JP4055478B2 - 情報信号の処理装置および処理方法、それに使用される係数種データの生成装置および生成方法、並びに各方法を実行するためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体 - Google Patents

情報信号の処理装置および処理方法、それに使用される係数種データの生成装置および生成方法、並びに各方法を実行するためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばコンポジット信号をコンポーネント信号に変換する際に適用して好適な情報信号の処理装置および処理方法、それに使用される係数種データの生成装置および生成方法、並びに各方法を実行するためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。
【0002】
詳しくは、この発明は、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に、第2の情報信号における注目位置の画素データを推定式に基づいて生成するものであって、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出し、この特徴量に対応した推定式の係数データを係数種データを用いて生成することによって、メモリ容量を節約して回路規模を低減すると共に、第2の情報信号による出力の質の向上を図るようにした情報信号処理装置等に係るものである。
【0003】
【従来の技術】
従来のコンポジット−コンポーネント変換は、コンポジット信号である例えばNTSC(National Television System Committee)信号を、まずY/C分離回路にてY信号(輝度信号)とC信号(色信号)とに分離し、その後、C信号を色復調してベースバンドのY,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換するものであった。
【0004】
そのため、処理を行う構成の回路規模が大きくなるという問題があった。また、Y/C分離のエラーに起因して、画像のエッジ部分、動画部分等に、ドット妨害やクロスカラー等の画質劣化が発生しやすいという問題があった。
【0005】
そこで、本出願人は、例えばNTSC信号から、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号の注目位置の周辺に位置する複数の画素データを抽出し、この複数の画素データのレベル分布パターンに基づいて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データのクラスを決定し、このクラスに対応して当該Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データを生成する画像情報変換装置を提案した(特開2000−138949号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この画像情報変換装置は、例えばNTSC信号を直接Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換するものであり、Y/C分離回路や色復調回路を使用するものでなく回路規模を低減でき、またY/C分離のエラーに起因するドット妨害やクロスカラー等の画質劣化を低減できる。
【0007】
しかし、この画像情報変換装置においては、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データを推定式に基づいて生成するものであり、各クラスの推定式の係数データを予め係数メモリに格納しておくものであった。Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号による画像の画質を向上させるためにはクラス数を多くする必要がある。しかし、クラス数を多くした場合、係数メモリに格納すべき推定式の係数データが多くなり、係数メモリのメモリ容量を大きくする必要があり、回路規模が増大する。
【0008】
この発明の目的は、メモリ容量を節約して回路規模を低減し得ると共に、出力情報信号による出力の質を向上できる情報信号処理装置等を提供することにある。また、この発明の目的は、特徴量に対応した推定式の係数データを生成するための生成式における係数データである係数種データを良好に得ることができる係数種データ生成装置等を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る情報信号処理装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、第1の情報信号に基づいて、第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、この第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データを用いて、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データを記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶されている係数種データと特徴量抽出手段で抽出された特徴量とを用いて、生成式に基づいて推定式で用いられる係数データを生成する係数データ生成手段と、第1の情報信号に基づいて、第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、係数データ生成手段で生成された係数データと第2のデータ選択手段で選択された複数の第2の情報データとを用いて、推定式に基づいて第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る演算手段とを備えるものである。
【0010】
また、この発明に係る情報信号処理方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、第1の情報信号に基づいて、第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、この第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データと第2のステップで抽出された特徴量とを用いて、生成式に基づいて推定式で用いられる係数データを生成する第3のステップと、第1の情報信号に基づいて、第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、第3のステップで生成された係数データと第4のステップで選択された複数の第2の情報データとを用いて、推定式に基づいて第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る第5のステップとを備えるものである。
【0011】
またこの発明に係るプログラムは、上述の情報信号処理方法をコンピュータに実行させるためのものである。また、この発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、上述のプログラムを記録したものである。
【0012】
この発明においては、第1の情報信号から第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データが選択され、その複数の第1の情報データに基づいて、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量が抽出される。この抽出された特徴量に対応して、第2の情報信号における注目位置の情報データが生成される。
【0013】
すなわち、特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データが記憶手段に記憶されている。この係数種データと抽出された特徴量とを用いて、抽出された特徴量に対応した推定式の係数データが生成される。
【0014】
また、第1の情報信号から第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データが選択される。そして、推定式の係数データと複数の第2の情報データとを用いて、推定式に基づいて第2の情報信号における注目位置の画素データが求められる。
【0015】
このように、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量に対応した推定式の係数データを係数種データを用いて生成して用いるものである。したがって、予め係数メモリに複数の係数データを格納しておくものでなく、メモリ容量を節約でき、回路規模を低減できる。また、特徴量そのものに対応した係数データを生成して用いるものであり、特徴量をクラス分けしてクラス別に係数データを生成して用いるものではなく、第2の情報信号による出力の質を向上できる。
【0016】
なお、情報信号がコンポジットカラー映像信号である場合、特徴量抽出手段において、第2の情報信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比を特徴量として抽出することで、主に垂直方向に色の変化が見られるパターンについて、ドット妨害の軽減を図ることができる。
【0017】
また、情報信号がコンポジット信号としてのNTSC信号を色搬送波周波数の4倍の周波数によりI軸、Q軸の位相でサンプリングして得られた複数の画素データからなる場合、特徴量抽出手段において、第2の情報信号における注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比を特徴量として抽出することで、主に垂直方向にI信号成分かQ信号成分の片方だけが大きく変化しているパターンについて、ドット妨害の軽減を図ることができる。
【0018】
また、この発明に係る係数種データ生成装置は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成する装置であって、第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、この第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データを用いて、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、この特徴量抽出手段で抽出された特徴量をこの特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードとして決定するクラスコード決定手段と、生徒信号に基づいて、教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、クラスコード決定手段で決定されたクラスコード、第2のデータ選択手段で選択された複数の第2の情報データおよび教師信号における注目位置の情報データを用いて、係数種データを求める演算手段とを備えるものである。
