JP4056815B2 - 流量調整器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、輸液剤、血液、血液成分、栄養剤等の液体(流体)の流量を調整(調節)するのに用いる流量調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輸液セットや輸血セットにおいては、チューブ内を流れる薬液、血液、血液成分等の液体(流体)の流量調整を行う必要がある。このため、それらのチューブの途中に流量調整器が取り付けられていることは、よく知られている。
【0003】
このような流量調整器としては、ローラー型のクレンメ(ローラークレンメ)がある。このローラークレンメは、クレンメ本体と、このクレンメ本体に移動可能に装着されたローラーとで構成されており、クレンメ本体の底面に傾斜を設け、このクレンメ本体とローラーの外周面との間にチュ−ブを挟み、ローラーを移動させることによって、チューブにおける挟まれた部位の内径を変化させて、チューブ内を流れる液体の流量調整を行なうようになっている。
また、クレンメ本体の底面に断面積が徐々に大きくして、ローラーによる押圧の度合いを変化させるものも提案されている。
【0004】
しかしながら、ローラークレンメは、ローラーにより軟質のチューブを押し潰し、チューブの内径を変化させて流量を調整するので、輸液剤(液体)の流量を所定の流量に調整した後に、長時間経過すると、チューブが変形して、輸液剤の流量が調整された流量から経時的に変化してしまうことがあるだけでなく、ローラーが露出しているため、医療従事者や患者の身体、輸液スタンド、輸液ポンプ等に触れると、ローラーが移動してまうことがあり、一定の流量を維持できないことがある。
【0005】
このような問題を解決しようとするものとして、ローラークレンメのカバー体が提案されている。このカバー体は、ローラーにより輸液剤(液体)の流量を所定の流量に調整した後に、ローラークレンメを内部に収容するもので、ローラーを所定の位置で係止する係止部を備えているため、ローラーが大きく移動してしまうことがなく、所定の範囲で流量を維持できるものである。
ところが、係止部がハウジングに設けられているので、ローラークレンメをカバー体に収容する際に、ローラーが係止部に当たって移動してしまうことがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流体が調整された所定の流量から経時的に変化することを抑制して、流体の高精度な流量制御を行うことができると共に、流体が調整された流量を所定の範囲で維持できる流量調整器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、以下に記載の本発明により達成される。
【0008】
(1) 流路を形成する筒状体と、一方面に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝が形成され、他方面が前記筒状体の内面に密着するように前記筒状体内に配置された硬質材料からなる流路制御部材と、前記筒状体を収容する支持体と、前記支持体に前記制御溝に沿って移動可能に係合され、前記筒状体の内面を前記流路制御部材の一方面に押圧する押圧部を有する作動部材とを備える流量調整器であって、前記作動部材の移動を制限する流量規制部材を有することを特徴とする流量調整器。
【0009】
(2) 前記流量規制部材は、前記作動部材の前記制御溝の横断面積が増加する方向への移動を制限するものである上記(1)に記載の流量調整器。
(3) 前記流量規制部材は、前記支持体に装着されるものである上記(1)または(2)に記載の流量調整器。
(4) 前記流量規制部材は、前記支持体に連結する連結部を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の流量調整器。
【0010】
(5) 前記流路制御部材は、一方面が凹状に形成されおり、他方面が凸状に形成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の流量調整器。
(6) 前記支持体は、前記作動部材の移動により調整される流量を示す目盛りが付された表示面を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の流量調整器。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、本発明は、これらの図面に限定されるものではない。
本発明の実施形態は、例えば、輸液剤、血液、血液成分、栄養剤等の液体(流体)の流量を調整するのに用いる流量調整器であって、主として、輸液セット、輸血セット、栄養セット等に組み込まれて使用されることを想定している。
なお、輸液剤の流量を調整するのに用いる流量調整器であって、輸液セットに組み込んで使用する場合を代表例として説明する。
【0012】
