JP4051629B2 - 放射性物質モニタリング材 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性同位元素、または放射線発生装置を使用している事業所、例えば原子力関連施設や医療機関のRI使用室等の排気系に使用され、排気中に存在する放射性物質、特に放射性のヨウ素やヨウ化メチルをモニタリングするためのモニタリング材に関するものである。
近年、エネルギー消費量が増加し、それに伴って原子力発電所が多く建設されている。これらの原子力施設等から排出される排出ガス中の放射性ガスは、完全に除去する必要がある。また、原子力施設の増加により、不慮の原子力災害に効果的に対処するため環境における放射性ガスを捕集し、モニタリングすることが重要となっている。また、ラジオアイソトープが大学、各種の研究機関、医療施設等多くの場所で使用されるようになり、その排気処理やモニタリングが重要となっている。放出される排ガス中に含有される放射性ヨウ素の捕集材としては主に活性炭が使用されている。
成富、福田 『空気清浄』 第10巻第2号P.79〜94(1972年)
放射性ヨウ素のモニタリングはサンプラによって連続的に捕集し、定期的に捕集試料を測定することによってその期間の放射性ヨウ素の濃度と放出量を評価する。サンプラは支持金網の上に活性炭含浸ろ紙、粒子捕集用ろ紙がありその下に活性炭カートリッジが存在する。サンプリングされた空気はまず粒子捕集用ろ紙を通じて粒子状の放射性物質が除かれ、活性炭含有ろ紙でガス状の無機ヨウ素を吸着し、さらに活性炭カートリッジで有機ヨウ素を除去する。除去された量はサンプラに直接取り付けられた放射線検出器を通してオンラインで行われるが、微量の場合は別途用意された汎用の検出器を用いる。この場合病院や研究機関など放射線量が微量でオフラインでモニタリングが行われる施設の場合の検出は一旦サンプラ内部の活性炭含浸ろ紙を取り出して汎用の検出器に入れて測定することが多い。一般的に用いられているウェル型のガンマカウンターでは、測定の際試験管の様なガラスカラムに入れて行うが現在使用されている活性炭含浸ろ紙ではフィルター自体が硬い円盤状であるため専用の検出器を用いるか、そのガラスカラムにいれる際折り曲げて挿入するため一部が破壊される。さらに長期的な積算放射線量を測定する場合には繰り返してガラスカラムとサンプラに入れ替えする必要があるが破壊してしまった場合もとのカラムに戻せなくなるため不可能となる。
本発明の目的は、上記の問題を解決し、一般的に用いられているウェル型のガンマカウンター検出器の試験管状のガラスカラムに対する出し入れの際の取扱いがよく、繰り返し利用による積算放射線量を測定可能にする放射性物質モニタリング材を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明はかかる問題点に鑑み、鋭意検討した結果得られたものである。すなわち本発明は、
1.活性炭素繊維を含むシートが複数積層されたことを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
2.該シートの厚みが4mm以下であり、かつ剛軟度が0.2N・cm以下であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
3.該シートのループ反発率が25%以上であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
4.該繊維状活性炭の細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.15cc/g以下であって、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.50cc/g以上であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
5.該繊維状活性炭の平均細孔直径が2nm以下であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
6.該活性炭素繊維から構成されるシートにはアミンが添着され、該アミンの添着量が繊維状活性炭の3〜40重量%であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
7.ヨウ化メチルの脱離率が50%以下で、かつヨウ化メチルの加熱脱着率が50%以下であることを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
8.該モニタリング材を内径6mm〜30mmの試験管丸めて投入して放射線量を測定することを特徴とする放射性物質モニタリング材であること。
ことにより、基本的なヨウ素吸着性能を保持し、かつ自由に曲げることが可能でガラスカラムに出し入れする際の作業効率が良好であり、繰り返し利用による積算放射線量を測定可能にすることを見出し本発明に至ったのである。
