JP4056046B2 - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コモンレールに蓄えられた高圧燃料をインジェクタから噴射する蓄圧式燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄圧式燃料噴射装置として、一度の噴射期間内に複数回の噴射(例えば、パイロット噴射とメイン噴射)を行う蓄圧式燃料噴射装置が知られている。
パイロット噴射とメイン噴射を行う蓄圧式燃料噴射装置を例に説明すると、パイロット噴射を行うと、パイロット噴射による圧力脈動の影響でインジェクタに供給される燃料供給圧力が変動するため、パイロット噴射に続いてメイン噴射を行う際に、メイン噴射量が目標メイン噴射量から変動してしまう。
【0003】
この不具合を解決する技術として、特開2001−164976号公報に開示された技術が知られている。
この公報には、パイロット噴射による圧力脈動の影響で発生する燃料供給圧力の変動を適合マップとして制御装置に記憶させておき、パイロット噴射とメイン噴射との間隔(パイロットインターバル)と、圧力脈動の適合マップとでメイン噴射量の補正量を決定する技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術は、実機による試験データを採取して圧力脈動の適合マップを作成していた。しかし、パイロット噴射による圧力脈動は、コモンレール圧力、パイロット噴射量、パイロット噴射の噴射信号発生時から圧力脈動が実際に発生する脈動発生時までの間で発生する位相差、燃料温度によって変化するものであるため、マップ作成に多大な時間を必要とする。
また、インジェクタの機種変更、コモンレール圧力の変更、噴射量使用域の変更、コモンレールからインジェクタに高圧燃料を導く高圧配管の長さ変更など、エンジン機種変更のたびに実機による多大な試験データを採取して適合マップを作成しなければならないという問題がある。
【0005】
【発明の目的】
本願発明者は、1次噴射(例えば、パイロット噴射)と2次噴射(例えば、メイン噴射)の間隔による2次噴射の噴射量の変動周期が、インジェクタのノズル室に通じる特定の燃料管路での油撃による圧力脈動に一致するという解析結果を見いだした。
そこで、本願発明は、2次噴射の噴射量を補正するための圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、インジェクタのノズル室に通じる特定の燃料管路の長さを用いた計算のみにより圧力脈動の影響を算出することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
本願発明者は、圧力脈動が、第1燃料管路の長さL 1 と、第2燃料管路の長さL 2 に起因する2種類の圧力脈動の合成波であることを見いだした。さらに、低周波脈動f 1 は第1燃料管路の長さL 1 に起因することを見いだし、高周波脈動f 2 は第2燃料管路の長さL 2 に起因することを見いだした。
このため、従来技術のように圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、計算のみにより圧力脈動の影響を算出できる。
【0007】
この結果、適合マップを作成する場合であっても、計算で適合マップを作成できるため、適合マップの作成が非常に容易になる。
また、適合マップを作成しなくても、直接圧力脈動の影響を算出できるため、その算出結果から2次噴射の噴射量を補正することもできる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用し、1次噴射をパイロット噴射とし、2次噴射をメイン噴射としても良い。この結果、パイロット噴射を行う蓄圧式燃料噴射装置において、圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、計算のみでメイン噴射量を補正できる。
【0011】
〔請求項3の手段〕
本願発明者は、2次噴射の噴射量の変動周期が、コモンレールからノズル室の間の燃料管路において発生する圧力脈動と、インジェクタの制御室からノズル室の間の燃料管路において発生する圧力脈動との合成波に一致するという解析結果を見いだした。
そこで、請求項3の手段を採用し、コモンレールからノズル室までの長さから求められる圧力脈動の周期と制御室からノズル室までの長さから求められる圧力脈動の周期の合成波(合成された圧力脈動の周期)と、1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、2次噴射の噴射量を補正するように設けても良い。
