JP4058279B2 - 電圧無効電力監視制御装置及び電圧無効電力監視制御プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の監視点の電圧や無効電力の逸脱状態に応じて、電圧無効電力調整機器に対する最適な指令を行う電圧無効電力制御装置及び電圧無効電力制御プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電力系統においては負荷の状態により電力系統の無効電力が変化すると共に電圧も変化する。このことから電力系統の運用にあたっては電圧及び無効電力を調整するようにしている。この電圧無効電力の調整は、電力系統の複数箇所に設けられた電圧無効電力調整機器を電圧無効電力監視制御装置(VQC装置)により制御することにより行われる。
【0003】
電圧無効電力調整機器としては、発電機、負荷時タップ付き変圧器(LRT)、調相機器である電力用コンデンサ(SC)や分路リアクトル(ShR)が用いられる。発電機による調整は、励磁電流の増減により進相運転や遅相運転により行われ、負荷時タップ付き変圧器LRTではタップを切り替えることにより調整が行われる。また、電力用コンデンサSCや分路リアクトルShRでは機器の入り切りにより調整が行われる。
【0004】
図20は、従来の電圧無効電力監視制御装置1の構成図である。電力系統2には各種の電圧無効電力調整機器3が設置されており、電圧無効電力調整機器3の運用状態や電力系統の各監視対象箇所の電圧や無効電力が情報伝送装置4a、4bを介して電圧無効電力監視制御装置1に伝送される。
【0005】
電力系統1から伝送されてきた系統情報は電圧無効電力監視制御装置1の電力系統情報把握手段11に取り込まれ、この電力系統情報把握手段11で電力系統の状態が判定される。そして、電力系統情報把握手段11で判定された電力系統の状態は制御量算出手段12に入力される。
【0006】
一方、運用目標値設定手段18は、電圧無効電力監視制御装置1が監視対象とする母線電圧及び送電線無効電力潮流の運用目標値を設定するものであり、制御量算出手段12は、監視対象の母線電圧及び送電線無効電力潮流が運用目標値の所定範囲内に収まるように電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器3に対する制御量を算出する。制御量算出手段12からの各電圧無効電力調整機器の制御量は指令出力手段14により、情報伝送装置4c、4dを介して、電力系統2の電圧無効電力調整機器3に対して出力される。
【0007】
図21は、制御量算出手段12における各電圧無効電力調整機器3の制御量の算出手順を示すフローチャートである。
【0008】
まず、電力系統情報把握手段11から、制御量算出に必要な電力系統情報を取り込む。(S1)取り込んだ電力系統情報により、電圧無効電力調整機器3の操作量に対する監視点の電圧、無効電力潮流の変化を意味する感度係数Sを算出する(S2)。
【0009】
次に、線形計画法問題の定式化の処理を行い目的関数を作成する(S3)。目的関数Eは、監視点の電圧偏差の2乗和及び無効電力潮流偏差の2乗和で表され、その偏差2乗和を線形化すると(1)式となる。
【0010】
【数1】
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数
Vk:監視点kの電圧現在値
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量
Vrefk:監視点kの電圧設定値
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量
Qrefl:監視点lの無効電力設定値
また、調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量ΔVk、調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量ΔQlは、以下の(2)式及び(3)式で表される
【数2】
但し、
Skj:調整機器(発電機)jの監視点kに対する電圧感度係数
Skm:調整機器(調相器)mの監視点kに対する電圧感度係数
Skn:調整機器(LRT)nの監視点kに対する電圧感度係数
Slj:調整機器(発電機)jの監視点lに対する無効電力感度係数
Slm:調整機器(調相器)mの監視点lに対する無効電力感度係数
Sln:調整機器(LRT)nの監視点lに対する無効電力感度係数
△QGj:調整機器(発電機)jの制御量
△QCm:調整機器(調相器)mの制御量
△tTn:調整機器(LRT)nの制御量
また、不等式制約は以下となる。
【0011】
(a)監視点電圧の許容上下限制約
【数3】
(b)監視点無効電力潮流の許容上下限制約
【数4】
(c)調整機器(発電機)の無効電力量上下限制約
【数5】
(d)調整機器(発電機)の端子電圧上下限制約
【数6】
(e)調整機器(調相器)の無効電力量上下限制約
【数7】
(f)調整機器(LRTタップ)のタップ上下限制約
【数8】
次に、定式化された線形計画法問題を線形計画法アルゴリズムで解く(S4)。定式化された線形計画法問題を線形計画法アルゴリズムで解く方法を、以下LP法ということにする。
【0012】
図22は、ステップS4でのLP法による最適計算における各電圧無効電力調整機器の制御量の算出手順を示すフローチャートである。電圧無効電力調整機器3である発電機、調相機器、負荷時タップ付き変圧器LRTを連続量として条件設定し(S6)、LP方による解法で制御量を算出し(S7)、当該電圧無効電力調整器器3の取り得る最も近い値を離散値として丸め処理を行い指令値とする(S8)。
【0013】
ここで、線形計画法は一般に連続量を扱う解法であるが、電圧無効電力調整機器3の中で、電力用コンデンサSCや分路リアクトルShR等の調相器はバンクの単機容量で、また負荷時タップ付き変圧器LRTは1タップあたりのタップ比で決定される離散値となる。
【0014】
従って、LP法による最適計算は図22に示すようにLP法で計算した連続量としての計算値を、当該調整機器の取り得る最も近い値を離散値として丸め処理を行い指令値としている(S8)。
【0015】
これにより、得られた値を指令値として指令値作成処理し指令出力手段14へ出力する(S5)。これにより、電力系統上に設置された電圧無効電力調整機器3がその指令値に沿って動作することにより、監視点の電圧や無効電力潮流が運用目標値に維持されることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の電圧無効電力監視制御装置では、計算実行周期に目的関数を最小化するために、常に制御量を計算し指令値を出力することになる。特に線形計画法問題を解くことによる計算機負荷の増大を招く恐れがある。また、電圧無効電力調整機器3は煩雑な応動を強いられることになる。
【0017】
また、線形計画法解法時の連続量を離散値に置換える時の丸め誤差による制御仕上がり精度の悪化を招く場合がある。
【0018】
さらに、電圧無効電力調整機器3の機器種別(例えば電力用コンデンサSC、分路リアクトルShR等の調相器)に対する指令値の偏在が発生する場合がある。
【0019】
