酸アンモニウムバッファー(50mM、pH5.5)中、キシログルカン(XG、0.5mg/ml)、XGO−ローダミン(0.5mg/ml)およびXET(0.025mg/ml)の混合物(4ml)を、室温(22℃)で10分間インキュベートした。反応混合物をHiTrap SP FF column(Amersham Biosciences, Sweden)に通して、XET酵素を除去することにより反応を停止させた。Kooimanの比色分析(Kooiman, P. (1960) Recl. Trav. Chim. Pay-Bas, 79,675-678)により調べたところ、加えたXGの約25%がXGO−ローダミンにて修飾されていた。
実施例14
XETを介した、フルオレセイン修飾キシログルカンオリゴ糖(XGO−FITC)の溶液中キシログルカンへの取り込み
実施例10に記載したように、フルオレセイン・イソチオシアネート・異性体Iをキシログルカンの還元末端に化学的に取り込ませて、XGO−FITCを得た。XGO−FITCの溶液中キシログルカンへの取り込みに対して、XET酵素の濃度と反応時間が与える影響を次のように解析した。
a.時間依存性
クエン酸バッファー(20mM、pH5.5)中、キシログルカン(XG、1mg/ml)、XGO−FITC(0.5mg/ml)およびXET(8ユニット)を含むサンプルを、30℃で5、10、20、40、60、120、180、300および360分間インキュベートした。適当時間後、75℃で5分間加熱し、それぞれの反応を停止した。室温で冷却した後、400μlのエタノールを加え、混合物を4℃、12000gで5分間遠心分離し、XGO−FITCを溶液中に残し、修飾後および未修飾のXGを沈殿させた。沈殿と上清を減圧し乾燥させた後、それぞれを200μlの水に再溶解した。再溶解した沈殿の溶液の495nmにおけるUVの吸収を、XGO−FITCの標準線を用いて測定したところ、5、10、20、40、60、120、180、300および360分間で、それぞれ0.019、0.025、0.031、0.035、0.038、0.041、0.042、0.043、0.044mgのXGO−FITCがキシログルカンの還元末端に取り込まれた。この結果を図5にプロットする。
b.酵素依存性
クエン酸バッファー(20mM、pH5.5)中、キシログルカン(XG、1mg/ml)、XGO−FITC(0.5mg/ml)の混合物(全量200μl)を、XET(32.0、16.0、14.4、12.8、9.6、6.4、4.8、3.2、1.6および0.8ユニット)とともに30℃で40分間インキュベートした。このとき、反応混合物を実施例13と同様に処理した。この手順を用いたところ、0.042、0.038、0.038、0.037、0.034、0.031、0027、0022、0.015および0.009mgのXGO−FITCが、それぞれ32.0、16.0、14.4、12.8、9.6、6.4、4.8、3.2、1.6および0.8ユニットのXET酵素を含むサンプル中のキシログルカンの還元末端に取り込まれた。結果を図6にプロットする。
実施例15
スルホローダミン修飾のキシログルカンのセルロース材料上への吸着
セルロース系材料(0.1gのMunktellろ紙片)を、スルホローダミン修飾のキシログルカン(4ml、実施例10の方法で生成した)を含む溶液に浸し、一晩(約15時間)転倒ミキサーで撹拌した。セルロース系繊維上へのXGの結合(11.4mgXG/gセルロース)を、Kooimanの比色分析で溶液からのXGの減少量を測定することにより解析した。その後、セルロース系材料を元の溶液から除き、繰り返し超純水を入れ、転倒ミキサーで洗浄し、余分なXGO−ローダミンを除去した。何度も洗浄した後、セルロース上のローダミン−XGの吸着は、周囲光下では明るいピンク色に、紫外光下では強い蛍光として観察された。未修飾のキシログルカンおよびXGO−SRのみを含むコントロールのサンプルは、同様の条件下で処理したところ、洗浄後は無色であった。
実施例16
XETを介した、あらかじめセルロース繊維に吸着させたキシログルカンへの化学修飾されたキシログルカンオリゴ糖の取り込み
XG(0.5mg/ml)をセルロース繊維とともに一晩インキュベートし(15時間、穏やかに転倒混和)、まずXGをセルロース上に吸着させた。このXG−セルロースを50mM酢酸アンモニウムバッファー、pH5.5中、XGO−ローダミン(0.1mg/ml)およびXET(0.025mg/ml)で処理した。室温で4時間、転倒ミキサーで混合した後、サンプルを何度も超純水で洗浄した。蛍光オリゴ糖の共有結合はセルロース繊維上の強いピンク色により証明され、また紫外光下での強い蛍光も示す。
