JP4050224B2 - 透析機械用の血液回路および対応透析機械 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、透析機械用の血液回路に関する。
【０００２】
周知のように、血液は血漿と呼ばれる液体成分、およびとりわけ赤血球を含む血液細胞によって形成される血球成分からなる。腎不全において、血液は、前記の成分に加えて低分子量の粒子（以下、溶質と呼ぶ）を含有し、これは透析機械を用いて行われる透析治療によって削減する必要がある。
【０００３】
周知の型の透析機械は一般に血液回路、透析液回路、および前記回路に接続され、半透膜によって互いに分離される血液コンパートメントおよび透析液コンパートメントを含むフィルタを含み、これを通じて、それぞれ、機械の操作時に一般に対向流モードで流れる被治療血液および透析液を通過させる。
【０００４】
透析治療中、血液中に含まれる望ましくない粒子は、透析液コンパートメントへ向かう血液中に含まれる液体の一部の通過の結果として、拡散と対流の両方によって血液コンパートメントから透析液コンパートメントへ移動する。この結果患者は、透析過程の終了時、体重が多少減少している。
【０００５】
血液回路は、患者の心血管系に形成されるフィステルに挿入され、それぞれ処置される血液を採集し、処置血液を患者の心血管系に戻すために用いられる動脈針と静脈針によって患者に接続される。血液回路は２つの拡張チャンバ（または点滴器）を含み、１つは動脈分枝に位置し、１つは静脈分枝に位置する。
【０００６】
患者から静脈針の分離を検出し、静脈針の分離による血液損失を防ぐ既知の方法では、静脈針の分離が回路の開放に相当するような方法で血液回路の中へ電流を注入する。したがって、血液回路内に流れる電流の変動を測定することによって、静脈針の分離を検出することが可能である。
【０００７】
例えば、特許出願番号ＷＯ９９／１２５８８は、血液回路が電気回路に接続され、血液回路および患者の心血管系からなる閉回路の中に電流を注入し、前記血液回路に配置された測定器具を用いて、それぞれの針の一方または両方の分離によって生じる電流の変動を測定する方法を記載している。この方法では、電流の注入および電流の変動測定は、血液回路に配置された誘導性カップリングによって、言い換えれば、この回路の特定点での体外血液回路の周りに形成される巻線によって行われる。
【０００８】
血液回路の周りに形成される巻線の配置により、血液回路と電気回路との間のカップリングは構成が困難であり、操作員がかなり時間を要することとなり、実際的性質の問題が生じる。
【０００９】
本発明の目的は、簡単かつ実際的な方法で電気回路に結合することができる血液回路を提供することである。
【００１０】
本発明によれば、透析機械用の血液回路が提供され、この血液回路はプラスチック材料で製造され、前記血液回路の外側面に適合される金属プレートを含むことを特徴とし、前記プレートはキャパシタを形成する方法で電圧発生装置と接続可能であり、前記プレートおよび血液がキャパシタプレートとして作用し、プラスチック材料が誘電体として作用する。
【００１１】
本発明の利点は、電気接続がなされる血液回路の点で血液回路に金属プレートを適合することによって簡単に形成することができる容量性カップリングを誘導性カップリングに代えて使用することによるものである。
【００１２】
本発明は、患者に対する透析治療を提供するための透析機械にも関する。
【００１３】
本発明によれば、患者における透析治療を行うための透析機械が製造され、この機械は前記請求項のいずれか１つに記載の血液回路、電気ケーブル、および血液回路、電気ケーブル、および前記血液回路に接続される患者を含む、使用時に優先的な電流流通回路に通じる電流を供給するための電圧発生装置を含む。
【００１４】
これから、その実施形態の非限定的な実施例を示す添付の図面を参照して本発明を説明する。
【００１５】
図１において、参照番号１は透析機械２の血液回路の全体を示す。
【００１６】
透析機械２は、回路１との組み合わせて蠕動ポンプ５を形成するロータ４を支持する機械ケーシング３と；破線で示されており、血液コンパートメント８を透析液コンパートメント９から分離する半透膜７を含むフィルタ６と；破線で示されており、フィルタ６の透析液コンパートメント９に接続されている透析液回路１０を備えている。
【００１７】