本発明の目的は、計算機負荷の軽減や現地の電圧無効電力調整機器の煩雑な応動の防止を図り、さらには丸め誤差による制御仕上がり精度の悪化の抑制と、電圧無効電力調整機器への指令値の偏在に柔軟に対応させることにより、運用者のニーズに合った電圧無効電力監視制御装置及び電圧無効電力監視制御プログラムを提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る電圧無効電力監視制御装置は、電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記中央偏差重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明に係る電圧無効電力監視制御装置においては、中央値偏差重み付き目的関数作成手段は、電力系統情報把握手段で求められた電力系統の系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成する。制御量算出手段は、その偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電圧無効電力調整機器の制御量を算出し、指令出力手段及び情報伝送装置を介して電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力する。これにより、電圧無効電力調整機器の制御余裕量を確保する。
【0022】
請求項2の発明に係る電圧無効電力監視制御装置は、電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項2の発明に係る電圧無効電力監視制御装置においては、制御量の重み付き目的関数作成手段は、電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成する。制御量作成手段は、その制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電圧無効電力調整機器の制御量を算出し、指令出力手段及び情報伝送装置を介して電圧無効電力調整機器3に対する制御量を指令出力する。これにより、電圧無効電力調整機器のトータル制御量の最小化を図るとともに電圧無効電力調整機器の種別毎の動作頻度を調整する。
【0024】
請求項3の発明に係る電圧無効電力監視制御装置は、電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記中央値偏差重み付き目的関数作成手段で作成された中央値偏差重み付き目的関数、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された制御量の重み付き目的関数または前記目的関数Eのいずれを用いるか否かの選択を行う目的関数組込み選択手段と、前記目的関数組込み選択手段で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項3の発明に係る電圧無効電力監視制御装置においては、中央値偏差重み付き目的関数作成手段は、電力系統情報把握手段で求められた電力系統の系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成し、制御量の重み付き目的関数作成手段は、電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器3の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成する。また、制御量算出手段は所定の目的関数を作成する。目的関数組込み選択手段は、中央値偏差重み付き目的関数、制御量の重み付き目的関数または所定の目的関数のいずれを用いるか否かの選択を行う。制御量算出手段は、目的関数組込み選択手段で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電圧無効電力調整機器の制御量を算出し、指令出力手段及び情報伝送装置を介して電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力する。これにより、総需要の変化傾向に合わせての調整が可能となる。
【0034】
請求項4の発明に係る電圧無効電力監視制御装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明において、同一の電圧無効電力調整機器に対する同一方向の制御量の継続時間が所定時間継続したか否かを判定する制御量継続判定手段を設け、前記制御量算出手段は、前記制御量継続判定手段が所定時間以上継続した制御量である判定した場合に前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力することを特徴とする。
【0035】
請求項4の発明に係る電圧無効電力監視制御装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の発明の作用に加え、制御量継続判定手段は、同一の電圧無効電力調整機器に対する同一方向の制御量の継続時間が所定時間継続したか否かを判定し、制御量算出手段は、制御量継続判定手段が所定時間以上継続した制御量である判定した場合に電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力する。これにより、電力系統の瞬時的な外乱変化のように所定時間以上制御量が継続しない場合の無駄な電圧無効電力調整機器の多頻度制御を抑制できる。
【0036】
請求項5の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムは、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、前記情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記中央偏差重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させる。
【0037】
請求項5の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムをコンピュータに入力し、コンピュータを作動させる。これにより、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求め、求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数または所定の目的関数を作成し、その中央偏差重み付き目的関数または所定の目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する。そして、算出された電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する。
【0038】
請求項6の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムは、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、前記情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させる。
