JP4056333B2 - 排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばディーゼルエンジン等に用いられる排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムに関する。
【0002】
【背景技術】
ディーゼルエンジン等に用いられる排気タービン過給機としては、排気タービン外周部の複数の可変ノズルを回動可能に設けてノズル開度を調整できるようにし、エンジンの低速回転域や、トルクライズが必要な中速回転域では、ノズル開度を小さくして排気タービンに流入する排気ガスの流速を増加させ、よって排気タービンの回転エネルギを大きくして給気圧縮機の過給能力を上げる可変式のものが知られている。このような可変式の排気タービン過給機では、複数の可変ノズルを可変ノズル駆動装置で回動駆動しているのであるが、この可変ノズル駆動装置を制御することで、エンジンの運転域の各作動点における可変ノズルの開度が最適になるようにコントロールしている。
【0003】
この際、可変ノズルは、リターンスプリング等により常時全開側(場合によっては全閉側)に付勢されており、可変ノズル駆動装置では、このリターンスプリングのばね力に抗するだけの吸気圧等が導入されることで、可変ノズルを回動駆動する構成になっている(例えば、特許文献1参照)。また、リターンスプリングとしては、大きなばね力を有したものが用いられており、所定の開度に開いた可変ノズルの姿勢を大きなばね力で確実に維持することで、排気ガスの圧力が可変ノズルに作用しても可変ノズルがふらつかないようにし、安定した開度コントロールができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−5117号公報(第2図)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大きなばね力を有したリターンスプリングを用いると、可変ノズル駆動装置を制御するためには、その大きなばね力に対抗するようにして、さらに大きな負圧または正圧の吸気圧を導入する必要があり、可変ノズル駆動装置の容量が大きくなって装置が大型化するという問題がある。また、そのようなリターンスプリングは外形も大きいために、特にリターンスプリングが可変ノズル駆動装置の内部に組み込まれるタイプでは、可変ノズル駆動装置の大型化を回避するのがより困難になる。
【0006】
さらに、従来では、可変ノズル駆動装置に導入される負圧あるいは正圧は、運転状態によって変化する吸気圧をそのまま利用しているのであるが、運転状態が変動してから変動後の吸気圧が導入されるまでにはタイムラグがあるため、応答性が悪いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、リターンスプリングや可変ノズル駆動装置等の小型化を促進することでシステム全体を小型化できるとともに、可変ノズルのふらつきを防いで開度コントロールを確実に実現でき、かつ応答性を良好にできる排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用効果】
本発明の排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムは、エンジンの排気で回転する排気タービンの外周部に設けられた複数の回動自在な可変ノズルを駆動制御するための排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムであって、前記可変ノズルを回動駆動する可変ノズル駆動装置と、この可変ノズル駆動装置から出力される駆動力に対抗する付勢力を有したリターンスプリングと、エンジンの運転域の各作動点における前記可変ノズルの開度を決定する開度決定手段と、この開度決定手段で決定された開度での前記リターンスプリングの付勢力を算出する付勢力演算手段と、当該作動点における前記可変ノズルにかかるトルクを算出するトルク演算手段と、このトルク演算手段で算出されたトルクと前記付勢力演算手段で算出された付勢力との和に釣り合うように前記可変ノズル駆動装置の駆動力を制御する出力制御手段と、前記可変ノズル(50)の開度に対応した回動角度信号を出力する角度検出センサ(90)とを備え、前記リターンスプリング(293)は、前記可変ノズル(50)を開き側に付勢しているとともに、前記出力制御手段(45)は、前記回動角度信号に基づき、前記開度決定手段(42)で決定された開度を維持するように前記駆動力を制御することを特徴とする。
【0009】
このような可変ノズル開度制御システムでは、可変ノズル駆動装置の駆動出力を出力制御手段で制御することにより、可変ノズルの開度を開度決定手段で決定した所定開度にコントロールするのであるが、この際には、当該所定開度でのリターンスプリングの付勢力(ばね力)を付勢力演算手段で算出するとともに、排気ガスの圧力が作用することで生じる可変ノズルでのトルクをトルク演算手段で算出し、これらの付勢力とトルクとの和に釣り合うだけの駆動力を可変ノズル駆動装置から出力させ、よって所定開度での可変ノズルの姿勢を維持させるので、可変ノズル駆動装置からは、運転状態に応じた大きさの姿勢維持用の駆動出力を出力させればよく、リターンスプリングとしては、可変ノズル駆動装置を駆動しない時に、可変ノズルを常時全開側または全閉側に付勢させるだけのばね力を有していればよい。
【0010】
