JP4052886B2 - ピザパイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はピザパイの製造方法に関し、詳細には、ピザの周縁部にチーズ片が固定された、冷凍あるいはチルドの状態での流通又は保存に適するピザパイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピザは、通常、小麦粉を主原料とし、オーブンで焼成することにより調製されたピザクラスト上に、ピザソースを塗布した後、魚介類、野菜類、或いはベーコンなどの肉加工品等の各種具材とシュレッドチーズと称される短冊型に裁断されたチーズ片とをトッピングし、加熱、焼成して供されたり、未焼成の状態で、冷凍、チルドの状態で半製品として流通されている。
これらのピザは、流通時のハンドリング性の観点から、或いは、焼成時にピザソースやトッピングしたチーズ片等が縁からあふれることを抑制するといった観点から、ピザの中央部分のみに具材やチーズが配置され、周縁部はクラストが露出しているものが一般的である。このようなピザクラストには、図4(A)に示されるようなパンタイプの生地からなり、生地の周縁部が厚くなっているフチ付きタイプと、図4(B)に示されるような全体に均一の厚みの生地であって、薄くパリッとした感触のフラットタイプがある。
特に、近年嗜好されるフチ付きタイプと呼ばれるピザのクラストは、前者に属し、生地全体がやや厚手で、特にピザクラストの周縁部が中央部に比べて厚く成形されており、周縁部におけるクラストの露出傾向が著しい。
【0003】
近年、消費者のピザに対する欲求度が高まり、ピザクラストの周縁部にも優れた食感や風味を有するものが求められている。このため、ピザクラストの周縁部において、生地を折り込んで中央部にチーズを挟んだものなどが提供されている。しかしながら、クラスト生地の周縁部に棒状のチーズを挟み、それを巻き込むように成形するという煩雑な工程を要し、また、チーズの成形加工を必要とすることから中に折り込まれる材料の種類が限定されるという問題点があった。さらには、外観上は通常のピザクラストの周縁部と変わらず、外観上、消費者の嗜好性を向上させるインパクトに乏しい。
これに対し、ピザクラストの周縁部の表面にチーズなどの具を載せることは容易であるが、これを包装、流通などの工程に供する際に周縁部の具は僅かな振動などにより落下してしまい、所望の効果が得られず、さらには、落下した具材やチーズ片が包装材料中に散乱して商品価値が損なわれるという問題があり、とくに、この問題は、冷凍、或いはチルド状態で流通、販売される商品において著しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を考慮した本発明の目的は、ピザクラストの周縁部までチーズが安定してトッピングされ、製造、流通、或いは、焼成調理する際にも、周縁部に付着したチーズ片の脱落がない、外観及び嗜好性に優れたピザパイを容易に製造し得るピザパイの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは検討の結果、特定の食用糊剤を用いてチーズ片をピザクラストに貼着、固定化することで上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明のピザパイの製造方法は、冷凍、或いはチルド状態で流通、販売される未焼成のピザパイの製造方法であって、ピザクラストを成形した後、該ピザクラストの周縁部表面に、食用糊剤を介してチーズ片を貼設する工程を有することを特徴とする。なお、本発明において「ピザクラストの周縁部」とは「ピザクラストの平面視における周縁部」を意味し、該周縁部の表面にチーズ片が貼設される。
【0006】
ここで用いる食用糊剤は、カゼイン系糊剤、でんぷん系糊剤、ゼラチン系糊剤及び多糖類系糊剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、特に多糖類系糊剤であるプルランが好ましい。
【0007】
