JP4051973B2 - 旋盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カムシャフトやクランクシャフト等の偏心ワークを加工する旋盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
カムシャフトは、自動車部品等となるものであり、シャフト部と、このシャフト部の長手方向の一部に少なくとも一つのカム部を有する偏心ワークである。カム部の軸心はシャフト部の軸心から偏心し、その径もシャフト部よりも大きい。クランクシャフトもカムシャフトと同様に、シャフト部に対して偏心した軸部を有するワークである。
旋盤でこのような偏心ワークを旋削する場合、シャフト部を加工する際はシャフト部の軸心を、カム部を加工する場合はカム部の軸心を、それぞれ主軸の回転中心に位置決めしなければならない。
そのため、従来は、主軸の先端に取付けられるワーク支持用の治具を、シャフト部の加工時と偏心軸部との加工時とで取り替え、それぞれの軸心が主軸回転中心に来るようにワークを把持している。
【0003】
このように従来は、シャフト部の加工と偏心軸部の加工とで、治具を取り替える段取り作業や、それぞれの軸心が主軸回転中心に来るようにワークを一旦持ち替える作業が必要であった。そのため、加工の効率が悪く、またワークの持ち替えに伴う誤差が発生し、加工精度の向上の妨げ要因となっていた。
一つの治具で、シャフト部の加工時の把持と、偏心軸部の加工時の把持との両方が行えるようにしたものも提案されているが、ワークの持ち替え作業は必要であり、持ち替えのための段取り時間や、持ち替えに伴う誤差の発生は避けられない。
一方、マシニングセンタ等のように、ワークを固定状態とし、工具ヘッドを移動させて加工する装置においては、ワーク把持手段に油圧や空圧のシフト機構を設け、ワーク位置を変更可能としている。このようなシフト機構を主軸チャックに設ければ、ワークを持ち替えることなく、希望の加工部位を加工できる。しかし、高速回転する主軸チャックに前記のシフト機構を設けることは、動力の伝達系の設置に無理があり、現実的でない。
【0004】
この発明の目的は、偏心ワークを持ち替えることなく各軸部の旋削が行える旋盤を提供することである。
この発明の他の目的は、被加工部となる軸部間の偏心量が小さくても、各軸部を主軸の回転中心に位置決め可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、専用のアクチュエータを必要とせずに、チャック部材のシフト動作を可能とすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の旋盤は、それぞれ被加工部となる互いに偏心した少なくとも2つの軸部を有するカムシャフト,クランクシャフト等の偏心ワークを加工する旋盤であって、主軸と、この主軸の先端に設けられたチャック本体と、このチャック本体に主軸の回転中心と直交する方向にスライド自在に支持されて上記偏心ワークを把持し、この把持状態で上記スライドが自在な一対のチャック部材と、このチャック部材に把持された偏心ワークの被加工部となる各軸部がそれぞれ主軸の回転中心と一致する各位置で上記チャック部材をチャック本体に対して位置決め状態に固定する位置決め手段と、上記被加工部を加工する工具が装着された刃物台とを備える。上記チャック本体は、その前面に、主軸の回転中心を挟んで対向配置された2つのチャック支持部材を有する。片方のチャック支持部材はチャック本体に固定され、もう片方のチャック支持部材は、主軸回転中心に向かって半径方向に移動自在なようにチャック本体に設置される。可動のチャック支持部材は、チャック本体内に設けられたチャック開閉手段の動作により、上記の半径方向の移動が行われるものである。上記両チャック支持部材の対向面に、上記チャック部材が各々設置され、固定側のチャック支持部材および可動側のチャック支持部材にそれぞれスライドガイドを介して上記各チャック部材が上記スライドが自在に設置される。これらチャック部材のスライド自在な方向は、可動側のチャック支持部材の移動可能な上記半径方向とは直交する方向である。