最初に、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aについて、図1〜8を用いて詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係わる流量調整器の斜視図であり、図2は、接続部材を一体的に備えた支持体の斜視図であり、図3は、流量規制部材を装着していない状態を示す斜視図であり、図4は、流量規制部材の斜視図である。
また、図5は、図1の流量調整器のA−A線における横断面図であり、図6は、図1の流量調整器のB−B線における横断面図であり、図7は、図1の流量調整器のC−C線における横断面図であり、図8は、図1の流量調整器のD−D線における横断面図である。
【0013】
第1の実施形態に係わる流量調整器1Aは、流路を形成する筒状体4と、一方面51に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝53が形成され、他方面52が筒状体4の内面に密着するように筒状体4内に配置された硬質材料からなる流路制御部材5と、筒状体4を収容する支持体2と、支持体2に制御溝53に沿って移動可能に係合され、筒状体4の内面を流路制御部材5の一方面53に押圧する押圧部31を有する作動部材3とを備えており、作動部材3の移動を制限する流量規制部材7を有することを特徴としている。
【0014】
この流量規制部材7は、作動部材3の制御溝53の横断面積が増加する方向への移動を制限するものである。
また、流量規制部材7は、支持体2に装着して用いられるものあり、支持体3に脱着することが可能である。
【0015】
流量調整器1Aは、流路を形成する軟質材料からなる筒状体4を備えており、この筒状体4は、可撓性のチューブにより構成されている。
チューブ4内には、硬質材料からなる流路制御部材5が配置されており、流路制御部材5によりチューブ4が押し広げられている。つまり、チューブ4の内周長は、流路制御部材5の外周長よりも短いものである。
【0016】
流路制御部材5は、一方面(上側面)51が凹状に形成されおり、他方面(下側面)52が凸状に形成されている。
流路制御部材5の一方面51とチューブ4の内面との間には、調整流路10が形成されている。そして、流路制御部材5の他方面52は、チューブ4の内面に密着している。流路制御部材5の断面形状は、一方面51と他方面52が緩やかな曲線で結ばれた丸みをおびた形状となっている。
【0017】
流路制御部材5の下流側端部は、流路制御部材5と同様な硬質材料からなる接続部材6が一体に形成されいる。この接続部材6は調整流路10に連通する連絡通路61を有している。一方、接続部材6の下流側端部は、輸液セットの下流ライン8に液密に接続されている。
チューブ4の下流側端部は、接続部材6に液密に接続されている。一方、チューブ4の上流側端部は、輸液セットの上流ラインを形成している。
【0018】
流路制御部材5の上側面51におけるほぼ中央には、流路制御部材5の長手方向(縦軸方向)に延びた制御溝53が形成されており、制御溝53の横断面積は、長手方向に沿って上流側に向かって0から除々に大きくなるように構成されている。
本実施形態では、横断面積を除々に大きくなるようにするために、制御溝53の深さを除々に変化させているが、制御溝53の幅、あるいは制御溝53の深さと幅の両者を変化させてもよい。また、逆に、制御溝53の横断面積が下流側に向かって徐々に大きくなるようにしてもよい。
【0019】
ここで、制御溝53の横断面積は、一般的な重力落下方式で輸液バッグから静脈に、例えば、生理食塩水等の輸液剤を点滴する場合に、0〜0.5mm程度であることが好ましい。但し、制御溝53の横断面積の大きさは、制御溝53の断面形状、流体の粘度等の性質、流量、流体に圧力を付与する手段(落差による方法、バルーン等の加圧手段による方法)等によって、その好適な範囲が異なるので、上記に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0020】
また、制御溝53の断面形状は、矩形(長方形)、U字形状、半円形状等のいずれであってもよい。
さらに、制御溝53は、流路制御部材5の長手方向に直線状に延びているが、波線状に延びていてもよい。なお、制御溝53の本数は、単数でも複数でもよいが、単数にすることにより、エアブロックによる流量変化を抑制できるという利点がある。
【0021】
チューブ4の外周部には、支持体2と、押圧部31を有する作動部材3が設けられており、この作動部材3は、支持体2の長手方向(縦軸方向)に沿って移動可能に係合されている。つまり、チューブ4は、支持体2と作動部材3との間に挟持されている。
【0022】
図7に示すように、作動部材3の押圧部31は、チューブ4の外部から流路制御部材5の上側面を押圧するように構成されており、流路制御部材5の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0023】
この押圧部31は、作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。作動部材3は、押圧部31の他面側に、作動部材3を移動させる際に用いる操作部32を備えており、この操作部32は作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。また、作動部材3は、押圧部31の両側に、作動部材3を支持体2に係合する一対の係合部33,34を備えており、この係合部33,34も作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。