実施例17
セルロース紙上へのフルオレセイン修飾キシログルカン(XG−FITC)の吸着
a. 25mM酢酸アンモニウムバッファー、pH5.5中、キシログルカン(XG、0.5mg/ml)、XGO−FITC(0.5mg/ml)およびXET(0.025mg/ml)の混合物(全量4ml)を室温(22℃)で10分間インキュベートした。
反応混合物をHiTrap SP FF column(Amersham Biosciences, Sweden)に通して、XET酵素を除去することにより反応を停止させた。セルロース系材料(0.1g、Whatman No. 1 filter paper片)を溶液に浸し、15時間転倒ミキサーで撹拌した。セルロース系繊維上へのXGの結合(12.6mgXG/gセルロース)を、Kooimanの比色分析により溶液からのXGの減少量を測定することによって解析した。その後、セルロース系材料を元の溶液から除き、繰り返し超純水を入れ、転倒ミキサーで洗浄し、余分なXGO−FITCを除去した。何度も洗浄した後、セルロース上のXG−FITCの吸着は、周辺光下では明るい黄色に、紫外光下では強い蛍光として観察された。XG/XGO−FITC溶液にXET酵素を加えなかったコントロールのサンプルは、同様の条件下で処理したところ、無色および無蛍光であった。
b. クエン酸バッファー(20mM、pH5.5)中、キシログルカン(XG、1mg/ml)、XGO−FITC(0.5mg/ml)およびXET(8ユニット)の混合物(全量200μl)を、30℃で60分間インキュベートした。75℃で5分間加熱して反応を停止させた。この溶液100μlを超純水で500μlに希釈して、セルロース系材料(0.1g、Whatman No. 1 filter paper disk、直径1.5cm、15.4mg)を溶液に浸し、転倒ミキサーで室温で15時間撹拌した。その後、ろ紙を除き、超純水で洗浄した(2x1ml)。XGに取り込まれた後ろ紙に結合したXGO−FITC量(0.0232mg)を、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液中での495nmの吸収をXGO−FITCの標準線と比較して測定することにより、溶液(洗浄溶液を含む)からのXGO−FITCの減少量から解析した。紙表面のFITC修飾キシログルカン(XG−FITC)量を直接的に定量するために、この紙を蛍光励起対応CCDカメラ(Fujifilm imager)とデスクトップスキャナで撮影した。フル・カラーRGBモードでスキャンすると、青チャネルの強度が、紙上に吸着されたXG−FITC量と直線的相関を示すことが明らかになった。さらに、吸着したXG−FITCを2M NaOH水溶液で抽出することができ、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液中での495nmのUV吸収によりこれを定量することができた。XG−FITCに対する2M NaOH水溶液処理は、UVの吸収または化合物の蛍光の放射および励起スペクトルに全く影響がないことが明らかとなった。共焦点顕微鏡像は、蛍光が繊維表面に特異的に局在し、材料の多孔率に関わらずそのシグナルは明確に検出可能であることを示した。
XG−FITC処理紙の共焦点顕微鏡像を図7に示す。明るい領域は相対蛍光強度が高いことを表し、暗い部分は相対蛍光強度が低いことを表す。
実施例18
再生セルロースメンブレン上へのスルホローダミン修飾キシログルカン(XG−SR)およびフルオレセイン修飾キシログルカン(XG−FITC)の吸着
a. 再生セルロースメンブレン(0.05g)を、スルホローダミン修飾XG(XG−SR、4ml、実施例13の方法により生成)を含む溶液に浸し、室温で15時間、転倒ミキサーで撹拌した。再生セルロースメンブレンへのXG−SRの結合を、Kooimanの比色分析を用いて、溶液からのXG−SR減少量により測定したところ、0.3mg/gであった。その後、セルロース系材料を元の溶液から除き、繰り返し超純水を入れ、転倒ミキサーで洗浄し、余分なXG−ローダミンを除去した。何度も洗浄した後、セルロース上のXG−ローダミンの吸着は、周辺光下では明るいピンク色に、紫外光下では強い蛍光として観察された。共焦点蛍光顕微鏡像はXG−SRがメンブレンの表面に局在することを示した。