ここで、前記ピザクラストの平面視における周縁部に、食用糊剤を介してチーズ片を貼設する工程は、ピザクラストの平面視における周縁部に食用糊剤を塗布した後、食用糊の塗布領域にチーズ片を配置して貼着するものであっても、チーズ片の表面に食用糊剤を付着させた後、食用糊が付着したチーズ片をピザクラストの周縁部に配置して貼着するものであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のピザパイの製造方法は、ピザクラスト(以下、適宜、クラストと称する)を成形した後、該ピザクラストの平面視における周縁部(以下、単に周縁部と称することがある)表面に、食用糊剤を介してチーズ片を貼設する工程を有するものである。図1は、本発明の製造方法により得られた未焼成のピザパイ10の一態様を示す斜視図である。ピザクラストの平面視における周縁部12が厚くなっており、その周縁部12表面に食用糊剤(図示せず)を介してチーズ片14が貼設されている。
【0009】
以下、本発明の製造方法に適用し得るピザクラストについて説明する。
本発明におけるピザクラストは、公知のものであれば、いずれのものも使用できる。用いるピザクラスト生地としては、直捏法と中種法により得られるものがあるが、いずれの方法によるものでもよい。
クラスト生地の代表的な製造方法について述べれば、原料である小麦粉、食塩、水、砂糖、油脂、イーストなどをミキサーで低速混合した後、さらに高速で混合して生地を調製し、得られた生地を所定の重量に分割し、丸目、一次発酵を行い、生地が膨張したところで、所定のサイズの天板にのせる。その後、プレス機にて圧延し、所望する大きさにサイズ整型し、所定の発酵温湿度条件下で二次発酵させた後、プレス機にて再度同じ整型を行い、クラストの生地を得る。
【0010】
本発明においては、この焼成前のピザクラストにチーズ片を貼設してもよいが、この成形後のクラスト生地を160〜350℃に加熱保持したオーブンで1〜15分間焼成して得られる焼成済みピザクラストに貼設することが、効果の観点から好ましい。
【0011】
なお、ピザクラスト生地の調製に使用するミキサー、プレス機、発酵装置、オーブン等の各種装置については、特に限定されず、ピザクラストの製造に通常用いられる公知の装置を適宜選択して用いればよい。用いるオーブンも固定式、運行式のいずれのものを用いてもよい。
本発明の製造方法を適用し得るピザクラストの組成についても、特に制限はなく、ピザクラストの製造に通常用いられるものを、通常の割合で用いればよい。また、目的に応じて、原料の小麦粉に、澱粉、麦等を混合したもの、イーストの代わりにベーキングパウダーを用いて発酵工程なく調製したものなどを用いても、本発明の効果を損なうことなく、適用することができる。
【0012】
また、ピザクラスト生地の品質を改良する目的で添加される各種の添加剤、例えば、脂肪酸グリセリンエステル等の乳化剤、L−アスコルビン酸、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、L−シスチン、α−アミラーゼ、プロテアーゼなどの小麦粉改良剤、イーストフード等の製剤、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーンガム等の安定剤、ショートニング、バター、マーガリン、ラード、硬化油、その他の動物性又は植物性油脂、砂糖、ブドウ糖、液糖、果糖、澱粉糖、糖アルコール類、卵、香料等を本発明の効果を損なわない範囲において併用することもできる。
【0013】
クラストの形状は任意であり、平面視において円形、楕円形であってもよく、長方形、或いは正方形などの多角形であってもよい。また、平面視における周縁部の厚みが中央部に比較して厚くなっている所謂フチ付きタイプのピザクラストであっても、全体的に厚みが薄く、均一なクラスト厚みを有する所謂フラットタイプのピザクラストであってもよい。
【0014】
図2は、本発明の方法により得られたピザパイであって、クラスト周縁部12が厚いフチ付きタイプのクラストを用いたピザパイの一態様を示す断面図であり、周縁部12表面にはチーズ片14が貼設され、中央部表面には具材(二点破線で示す)16が載置されている。図3は、本発明の方法により得られたピザパイであって、クラスト厚みが均一なフラットタイプのクラストを用いたピザパイの一態様を示す断面図であであり、周縁部18表面にはチーズ片14が貼設され、中央部表面には具材(二点破線で示す)16が載置されている。
図2に示すように、特に、周縁部の厚みが厚く、側縁部にかけて傾斜を有するフチ付きタイプのピザクラストは、周縁部におけるチーズ片の安定的な貼設が困難であるため、本発明の製造方法はこのような形状のピザクラストに適用してその効果が顕著であるといえる。
【0015】