従って、排気ガスによる可変ノズルのふらつきを防止するような大きな付勢力が不要であるから、小さいばね力のリターンスプリングが用いられるようになり、リターンスプリング自身の大きさや、可変ノズル駆動装置が小さくなってシステムの小型化が促進される。また、駆動力に対して前記付勢力とトルクとの和を釣り合わせることにより、可変バルブのふらつきも発生せず、開度コントロールが確実に行われる。さらに、所定の開度となるように可変ノズルを積極的に回動させるので、マップ等を用いたフィードフォワード制御が行え、応答性が良好になる。
【0011】
本発明の排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムでは、当該システムをエンジン回転速度検出手段と、エンジン負荷検出手段とを備え、前記トルク演算手段は、これらの検出手段からの出力に基づいて前記可変ノズルにかかるトルクを算出することが考えられる。
このような可変ノズル開度制御システムによれば、エンジン回転速度検出手段やエンジン負荷検出手段は、エンジン自身の制御等にも一般的に用いられているので、これらを可変ノズルの開度コントロールに特別に設ける必要がなく、システムが低コストで構築されるようになる。
【0012】
これに対して、本発明の排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムでは、コンプレッサ出口圧検出手段を備え、前記トルク演算手段は、このコンプレッサ出口圧検出手段からの出力に基づいて前記可変ノズルにかかるトルクを算出することが考えられる。
可変ノズルにかかるトルクは、圧縮機(コンプレッサ)の出口圧から精度よく算出することが可能であり、従って、このような可変ノズル開度制御システムによれば、この算出結果に基づいて可変ノズル駆動装置が正確に制御されるようになる。
【0013】
本発明の排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムは、前記可変ノズル駆動装置を、流体圧を利用して前記可変ノズルを駆動するように構成し、前記出力制御手段を、当該可変ノズル駆動装置に流入する流体の流体圧を制御するように構成することが考えられる。
このような可変ノズル開度制御システムによれば、油圧等の流体圧を用いて可変ノズル駆動装置を制御するので、構造が簡単で、制御も容易かつ正確であるうえ、熱影響も受けにくく、小型軽量、信頼性、および耐熱性に優れたシステムが構築されるようになる。
【0014】
一方、本発明の排気タービン過給機用の可変ノズル開度制御システムでは、前記可変ノズル駆動装置を、電気エネルギを利用して前記可変ノズルを駆動するように構成し、前記出力制御手段を、当該可変ノズル駆動装置に印加する電気エネルギを制御するように構成することが考えられる。
このような可変ノズル開度制御システムによれば、可変ノズル駆動装置として例えば小型の電動モータを用いればよく、システムが安価に構築可能であり、あた、制御も容易である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る可変ノズル開度制御システムが示されている。このシステムは、ディーゼルエンジン(エンジン)1に用いられている排気タービン過給機10の可変ノズル50の開度を制御するものである。
【0016】
〔エンジン全体の概略説明〕
図1において、ディーゼルエンジン1は、それぞれ内部に複数(本実施形態では4つ)の燃焼室が形成されたエンジン本体2と、燃焼室に吸気を導入する吸気管路3と、外部へ排気ガスを排出する排気管路4と、ディーゼルエンジン1を冷却するための冷却機構5と、過給を行うために吸気を圧縮する排気タービン過給機10と、排気タービン過給機10の可変ノズル50の開度を調節する前記可変ノズル駆動装置20と、ディーゼルエンジン1の動作を制御するエンジンコントローラ30と、可変ノズル駆動装置20の動作を制御するノズル開度コントローラ40とを備えている。
なお、本実施形態では、可変ノズル駆動装置20と、ノズル開度コントローラ40とを備えてノズル開度制御システムが構成されている。
【0017】
これらのうち、冷却機構5は、エンジン本体2内に収められたクランクシャフト(図示せず)等により駆動されるポンプ8を備え、ポンプ8によって圧送された冷却水は、ディーゼルエンジン1のエンジン本体2、排気タービン過給機10、図示しないオイルクーラ等の冷却必要部位を冷却した後、冷却機構5に設けられたラジエータ6で空冷されるようになっている。また、吸気管路3の途中には、排気タービン過給機10で圧縮された空気を冷却するためのインタークーラ7が設けられている。このラジエータ6およびインタークーラ7は、エンジン本体2に設けられ、かつ、クランクシャフト等により回転駆動されるファン9によって、その冷却作用が促進されるようになっている。
【0018】
排気タービン過給機10は、吸気管路3の途中に設けられた圧縮機11と、排気管路4の途中に設けられた排気タービン12とを備える。図2に示されるように、圧縮機11は、回転することで外部からの吸気を圧縮するインペラ13を有している。排気タービン12は、流入する排気ガスによって回転するタービンホイール14を有し、また、これらのタービンホイール14とインペラ13とはシャフト15で連結されており、ハウジング16によって回転可能に支持されている。この際、排気タービン12は、タービンホイール14の外周に沿って、排気ガスを導入するノズル部17の入口面積を調節する複数の可変ノズル50を備えている。これらの可変ノズル50は、可変ノズル駆動装置20によってノズル部の入口面積を調節できるように設けられている。
【0019】