回路１は、動脈分枝１１と、静脈分枝１２と、動脈分枝１１内の拡張チャンバ１４、静脈分枝１２内の拡張チャンバ１５、および拡張チャンバ１４と１５の上に配置されたチャネル１６を含むボックス１３を有する。動脈分枝１１は、拡張チャンバ１４と動脈分枝１１を動脈針ＡＮに接続するためのコネクタ１８との間に延在するチャネル１７と、ロータ４の周りにＵ字状に曲がり、蠕動ポンプを形成し、その端が拡張チャンバ１４およびチャネル１６に接続されているチャネル１９と、チャネル１７をフィルタ６の血液コンパートメント８に接続するチャネル２０を含む。静脈分枝１２は、拡張チャンバ１５と、静脈分枝１２を静脈針ＶＮに接続するためのコネクタ２２との間に延在するチャネル２１と、拡張チャンバ１５とフィルタ６の血液コンパートメント８との間に延在するチャネル２３を有する。
【００１８】
操作時、動脈針ＡＮおよび静脈針ＶＮは、それぞれ患者Ｐから血液を収集し、それを患者に戻すために、患者Ｐのフィステルに接続される。
【００１９】
ボックス１３は透明な剛性材料で製造されているが、動脈分枝１１および静脈分枝１２は透明な可撓性プラスチック材料で製造されている。
【００２０】
図２を参照すると、ボックス１３は２つの主要な対向壁２４（そのうちの１つのみが添付図面に示されている）と、主要な壁２４間に位置した周側壁２５と、チャネル１６を拡張チャンバ１４および１５から分離するための仕切り２６と、拡張チャンバ１４および１５を互いから分離するための仕切り２７を含む。
【００２１】
透析治療中、血液は対応する拡張チャンバ１４および１５の下部２８を占めるが、上部２９は空気によって占められる。実際上、チャンバ１４および１５のそれぞれの下部２８と上部２９の分割は、拡張チャンバ１４および１５のそれぞれにおける血液のレベルＬによって示される。透析治療中、レベルＬは、透析機械２と付随し、図示されていない周知の制御装置によって実質的に一定に維持される。
【００２２】
各チャンバ１４および１５は上部２９に位置した対応する圧力センサＰＳを有するが、拡張チャンバ１５は、ボックス１３の下部２８に固定されている少なくとも金属プレート３０の形の導電性の要素を有する。
【００２３】
留意すべきは、導電性の要素が代替方法として導電性を有するプラスチック要素、例えば導電性粒子および／または導電性繊維および／または導電性フィラメントなどであってもよいことである。粒子、繊維、フィラメントの適切な材料はアルミニウムまたはカーボンでありうる。
【００２４】
プレート３０は細長い金属材料片であり、壁２４の外側面と直接接触した面と、該面に対向し、電気コネクタ３１を支持する面を有する。参照番号３２は、コネクタ３１に結合してプレート３０を電圧発生装置３４に接続することができる電気コネクタ３３を備えた電気ケーブルを示す。図１を参照すると、電気ケーブル３２は電圧発生装置３４を患者Ｐにも接続している。
【００２５】
透析治療中、血液は動脈分枝１１および静脈分枝１２に沿って、図１の矢印によって示された方向に方向づけられ、フィルタ６の血液コンパートメント８およびボックス１３の拡張チャンバ１４および１５の中を通過する。この血液は拡張チャンバ１４および１５の下部に蓄積する。
【００２６】
静脈針ＶＮの分離を検出するために、ケーブル３２はコネクタ３１および３３を通じてプレート３０に接続され、患者Ｐに接続されるとともに、電圧発生装置３４によって励起される。
【００２７】
血液およびプレート３０は電流の伝導体であり、ボックス１３が製造されているプラスチック材料は絶縁材料であり、拡張チャンバ１５の部分２８上のプレート３０の存在は有効にキャパシタを形成し、ここでプレート３０および血液は対向プレートであり、壁２４は誘電体である。
【００２８】
出願人は、ケーブル３２、患者Ｐ、および血液回路間の図１に示した接続により、ケーブル３２、患者Ｐ、静脈分枝１２のチャネル２１、および拡張チャンバ１５の下部２８を含む電流の流れに対する優先的な回路が得られることを見出した。
【００２９】
したがって、静脈分枝１２と患者Ｐとの間の不連続性により、前記優先的な電気回路内に電流の顕著な変動が生じる。この変動は、例えば、分枝１２に位置したインピーダンスの端子上の電圧変動を測定することによって測定することができる。
【００３０】
したがって、静脈針ＶＮの分離は、優先的な電気回路の開に相当し、電圧を測定することによって容易に検出される。
【００３１】
出願人は、優先的な電気回路が、患者Ｐに接続されたケーブル３２の端がアースに接続され、優先的な回路の電流が１０ｋＨｚ以上であれば、上述した回路と同様のものが得られることも見出した。この場合、優先的な電気回路は、患者Ｐがアースに直接接続されているか、またはアースに直接接続されていないかどうかに関係なく、アースによって完全なものとなる。第２の場合、アースと共に患者Ｐはキャパシタを形成し、電気的には、優先的な回路の電流の周波数が１０ｋＨｚを超えると、アースに直接接続された患者Ｐと実質的に同等の方法で作用する。