【0019】
また、この発明に係る係数種データ生成方法は、複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成する方法であって、第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、この第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、この第2のステップで抽出された特徴量をこの特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードとして決定する第3のステップと、生徒信号に基づいて、教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、第3のステップで決定されたクラスコード、第4のステップで選択された複数の第2の情報データおよび教師信号における注目位置の情報データを用いて、係数種データを求める第5のステップとを備えるものである。
【0020】
また、この発明に係るプログラムは、上述の係数種データ生成方法をコンピュータに実行させるためのものである。また、この発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、上述のプログラムを記録したものである。
【0021】
この発明においては、第1の情報信号に対応した生徒信号から、第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データが選択され、その複数の第1の情報データに基づいて、教師信号における注目位置の情報データに関連した特徴量が抽出される。そして、この抽出された特徴量は、この特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換えられ、この代表値がクラスコードとして決定される。
【0022】
また、生徒信号から、教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データが選択される。そして、決定されたクラスコード、選択された複数の第2の情報データおよび教師信号における注目位置の情報データを用いて、係数種データが求められる。ここで、係数種データは、第1の情報信号から第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための生成式における係数データである。この係数種データを使用することで、生成式によって、任意の特徴量に対応した係数データを得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としてのテレビ受信機100の構成を示している。
このテレビ受信機100は、受信アンテナ101と、この受信アンテナ101で捕らえられた放送信号(RF変調信号)が供給され、選局処理、中間周波増幅処理、検波処理等を行って、コンポジットカラー映像信号としてのNTSC信号を得るチューナ102と、このチューナ102より出力されるNTSC信号をアナログ信号からデジタル信号に変換すA/D(analog-to-digital)変換器103とを有している。
【0024】
A/D変換器103では、NTSC信号が、4fsc(fscは色搬送波周波数)の4倍の周波数により、I軸、Q軸でサンプリングされて、アナログ信号からデジタル信号に変換される。図2は、その場合における各フィールドの画素データの構成を示している。
【0025】
図2において、○印は位相が0度の信号であるY−I信号を、□印は位相が90度の信号であるY−Q信号を、●印は位相が180度の信号であるY+I信号を、■印は位相が270度の信号であるY+Q信号を、それぞれ示している。このように、水平方向には、Y−I信号、Y−Q信号、Y+I信号、Y+Q信号が繰り返し配置され、垂直方向には、ある列では、Y−I信号、Y+I信号が交互に配置され、それに隣接する列では、Y−Q信号、Y+Q信号が交互に配置されている。
【0026】
図1に戻って、また、テレビ受信機100は、A/D変換器103でデジタル信号に変換されたNTSC信号を、ベースバンドの輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yからなるコンポーネント信号(Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号)に変換する画像信号処理部104と、この画像信号処理部104より出力されるY,R−Y,B−Yコンポーネント信号を赤、緑、青の3原色信号R,G,Bに変換するマトリックス回路105と、このマトリックス回路105より出力される3原色信号R,G,Bによる画像を表示する表示デバイス106とを有している。表示デバイス106は、例えばCRT(cathode-ray tube)ディスプレイ、LCD(liquid crystal display)、PDP(plasma display panel)等で構成されている。
【0027】
図1に示すテレビ受信機100の動作を説明する。
チューナ102より出力されるNTSC信号は、A/D変換器103でアナログ信号からデジタル信号に変換され、その後に画像信号処理部104に供給される。画像信号処理部104は、NTSC信号を構成する画素データから、輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれを構成する画素データを生成する。
【0028】
画像信号処理部104より出力されるY,R−Y,B−Yコンポーネント信号は、マトリックス回路105に供給されて、赤、緑、青の3原色信号R,G,Bに変換される。そして、マトリックス回路105より出力される3原色信号R,G,Bは表示デバイス106に供給される。これにより、表示デバイス106には、その3原色信号R,G,Bにより、チューナ102で選局されたチャネルに係る画像が表示される。
【0029】
次に、図3を参照して、画像信号処理部104の詳細を説明する。
画像信号処理部104は、A/D変換器103(図1参照)でデジタル信号に変換されたNTSC信号が入力される入力端子111と、この入力端子111に入力されたNTSC信号より、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の周辺に位置する複数の画素データを選択的に取り出して出力するタップ選択部112とを有している。
【0030】
タップ選択部112は、NTSC信号から予測に使用する予測タップの複数の画素データを取り出すものである。図4は、予測タップの構造の一例を示すものである。この場合、予測タップはx1〜x16の16個から構成されるが、x1〜x15の15個のみがNTSC信号から取り出される。x16は定数であって、コンポジット−コンポーネント信号変換に際して、両信号間に生じるDC(Direct Current)的なずれ(offset)を合わせるために用いられる。
【0031】
また、画像信号処理部104は、入力端子111に入力されたNTSC信号より、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量を抽出する特徴量抽出部113を有している。
【0032】
図5は、特徴量抽出部113の一例を示している。この図5に示す特徴量抽出部113は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比を特徴量vとして抽出するものである。
【0033】
図5において、NTSC信号はfsc(fscは色搬送波周波数)を中心周波数とするバンドパスフィルタ(BPF)121に供給され、このバンドパスフィルタ121でNTSC信号から色信号Cが取り出される。バンドパスフィルタ121で取り出される色信号Cは、1水平期間の遅延量を有する遅延回路122,123の直列回路に供給される。
【0034】
また、遅延回路122の出力信号および遅延回路123の出力信号は加算回路124で加算され、その加算値は絶対値化回路125に供給されてその絶対値L1が得られる。同様に、バンドパスフィルタ121の出力信号および遅延回路122の出力信号は加算回路126で加算され、その加算値は絶対値化回路127に供給されてその絶対値L2が得られる。
【0035】
この場合、遅延回路122から出力される画素データがY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置と垂直方向および水平方向に同一位置にある画素データa0であるとすると、図6に示すように、遅延回路123から出力される画素データは画素データa0に対して垂直方向に1ライン上で水平方向に同一位置にある画素データauとなり、バンドパスフィルタ121から出力される画素データは画素データa0に対して垂直方向に1ライン下で水平方向に同一位置にある画素データadとなる。そして、加算回路124では画素データa0,auが加算され、加算回路126では画素データa0,adが加算される。
【0036】
NTSC信号は1ライン毎に色搬送波の位相が反転している。そのため、絶対値化回路125から得られる絶対値L1は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインの色信号Cの変化量を示すものとなる。この場合、注目位置が存在するラインの色信号Cとその上ラインの色信号Cとの相関が高いと、絶対値L1は小さくなる。
【0037】
同様に、絶対値化回路127から得られる絶対値L2は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその下ラインの色信号Cの変化量を示すものとなる。この場合、注目位置が存在するラインの色信号Cとその下ラインの色信号Cとの相関が高いと、絶対値L2は小さくなる。
【0038】
絶対値化回路125,127で得られる絶対値L1,L2は除算回路128に供給され、この除算回路128から特徴量v=L2/L1が得られる。この特徴量vは、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比を示している。
【0039】
このように、図5に示す特徴量抽出部113では、図6に示すように、画素データa0,au,adを用いて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを得るものである。したがって、この図5に示す特徴量抽出部113における処理は、NTSC信号に基づいてY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の周辺に位置する画素データa0,au,adを選択し、この選択された画素データa0,au,adを用いて特徴量vを抽出することと等価である。
【0040】