【0039】
請求項6の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムをコンピュータに入力し、コンピュータを作動させる。これにより、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求め、求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数または所定の目的関数を作成し、その制御量の重み付き目的関数または所定の目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する。そして、算出された電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する。
【0040】
請求項7の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムは、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記中央値偏差重み付き目的関数作成手段で作成された中央値偏差重み付き目的関数、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された制御量の重み付き目的関数または前記目的関数Eのいずれを用いるか否かの選択を行う目的関数組込み選択手段と、前記目的関数組込み選択手段で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させる。
【0041】
請求項7の発明に係る電圧無効電力監視制御プログラムをコンピュータに入力し、コンピュータを作動させる。これにより、電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める。求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数、電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数、所定の目的関数を作成する。そして、中央値偏差重み付き目的関数、制御量の重み付き目的関数または所定の目的関数のいずれを用いるか否かの選択を行い、選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する。算出された電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この第1の実施の形態は、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量算出手段12に中央値偏差重み付き目的関数作成手段19を設けたものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
図1において、中央値偏差重み付き目的関数作成手段19は、電力系統情報把握手段11で求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器3の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成する。制御量算出手段12は、中央偏差重み付き目的関数作成手段19で作成された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように、電力系統2の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器3の制御量を算出する。そして、算出された制御量は指令出力手段14から情報伝送装置4c、4dを介して電圧無効電力調整機器3に出力される。
【0044】
図2は、第1の実施の形態における中央値偏差重み付き目的関数作成手段19を有した制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS9及びステップS10が追加されている。すなわち、感度係数を計算した後(S2)に、中央値偏差重み付き目的関数作成か否かを判定し(S9)、中央値偏差重み付き目的関数作成の場合には、中央値偏差重み付き目的関数を作成する(S10)。
【0045】
中央値偏差重み付き目的関数は、電圧無効電力調整機器3の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数であり、電圧無効電力調整機器3の調整可能範囲の中央値とすることから制御余裕を確保できる。従って、電力系統の系統状態が制御余裕を確保したい状態である場合に、ステップS9において中央値偏差重み付き目的関数作成と判定される。例えば、早朝の時間帯においては電力需要の立ち上がりに備えて、制御余裕を確保することが望ましいので、中央値偏差重み付き目的関数作成と判定される。
【0046】
中央値偏差重み付き目的関数作成処理(S10)では、下式により目的関数が作成される。
【0047】
【数9】
次に、電圧無効電力調整機器3の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を線形計画法により解く(S4)。これにより、電圧無効電力調整機器3が発電機である場合には、無効電力の上限値と下限値との中央に、また発電機端子電圧の上限値と下限値との中央に近づく方向の制御を行う。
【0048】
電圧無効電力調整機器3が調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)である場合には、無効電力の上限値と下限値の中央に近づく方向の制御を行い、また、負荷時タップ付き変圧器LRTである場合には、タップ値の上限値と下限値との中央に近づく方向の制御を行うことになる。
【0049】
以上述べたように、第1の実施の形態によれば、電力系統の状態変化に対して電圧無効電力調整機器3の動作余裕を確保した状態で、監視点の偏差最小化に追い込む制御が可能となるとともに、互いに近傍にある電圧無効電力調整機器3としての発電機の無効電力出力量が極端に異なる方向に発生することを抑制できる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量算出手段12に制御量の重み付き目的関数作成手段20を設けたものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0051】
図3において、制御量の重み付き目的関数作成手段20は、電力系統情報把握手段11で求められた系統情報に基づいて電圧無効電力調整機器3の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作成する。制御量算出手段12は、制御量の重み付き目的関数作成手段20で作成された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように、電力系統2の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器3の制御量を算出する。そして、算出された制御量は指令出力手段14から情報伝送装置4c、4dを介して電圧無効電力調整機器3に出力される。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施の形態における制御量の重み付き目的関数作成手段20を有した制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS11及びステップS12が追加されている。すなわち、感度係数を計算した後(S2)に、制御量の重み付き目的関数作成か否かを判定し(S11)、制御量の重み付き目的関数作成の場合には、制御量の重み付き目的関数を作成する(S12)。
