JP4298230B2 - 流量調整器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、輸液剤、血液、血液成分、栄養剤等の液体(流体)の流量を調整するのに用いる流量調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輸液セットや輸血セットにおいては、チューブ内を流れる薬液、血液、血液成分等の液体(流体)の流量調整(調節)を行う必要がある。そして、そのためにそれらのチューブの途中に流量調整器が取り付けられていることは、よく知られている。
【0003】
このような流量調整器としては、ローラー型のクレンメ(ローラークレンメ)がある。このローラークレンメは、クレンメ本体と、このクレンメ本体に移動可能に装着されたローラーとで構成されており、クレンメ本体の底面に傾斜を設け、このクレンメ本体とローラーの外周面との間にチュ−ブを挟み、ローラーを移動させることによって、チューブにおける挟まれた部位の内径を変化させて、チューブ内を流れる液体の流量調整を行なうようになっている。
また、クレンメ本体の底面に断面積が徐々に大きくして、ローラーによる押圧の度合いを変化させるものも提案されている。
【0004】
しかしながら、ローラクレンメは、ローラーにより軟質のチューブを押し潰し、チューブの内径を変化させて流量を調整するので、所定の流量に調整した後に、長時間経過すると、チューブが変形して、流体の流量が調整された所定の流量から経時的に変化してしまう問題がある。
【0005】
このような問題を解決しようとするものとして、例えば、実開平1−156363号公報には、クレンメ本体と、このクレンメ本体に移動可能に装着されたローラーと、クレンメ本体とローラーとの間に挟まれたチューブの内腔に挿入された芯材とで構成されており、芯材のローラー側に傾斜の付いた溝を設けることにより、チューブ内を流れる液体の流量調整を行なうものが記載されている。
ところが、このローラクレンメは、流量を調整する際には、ローラーを回転させるので、芯材がローラーに押されてチューブ内で移動したり、捻じれたりすることがあり、このような場合には流量を所定量に調整できないという問題があった。
また、ローラーを移動して、所定の流量に調整した後も、チューブが捻じれたり、引かれたりすると、芯材がクレンメ本体やローラーに対してずれることがあり、このような場合には流量を所定量に維持できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流体が調整された所定の流量から経時的に変化することを抑制して、流体の高精度な流量制御を行うことができると共に、流量調整を簡単かつ確実に行うことができる流量調整器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、以下に記載の本発明により達成される。
【0008】
(1) 流路を形成する筒状体と、一面側に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝が形成され、他面側が前記筒状体の内面に密着するように前記筒状体内に配置された硬質材料からなる流路制御部材と、一端部と他端部とを有し、前記一端部と前記他端部とで前記筒状体を固定することにより、前記筒状体を支持する支持体と、前記流路制御部材と一体に形成され、前記支持体の一端部に装着または一体に形成された接続部材と、前記支持体に前記制御溝に沿って移動可能に係合され、前記筒状体の内面を前記流路制御部材の一面側に押圧する押圧部を有する作動部材と、前記筒状体を外部から覆うようにして支持する一対の支持部と、前記支持体に装着する一対の装着部とを有し、前記支持体の他端部付近に装着され、前記筒状体の他端部を外部から固定する固定部材とを備えている流量調整器。
【0009】
(2) 前記接続部材は、前記支持体と一体に形成されている上記(1)に記載の流量調整器。
【0010】
(3) 前記固定部材は、前記流路制御部材の他端部に係合されている上記(1)及び(2)に記載の流量調整器。
【0011】
(4) 前記流路制御部材は一対の係止部を有し、前記支持部は前記係止部に係合するように前記筒状体を外部から覆うものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の流量調整器。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、本発明は、これらの図面に限定されるものではない。
本発明の実施形態は、例えば、輸液剤、血液、血液成分、栄養剤等の液体(流体)の流量を調整するのに用いる流量調整器であって、主として、輸液セット、輸血セット、栄養セット等に組み込まれて使用されることを想定している。