この構成によると、偏心ワークをチャック部材に把持させた状態で、チャック部材をスライドさせ、被加工部となる軸部が主軸の回転中心と一致する位置でチャック本体に固定することができる。すなわち、ワークを把持するためのチャック動作を行うチャック本体に、チャック部材をスライド自在に支持したため、偏心ワークを把持した状態でのチャック部材のスライドが可能となる。このため、偏心ワークを持ち替えることなく、各軸部の旋削が行える。したがって、治具交換やワーク持ち替えの段取り替え時間が不要となって、加工の効率が向上する。また、持ち替えに伴う誤差の発生が無くなり、加工精度が向上する。
なお、上記の「把持状態で上記スライドが自在な」とは、必ずしも加工可能な程度の把持状態でチャック部材がスライド自在な場合に限らず、把持を緩めた中間開き状態でスライド自在である場合を含むものとする。
【0006】
上記位置決め手段は、上記チャック部材に形成された複数の被係合部と、これらの被係合部に個別に対応して上記チャック本体に設けられて対応する被係合部に挿脱可能とされ、挿入状態でチャック部材の移動を阻止する複数の係合部材とを有するものとする。上記係合部材の挿脱方向はチャック部材のスライド方向および主軸の回転中心方向のいずれにも直交する方向である。上記複数の被係合部と複数の係合部材は、対応する被係合部と係合部材とでなる被係合部・係合部材組の任意の1組が挿入可能な位置にチャック部材がある状態で、残りの各被係合部・係合部材組が挿入不可能となり、チャック部材がスライドすることによって、他の被係合部・係合部材組が挿入可能となるように配置する。また、任意の係合部材間のチャック部材スライド方向の軸心間距離から、対応する被係合部間のチャック部材スライド方向の軸心間距離を差し引いた寸法が、偏心ワークのいずれかの被加工部となる軸部間の軸心間距離となされているものとする。
このように、チャック部材に設けられた複数の被係合部に対して個別に係合部材を設けた場合、別の被係合部に同じ係合部材を差し替えるようなものと異なり、チャック部材の移動距離が僅かであっても、位置決め手段による位置決めが可能になる。そのため、被加工部となる軸部間の偏心量が小さくても、各軸部を主軸の回転中心に位置決めすることができる。また、挿脱する上記係合部材はチャック本体に設けたので、係合部材を挿脱するアクチュエータの配置を容易とすることができる。
なお、上記被係合部および係合部材は、例えばそれぞれ孔およびピン部材とされる。これとは逆に、被係合部をピン部材とし、係合部材を孔、または孔を有する部材としても良い。
【0007】
この発明の上記各構成の場合に、上記刃物台に、上記チャック部材に係合してこの刃物台の移動により上記チャック部材をスライドさせる操作部材を設けても良い。
このように刃物台に操作部材を設けることにより、刃物台の移動でチャック部材をスライドさせるようにした場合、チャック部材を移動させる専用のアクチュエータが不要となる。したがって簡単な構成でチャック部材の自動的なシフト動作を行わせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図7は加工対象となる偏心ワークWの一例を示す。この偏心ワークWは、カムシャフトまたはクランクシャフトとなる部品であり、シャフト部Waと、このシャフト部Waの長さ方向所定位置に偏心して形成された軸部Bを有している。この偏心軸部Bと、シャフト部Waにおける偏心軸部Bよりも先端側の軸部Aとが、この旋盤により加工される被加工部となる。偏心軸部Bの軸心P2は、シャフト部Waの軸心P1から軸心間距離e1だけ偏心しており、この軸心間距離e1が偏心量となる。偏心軸部Bは、シャフト部Waよりも大径の円柱状の部分である。偏心軸部Bは、必ずしも円柱状の形状でなくても良く、シャフト部Waに対して偏心した部分的な円筒面部を有し、その円筒面部が被加工部となるものであっても良い。