【0024】
作動部材3における押圧部31の断面形状は、流路制御部材5の上側面51に対応するように、凸状に形成されている。押圧部31によりチューブ4を押圧してチューブ4の内側を流路制御部材5の上側面51に密着させることにより、長手方向に延びる調整流路10の一部分を制御溝53のみ、即ち、制御溝53におけるチューブ4に覆われた部分に限定することができる。これにより、チューブ4は、流路制御部材5の制御溝53を除く部分と密着し、流量をより正確に規定できる。
【0025】
流路制御部材5の上側面51における制御溝53よりも下流側には、制御溝53のない遮断領域54が形成されており、押圧部31によりチューブ4における下流端付近を押圧してチューブ4の内側を遮断領域54に密着させることにより、調整流路10を遮断して、輸液剤の流量をゼロの状態に維持することができる。このように、作動部材5により調整流路10が完全に押圧された圧閉状態とすることができる。
【0026】
また、制御溝53の上流側端部の断面積を大きく設定した開放領域55を形成することにより、調整流路10の流量が最大となる解除状態とすることができる。この開放領域55では、チューブ4と流路制御部材5とが密着しない構成として、押圧部31の押圧が解除される状態としてもよい。
押圧部31の位置が制御溝53上にあるときには、その位置における制御溝53の横断面積によって流量が調整され、その状態を維持することができる。
【0027】
作動部材3における操作部32は、横軸方向に凸状に延びる突出形状となっており、この操作部32に手指を掛けることにより、作動部材3を流路制御部材5の長手方向に沿って移動させる操作を容易に行うことができる。
【0028】
支持体2は、チューブ4を収容(支持)するトレー部21と、このトレー部21の両側に設けられ、作動部材3を移動可能に保持する保持部22,23と、この保持部22,23の上側面の表面積を拡大する拡張部24,25とを有している。
トレー部21の底面には、チューブ4だけでなく、図示のように作動部材3の係合部33,34の一部分が接触するようになっている。これにより、作動部材3の押圧部31とチューブ4および流路制御部材5との位置関係を適切に維持することができる。
【0029】
保持部22,23には、作動部材3の係合部33,34が各々係合され、摺動可能(移動可能)になっている。支持体2から作動部材3が脱落しないようにするためには、保持部22,23と係合部33,34との接触面積を大きくすることが好ましい。具体的には、図7にされているように、保持部22,23が係合部33,34に覆われるようになっていることが好適である。
【0030】
拡張部24,25の上側面は、作動部材3の移動により調整される流量を示す目盛りが付された表示面を形成している。表示面には、作動部材3によって調整される流量の目盛りの他に、圧閉状態(ストップ)、解除状態(フラッシュ)等の押圧状態が表示されている。
拡張部24,25の大きさは、目盛り等の表示の大きさが見やすい大きさで、かつ作動部材3を調整する操作が行い易い大きさにすることが好適である。なお、図示したように、目盛り等の表示は拡張部24だけでもよく、また、拡張部24,25の両方に表示してもよい。
【0031】
支持体2の下流側端部には、接続部材6が装着または一体に形成されている。本実施形態では、支持体2は第1の接続部材6と一体に形成されている。このため、支持体2、接続部材6および流量制御部材5の3つの部材が一体に形成されている。これにより、組立て時における部品点数を低減することができる。なお、接続部材6を支持体2とは別体として形成し、嵌合等の手段により組み立てる構成としてもよい。
【0032】
接続部材6は、チューブ4を液密に接続する第1コネクタ61と、この第1コネクタ61の他端側に輸液セットの下流ライン8を液密に接続する第2コネクタ62とを有している。上述したように、接続部材6は、調整流路10に連絡する連絡通路を備えているので、輸液剤は調整流路10から連絡通路61を通って輸液セットの下流ライン8に流れるようになっている。
【0033】
図1に示すように、支持体2の上流側端部付近(他端部付近)には、流量規制部材7が装着されている。この流量規制部材7により、作動部材3の移動範囲が制限されている。
本実施形態における流量規制部材7は、作動部材3の上流側方向への移動を規制している。換言すれば、流量規制部材7は、作動部材3の制御溝53の横断面積が増加する方向への移動を制限している。
【0034】
図4に示すように、流量規制部材7は、作動部材3の移動を制限する規制部71と、支持体2に係合する一対の装着部72,73と、チューブ4の外周を覆う凹状部74とから構成されている。
規制部71は、作動部材3の上流側方向への移動したときに、作動部材3に直接接触することにより、作動部材3の移動範囲を制限している。