b. クエン酸バッファー(20mM、pH5.5)中、キシログルカン(XG、1mg/ml)、XGO−FITC(0.5mg/ml)およびXET(2μg)の混合物(全量200μl)を、30℃で40分間インキュベートした。75℃で5分間加熱して反応を停止させた。再生セルロースメンブレン(0.05g)を溶液中に浸した。XGに取り込まれた後、メンブレンに結合したXGO−FITC量を、0.1M炭酸水素ナトリウム溶液中での495nmの吸収をXGO−FITCの標準線と比較して測定することにより、溶液(洗浄溶液を含む)からのXGO−FITCの減少量から解析した。共焦点蛍光顕微鏡像はXG−FITCがメンブレンの表面にのみ結合することを示した。
実施例19
アミノ修飾キシログルカン(XG−NH)の調製
10mgのタマリンダス・インディカ(Tamarindus indica)のキシログルカン、3.75mgのアミノ修飾キシログルカンオリゴ糖(XGO−NH、0.5g、0.4mM、XXXG−NH、XLXG−NH、XXLG−NHおよびXLLG−NHの混合物)および182ユニットのXET(49μgタンパク質、ブラッドフォード・アッセイによる)からなる典型的な反応混合物を、20mMクエン酸バッファー、pH5.5中において、30℃で30分間インキュベートした。75℃で10分間加熱することにより酵素を失活させた。Sulova et al. (1995) Anal. Biochem. 229, 80-85 の比色検定は、インキュベーション後620nmにおいて0.4adsorbance unitの変化を典型的に示すが、これはXGO−FITCを同様の条件下で基質としたときに観察されたものと同様であった。
実施例20
アミノ修飾キシログルカン(XG−NH)のセルロース紙への取り込み
アミノ修飾キシログルカン(XG−NH、実施例19の記載のように調製)を水と1:1の比で希釈し、1枚のろ紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙を何度も超純水で洗浄した。Kooimanの比色分析により測定すると、典型的に70から80%のアミノ修飾キシログルカンが紙に吸着した。紙上のアミノ基の量は、Sarin et al. (1981) Anal. Biochem.,117, 147-157 に記載されたように、ニンヒドリンを用いて定量され、この方法により、一般的に1枚の紙あたり70−80nmolのアミノ基が検出された。
実施例21
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とフルオレセイン・イソチオシアネートの反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を500μlの0.1M NaHCO中、フルオレセイン・イソチオシアネート・異性体I(0.6mg)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙を0.1M NaHCOと超純水で何度も洗浄した。この方法で処理した紙は、周辺光下で鮮やかな黄色に見え、(紫外光下で)強い蛍光を呈した。修飾の程度は、実施例17bに概説したように定量した。XG−NHを加えずに同様の方法で処理をしたコントロールのサンプルは、無色で蛍光性を示さなかった。
XG−NHで処理し、FITCと反応させた紙にフルオレセインを取り込ませた結果の写真を図8に示す。左側のより暗いろ紙ディスクはFITCと反応させたものである。右側のろ紙ディスクは、FITCとの反応前にXG−NHを結合させていないこと以外、左側と同様に反応させたものである。図8より、FITCがろ紙ディスクに結合していることは明らかである。
実施例22
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)と無水酢酸の反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を2ml無水メタノール中、3.75mM無水酢酸、11mMトリエチルアミンとともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をメタノール、次いで過剰量の水で洗浄した。定量的ニンヒドリン分析(Sarin et al. (1981) Anal. Biochem.,117, 147-157 )により測定されるアミノ基の量は、コントロールのサンプルと比較して84%減少していた。さらにこの方法によりアセチル化された紙を、実施例20に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、100%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例23