図8は、偏心ワークWの他の例を示す。この例の偏心ワークWは、シャフト部Waと、2つの偏心した軸部C,Dを有し、両偏心軸部C,Dが被加工部となるものである。この実施形態の旋盤は、図7,図8のいずれの偏心ワークWの加工も可能であるが、以下は図7の偏心ワークWを例として説明する。
【0009】
図1は、この実施形態の旋盤を制御系の概念構成のブロック図と共に示した正面図である。この旋盤は、機械本体1と数値制御装置2とで構成される。図2に示すように、機械本体1は、ベッド3上に主軸台4を設置し、送り台13を介して刃物台5を前後左右(Z方向およびX方向)に移動可能に設置したものである。主軸台4には、主軸6が回転自在に設置され、その軸端に、主軸チャック7が設けられている。主軸6は、後方のスピンドルモータ8で回転駆動される。スピンドルモータ8は、主軸6の回転位相を割出して停止することが可能なものとされる。
【0010】
刃物台5は、タレット式のものとされ、外周に複数の工具ステーションSTを有している。各工具ステーションSTに、旋削加工を行うバイト等の工具11と、ドリル,ミリングヘッド等の回転式の工具12(図1)が、工具ホルダを介して設置されている。
送り台13は、ベッド3上に案内14を介して左右(X方向)移動可能に設置された送り台ベース13aと、この送り台ベース13a上に前後(Z方向)移動可能に設置された上側送り台13bとからなる。タレット式の刃物台5は、タレットバー15を介して上側送り台13に、主軸6の回転中心Oと平行な姿勢および同一高さ位置で、割出回転可能に設置されている。送り台ベース13aは、X軸のサーボモータ16および送りねじ17で進退駆動される。上側送り台13bは、Z軸のサーボモータ18および送りねじ19で進退駆動される。タレット式刃物台5の割出回転は、割出モータ20により行われる。なお、送り台13は、X方向に進退駆動される単独の台とし、タレットバー15を割出回転および進退自在に設置したものであっても良い。
【0011】
主軸チャック7は、図3,図4に示すように、主軸6の先端に設けられたチャック本体21と、偏心ワークWを把持するチャック部材25,26とを備える。チャック本体21は、ワークを把持するためのチャック動作を行うものであり、その前面に、主軸6の回転中心Oを挟んで対向配置された2つのチャック支持部材22,23を有している。片方のチャック支持部材22はチャック本体21に固定され、もう片方のチャック支持部材23は、主軸回転中心Oに向かって半径方向に移動自在なようにチャック本体21に設置されている。可動のチャック支持部材23は、チャック本体21内に設けられたリンクおよび主軸6内に設けられたチャックドローバ等からなるチャック開閉手段24の動作により、前記の移動が行われる。両チャック支持部材22,23の対向面に、偏心ワークWを把持する上記チャック部材25,26が各々設置されている。両チャック部材25,26により、チャック部材組27が構成される。
【0012】
図5,図6に示すように、チャック部材25,26は、互いに挟み付けて偏心ワークWを把持する部材であり、互いの対向面に、偏心ワークWのシャフト部Waの周方向の一部が嵌合する溝状の把持凹部25a,26aが設けられている。チャック部材25,26は、把持状態で主軸回転中心Oと直交する方向にスライド自在なように、チャック支持部材22,23を介してチャック本体21に支持されている。チャック部材25,26のスライド自在な方向は、可動のチャック支持部材23が移動可能な主軸半径方向とは直交する方向とされる。
【0013】
固定側のチャック支持部材22に設置されたチャック部材25は、チャック支持部材22の主軸回転中心O側のガイド面22a上に設置され、スライドガイド28を介して上記のスライドが自在とされている。チャック支持部材22のガイド面22aは、主軸回転中心Oに平行な平面である。スライドガイド28は、チャック支持部材22に設けられたキー溝28aと、チャック部材25に設けられてキー溝28aに噛み合うキー28bとでなる。キー溝28aは蟻溝状とされ、キー28bは抜け止め状態に噛み合う。