【0053】
制御量の重み付き目的関数は、電圧無効電力調整機器3の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数であり、制御量を最小化するので、電力系統の系統状態が大きな電圧無効電力調整を必要としない場合に、ステップS11において制御量の重み付き目的関数作成と判定される。例えば、深夜帯のように電力系統の系統状態変化が少ない時間帯においては、大きな電圧無効電力調整を必要としないので、制御量の重み付き目的関数作成と判定される。
【0054】
制御量の重み付き目的関数作成処理(S12)では、下式により目的関数が作成される。
【0055】
【数10】
図4において、目的関数に組み込む制御量の重み付き目的関数作成処理(S7)は、下式により目的関数を作成する。
【0056】
次に、電圧無効電力調整機器3の制御量の重み付き2乗和の項を目的関数に組み込むんだ目的関数を線形計画法により解く(S4)。これにより、各電圧無効電力調整機器3には、それぞれの重みによって制御量が分配される。
【0057】
この第2の実施の形態によれば、電力系統の系統状態変化に対して特定の電圧無効電力調整機器の制御量の増大を抑制するとともに、全電圧無効電力調整機器のトータルの制御量が小さくなる方向で、監視点の偏差最小化に追い込む制御が可能となる。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図5は本発明の第3の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図20に示す従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量算出手段12に、図1に示した第1の実施の形態における中央値偏差重み付き目的関数作成手段19及び図3に示した第2の実施形態における制御量の重み付き目的関数作成手段20を設け、さらに目的関数組込み選択手段21を追加して設けたものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0059】
図5において、所定の目的関数作成手段5は、従来の制御量算出手段12が有している既存の目的関数作成手段であり、図1及び図3では図示を省略しているが、図5に示す第3の実施の形態では、目的関数組込み選択手段21により、目的関数の選択を行うことから図5では図示したものである。
【0060】
目的関数組込み選択手段21は、中央値偏差重み付き目的関数作成手段19で作成された中央値偏差重み付き目的関数、制御量の重み付き目的関数作成手段20で作成された制御量の重み付き目的関数、所定の目的関数作成手段5で作成された所定の目的関数のいずれを選択する。
【0061】
制御量算出手段12は、目的関数組込み選択手段21で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように、電力系統2の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器3の制御量を算出する。そして、算出された制御量は指令出力手段14から情報伝送装置4c、4dを介して電圧無効電力調整機器3に出力される。
【0062】
図6は、本発明の第3の実施の形態における制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS13、ステップS14及びステップS15が追加されている。すなわち、感度係数を計算した後(S2)に、目的関数組込み選択手段21からの指示による目的関数の選択処理を行い(S13)、中央値偏差重み付き目的関数が選択されたときは中央値偏差重み付き目的関数作成処理を行い(S14)、制御量の重み付き目的関数が選択されたときは制御量の重み付き目的関数作成処理を行う(S15)。
【0063】
このように、目的関数組込み選択手段21は、従来の所定の目的関数作成手段5、中央値偏差重み付き目的関数作成手段19、及び制御量の偏差重み付き目的関数作成手段20の中からいずれかを選択し、制御量算出手段12は目的関数組込み選択手段21により選択された目的関数作成処理を行い、制御量を算出する。
【0064】
この第3の実施の形態によれば、深夜帯のように電力系統の系統状態変化が少ない時間帯においては、制御量を最小化する制御量の偏差重み付き目的関数作成手段20を選択し、朝の立ち上がり前の時間帯においては立ち上がりに備えて制御余裕を確保できる中央値偏差重み付き目的関数作成手段19を選択し、昼休みの負荷急変時においては所定の目的関数作成手段5を選択する等、総需要の変化傾向に合わせて調整が可能となる。
次に、本発明の参考例Aを説明する。図7は本発明の参考例Aに係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この参考例Aは、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量算出手段12に、不連続量変換付きLP法最適計算手段22を追加したものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0065】
図7において、不連続量変換付きLP法最適計算手段22は、目的関数を解くにあたり、線形計画法が扱う制御量計算値の連続量を、電圧無効電力調整機器3である調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)の単機容量の不連続量及び負荷時タップ付き変圧器LRTのタップ比の不連続量に変換する。そして、不連続量に変換された制御量を指令出力手段14から情報伝送装置4c、4dを介して電圧無効電力調整機器3である調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)や負荷時タップ付き変圧器LRTに出力する。
【0066】
図8は、本発明の参考例Aにおける制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS16及びステップS17が追加されている。すなわち、目的関数の作成処理(S3)の後に、不連続流変換付きLP法最適計算指定か否かを判定し(S16)、不連続流変換付きLP法最適計算指定である場合には、不連続流変換付きLP法最適計算を実行する(S17)。
【0067】