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とフェニルイソシアネートの反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、メタノール(2ml)中、1Mフェニルイソシアネート溶液とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をメタノール(3x5ml、バイアル中)、次いで過剰量の水(1L、ガラスフリット上)で洗浄した。定量的ニンヒドリン分析(Sarin et al. (1981) Anal. Biochem.,117, 147-157 )により測定されるアミノ基の量は、コントロールのサンプルと比較して70%減少していた。さらにこの方法で得られた紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、64%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例24
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とジメチルスルホキシド(DMSO)中、アルケニル無水コハク酸(ASA)の反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、DMSO中、4mM ASA溶液(2ml)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をバイアル中で、10ml 2−プロパノールで2回、10mlメタノールで2回、10mlの水で2回洗浄後、最終的にガラスフリット上にて1Lの純水で洗浄した。測定されたアミノ基の量は、未処理のコントロールのサンプルと比較して63%減少していた。この方法で得られた紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、63%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例25
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とメタノール(MeOH)中、アルケニル無水コハク酸(ASA)の反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、無水MeOH中、1.5M ASA溶液(2ml)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をバイアル中で、10mlメタノールで2回、10mlの水で2回洗浄後、最終的にガラスフリット上にて1Lの純水で洗浄した。測定されたアミノ基の量は、未処理のコントロールのサンプルと比較して48%減少していた。さらにこの方法で得られた紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、38%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例26
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とN−シナモイルイミダゾールの反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、ジメチルスルホキシド中、1mM N−シナモイルイミダゾール溶液(2ml)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をバイアル中で、2−プロパノール(2x5ml)で、メタノール(2x5ml)、過剰量の水(1L)で洗浄した。定量的ニンヒドリン分析(Sarin et al. (1981) Anal. Biochem.,117, 147-157 )で測定されるアミノ基の量は、コントロールのサンプルと比較して65%減少していた。さらにこの方法により得られた紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、84%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例27