このように、コモンレールからノズル室までの長さ、制御室からノズル室までの長さの2つの長さから求められる圧力脈動の周期の合成波を用いることにより、高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0013】
〔請求項4の手段〕
請求項4の蓄圧式燃料噴射装置は、インジェクタのノズル室に通じる燃料管路の長さから求められる圧力脈動の周期と、噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、2次噴射の噴射量を補正するものである。
このように、本発明は、従来技術のように圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、計算のみにより圧力脈動の影響を算出できる。
そして、2次噴射の補正量を、圧力脈動の周期を用いた補正式によって2次噴射の噴射量を補正できるため、圧力脈動の周期を用いた適合マップの作成を廃止できる。
さらに、補正式に、1次噴射の噴射信号発生時から、圧力脈動が実際に発生する脈動発生時までの位相差を修正項として用いることで、圧力脈動の位相差の影響が2次噴射の補正量に加味されるため、高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0014】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用し、位相差を、コモンレールに蓄圧されるコモンレール圧力と、1次噴射の噴射量とに基づいて求めることで、圧力脈動の位相差の影響が、コモンレール圧力と、1次噴射の噴射量を考慮して求められるため、より高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0015】
〔請求項6の手段〕
請求項6の蓄圧式燃料噴射装置は、インジェクタのノズル室に通じる燃料管路の長さから求められる圧力脈動の周期と、噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、2次噴射の噴射量を補正するものである。
このように、本発明は、従来技術のように圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、計算のみにより圧力脈動の影響を算出できる。
そして、2次噴射の補正量を、圧力脈動の周期を用いた補正式によって2次噴射の噴射量を補正できるため、圧力脈動の周期を用いた適合マップの作成を廃止できる。
さらに、補正式に、燃料管路において発生する圧力脈動の減衰率を修正項として用いることで、圧力脈動の減衰の影響が2次噴射の補正量に加味されるため、高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0016】
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段を採用し、圧力脈動の減衰率を、コモンレールに蓄圧されるコモンレール圧力と、1次噴射の噴射量とに基づいて求めても良い。
このように、圧力脈動が減衰する影響が、コモンレール圧力と、1次噴射の噴射量を考慮して求められるため、より高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0017】
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段を採用し、補正式に、燃料温度を修正項として用いても良い。
このように、燃料温度による圧力脈動の影響が2次噴射の補正量に加味されるため、高い精度で2次噴射の噴射量を補正できる。
【0018】
〔請求項9の手段〕
請求項9の手段を採用し、補正式を用いて2次噴射時の変動量を算出し、その変動量を用いて2次噴射の噴射量を補正しても良い。
【0019】
〔請求項10の手段〕
請求項10の手段を採用し、補正式を用いて2次噴射時のコモンレール圧力の変動量を算出し、その変動量を用いて2次噴射の噴射量を補正しても良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例および変形例を用いて説明する。
[実施例の構成]
図1〜図9を参照して本発明が適用された実施例を説明する。