【0014】
可動側のチャック支持部材23に設置されたチャック部材26は、チャック支持部材23の主軸回転中心O側のガイド面23aに対して接離可能に設置され、スライドガイド29を介して上記のスライドが自在とされている。スライドガイド29は、チャック部材26に設けられたキー溝29aと、チャック支持部材23に設けられてキー溝29aに噛み合うキー29bとでなる。
チャック支持部材23には、チャック部材26の主軸回転中心O側への脱落を止める受け部材30が設けられている。受け部材30は、チャック部材26の主軸半径方向の移動を許容する径方向許容隙間d1を介してチャック部材26を支持するものとしてある。受け部材30は、チャック支持部材23の両側に設けられていて、チャック部材26の主軸半径方向の外側端の両側面に張り出した被支持突条26bを受ける受け片30aを有している。この受け片30aと被支持突条26bとの間に上記径方向許容隙間d1が設けられる。受け部材30の内側面とチャック部材26の被支持突条26bの先端との間には、チャック部材26のスライド動作を許容するスライド許容隙間d2が設けられている。
【0015】
チャック支持部材23には、チャック部材26を主軸回転中心O側へ弾性的に押し付ける弾性付与手段31が設けられている。弾性付与手段31は、コイルばねからなり、チャック支持部材23に形成された収容孔内に収容されている。このため、チャック開き状態、つまりチャック支持部材23が主軸半径方向の外側へ移動した状態では、チャック部材26は、受け部材30の受け片30aに弾性付与手段31で押し付けられた状態にある。したがって、チャック支持部材23が半径方向内側に移動して偏心ワークWを把持するときに、チャック部材26は偏心ワークWに当たった後、弾性付与手段31に抗して弾性的に退くことになり、円滑でかつ確実な把持が行われる。
【0016】
一対のチャック部材25,26は、ロッド状の連結材44により、互いに接近離間方向にのみ移動自在なように連結されている。この連結材44は、いずれか片方のチャック部材25,26に固定され、もう片方のチャック部材25,26に設けられた孔に進退自在に嵌合している。この連結材44による連結のため、固定側のチャック支持部材22上のチャック部材25がスライド移動を行うと、他方のチャック部材26もチャック部材25と共にスライド移動を行う。
固定側のチャック支持部材22上のチャック部材25には、操作用被係合部32が設けられている。操作用被係合部32は、凹部または溝からなる。この操作用被係合部32に先端が係合する操作部材52が、刃物台5のいずれかの工具ステーションSTに取付けられ、刃物台5の進退移動によりチャック部材25,26のスライド移動が可能とされている。
【0017】
固定側のチャック支持部材22とチャック部材25とに、チャック部材25,26に把持された偏心ワークWの被加工部となる各軸部A,Bがそれぞれ主軸6の回転中心Oと一致する各位置で、チャック部材25,26をチャック本体21に対して位置決め状態に固定する位置決め手段33が設けられている。
【0018】
位置決め手段33は、チャック部材25に形成された被係合部である複数の孔34,35と、これらの孔34,35に個別に対応してチャック本体21のチャック支持部材22に設けられた係合部材であるピン部材36,37とで構成される。この実施形態では、2個の孔34,35と2本のピン部材36,37が設けられている。これらピン部材36,37は、対応する孔34,35に挿脱可能とされ、挿入状態でチャック部材25の移動を阻止するものである。複数の孔34,35と複数のピン部材36,37は、対応する孔34,35とピン部材36,37とでなる孔・ピン組38,39の任意の1組が挿入可能な位置にチャック部材25がある状態で、残りの各孔・ピン組38,39が挿入不可能となり、チャック部材25がスライドすることによって、他の孔・ピン組38,39が挿入可能となるように配置されている。任意のピン部材間、この例のように2本の場合は、両ピン部材36,37の間のチャック部材スライド方向の軸心間距離L1から、対応する孔34,35間のチャック部材スライド方向の軸心間距離L2を差し引いた寸法L3(図示せず)が、偏心ワークWの被加工部となる2つの軸部A,Bの軸心間距離e1に設定されている。