図7は、特徴量抽出部113の他の例を示している。この図7に示す特徴量抽出部113は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比を特徴量vとして抽出するものである。この図7において、図5と対応する部分には、同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0041】
図7において、絶対値化回路125,127で得られる絶対値L1,L2は加算回路131に供給されて加算される。そして、この加算回路131より出力される加算値T2は、1画素期間の遅延時間を有する遅延回路132に供給される。
【0042】
ここで、遅延回路122から出力される画素データがY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置と垂直方向および水平方向に同一位置にある画素データa0であるとすると、図8に示すように、遅延回路123から出力される画素データは画素データa0に対して垂直方向に1ライン上で水平方向に同一位置にある画素データauとなり、バンドパスフィルタ121から出力される画素データは画素データa0に対して垂直方向に1ライン下で水平方向に同一位置にある画素データadとなる。そして、加算回路124では画素データa0,auが加算され、加算回路126では画素データa0,adが加算される。
【0043】
NTSC信号は1ライン毎に色搬送波の位相が反転している。そのため、絶対値化回路125から得られる絶対値L1は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインの色信号Cの変化量を示すものとなる。この場合、注目位置が存在するラインの色信号Cとその上ラインの色信号Cとの相関が高いと、絶対値L1は小さくなる。
【0044】
同様に、絶対値化回路127から得られる絶対値L2は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその下ラインの色信号Cの変化量を示すものとなる。この場合、注目位置が存在するラインの色信号Cとその下ラインの色信号Cとの相関が高いと、絶対値L2は小さくなる。
【0045】
したがって、加算回路131から得られる加算値T2は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置を含む垂直方向におけるI信号成分またはQ信号成分の変化量を示すものとなる。またこのとき、遅延回路132より出力される加算値T1は、1画素期間前に加算器131から得られた加算値T2である。つまり、この加算値T1は、図8に示すように、画素データa0,au,adに対して水平方向に隣接する画素データa0′,au′,ad′に基づいて得られたものである。したがって、遅延回路132から得られる加算値T1は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置に対して1画素前の位置を含む垂直方向におけるQ信号成分またはI信号成分の変化量を示すものとなる。
【0046】
なお、図8に示す画素データ例では、注目位置がI信号成分の存在位置に対応しているので、加算値T2は垂直方向におけるI信号成分の変化量を示し、一方加算値T1は垂直方向におけるQ信号成分の変化量を示すこととなる。
【0047】
加算回路131より出力される加算値T2および遅延回路132より出力される加算値T1は除算回路133に供給され、この除算回路133から特徴量v=T2/T1が得られる。この特徴量vは、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比を示している。
【0048】
このように、図7に示す特徴量抽出部113では、図8に示すように、画素データa0,au,ad,a0′,au′,ad′を用いて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを得るものである。したがって、この図7に示す特徴量抽出部113における処理は、NTSC信号に基づいてY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の周辺に位置する画素データa0,au,ad,a0′,au′,ad′を選択し、この選択された画素データa0,au,ad,a0′,au′,ad′を用いて特徴量vを抽出することと等価である。
【0049】
なお、図8に示す画素データ例では、画素データa0,au,adと、その1画素前の画素データa0′,au′,ad′を用いるものであるが、画素データa0′,au′,ad′として画素データa0,au,adの1画素後の画素データを用いてもよい。その場合には、加算値T1は画素データa0,au,adを用いて得られたものとなり、加算値T2は画素データa0′,au′,ad′を用いて得られたものとなる。
【0050】
図3に戻って、また、画像信号処理部104は、特徴量抽出部113で抽出される特徴量vに対応した係数データWi(i=1〜n)を生成する係数生成部114を有している。ここで、nは、タップ選択部112で選択される予測タップの数を表している。係数データWiは、後述する推定予測演算部116で使用される推定式で用いられるものであり、NTSC信号をY,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換するための情報である。
【0051】
係数生成部114では、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号を構成する輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれを得るための係数データWiが生成される。係数生成部114で生成された係数データWi(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)は推定予測演算部116に供給される。
【0052】
また、画像信号処理部104は、係数種メモリ115を有している。推定予測演算部116では、予測タップの画素データxiと、係数生成部114で生成される係数データWiとから、(1)式の推定式によって、輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれにおける注目位置の画素データyが演算される。
【0053】
【数1】
Figure 0004055478
【0054】
この推定式の係数データWiは、(2)式に示すように、特徴量vをパラメータとして含む生成式によって生成される。係数種メモリ115には、この生成式における係数データである係数種データwi0〜wi3(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)が格納されている。上述した係数生成部114では、この係数種データwi0〜wi3を用いて、(2)式の生成式に基づいて、係数データWiが生成される。
Wi=wi0+wi1v+wi22+wi33 ・・・(2)
【0055】
また、画像信号処理部104は、タップ選択部112で選択的に取り出される予測タップの画素データxiと、係数生成部114で生成される係数データWi(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)とから、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号を構成する輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれにおける注目位置の画素データyを演算する推定予測演算部116と、この推定予測演算部116で演算される画素データyからなるY,R−Y,B−Yコンポーネント信号を出力する出力端子117とを有している。
【0056】
次に、図3に示す画像信号処理部104の動作を説明する。
入力端子111に入力されるNTSC信号は特徴量抽出部113に供給される。この特徴量抽出部113は、NTSC信号より、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを抽出する。この特徴量抽出部113で抽出される特徴量vは係数生成部114に供給される。
【0057】
係数生成部114は、係数種メモリ115に記憶されている係数種データwi0 wi3(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)を用いて、(2)式の生成式に基づいて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号を構成する輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれを得るための、特徴量vに対応した係数データWiを生成する。
【0058】
係数生成部114で生成された係数データWiは(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)は推定予測演算部116に供給される。また、入力端子111に入力されるNTSC信号はタップ選択部112に供給される。タップ選択部112は、NTSC信号より、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の周辺に位置する予測タップの画素データxiを選択的に取り出す。このタップ選択部112で取り出された予測タップの画素データxiは推定予測演算部116に供給される。
【0059】
推定予測演算部116は、予測タップの画素データxiと、係数データWi(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)とを用いて、(1)式の推定式に基づいて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号を構成する輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれにおける注目位置の画素データyを演算して求める。そして、出力端子117には、推定予測演算部116で演算された画素データyからなるY,R−Y,B−Yコンポーネント信号が出力される。
【0060】
このように、図3に示す画像信号処理部104により、NTSC信号をY,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換することができる。
この画像信号処理部104においては、特徴量抽出部113で抽出されたY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vに対応した係数データWiを、係数生成部114で生成して用いるものである。したがって、予め係数メモリに複数の係数データを格納しておくものでなく、メモリ容量を節約でき、回路規模を低減できる。
【0061】
また、画像信号処理部104においては、特徴量抽出部113で抽出されたY,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vそのものに対応した係数データWiを係数生成部114で生成して用いるものである。したがって、特徴量vをクラス分けしてクラス別に係数データWiを生成して用いるものではなく、変換して得られるY,R−Y,B−Yコンポーネント信号による画像の画質の向上を図ることができる。