図1および図4に示す流量規制部材7は、作動部材3が開放領域55に移動することを防止するものであるが、規制部71の長さ(突出長)を変更することによって、作動部材3の制限される移動範囲が決定する。
【0035】
図9は、他の流量規制部材を装着した状態を示す斜視図である。図9における流量規制部材7は、図1における流量規制部材7と比較して、規制部71が大きく突出している。このように、規制部71の突出長を大きく(長く)することにより、流量規制部材7により制限される範囲が大きくなるので、作動部材3の移動範囲は小さくなる。
このように、規制部71の突出長が異なる流量規制部材7を複数用意しておくことにより、調整する輸液剤の流量に応じて適切な範囲で、作動部材3の移動範囲を設定(制限)することができる。
【0036】
装着部72,73は、支持体2における嵌合部26,27に装着し、嵌合(係合)するように構成されいる。これにより、流量規制部材7は、支持体2に固定されている。流量規制部材7は、一旦、支持体2に装着しても、取り外すことが可能になっている。このため、支持体2に流量規制部材7を装着した後に、更に作動部材3の移動領域(移動範囲)を狭めたいときには、規制部71の突出長が大きい流量規制部材7を装着し直すことができる。
【0037】
図5に示すように、凹状部74は、流量規制部材7を支持体2に装着したときに、チューブ4の外周を覆うと共に、支持体2におけるトレー部21および保持部22,23に接触するような形状をなしている。
本実施形態では、凹状部74のトレー部21および保持部22,23に対する接触面積が大きいので、装着部72,73に負担がかかることなく、流量規制部材7は支持体2への装着状態を維持できるようになっている。
【0038】
また、本実施形態では、流量規制部材7における凹状部74により、チューブ4が適度に圧迫されている。これにより、作動部材3を支持体2に沿って移動したときに、チューブ4が捻じれることが抑制されている。
【0039】
次に、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aにおける各構成部材の材料について説明する。
支持体2の材料としては、作動部材3を保持できる程度の強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
【0040】
作動部材3の材料としては、チューブ4を変形させることができる適度な強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。なお、作動部材3に粗面加工、シリコーン等のオイル塗布、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム積層やその他の低摩擦処理を施すことにより、作動部材3の移動による摩擦を低減し、操作性を向上させることもできる。
【0041】
チューブ(筒状体)4の材料としては、一定範囲で弾性的に変形し、かつ復元性を有するものが好ましく、例えば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等の各種ゴム材料、ポリブタジエン、EVA等軟質のポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、筒状体(チューブ)4の内部の視認性を確保し、気泡等を確認できるように、透明または半透明な材質であることが好ましい。
【0042】
流量制御部材5の材料としては、調整流路10を安定して形成することができる適度な強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等の高分子材料が挙げられる。
また、接続部材6および流量規制部材7の材料としても、流量制御部材5と同様な材料を用いることができる。
【0043】
次に、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aの作用について説明する。
[1] 輸液バッグを患者の腕よりも高い位置に設置して、輸液セットのビン針を輸液バッグに接続する。この際には、輸液剤の流量をゼロにする(輸液剤の流れをストップする)。作動部材3を下流側に移動させて、作動部材3における押圧部31によりチューブ4の下流端部付近を圧閉して、チューブ4の下流端部付近の内面を流量制御部材5の上側面51の遮断領域54に密着させる。これにより、調整流路10を遮断し、輸液剤の流量をゼロにすることができる。
【0044】
[2] 上記[1]の状態で、最初にプライミング操作を行う。作動部材3の位置を輸液剤の流量が最大になるように調整して、輸液バッグに収容された輸液剤をチューブ(筒状体)4、調整流路10、下流ライン8を経て、輸液セットの注射針まで流して、輸液セットが輸液剤で満たされた状態にする。
この状態で、再び、作動部材3の位置を移動して、輸液剤の流れを停止し、プライミング操作を終了する。
【0045】
[3] 上記[2]の状態で、患者の静脈に輸液セットの注射針を穿刺して、輸液剤の投与を開始するとともに、作動部材3を流路制御部材5の長手方向に沿って移動して、作動部材3における押圧部31によりチューブ4の所定部位を押圧し、チューブ4の所定部位の内側を流量制御部材5の上側面(一方面)51に密着させる。