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とブロモイソ酪酸の反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、メタノール中、1Mブロモイソ酪酸および1M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(2ml)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙をバイアル中で、メタノール(2x10ml)、超純水(2x10ml)で洗浄した後、最終的にガラスフリット上にて1Lの超純水で洗浄した。測定されたアミノ基の量は、未処理のコントロールのサンプルと比較して50%減少していた。さらにこの方法により生成した紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、79%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例28
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とビオチン 3−スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(スクシンイミジルビオチン)の反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、10mM NaHCO中、180μMスクシニミジルビオチン(2ml)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートした。この紙を、バイアル中で、純水で4回洗浄した後、ガラスフリット上にて1Lの純水で洗浄した。測定されたアミノ基の量は、未処理のコントロールのサンプルと比較して71%減少していた。さらにこの方法により生成した紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、57%のアミノ基が反応していることが示された。
ビオチン化した紙およびコントロールのサンプルを500μlの0.1%BSAと一晩転倒混和しながらインキュベートして、紙への非特異的なタンパク質の結合を阻害した。この紙を1mlの水で2回洗浄し、1mlの100mM Tris、pH9.5中、10μgアルカリフォスファターゼ結合ストレプトアビジンとともに、室温で15分間インキュベートした。この紙を、1mlの同じTrisバッファーで4回洗浄した。その後、紙を320μl Trisバッファー、pH9.5中、18μg 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルー(BCIP/NBT)とともに5分間インキュベートした。次に、紙を20μlの純水で2回洗浄した後乾燥させた。この紙をデスクトップイメージスキャナーで取り込み、画像解析を行った。目に見える程青い紙は、ビオチン化していないコントロールよりも40%多く着色していた。
実施例29
セルロース紙上に吸着されたアミノ修飾キシログルカン(XG−NH)とγ−チオブチロールアセトンの反応
実施例20に記載された方法で調製したセルロース紙(Whatman No. 1、直径1.5cm、15mg)を、エタノール(98%、500μl)および炭酸水素ナトリウム水溶液(0.1M、500μl)中、γ−チオブチロールアセトン(87μl、1mol)とともに、ガラスバイアルに入れ、室温で一晩軌道振盪しながらインキュベートして反応させた。この紙を、バイアル中で、5mlの0.1M炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄した後、ガラスフリット上にて1Lの純水で洗浄した。測定されたアミノ基の量は、未処理のコントロールのサンプルと比較して52%減少していた。
図9は様々なアミノ基反応試薬で処理した後の、XG−NH修飾紙上に存在するアミノ基の相対量を示す。薄いグレーのバーは、定量的ニンヒドリン分析による測定に関するものであり、濃いグレーのバーはFITCと反応させた後の定量的画像解析によって定量結果に関するものである。図10は、XG−NHによって修飾された、および修飾されていない紙のFITCに対する反応性を示す。「ブランク」はFITCで処理した市販のろ紙であり、「XGN」はXG−NHで処理後、FITCで処理した市販のろ紙であり、「1」はXG−NHで処理後、無水酢酸で処理し、さらにFITCで処理した市販のろ紙である。
さらにこの方法により生成した紙を、実施例21に概説された方法によりフルオレセイン・イソチオシアネートと反応させ、実施例17bのように定量したところ、未修飾アミノ紙のコントロールに対して、57%のアミノ基が反応していることが示された。
実施例30