図9は、参考例Aにおける不連続量変換付きLP法最適計算手段22の処理内容(ステップS17)を示すフローチャートである。図9において、まず、発電機、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)、負荷時タップ付き変圧器LRTの全種別の電圧無効電力調整機器3を制御対象として条件設定を行い(S30)、LP法により各電圧無効電力調整機器3の制御量を求める(S31)。次に、求まった制御量のうち、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)の制御量を各調相器の単機設備定格容量の最も近い値で置き換える(S32)。この置き換えることを、以下丸めると記述し、この置き換えた値を丸め値と記述する。
【0068】
次に、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)をその丸め値で固定する(S33)。そして、その調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)はその丸め値で制御対象から外し、次に発電機と負荷時タップ付き変圧器LRTを制御対象として条件設定し(S34)、LP法最適計算を実施する(S35)。
【0069】
次に、求まった制御量のうち、負荷時タップ付き変圧器LRTの制御量計算値を、各負荷時タップ付き変圧器LRTのタップ比設備定格値に最も近い値で丸める(S36)。そして、負荷時タップ付き変圧器LRTの制御量を丸め値で固定する(S37)。
【0070】
その後に、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)及び負荷時タップ付き変圧器LRTをその丸め値で制御対象から外し、発電機のみを制御対象として条件設定を行う(S38)。そして、LP法最適計算を実施する(S39)。
【0071】
この参考例Aによれば、制御量を連続量から不連続量に置きかえるときの丸め値と連続量の誤差分は、次のLP法計算時に制御対象として条件設定される電圧無効電力調整機器により吸収されることになり、制御仕上がり精度のよい電圧無効電力監視制御装置とすることができる。
【0072】
次に、本発明の参考例Bを説明する。図10は本発明の参考例Bに係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この参考例Bは、図7に示した参考例Aに係る電圧無効電力監視制御装置に対し、不連続量固定の際に不連続量を固定する電圧無効電力調整機器種別毎の順序を指定できる不連続変換順序指定手段23を設けたものである。図7に示した参考例Aに係る電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0073】
図10において、不連続変換順序指定手段23は、不連続量変換付きLP法最適計算手段22での演算について、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)の単機容量の不連続量と、負荷時タップ付き変圧器のタップ比の不連続量との変換順序を選択する。例えば、参考例Aでは調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)の不連続量を先に演算し、その後に負荷時タップ付き変圧器の不連続量を演算するようにしているが、この順序を不連続変換順序指定手段23で選択する。
【0074】
図11は、参考例Bにおける不連続量変換付きLP法最適計算手段22の処理内容を示すフローチャートである。図9に示した参考例Aにおける不連続量変換付きLP法最適計算手段22の処理内容に対し、ステップS40、ステップS41、ステップS42〜ステップS47が追加されている。すなわち、まず、最初に不連続変換順序指定手段23を実行し、不連続変換順序指定手段22で指定された順序データを取り込む(S40)。そして、発電機、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)、負荷時タップ付き変圧器LRTの全種別の電圧無効電力調整機器3を対象として条件設定を行い(S30)、LP法により各電圧無効電力調整機器3の制御量を求める(S31)。
【0075】
次に、順序データに基づいて調相機器が固定優先か否かを判定し(S41)、この判定により連続量を不連続量として丸める順序において調相機器が優先ならば、図9に示した処理内容と同じステップS32〜ステップS39までの処理を行う。
【0076】
一方、ステップS41の判定で負荷時タップ付き変圧器LRTが優先ならば、負荷時タップ付き変圧器LRTの制御量計算値をタップ値の最も近い値で丸め(S42)、負荷時タップ付き変圧器LRTをその丸め値で固定する(S43)。次に、その負荷時タップ付き変圧器LRTはその丸め値で制御対象から外し、発電機と調相機器を制御対象として条件設定し(S44)、LP法最適計算を実施する(S45)。
【0077】
次に、求まった制御量のうち、調相機器の制御量計算値を、調相機器の単機容量の設備定格値に最も近い値で丸める(S46)。そして、調相機器の制御量を丸め値で固定する(S47)。その後に、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)及び負荷時タップ付き変圧器LRTをその丸め値で制御対象から外し、発電機のみを制御対象として条件設定を行う(S48)。そして、LP法最適計算を実施する(S49)。
【0078】
このように参考例Bでは、不連続変換順序指定手段23により、調相機器を最初に丸めてLP法最適計算を行い次に負荷時タップ付き変圧器LRTを丸めてLP法最適計算を行うか、負荷時タップ付き変圧器LRTを最初に丸めてLP法最適計算を行い次に調相機器を丸めてLP法を行うかの順序指定ができるものである。
【0079】
この参考例Bによれば、参考例Aと同様に、連続量を不連続量に置きかえるときの丸め値と連続量の誤差分は、次のLP法計算時に制御対象として条件設定される電圧無効電力調整機器により吸収されることになり、制御仕上がりの良い電圧無効電力監視制御装置とすることができる。また、不連続変換順序を指定できるので、電圧無効電力調整機器に動作優先度をつけることが可能となり、電圧無効電力調整機器の種別に対して動作頻度の調整を行うことができる。
【0080】
次に、本発明の参考例1を説明する。図12は本発明の参考例1に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この参考例1は、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量算出手段12に、多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24を追加したものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0081】
図12において、多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24は、電圧無効電力調整機器の制御頻度が特定の電圧無効電力調整機器に集中しないように抑制する制御量を算出する。例えば、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)のように入切の動作回数、負荷時タップ付き変圧器LRTのタップ切替回数により設備寿命が左右される電圧無効電力調整機器に対して、特定の機器に制御頻度が集中しないように制御量を算出する。