【0062】
また、画像信号処理部104において、特徴量抽出部113を図5に示すように構成し、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比を特徴量vとして抽出することで、主に垂直方向に色の変化が見られるパターンについて、ドット妨害の軽減を図ることができる。
【0063】
図9は、図10に示すような予測タップ構造において、図5に示す特徴量抽出部113で抽出された特徴量vと、これを用いて生成される各タップの係数データWiとの関係の一例を示している。図9の横軸は特徴量vの対数値である。またこの図9では、注目位置に対応するタップx5の係数データが1となるように正規化している。
【0064】
この図から明らかなように、上ラインに対応するタップx1,x2,x3の係数の絶対値は、特徴量v(=L2/L1)が大きくなっていくにつれて、つまり注目位置が存在するラインに対して上ラインが下ラインより色の相関が高くなっていくにつれて大きくなっていく。一方、下ラインに対応するタップx7,x8,x9の係数の絶対値は、特徴量vが小さくなっていくにつれて、つまり注目位置が存在するラインに対して下ラインが上ラインより色の相関が高くなっていくにつれて大きくなっていく。
【0065】
また、画像信号処理部104において、特徴量抽出部113を図7に示すように構成し、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比を特徴量vとして抽出することで、主に垂直方向にI信号成分かQ信号成分の片方だけが大きく変化しているパターンについて、ドット妨害の軽減を図ることができる。
【0066】
図11は、図4に示すような予測タップ構造において、図7に示す特徴量抽出部113で抽出された特徴量vと、これを用いて生成される各タップの係数データWiとの関係の一例を示している。図11の横軸は特徴量vの対数値である。またこの図11は、注目位置がY+I信号に対応している場合の例である。
【0067】
この図から明らかなように、例えばY+I信号に対応しているタップx8の係数は、特徴量v(=T2/T1)が小さくなっていくにつれて、つまりI信号成分の垂直方向における変化量がQ信号成分の垂直方向の変化量より小さくなっていくにつれて大きくなっていく。一方、例えばY+Q信号、Y−Q信号に対応しているタップx7,x9の係数の絶対値は、特徴量v(=T2/T1)が大きくなっていくにつれて、つまりQ信号成分の垂直方向における変化量がI信号成分の垂直方向の変化量より小さくなっていくにつれて大きくなっていく。
【0068】
次に、係数種データの生成方法の一例について説明する。この例においては、上述した(2)式の生成式における係数データである係数種データwi0〜wi3を求める例を示すものとする。
ここで、以下の説明のため、(3)式のように、tj(j=0〜3)を定義する。
0=1,t1=v,t2=v2,t3=v3 ・・・(3)
この(3)式を用いると、(2)式は、(4)式のように書き換えられる。
【0069】
【数2】
Figure 0004055478
【0070】
最終的に、学習によって未定係数wijを求める。すなわち、NTSC信号に対応する生徒信号の画素データと、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号に対応する教師信号の画素データとを用いて、二乗誤差を最小にする係数値を決定する。いわゆる最小二乗法による解法である。学習数をm、k(1≦k≦m)番目の学習データにおける残差をek、二乗誤差の総和をEとすると、(1)式および(2)式を用いて、Eは(5)式で表される。ここで、xikは生徒信号のi番目の予測タップ位置におけるk番目の画素データ、ykはそれに対応するk番目の教師信号の画素データを表している。
【0071】
【数3】
Figure 0004055478
【0072】
最小二乗法による解法では、(5)式のwijによる偏微分が0になるようなwijを求める。これは、(6)式で示される。
【0073】
【数4】
Figure 0004055478
【0074】
以下、(7)式、(8)式のように、Xipjq、Yipを定義すると、(6)式は、(9)式のように行列を用いて書き換えられる。
【0075】
【数5】
Figure 0004055478
【0076】
【数6】
Figure 0004055478
【0077】
この方程式は一般に正規方程式と呼ばれている。この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いて、wijについて解かれ、係数種データwi0〜wi3が算出される。
【0078】
図12は、上述した係数種データの生成方法の一例に基づいて、係数種データwi0〜wi3を生成するための係数種データ生成装置150の構成を示している。
【0079】
この係数種データ生成装置150は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号に対応した教師信号STが入力される入力端子151と、この教師信号STに対してエンコード処理を施して生徒信号SSとしてのNTSC信号を得るNTSCエンコーダ152とを有している。
【0080】
また、係数種データ生成装置150は、NTSCエンコーダ152で得られたNTSC信号より、教師信号STにおける注目位置の画素データに関連した特徴量vを抽出する特徴量抽出部153を有している。この特徴量抽出部153は、上述した画像信号処理部104の特徴量抽出部113と同様に構成される。
【0081】
また、係数種データ生成装置150は、特徴量抽出部153で抽出された特徴量vをこの特徴量vを含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードCLとして決定するクラスコード決定部154を有している。
【0082】
この場合、図13に示すように、特徴量vの変化範囲内においてlogスケールで等間隔となるようにM個のクラス範囲が設定される。クラスコード決定部154は、特徴量抽出部153で抽出された特徴量vがどのクラス範囲に含まれるかを判定し、その含まれるクラス範囲の代表値、例えば中間値をクラスコードCLとして決定する。例えば、特徴量抽出部153で抽出された特徴量vがクラス範囲3に含まれるとき、このクラス範囲3の代表値V3がクラスコードCLとなる。
【0083】
このように、特徴量抽出部153で抽出された特徴量vをその特徴量vが含まれるクラス範囲の代表値に変更して用いることで、後述する正規方程式の生成に当たって必要とする学習データを容易に取得できるようになる。特徴量抽出部153で抽出された特徴量vをそのまま用いる場合には、特徴量vの各値に対応して予測タップ数以上の学習データを得ることが必要となり、非常に困難となる。
【0084】
また、係数種データ生成装置150は、NTSCエンコーダ152より出力される生徒信号SSより、教師信号STにおける注目位置の周辺に位置する複数の画素データを選択的に取り出して出力するタップ選択部155を有している。このタップ選択部155は、上述した画像信号処理部104のタップ選択部112と同様に構成される。
【0085】
また、係数種データ生成装置150は、入力端子151に供給される教師信号STの時間調整を行うための遅延回路156と、この遅延回路156で時間調整された教師信号STから得られる各注目位置の画素データyと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してタップ選択部155で選択的に取り出される予測タップの画素データxiと、各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してクラスコード決定部154で決定されたクラスコードCL(特徴量抽出部153で抽出された特徴量vの代表値)とから、係数種データwi0〜wi3を得るための(9)式の正規方程式を生成する正規方程式生成部157を有している。
【0086】
この場合、1個の画素データyとそれに対応するn個の予測タップの画素データxiとの組み合わせで1個の学習データが生成される。また、各学習データのそれぞれに対応してクラスコード決定部154からクラスコードCLが供給される。これにより、正規方程式生成部157では、複数のクラスコードCL(図13のv1〜vM参照)に係る多くの学習データが登録された正規方程式が生成され、係数種データwi0〜wi3を求めることが可能となる。
【0087】
なお、係数種データwi0〜wi3として、教師信号STを構成する輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれに対応したものを得る必要がある。したがって、正規方程式生成部157では、輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれに対応して正規方程式が生成される。この場合、輝度信号Yに対応した正規方程式は、注目位置の画素データyとして輝度信号Yの画素データを用いることで生成される。同様に、色差信号R−Y,B−Yのそれぞれに対応した正規方程式は、注目位置の画素データyとして色差信号R−Y,B−Yの画素データを用いることで生成される。
【0088】
また、係数種データ生成装置150は、正規方程式生成部157で生成された正規方程式のデータが供給され、当該正規方程式を解いて、係数種データwi0〜wi3を求める係数種データ決定部158と、この求められた係数種データwi0〜wi3を格納する係数種メモリ159とを有している。係数種データ決定部158では、正規方程式が例えば掃き出し法などによって解かれて、係数種データwi0〜wi3が求められる。
【0089】
図12に示す係数種データ生成装置150の動作を説明する。
入力端子151には、教師信号STとしてのY,R−Y,B−Yコンポーネント信号が供給される。このY,R−Y,B−Yコンポーネント信号はNTSCエンコーダ152に供給される。このNTSCエンコーダ152は、教師信号STに対してエンコード処理を施して生徒信号SSとしてのNTSC信号を生成する。
【0090】
NTSCエンコーダ152で得られる生徒信号SSは特徴量抽出部153に供給される。この特徴量抽出部153は、NTSC信号より教師信号STにおける注目位置の画素データに関連した特徴量vを抽出する。特徴量抽出部153で抽出された特徴量vはクラスコード決定部154に供給される。
【0091】
クラスコード決定部154は、特徴量vをこの特徴量vを含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードCLとして決定する。このようにクラスコード決定部154で決定されたクラスコードCLは正規方程式生成部157に供給される。
【0092】