スルホローダミンメタンチオスホネートとセルロース紙上に導入されたチオール基の反応
乾燥セルロース紙の半分(7.7mg)を、実施例29に記載したように生成し、2mlの0.1M NaHCO水溶液中、10mMジチオスレイトール(DTT)で、アルゴン下で、ガラスバイアルに入れ、時々振盪しながら2時間処理した。この紙を、アルゴン下で、2mlの脱気した超純水を用いて3回洗浄した後、1mlのDMSO/HO(1:9)溶液中、1mMスルホローダミンメタンチオスホネートを加え、時々振盪しながら2時間反応させた。この紙をDMSOで洗浄して未反応のスルホローダミンメタンチオスホネートを除去した後、超純水で洗浄し、乾燥させた。
紙は周辺光下で鮮やかなピンク色を、紫外光下で強い蛍光を呈したが、同様に処理したブランクの紙は無色であった。ピンク色の紙の半量(約3mg)を500μlの0.1M NaHCO水溶液中、10mMジチオスレイトール(DTT)で再処理し、ジスルフィド結合をしたスルホローダミンメタンチオスホネートを紙表面から遊離させた。この上清を565nmにおける紫外線吸収により定量した。紙をアルゴン下で、1mlの脱気した超純水を用いて3回洗浄した後、1mlのDMSO/HO(1:9)溶液中、1mMスルホローダミンメタンチオスホネートを加え、時々振盪しながら2時間反応させた。DMSOと水で洗浄後、紙は周囲光下で鮮やかなピンク色を、紫外光下で強い蛍光を呈したが、同様に処理したブランクの紙は無色であった。
図11は、チオール化した紙とスルホローダミンメタンチオスホネートの反応の結果である。それぞれの列の左側のサンプルはXG−NHで処理した紙を、右側はXG−NHで処理後、チオブチロールアセトンで処理し、チオール基(−SH)を導入した紙を示す。上段:スルホローダミンメタンチオスホネートで処理したサンプル。中段:DTTで洗浄後の上段のサンプルの断片。下段:DTTで洗浄後、再びスルホローダミンメタンチオスホネートと反応させたサンプル
実施例31
セルロース表面上のXGと結合したイニシエーター・カプラーを用いた原子移動ラジカル重合
周囲温度におけるセルロース紙表面からの原子移動ラジカル重合法は、[Carlmark andMalmstrom, 2002, J. Am. Chem. Soc. 124: 900-901]に記載されているが、開始剤の大量添加状態において、紙の品質は大変落ちている。我々は、実施例27に記載したような、紙の構造を分解することなく紙の表面に大量の開始剤を施す方法に従い、キシログルカンを介してセルロース表面に固定した開始剤を用いて、同様の重合反応を行った。そのようにして生成したグラフト共重合体は、繊維表面に開始剤を結合していないコントロールのサンプルと比較して、繊維−重合体間の結合が劇的に増大したことを示した。
本発明は、現在本発明者らに知られたベスト・モードを構成する、好ましい具体例に関して説明されているが、当業者に自明の様々な変更や改変が本明細書に添付した請求項に記載した本発明の範囲を逸脱しないで行われうることが理解されるべきである。
図1は高分子炭水化物材料を修飾する原理を示す。 図2は高分子炭水化物材料に、化学基を含む可溶性炭水化物ポリマーを組み込む原理を示す。 図3は修飾前のSCPを含むPCMの修飾の原理を示す。 図4はキシログルカンオリゴ糖の構造(XGO-7(XXXG)、XGO-8(XLXG、XXLG)およびXGO-9(XLLG))の例を示す。 図5はXG-FITC生成の時間依存性を示す。 図6はXG-FITC生成の反応液中の酵素量依存性を示す。 図7はXG-FITC処理をした紙の共焦点蛍光顕微鏡像を示す 図8はXG-NH2で処理した紙にフルオレセインが取り込まれた写真を示す。 図9は種々のアミノ基反応性試薬で処理後の、XG-NH2で修飾したセルロース紙の表面に存在するアミノ基の相対量を示す。 図10はXG-NH2で修飾後および未修飾の紙の、FITCに対する反応性を示す。 図11はチオール化した紙のスルホローダミンメタンチオスルホナートとの反応を示す。

Claims (44)

  1. 高分子炭水化物材料(PCM)を修飾する方法であって、化学基、およびヘミセルロースを含む可溶性炭水化物ポリマー(SCP)を含む炭水化物リンカー分子(CLM)を用いて、所望の機能性を有する化学基を前述の炭水化物材料に結合させる工程を含み、前述のリンカー分子はPCMと結合することができるものである方法。
  2. 以下の工程
    (i) 所望の機能性を有する化学基を含む炭水化物ポリマー断片(CPF)を供給する工程