本発明により、放射性同位元素、または放射線発生装置を使用している事業所において、捕集用サンプラからモニタリング材を取り出し汎用の放射線検出器のガラスカラムに移す際に容易に丸められ取扱性が優れ、丸めたものを取り出して再利用による積算放射線量のモニタリングが可能となる。
本発明は、少なくとも活性炭繊維を含むシートどうしを接着剤などを用い接合積層したものであり、さらに他の補強シートを積層することも可能である。シートどうしを接合に供することによってさまざまな剛軟度やループ反発率のシートを接合して所定の性質を得るものであり、単体シートでは対応の困難であった選択肢を提供することができる。
本発明における剛軟度とはJISL1096に規定されるスライド法によって測定される。この場合、必要とされる剛軟度は0.2N・cm以下であり、さらに0.19N・cmが望ましく、さらに0.18N・cmがより望ましい。剛軟度が0.2N・cmより高い場合、シートのこしが硬いためシートを丸めて取り扱うことが出来なくなり好ましくない。さらに厚みは4.0mm以下がよく、望ましくは3.9mm、さらに望ましくは3.8mm以下である。厚みが3.0mmより大きい場合シートがかさばってしまい試験管のようなガラスカラムに丸めて挿入することが困難になり、総じて取扱性が悪化して好ましくない。この場合用いられる試験管カラムの内径は8〜30mmであり、剛軟度が低い方ほど細い内径の試験管に丸めて入れることが可能となる。
さらに試験管からモニタリング材を取り出しもとの位置に戻す場合一旦丸くなったシートは元の平らなシートに戻ることが好ましい。この場合、JIS L1096に規定されている曲げ反発性においてループ圧縮法における曲げ反発率が25%以上であることが好ましい。好ましくは26%以上でさらに27%がより好ましい。曲げ反発率が25%より小さい場合評価に供したシートに癖がついて丸みを帯びたまま元の平らなシートに戻らなくなり、もとのサンプラに戻す際の取扱性が悪化して好ましくない。
本発明は従来活性炭ろ紙が不可能であった再利用により無機ヨウ素のモニタリングに好適な材料である。しかしながら細孔直径3〜30nmの細孔容積を0.15cc/g以下、細孔直径3nm以下の細孔容積を0.50cc/g以上、さらに平均細孔直径を2nm以下の活性炭素繊維にアミンを添着することにより有機系ヨウ素化合物の脱離および加熱による脱着が生じにくいことが可能となり、これによりヨウ化メチルの脱離率が50%以下であり、ヨウ化メチルの加熱脱着率が50%以下で、かつ活性炭が繊維状であることを特徴とする高性能な放射性物質モニタリング材を提供することが出来る。
本発明におけるヨウ化メチルの脱離率とは、平衡吸着に達した試料に乾燥窒素ガスを通気した後における脱離したヨウ化メチル重量のヨウ化メチル平衡吸着重量に対する割合で、この値が小さい程脱離が抑制されていることを意味する。即ち、JIS K 1477の5.7に規定された装置を用い、平衡吸着に達した試料に乾燥窒素ガスを30分間通気し、通気前後の重量から下記の計算式により求める。
脱離率=(A−B)/A×100
A:試料のヨウ化メチル平衡吸着重量
B:試料の通気後ヨウ化メチル保持重量
ヨウ化メチルの脱離率が50%を超えると、ヨウ化メチルが多量に脱離し試料のヨウ化メチル保持量が少なくなってしまうため、放射性物質モニタリング材として好ましくない。また、ヨウ化メチルの加熱脱着率とは、平衡吸着に達した試料の加熱後における脱着したヨウ化メチル重量のヨウ化メチル平衡吸着重量に対する割合で、この値が小さい程加熱脱着が抑制されていることを意味する。即ち、加熱脱着率は平衡吸着に達した試料を160Lの恒温器内において100℃で3時間加熱し、加熱前後の試料の重量から下記の計算式により求められる。
加熱脱着率=(A−C)/A×100
A:試料のヨウ化メチル平衡吸着重量
B:試料の加熱後ヨウ化メチル保持重量
ヨウ化メチルの加熱脱着率が50%を超えると、ヨウ化メチルが温度上昇により多量に脱着し、試料のヨウ化メチル保持量が少なくなってしまうため、放射性物質除去フィルターとして好ましくない。
本発明において、アミンを添着させる活性炭は平均細孔直径が小さいものほど放射性ガスの吸着速度が増大することから、平均細孔直径が2nm以下のものが好ましい。平均細孔直径が2nm以上のものは、吸着したガスが多量に脱離してしまうため好ましくない。ここでいう平均細孔直径とは、例えば高速比表面積・細孔分布測定装置(島津製作所製ASAP2010)を用いて測定され、活性炭素繊維の細孔形状を円柱状と仮定し、BET法により求めた比表面積と細孔容積より算出する。
さらに細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.15cc/g以下でかつ細孔直径3nm以下細孔容積が0.50cc/g以上からなることにより、脱離および加熱による脱着が生じにくくなる。細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.15cc/g以上もしくは、細孔直径3nm以下細孔容積が0.50cc/g以下であれば効果はほぼ一定となる。ここでいう細孔容積とは、例えば高速比表面積・細孔分布測定装置(島津製作所製ASAP2010)を用いて測定され、メソポア孔についてはBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法、マイクロポア孔についてはHK(Horvath−Kawazoe)法により求められた細孔分布から算出する。