【0019】
チャック部材25に設けられる複数の孔34,35は、互いにチャックスライド方向に離れて設けられ、幅方向の中央に対して両側に振り分けられている。なお、孔34,35の位置関係は、必ずしもチャックスライド方向に並ぶ位置でなくても良く、上記軸心間距離L1,L2の差L3が、偏心ワークWの軸心間距離e1となる関係が得られる配置であれば良い。例えば、孔34,35は、主軸回転中心Oに沿う方向に並んで配置されていても良い。
【0020】
チャック本体21には、各ピン部材36,37を突没させるアクチュエータである突没駆動手段41,42が設けられている。突没駆動手段41,42は、チャック支持部材22に設けられたシリンダ装置からなり、各ピン部材36,37はそのピストンで形成されている。突没駆動手段41,42となるシリンダ装置は、チャック支持部材22に形成されたシリンダ室41a,42aにピン部材36,37が進退自在に嵌合した単動式のものであり、ピン部材36,37の突出動作を内蔵のばね部材41b,42bで行わせ、没入動作を作動流体の流体圧で行わせるものとしてある。シリンダ室41a,42aに供給する作動流体の供給経路(図示せず)は主軸6内を貫通し、主軸6の後端からロータリ式のコネクタ(図示せず)を介して流体圧源に接続されている。作動流体は圧縮空気としている。
【0021】
図5に示すように、主軸チャック7には、偏心ワークWのシャフト部Waの後端に係合して偏心ワークWの軸方向の位置決めを行う位置決め部43が設けられている。
【0022】
図1と共に数値制御装置2につき説明する。数値制御装置2は、加工プログラム53に従って機械本体1の全体を制御する手段であり、コンピュータ式の数値制御機能部(NC)とプログラマブルコントローラ機能部(PC)とを有する。数値制御装置2は、加工プログラム53の指令に従い、スピンドルモータ8,X軸サーボモータ18,およびZ軸サーボモータ18に軸送り指令を与えると共に、割出モータ20に割出指令を与える。また、数値制御装置2は、図6の位置決め手段33における突没駆動手段41,42の突没動作の制御を、加工プログラム53の指令に従って行う。
【0023】
上記構成の動作を説明する。図6(A)は、チャック部材25,26で偏心ワークWのシャフト部Waを把持し、シャフト部Waの軸心P1を主軸6の回転中心Oに一致させた状態を示す。この状態では、位置決め手段33は、チャック部材25の片方の孔34に、対応するピン部材36が嵌合し、チャック部材25のスライド移動が不能に拘束されている。この旋盤に偏心ワークWを供給して把持させるときは、同図の状態とされる。また、この状態で偏心ワークWにおけるシャフト部Waと同心の軸部Aが、刃物台5の工具11によって旋削加工される。
【0024】
偏心ワークWの偏心軸部Bを加工するときは、同図(B)のように、チャック部材25,26を移動させ、もう片方の孔35に、対応するピン部材37を嵌合させてチャック部材25をスライド移動不能の状態とする。この状態で、偏心軸部Bが主軸中心軸Oと一致し、偏心軸部Bの旋削が可能になる。図6(A)の状態から同図(B)の状態にするには、嵌合していたピン部材36を孔34から抜き出し、チャック部材25のスライド移動後に、他方の孔35にピン部材37を嵌合させる。スライド部材25のスライド移動は、スライド部材25に設けられた操作用被係合部32に刃物台5の操作部材52を係合させ、刃物台5を主軸6側へ移動させることで行う。
【0025】