また、NTSCエンコーダ152で得られる生徒信号SSはタップ選択部155に供給される。タップ選択部155は、生徒信号SSより、教師信号STにおける注目位置の周辺に位置する予測タップの画素データを選択的に取り出す。このようにタップ選択部155で取り出された予測タップの画素データxiは正規方程式生成部157に供給される。
【0093】
正規方程式生成部157は、遅延回路156で時間調整された教師信号STから得られる各注目位置の画素データyと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してタップ選択部155で選択的に取り出される予測タップの画素データxiと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してクラスコード決定部154で決定されるクラスコードCLとを用いて、係数種データwi0〜wi3を得るための(9)式の正規方程式を生成する。
【0094】
そして、正規方程式生成部157で生成された正規方程式のデータは係数種データ決定部158に供給される。係数種データ決定部158は、正規方程式を解いて係数種データwi0〜wi3(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)を求める。そして、このように求められた係数種データwi0〜wi3は係数種メモリ159に格納される。
【0095】
このように、図12に示す係数種データ生成装置150においては、画像信号処理部104の係数種メモリ115に格納される、(1)式の推定式で用いられる係数データWiを求めるための(2)式の生成式における係数データである係数種データwi0〜wi3を良好に生成することができる。
【0096】
次に、係数種データの生成方法の他の例について説明する。この例においても、上述した(2)式の生成式における係数データである係数種データwi0〜wi3を求める例を示すものとする。
まず、推定式の係数データの求め方を説明する。ここでは、(1)式の推定式の係数データWi(i=1〜n)を最小二乗法により求める例を示すものとする。
【0097】
上述の、(1)式において、学習前は係数データW1 ,W2,‥‥,Wn は未定係数である。学習は、クラス毎に、複数の信号データに対して行う。学習データ数がmの場合、(1)式に従って、以下に示す(10)式が設定される。nは予測タップの数を示している。
k =W1 ×xk1+W2 ×xk2+‥‥+Wn ×xkn ・・・(10)
(k=1,2,‥‥,m)
【0098】
m>nの場合、係数データW1 ,W2,‥‥,Wnは、一意に決まらないので、誤差ベクトルeの要素ekを、以下の式(11)で定義して、(12)式のe2を最小にする係数データを求める。いわゆる最小2乗法によって係数データを一意に定める。
k=yk−{w1×xk1+w2×xk2+‥‥+wn×xkn} ・・・(11)
(k=1,2,‥‥m)
【0099】
【数7】
Figure 0004055478
【0100】
(12)式のe2を最小とする係数データを求めるための実際的な計算方法としては、まず、(13)式に示すように、e2を係数データWi(i=1,2,・・・,n)で偏微分し、iの各値について偏微分値が0となるように係数データWiを求めればよい。
【0101】
【数8】
Figure 0004055478
【0102】
(13)式から係数データWiを求める具体的な手順について説明する。(14)式、(15)式のようにXji,Yi を定義すると、(13)式は、(16)式の行列式の形に書くことができる。
【0103】
【数9】
Figure 0004055478
【0104】
【数10】
Figure 0004055478
【0105】
(16)式は、一般に正規方程式と呼ばれるものである。この正規方程式を掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等の一般解法で解くことにより、係数データWi(i=1,2,・・・,n)を求めることができる。
【0106】
次に、各クラスコードに対応して生成された係数データWiを使用した、係数種データwi0〜wi3の求め方を説明する。
あるクラスコードCLの係数データが、kviになったとする。ここで、iは予測タップの番号である。このkviから係数種データwi0〜wi3を求める。
【0107】
係数データWi(i=1〜n)は、係数種データwi0〜wi3を使って、上述した(2)式で表現される。ここで、係数データWiに対して最小二乗法を使用することを考えると、残差は、(17)式で表される。
【0108】
【数11】
Figure 0004055478
【0109】
ここで、tjは、上述の(3)式に示されている。(17)式に最小二乗法を作用させると、(18)式が得られる。
【0110】
【数12】
Figure 0004055478
【0111】
ここで、Xjk,Yjをそれぞれ(19)式、(20)式のように定義すると、(18)式は(21)式のように書き換えられる。この(21)式も正規方程式であり、この式を掃き出し法等の一般解法で解くことにより、係数種データwi0〜wi3を算出することができる。
【0112】
【数13】
Figure 0004055478
【0113】
図14は、上述した係数種データの生成方法の他の例に基づいて、係数種データwi0〜wi3を生成するための係数種データ生成装置150Aの構成を示している。この図14において、図12と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0114】
係数種データ生成装置150Aは、遅延回路159で時間調整された教師信号STより得られる各注目位置の画素データyと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してタップ選択部155で選択的に取り出される予測タップの画素データxiと、各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してクラスコード決定部154で決定されたクラスコードCL(特徴量抽出部153で抽出された特徴量vの代表値)とから、クラスコード毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための(16)式の正規方程式を生成する正規方程式生成部161を有している。
【0115】
この場合、1個の画素データyとそれに対応するn個の予測タップの画素データxiとの組み合わせで1個の学習データが生成される。また、各学習データのそれぞれに対応してクラスコード決定部154からクラスコードCLが供給される。正規方程式生成部161では、クラスコード毎に、多くの学習データが登録された正規方程式が生成される。これにより、クラスコード毎に、係数データWi(i=1〜n)を求めることが可能となる。
【0116】
また、係数種データ生成装置150Aは、正規方程式生成部161で生成された正規方程式のデータが供給され、その正規方程式を解いて、クラスコード毎に、係数データWiを求める係数データ決定部162と、クラスコードCLと各クラスコードCLに対応した係数データWiとを使用して、係数種データwi0〜wi3を得るための(21)式の正規方程式を生成する正規方程式生成部163とを有している。
【0117】
また、係数種データ生成装置150Aは、正規方程式生成部163で生成された正規方程式のデータが供給され、正規方程式を解いて係数種データwi0〜wi3を求める係数種データ決定部164と、この求められた係数種データwi0〜wi3を格納する係数種メモリ159とを有している。
図14に示す係数種データ生成装置150Aのその他は、図12に示す係数種データ生成装置150と同様に構成される。
【0118】
次に、図14に示す係数種データ生成装置150Aの動作を説明する。
入力端子151には、教師信号STとしてのY,R−Y,B−Yコンポーネント信号が供給される。このY,R−Y,B−Yコンポーネント信号はNTSCエンコーダ152に供給される。このNTSCエンコーダ152は、教師信号STに対してエンコード処理を施して生徒信号SSとしてのNTSC信号を生成する。
【0119】
NTSCエンコーダ152で得られる生徒信号SSは特徴量抽出部153に供給される。この特徴量抽出部153は、NTSC信号より教師信号STにおける注目位置の画素データに関連した特徴量vを抽出する。特徴量抽出部153で抽出された特徴量vはクラスコード決定部154に供給される。
【0120】
クラスコード決定部154は、特徴量vをこの特徴量vを含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードCLとして決定する。このようにクラスコード決定部154で決定されたクラスコードは正規方程式生成部161に供給される。
【0121】
また、NTSCエンコーダ152で得られる生徒信号SSはタップ選択部155に供給される。タップ選択部155は、生徒信号SSより、教師信号STにおける注目位置の周辺に位置する予測タップの画素データを選択的に取り出す。このようにタップ選択部155で取り出された予測タップの画素データxiは正規方程式生成部161に供給される。
【0122】
正規方程式生成部161は、遅延回路156で時間調整された教師信号STから得られる各注目位置の画素データyと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してタップ選択部155で選択的に取り出される予測タップの画素データxiと、この各注目位置の画素データyにそれぞれ対応してクラスコード決定部154で決定されるクラスコードCLとを用いて、クラスコード毎に、係数データWi(i=1〜n)を得るための(16)式の正規方程式を生成する。
【0123】
そして、係数データ決定部162でその正規方程式が解かれ、各クラスコードに対応した係数データWiが求められる。正規方程式生成部163では、クラスコードCLと各クラスコードに対応した係数データWiとを用いて、係数種データwi0〜wi3を得るための(21)式の正規方程式が生成される。
そして、係数種データ決定部164でその正規方程式が解かれ、係数種データwi0〜wi3が求められ、その係数種データwi0〜wi3は係数種メモリ159に格納される。
【0124】
このように、図14に示す係数種データ生成装置150Aにおいても、画像信号処理部104の係数種メモリ115に格納される、(1)式の推定式で用いられる係数データWiを求めるための(2)式の生成式における係数データである係数種データwi0〜wi3を良好に生成することができる。
【0125】
なお、図1の画像信号処理部104における処理を、例えば図15に示すような画像信号処理装置300によって、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0126】