なお、輸液剤の流量を調整するのに用いる流量調整器であって、輸液セットに組み込んで使用する場合を代表例として説明する。
【0018】
最初に、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aについて、図1〜6を用いて詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係わる流量調整器の斜視図であり、図2は、第1の接続部材を一体に備えた支持体の斜視図であり、図3は、第2の接続部材の斜視図である。また、図4は、図1の流量調整器のA−A線における横断面図であり、図5は、図1の流量調整器のB−B線における横断面図であり、図6は、図1の流量調整器のC−C線における横断面図である。
【0019】
第1の実施形態に係わる流量調整器1Aは、流路を形成する筒状体4と、一面側51に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝53が形成され、他面側52が筒状体4の内面に密着するように筒状体4内に配置された硬質材料からなる流路制御部材5と、筒状体4を支持する支持体2と、支持体2に制御溝53に沿って移動可能に係合され、筒状体4の内面を流路制御部材5の一面側51に押圧する押圧部31を有する作動部材3とを備えており、筒状体4は、支持体2の両端部に固定されていることを特徴としている。
【0020】
また、流量調整器1Aは、支持体2の一端部に装着または一体に形成された第1の接続部材6を備えており、流路制御部材5は、第1の接続部材6と一体に形成されており、筒状体4は、一端部が第1の接続部材6に接続されている。
この流量調整器1Aは、支持体2の他端部付近に装着された第2の接続部材7を備え、筒状体4は、他端部が第2の接続部材7に接続されている。
【0021】
流量調整器1Aは、流路を形成する軟質材料からなる筒状体4を備えており、この筒状体4は、可撓性のチューブにより構成されている。
筒状体4内には、硬質材料からなる流路制御部材5が配置されており、流路制御部材5により筒状体4が押し広げられている。つまり、筒状体4の内径は、流路制御部材5の外周長よりも短いものである。
【0022】
流路制御部材5の上側面(一面側)51は、凹状に構成されており、流路制御部材5の上側面51と筒状体4の内面との間には、調整流路10が形成されている。また、流路制御部材5の下側面(他面側)52は、凸状に構成されており、筒状体4の内面に密着している。流路制御部材5の断面形状は、上側面51と下側面52が緩やかな曲線で結ばれた丸みをおびた形状となっている。
【0023】
流路制御部材5の下流側端部(一端部)は、流路制御部材5と同様な硬質材料からなる第1の接続部材6が一体に形成されており、この第1の接続部材6は調整流路10に連通する連絡通路61を有している。第1の接続部材6の下流側端部は、輸液セットの下流ライン(図示せず)に液密に接続されている。
【0024】
そして、筒状体4の下流側端部(一端部)は、第1の接続部材6に液密に接続されている。一方、筒状体4の上流側端部(他端部)は、第2の接続部材7に液密に接続されている。この第2の接続部材7は、調整流路10に連通する連絡通路71を有しており、第2の接続部材7の上流側端部は、輸液セットの上流ライン(図示せず)に液密に接続されている。
【0025】
流路制御部材5の上側面51には、流路制御部材5の長手方向(縦軸方向)に延びた制御溝53が形成されており、制御溝53の横断面積は、長手方向に沿って上流側に向かって0から除々に大きくなるように構成されている。本実施形態では、横断面積を除々に大きくなるようにするために、制御溝53の深さを除々に変化させているが、制御溝53の幅、あるいは制御溝53の深さと幅の両者を変化させてもよい。また、逆に、制御溝53の横断面積が下流側に向かって徐々に大きくなるようにしてもよい。
【0026】
ここで、制御溝53の横断面積は、一般的な重力落下方式で輸液バッグから静脈に、例えば、生理食塩水等の輸液剤を点滴する場合に、0〜0.5mm2程度であることが好ましい。但し、制御溝53の横断面積の大きさは、制御溝53の断面形状、流体の粘度等の性質、流量、流体に圧力を付与する手段(落差による方法、バルーン等の加圧手段による方法)等によって、その好適な範囲が異なるので、上記に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0027】
また、制御溝53の断面形状は、矩形(長方形)、U字形状、半円形状等のいずれであってもよい。
さらに、制御溝53は、流路制御部材5の長手方向に直線状に延びているが、波線状に延びていてもよい。なお、制御溝53の本数は、単数でも複数でもよいが、単数にすることにより、エアブロックによる流量変化を抑制できるという利点がある。
【0028】
