JP4052767B2 - 集合住宅 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共用電気設備を備える集合住宅に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、集合住宅においては、屋外照明設備や廊下照明設備や下水浄化槽のモーター等は共用電気設備とされ、共用電気設備で消費される電力は電力会社から供給されている。また、その使用電力量は専用の電力計で計測され、一括で課金される。そこで、集合住宅においては、集合住宅の管理者が電気料金を各住戸の入居者に共益費として割り振って集金し、一括して電力会社に支払う必要があった。そのため、管理者には集金や支払いの手間がかかり、入居者には共益費という金銭的負担がかかるという問題があった。
その問題を解消する方法として、自家発電装置を利用して共用電気設備に電力を供給する技術が考えられる。
自家発電装置を備える住宅の例としては、例えば特開平5−95639号公報において、太陽光発電装置(自家発電装置)から得られた電力を蓄電池に蓄電し、その蓄電池から電力が家庭用電力設備に供給される住宅の電力供給システムが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−95639号公報における住宅の電力供給システムの場合、その住宅内の空調装置や給湯装置等の大きな電力が必要な家庭用電力設備の電力を供給するシステムとなっている。そのため、必要な電力をまかなうための太陽電池パネルの面積が大きくなり、また、蓄電池は蓄電容量の大きなものが必要であった。そのため、上述の電力供給システムは設置費用が高く、普及の阻害要因となっていた。
また、集合住宅の共用電気設備については考慮されていなかった。
【0004】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、共用電気設備に電力を供給する自家発電装置を備える集合住宅を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、共用電気設備としての屋外照明装置を備える集合住宅において、該集合住宅は、屋根の略全面に設置される太陽光発電装置と、該太陽光発電装置によって発電された電力を蓄える蓄電池と、該太陽光発電装置によって発電された電力を電力会社に供給する売電装置と、を備えるとともに、前記共用電気設備としての前記屋外照明装置の電力が前記集合住宅に備えられた前記太陽光発電装置又は前記蓄電池から供給されることを特徴とする集合住宅である。
【0006】
また、発明は、上記の発明において、前記太陽光発電装置から前記共用電気設備に蓄電池を介して電力が供給されることを特徴とする集合住宅である。
本発明の蓄電池としては、特に限定はされないが、鉛蓄電池やアルカリ蓄電池等を用いることができる。
【0007】
また、発明は、上記の発明において、前記蓄電池の蓄電容量が共用電気設備の一日の最大電力消費量の略1.1倍以上略3.0倍以下とされていることを特徴とする集合住宅である。
前記蓄電池の蓄電容量は、さらに好ましくは、共用電気設備の一日の最大電力消費量の略1.2倍以上略2.0倍以下される。
【0008】
また、発明は、共用電気設備と太陽光発電装置とを備える集合住宅において、
その太陽光発電装置から供給される電力が直流であり、前記共用電気設備に直流電力が供給されることを特徴とする集合住宅である。
【0009】
本発明における自家発電装置としては、太陽光発電装置や風力発電装置や燃料電池による発電装置等を用いることができる。
また、本発明においては、自家発電装置で発電した余剰電力は売電装置を通じて電力会社に販売するのがよい。
【0011】
【作用】
発明の集合住宅においては、共用電気設備の電力が集合住宅に備えられた太陽光発電装置から供給される。そこで、共用電気設備には、電力会社から電力の供給を受ける必要がない。また、太陽光発電装置を集合住宅の建設費に含むものとすることができる。つまり、集合住宅の管理者が集合住宅の入居者から共用電気設備の電気料金を集金する必要がなく、入居者には金銭的負担がかからない。
【0012】
発明の集合住宅においては、太陽光発電装置から前記共用電気設備に蓄電池を介して電力が供給される。従って、太陽光発電装置が休止している間は蓄電池により共用電気設備に電力を供給することができる。
【0013】
発明の集合住宅においては、蓄電池の蓄電容量が共用電気設備の一日の最大電力消費量の略1.1倍以上略3倍以下とされている。従って、共用電気設備による1日の最大電力消費があっても、なお略10%以上の電力が蓄電池に残されているので、充放電のサイクルによる寿命を長くすることができる。また、過剰な蓄電容量の蓄電池を備える必要がない。
【0014】
発明の集合住宅においては、太陽光発電装置から供給される電力が直流であり、共用電気設備に直流電力が供給される。つまり、太陽光発電設備と共用電気設備を直接的に接続するので、直流と交流の変換器が不要である。また、屋外照明装置等には、人体感知センサーや照度センサーのようにマイコンを備えたものが用いられたり、下水浄化槽のモーターには効率のよい直流モーターが用いられることが多く、それらに直接直流電力を供給できる。