ここで、可変ノズル50は、図3にも示されるように、排気タービン12の外周に沿って等間隔に設置され、これら可変ノズル50の回動軸51が、ノズル部17の一部を形成するプレート18を貫通して回動可能に支持されている。円周上に配置された各回動軸51で囲まれた領域の内側には、シャフト15と同心円上で回動可能な連結リング(連動手段)52が設けられている。この連結リング52の外周には半長孔状の係合孔53が形成されており、この係合孔53には、棒状のレバー54の一端が回動可能に、かつ摺動可能に係合されている。各レバー54の他端は各回動軸51に固定されており、これらのレバー54を介して連結リング52が回動軸51に支持されている。複数の回動軸51のうちの一本は、ハウジング16をも貫通した回動駆動軸51Aとなっている。また、レバー54のうち、回動駆動軸51Aに結合されたものは、駆動用レバー54Aとなっている。
【0020】
そして、回動駆動軸51Aは、ハウジング16を貫通して回動可能に軸支され、貫通部分は簡易なリング状のシール部材により密封されている。また、回動駆動軸51Aは、他の回動軸51よりも径寸法が大きく、高剛性に形成されている。これにより、回動駆動軸51Aは、すべての回動軸51が連結された連結リング52を、駆動用レバー54Aを介して回動させるのに十分な剛性を有する。さらに、駆動用レバー54Aは、回動駆動軸51Aからの回動駆動力を連結リング52に伝達するのに十分な剛性を有するように、他のレバー54よりも太く、高剛性になっている。このような回動駆動軸51Aは、ハウジング16の外部に配置された可変ノズル駆動装置20に接続されている。
【0021】
なお、ノズル部17の入口面積可変範囲は、可変ノズル50の回動範囲によって決定されるが、この回動範囲は排気タービン過給機10の過給能力範囲や、ディーゼルエンジン1の使用運転範囲などを勘案して予め適宜設定されている。本実施形態では、可変ノズル50の回動範囲を、ノズル部17の入口面積が最大となるような角度を全開(100%)に、また、ディーゼルエンジン1の運転範囲や排気タービン過給機10の過給能力範囲のうち取りうる最小の入口面積となる角度を全閉(0%)と設定している。従って、本実施形態では、可変ノズル50の開度を0%としても、ノズル部17の実質的な入口面積は0とはならない。
【0022】
可変ノズル駆動装置20は、ノズル開度コントローラ40からの指示に従って回動駆動軸51Aを駆動するように設けられている。ここで、可変ノズル駆動装置20は、油圧(流体圧)を利用したものであるが、その具体的な構成については後述する。
【0023】
エンジンコントローラ30は、エンジン本体2の燃料噴射量などを制御するために設けられ、図1に示されるように、エンジン本体2のクランクシャフトの回転速度を検出する回転速度検出センサ(エンジン回転速度検出手段)31から得た回転速度信号Nや、燃料噴射装置32に設けられたラック電圧検出センサ(エンジン負荷検出手段)33からの燃料噴射量信号Fなどを受信している。エンジンコントローラ30は、これらの信号によりディーゼルエンジン1の運転状態を把握し、状態に応じて燃料噴射量の調整などの制御を行っている。また、エンジンコントローラ30には、ノズル開度コントローラ40が電気的に接続されており、ノズル開度コントローラ40へ回転速度信号Nおよび燃料噴射量信号Fを送信している。ただし、これらの信号N,Fを各センサ31,33から各コントローラ30,40に並列的に直接送信してもよい。そのようなノズル開度コントローラ40についても後述する。
【0024】
〔可変ノズル駆動装置の説明〕
図4は、可変ノズル駆動装置20の概略全体を示す斜視図、図5は、図4に示す可変ノズル駆動装置20を矢印V側から見た図、図6は、図4に示す可変ノズル駆動装置20を矢印VI側から見た図、図7は、可変ノズル駆動装置20の断面図である。さらに、図8ないし図10にはそれぞれ、図7に示す矢印VIII−VIII、矢印IX−IX、矢印X−Xから見た断面図が示されている。なお、各図において、矢印INは作動油(流体)の供給側を、矢印OUTは排出側を示す。
【0025】
可変ノズル駆動装置20は、作動油の供給口21が設けられたケース22と、排出口23が設けられたカバー24と、ケース22およびカバー24の内部に回動可能に収容されたロータ25とを備えており、供給口21に供給した作動油の油圧でロータ25を回動させるとともに、この回動力をロータ25に連結された回動駆動軸51Aに伝達し、最終的に全ての可変ノズル50を回動させる構成である。
【0026】
ケース22およびカバー24は、これらを貫通する複数(本実施形態では4本)のボルト26で互いに一体に設けられ、かつ排気タービン過給機10のハウジング16に固定されている。加えて本実施形態では、より小径の複数(本実施形態では2本)のボルト27により、カバー24がケース22に固定されている。この際、ケース22およびカバー24は、位置決めピン28(図7、図9、図10)で互いに正確に位置決めされるようになっている。ロータ25と回動駆動軸51Aとは、連結部材29を介して互いに連結されている。この連結部材29へのロータ25および回動駆動軸51Aの接合は、凸状の二面幅部分とこれが嵌合する凹状の嵌合孔とで行われており、前述の4本のボルト26を外すと、連結部材29、ロータ25、および回動駆動軸51Aも分離可能である。なお、ケース22は、脚部221によってハウジング16に当接されており、装置の本体部分をハウジング16からより離間させることで、ハウジング16側から本体部分への熱影響を少なくしている。
【0027】
さらに、この連結部材29には、この外周側に嵌め込まれてナット部材291で固定された回動レバー292が設けられており、図6に示すように、回動レバー292の先端とハウジング16の上方部分とにはリターンスプリング293が掛設されている。このリターンスプリング293は、回動レバー292の端部を常時図6中の上側(反時計回り)に持ち上げる方向の付勢力を有し、ディーゼルエンジン1が停止して排気タービン過給機10や可変ノズル駆動装置20が動作していないときには、可変ノズル50の開度が全開状態を維持するように付勢力を作用させている。