    (ii) 前述の化学基を含む前述のCPFおよびSCPからなる複合体が形成される条件下で、前述の化学基を含む前記のCPFを可溶性炭水化物ポリマー(SCP)と接触させる工程、ここに前述のCPFおよびSCPは一緒になって炭水化物リンカー分子(CLM)を形成するものであり、次いで
    (iii) 前述の複合体がPCMに結合して修飾された高分子炭水化物材料が得られる条件下において、前述の複合体とPCMを接触させて修飾する工程
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. 修飾される高分子炭水化物材料が水不溶性の多糖類である請求項2の方法。
  4. 修飾されるPCMが、単子葉植物および双子葉植物からなる群から選択される植物由来である請求項1もしくは2の方法。
  5. 単子葉植物がイネ科に属する植物である請求項4の方法。
  6. 双子葉植物が被子植物(硬木)、針葉樹(軟木)およびワタ類に属する植物からなる群より選択される請求項4の方法。
  7. PCMがセルロース系植物繊維の形態である請求項1〜6のいずれか1項の方法。
  8. PCMがセルロース系植物繊維もしくは細菌由来のセルロースミクロフィブリルの形態である請求項1〜6のいずれか1項の方法。
  9. SCPが修飾されるPCMの一部を形成している請求項1〜8のいずれか1項の方法。
  10. SCPが修飾されるPCMと結合していない請求項1〜8のいずれか1項の方法。
  11. SCPがヘミセルロース、キシログルカン、ペクチンおよびデンプンからなる群より選択される成分を含む請求項9または10の方法。
  12. 炭水化物ポリマー断片(CPF)が、請求項11で定義されたSCP由来の、2から5000のポリマー骨格単糖からなる断片である請求項1〜10のいずれか1項の方法。
  13. CPFがキシログルカン由来である請求項12の方法。
  14. CPFが3から100の10ポリマー骨格単糖から請求項13の方法。
  15. 化学基を含む前述のCPFと、少なくとも前述のSCPの一部からなる複合体の形成を促進することができる酵素の存在下において、化学基を含む前述のCPFが前述の可溶性高分子炭水化物(SCP)と接触させられる請求項2〜14のいずれか1項の方法。
  16. 酵素が元のもしくは化学的に修飾された単糖もしくはオリゴ糖をオリゴ糖もしくは多糖に転移することができる請求項15の方法。
  17. 酵素が糖転移活性を持つ酵素である請求項15の方法。
  18. グリコシル基供与基質であるキシログルカンとともに、キシログルカンオリゴ糖受容基質の存在下および非存在下において、酵素を検定したとき、供与基質への受容基質の取り込み速度が加水分解速度の少なくとも15%であり、検定が下記工程
    i) 200μlの40mMクエン酸バッファー、pH5.5中、0.1mgのキシログルカン、0.1mgのキシログルカンオリゴ糖(XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLG=15:7:32:46)を30℃で30分間インキュベートする工程
    ii) 100μlの1M HClで反応を停止する工程
    iii) 800μlの20%NaSOおよび200μlのI(0.5%I、1%KI、w/w)溶液を添加することによりイオン強度を調整する工程
    iv) 620nmの吸光度を測定する工程
    v) i)の工程において、キシログルカンオリゴ糖(XGO)を添加せずにi)からiv)の工程を行う工程
    vi) XGO有りのインキュベートと、XGOなしのインキュベートとの間の吸光度の増加をパーセントで計算する工程
    からなるものである請求項16もしくは17の方法。
  19. グリコシル基供与基質であるキシログルカンとともに、キシログルカンオリゴ糖受容基質の存在下および非存在下において、酵素を検定したとき、供与基質への受容基質の取り込み速度が加水分解速度の少なくとも100%であり、検定が下記工程
    i) 200μlの40mMクエン酸バッファー、pH5.5中、0.1mgのキシログルカン、0.1mgのキシログルカンオリゴ糖(XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLG=15:7:32:46)を30℃で30分間インキュベートする工程
    ii) 100μlの1M HClで反応を停止する工程
    iii) 800μlの20%NaSOおよび200μlのI(0.5%I、1%KI、w/w)溶液を添加することによりイオン強度を調整する工程
    iv) 620nmの吸光度を測定する工程