まず、図15に示す画像信号処理装置300について説明する。この画像信号処理装置300は、装置全体の動作を制御するCPU301と、このCPU301の動作プログラムや係数種データ等が格納されたROM(read only memory)302と、CPU301の作業領域を構成するRAM(random access memory)303とを有している。これらCPU301、ROM302およびRAM303は、それぞれバス304に接続されている。
【0127】
また、画像信号処理装置300は、外部記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)305と、フロッピー(登録商標)ディスク306をドライブするドライブ(FDD)307とを有している。これらドライブ305,307は、それぞれバス304に接続されている。
【0128】
また、画像信号処理装置300は、インターネット等の通信網400に有線または無線で接続する通信部308を有している。この通信部308は、インタフェース309を介してバス304に接続されている。
【0129】
また、画像信号処理装置300は、ユーザインタフェース部を備えている。このユーザインタフェース部は、リモコン送信機200からのリモコン信号RMを受信するリモコン信号受信回路310と、LCD(liquid crystal display)等からなるディスプレイ311とを有している。受信回路310はインタフェース312を介してバス304に接続され、同様にディスプレイ311はインタフェース313を介してバス304に接続されている。
【0130】
また、画像信号処理装置300は、NTSC信号を入力するための入力端子314と、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号を出力するための出力端子315とを有している。入力端子314はインタフェース316を介してバス304に接続され、同様に出力端子315はインタフェース317を介してバス304に接続される。
【0131】
ここで、上述したようにROM302に処理プログラムや係数種データ等を予め格納しておく代わりに、例えばインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードし、ハードディスクやRAM303に蓄積して使用することもできる。また、これら処理プログラムや係数種データ等をフロッピー(登録商標)ディスク306で提供するようにしてもよい。
【0132】
また、処理すべきNTSC信号を入力端子314より入力する代わりに、予めハードディスクドライブ305に記録しておき、あるいはインターネットなどの通信網400より通信部308を介してダウンロードしてもよい。また、処理後のY,R−Y,B−Yコンポーネント信号を出力端子315に出力する代わり、あるいはそれと並行してディスプレイ311に供給して画像表示をしたり、さらにはハードディスクに格納したり、通信部308を介してインターネットなどの通信網400に送出するようにしてもよい。
【0133】
図16のフローチャートを参照して、図15に示す画像信号処理装置300における、NTSC信号よりY,R−Y,B−Yコンポーネント信号を得るため処理手順を説明する。
まず、ステップST1で、処理を開始し、ステップST2で、例えば入力端子314より装置内に1フレーム分または1フィールド分のNTSC信号を入力する。このように入力端子314より入力されるNTSC信号を構成する画素データはRAM303に一時的に格納される。なお、このNTSC信号が装置内のハードディスクドライブ305に予め記録されている場合には、このドライブ305からこのNTSC信号を読み出し、このNTSC信号を構成する画素データをRAM303に一時的に格納する。
【0134】
そして、ステップST3で、NTSC信号の全フレームまたは全フィールドの処理が終わっているか否かを判定する。処理が終わっているときは、ステップST4で、処理を終了する。一方、処理が終わっていないときは、ステップST5に進む。
【0135】
このステップST5では、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素(注目画素)を選択する。そして、ステップST6で、ステップST2で入力されたNTSC信号より、この注目位置の周辺に位置する複数の画素データを取得する。
【0136】
次に、ステップST7で、ステップST6で取得された複数の画素データに基づいて、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを演算で求める(図5、図7参照)。そして、ステップST8で、特徴量vに基づいて、ROM302に格納されている係数種データwi0〜wi3から、(2)式の生成式によって、係数データWi(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yの各信号分)を生成する。
【0137】
次に、ステップST9で、ステップST8で生成された係数データWiと、ステップST6で取得された複数の画素データ(予測タップ)xiとを使用して、(1)式の推定式により、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Y)における注目位置の画素データを生成する。
【0138】
次に、ステップST10で、ステップST2で入力された1フレーム分または1フィールド分のNTSC信号の画素データの全領域においてY,R−Y,B−Yコンポーネント信号(輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Y)の画素データを得る処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST2に戻り、次の1フレーム分または1フィールド分のNTSC信号の入力処理に移る。一方、終了していないときは、ステップST5に戻って、次の注目画素の選択を行って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0139】
このように、図16に示すフローチャートに沿って処理をすることで、入力されたNTSC信号の画素データを処理して、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号の画素データを得ることができる。上述したように、このように処理して得られたY,R−Y,B−Yコンポーネント信号は出力端子315に出力されたり、ディスプレイ311に供給されてそれによる画像が表示されたり、さらにはハードディスクドライブ305に供給されてハードディスクに記録されたりする。
【0140】
また、処理装置の図示は省略するが、図12の係数種データ生成装置150における処理を、ソフトウェアで実現することも可能である。
【0141】
図17のフローチャートを参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。
まず、ステップST21で、処理を開始し、ステップST22で、教師信号(Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号)を1フレーム分または1フィールド分だけ入力する。そして、ステップST23で、入力された教師信号より、生徒信号(NTSC信号)を生成する。
【0142】
次に、ステップST24で、教師信号の全フレームまたは全フィールドに対して学習処理が終わったか否かを判定する。終わっていないときは、ステップST25に進む。
ステップST25では、教師信号(Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号)における注目位置の画素(注目画素)を選択する。そして、ステップST26で、ステップST23で生成された生徒信号(NTSC信号)より、この注目位置の周辺に位置する複数の画素データを取得する。
【0143】
次に、ステップST27で、ステップST26で取得された複数の画素データに基づいて、教師信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを演算で求める(図5、図7参照)。さらに、ステップST28で、ステップST27で求めた特徴量vをこの特徴量vを含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードCLとして決定する(図13参照)。
【0144】
次に、ステップST29で、正規方程式((9)式参照)を生成する。そして、ステップST30で、ステップST22で入力された教師信号の画素データの全領域において学習処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST22に戻って、次の1フレーム分または1フィールド分の教師信号の入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返す。一方、終了していないときは、ステップST25に戻って、次の注目画素の選択を行って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0145】
また、ステップST24で、教師信号の全フレームまたは全フィールドに対して学習処理が終わったときは、ステップST31に進む。このステップST31では、正規方程式を掃き出し法等で解くことによって係数種データwi0〜wi3を算出し、ステップST32で、その係数種データwi0〜wi3をメモリに保存し、その後にステップST33で、処理を終了する。
【0146】
このように、図17に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図12に示す係数種データ生成装置150と同様の手法によって、係数種データを得ることができる。
また、処理装置の図示は省略するが、図14の係数種データ生成装置150Aにおける処理も、ソフトウェアで実現可能である。
【0147】
図18のフローチャートを参照して、係数種データを生成するための処理手順を説明する。
まず、ステップST41で、処理を開始し、ステップST42で、教師信号(Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号)を1フレーム分または1フィールド分だけ入力する。そして、ステップST43で、入力された教師信号より、生徒信号(NTSC信号)を生成する。
【0148】
次に、ステップST44で、教師信号の全フレームまたは全フィールドに対して学習処理が終わったか否かを判定する。終わっていないときは、ステップST45に進む。
ステップST45では、教師信号(Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号)における注目位置の画素(注目画素)を選択する。そして、ステップST46で、ステップST43で生成された生徒信号(NTSC信号)より、この注目位置の周辺に位置する複数の画素データを取得する。
【0149】