【0028】
より具体的に、ケース22の供給口21は、図8にも示すように、ドリル等の機械加工によって穿設されており、この供給口21を利用してさらに小さな径のドリルで第1供給流路61が穿設されている。また、ケース22の外部からのドリル加工により、前記第1供給流路61と同一平面内でかつ平行な第2供給流路62が穿設され、さらに、ケース22の外部からは、当該第2供給流路62と交差し、先端が供給口21に達した第3供給流路63が穿設されている。第2、第3供給流路62,63の加工基端側は球状のプラグ64で封止されている。
【0029】
図7、図8において、ケース22の略中央には、第1〜第3供給流路61〜63に囲まれた位置に、ロータ25が貫通支持される支持孔65が穿設され、この支持孔65には、ロータ25の一端がベアリング66を介して回動可能に支持されている。そして、ケース22の外部からは、この支持孔65に貫通した第1ドレイン流路67が穿設され、この第1ドレイン流路67の加工基端側もプラグ64で封止されている。
【0030】
また、図7、図9に示すように、ケース22には、複数(本実施形態では4つ)の油圧室(流体圧室)68を形成する部分が支持孔65の周囲に等周間隔で、かつカバー24側に開口して設けられている。これらの部分は、中央側が支持孔65に連通しているとともに、支持孔65を中心として外側に向けて扇状に拡がった形状であり、開口側をカバー24で覆うことで完全な油圧室68として形成される。各油圧室68において、径方向に沿った(周方向に対向した)一対の内壁のうちの一方の内壁には、断面半円状の切欠部69が設けられている。また、この切欠部69と同じ径の連通孔71が軸方向に穿設され、第1、第2(第3)供給流路61,62(63)に達している。従って、この連通孔71により、供給口21と各油圧室68とが連通し、油圧室68に油圧が供給されるようになっている。さらに、第1ドレイン流路67に対応した位置にも、軸方向に沿った連通孔72が穿設されており、この連通孔72がカバー24側に開口している。そして、第1〜第3供給流路61〜63、第1ドレイン流路67、および連通孔71,72により、各油圧室68と装置外部とを連通させるケース22側での油圧回路(流体圧回路)が形成されている。
【0031】
一方、図7、図10において、カバー24には軸方向に貫通した支持孔73が穿設されており、この支持孔73にはベアリング66を介してロータ25の他端側が支持されている。支持孔73と排出口23とは第2ドレイン流路74を介して連通している。さらに、排出口23とケース22側の連通孔72とは、カバー24側の連通孔75を介して連通している。このため、各油圧室68から支持孔65,73側(ベアリング66側)に漏れた作動油は、第1、第2ドレイン流路67,74から排出口23に導かれて排出される。また、カバー24には、排出口23から最も近い油圧室68に対応した位置に軸方向の連通孔76が穿設され、この連通孔76と排出口23とが当該排出口23側からのドリルで穿設される第3ドレイン流路77で連通している。これにより、各油圧室68に供給された作動油のうち、ロータ25の駆動に供されずに漏れ出した分がこの第3ドレイン流路77を通って排出される。そして、第2、第3ドレイン流路74,77および各連通孔75,76により、各油圧室68と装置外部とを連通させるカバー24側での油圧回路(流体圧回路)が形成されている。
【0032】
図7ないし図10において、ロータ25は、前述した支持孔65,73に支持される回動シャフト81と、この回動シャフト81の外周部に等週間隔で設けられた複数枚(本実施形態では4枚)の回動ベーン82とを備え、回動シャフト81の一端側が連結部材29を介して回動駆動軸51Aに連結され、各回動ベーン82が油圧室68に格納されている。このようなロータ25では、図9に示した位置にあるとき、連通孔71から油圧室68に油圧が供給されると、この油圧が回動ベーン82の一方の面(連通孔71側に向いた面)に作用するため、回動ベーン82が他方の内壁側に向かって所定の角度範囲で回動し、これに伴って回動シャフト81も図9中で時計方向に回動する。この回動は、外部に取り付けられたリターンスプリング293を伸ばす方向で行われ、回動するに従ってリターンスプリング293の反力である付勢力も大きくなる。また、ロータ25の回動に伴って可変ノズル50が回動する。なお、回動ベーン82が油圧室68の一方の内壁側、すなわち油圧供給側に最大に位置しているとき、可変ノズル50(図2)は全開(開度100%)状態にあり、回動ベーン82が回動して他方の内壁側に近づくにつれて、可変ノズル50が全閉(開度0%)側に移り変わる。
【0033】
ロータ25をより具体的に説明すると、支持孔65,73において、回動シャフト81とケース22との間、および回動シャフト81とカバー24との間には、環状のオイルシール83が配置され、油圧室68からの作動油が装置外部に漏れ出すのを防いでいる。また、回動シャフト81には、十字状の連通孔84が穿設されており、回動ベーン82が油圧室68の一方の内壁側にあるとき(図9参照)、回動ベーン82で仕切られた油圧室68の他方の内壁側の空間同士が連通孔84を通して連通している。このため、これら他方の内壁側の空間は結果的に、連通孔76および第3ドレイン流路77を介して排出口23に連通しており、これによって前述したように、漏れ出した作動油を排出することができ、また、回動ベーン82が回動する際に背圧がかからないようになっている。
【0034】