次に、このような成形済み焼成前のピザクラスト、或いは焼成後のピザクラストの周縁部に食用糊剤を介してチーズ片を貼設する工程について説明する。
ここで用いる食用糊剤としては、塗布時には所定の流動性を有し、乾燥により硬化する物性を有する食用糊剤であれば、いずれも用いることができ、例えば、カゼイン系糊剤、でんぷん系糊剤、ゼラチン系糊剤及び多糖類系糊剤からなる群より選択される1種以上の糊剤を挙げることができる。
【0016】
これらの糊剤としては、具体的には、食品用増粘剤として公知のアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びその塩等のセルロース系化合物、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成食品用増粘剤、カゼイン及びその塩類などのタンパク系化合物、デンプングリコール酸塩、デンプンリン酸エステル塩などのでんぷん系化合物、グアーガム、アラビアガムなどの植物由来の多糖類、キサンタンガム、カードラン、プルラン等の微生物由来多糖類などが挙げられる。
なかでも、皮膜形成性を有し安定的な貼着が可能であり、ハンドリング性が良好であり、さらに、風味に影響を与えないものとして前記多糖類系の糊剤が好ましく、特に、プルランが、効果の観点、入手容易性から好ましく挙げられる。
【0017】
貼設されるチーズ片には特に制限はなく、材料としては、プロセスチーズ、ナチュラルチーズなど目的に応じで選択して用いることができるが、ナチュラルチーズの場合、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エメンタールチーズ、モツァレラチーズ、ミモレットチーズのように水分量の少ないハードタイプのものを用いることが、食感及びハンドリング性の観点から好ましい。
また、チーズ片の形状も任意であるが、短冊状、直方体、球形、不定形の砕片状、粉末状などいずれでもよい。一般的には、所謂シュレッドチーズと呼ばれる厚さ0.5〜2mm、幅3〜7mm、長さ5〜20mm程度の小短冊状のものが汎用される。
【0018】
チーズ原料よりチーズ片を調製する場合、チーズを予め、0〜5℃程度の低温に冷却した後、裁断することがハンドリング性の観点から好ましい。また、得られたチーズ片をピザクラストに貼設する工程に供する前に−10℃以下、好ましくは−20℃以下に冷却してチーズ片同士が付着しないように冷凍状態にすることが、均一貼設の観点から好ましい。
【0019】
前記食用糊剤を介してピザクラストにチーズ片を貼着させるには、ピザクラストの周縁部に予めこれらの糊剤を塗布し、そこにチーズ片を付着させてもよく、チーズ片に糊剤を付着させた後、それをピザクラストに配置して貼着してもよい。
チーズ片の貼設位置の正確さの観点からは、クラストに糊剤を予め塗布する方法が好ましい。
【0020】
この貼設方法の一例を具体的に説明する。まず、未焼成或いは焼成済みのピザクラストの周縁部の所定位置に糊剤を手指、刷毛、ローラーなどで塗布する。塗布方法は公知の方法を適用すればよく、ローラーコーター、スプレーコーター等の各種の塗布装置を適用することもできる。
糊剤を塗布する周縁部領域とは、ピザクラストの周縁部が中央部よりも厚くなっている形状の場合には、クラストの厚い部分の表面全域であることが好ましく、厚みが均一なクラストの場合、円形であれば、半径の外縁部から30%以内の幅、さらには、20%以内の幅の領域であることが好ましく、正方形、長方形であれば、一片の長さに対し、両端の15〜5%程度の幅であることが好ましい。
【0021】
糊剤の塗布量は、糊剤の種類、所望のチーズの付着量から適宜選択すればよいが、例えば、先に述べたプルランを用いる場合、固形分換算で、0.005〜0.1g/cm2の範囲であることが好ましい。少なすぎると貼着安定性が低下し、多すぎると余分な糊剤のため、外観が悪化したり、種類によっては、風味に影響する虞がある。
【0022】
次に、小短冊状に成形し、冷凍したチーズ片を平らな容器中に均一に配置し、そこに糊剤を塗布したピザクラストを塗布面がチーズ片に接触するように裏返して配置し、上から軽く加圧した後、取出す。このようにして、糊剤の塗布領域にチーズ片が均一に貼設される。
貼設方法はこれに限定されず、糊剤の塗布領域のみに上部からチーズ片を供給、配置して貼着してもよく、クラスト全体にチーズ片を散布して塗布領域のみに付着させ、余分なチーズ片を除去し、回収してもよい。
【0023】