また、この実施形態では、制御溝53を流量制御部材5に設けたものであるが、制御溝53を筒状体4に設ける構成としてもよい。この場合には、作動部材3により筒状体4が変形することを考慮して、制御溝53の大きさが設定される。
【0029】
筒状体4の外周部には、支持体2と、押圧部31を有する作動部材3が設けられており、この作動部材3は、支持体2の長手方向(縦軸方向)に沿って移動可能に係合されている。つまり、筒状体4は、支持体2と作動部材3との間に挟持されている。
【0030】
図5に示すように、作動部材3の押圧部31は、筒状体4の外部から流路制御部材5の上側面を押圧するように構成されており、流路制御部材5の長手方向に沿って移動可能となっている。
この押圧部31は、作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。作動部材3は、押圧部31の他面側に、作動部材3を移動させる際に用いる操作部32を備えており、この操作部32は作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。また、作動部材3は、押圧部31の両側に、作動部材3を支持体2に係合する一対の係合部33,34を備えており、この係合部33,34も作動部材3(作動部材3の本体)と一体に形成されている。
【0031】
作動部材3における押圧部31の断面形状は、流路制御部材5の上側面51に対応するように、凸状に構成されいる。押圧部31により筒状体4を押圧して筒状体4の内側を流路制御部材5の上側面51に密着させることにより、調整流路10の一部分を制御溝53のみ、即ち、制御溝53における筒状体4に覆われた部分に限定することができる。これにより、筒状体4は、流路制御部材5の制御溝53を除く部分と密着し、流量をより正確に規定できる。
【0032】
流路制御部材5の上側面51における制御溝53よりも下流側には、制御溝53のない遮断領域54が形成されており、押圧部31により筒状体4における下流端付近を押圧して筒状体4の内側を遮断領域54に密着させることにより、調整流路10を遮断して、輸液剤の流量をゼロの状態に維持することができる。このように、作動部材5により調整流路10が完全に押圧された圧閉状態とすることができる。
【0033】
また、制御溝53の上流側端部の断面積を大きく設定した開放領域55を形成することにより、調整流路10の流量が最大となる解除状態とすることができる。この開放領域55では、筒状体4と流路制御部材5とが密着しない構成として、押圧部31の押圧が解除される状態としてもよい。
【0034】
押圧部31の位置が制御溝53上にあるときには、その位置における制御溝53の横断面積によって流量が調整され、その状態を維持することができる。
【0035】
作動部材3における操作部32は、横軸方向に凸状に延びる突出形状となっており、この操作部32に手指を掛けることにより、作動部材3を流路制御部材5の長手方向に沿って移動させる操作を容易に行うことができる。
【0036】
支持体2は、筒状体4を支持するトレー部21と、このトレー部21の両側に設けられ、作動部材3を移動可能に保持する保持部22,23と、この保持部22,23の上側面の表面積を拡大する拡張部24,25とを有している。
トレー部21の底面には、筒状体4だけでなく、図示のように作動部材3の係合部33,34の一部分が接触するようになっている。これにより、作動部材3の押圧部31と筒状体4および流路制御部材5との位置関係を適切に維持することができる。
【0037】
保持部22,23には、作動部材3の係合部33,34が各々係合され、摺動可能(移動可能)になっている。支持体2から作動部材3が脱落しないようにするためには、保持部22,23と係合部33,34との接触面積を大きくすることが好ましい。具体的には、図5にされているように、保持部22,23が係合部33,34に覆われるようになっていることが好適である。
【0038】
拡張部24,25の上側面には、作動部材3によって調整される流量における流量の目盛り、圧閉状態(ストップ)、解除状態(フラッシュ)等の押圧状態が表示されている。拡張部24,25の大きさは、目盛り等の表示の大きさが見やすい大きさで、かつ作動部材3を調整する操作が行い易い大きさにすることが好適である。なお、図示したように、目盛り等の表示は拡張部24だけでもよく、また、拡張部24,25の両方に表示してもよい。
【0039】
支持体2の下流側端部(一端部)には、第1の接続部材6が装着または一体に形成されている。図示した仕様では、支持体2は第1の接続部材6と一体に形成されている。このため、この実施形態では、支持体2、第1の接続部材6および流量制御部材5の3つの部材が一体に形成されている。これにより、組立て時における部品点数を低減することができる。なお、第1の接続部材6を支持体2とは別体として形成し、嵌合等の手段により組み立てる構成としてもよい。