他方、回動ベーン82の先端側には、軸方向に沿った断面円弧状の切欠部85が設けられ、回動ベーン82が油圧室68の一方の内壁側にあるとき、その切欠部85と連通孔71の一部とが略一致し、可変ノズル50が全開状態にあるときでも、切欠部85には作動油が入り込んでおり、油圧が回動ベーン82に瞬時に作用するようになっている。前述したケース22側の切欠部69も同様な機能を有する。
【0035】
回動ベーン82の切欠部85はまた、排出口23に最も近い油圧室68においては(図10参照)、回動ベーン82が油圧室68の他方側の内壁に到達する直前に連通孔76と連通する(図10において、連通孔76から切欠部85が顔を出す状態)。加えて、この時点では、回動シャフト81の連通孔84が各油圧室68間の隔壁部86を越えて回動するため、回動ベーン82で仕切られた油圧室68の油圧供給側の空間同士も連通孔84を通して連通し(実際には各油圧室68が全体的に連通する)、この空間内に供給された作動油も第3ドレイン流路77から排出される。これにより、回動ベーン82が勢いよく回動しても、他方側の内壁に衝突する寸前に作動油が排出されるので、衝突が防止される。すなわち、連通孔76は本発明に係る排圧孔であり、これらの連通孔76,84で、本発明に係る排圧手段が形成されている。
【0036】
この可変ノズル駆動装置20には、図1に示すように、外部の油圧回路87が接続されており、この油圧回路87中の油圧ポンプ88によって油圧(作動油)が供給される。油圧回路87は、比例電磁弁等で構成された圧力調整弁89を備えており、この圧力調整弁89に任意の電流Iをノズル開度コントローラ40から入力することで、この電流Iの値に応じた油圧が可変ノズル駆動装置20に供給されるようになっている。ただし、可変の油圧ポンプ88を用い、その斜板をコントロールすることで油圧の大きさを変えてもよい。
【0037】
また、本実施形態の可変ノズル駆動装置20には、ロータ25の回動角度を検出する角度検出センサ90が取り付けられている。この角度検出センサ90は、カバー24の外部にスペーサ91および取付部材92を介して取り付けられ、回動シャフト81に連結されている。図1において、角度検出センサ90は、ロータ25の回動角度に応じた回動角度信号Aをノズル開度コントローラ40に出力する。また、ロータ25の回動角度はそのまま、可変ノズル50の開度に対応しており、互いを関連付けるテーブル等がノズル開度コントローラ40内に記憶されている。なお、このような角度検出センサ90としては、周知のものを採用できるため、ここでのさらなる説明を省略する。
【0038】
〔ノズル開度コントローラの説明〕
図11において、ノズル開度コントローラ40は、エンジンコントローラ30からの各出力信号F,N,Aを受信する入力部41と、開度決定手段42と、付勢力演算手段43と、トルク演算手段44と、出力制御手段45と、種々のマップや前記テーブルなどが記憶されている記憶部46と、所望の駆動力に応じた電流Iを圧力調整弁89に出力する出力部47とを備え、各手段42〜45がコンピュータで実行されるプログラムで構成されている。
【0039】
開度決定手段42は、ディーゼルエンジン1の運転域の各作動点における可変ノズル50の最適な開度、つまり任意の燃料噴射量およびエンジン回転速度で作動しているときの最適なノズル開度を決定する機能を有している。最適なノズル開度(0〜100%)は、図12に示すように、燃料噴射量(エンジン負荷)とエンジン回転速度との関数で定義されており、この関係が第1のマップとして記憶部46に記憶されている。従って、開度決定手段42は、このマップを呼び出すことで、燃料噴射量信号Fおよび回転速度信号Nから最適なノズル開度を決定することが可能である。
【0040】
付勢力演算手段43は、開度決定手段42で決定された開度でのリターンスプリング293の付勢力を算出する機能を有している。リターンスプリング293の付勢力(反力)は、図13に示すように、ノズル開度と略比例的な関係にあり、この関係が第2のマップとして記憶部46に記憶されている。従って、付勢力演算手段43は、このマップを呼び出すことで、開度決定手段42で決定された最適な開度におけるリターンスプリング293の付勢力を算出することが可能である。
【0041】
トルク演算手段44は、ディーゼルエンジン1の任意の作動点において、排気ガスが作用することで生じる可変ノズル50のトルクを算出する機能を有している。可変ノズル50にかかるトルク(T1〜T5)も、図14に示すように、燃料噴射量(エンジン負荷)とエンジン回転速度との関数で定義されており、この関係が第3のマップとして記憶部46に記憶されている。従って、トルク演算手段44は、このマップを呼び出すことで、燃料噴射量信号Fおよび回転速度信号Nから可変ノズル50にかかるトルクを算出することが可能である。ただし、ここで算出したトルクは、ノズル開度によってシフトするため、開度決定手段42で得られた開度に応じて係数を乗じる等し、これにより実際のトルクを決める。また、開度に応じた係数を用いて実際のトルクを算出するのではなく、各開度毎のマップを別途用意しておくことで決定してもよい。
【0042】
出力制御手段45は、トルク演算手段44で算出されたトルクと付勢力演算手段43で算出された付勢力との和に釣り合うように可変ノズル駆動装置20の駆動力を制御する機能を有している。具体的に出力制御手段45は、可変ノズル駆動装置20に供給される油圧を制御するのであるが、このために当該トルクと付勢力との和から駆動力を算出し、この駆動力を生じさせるための油圧を算出し、この油圧を生じさせるための電流Iの値を算出する。これらの演算に必要なマップ等は、予め記憶部46に記憶されている。勿論、駆動力から電流Iの値を直接決定できるマップを用いてもよい。また、出力制御手段45では、回動角度信号Aに基づき、電流Iの調整を行う機能も有している。すなわち、最適なノズル開度が開度決定手段42で決定されると、この開度を維持するように可変ノズル駆動装置20に油圧を供給するのであるが、何らかの外的障害等により、所定の電流Iを印可しても十分な油圧が立たない場合には、最適な開度に応じた回転角度までロータ25が確実に回動するように、出力制御手段45が電流Iの大きさを調整して油圧を立たせる。