【0015】
発明の集合住宅においては、自家発電装置が太陽光発電装置である。従って、集合住宅の広い屋根を利用して、大きな太陽光発電パネルを設置することができる。従って、蓄電池に十分蓄電でき、余剰の電力は電力会社に販売することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は本発明の集合住宅を示す斜視図であり、図2は図1の2階の電気配線図である。集合住宅1は、1階11と2階12に各2戸、計4戸の住戸からなり、傾斜屋根13が設けられている。また、各住戸には玄関14,寝室71,リビングルーム72,ダイニングキッチン73,サニタリー74が設けられている。
また、2階12の住戸のために、屋外階段15と屋外廊下16とが設けられている。
【0017】
集合住宅1には、共用電気設備として、1階11の外壁に2個の屋外照明装置4と、屋外階段15の上部の外壁に2個の屋外照明装置4と、さらに2階12の外壁に2個の屋外照明装置4とが設けられている。また、自家発電装置として太陽光発電装置2が屋根13の上に設置されている。また、DC/AC変換器51と鉛蓄電池(蓄電池)3は屋根13の小屋裏に設置されている。また、DC/AC変換器52と売電装置6とは1階11の外壁に取り付けてあり、電力会社の担当者が売電装置6に備えられた電力計により電力量を読み取ることが容易にできるようになされている。
太陽光発電装置2と蓄電池3とは並列に接続され、DC/AC変換器51を介して共用電気設備である6個の屋外照明装置4に接続されている。6個の屋外照明装置4は全て並列に接続されている。また、太陽光発電装置2は、DC/AC変換器52を介して売電装置6に接続されている。
【0018】
図3で図1の電気配線系統の詳細を説明する。太陽光発電装置2は、太陽光発電パネル21と逆流防止ダイオード22とを備えている。また、屋外照明装置4は、白熱電球を備える屋外灯41と人体感知センサー41aと照度センサー41bとを備えている。また、インバーター装置5は、DC/AC変換器51,52と逆流防止ダイオード53とから構成されている。また、売電装置6は、売電用電力計62と電力会社の送電線との接続点61とから構成されている。
【0019】
太陽光発電装置2と鉛蓄電池3とは並列に接続され、インバーター装置5のDC/AC変換器51を介して屋外照明装置4に接続されている。また、太陽光発電装置2は、インバーター装置5の逆流防止ダイオード53とDC/AC変換器52とを介して売電装置6に接続されている。ここで、鉛蓄電池3の蓄電容量は6個の屋外照明装置4の一日の最大電気消費量の略1.5倍、略1KWhとされている。また、太陽光発電装置2の一日の最大発電量は5KWhであり、鉛蓄電池3の蓄電容量の略5倍とされている。
【0020】
次に、太陽光発電装置2と鉛蓄電池3との働きを説明する。日照のあるときに太陽光発電パネル21で発電された直流電力は、まず、鉛蓄電池3に最大蓄電容量1KWhまで蓄電される。太陽光発電装置2の一日の最大発電量は5KWhなので、薄曇りの日であっても最大蓄電容量まで蓄電することができる。晴天の日は、約4KWhの電力が余剰となる。鉛蓄電池3に最大蓄電容量まで蓄電されると、余剰電力はDC/AC変換器52で交流に変換され、売電装置6の接続点61を通じて電力会社の送電線に送られる。送出された電力量は売電用電力計により計測される。
【0021】
また、屋外が暗くなると照度センサー41bが感知し、鉛蓄電池3に蓄電された電力で屋外灯41が点灯される。この際、鉛蓄電池3から得られる直流電力ははDC/AC変換器51で交流に変換される。また、人体感知センサー41aが人体を感知していないときは、屋外灯41は定格電力より消費電力を小さくして点灯され、人体を感知したときは、定格電力で点灯される。
以上のような電気設備の動作は不図示のコントローラーにより制御されている。
【0022】
以上のように構成されているので、集合住宅1の管理者が集合住宅1の入居者から屋外照明設備(共用電気設備)4,4,・・・の電気料金を集金する必要がなく、入居者には金銭的負担がかからない。
また、夜間等で太陽光発電装置(自家発電装置)2が休止している間は鉛蓄電池(蓄電池)3により屋外照明設備4,4,・・・に電力を供給することができる。鉛蓄電池3の蓄電容量が屋外照明設備4,4,・・・の一日の最大電力消費量の略1.5倍以上とされている。従って、共用電気設備による1日の電力消費があっても、なお30%以上の電力が鉛蓄電池3に残されているので、充放電のサイクルによる寿命を長くすることができる。
また、鉛蓄電池3から得られる直流電力ははDC/AC変換器51で交流に変換されるので、従来の交流用の共用電気設備(屋外照明設備4)が使用できる。
【0023】