【0040】
第1の接続部材6は、筒状体4を液密に接続する第1コネクタ62と、この第1コネクタ62の他端側に輸液セットの下流ライン(図示せず)を液密に接続する第2コネクタ63とを有している。上述したように、第1の接続部材6は、調整流路10に連絡する連絡通路61を備えているので、輸液剤は調整流路10から連絡通路61を通って輸液セットの下流ラインに流れるようになっている。
【0041】
支持体2の上流側端部付近(他端部付近)には、第2の接続部材7が装着されている。第2の接続部材7は、筒状体4を液密に接続する第1のコネクタ72と、この第1のコネクタ72の他端側に輸液セットの上流ライン(図示せず)を液密に接続する第2のコネクタ73と、支持体2に装着する一対の装着部74,75とを有している。上述したように、第2の接続部材7は、調整流路10に連絡する連絡通路71を備えているので、輸液剤は輸液セットの上流ラインから連絡通路61を通って調整流路10に流れるようになっている。
【0042】
第2の接続部材7における装着部74,75を支持体2における保持部22,23に各々装着することにより、第2の接続部材7は支持体2に固定される。
【0043】
また、図2に示されているように、支持体2における保持部22,23には、第2の接続部材7における装着部74,75の先端部を嵌合させる一対の嵌合部26,27が設けられている。この嵌合部26,27を設けることにより、一旦、支持体2に第2の接続部材7を装着すると、装着部74,75が嵌合部26,27に嵌合されるので、簡単には取り外しができないように構成されている。
なお、図示した仕様では、第1の接続部材6がトレー部21と一体に形成されており、第2の接続部材7が支持体2と別体となっているが、第2の接続部材7をトレー部21と一体に形成し、第1の接続部材6を支持体2と別体としても差し支えない。
【0044】
次に、流量調整器1Aにおける各構成部材の材料について説明する。
支持体2の材料としては、作動部材3を保持できる程度の強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。
【0045】
作動部材3の材料としては、筒状体4を変形させることができる適度な強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。なお、作動部材3に粗面加工、シリコーン等のオイル塗布、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム積層やその他の低摩擦処理を施すことにより、作動部材3の移動による摩擦を低減し、操作性を向上させることもできる。
【0046】
筒状体4の材料としては、一定範囲で弾性的に変形し、かつ復元性を有するものが好ましく、例えば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等の各種ゴム材料、ポリブタジエン、EVA等軟質のポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、筒状体(チューブ)4の内部の視認性を確保し、気泡等を確認できるように、透明または半透明な材質であることが好ましい。
【0047】
流量制御部材5の材料としては、調整流路10を安定して形成することができる適度な強度を有するものが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド等の高分子材料が挙げられる。なお、第1の接続部材6および第2の接続部材7の材料としても、同様な材料を用いることができる。
【0048】
次に、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aの作用について説明する。
[1] 輸液バッグを患者の腕よりも高い位置に設置すると、輸液バッグに収容された輸液剤(流体)は、輸液セットの上流ライン、流量調整器1Aの調整流路10、輸液セットの下流ラインを経て、患者の静脈に穿刺された注射針に流れる状態または流れ得る状態になる。
【0049】
[2] 前記[1]の状態で、輸液剤の流量を調整(調節)する場合には、作動部材3を流路制御部材5の長手方向に沿って移動して、作動部材3における押圧部31によりチューブ(筒状体)4の所定部位を押圧し、チューブ4の所定部位の内側を流量制御部材5の上側面51に密着させる。これにより、制御溝53におけるチューブ4に覆われた部位、換言すれば、調整流路10が制御溝53に限定された部位の横断面積(容積)を変化させて、調整流路10の管路抵抗を変化させ、輸液剤の流量を所定流量に調整することができる。
【0050】