次に、ステップST47で、ステップST46で取得された複数の画素データに基づいて、教師信号における注目位置の画素データに関連した特徴量vを演算で求める(図5、図7参照)。さらに、ステップST48で、ステップST47で求めた特徴量vをこの特徴量vを含む所定範囲の代表値に置き換え、この代表値をクラスコードCLとして決定する(図13参照)。
【0150】
次に、ステップST49で、クラス毎に、正規方程式((16)式参照)を生成する。そして、ステップST50で、ステップST42で入力された教師信号の画素データの全領域において学習処理が終了したか否かを判定する。終了しているときは、ステップST42に戻って、次の1フレーム分または1フィールド分の教師信号の入力を行って、上述したと同様の処理を繰り返す。一方、終了していないときは、ステップST45に戻って、次の注目画素の選択を行って、上述したと同様の処理を繰り返す。
【0151】
また、ステップST44で、教師信号の全フレームまたは全フィールドに対して学習処理が終わったときは、ステップST51に進む。このステップST51では、正規方程式を掃き出し法等で解くことによって、クラス毎に、係数データWiを算出する。
【0152】
次に、ステップST52で、ステップST51で算出された各クラスの係数データWiから、係数種データwi0〜wi3を求めるための正規方程式((21)式参照)を生成する。そして、ステップST53で、ステップST52で生成された正規方程式を掃き出し法等で解くことによって係数種データwi0〜wi3を算出し、ステップST54で、その係数種データwi0〜wi3をメモリに保存し、その後にステップST55で、処理を終了する。
【0153】
このように、図18に示すフローチャートに沿って処理をすることで、図14に示す係数種データ生成装置150Aと同様の手法によって、係数種データを得ることができる。
【0154】
なお、図3の画像信号処理部104では、係数データWi(i=1〜n)を生成するために(2)式の生成式を使用したが、次数の異なった多項式や、他の関数で表現される式でも実現可能である。
【0155】
また、図3の画像信号処理部104ではコンポジット信号であるNTSC信号をコンポーネント信号である輝度信号Y、色差信号R−Y,B−Yに変換するものを示した。しかし、コンポジット信号とコンポーネント信号の組み合わせはこれに限定されるものではない。例えば、他のコンポジット信号としては、PAL(phase alternating by line)信号等がある。また、他のコンポーネント信号としては赤、緑、青の3原色信号等がある。
【0156】
また、図3の画像信号処理部104の特徴量抽出部113で抽出される特徴量は、図5あるいは図7に示すものに限定されるものではない。要は、Y,R−Y,B−Yコンポーネント信号における注目位置の画素データに関連した特徴量であればよい。また、図5の特徴量抽出部113では特徴量v=L2/L1としたものであるが、v=log(L2/L1)の形で用いてもよい。同様に、図7の特徴量抽出部113では特徴量v=T2/T1としたものであるが、v=log(T2/T1)の形で用いてもよい。
【0157】
また、図3の画像信号処理部104では、1種類の特徴量vのみを使用するものであったが、2種類以上の特徴量vを用いるものも同様に構成することができる。例えば、図5、図7の特徴量抽出部113で抽出された2つの特徴量vを使用した構成とすることもできる。
【0158】
その場合、それぞれの特徴量vをv1,v2とするとき、係数データWiを生成するための生成式としては、(22)式に示すような生成式を用いることができる。
【0159】
【数14】
Figure 0004055478
【0160】
また、この生成式における係数データである係数種データwi0〜wi9は、図12に示す係数種データ生成装置150あるいは図14に示す係数種データ生成装置150Aと同様の構成の係数種データ生成装置により生成できる。その場合、特徴量v1よりM1段階のクラスが得られ、特徴量v2よりM2段階のクラスが得られ、合わせてM1×M2個にクラス分類される。つまり、クラスコード決定部154からは特徴量v1,v2それぞれの代表値がクラスコードCL1,CL2として得られ、これらクラスコードCL1,CL2を用いて正規方程式の生成が行われることとなる。
【0161】
また、図3の画像信号処理部104では、NTSC信号からY,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換するための推定式として線形一次方程式を使用したものを挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば推定式として高次方程式を使用してもよい。
【0162】
また、図3の画像信号処理部104はNTSC信号からY,R−Y,B−Yコンポーネント信号に変換するものであったが、マトリックス回路105(図1参照)の機能をも含めることができる。その場合、NTSC信号からコンポーネント信号としての3原色信号R,G,Bに変換することができる。
【0163】
また、上述実施の形態においては、情報信号が画像信号であるものを示したが、この発明はこれに限定されない。例えば、情報信号が音声信号である場合にも、この発明を同様に適用することができる。
【0164】
【発明の効果】
この発明によれば、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に、第2の情報信号における注目位置の画素データを推定式に基づいて生成するものであって、第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出し、この特徴量に対応した推定式の係数データを係数種データを用いて生成するものであり、メモリ容量を節約して回路規模を低減できると共に、第2の情報信号(出力情報信号)による出力の質の向上を図ることができる。
【0165】
また、この発明によれば、第1の情報信号を第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを良好に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態としてのテレビ受信機の構成を示すブロック図である。
【図2】各フィールドの画素データの構成を示す図である。
【図3】画像信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】予測タップの構造例を示す図である。
【図5】特徴量抽出部の構成例を示すブロック図である。
【図6】特徴量を抽出するための画素データ例を示す図である。
【図7】特徴量抽出部の構成例を示すブロック図である。
【図8】特徴量を抽出するための画素データ例を示す図である。
【図9】特徴量vと各タップの係数データWiとの関係例を示す図である。
【図10】予測タップの構造例を示す図である。
【図11】特徴量vと各タップの係数データWiとの関係例を示す図である。
【図12】係数種データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】クラスコード決定処理を説明するための図である。
【図14】係数種データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【図15】ソフトウェアで実現するための画像信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図16】画像信号処理を示すフローチャートである。
【図17】係数種データ生成処理を示すフローチャートである。
【図18】係数種データ生成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100・・・テレビ受信機、101・・・受信アンテナ、102・・・チューナ、103・・・A/D変換器、104・・・画像信号処理部、105・・・マトリックス回路、106・・・表示デバイス、111・・・入力端子、112・・・タップ選択部、113・・・特徴量抽出部、114・・・係数生成部、115・・・係数種メモリ、116・・・推定予測演算部、117・・・出力端子、121・・・バンドバスフィルタ、122,123,132・・・遅延回路、124,126,131・・・加算回路、125,127・・・絶対値化回路、128,133・・・除算回路、150,150A・・・係数種データ生成装置、151・・・入力端子、152・・・NTSCエンコーダ、153・・・特徴量抽出部、154・・・クラスコード決定部、155・・・タップ選択部、156・・・遅延回路、157,161,163・・・正規方程式生成部、158,164・・・係数種データ決定部、159・・・係数種メモリ、162・・・係数データ決定部

Claims (13)

  1. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理装置であって、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、
    上記第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
    特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データを記憶する記憶手段と、
    上記記憶手段に記憶されている係数種データと上記特徴量抽出手段で抽出された特徴量とを用いて、上記生成式に基づいて上記推定式で用いられる係数データを生成する係数データ生成手段と、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、
    上記係数データ生成手段で生成された係数データと上記第2のデータ選択手段で選択された複数の第2の情報データとを用いて、上記推定式に基づいて上記第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る演算手段と
    を備えることを特徴とする情報信号処理装置。
  2. 上記第1の情報信号はコンポジットカラー映像信号であり、
    上記特徴量抽出手段は、
    上記第2の情報信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比を上記特徴量として抽出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報信号処理装置。
  3. 上記第1の情報信号はNTSC信号を色搬送波周波数の4倍の周波数によりI軸、Q軸の位相でサンプリングして得られた複数の画素データからなり、
    上記第1のデータ選択手段は、
    上記第2の情報信号における注目位置と垂直方向および水平方向に同一位置である第1の位置、該第1の位置に対して垂直方向に1ライン上で水平方向に同一位置である第2の位置および該第1の位置に対して垂直方向に1ライン下で水平方向に同一位置である第3の位置の画素データを選択し、
    上記特徴量抽出手段は、