【0082】
図13は、参考例1における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS18及びステップS19が追加されている。すなわち、目的関数の作成処理(S3)の後に、多頻度制御抑制付きLP法最適計算実施か否かを判定し(S18)、多頻度制御抑制付きLP法最適計算実施である場合には、多頻度制御抑制付きLP法最適計算を実行する(S19)。
【0083】
図14は、参考例1における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24の処理内容(ステップS19)を示すフローチャートである。図14において、まず、最初に調相機器及び負荷時タップ付き変圧器LRTを制御対象外とし、発電機のみを制御対象として条件設定を行い(S50)、LP法により各電圧無効電力調整機器の制御量を求める(S51)。そして、求めた制御量で制約違反がないか否かを判定し(S52)、求めた制御量で制約違反がなければ多頻度制御抑制付きLP法最適計算は終了する。制約違反か否かの判定は特定の発電機に制御頻度が集中していないことの確認である。
【0084】
一方、制約違反がある場合は、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)を制御対象から外し、負荷時タップ付き変圧器LRTと発電機とを制御対象として条件設定を行い(S53)、LP法により負荷時タップ付き変圧器LRTと発電機との制御量を求める(S54)。そして、求めた制御量で制約違反がないか否かを判定し(S55)、求めた制御量で制約違反がなければ多頻度制御抑制付きLP法最適計算は終了する。制約違反か否かの判定は特定の発電機や負荷時タップ付き変圧器LRTに制御頻度が集中していないことの確認である。
【0085】
また、制約違反がある場合は、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)、負荷時タップ付き変圧器LRT、発電機によるすべての電圧無効電力調整機器を制御対象として条件設定を行い(S56)、LP法により各電圧無効電力調整機器の制御量を求める(S57)。そして、その求めた制御量を指令出力手段14により情報伝送装置4c、4dを介して電圧無効電力調整機器3に出力する。
【0086】
この参考例1によれば、制御頻度が特定の電圧無効電力調整機器に集中しないように抑制することができ、また、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)のように入切の動作回数により設備寿命が左右される機器や、負荷時タップ付き変圧器LRTのタップ切替回数により設備寿命が左右される機器の動作抑制を行うことができる。
【0087】
次に、本発明の参考例2を説明する。図15は本発明の参考例2に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この参考例2は、図12に示した参考例1に係る電圧無効電力監視制御装置に対し、多頻度制御抑制順序の順序付けができる多頻度制御抑制順序指定手段25を設けたものである。図12に示した参考例1に係る電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0088】
図15において、多頻度制御抑制順序指定手段25は、多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24での演算について、電圧無効電力調整機器の制御頻度の抑制順序を選択する。例えば、参考例1では、発電機の制御、次に負荷時タップ付き変圧器LRTを加えた制御、次に調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)を加えた制御の順序で固定的に行われるが、この順序を多頻度制御抑制順序指定手段25で選択する。
【0089】
図16は、参考例2における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段24の処理内容を示すフローチャートである。まず、多頻度制御抑制順序指定手段25からの順序指定データを取り込み(S60)、調相機器、LRT、発電機の中での組合せ配分指定を判定し、配分指定を行う(S61)。すなわち、ステップS61での配分指定に従って、各々の配分指定による条件設定を行う(S62〜S68)。
【0090】
すなわち、発電機のみの配分指定の場合には発電機を制御対象とした条件設定を行い(S62)、調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)のみの配分指定の場合には調相機器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)を制御対象とした条件設定を行い(S63)、負荷時タップ付き変圧器LRTのみの配分指定の場合には負荷時タップ付き変圧器LRTを制御対象とした条件設定を行い(S64)、発電機と調相機器の配分指定の場合には発電機と調相機器を制御対象とした条件設定を行い(S65)、発電機と負荷時タップ付き変圧器LRTの配分指定の場合には発電機と負荷時タップ付き変圧器LRTを制御対象とした条件設定を行い(S66)、調相機器と負荷時タップ付き変圧器LRTの配分指定の場合には調相と負荷時タップ付き変圧器LRTを制御対象とした条件設定を行い(S67)、すべての電圧無効電力調整機器の配分指定の場合にはすべての電圧無効電力調整機器を制御対象とした条件設定を行う(S68)。
【0091】
そして、LP法最適計算を行い(S69)、制約違反が無いか、すべての調整機器に対して配分指定処理を実施したかを判定し(S70)、制約違反が無いかまたはすべての電圧無効電力調整機器に対して配分指定処理を実施した場合には、多頻度抑制制御付きLP法最適計算手段は終了となる。
【0092】
一方、制約違反有り、かつ、すべての電圧無効電力調整機器に対して配分指定を行っていない場合は、順序指定データの優先順序に従い制御対象指定を拡大する(S71)。そして、新しい配分指定に従い、いずれかの配分指定による条件設定を行いL(S62〜S68)、P法最適計算を行う(S70)。以降、制約違反が無くなるか、またはすべての電圧無効電力調整機器に対しての配分指定を実行するまで、配分指定を変更してLP法最適計算を行う。
【0093】
このように、参考例2では、多頻度制御抑制順序指定手段25から順序指定のデータを取り込み、その順序に従って調整機器の多頻度制御抑制順序を決定できるものである。
【0094】
この参考例2によれば、電圧無効電力調整機器に対して多頻度制御抑制順序を指定することにより、調相器(電力用コンデンサ、分路リアクトル)や負荷時タップ付き変圧器LRTのように動作回数の制約がある機器に対する抑制が適切に選択できる。また、朝の電力需要の立ち上がり時や、昼休み時間帯のような負荷急変時に対応しての電圧無効電力調整機器の選択が可能となり、電力系統の電圧無効電力調整機器に柔軟に対応できる。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。図17は本発明の第4の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量継続判定手段27及び制御量保存手段29を設けたものである。図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0095】