[3] 前記[1]の状態で、輸液剤の流量をゼロにする(輸液剤の流れをストップする)場合には、作動部材3を下流側に移動させて、作動部材3における押圧部31によりチューブ4の下流端部付近を圧閉して、チューブ4の下流端部付近の内面を流量制御部材5の上側面51の遮断領域54に密着させる。これにより、調整流路10を遮断し、輸液剤の流量をゼロにすることができる。
【0051】
[4] 輸液剤を一時的に急速かつ大量に流す場合には、作動部材3を上流側の開放領域55の位置まで移動させることにより、輸液剤のフラッシュさせることができる。
【0052】
以上のように、第1の実施形態に係わる流量調整器1Aによれば、作動部材3を移動し制御溝53におけるチューブ(筒状体)2に覆われた部位の容積を変化させて、輸液剤の流量を調整することにより、正確な流量規定が可能となるとともに、輸液剤の流量調整後において、輸液剤の流量が経時的に変化することを抑制できるので、輸液剤の高精度な流量制御を行うことができる。
【0053】
特に、流量調整器1Aにおいて、チューブ2は、一端部が支持体2の一端部に装着または一体に形成された第1の接続部材5に接続されており、他端部が支持体2の他端部付近に装着された第2の接続部材7に接続されているので、支持体2の両端部で固定されている。また、流路制御部材5は、第1の接続部材と一体に形成されている。
【0054】
これらにより、作動部材3を移動させても、流路制御部材5が支持体2や筒状体4に対して捻じれることがないので、流量調整を簡単かつ確実に行うことができる。また、所定の流量に調整した後に、チューブが捻じれたり、引かれたりした場合でも、流路制御部材5が支持体2や作動部材3に対してずれることがないので、調整した流量を確実に維持することができる。
【0055】
次に、第2の実施形態に係わる流量調整器1Bについて、図8〜10を用いて説明する。なお、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aと、同様な構成については詳細な説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
図7は、第2の実施形態に係わる流量調整器の斜視図であり、図8は、第1の接続部材を一体に備えた支持体の斜視図であり、図9は、固定部材の斜視図である。また、図10は、固定部材が装着されていない状態の流量調整器の斜視図である。
【0056】
第2の実施形態に係わる流量調整器1Bは、流路を形成する筒状体4と、一面側51に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝53が形成され、他面側52が筒状体4の内面に密着するように筒状体4内に配置された硬質材料からなる流路制御部材5と、筒状体4を支持する支持体2と、支持体2に制御溝53に沿って移動可能に係合され、筒状体4の内面を流路制御部材5の一面側51に押圧する押圧部31を有する作動部材3とを備えており、筒状体4は、支持体2の両端部に固定されていることを特徴としている。
【0057】
また、流量調整器1Bは、支持体2の一端部に装着または一体に形成された第1の接続部材6を備えており、流路制御部材5は、第1の接続部材6と一体に形成されており、筒状体4は、一端部が第1の接続部材6に接続されている。
この流量調整器1Bは、支持体2の他端部付近に装着され、筒状体4の他端部を外部から固定する固定部材8を備えている。この固定部材8は、流路制御部材5の他端部に係合されている。
【0058】
流量調整器1Bは、可撓性のチューブにより構成された筒状体4を備えており、この筒状体4内には、流路制御部材5が配置されている。そして、流路制御部材5により筒状体(チューブ)4が押し広げられている。流路制御部材5の上側面51と筒状体4の内面との間には、調整流路10が形成されている。流路制御部材5の断面形状は、上側面51と下側面52が緩やかな曲線で結ばれた丸みをおびた形状となっている。
【0059】
流路制御部材5の下流側端部(一端部)は、流路制御部材5と同様な硬質材料からなる第1の接続部材6が一体に形成されており、この第1の接続部材6は調整流路10に連通する連絡通路61を有している。第1の接続部材6の下流側端部は、輸液セットの下流ライン(図示せず)に液密に接続されている。
【0060】
そして、筒状体4の下流側端部(一端部)は、第1の接続部材6に液密に接続されている。一方、筒状体4の上流側端部(他端部)は、輸液セットの上流ライン(図示せず)に液密に接続されている。上流ラインは、輸液バッグに接続する瓶針または金属針、点滴筒等の部材が接続されたチューブからなる。このため、筒状体4の上流側端部は、これらのいずれかに部材に接続されている。
【0061】
流路制御部材5の上側面51には、流路制御部材5の長手方向(縦軸方向)に延びた制御溝53が形成されており、制御溝53の横断面積は、長手方向に沿って上流側に向かって0から除々に大きくなるように構成されている。本実施形態では、横断面積を除々に大きくなるようにするため、制御溝53の深さを除々に変化させている。