また、チーズ片を成形した後、チーズ片に糊剤を噴霧する、糊剤溶液中にチーズ片を浸漬するなどの手段により、チーズ片表面に糊剤を付着させ、それをピザクラストの所定位置に配置し、軽く加圧して貼設する方法をとることもできる。
【0024】
このようにして、ピザクラストの周縁部にチーズ片が貼設されたピザクラストが得られる。得られたピザクラスト中央部に、常法により所望のピザソース、具材、チーズなどをトッピングすることでピザパイが完成する。これは加熱調理して供されるほか、個別包装され、半生製品としてチルド流通食品として販売されたり、個別包装の前、或いは後に冷凍されて、冷凍ピザパイとして販売される。
【0025】
本発明によれば、クラスト周縁部に貼設されたチーズ片は安定よく固着されているため、その後、中央部への具材の載置工程、さらには、包装工程を経て輸送される場合においても周縁部からチーズが脱落することがない。本発明の製造方法は、具の載置後、直ちに焼成され、食卓に供されるピザパイよりも、具の載置後、冷凍工程、包装工程、その後の輸送を経て供給される、冷凍或いはチルド流通のピザパイに適用するとその効果が顕著である。
【0026】
本発明の製造方法によれば、ピザクラストの周縁部にチーズ片が安定的に貼設されたピザパイを容易に製造することができる。このようなピザパイは、周縁部にクラストが露出することなくチーズで被覆され、外観上も好ましく、嗜好性にとみ、焼成した場合も、クラストの露出部から水分が失われて硬くなる現象を抑制することができ、優れた食感のピザパイが得られる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
<ピザクラストの製造>
クラスト生地原料として、強力粉1000g、水600g、食塩15g、砂糖10g、植物油10g及びイースト20gをミキサーにより低速で3分間混合し、その後、ミキサーの回転速度を80rpmに上げて5分間混合してピザクラスト生地を調製した。この生地を10分間発酵させた後、所定の重量に分割し、丸目、一次発酵を行い、生地が膨張したところで、所定のサイズの天板にのせる。その後、プレス機にて圧延して、直径175mmの円形状にプレスし、生地の外周から20mmの周縁部を厚さ10mmに調整して整型し、ピザクラストを調製した。その後、30℃70%RHの条件で、10分間二次発酵させた後、プレス機にて再度同じ整型を行い、200℃のオーブンで5分間焼成して、平面視における周縁部が厚くなっているピザクラストを製造した。
【0028】
<周縁部へのチーズ片の貼設>
プルラン25gを30℃の温水75gに混合し、撹拌しながら12時間かけて完全に溶解し、脱泡処理して25%プルラン水溶液を調整した。この水溶液を前記クラストの周縁部に固形分換算の塗布量が0.01g/cm2となるように均一に塗布した。
レッドチェダーチーズを0℃に冷却し、チーズカッターを用いて切断することで、厚さ1mm、幅4mm、長さ10mmのチーズ片を得た。チーズ片を−20℃に冷却してバットに均一に配置した。
このチーズ片に接するように、プルラン水溶液を周縁部に塗布した前記ピザクラストを配置し、軽く圧力を加えた後、バットから取出したところ、周縁部のクラストの厚い部分の表面に均一にチーズ片が貼設された。
【0029】
<ピザパイの製造>
チーズ片を貼設したピザクラストに、ピザソース(ジェーシー・フーズネット社製)20gを塗布し、次いで、厚さ0.8mm、幅6mm、長さ20mmの短冊状のモッツァレラチーズ40gをトッピングしてピザパイを製造し、これを−40℃の急速凍結機で凍結後、透明のポリエチレンテレフタレート製の袋に入れて開口部を熱融着して密閉し、それを10袋ダンボール製の箱にいれて−20℃で7日間保存した。
【0030】
<ピザパイの評価>
保存後、ダンボールから取出し、袋を開袋して外観を観察したところ、周縁部からのチーズ片の脱落は見られず、袋の内部にも落下したチーズ片は観察されなかった。
次に、ピザパイをオーブンレンジを用い、250℃で9分間加熱調理し、加熱調理後のピザパイについて、官能評価による外観、食感及び風味の評価を行った。
(官能評価)
加熱調理後のピザパイを円芯状に8分割し、20名のパネラーが、その外観の印象を評価した。その後、8分割したピザパイを食した後、風味について、以下の規準で評価した。
【0031】
(外観)
○:外観が好ましい
△:どちらともいえない
×:外観が好ましくない
【0032】
(風味)