図17において、制御量継続判定手段27は、制御量算出手段12で算出された制御量を入力し、その制御量が所定時間継続して出力されているか否かを判定する。制御量算出手段12は所定の周期で制御量の算出を行っているので、制御量継続判定手段27はその周期ごとに制御量の有無を判定し、連続して制御量有りの回数をカウントし、そのカウントした回数を制御量保存手段29に保存する。そして、その回数が所定回数以上となった場合に、制御量が所定時間継続して出力されていると判定する。
【0096】
そして、制御量算出手段12は、制御量継続判定手段27が所定時間以上継続した制御量である判定した場合に、指令出力手段14に電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力する。
【0097】
図18は、本発明の第4の実施の形態における制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャートである。図21に示した従来の制御量算出手段12の処理内容に対し、ステップS20及びステップS21が追加されている。すなわち、LP法による最適計算した(S4)後に、制御量継続判定手段27による判定結果をデータ入力する(S20)。
【0098】
そして、制御量継続判定手段27による判定結果が継続であるか否か、つまり制御量有りの回数が所定回数未満であるか否かを判定する(S21)。判定結果が継続(制御量有りの回数が所定回数未満)であるときは、次回の制御量算出手段27の算出周期まで制御実行を保留とする。
【0099】
一方、判定結果が制御実行であるとき(制御量有りの回数が所定回数以上となったとき)は、指令値作成を行う(S5)。これにより、指令出力手段14において電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力する。
【0100】
図19は、第4の実施の形態における制御量継続判定手段27の処理内容を示しフローチャートである。まず、制御量算出手段12から制御量を入力し(S81)、制御量保存手段29から前回実行時の連続して制御量有りの回数記録データを入力する(S82)。次に、今回の制御量がゼロか否かを判定し(S83)、今回の制御量がゼロである場合、上げ方向回数記録及び下げ方向回数記録をそれぞれ+1に回数を増加する(S84)。そして、制御量を継続とする(S85)。
【0101】
一方、今回の制御量がゼロでない場合は、制御量が上げ方向か下げ方向かを判定し(S86)、制御量が上げ方向の場合は、下げ方向回数記録を初期化(=0)とするとともに(S87)、上げ方向回数記録を+1増加する(S88)。一方、制御量が下げ方向の場合、上げ方向回数記録を初期化(=0)とするとともに(S89)、下げ方向回数記録を+1増加する(S90)。
【0102】
そして、今回の制御量と同一方向の回数記録を判定記録に代入し(S91)、この判定記録が規定値以上か否かを判定する(S92)。判定記録が規定値以内であれば、今回は制御量継続とし(S85)、一方、規定値以上であれば今回は制御実行とする(S93)。そして、この上げ方向回数記録、下げ方向回数記録を前回値として制御量保存手段26に保存する(S94)。
【0103】
以上の説明は、図20に示した従来の電圧無効電力監視制御装置に対し、制御量継続判定手段27及び制御量保存手段29を設けたものを示したが、第1の実施の形態乃至参考例2に対し、制御量継続判定手段27及び制御量保存手段29を設けるようにしても良い。
【0104】
この第4の実施の形態によれば、所定時間以上継続した制御量と判定された場合にのみ、指令出力手段14は電圧無効電力調整機器に対し制御量を指令出力する。つまり、電力系統の瞬時的な外乱変化のように所定時間以上制御量が継続しない場合は指令出力を行わないので、電圧無効電力調整機器の多頻度制御を抑制できる。
【0105】
なお、上述した各実施の形態において記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、記憶媒体に記憶しコンピュータの演算処理装置で実行処理することが可能である。
【0106】
本発明における記憶媒体としては、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク(CD−ROM、CD−R、DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、半導体メモリなど、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式はいずれの形態であっても良い。また、ここで記憶媒体とは、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネットなどにより伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0107】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電力系統において監視対象の母線電圧や無効電力潮流を目標値に維持する制御を行う場合に、電圧無効電力調整機器に可能な限り制御余裕を確保するとともに、各電圧無効電力調整機器の種別に対する制御頻度を考慮した制御が可能となる。
【0108】
また、線形計画法による連続量を離散値に置き換えることの制御誤差を是正し、仕上がり精度のよい制御が可能となる電圧無効電力監視制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における中央値偏差重み付き目的関数作成手段を有した制御量算出手段の処理内容を示すフローチャート。
【図3】 本発明の第2の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図4】 本発明の第2の実施の形態における制御量の重み付き目的関数作成手段を有した制御量算出手段の処理内容を示すフローチャート。
【図5】 本発明の第3の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図6】 本発明の第3の実施の形態における制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャート。
【図7】 本発明の参考例Aに係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図8】 本発明の参考例Aにおける制御量算出手段12の処理内容を示すフローチャート。
【図9】 本発明の参考例Aにおける不連続量変換付きLP法最適計算手段の処理内容を示すフローチャート。
【図10】 本発明の参考例Bに係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図11】 本発明の参考例Bにおける不連続量変換付きLP法最適計算手段の処理内容を示すフローチャート。