【0062】
筒状体4の外周部には、支持体2と、押圧部31を有する作動部材3が設けられており、この作動部材3は、支持体2の長手方向(縦軸方向)に沿って移動可能に係合されている。
【0063】
上述したように、作動部材3は、押圧部31の他面側に、作動部材3を移動させる際に用いる操作部32を備えている。また、作動部材3は、押圧部31の両側に、作動部材3を支持体2に係合する一対の係合部33,34を備えている。作動部材3における押圧部31の断面形状は、上述したとおりである。
【0064】
また、上述したように、流路制御部材5の上側面51における制御溝53よりも下流側に制御溝53のない遮断領域54が形成されている。また、制御溝53の上流側端部の断面積を大きく設定した開放領域55が形成されている。
【0065】
この流路制御部材5には、その上流側端部付近(他端部付近)において、後述する固定部材8を筒状体4の外部から装着し、その一部を係止(係合)する一対の係止部56,57が設けられている。
支持体2は、筒状体4を支持するトレー部21と、このトレー部21の両側に設けられ、作動部材3を移動可能に保持する保持部22,23と、この保持部22,23の上側面の表面積を拡大する拡張部24,25とを有している。
【0066】
この支持体2には、上述する固定部材8を装着(設置)する一対の設置部28,29が上流側端部付近(他端部付近)に設けられている。なお、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aに用いる支持体2には、第2の接続部材7を装着する嵌合部26,27が設けられているが、この支持体2は嵌合部26,27を有するものではない。
トレー部21の底面には、作動部材3における係合部33,34の端部が接触するようになっている。
【0067】
保持部22,23には、作動部材3の係合部33,34が各々係合され、摺動可能(摺動可能)になっている。
拡張部24,25の上側面には、作動部材3によって調整される流量における流量の目盛り、圧閉状態(ストップ)、解除状態(フラッシュ)等の押圧状態が表示されている。
【0068】
支持体2の下流側端部(一端部)には、第1の接続部材6が装着または一体に形成されている。図示した仕様では、支持体2は第1の接続部材6と一体に形成されている。
第1の接続部材6は、筒状体4を液密に接続する第1コネクタ62と、この第1コネクタ62の他端側に輸液セットの下流ライン(図示せず)を液密に接続する第2コネクタ63とを有している。
【0069】
図9に示すように、固定部材8は、筒状体4を外部から覆うようにして支持する一対の支持部81,82と、支持体2に装着する一対の装着部83,84とを有している。
支持部81,82は、筒状体(チューブ)4の外部からチューブ4を覆うようにして流路制御部材5における係止部56,57に係合(係止)され、チューブ4を支持できるように適度に離間した一対の突出形状をなしている。
【0070】
装着部83,84は、支持体2における拡張部24,25の端部を挟み込むようして、支持体2の保持部22,23と設置部28,29との両方に係合(嵌合)できるように凹状部85,86を有している。このような凹状部85,86を設けることにより、固定部材8が支持体2から脱落することを防止できる。
【0071】
固定部材8は、図10に示すような支持体2、作動部材3、筒状体4、流路制御部材5および第1の接続部材7は組み立てられた状態で、図7に示すように支持体2および流路制御部材5に装着(係合)することができる。このため、筒状体(チューブ)4の材料や外径等に応じて、各々固定部材8における支持部81,82の間隔等が異なるものを用意することができる。
【0072】
次に、流量調整器1Bにおける各構成部材の材料について説明する。
支持体2、作動部材3、筒状体(チューブ)4および流量制御部材6の材料としては、上述した流量調整器1Aに用いる各部材と同様なものを用いることができる。
固定部材8の材料としては、上述した流量調整器1Aに用いる流量制御部材5の材料と同様なものを用いることができる。
なお、第2の実施形態に係わる流量調整器1Bの作用は、上述した第1の実施形態に係わる流量調整器1Aの作用と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
以上のように、第2の実施形態に係わる流量調整器1Bによれば、作動部材3を移動し制御溝53におけるチューブ(筒状体)2に覆われた部位の容積を変化させて、輸液剤の流量を調整することにより、正確な流量規定が可能となるとともに、輸液剤の流量調整後において、輸液剤の流量が経時的に変化することを抑制できるので、輸液剤の高精度な流量制御を行うことができる。