図9は、図7の偏心ワークWを主軸6に供給し、この偏心ワークWの各軸部A,Bを順次加工し、加工済みワークWを取り外すまでの動作の流れを示す。主軸6のチャック部材25,26間に偏心ワークWが供給されると、加工プログラムがスタートする。偏心ワークWの供給は、手作業で行っても、またこの旋盤に付設されたローディング装置(図示せず)により行っても良い。
まず、位置決め手段33における図6の右側の突没駆動手段41におけるピストンをイン動作(嵌合動作)させる(ステップS1)。この後、チャック部材25,26を閉じて偏心ワークWを把持する(S2)。この閉じ動作は、可動側のチャック支持部材23(図3,図5)の半径方向移動により行う。この状態で、チャック部材25は図6(A)に示す位置にあり、軸部Aの加工を行う(S3)。この加工は、例えば刃物台5の工具ステーションST1の工具で行う。
【0026】
軸部Aの加工が終了すると、加工プログラム53(図1)の一連のワーク位置変更指令54により、次の各動作を行う。まず、主軸6の回転位相を定位置として主軸6を止める(S4)。この定位置は、チャック部材25が真下に来る位置であり、刃物台5の操作部材52の係合等のために行う。
この後、刃物台5を操作部材52のある工具ステーション(ST3)が主軸6に対応する位置となる角度に割出し(S5)、両突没駆動手段41,42ともピストンアウト状態とする(S6)。チャック部材25,26によるチャック状態を、低圧とし(S7)、中間開き状態(S8)としてから、チャック部材25,26のシフト動作(S9)、すなわち刃物台5の移動によるチャック部材25,26のスライド動作を行わせる。両突没駆動手段41,42のピン部材36,37が抜けた状態であっても、上記定位置の主軸6の割出しにより、チャック支持部材22のガイド面22aが上向きで水平な平面となっているため、チャック部材25を下方に落下させることなく、チャック部材25を安定して支持することができる。所定距離のスライドが行われると、図6(B)のように、突没駆動手段42側のピストンをイン状態とし(S10)、つまりピン部材36を嵌合させ、チャック圧を高圧に切り換えてチャック部材25,26を閉じる(S11,S12)。
【0027】
この後、刃物台5の工具11の旋回割出(工具ステーションST1の呼び出し)を行って(S13)、偏心ワークWの偏心軸部Bの加工を行う(S14)。
偏心軸部Bの加工が終了すると、刃物台5を操作部材52のある工具ステーションST3の割出状態とし(S15)、主軸6の回転位相を定位置とし(S16)、両突没駆動手段41,42のピストンをアウト状態とする(S17)。この状態で、チャック部材25,26の開動作(S18)、チャック部材25,26のスライドによる元の図6(A)の位置へのシフト動作(S19)を行い、偏心ワークWを取り外す(S20)。これにより1個の偏心ワークWの加工動作が完了する。
【0028】
この構成の旋盤によると、このように偏心ワークWをチャック部材25,26に把持させた状態を維持して、チャック部材25,26をスライドさせることができ、被加工部となる軸部A,Bが主軸6の回転中心Oと一致する位置で、位置決め手段33によりチャック部材25,26を固定することができる。このため、偏心ワークWを持ち替えることなく、各軸部A,Bの旋削が行える。したがって、治具交換やワーク持ち替えの段取り替え時間が不要となって、加工の効率が向上する。また、持ち替えに伴う誤差の発生が無くなり、加工精度が向上する。チャック部材25,26を中間開き状態とするのは、スライド動作を軽い力で円滑にするためであり、完全開き状態とはしないため、持ち替え誤差の発生が防止される。
位置決め手段33は、チャック部材25,26に設けられた複数の孔34,36に対して個別にピン部材37,38を設けたものであるため、被加工部となる軸部A,B間の偏心量e1が小さくても、各軸部A,Bを主軸6の回転中心Oに位置決めすることができ、加工可能な偏心ワークWの制限が少なくなる。