    上記第1および第2の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値と、上記第1および第3の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値との比を上記特徴量として抽出する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報信号処理装置。
  4. 上記第1の情報信号はNTSC信号を色搬送波周波数の4倍の周波数によりI軸、Q軸の位相でサンプリングして得られた複数の画素データからなり、
    上記特徴量抽出手段は、
    上記第2の情報信号における注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比を上記特徴量として抽出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報信号処理装置。
  5. 上記第1のデータ選択手段は、
    上記第2の情報信号における注目位置と垂直方向および水平方向に同一位置である第1の位置、該第1の位置に対して垂直方向に1ライン上で水平方向に同一位置である第2の位置および該第1の位置に対して垂直方向に1ライン下で水平方向に同一位置である第3の位置、並びに上記第1〜第3の位置に対して水平方向に隣接する第4〜第6の位置の画素データを選択し、
    上記特徴量抽出手段は、
    上記第1および第2の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値および上記第1および第3の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値の和と、上記第4および第5の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値および上記第4および第6の位置における画素データの色信号成分の加算絶対値の和との比を特徴量として抽出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の情報信号処理装置。
  6. 上記第1の情報信号はNTSC信号を色搬送波周波数の4倍の周波数によりI軸、Q軸の位相でサンプリングして得られた複数の画素データからなり、
    上記特徴量抽出手段は、
    上記第2の情報信号における注目位置が存在するラインに対するその上ラインおよび下ラインの色信号の変化量の比と、該注目位置の近傍のI信号成分およびQ信号成分のそれぞれの垂直方向における変化量の比とを上記特徴量として抽出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報信号処理装置。
  7. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する情報信号処理方法であって、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データと上記第2のステップで抽出された特徴量とを用いて、上記生成式に基づいて上記推定式で用いられる係数データを生成する第3のステップと、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで生成された係数データと上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データとを用いて、上記推定式に基づいて上記第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る第5のステップと
    を備えることを特徴とする情報信号処理方法。
  8. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換するために、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データと上記第2のステップで抽出された特徴量とを用いて、上記生成式に基づいて上記推定式で用いられる係数データを生成する第3のステップと、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで生成された係数データと上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データとを用いて、上記推定式に基づいて上記第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る第5のステップと
    を有する情報信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体。
  9. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換するために、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    特徴量をパラメータとして含む、推定式で用いられる係数データを生成するための生成式の係数データである係数種データと上記第2のステップで抽出された特徴量とを用いて、上記生成式に基づいて上記推定式で用いられる係数データを生成する第3のステップと、
    上記第1の情報信号に基づいて、上記第2の情報信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで生成された係数データと上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データとを用いて、上記推定式に基づいて上記第2の情報信号における注目位置の画素データを算出して得る第5のステップと
    を有する情報信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成する装置であって、
    上記第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、上記第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のデータ選択手段と、
    上記第1のデータ選択手段で選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
    上記特徴量抽出手段で抽出された特徴量を該特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、該代表値をクラスコードとして決定するクラスコード決定手段と、
    上記生徒信号に基づいて、上記教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第2のデータ選択手段と、
    上記クラスコード決定手段で決定されたクラスコード、上記第2のデータ選択手段で選択された複数の第2の情報データおよび上記教師信号における注目位置の情報データを用いて、上記係数種データを求める演算手段と
    を備えることを特徴とする係数種データ生成装置。
  11. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成する方法であって、
    上記第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、上記第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    上記第2のステップで抽出された特徴量を該特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、該代表値をクラスコードとして決定する第3のステップと、
    上記生徒信号に基づいて、上記教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで決定されたクラスコード、上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データおよび上記教師信号における注目位置の情報データを用いて、上記係数種データを求める第5のステップと
    を備えることを特徴とする係数種データ生成方法。
  12. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成するために、
    上記第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、上記第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    上記第2のステップで抽出された特徴量を該特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、該代表値をクラスコードとして決定する第3のステップと、
    上記生徒信号に基づいて、上記教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで決定されたクラスコード、上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データおよび上記教師信号における注目位置の情報データを用いて、上記係数種データを求める第5のステップと
    を有する係数種データ生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体。
  13. 複数の情報データからなる第1の情報信号を複数の情報データからなる第2の情報信号に変換する際に使用される推定式で用いられる係数データを生成するための、特徴量をパラメータとして含む生成式における係数データである係数種データを生成するために、
    上記第1の情報信号に対応した生徒信号に基づいて、上記第2の情報信号に対応した教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第1の情報データを選択する第1のステップと、
    上記第1のステップで選択された複数の第1の情報データを用いて、上記第2の情報信号における注目位置の情報データに関連した特徴量を抽出する第2のステップと、
    上記第2のステップで抽出された特徴量を該特徴量を含む所定範囲の代表値に置き換え、該代表値をクラスコードとして決定する第3のステップと、
    上記生徒信号に基づいて、上記教師信号における注目位置の周辺に位置する複数の第2の情報データを選択する第4のステップと、
    上記第3のステップで決定されたクラスコード、上記第4のステップで選択された複数の第2の情報データおよび上記教師信号における注目位置の情報データを用いて、上記係数種データを求める第5のステップと
    を有する係数種データ生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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