太陽光発電パネル21は集合住宅1の広い屋根13に設置することができ、大きな発電能力を得ることができる。また、屋外照明装置4は、白熱電球を備える屋外灯41と人体感知センサー41aと照度センサー41bとを備えているので、屋外が暗くなってから屋外灯41を自動的に点灯することができる。また、屋外が暗くなっても、人体感知センサー41aが人体を感知しないときは、屋外灯41を定格電力より消費電力を小さくして点灯させることができ、人体を感知したときに定格電力で点灯させることができる。つまり、屋外照明装置4の消費電力を削減することができ、屋外灯41の白熱電球の寿命を長くすることができる。
また、太陽光発電装置2と鉛蓄電池3とは並列に接続されているので、鉛蓄電池3に最大容量まで蓄電された後は、売電装置6と通じて電力会社の送電線に電力を供給し、電力会社から電気料金を受け取ることができる。
【0024】
図4により本発明の他の集合住宅の電気配線系統を説明する。図4が図3と異なるのは、インバーター装置5BにDC/AC変換器51がないという点である。このようにすることにより、屋外照明装置4,4,・・・に直流電力を供給することができる。直流電力により、人体感知センサー41aや照度センサー41bに使用されているマイコンを直接動かすことができるので、それらの回路構成を簡単にすることができる。また、白熱電球をチラつきなしに点灯することができる。
また、DC/AC変換器51を省略できるので、インバーター装置5bの構成を簡単にすることができる。
【0025】
以上、本発明の実施例を図面により説明したが、本発明の具体的構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0026】
例えば、屋外照明装置4には、必ずしも人体感知センサー41aや照度センサー41bを備える必要はない。また、屋外灯41には蛍光ランプを備えてもよい。
【0027】
また、共用電気設備として、浄化槽のポンプや散水装置等を採用しても構わない。また、集合住宅は2層に限られることなく、高層のものであってもよい。また、高齢者用の集合住宅としてもよい。また、自家発電設備は共用電気設備以外の電気設備に電力を供給するものであっても構わない。
【0028】
【発明の効果】
発明の集合住宅においては、集合住宅の管理者が集合住宅の入居者から共用電気設備の電気料金を集金する必要がなく、入居者には金銭的負担がかからない。つまり、集合住宅の管理者と入居者の双方にとって有利な集合住宅とすることができる。
【0029】
また、発明の集合住宅においては、太陽光発電装置が休止している間は蓄電池により共用電気設備に電力を供給することができる。つまり、太陽光発電装置や風力発電装置のように自然現象により発電ができないものであっても、必要なときに共用電気設備を使用することができる。
【0030】
また、発明の集合住宅においては、共用電気設備による1日の電力消費があっても、なお略10%以上の電力が蓄電池に残されているので、充放電のサイクルによる寿命を長くすることができる。つまり、電気設備のメンテナンスの回数を減らすことができ、そのための費用を削減できる。また、過剰な蓄電池を備える必要がなく、設備費を安くすることができる。
【0031】
また、発明の集合住宅においては、太陽光発電設備と共用電気設備を直接的に接続することができるので、直流と交流の変換器が不要である。また、直流電力が必要なマイコンや直流モーターに直接直流電力を供給できる。つまり、電気設備のコストを下げることができる。
【0032】
また、発明の集合住宅においては、蓄電池に十分蓄電でき、余剰の電力は電力会社に販売することができる。つまり、共用電気設備は確実に働く。また、太陽光発電設備の設備費は売電によりまかなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の集合住宅の斜視図である。
【図2】図1の集合住宅の2階の電気配線図である。
【図3】図1の電気配線系統図である。
【図4】本発明の他の集合住宅の電気配線系統図である。
【符号の説明】
1 集合住宅
2 太陽光発電装置(自家発電装置)
21 太陽光発電パネル
3 鉛蓄電池(蓄電池)
4 共用電気設備(屋外照明装置)
5 インバーター装置
51,52 DC/AC変換器

Claims (3)

  1. 共用電気設備としての屋外照明装置を備える集合住宅において、
    該集合住宅は、屋根の略全面に設置される太陽光発電装置と、該太陽光発電装置によって発電された電力を蓄える蓄電池と、該太陽光発電装置によって発電された電力を電力会社に供給する売電装置と、を備えるとともに、
    前記共用電気設備としての前記屋外照明装置の電力が前記集合住宅に備えられた前記太陽光発電装置又は前記蓄電池から供給されることを特徴とする集合住宅。
  2. 前記蓄電池の蓄電容量が共用電気設備の一日の最大電力消費量の略1.1倍以上略3.0倍以下とされていることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
  3. 前記太陽光発電装置から供給される電力が直流であり、前記共用電気設備に直流電力が供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の集合住宅。
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