図1は、ディーゼルエンジンに搭載される蓄圧式燃料噴射装置の概略図であり、高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1に蓄えられた燃料を噴射するインジェクタ2(燃料噴射弁)と、このインジェクタ2における噴射と噴射停止を制御するECU3(エンジンコントロールユニットの略:制御装置に相当する)とを備え、ECU3に接続された各種センサ4からの信号に基づいてインジェクタ2を制御するように設けられている。
【0021】
インジェクタ2の作動原理を説明する。図示しない高圧ポンプから高圧燃料の供給を受けてコモンレール1は、所定の高圧(コモンレール圧力)に保たれている。ECU3からインジェクタ2に噴射指令が出されると、ソレノイド5が開弁し、制御室6の燃料が低圧側に流出し、制御室6の圧力が低下するためニードル7が上昇する。この結果、ノズル室8が噴孔9と連通し、ノズル室8に供給されていた高圧燃料が噴孔9より噴射される。
逆に、ECU3からインジェクタ2に噴射停止指令が出されると、ソレノイド5が閉弁し、制御室6が高圧に上昇するためニードル7が下降する。この結果、ニードル7によって噴孔9が閉じられ、噴射が停止される。
【0022】
このように、1回の噴射により、制御室6の圧力変化と、ノズル室8の圧力変化に伴う油撃が発生する。この油撃は、コモンレール1からノズル室8に燃料を導く第1燃料管路11と、ノズル室8と制御室6を連通する第2燃料管路12(高圧燃料通路)とにおいて、閉口端圧力脈動として発生する。
【0023】
この蓄圧式燃料噴射装置は、車両走行状態に応じて、一度の噴射期間内にメイン噴射のみを実行する通常噴射制御と、一度の噴射期間内にパイロット噴射とメイン噴射を実行するパイロット噴射制御とを行うように設けられている。
一度の噴射期間内にメイン噴射のみを行う通常噴射制御は、次の噴射時期までの時間が十分長いため、前回の噴射時において発生した圧力脈動は減衰・消滅しており、次の噴射時期における圧力脈動の影響による噴射量の変動はない。
しかし、パイロット噴射制御は、メイン噴射までの間隔(以下、パイロットインターバル)が短いため、パイロット噴射時に発生した圧力脈動がメイン噴射に影響を及ぼしてしまう。
【0024】
従来技術の項でも説明したように、上記パイロット噴射時に発生する圧力脈動の影響を防ぐ技術として特開2001−164976号公報に開示された技術が知られている。
この公報に開示される技術は、図2に示すような適合マップを用いてメイン噴射量を補正するものである。図2に示す適合マップは、パイロットインターバルに対するコモンレール1の圧力変動(もしくはメイン噴射量変化)を示すものである。このマップは、パイロットインターバルの変化、コモンレール圧力の変化、燃料温度の変化等の多大な試験データに基づいて作成されるものであり、マップ作成に多大な工数が必要とされる。
【0025】
ここで、パイロット噴射を行い、その直後にメイン噴射を行った場合におけるパイロットインターバルと、未補正のメイン噴射量Qmとの関係の一例を図3に示す。
この図3に示される噴射量Qmの変動は、大きく分けて低周波脈動f1 と高周波脈動f2 の2つの異なる周期を持つ波形の合成波である。そのため、この2つの異なる周期を算出できれば、多大な試験を行うことなくマップ作成や、演算式によるメイン噴射量Qmの補正が可能になる。
【0026】
[実施例の特徴]
次に、低周波脈動f1 、高周波脈動f2 を演算で求め、その演算結果に基づいてメイン噴射量Qmを補正する例を説明する。
一般的にある管路の長さにおける閉口端圧力脈動の周波数fは、
f=α/(4・L)…▲1▼
で表すことができる。なお、α:燃料音速、L:管路の長さ。
【0027】
本願発明者は、上記▲1▼の式を用いて上記図3の脈動周期から管路の長さを求めたところ、図3の低周波脈動f1 は、上述した第1燃料管路11の長さL1 (閉口端圧力脈動の発生する長さ)に起因することを見いだした。また、図3の高周波脈動f2 は、上述した第2燃料管路12の長さL2 (閉口端圧力脈動の発生する長さ)に起因することを見いだした。
この結果、第1、第2燃料配管11、12の長さL1 、L2 を上記▲1▼の式のLに代入することにより、試験を実施しなくても蓄圧式燃料噴射装置における低周波脈動f1 と高周波脈動f2 の2つの異なる周期を求めることができる。
【0028】
ここで、燃料音速αは、
α=F(Tf,Pc)…▲2▼
の関係がある。なお、Fは関数、Tfは圧力脈動が発生する燃料温度、Pcはコモンレール圧力。
この▲2▼の式に、上記▲1▼の式を代入すると、
f=F(Tf,Pc)/(4・L)…▲3▼
となる。