【0043】
〔実際の制御の例〕
以下には、図15に示す流れ図に基づき、ノズル開度の制御方法を説明する。
ステップ1(図面では、ステップを単に「S」と略す。以下の説明でも同じである。):ディーゼルエンジン1が始動すると、ノズル開度コントローラ40の入力部41は、回転速度信号Nおよび燃料噴射量信号Fをエンジンコントローラ30から読み込む。
【0044】
S2:次に、開度決定手段42は、回転速度信号Nおよび燃料噴射量信号Fに基づき、記憶部46から第1のマップを呼び出して最適なノズル開度を決定する。この際、例えば、図12に示すように、エンジン回転速度がNnで燃料噴射量がFfの時には、ノズル開度がBbといった具合に決定される。
S3:この後、付勢力演算手段43は、記憶部46から第2のマップを呼び出し、例えば開度決定手段42で決定した開度Bbに応じたリターンスプリング293の付勢力Ccを算出する。
S4:さらに、トルク演算手段44は、記憶部46から第3のマップを呼び出し、図14に示すように、前記回転速度信号Nおよび燃料噴射量信号Fに応じた可変ノズル50でのトルクTtを算出する。なお、実際のトルクは、開度に応じて決められた係数をトルクTt乗じる等して算出される。
【0045】
S5:次いで、出力制御手段45は、付勢力と前記トルクとの和により駆動力を算出し、この駆動力に基づいた電流Iの値を最終的に算出する。
S6:そして、出力部47は、圧力調整弁89に対して電流Iを出力し、駆動力に見合った油圧を立てて可変ノズル駆動装置20に供給する。
すると、可変ノズル駆動装置20では、供給された油圧が付勢力とトルクとの和につり合う位置までロータ25を回動させる。そして、可変ノズル50側では、ロータ25と共に回動して最適な開度で停止し、この位置での姿勢が維持される。
このS5、S6は、フィードフォワード制御である。
【0046】
S7:さらに、入力部41は、角度検出センサ90からの回動角度信号Aを読み込む。
S8:出力制御手段45は、回動角度信号Aに基づくロータ25の実回動角度が、ノズル開度に対応した適切な回動角度であるか否かを監視し、適切な回動角度であればS1に戻る。
S9:S8において、回動角度が適切でなければ、出力制御手段45は、検出される回動角度が適切な回動角度になるように電流Iの大きさを調整する。具体的には、所定の電流Iを出力したにもかかわらず、回動角度信号Aに基づいて検出される回動角度が最適な回動角度よりも大きい場合には、可変ノズル50の開度は実際には、最適な開度に比して閉まり気味になっているから、電流Iの値を小さくして油圧を若干落とし、駆動力を低減させてロータ25を戻す。逆に、回動角度信号Aに基づいて検出される回動角度が最適な回動角度よりも小さい場合には、可変ノズル50の開度が実際には、最適な開度に比して開き気味になっているから、電流Iの値を大きくして油圧を大きくし、駆動力を増大させてロータ25をさらに回動させる。
S7〜S9は、フィードバック制御である。
【0047】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) すなわち、本実施形態での可変ノズル開度制御システムでは、可変ノズル駆動装置20の駆動出力を出力制御手段45で制御することにより、可変ノズル50の開度が開度決定手段42で決定した最適な開度となるようにコントロールするのであるが、この際には、最適な開度でのリターンスプリング293の付勢力を付勢力演算手段43で算出するとともに、排気ガスの影響で生じる可変ノズル50でのトルクをトルク演算手段44で算出し、これらの付勢力とトルクとの和に釣り合うだけの駆動力を可変ノズル駆動装置20から出力させ、よって可変ノズル50のふらつきを防止しつつ、最適な開度での可変ノズル50の姿勢を維持させるので、可変ノズル駆動装置20からは、運転状態に応じた姿勢維持用の駆動力を出力させればよく、リターンスプリング293としては、システム停止時に可変ノズル50を常時全開側に付勢できる程度の小さなものにできる。
【0048】
(2) 従って、小さい付勢力のリターンスプリング293を用いることにより、この付勢力に対抗して出力される可変ノズル駆動装置20の駆動力も小さくてよいから、リターンスプリング293自身の大きさに加え、可変ノズル駆動装置20をも小さくでき、システムの小型化を促進できる。また、駆動力に対して付勢力とトルクとの和を釣り合わせることで、可変ノズル50のふらつきも発生しないため、開度コントロールを確実に行える。
【0049】
(3) さらに、ノズル開度と電流Iとの関係を定義するマップ等を用いることで、最適なノズル開度に応じた電流Iを圧力調整弁89に印加し、このことで可変ノズル50を最適な開度に向けて積極的に回動させるので、フィードフォワード制御を実施でき、応答性を良好にできる。また、本実施形態では、角度検出センサ90を用いてフィードバックを制御を行っており、より正確に開度を調整できる。そしてこのフィードバック制御は、回動角度を検出してノズル開度コントローラ40にフィードバックするといった簡単な方法であるから、制御も容易にできる。なお、このようなフィードバック制御は必要に応じて行われればよく、前述したフィードフォワード制御でも、十分に開度調整を実現できるため、省略可能である。
【0050】