本発明では、活性炭素繊維を使用することが重要である。活性炭素繊維は従来使用されている粒状活性炭に比べガス吸着速度が速く、優れた捕集・除去効果を発揮することができ、形状成型の点でも自由度があり好適である。活性炭素繊維としては綿、麻といった天然セルロース繊維の他、レーヨン、ポリノジック、溶融紡糸法によるといった再生セルロース繊維、さらにはポリビニルアルコール繊維、アクリル系繊維に、芳香族ポリアミド繊維、架橋ホルムアルデヒド繊維、リグニン繊維、フェノール系繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維があげられるが、好ましくは得られる活性炭素繊維の物性(強度等)の高いこと、優れた吸着性能が得られることから再生セルロース繊維、フェノール系繊維、アクリル系繊維を用いて製造するのがよい。具体的には、これら原料繊維の短繊維あるいは長繊維を用いて製織、製編、不織布化した布帛を必要に応じて適当な耐炎化剤を含有させた後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで500℃以上1000℃以下の温度で炭化賦活する公知の方法によって活性炭素繊維が製造できる。
該活性炭素繊維をシート化する際の形態としては、織物状、編物状、不織布状、フェルト状等いずれの形態でもよく、活性炭素繊維と他の繊維材料とを混抄した紙状のものも使用可能である。しかしながら好適な剛軟度や厚みを得、かつ高性能なシートを作る上で望ましい活性炭素繊維としては織布状や編物状が好んで用いられる。織布としては通常の平織の他綾織、朱子織が好適であり、編物としてはスムース編、フライス編、マリフリーズが好んで用いられる。シートの目付量としては、30〜1000g/m2が好ましく、50〜700g/m2が特に好ましい。30g/m2未満では、放射性物質を捕集する能力が低くなるのみならずシート強度が極端に低下し取扱い上も好ましくない。一方1000g/m2を超えると通気性を損なうとともにシートが厚くなりすぎ取扱い性が低下するため好ましくない。
上記活性炭素繊維の繊維径は、3〜20μmが望ましく、さらに望ましくは5〜15μmの範囲である。繊維径が3μm未満の場合十分な強度が得にくく、繊維径が20μmを超える場合、シート化されたものを丸めることが困難になる可能性がある。
本発明に用いるアミンは次の一般式によって表される。
Figure 0004051629
式中R1、R2およびR3は水素および置換された又は置換されないアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル、脂環式、複素環式および式−NR'R''はR1、R2、R3と同一の群から選択されるがR1、R2およびR3のすべてを水素およびメチルから選ぶことはできずR1とR2の二つのいずれかと窒素と一緒になって複素環式基を表すことが可能で、又はR1、R2とR3のいずれかの二つと一緒になって式=CR'''R''''(R'''とR''''はR1、R2およびR3から選択される)の基からなる群より選択される。R1、R2およびR3中に含まれるのはまた不飽和の、重合体状の置換された又は置換されない脂肪族の、又は芳香族の基である。
具体的には、1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、N,N'−ビス−(3−アミノプロピル)−ピペラジン、N,N−ジメチル−アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1,5−ジアザビシクロウンデセン、ポリ−3級−ブチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン、1,5−ジアザピシクロ〔4,3,0〕ノン−5−エン、1,5−ジアザピシクロ〔5,4,0〕ウンデ7−5−エン、2−メチル−1,4−ジアザピシクロ〔2,2,2〕オクタン、フェニルヒドラジン、2−シアノピリジン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、メチルポリエチレンイミン、ポリアルキルポリアミン等があげられる。特に、1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)が添着量、取り扱いの点で効果が優れる。