◎:中央のトッピング部分、周縁部のクラストとも風味が良好
○:中央のトッピング部分、周縁部のクラストともやや風味がよい
△:どちらともいえない
×:中央のトッピング部分、周縁部のクラストとも風味がよくない
【0033】
その結果、外観評価では、20名中、20名とも○と評価し、特に、周縁部にもチーズが配置されている点で好ましいと評価していることがわかった。
また、風味評価では、◎と評価したものが15名、○と評価したものが4名であり、嗜好される風味であることが確認された。
上記の結果より、本発明の製造方法により得られたピザパイは、製造、包装工程において周縁部に貼設されたチーズ片の脱落がなく、周縁部にも香ばしいチーズがトッピングされていることから、外観、風味ともに官能評価で良好な結果が得られた。このことから、実施例のピザパイは嗜好性が高いことが推定される。
【0034】
(比較例1)
前記実施例1のピザパイの製造方法において、周縁部へのチーズ片の貼設に用いたプルラン水溶液に代えて、温水を塗布した他は、実施例1と同様にして周縁部にチーズ片を付着させたピザパイを製造した。
得られたピザパイを実施例1と同様に、冷凍、包装し、開袋してピザパイを取出し、実施例1と同様に評価した。
【0035】
その結果、ダンボールにいれたピザパイ10袋のすべてにおいて周縁部からチーズ片が脱落し、袋の内部に落下したチーズ片が散乱しているのが観察された。
また、官能評価では、クラストの周縁部分に部分的にチーズが残存し、不均一な外観を示し、また、焼成後は、チーズが溶けて周縁部から垂れていたことから、20人中、18人が外観を×と評価した。また、風味については、○が10名、△が8名であった。中央部のトッピングが実施例1と同じであることから、周縁部における風味が評価に影響し、実施例の評価に比べて風味評価が低くなっているものと推定される。
【0036】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ピザクラストの周縁部までチーズが安定してトッピングされ、製造、流通、或いは、焼成調理する際にも、周縁部に付着したチーズ片の脱落がない、外観及び嗜好性に優れたピザパイを容易に製造し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法により得られた、周縁部にチーズ片が貼設されたクラストを有するピザパイの一態様を示す斜視図である。
【図2】 本発明の製造方法により得られた、クラスト周縁部が厚いフチ付きタイプのクラストを用いたピザパイの一態様を示す断面図である。
【図3】 本発明の製造方法により得られた、クラスト厚みが均一なフラットタイプのクラストを用いたピザパイの一態様を示す断面図である。
【図4】 (A)はパンタイプの生地からなり、生地の周縁部が厚くなっているクラストの例を示す断面図であり、(B)は全体に均一の厚みの生地であって、薄いクラストの例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ピザパイ
12、18 ピザクラストの周縁部
14 チーズ片
Claims (4)
- ピザクラストを成形した後、
該ピザクラストの周縁部表面に、食用糊剤によってチーズ片を貼設する工程を有することを特徴とする冷凍、或いはチルド状態で流通、販売される未焼成ピザパイの製造方法。 - 前記食用糊剤が、カゼイン系糊剤、でんぷん系糊剤、ゼラチン系糊剤及び多糖類系糊剤からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のピザパイの製造方法。
- 前記ピザクラストの周縁部表面に、食用糊剤によってチーズ片を貼設する工程が、
ピザクラストの平面視における周縁部表面に食用糊剤を塗布する工程と、
食用糊の塗布領域にチーズ片を配置して貼着する工程と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピザパイの製造方法。 - 前記ピザクラストの周縁部表面に、食用糊剤によってチーズ片を貼設する工程が、
チーズ片に食用糊剤を付着させる工程と、
食用糊が付着したチーズ片をピザクラストの平面視における周縁部表面に配置して貼着する工程と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピザパイの製造方法。
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