(4) 可変ノズル開度制御システムのトルク演算手段44では、回転速度検出センサ31およびラック電圧検出センサ33からの出力信号N,Fに基づいて可変ノズル50にかかるトルクを算出するが、各センサ31,33は、その出力信号N,Fをエンジンコントローラ30にも出力するなど、エンジン1自身の制御等にも一般的に用いられているので、これらを可変ノズル50の開度コントロールに特別に設ける必要がなく、システムを低コストで構築できる。
【0051】
(5) 可変ノズル駆動装置20は、流体圧を利用してロータ25を回動駆動し、よって可変ノズル50を駆動するように構成され、出力制御手段45がその可変ノズル駆動装置20に流入する作動油の油圧を制御するように構成されているので、可変ノズル駆動装置20を簡単な構造にでき、制御も容易かつ正確にできるうえ、熱影響も受けにくく、小型軽量、信頼性、および耐熱性に優れたシステムを構築できる。
【0052】
(6) 可変ノズル駆動装置20では、油圧室68に供給させる油圧で複数の回動ベーン82を回動させるとともに、これと一体の回動シャフト81を回動させて回動力を出力する構成なので、直線運動を回転運動に変換するような従来のアクチュエータロッドや連結ロッドを不要にできるうえ、大きなダイアフラムも不要にでき、装置全体の大きさを格段にコンパクトにできる。従って、排気タービン過給機10の排気タービン12側と圧縮機11側との間の僅かなスペースにも確実に収容でき、装着性を大幅に向上させることができる。
【0053】
(7) 可変ノズル駆動装置20では、供給口21から油圧室68までの油圧回路や、油圧室68から排出口23までの油圧回路がケース22やカバー24に形成されているため、その分外部配管を簡略化でき、小型化を一層促進できる。
【0054】
(8) 可変ノズル駆動装置20では、回動ベーン82の一部および油圧室68の一部に切欠部69,85が設けられているので、回動ベーン82が油圧室68の油圧供給側に完全に回動しきっている場合でも、作動油が切欠部69,85に導入されており、油圧を供給して回動ベーン82を即座に回動させたいときなど、その応答性を向上させて立ち上りをスムーズにできる。
【0055】
(9) 可変ノズル駆動装置20では、連通孔76,84を備えた排圧手段が設けられているので、回動ベーン82が急激に油圧室68の油圧供給側とは反対側に完全に回動しようとしても、その直前で油圧を排圧手段によって除去でき、やはり、油圧室68の壁部分に勢いよく衝突するのを防止でき、耐久性を一層向上させることができる。
【0056】
(10) この際、排圧手段はカバー24に設けられて油圧室68と装置外部とを連通させる連通孔76で形成されているから、回動ベーン82が壁部分に衝突する直前で油圧室68の圧力供給側の空間と連通孔76とを連通させればよく、そのような位置に連通孔76を設けるだけで、簡易な構造でかつ確実に排圧できる。
【0057】
(11) また、排圧手段は、回動シャフト81に設けられた十字状の連通孔84を備えているので、回動ベーン82が衝突するわずか手前の位置で全ての油圧室68を連通させることができる。このため、前述の連通孔76を一つの油圧室68に開口するように設ければよく、ケース22やカバー24の加工を容易にできる。さらに、連通孔84は常時、各油圧室68の圧力供給側とは反対の空間同士を連通さており、この空間内に漏れた作動油を排圧孔から効率よく排除できるため、回動ベーン82の回動時に作動油を圧縮することがなく、回動ベーン82の動作をよりスムーズにできる。
【0058】
〔その他の実施形態〕
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態の可変ノズル駆動装置20は油圧式であったが、これに限らず、電動モータを備えた電動式であってもよい。この場合には、電動モータの出力軸を回動駆動軸51Aに接続し、可変ノズル50を回動させればよい。図16に示す可変ノズル駆動装置20は、電流I(電気エネルギ)を印加することで駆動される電動モータを備えたものであり、この電流Iがノズル開度コントローラ40から出力される。この際の電流Iの大きさは、前記実施形態と同様に、付勢力と前記トルクとの和により出力制御手段45で算出される。そして、電動モータからは、電流Iの大きさに応じた駆動力が出力され、可変ノズル50を適正な開度に維持させる。このような構成は、請求項5の発明に含まれる。
【0059】
また、前記実施形態のトルク演算手段44では、第3のマップ(図14参照)を呼び出し、この第3のマップに基づいて可変ノズル50にかかるトルクを算出していたが、これに限定されない。つまり、可変ノズル50にかかるトルクは、排気タービン過給機10のターボ特性等により、圧縮機11の出口圧から精度よく算出されるため、例えば、図16に示すように、排気タービン過給機10の圧縮機11側に過給圧を検出する圧力センサ(コンプレッサ出口圧検出手段)110を設け、この圧力センサ11の圧力信号Pをノズル開度コントローラ40に出力させ、トルク演算手段44では、この圧力信号Pに基づいてトルクを算出することができる。そして、このような構成は、請求項3の発明に含まれる。
【0060】
前記実施形態の可変ノズル駆動装置20では、ロータ25の回動ベーン82が4枚設けられていたが、5枚以上であってもよく、また、1枚ないし3枚であってもよい。そして、圧力室68などは、回動ベーン82の枚数に応じて設けられればよい。
さらに、ロータ25に対して付勢力を付与するリターンスプリングとしては、可変ノズル駆動装置20の外部に設けられたもの以外に、例えば、油圧室68の内部に配置されるものであってもよい。
【0061】
前記実施形態では、本発明に係るエンジン負荷検出手段としてラック電圧検出手段33を用いたが、エンジン負荷検出手段としてはこの他に、エンジンの出力を直に計測可能なトルクメータであってもよく、あるいは、ディーゼルエンジン1が気筒内に燃料を直接噴射するタイプであれば、その燃料噴射用コモンレールの圧力変動を検出する圧力センサなどであってもよい。