【００３２】
不図示の変形形態では、拡張チャンバ１４および１５の両方は、対応する電気コネクタ３３によって動脈分枝１１および静脈分枝１２の両方をケーブル３２に結合するための対応プレート３０を備えている。
【００３３】
不図示の別の変形形態において、プレート３０は静脈分枝１２および動脈分枝１１の部分のいずれか１つに配置することができ、環状の形状を有することができる。
【００３４】
本説明は、１枚または複数のプレート３０を血液回路１のいずれかの点に配置し、容量性カップリングによって血液回路１に電気ケーブルを電気的に接続するものと解釈される。
【００３５】
説明および図示されている実施例は、電気回路と血液回路との間の電気的カップリングを単純化し、単一の電気的接続のみを必要とするため、特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 見やすいように取り外した部品とともに透析機械と付随した血液回路を示す模式図である。
【図２】 図１の回路の詳細を倍尺で示す図である。

Claims (13)

1. 透析機械用の血液回路であって、該血液回路（１）が、プラスチック材料で製造されており、前記血液回路（１）の外側面に適合される導電性の要素（３０）を含み、前記導電性の要素（３０）が、キャパシタを形成するように電圧発生装置（３４）に接続可能であり、前記導電性の要素（３０）および血液がキャパシタプレートとして作用し、プラスチック材料が誘電体として作用する血液回路であって、
   該血液回路が、可撓性プラスチック材料で製造された動脈分枝（１１）と静脈分枝（１２）、および透明なプラスチック材料で製造されたボックス（１３）を含み、
   前記導電性の要素（３０）が前記ボックス（１３）の外側面上に配置されていて、
   前記ボックス（１３）が前記動脈分枝（１１）に接続された動脈拡張チャンバ（１４）および前記静脈分枝（１１）に接続された静脈拡張チャンバ（１５）を含み、前記動脈拡張チャンバ（１４）および前記静脈拡張チャンバ（１５）が使用時に血液によって占められる対応する部分（２８）を備えており、前記導電性の要素（３０）が前記部分（２８）の範囲内の前記静脈チャンバ（１５）の外側面に適合されていることを特徴とする透析機械用の血液回路。
2. 前記導電性の要素が金属プレート（３０）であり、前記血液回路（１）と接触して配置された１つの面を有することを特徴とする請求項１に記載の回路。
3. 前記導電性の要素が第１の電気コネクタ（３１）を含み、前記電圧発生装置（３４）が前記第１の電気コネクタ（３１）に結合することができる第２の電気コネクタ（３３）を備えた電気ケーブル（３２）を有することを特徴とする請求項１または２に記載の回路。
4. 前記導電性の要素（３０）が前記静脈分枝（１１）の外側面と接触して配置されていることを特徴とする請求項１に記載の回路。
5. 前記ボックス（１３）が２つの主要な壁（２４）と周側壁（２５）を含み、前記導電性の要素（３０）が前記主要な壁（２４）の１つの外側面に沿って位置していることを特徴とする請求項１に記載の回路。
6. 前記血液回路が別の導電性の要素（３０）を含み、該別の導電性の要素（３０）が前記部分（２８）の範囲内の前記動脈チャンバ（１４）の外側面に適合されていることを特徴とする請求項１に記載の回路。
7. 前記別の導電性の要素（３０）が金属プレートであることを特徴とする請求項６に記載の回路。
8. 前記導電性の要素（３０）が導電体を埋め込んだプラスチックで製造されていることを特徴とする請求項１に記載の回路。
9. 前記導電性の要素（３０）及び／又は前記別の導電性の要素（３０）が導電体を埋め込んだプラスチックで製造されていることを特徴とする請求項６に記載の回路。
10. 前記導電体が導電性の繊維を含むことを特徴とする請求項８又は９に記載の回路。
11. 前記導電体が導電性の粒子を含むことを特徴とする請求項８又は９に記載の回路。
12. 前記導電体が導電性のフィラメントを含むことを特徴とする請求項８又は９に記載の回路。
13. 患者（Ｐ）における透析治療を行うための透析機械であって、該機械が前記請求項１〜１２のいずれか１つに記載の血液回路（１）と、電気ケーブル（３２）と、機械の使用時に、血液回路（１）、電気ケーブル（３２）、および前記血液回路（１）に接続された患者（Ｐ）を含む優先的な電気回路を通じた電流を供給するための前記電圧発生装置（３４）とを含む透析機械。

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