この▲3▼の式に、パイロット噴射量に応じた圧力脈動の位相差(パイロット噴射の噴射信号発生時と、圧力脈動が実際に発生する脈動発生時との位相差)、および圧力脈動の減衰率を乗じたものが、パイロットインターバルに対する未補正のメイン噴射量Qmの特性式{後述する圧力変動量ΔP(t)を求める数式}となるため、この特性式を利用してメイン噴射の補正量を求めることができる。
【0029】
以下に具体的な例を示す。
実験より求めた燃料音速αの式が、
【数1】
であると、次式
【数2】
が導きだされ、低周波脈動f1 と高周波脈動f2 は、第1、第2燃料管路11、12の長さL1 、L2 、燃料温度Tf、コモンレール圧力Pcにより求められる。
【0030】
次に、図4に示されるように、パイロット噴射の噴射信号発生時から、圧力脈動が実際に発生する脈動発生時までの時間θ10、θ20を用いて圧力脈動発生の位相差θ1 、θ2 を演算式あるいはマップから求める。
なお、時間θ10は制御室6において圧力脈動が発生するまでの時間であり、時間θ20はノズル室8において圧力脈動が発生するまでの時間である。また、位相差θ1 は制御室6において発生する圧力脈動の位相差であり、位相差θ2 はノズル室8において発生する圧力脈動の位相差である。
【0031】
ここで、位相差θ1 、θ2 は、
θ1 =θ10+Δθ1
θ2 =θ20+Δθ2
によって求められる。なお、位相差θ1 、θ2 は、時間θ10、θ20の他に、パイロット噴射量、コモンレール圧力Pc、燃料温度Tfに応じて変動するものであり、Δθ1 、Δθ2 は、パイロット噴射量、コモンレール圧力Pc、燃料温度Tfに基づいて演算式あるいはマップから求める位相補正量である。
【0032】
次に、図5に示されるように、パイロット噴射から時間経過により減衰していく低周波脈動f1 の減衰率C1(t)、および高周波脈動f2 の減衰率C2(t)を求める。
圧力脈動が始まる初期値C10、C20を、パイロット噴射量、コモンレール圧力Pc、燃料温度Tfに基づいて演算式あるいはマップから求める。
初期値C10、C20をマップから求める場合は、図6に示すマップと、パイロット噴射量、コモンレール圧力Pcの関係から初期値C10、C20を求める。また、パイロット噴射量、コモンレール圧力Pc、燃料温度Tfに基づくアルゴリズムに応じた演算式から初期値C10、C20を算出するように設けても良い。
【0033】
次に、上述した低高周波脈動f1 、f2 、位相差θ1 、θ2 、減衰率C1(t)、C2(t)に基づき、パイロット噴射を行った後に発生する圧力変動量ΔP(t)を次式によって求めることができる。
【数3】
この関数式で求められる特性と、未補正のメイン噴射量Qmとの関係を図7に示す。なお、この図7では、上記[数3]の式で求められる圧力変動量ΔP(t)を、未補正のメイン噴射量Qmの近くへシフトして開示したものである。
【0034】
ここで、燃料噴射量は、燃料圧力に密接な関係がある。このため、メイン噴射量Qmに対する圧力変動量ΔP(t)の影響度Qefは、図8に示すように、メイン噴射量Qmが大きいほど、またコモンレール圧力Pcが高いほど大きい。そこで、コモンレール圧力Pcおよびメイン噴射量Qmに対する影響度Qefを用いて、パイロットインターバルTに対するメイン噴射補正量ΔQ(T)を求めることができる。このメイン噴射補正量ΔQ(T)を求める式は、
ΔQ(T)=Qef・ΔP(t)…▲4▼
で表すことができる。
【0035】
最終的なメイン噴射量Qmは、圧力脈動の影響を打ち消すために、車両の運転状態から演算によって求められるメイン噴射量Qmから、メイン噴射補正量ΔQ(T)を減算することによって求められる。
【0036】
次に、上述したメイン噴射量Qmの補正を行う制御フローチャートを図9を参照して説明する。なお、この制御は、ECU3に搭載された制御プログラムによってパイロット噴射毎に実行されるものである。
パイロット噴射モード時にメイン噴射量Qmの補正ルーチンに入ると(スタート)、先ずコモンレール圧力Pc、パイロット噴射量、燃料温度Tfに基づいて上述した各式やマップから低高周波脈動f1 、f2 、位相差θ1 、θ2 、減衰率C1(t)、C2(t)を求める(ステップS1 )。
【0037】
次に、これらの値を用いてパイロット噴射後に第1、第2燃料管路11、12に発生する圧力脈動の圧力変動量ΔP(t)を上記[数3]の式より求める(ステップS2 )。
次に、メイン噴射量Qm、コモンレール圧力Pcから影響度Qefを演算あるいはマップから求める(ステップS3 )。