【0062】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変ノズル開度制御システムを示す構成図。
【図2】前記実施形態の可変ノズル駆動装置が取り付けられる排気タービン過給機を示す断面図。
【図3】前記排気タービン過給機の要部を示す拡大図。
【図4】前記可変ノズル駆動装置の概略全体を示す斜視図。
【図5】図4に示す前記可変ノズル駆動装置を矢印V側から見た図。
【図6】図4に示す前記可変ノズル駆動装置を矢印VI側から見た図。
【図7】前記可変ノズル駆動装置の断面図。
【図8】図7の矢印VIII−VIII断面図。
【図9】図7の矢印IX−IX断面図。
【図10】図7の矢印X−X断面図。
【図11】前記実施形態で用いられるノズル開度コントローラを示すブロック図。
【図12】エンジン回転速度と燃料噴射量(エンジン負荷)とノズル開度との関係を示す図。
【図13】ノズル開度とリターンスプリングの付勢力(反力)との関係を示す図。
【図14】エンジン回転速度と燃料噴射量(エンジン負荷)とノズルにかかるトルクとの関係を示す図。
【図15】前記可変ノズル駆動装置の制御を説明するための流れ図。
【図16】本発明の変形例を示す構成図。
【符号の説明】
1…エンジンであるディーゼルエンジン、10…排気タービン過給機、12…排気タービン、20…可変ノズル駆動装置、31…エンジン回転速度検出手段である回転速度検出センサ、33…エンジン負荷検出手段であるラック電圧検出センサ、42…開度決定手段、43…付勢力演算手段、44…トルク演算手段、45…出力制御手段、50…可変ノズル、110…コンプレッサ出口圧検出手段である圧力センサ、293…リターンスプリング。
Claims (5)
- エンジン(1)の排気で回転する排気タービン(12)の外周部に設けられた複数の回動自在な可変ノズル(50)を駆動制御するための排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システムであって、
前記可変ノズル(50)を回動駆動する可変ノズル駆動装置(20)と、
この可変ノズル駆動装置(20)から出力される駆動力に対抗する付勢力を有したリターンスプリング(293)と、
エンジン(1)の運転域の各作動点における前記可変ノズル(50)の開度を決定する開度決定手段(42)と、
この開度決定手段(42)で決定された開度での前記リターンスプリング(293)の付勢力を算出する付勢力演算手段(43)と、
当該作動点における前記可変ノズル(50)にかかるトルクを算出するトルク演算手段(44)と、
このトルク演算手段(44)で算出されたトルクと前記付勢力演算手段(43)で算出された付勢力との和につり合うように前記可変ノズル駆動装置(20)の駆動力を制御する出力制御手段(45)と、
前記可変ノズル(50)の開度に対応した回動角度信号を出力する角度検出センサ(90)とを備え、
前記リターンスプリング(293)は、前記可変ノズル(50)を開き側に付勢しているとともに、
前記出力制御手段(45)は、前記回動角度信号に基づき、前記開度決定手段(42)で決定された開度を維持するように前記駆動力を制御する
ことを特徴とする排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システム。 - 請求項1に記載の排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システムにおいて、
エンジン回転速度検出手段(31)と、
エンジン負荷検出手段(33)とを備え、
前記トルク演算手段(44)は、これらの検出手段(31,33)からの出力に基づいて前記可変ノズル(50)にかかるトルクを算出する
ことを特徴とする排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システム。 - 請求項1に記載の排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システムにおいて、
コンプレッサ出口圧検出手段(110)を備え、
前記トルク演算手段(44)は、このコンプレッサ出口圧検出手段(110)からの出力に基づいて前記可変ノズル(50)にかかるトルクを算出する
ことを特徴とする排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システム。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システムにおいて、
前記可変ノズル駆動装置(20)は、流体圧を利用して前記可変ノズル(50)を駆動するように構成され、
前記出力制御手段(45)は、当該可変ノズル駆動装置(20)に流入する流体の流体圧を制御するように構成されている
ことを特徴とする排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システム。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システムにおいて、
前記可変ノズル駆動装置(20)は、電気エネルギを利用して前記可変ノズル(50)を駆動するように構成され、
前記出力制御手段(45)は、当該可変ノズル駆動装置(20)に印加する電気エネルギを制御するように構成されている
ことを特徴とする排気タービン過給機(10)用の可変ノズル開度制御システム。
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