    v) i)の工程において、キシログルカンオリゴ糖(XGO)を添加せずにi)からiv)の工程を行う工程
    vi) XGO有りのインキュベートと、XGOなしのインキュベートとの間の吸光度の増加をパーセントで計算する工程
    からなるものである請求項16もしくは17の方法。
  20. 前述の酵素がトランスグルコシラーゼ、糖質加水分解酵素、糖転移酵素からなる群より選択される請求項16〜19のいずれか1項の方法。
  21. 前述の酵素が野生型の酵素、もしくは野生型の酵素由来の機能的および/または構造的に修飾された酵素である請求項16〜20のいずれか1項の方法。
  22. 酵素がキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET、EC 2.4.1.207)である請求項16〜21のいずれか1項の方法。
  23. 糖転移活性を有する酵素がアブラナ科およびハコヤナギ科に属する植物を含む植物由来である請求項16〜22のいずれか1項の方法。
  24. 糖転移活性を持つ酵素が組み替え的に作られた請求項16〜23のいずれか1項の方法。
  25. 所望の機能性を有する化学基が、イオン性基、疎水性基、電荷を有しない親水性基、高反応性基、求核試薬、重合可能な単量体、発色基、蛍光基、ビオチン、放射性同位体、フリーラジカル前駆体、安定フリーラジカル部分、タンパク質およびタンパク質結合物質からなる群から選択される、請求項1〜20のいずれか1項の方法。
  26. 化学基がアミン基である請求項25の方法。
  27. 化学基がフリーラジカル前駆体である請求項25の方法。
  28. 化学基が安定フリーラジカル部分である請求項25の方法。
  29. 化学基が重合反応のための単量体である請求項1〜28のいずれか1項の方法。
  30. 化学基がフリーラジカル重合反応の開始剤である請求項1〜29のいずれか1項の方法。
  31. 未修飾材料と比較して、修飾された高分子炭水化物材料(PMC)の表面の性質が変化する請求項1〜30のいずれか1項の方法。
  32. 未修飾材料と比較して、修飾された高分子炭水化物材料(PMC)の強度が変化する請求項1〜30のいずれか1項の方法。
  33. 未修飾材料と比較して、修飾された高分子炭水化物材料(PMC)の撥水性が変化する請求項1〜30のいずれか1項の方法。
  34. リンカー基が請求項9〜11のいずれか1項で定義されるSCPからなる請求項1に記載の方法。
  35. 修飾された高分子炭水化物材料(PCM)を製造する方法であって、化学基、およびヘミセルロースを含む可溶性炭水化物ポリマー(SCP)を含む炭水化物リンカー分子(CLM)を用いて、所望の機能性を有する化学基を高分子炭水化物材料に結合させることにより、高分子炭水化物材料を修飾する工程を含み、前述のリンカー分子はPCMと結合することができるものである方法。
  36. 高分子炭水化物材料がセルロース系植物繊維、またはセルロース系植物繊維もしくは細菌由来のセルロースミクロフィブリルの形態で存在する請求項35の方法
  37. 化学基が、他の機能性を持つ基と結合することができる反応性基である請求項35の方法
  38. 2つもしくはそれ以上の異なる種類の他の化学基が化学基に結合している請求項35〜37のいずれか1項の方法
  39. 化学基が、フリーラジカル前駆体、安定フリーラジカル部分、重合反応のための単量体およびフリーラジカル重合の開始剤からなる群から選択される、請求項35〜38のいずれかに記載の方法
  40. 修飾された高分子炭水化物材料が複合材料にさらに処理される、請求項35〜38のいずれか1項の方法。
  41. 修飾された高分子炭水化物材料が重合している、請求項39記載の方法。
  42. 紙およびボール紙製品製造される、請求項35〜38、または40のいずれか1項の方法
  43. 修飾された高分子炭水化物材料が診断もしくは化学検査もしくは加工において用いられる、請求項35〜38、または40のいずれか1項の方法
  44. 紙シート、段ボール紙、織物、診断もしくは化学検査もしくは処理における助剤、液体および食品の包装材、ポリエチレンのような熱可塑性物質で積層されて、水性溶液が透過しないようにされている紙およびボール紙、布地、セキュリティー紙、紙幣、トレース可能な書類、充てん剤、積層材、パネル製品、放射線強化木材、プラスティック複合材、アロイポリマーおよびブレンドポリマー、またはセルロース誘導体(セルロース系材料)製造される請求項41の方法
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