アミンの添着量としては3〜40重量%、特に5〜30重量%が好ましい。3重量%未満では脱離および加熱による脱着を生じにくいという効果が小さく、40重量%を超えると添着剤が必要以上に細孔を充填してしまい吸着性能が落ちるので好ましくない。アミンの添着方法は、アミンの溶液に該活性炭素繊維からなるシートを浸漬、乾燥する方法、あるいはアミン溶液を噴霧して溶液を添着させた後乾燥する方法等がある。
本発明において、活性炭素繊維からなるシート同士あるいは活性炭素繊維からなるシートと他の素材からなるシートを積層する方法としては、積層するシートの間に熱可塑性の接着シートを挟み加熱されたロール間に挿入し加圧する方法や、熱可塑性樹脂からなるパウダー状の接着剤を散布後加熱されたロール間に挿入し加圧する方法、あるいは熱可塑性樹脂を溶融させた状態でスプレーノズルを用いて散布しロール間に挿入し加圧する方法、またはニードルパンチ法等、既知の技術を任意に用いることが出来る。
またさらに、本発明において活性炭素繊維からなるシートは、必要により少なくとも一方の面を他の素材によるシートを保護の目的で積層することができる。該シートの形態としては織物状、編物状、不織布状、紙状等適宜なものを用いることができ、特に限定はないがシートの目付は20〜150g/m2が好ましい。20g/m2未満では活性炭素繊維からなるシートを保護するという効果が小さく、150g/m2を超えると通気性が悪くなり、活性炭素繊維からなるシートへ効率よくガスを通気させることが困難となるため好ましくない。
上記の保護シートは、積層後の剛軟度、上記に示した通気性に合わせて、各種の材料が使用できるが、繊維径0.5〜100μm(望ましくは1〜50μm)の、ポリプロピレン(PP),ポリエステル(PET)等のスパンボンドが好適に利用可能である。
以下実施例によって本発明を更に詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
測定方法は下記の方法に準拠した。
剛軟度:JIS L 1096−1990の6.19に規定された剛軟性試験のうちB法(スライド法)を採用した。
厚み:JIS L1096−1990の6.5に規定された方法に従った。
ループ反発率:JIS L1096−1990の6.20に規定された曲げ反発特性試験のうちC法(ループ圧縮法)中に記載されたループ反発率を採用した。
平均細孔直径:島津製作所製ASAP2010を使用し、BET法による比表面積と細孔容積から細孔形状を円柱状と仮定し算出した。
細孔容積:島津製作所製ASAP2010を使用し、メソポア孔についてはBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により、マイクロポア孔についてはHK(Horvath−Kawazoe)法により求められた細孔分布から算出した。
アミン添着量:アミン水溶液に添着する前の活性炭重量と、添着後100℃で1時間乾燥した後の活性炭重量の差より計算して求めた。
脱離率:JIS K 1477の5.7に規定された装置を用い、ヨウ化メチル蒸気を含む25℃の窒素気流を2L/minの割合で1時間通気した後、25℃の乾燥窒素ガスを1.8L/minで30分間通気した後のモニタリング材試料重量減少分より求めた。
加熱脱着率:JIS K 1477の5.7に規定された装置を用い、ヨウ化メチル蒸気を含む25℃の窒素気流を2L/minの割合で1時間通気した後、160Lの恒温器内において100℃で3時間加熱した後のモニタリング材試料の重量減少分より求めた。
(実施例1)
目付55g/m2、厚み0.50mm、細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.01cc/g、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.73cc/g、さらに平均細孔直径が1.80nm,繊維径10μmの繊維状活性炭からなる編物状シートを1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)の1.0%の水溶液に1時間浸漬して、乾燥、アミン添着量が14.7重量%の添着繊維状活性炭からなるシートを得た。このシート2枚を目付15g/m2の熱溶融性接着シート(鞘PVA/芯PP)により82℃で積層接着し、さらに上記積層シートの片側に目付80g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(繊維径7μm)を目付15g/m2の熱溶融性接着シート(鞘PVA/芯PP)によって82℃で積層接着し実施例1を得た。
(実施例2)
目付120g/m2、厚み1.1mm、細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.01cc/g、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.73cc/g、さらに平均細孔直径が1.80nm,繊維径10μmの活性炭素繊維からなる編物状シートを1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)の1.0%の水溶液に1時間浸漬して、乾燥、アミン添着量が14.7重量%の添着活性炭素繊維からなるシートを得た。このシート2枚を目付15g/m2の熱溶融性接着シート(鞘PVA/芯PP)により82℃で積層接着し実施例2を得た。