また、刃物台5に操作部材52を設けることにより、刃物台5の移動でチャック部材25,26をスライドさせるようにしたため、チャック部材25,26を移動させる専用のアクチュエータが不要であり、簡単な構成でチャック部材25,26の自動的なシフト動作を行わせることができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、位置決め手段33によりチャック部材25,26が位置決めされる位置を2位置としたが、3位置以上としても良い。この位置決め位置の増加は、例えば、位置決め手段33における孔・ピン組38,39の設置個数を位置決め位置数に応じて増やすことで対処できる。位置決め位置数を3位置とした場合、3か所の互いに偏心した軸部の加工が、チャック部材25,26で把持したままで行える。また、3位置であると、図8(A)のようにシャフト部Waに対して偏心した2つの偏心軸部C,Dを持つ偏心ワークWの場合に、偏心ワークWの主軸6への装着時はシャフト部Waが主軸回転中心Oと一致する状態で行い、各偏心軸部C,Dの加工をチャック部材25,26のスライド状態で行うことができる。
また、上記実施形態は、刃物台5がタレットである場合につき説明したが、刃物台5は、例えば櫛歯形のものなど、各種の形式のものが使用できる。
【0030】
なお、上記実施形態ではチャック部材25に被係合部として孔34,35を設け、チャック支持部材22に係合部材としてピン部材36,37を設けたが、チャック部材25に設けられる被係合部がピン部材であって、チャック支持部材22に設けられる係合部材が孔、または孔を有する部材であっても良い。
【0031】
【発明の効果】
この発明の旋盤は、チャック本体に主軸の回転中心と直交する方向にスライド自在に支持されて偏心ワークを把持し、この把持状態で上記スライドが自在なチャック部材と、このチャック部材に把持された偏心ワークの被加工部となる各軸部がそれぞれ主軸の回転中心と一致する各位置で上記チャック部材をチャック本体に対して位置決め状態に固定する位置決め手段とを備えており、ワークを把持するためのチャック動作を行うチャック本体に、チャック部材をスライド自在に支持し、上記チャック本体は、その前面に、主軸の回転中心を挟んで対向配置された2つのチャック支持部材を有し、片方のチャック支持部材はチャック本体に固定され、もう片方のチャック支持部材は、主軸回転中心に向かって半径方向に移動自在なようにチャック本体に設置され、可動のチャック支持部材は、チャック本体内に設けられたチャック開閉手段の動作により、上記の半径方向の移動が行われるものであり、上記両チャック支持部材の対向面に、上記チャック部材が各々設置され、固定側のチャック支持部材および可動側のチャック支持部材にそれぞれスライドガイドを介して上記各チャック部材が上記スライドが自在に設置され、これらチャック部材のスライド自在な方向は、可動側のチャック支持部材の移動可能な上記半径方向とは直交する方向であるため、偏心ワークを把持した状態でのチャック部材のスライドが可能となる。このため、偏心ワークを持ち替えることなく各軸部の旋削を行うことができる。
上記位置決め手段、チャック部材に設けられた複数の被係合部に対して個別に係合部材を設けたものであり、上記係合部材の挿脱方向はチャック部材のスライド方向および主軸の回転中心方向のいずれにも直交する方向であるため、被加工部となる軸部間の偏心量が小さくても、各軸部を主軸の回転中心に位置決めすることができ、加工できる偏心ワークの制限が少なくなる。また、挿脱する係合部材はチャック本体に設けたので、係合部材を挿脱するアクチュエータの配置を容易とすることができる。
刃物台に操作部材を設けることにより、刃物台の移動でチャック部材をスライドさせるようにした場合は、チャック部材を移動させる専用のアクチュエータが不要となり、簡単な構成でチャック部材の自動的なシフト動作を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる旋盤の機械本体の正面図と制御系のブロック図とを示す説明図である。
【図2】同旋盤の平面図である。
【図3】同旋盤の主軸チャックの側面図である。
【図4】同主軸チャックの平面図である。