これにより、制御溝53におけるチューブ4に覆われた部位、換言すれば、調整流路10が制御溝53に限定された部位の横断面積(容積)を変化させて、調整流路10の管路抵抗を変化させ、輸液剤の流量を所定流量に調整することができる。
【0046】
[4] 上記[4]の状態で、流量規制部材7を支持体2に装着する。これにより、作動部材3の流量が増大する方向への移動が制限される。
【0047】
[5] 輸液剤を一時的に急速かつ大量に流す場合には、流量規制部材7を支持体2から取り外して、作動部材3を上流側の開放領域55の位置まで移動させることにより、輸液剤のフラッシュさせることができる。その後、再度、流量規制部材7を支持体2に装着することにより、作動部材3の流量が増大する方向への移動を制限することができる。
【0048】
以上のように、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aによれば、作動部材3を移動して、流路制御部材5の一方面51とチューブ4の内面とにより形成される調整流路10の容積を調整することにより、輸液剤の流量を調整するができる。これにより、正確な流量規定が可能となるとともに、輸液剤の流量調整後において、輸液剤の流量が経時的に変化することを抑制できる。
【0049】
また、流量調整器1Aは、作動部材3の移動を制限する流量規制部材7を有することにより、輸液剤が調整された流量を所定の範囲で維持できる。
特に、流量規制部材7によって、作動部材3の制御溝53の横断面積が増加する方向への移動を制限することにより、急激に大量な輸液剤が投与されることを防止することができる。
【0050】
次に、第2の実施形態に係わる流量調整器1Bについて、図10を用いて説明する。なお、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aと、同様な構成については詳細な説明を省略し、異なる構成について説明する。
図10は、第2の実施形態に係わる流量調整器の斜視図である。
【0051】
第2の実施形態に係わる流量調整器1Bは、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aと同様に、流路を形成する筒状体4と、一方面51に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝53が形成され、他方面52が筒状体4の内面に密着するように筒状体4内に配置された硬質材料からなる流路制御部材5と、筒状体4を収容する支持体2と、支持体2に制御溝53に沿って移動可能に係合され、筒状体4の内面を流路制御部材5の一方面53に押圧する押圧部31を有する作動部材3とを備えており、作動部材3の移動を制限する流量規制部材7aを有することを特徴としている。
【0052】
この流量規制部材7aは、作動部材3の制御溝53の横断面積が増加する方向への移動を制限するものである。
また、流量規制部材7aは、支持体2に装着して用いられるものあり、支持体2に脱着することが可能である。
また、流量規制部材7aは、支持体2に連結する連結部75を有するものであり、連結部75により支持体2に連結されている。
【0053】
流量規制部材7aは、作動部材3の移動を制限する規制部71と、チューブ4の外周を覆う凹状部74aと、支持体2に固定する連結部75とから構成されている。
規制部71は、上述した流量規制部材7における規制部71と同様なものであり、作動部材3の上流側方向への移動したときに、作動部材3に直接接触することにより、作動部材3の移動範囲を制限するものである。
【0054】
本実施形態における規制部71は、作動部材3が開放領域55に移動することを防止するものであるが、規制部71の長さ(突出長)を変更することによって、作動部材3の制限される移動範囲が変更可能である。
【0055】
凹状部74aは、流量規制部材7を支持体2に装着したときに、チューブ4の外周を覆うと共に、支持体2におけるトレー部21に接触するような形状をなしている。
本実施形態では、流量規制部材7における凹状部74aにより、チューブ4が適度に圧迫されている。これにより、作動部材3を支持体2に沿って移動したときに、チューブ4が捻じれることが抑制されている。
【0056】
連結部75は、帯状の形状をなし、流量規制部材7(流量規制部材7の本体)から延び、先端が支持体2に連結されている。
この連結部75により、流量規制部材7が支持体2に固定されていればよく、流量規制部材7を支持体2と一体的に形成しても、別体として形成して連結(接合)してもよい。
本実施形態では、流量規制部材7が連結部75を有することにより、流量規制部材7を流量調整器1Bとは別に持ち運ぶ必要がなく、簡単に支持体2に流量規制部材7を装着することができる。
【0057】
第2の実施形態に係わる流量調整器1Bにおける各構成部材の材料は、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aにおける各構成部材の材料と同様なものを用いることができる。