【図12】 本発明の参考例1に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図13】 本発明の参考例1における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段の処理内容を示すフローチャート。
【図14】 本発明の参考例1における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段の処理内容を示すフローチャート。
【図15】 本発明の参考例2に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図16】 本発明の参考例2における多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段の処理内容を示すフローチャート。
【図17】 本発明の第4の実施の形態に係る電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図18】 本発明の第4の実施の形態における制御量算出手段の処理内容を示すフローチャート。
【図19】 本発明の第4の実施の形態における制御量継続判定手段の処理内容を示すフローチャート。
【図20】 従来の電圧無効電力監視制御装置の構成図。
【図21】 従来の電圧無効電力監視制御装置の制御量算出手段における各電圧無効電力調整機器の制御量の算出手順を示すフローチャート。
【図22】 従来の電圧無効電力監視制御装置のLP法による最適計算における各電圧無効電力調整機器の制御量の算出手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…電圧無効電力監視制御装置、2…電力系統、3…電圧無効電力調整機器、4…情報伝送装置、5…所定の目的関数作成手段、11…電力系統情報把握手段、12…制御量算出手段、13…逸脱判定手段、14…指令出力手段、18…運用目標値設定手段、19…中央値偏差重み付き目的関数作成手段、20…制御量の重み付き目的関数作成手段、21…目的関数組込み選択手段、22…不連続量固定付きLP法最適計算手段、23…不連続変換順序指定手段、24…多頻度制御抑制付きLP法最適計算手段、25…多頻度制御抑制順序指定手段、27…制御量継続判定手段、29…制御量保存手段
Claims (7)
- 電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記中央偏差重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする電圧無効電力監視制御装置。 - 電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする電圧無効電力監視制御装置。 - 電力系統から状態量を検出し情報伝送装置を介して電子計算機に入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行う電圧無効電力監視制御装置において、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記中央値偏差重み付き目的関数作成手段で作成された中央値偏差重み付き目的関数、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された制御量の重み付き目的関数または前記目的関数Eのいずれを用いるか否かの選択を行う目的関数組込み選択手段と、前記目的関数組込み選択手段で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段とを備えたことを特徴とする電圧無効電力監視制御装置。 - 同一の電圧無効電力調整機器に対する同一方向の制御量の継続時間が所定時間継続したか否かを判定する制御量継続判定手段を設け、前記制御量算出手段は、前記制御量継続判定手段が所定時間以上継続した制御量である判定した場合に前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を指令出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電圧無効電力監視制御装置。
- 電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、前記情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記中央偏差重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させるための電圧無効電力監視制御プログラム。 - 電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、前記情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された目的関数または前記目的関数Eのいずれかにより監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させるための電圧無効電力監視制御プログラム。 - 電力系統から状態量を情報伝送装置を介して入力し、電力系統の系統情報に基づいて下記の目的関数Eを作成してその目的関数Eを解いて、
但し、
Ck:監視点kの電圧偏差の重み係数、
Cl:監視点lの無効電力潮流の重み係数、
Vk:監視点kの電圧現在値、
ΔVk:調整機器の調整量により変化する監視点kの電圧変化量、
Vrefk:監視点kの電圧設定値、
Ql:監視点lの無効電力潮流現在値、
ΔQl:調整機器の調整量により変化する監視点lの無効電力変化量、
Qrefl:監視点lの無効電力設定値、
母線電圧の大きさや無効電力潮流の監視制御を行うためにコンピュータを、情報伝送装置を介して伝送されてきた状態量を基に電力系統の系統情報を求める電力系統情報把握手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の調整可能範囲の中央値からの偏差重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る中央値偏差重み付き目的関数作成手段と、前記電力系統情報把握手段で求められた系統情報に基づいて前記電圧無効電力調整機器の制御量の重み付き2乗和の項を組み込んだ目的関数を作る制御量の重み付き目的関数作成手段と、前記中央値偏差重み付き目的関数作成手段で作成された中央値偏差重み付き目的関数、前記制御量の重み付き目的関数作成手段で作成された制御量の重み付き目的関数または前記目的関数Eのいずれを用いるか否かの選択を行う目的関数組込み選択手段と、前記目的関数組込み選択手段で選択された目的関数により監視対象となる母線電圧及び無効電力潮流が許容値以内に収まるように前記電力系統の複数箇所に設けた電圧無効電力調整機器の制御量を算出する制御量算出手段と、前記制御量算出手段で算出された前記電圧無効電力調整機器に対する制御量を情報伝送装置を介して指令出力する指令出力手段として機能させるための電圧無効電力監視制御プログラム。
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