次に、圧力変動量ΔP(t)、パイロットインターバルT、影響度Qefからメイン噴射補正量ΔQ(T)を求める。つまり、上記▲4▼の式よりメイン噴射補正量ΔQ(T)を求める(ステップS4 )。
最後に、車両の運転状態から演算によって求められるメイン噴射量Qmから、ステップS4 で算出されたメイン噴射補正量ΔQ(T)を減算し、その補正されたメイン噴射量Qmからメイン噴射指令値を算出し(ステップS5 )、この補正ルーチンを終了する(エンド)。
【0038】
[実施例の効果]
上記の手法では、圧力脈動が始まる初期値C10、C20の関係はインジェクタ2の仕様変更やエンジン機種変更時もほぼ同じ値となる。このため、インジェクタ2の仕様変更やエンジン機種変更時により圧力脈動の適合マップを作成するための試験を行うことなく、計算のみによってメイン噴射時における圧力脈動の影響を算出できる。
この結果、適合マップを作成する場合であっても、上記数式を用いたシュミレーション技術で適合マップを作成できるため、適合マップの作成が非常に容易になる。
また、この実施例のように適合マップを作成しない場合であっても、圧力脈動の影響を演算によって算出できるため、適合マップを用いなくても算出結果からメイン噴射量Qmを補正することができる。
【0039】
さらに、従来の技術では、図2に示されるように適合マップに用いられる圧力脈動は、1種類の脈動周期として考えられていた。これに対し、ノズル室8に通じる第1、第2燃料管路11、12において発生する圧力脈動は、第1燃料管路11の長さL1 と、第2燃料管路12の長さL2 に起因する2種類の圧力脈動の合成波であることを見いだし、この実施例では2種類の圧力脈動の合成波を用いてメイン噴射を補正するものであるため、従来技術に比較して、さらに高い精度でメイン噴射量Qmを補正することができる。
【0041】
〔変形例〕
上記実施例では、補正式を用いてメイン噴射時の圧力変動量ΔP(t)を算出し、その圧力変動量ΔP(t)を用いてメイン噴射量Qmを補正する例を示したが、補正式を用いてメイン噴射時のコモンレール圧力Pcの変動量を算出し、その変動量を用いてメイン噴射量Qmを補正するように設けても良い。
【0042】
上記の実施例では、一度の噴射期間内に複数回の噴射を例として、一度の噴射期間内にパイロット噴射とメイン噴射を行い、メイン噴射量Qmを圧力脈動で補正する例を示した。これに対し、一度の噴射期間内に複数回の噴射を行い、直後の噴射量を圧力脈動で補正するように設けても良い。この場合の圧力脈動は、複数回の噴射の繰り返しによって乱れるが、この乱れる圧力脈動の周期はノズル室8に通じる燃料管路の長さ(例えば、第1、第2燃料管路11、12の長さL1 、L2 )から求めるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】蓄圧式燃料噴射装置の概略図である。
【図2】従来技術の適合マップに用いられる線図である。
【図3】未補正のメイン噴射量Qmの変化を示す線図である。
【図4】制御室およびノズル室の圧力変化を示す線図である。
【図5】第1、第2燃料配管における圧力脈動の減衰状態を示す線図である。
【図6】圧力脈動の初期値C10、C20を求めるマップである。
【図7】数式によって求められる圧力変動量ΔP(t)と、未補正のメイン噴射量Qmとの関係を示す線図である。
【図8】コモンレール圧力Pcおよびメイン噴射量Qmに対する影響度Qefの変化を示す線図である。
【図9】メイン噴射量Qmの補正を行う制御フローチャートである。
【符号の説明】
1 コモンレール
2 インジェクタ
3 ECU(制御装置)
6 制御室
8 ノズル室
11 第1燃料管路(ノズル室に通じる燃料管路)
12 第2燃料管路(ノズル室に通じる燃料管路)
f1 第1燃料管路で発生する圧力脈動の周期(低周波脈動)
f2 第2燃料管路で発生する圧力脈動の周期(高周波脈動)
L1 コモンレールからノズル室までの長さ
L2 制御室からノズル室までの長さ
Claims (10)
- 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射するインジェクタと、このインジェクタの噴射および噴射停止を制御する制御装置とを備え、一度の噴射期間内に複数回の噴射を行う蓄圧式燃料噴射装置であって、
前記制御装置は、前記インジェクタのノズル室に通じる燃料管路の長さから求められる圧力脈動の周期と、前記噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、前記2次噴射の噴射量を補正するものであり、