また、第2の実施形態に係わる流量調整器1Bの作用についても、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aとほぼ同様である。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これに限らず、例えば、流量規制部材は、作動部材の制御溝の横断面積が増加する方向への移動を制限するもの(上限流量)ではなく、作動部材の制御溝の横断面積が減少する方向への移動を制限するもの(下限流量)であってもよく、また、両者(上限流量および下限流量)を制限するものであってもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明の流量調整器によれば、作動部材を移動して、流路制御部材の一方面と筒状体の内面とにより形成される調整流路の容積を調整することにより、液体の流量を調整するができる。これにより、正確な流量規定が可能となるとともに、輸液剤の流量調整後において、輸液剤の流量が経時的に変化することを抑制できる。
【0060】
また、流量調整器は、作動部材の移動を制限する流量規制部材を有することにより、輸液剤が調整された流量を所定の範囲で維持できる。
特に、流量規制部材によって、作動部材の制御溝の横断面積が増加する方向への移動を制限することにより、急激に大量な輸液剤が投与されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施形態に係わる流量調整器の斜視図である。
【図2】図2は、第1の接続部材を一体に備えた支持体の斜視図である。
【図3】図3は、流量規制部材を装着していない状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、流量規制部材の斜視図である。
【図5】図5は、図1の流量調整器のA−A線における横断面図である。
【図6】図6は、図1の流量調整器のB−B線における横断面図である。
【図7】図7は、図1の流量調整器のC−C線における横断面図である。
【図8】図8は、図1の流量調整器のD−D線における横断面図である。
【図9】図9は、他の流量規制部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係わる流量調整器の斜視図である。
【符号の説明】
1A,1B 流量調整器
10 調整流路
2 支持体
21 トレー部
22,23 保持部
24,25 拡張部
26,27 嵌合部
3 作動部材
31 押圧部
32 操作部
33,34 係合部
4 筒状体
5 流量制御部材
51 一方面
52 他方面
53 制御溝
54 遮断領域
55 開放領域
56,57 係止部
6 接続部材
61 第1コネクタ
62 第2コネクタ
7,7a 流量規制部材
71 規制部
72,73 装着部
74,74a 凹状部
75 連結部
8 下流ライン

Claims (6)

  1. 流路を形成する筒状体と、
    一方面に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝が形成され、他方面が前記筒状体の内面に密着するように前記筒状体内に配置された硬質材料からなる流路制御部材と、
    前記筒状体を収容する支持体と、
    前記支持体に前記制御溝に沿って移動可能に係合され、前記筒状体の内面を前記流路制御部材の一方面に押圧する押圧部を有する作動部材とを備える流量調整器であり、
    前記流路制御部材の上流側には、前記制御溝の横断面積の断面積を大きく設定することで前記流路の流量が最大となる開放領域が形成され、前記流路制御部材の下流側には、前記制御溝のない遮断領域が形成され、
    前記作動部材は前記開放領域と前記遮断領域との間を移動できるものであって、
    前記作動部材の移動を制限する流量規制部材が支持体に装着されることによって、前記作動部材は前記開放領域と前記遮断領域との間を移動する範囲が制限されることを特徴とする流量調整器。
  2. 前記流量規制部材は、取り外し、再装着が可能であることを特徴とする請求項1に記載の流量調整器。
  3. 前記流量規制部材は、前記作動部材の前記制御溝の横断面積が増加する方向への移動を制限するものである請求項1ないし2に記載の流量調整器。
  4. 前記流量規制部材は、前記支持体に連結する連結部を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の流量調整器。
  5. 前記流路制御部材は、一方面が凹状に形成されおり、他方面が凸状に形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の流量調整器。
  6. 前記支持体は、前記作動部材の移動により調整される流量を示す目盛りが付された表示面を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の流量調整器。
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