【0074】
特に、流量調整器1Bにおいて、チューブ2は、一端部が支持体2の一端部に装着または一体に形成された第1の接続部材5に接続されており、支持体2の他端部付近に装着された固定部材8により固定されているので、支持体2の両端部で固定されている。また、流路制御部材5は、第1の接続部材と一体に形成されている。
【0075】
これらにより、作動部材3を移動させても、流路制御部材5が支持体2や筒状体4に対して捻じれることがないので、流量調整を簡単かつ確実に行うことができる。また、所定の流量に調整した後に、チューブが捻じれたり、引かれたりした場合でも、流路制御部材5が支持体2や作動部材3に対してずれることがないので、調整した流量を確実に維持することができる。
【0076】
【発明の効果】
本発明の流量調整器によれば、作動部材を移動し制御溝における筒状体に覆われた部位の容積を変化させて、輸液剤の流量を調整することにより、正確な流量規定が可能となる。また、輸液剤の流量調整後において、輸液剤の流量が経時的に変化することを抑制できるので、輸液剤の高精度な流量制御を行うことができる。
【0077】
特に、本発明の流量調整器は、筒状体が支持体の両端部で固定されており、かつ、流路制御部材が第1の接続部材と一体に形成されていることにより、作動部材を移動させても、流路制御部材が支持体や筒状体に対して捻じれることがないので、流量調整を簡単かつ確実に行うことができる。
また、所定の流量に調整した後に、チューブが捻じれたり、引かれたりした場合でも、流路制御部材が支持体や作動部材に対してずれることがないので、調整した流量を確実に維持することができる。
また、筒状体と輸液セットの下流ライン(および上流ライン)の材質を各々別個に設定することができるため、作動部材により押圧される筒状体のみを弾性および復元性を有する材料とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施形態に係わる流量調整器の斜視図である。
【図2】図2は、第1の接続部材を一体に備えた支持体の斜視図である。
【図3】図3は、第2の接続部材の斜視図である。
【図4】図4は、図1の流量調整器のA−A線における横断面図である。
【図5】図5は、図1の流量調整器のB−B線における横断面図である。
【図6】図6は、図1の流量調整器のC−C線における横断面図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係わる流量調整器の斜視図である。
【図8】図8は、第1の接続部材を一体に備えた支持体の斜視図である。
【図9】図9は、第2の接続部材の斜視図である。
【図10】図10は、固定部材が装着されていない状態の流量調整器の斜視図である。
【符号の説明】
1A,1B 流量調整器
10 調整流路
2 支持体
21 トレー部
22,23 保持部
24,25 拡張部
26,27 嵌合部
28,29 設置部
3 作動部材
31 押圧部
32 操作部
33,34 係合部
4 筒状体
5 流量制御部材
51 上側面
52 下側面
53 制御溝
54 遮断領域
55 開放領域
56,57 係止部
6 第1の接続部材
61 連絡通路
62 第1コネクタ
63 第2コネクタ
7 第2の接続部材
71 連絡通路
72 第1コネクタ
73 第2コネクタ
74,75 装着部
8 固定部材
81,82 支持部
83,84 装着部
85,86 凹状部
Claims (4)
- 流路を形成する筒状体と、
一面側に長手方向に沿って横断面積は除々に変化する制御溝が形成され、他面側が前記筒状体の内面に密着するように前記筒状体内に配置された硬質材料からなる流路制御部材と、
一端部と他端部とを有し、前記一端部と前記他端部とで前記筒状体を固定することにより、前記筒状体を支持する支持体と、
前記流路制御部材と一体に形成され、前記支持体の一端部に装着または一体に形成された接続部材と、
前記支持体に前記制御溝に沿って移動可能に係合され、前記筒状体の内面を前記流路制御部材の一面側に押圧する押圧部を有する作動部材と、
前記筒状体を外部から覆うようにして支持する一対の支持部と、前記支持体に装着する一対の装着部とを有し、前記支持体の他端部付近に装着され、前記筒状体の他端部を外部から固定する固定部材とを備えている流量調整器。 - 前記接続部材は、前記支持体と一体に形成されている請求項1に記載の流量調整器。
- 前記固定部材は、前記流路制御部材の他端部に係合されている請求項1及び2に記載の流量調整器。
- 前記流路制御部材は一対の係止部を有し、前記支持部は前記係止部に係合するように前記筒状体を外部から覆うものである請求項1ないし3のいずれかに記載の流量調整器。
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