(実施例3)
目付120g/m2、厚み1.1mm、細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.01cc/g、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.73cc/g、さらに平均細孔直径が1.80nmの活性炭素繊維からなる編物状シートを1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)の1.0%の水溶液に1時間浸漬して、乾燥、アミン添着量が14.7重量%の添着活性炭素繊維からなるシートを得た。このシート3枚を目付15g/m2熱溶融性接着シート(鞘PVA/芯PP)により接着積層し、実施例3を得た。
(比較例)
目付120g/m2、厚み1.1mm、細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.01cc/g、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.73cc/g、さらに平均細孔直径が1.80nmの繊維状活性炭からなる編物状シートを1,4−ジアザ−2,2,2−ピシクロオクタン(トリエチレンジアミン)の1.0%の水溶液に1時間浸漬して、乾燥、アミン添着量が14.7重量%の添着繊維状活性炭からなる単層シートを得た。
実施例1、2、3、比較例にそれぞれに25℃の1/10飽和度ヨウ化メチル蒸気を含む窒素を2L/minの割合で1時間通気した後、25℃の乾燥窒素ガスを1.8L/minの割合で30分間通気し得た脱離率、および25℃の1/10飽和度ヨウ化メチル蒸気を含む窒素を2L/minの割合で1時間通気した後、160Lの恒温器内において100℃で3時間加熱して得た加熱脱着率を表1に記した。また各実施例で得られた試料の剛軟度、厚み、ループ反発率、試験管上のガラスカラムに挿入する際の取扱い性について表1に記した。
Figure 0004051629
表1に明らかなように、実施例1,2,3は、放射性物質を捕集するモニタリング材として汎用の検出器で測定する際の取扱性が比較例1に比べ容易でありかつヨウ化メチルの脱離率および加熱脱着率が低く、ヨウ化メチルの脱離および加熱による脱着が生じにくい、優れた放射性物質モニタリング材といえる。
これに対し比較例は、腰が弱く細かく皺になり易く、ガラスカラムに投入するのに適して形状に丸めにくく、無理に折り曲げると、粉状に破壊されたり活性炭素繊維の脱落が生じた、ガラスカラムから取り出した後、元の平面状のシートに戻しにくく、積算放射線量のモニタリングのための再測定が困難であった。
本発明によると、放射性同位元素、または放射線発生装置を使用している事業所において、捕集用サンプラからモニタリング材を取り出し汎用の放射線検出器のガラスカラムに移す際の取扱性が優れ、再利用による積算放射線量のモニタリングが可能となる。また当該事業所から排気される放射性ガス中に含有される有機ヨウ素化合物を捕集、モニタリングする能力に優れ、特に脱離および加熱脱着を抑制し放射性のヨウ素やヨウ化メチルを捕集するのに好適な放射性物質モニタリング材を得ることができる。

Claims (6)

  1. 活性炭素繊維を含むシートが複数積層された、厚みが4mm以下であり、かつ剛軟度が0.2N・cm以下である放射性物質モニタリング材。
  2. ループ反発率が25%以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質モニタリング材。
  3. 繊維状活性炭の細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.15cc/g以下であって、細孔直径3nm以下の細孔容積が0.50cc/g以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質モニタリング材。
  4. 繊維状活性炭の平均細孔直径が2nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放射性物質モニタリング材。
  5. 活性炭素繊維を含む積層されたシートにアミンが添着され、該アミンの添着量が繊維状活性炭の3〜40重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射性物質モニタリング材。
  6. ヨウ化メチルの脱離率が50%以下で、かつヨウ化メチルの加熱脱着率が50%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射性物質モニタリング材。
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