当該制御装置は、1次噴射によって発生する圧力脈動を、低周波脈動と高周波脈動との合成波によって求めるものであり、前記低周波脈動は第1燃料管路の長さに基づき求めるとともに、前記高周波脈動は第2燃料管路の長さに基づき求めることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記1次噴射はパイロット噴射であり、前記2次噴射はメイン噴射であることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記第1燃料管路は、前記コモンレールから前記ノズル室までの長さであり、
前記第2燃料管路は、前記インジェクタの制御室から前記ノズル室までの長さであり、 この2つの燃料管路の長さから求められる合成圧力脈動の周期と、前記噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、前記2次噴射の噴射量を補正することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射するインジェクタと、このインジェクタの噴射および噴射停止を制御する制御装置とを備え、一度の噴射期間内に複数回の噴射を行う蓄圧式燃料噴射装置であって、
前記制御装置は、前記インジェクタのノズル室に通じる燃料管路の長さから求められる圧力脈動の周期と、前記噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、前記2次噴射の噴射量を補正するものであり、
前記2次噴射の補正量は、前記圧力脈動の周期を用いた補正式を用いて算出され、
前記補正式は、前記1次噴射の噴射信号発生時から、圧力脈動が実際に発生する脈動発生時までの位相差を修正項として用いることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項4に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記位相差は、前記コモンレールに蓄圧されるコモンレール圧力と、前記1次噴射の噴射量とに基づいて求めることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射するインジェクタと、このインジェクタの噴射および噴射停止を制御する制御装置とを備え、一度の噴射期間内に複数回の噴射を行う蓄圧式燃料噴射装置であって、
前記制御装置は、前記インジェクタのノズル室に通じる燃料管路の長さから求められる圧力脈動の周期と、前記噴射期間内における1次噴射と2次噴射の噴射間隔とに基づいて、前記2次噴射の噴射量を補正するものであり、
前記2次噴射の補正量は、前記圧力脈動の周期を用いた補正式を用いて算出され、
前記補正式は、前記燃料管路において発生する圧力脈動の減衰率を修正項として用いることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項6に記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記減衰率は、前記コモンレールに蓄圧されるコモンレール圧力と、前記1次噴射の噴 射量とに基づいて求めることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項4〜請求項7のいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記補正式は、前記燃料管路における燃料温度を修正項として用いることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項4〜請求項8のいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記補正式を用いて2次噴射時の変動量を算出し、その変動量を用いて前記2次噴射の噴射量を補正することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項4〜請求項8のいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
前記補正式を用いて2次噴射時のコモンレール圧力の変動量を算出し、その変動量を用いて前記2次噴射の噴射量を補正することを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
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