【図5】同主軸チャックの拡大破断側面図である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ同主軸チャックにおけるチャック部材の各位置決め状態を示す破断正面図である。
【図7】偏心ワークの一例の側面図および正面図である。
【図8】偏心ワークの他の例の側面図および正面図である。
【図9】同旋盤の動作例の流れ図である。
【符号の簡単な説明】
1…機械本体
2…数値制御装置
5…刃物台
4…主軸台
6…主軸
7…主軸チャック
11,12…工具
21…チャック本体
22,23…チャック支持部材
24…チャック開閉手段
25,26…チャック部材
28,29…スライドガイド
32…操作用被係合部
33…位置決め手段
34,35…孔(被係合部)
36,37…ピン部材(係合部材)
38,39…孔・ピン組(被係合部・係合部材組)
41,42…突没駆動手段
44…連結材
52…操作部材
A,B…軸部
e1…軸心間距離
L1,L2…軸心間距離
O…主軸回転中心
P1,P2…軸心
W…偏心ワーク
Wa…シャフト部

Claims (3)

  1. それぞれ被加工部となる互いに偏心した少なくとも2つの軸部を有するカムシャフト,クランクシャフト等の偏心ワークを加工する旋盤であって、主軸と、この主軸の先端に設けられたチャック本体と、このチャック本体に主軸の回転中心と直交する方向にスライド自在に支持されて上記偏心ワークを把持し、この把持状態で上記スライドが自在な一対のチャック部材と、このチャック部材に把持された偏心ワークの被加工部となる各軸部がそれぞれ主軸の回転中心と一致する各位置で上記チャック部材をチャック本体に対して位置決め状態に固定する位置決め手段と、上記被加工部を加工する工具が装着された刃物台とを備え、
    上記チャック本体は、その前面に、主軸の回転中心を挟んで対向配置された2つのチャック支持部材を有し、片方のチャック支持部材はチャック本体に固定され、もう片方のチャック支持部材は、主軸回転中心に向かって半径方向に移動自在なようにチャック本体に設置され、可動のチャック支持部材は、チャック本体内に設けられたチャック開閉手段の動作により、上記の半径方向の移動が行われるものであり、上記両チャック支持部材の対向面に、上記チャック部材が各々設置され、固定側のチャック支持部材および可動側のチャック支持部材にそれぞれスライドガイドを介して上記各チャック部材が上記スライドが自在に設置され、これらチャック部材のスライド自在な方向は、可動側のチャック支持部材の移動可能な上記半径方向とは直交する方向であり、
    上記位置決め手段は、上記チャック部材に形成された複数の被係合部と、これらの被係合部に個別に対応して上記チャック本体に設けられて対応する被係合部に挿脱可能とされ、挿入状態でチャック部材の移動を阻止する複数の係合部材とを有し、上記係合部材の挿脱方向はチャック部材のスライド方向および主軸の回転中心方向のいずれにも直交する方向であり、上記複数の被係合部と複数の係合部材は、対応する被係合部と係合部材とでなる被係合部・係合部材組の任意の1組が挿入可能な位置にチャック部材がある状態で、残りの各被係合部・係合部材組が挿入不可能となり、チャック部材がスライドすることによって、他の被係合部・係合部材組が挿入可能となるように配置し、任意の係合部材間のチャック部材スライド方向の軸心間距離から、対応する被係合部間のチャック部材スライド方向の軸心間距離を差し引いた寸法が、偏心ワークのいずれかの被加工部となる軸部間の軸心間距離となされている旋盤。
  2. 請求項1において、上記一対のチャック部材は、ロッド状の連結材により、互いに接近離間方向にのみ移動自在なように連結されている請求項1記載の旋盤。
  3. 上記刃物台に、上記チャック部材に係合してこの刃物台の移動により上記チャック部材をスライドさせる操作部材を設けた請求項1または請求項2記載の旋盤。
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